JPH10306391A - 酸洗プラントの制御方法とその酸洗プラント - Google Patents

酸洗プラントの制御方法とその酸洗プラント

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JPH10306391A
JPH10306391A JP4682898A JP4682898A JPH10306391A JP H10306391 A JPH10306391 A JP H10306391A JP 4682898 A JP4682898 A JP 4682898A JP 4682898 A JP4682898 A JP 4682898A JP H10306391 A JPH10306391 A JP H10306391A
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保宣 可児
Tsuneo Nakamura
恒雄 中村
Shinichi Yokosuka
伸一 横須賀
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明の目的は、平滑性の優れた普通鋼を得る
ための酸化物スケールを除去する酸洗プラントの制御方
法とその装置を提供することにある。 【解決手段】鋼板の板厚,板幅,スケール量に関する鋼
板の状態量と、酸洗槽に供給される酸の濃度,供給量,
酸の液温,ラインスピード,酸洗槽に入る直前のスリッ
プ温度に関するプラントの運転状態量を監視し、その値
を用いて任意の複数部分の酸洗槽内の脱スケーリング率
を求め、その値に基づいてプラントの最適運転状態量を
決定する酸洗プラントの制御方法及びその装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規な熱間圧延鋼
帯の表面に生成した酸化スケールを除去する酸洗プラン
ト、その制御方法、普通鋼帯の脱スケール圧延連続一貫
製造方法及び脱スケール連続一貫製造設備に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に普通鋼板(炭素鋼)は、800〜
900℃で圧延されるために表面にFe34を主体とし
た黒色の酸化物スケールが生成する。このスケールは、
後続の冷間圧延時のスケール巻き込みによる損傷の原因
となるためにスケールの除去が不可欠となる。普通鋼帯
のスケールの除去方法としては、塩酸溶液の槽に鋼板を
浸漬して連続通板させ、化学反応によりスケールを除去
するカテナリ方式酸洗法が主流である。塩酸溶液は、下
流側から注入し、上流側から取り出す。この時の塩酸洗
液の酸濃度は、3−5%程度まで低下し、逆にFeCl
2 濃度は10数%程度まで上昇する。この溶液は、AR
P(酸回収システム)を通して18%程度の塩酸溶液と
して再生され、再び酸洗槽の下流側へ供給される。通常
ARPの能力は、上流側から回収する酸洗液中のFeイ
オン濃度を120g/lとして設定されている。この1
20g/lという値は、スケールがすべて溶解し、酸洗
槽の終了時点で脱スケールが終了する場合の酸洗液中に
含まれるFeイオン濃度に相当する。
【0003】通常運転からはずれた場合を考えると、た
とえばラインスピードを遅くしなければいけない場合、
酸洗液の温度をそのままにしておくと、鋼板の酸洗槽中
での滞在時間が長くなるために、酸洗槽の終了時点より
前の段階で脱スケールが終了し、必要以上に下地の出た
鋼板が酸溶液に浸漬される(過酸洗)。この様な場合、
下地が荒れてしまい製品品質が低下するばかりでなく、
酸洗液が消耗,劣化する。またスケール厚さの違う鋼材
が入ってきた場合、運転条件が同じであれば、たとえば
厚い酸化皮膜の鋼材の場合脱スケールが終了しないまま
鋼材が酸洗槽から出てしまう可能性が生じるし、薄い酸
化皮膜の場合ラインスピードが遅くなった場合と同様に
過酸洗の状態になる。
【0004】現状においては、それぞれの場合に対する
決まった手法は確立されておらず、たとえばラインスピ
ードが低下した場合、温度を下げる方が良い等経験によ
って運行状態が決められているが、どれだけ温度を低下
させればよいのかは明確になっていなく、出てくる鋼材
の表面状態を見て最適値を決定していた。
【0005】特開昭59−209415号公報には、熱間圧延鋼
帯の巻取り時の温度に基づいて酸洗速度を制御する脱ス
ケール方法,特開昭62−196385号公報には熱間圧延鋼帯
を溶融塩に通し次いで酸洗する際に溶融塩に入る前の鋼
帯の温度に基づいて酸洗槽の酸の噴流速度を制御する脱
スケール方法,特開平1−254313 号公報には熱間圧延鋼
帯を酸洗するに際し、その板厚,材質及び熱圧条件に基
づいて酸洗のノズルからの吐出量を制御する脱スケール
方法,特開平6−212462 号公報には鋼板表面に生成され
た酸化膜の状態に基づいて酸濃度と温度を変えながら酸
洗する方法が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】経験的な手法によって
いる場合、ラインスピードが低下した場合、どこまで温
度を下げればいいのか最適値を見つけることが困難であ
る。それ以前に温度を低下させる方法が最適な手法であ
るかどうか、理論的な検討はされていない。前述したよ
うに、どれだけそのパラメータを変化させればよいのか
は、出てくる鋼材の表面状態を見て最適値を決定してい
たが、その場合においてもそれが定常状態になっている
のかどうかも判断する材料がない。
【0007】そして、上記いずれの公知例にも酸洗槽内
の酸の濃度分布,Feの濃度分布及び脱スケーリング効
率は示されていない。
【0008】本発明の目的は、脱スケール後の平滑性に
優れた普通鋼を得るための酸洗プラントの最適な制御方
法におけるアルゴリズム、それをともなう酸洗プラント
およびそれを用いた普通鋼帯の脱スケール圧延連続一貫
製造方法とその設備を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】経験的なものに頼ってい
たことを計算アルゴリズムによる制御に変えるために
は、プラントの操業条件および鋼板の状態量と脱スケー
リング効率との関係を数式化し、累積脱スケーリング効
率が酸洗槽の出口付近で100%になるようにプラント
の操業条件を決定してやればよい。
【0010】通常の運転時における最適な操業条件は、
このアルゴリズムを用いて決定された値で制御すればよ
い。また運転条件が変化した場合、たとえばラインスピ
ード,板厚,板幅,スケール量等が変化した場合、この
アルゴリズムを用いてプラントの操業条件である液温,
ARPからの塩酸濃度,塩酸注入量のどれをどれだけ変
化させればよいのかを計算することにより最適操業条件
でプラントを運転できる。
【0011】本発明は、鋼板の板厚,板幅,スケール量
で代表される鋼板の状態量,酸洗槽に供給される酸の濃
度,酸の供給量,酸の温度,ラインスピード及び酸洗槽
に入る直前のストリップ温度、好ましくは更にライン長
さ,スケールブレーカーのび率に関する運転状態量を監
視し、前記状態量の値を用いて前記酸洗槽内の任意の複
数部分の脱スケーリング効率好ましくは更に酸の濃度分
布,鉄の濃度分布を求め、その値に基づいてプラントの
前記運転状態量を決定することを特徴とする酸洗プラン
ト制御方法にある。
【0012】本発明は、酸洗槽の酸の濃度,鉄の濃度,
酸の温度、および脱スケール量を、任意の複数部分につ
いて監視することを特徴とする酸洗プラントの制御方法
にある。
【0013】消費する酸の量は、あらかじめ種々の温度
および酸濃度液中で脱スケールすることにより、温度お
よび酸濃度の関数となっている。
【0014】出口付近における脱スケール効率が100
%になるようにプラントの運転状態量が決定される。
【0015】本発明は、鋼板の板厚,板幅,スケール量
で代表される鋼板の状態量,酸洗槽に供給される酸の濃
度,酸の供給量,酸の温度,ラインスピード及び酸洗槽
に入る直前のストリップ温度、好ましくは更にライン長
さ,スケールブレーカーのび率に関する運転状態量を監
視し、前記状態量の値を用いて前記酸洗槽内の任意の複
数部分での流入する酸,流出する酸およびその部分で消
費する酸の物質収支を求めるとともに、その求められた
値を用いてその部分での脱スケール量を求め、それを順
次繰り返すことにより前記酸洗槽内の複数部分の脱スケ
ーリング効率好ましくは更に酸濃度分布,鉄濃度分布を
求め、その値に基づいてプラントの前記運転状態量を決
定し、その値に基づいてプラントを運転することを特徴
とする酸洗プラントの制御方法にある。
【0016】本発明は、鋼板の板厚,板幅,スケール量
で代表される鋼板の状態量を監視するセンサーと,複数
の酸洗槽に供給される酸の濃度,酸の供給量,酸の温
度,ラインスピード及び酸洗槽に入る直前のストリップ
温度、好ましくは更にライン長さ,スケールブレーカー
のび率に関するプラントの運転状態量を監視するセンサ
ーと、前記状態量の値を用いて前記酸洗槽内の任意の複
数部分に流入する酸,流出する酸およびその部分で消費
する酸の物質収支よりその部分の酸濃度を求めるととも
に、その値を用いてその部分での脱スケール量を求め、
それを順次繰り返すことにより前記酸洗槽内の複数部分
の脱スケーリング率好ましくは更に酸濃度分布,鉄濃度
分布を求める演算処理手段と、該演算処理された値に基
づいてプラントの前記運転状態量をコントロールする制
御手段を有することを特徴とする酸洗プラントにある。
【0017】本発明は、酸洗槽に注入する酸の濃度およ
び酸の供給量,酸の温度、およびラインスピードで代表
される運転状態量や、鋼板の板厚,板幅及びスケール量
で代表される鋼板の状態量がプラント運転中に変化する
酸洗プラントの制御方法において、あらたに任意の部分
に流入する酸と流出する酸との関係から求められるその
部分で消費する酸の量より前記運転状態量を決定するこ
とが好ましい。
【0018】本発明は、酸洗槽に注入する酸の濃度およ
び酸の供給量,酸の温度、およびラインスピードで代表
される運転状態量や、鋼板の板厚,板幅及びスケール量
で代表される鋼板の状態量がプラント運転中に変化する
酸洗プラントの制御方法において、少なくとも酸洗槽に
注入する酸の濃度および酸の供給量,酸の温度、および
ラインスピードの少なくとも一つの運転状態量を変化さ
せることが好ましい。即ち、本発明は、鋼板の板厚,板
幅,スケール量で代表される鋼板の状態量と酸洗槽に供
給される酸の濃度,供給量,酸の液温,ラインスピー
ド,酸洗槽に入る直前のストリップ温度で代表されるプ
ラントの運転状態量のうち少なくとも一つ以上を監視
し、その値を用いて任意の部分に流入する酸,流出する
酸およびその部分で消費する酸の物質収支よりその部分
の酸濃度を求めるとともに、その値を用いてその部分で
の脱スケール量を求め、それを順次繰り返すことにより
酸洗槽内の複数部分の脱スケーリング率、好ましくは更
に酸濃度分布,鉄濃度分布を求め、その値に基づいてプ
ラントの最適運転状態量を決定し、その値に基づいてプ
ラントを運行するものである。
【0019】本発明は、熱間圧延普通鋼帯表面のスケー
ルを機械的に除去するメカニカルスケールブレーカと、
希塩酸溶液を入れた複数の酸洗タンクと該希塩酸溶液を
通板の下流から上流側へ移動させる手段と該普通鋼帯を
タンクの上流側から下流側へ移動させる手段とを備えた
洗浄プラントとを有する脱スケール冷間圧延連続一貫製
造設備において、前記酸洗プラントは前述によって構成
される。更に、該酸洗された普通鋼帯を冷間圧延する冷
間圧延機を有することができる。
【0020】普通鋼薄板鋳物を製造する連続鋳造機と、
前記薄板鋳物を熱間圧延する熱間圧延機と、該圧延され
た普通鋼帯表面のスケールを機械的に除去するメカニカ
ルスケールブレーカと、該希塩酸溶液を貯蔵する複数の
タンクと前記脱スケール後の普通鋼帯を該複数のタンク
の該酸溶液に浸漬しながら通板する手段と該酸溶液を加
熱する加熱手段と該酸溶液を通板の下流から上流側へ移
動させる手段とを備えた酸洗プラントと、該酸洗プラン
トから出た普通鋼帯を水洗する手段と、該水洗された普
通鋼帯を乾燥する手段とを具備する脱スケール連続一貫
製造設備において、前記酸洗プラントは前述によって構
成される。更に、該乾燥した普通鋼帯を冷間圧延する冷
間圧延機を有することができる。
【0021】本発明は、普通鋼を熱間圧延機で圧延し、
該圧延された普通鋼帯を酸溶液と接触して普通鋼帯の表
面に生成したスケールを酸洗によって除去する酸洗プラ
ントの制御方法において、前記酸洗を前述の酸洗によっ
て行うものである。
【0022】本発明は、普通鋼を熱間圧延機で圧延し、
該圧延された普通鋼帯を酸溶液と接触して普通鋼帯の表
面に生成したスケールを酸洗によって除去する酸洗プラ
ントの制御方法において、前記圧延機から出た普通鋼帯
表面のスケールを機械的に除去した後、次いで前述の酸
洗によって行い、更に該酸洗された普通鋼帯を冷間圧延
することを特徴とする普通鋼帯の脱スケール圧延連続一
貫製造方法にある。
【0023】本発明は、熱間圧延機で圧延した普通鋼帯
を供給する手段,該普通鋼帯を任意の長さに切断する手
段,該普通鋼帯に生成したスケールに対し機械的応力を
与える手段,該普通鋼帯と接触する酸溶液を貯蔵する複
数のタンク,該普通鋼帯を該複数のタンクの該酸溶液に
浸漬しながら通板することにより前記スケールを除去す
る酸洗プラント,該酸洗プラントから出た処理済み普通
鋼帯を水洗する手段及び該水洗された普通鋼帯を乾燥す
る手段を具備する熱間圧延普通鋼帯の脱スケール設備に
おいて、前記酸洗プラントは前述によって構成されるも
のである。
【0024】計算アルゴリズムによる制御のためには、
プラントの操業条件および鋼板の状態量と脱スケーリン
グ効率との関係を数式化する必要がある。そこで酸洗槽
を複数の部分に分割し、その部分における酸の物質収支
を考え、その方程式を解くことによりその部位での塩酸
濃度,脱スケール量,Fe量等を求めることができる。
ここでいうアルゴリズムの内容は、以下に示すものであ
る。
【0025】ここで酸洗槽をn個に分割して考える。
【0026】酸洗槽の入り口から、それぞれの長さをl
1,l2…ln ,酸濃度をC1,C2…Cn ,鋼板の平均温
度をt1,t2…tn,ストリップ滞留時間をτ1,τ2
τn,初期ストリップ温度θ(0),液温θ(f),ス
ケール量X(0),ラインスピードV,熱伝達率α,ス
トリップ比熱C(1),ARPからの注入酸濃度Cn+1,
HCl注入量Q,板幅h,板厚tとする。各部位におけ
るストリップの平均滞留時間は、 τ1=l1/V …(1) τn=ln/V …(2) 鋼材の温度は、次式によって求められる。
【0027】第1部の入り口の温度をT0,出口の温度
をT1,第2部の入り口の温度をT1,出口の温度をT2
第n部における入り口の温度をTn-1,出口の温度をT
n とすると T0=θ0 …(3) T1=θf−(θf−θ0)×exp(−2×α×l1 /(Cv×d×V×60×7850)) …(4) T2=θf−(θf−θ0)×exp(−2×α×(l1+l2) /(Cv×d×V×60×7850)) …(5) Tn-1=θf−(θf−θ0)×exp(−2×α×(l1+l2+l3…+ln-1) /(Cv×d×V×60×7850)) …(6) Tn-1=θf−(θf−θ0)×exp(−2×α×(l1+l2+l3…+ln-1+ln) /(Cv×d×V×60×7850)) …(7) 各部位での平均ストリップ温度は、 t1=(T0+T1)/2 …(8) t2=(T1+T2)/2 …(9) tn-1=(Tn-2+Tn-1)/2 …(10) tn=(Tn-1+Tn)/2 …(11) 酸の収支バランスは定常状態においては、 第n部で Q×Cn+1=Q×Cn+γn …(12) 第n−1部で Q×Cn=Q×Cn-1+γn-1 …(13) 第2部で Q×C3=Q×C2+γ2 …(14) 第1部で Q×C2=Q×C1+γ1 …(15) ここでγn は酸消費速度を表わし、脱スケール速度Xn に換算することができる 。たとえば反応式を FeO+2HCl=FeCl2+H2O …(16) とした場合、 γn=Xn …(17) ただしここでの単位は、(Kg/min) 第n部においては、QおよびCn+1 設定値であり任意に
決定することができる。Xn はtnおよびCnの関数であ
るために、この関数式をあらかじめ求めておけば、式
(12)はCnに関する一次方程式となり簡単にCnを決
定できる。またCn が決定できればXnに対するtnおよ
びCnの関数式からXnを決定することができる。
【0028】第n−1部においては、任意に設定できる
Qおよびn部において求めたCn およびXn-1に対する
n-1およびCn-1 の関数式を式(13)に代入すると
n部の場合と同様にCn-1の一次関数となり簡単にCn-1
を決定できる。同様にCn-1 が決定できればXn-1に対
するtn-1およびCn-1の関数式からXn-1を決定するこ
とができる。これを順次繰り返すことにより酸洗槽内の
酸濃度分布Cn,Cn-1…C1 および脱スケール量Xn
n-1…X1を求めることができる。Xnに関する種々の
温度および酸濃度条件で求めたtnおよびCnの関数式
は、たとえば酸が塩酸で、鋼材が普通鋼である場合、次
式であたえられる。
【0029】 Xn=1.3328×107×exp(−7168/(273+t))×ln×h×Cn ×2 …(18) 他の酸、たとえば使用する酸が硫酸であれば、あらかじ
め硫酸中における種々の温度および濃度での脱スケール
速度を同様に求めておけばよい。累積脱スケーリング率
Zは、次の方法で求めることができる。すなわち、各部
位での単位面積あたりの脱スケール量を求め、それを累
積させるのである。各部位での単位面積あたりの脱スケ
ール量Yは、 第n部で Yn=Xn×τn/(ln×h×2) …(19) 第n−1部で Yn-1=Xn-1×τn-1/(ln-1×h×2) …(20) 第2部で Y2=X2×τ2/(l2×h×2) …(21) 第1部で Y1=X1×τ1/(l1×h×2) …(22) 各部位までの累積脱スケーリング率Zは 第1部出口まで Z1=Y1/X0 …(23) 第2部出口まで Z2=(Y1+Y2)/X0 …(24) 第n部出口まで Zn=(Y1+Y2+…+Yn)/X0 …(25) 従って、上で示した式を用いて、酸洗槽中の累積脱スケ
ーリング率を求め、それが出口付近において100%付
近になるように任意に制御できるパラメータ、すなわち
n,Cn+1,Q,Vにフィードバックをかけてることに
より、最適になるように制御することができる。
【0030】またプラントの運転状態、たとえばライン
スピードV,液温θf ,ARPの能力であるCn+1,Q
や、鋼材の状態、たとえば板幅h,スケール量X0等が
変化した場合においても上記アルゴリズムを用いて累積
脱スケーリング率を求め、その段階で制御可能なパラメ
ータにフィードバックさせそれが出口付近で100%に
なるようにそれぞれの値を設定させることができる。
【0031】どのパラメータを変化させればよいのかの
判断は、そのパラメータを動かしたあと定常状態になる
までに必要な時間と脱スケーリングの均一性によって判
断する。たとえばVが変化した場合、この時に変更可能
なCn+1,Qおよびθfである。
【0032】定常状態までに達する時間は、 V・dCn=Q・Cn+1・dt−Q・Cn・dt−γn・dt …(26) V・dCn-1=Q・Cn・dt−Q・Cn-1・dt−γn-1・dt …(27) ………………………………………… V・dC1=Q・C2・dt−Q・C1・dt−γ1・dt …(28) の連立微分方程式を解けばもとめることができる。
【0033】また脱スケーリングの均一性は、累積脱ス
ケーリング率の酸洗槽内での分布で判断できる。すなわ
ち鋼板が酸洗槽を進むに連れて徐々に累積脱スケーリン
グが進行していく場合は、均一に脱スケールされている
ことになり、表面粗さが小さい。それに対してある一定
区間で累積脱スケーリング率が急上昇する場合は、その
区間で急激に脱スケールが進行していることになり、そ
の場合は、表面粗さが大きくなる。
【0034】このような操作から、最適制御パラメータ
をいくつに設定すればよいか、プラントの運転状態およ
び処理鋼板の状態が変化した場合、どのパラメータをど
れだけ変化させればよいのかを判断することができる。
【0035】
【発明の実施の形態】
(実施例1)図1は、本アルゴリズムを装備した酸洗装
置を示す。監視ユニットにおいては、板厚,板幅,初期
ストリップ温度,酸の液温,スケール量,ラインスピー
ド,ARP(酸回収システム)からの注入塩酸濃度,A
RPからの塩酸注入量の情報がセンサー9,10を通し
て監視ユニット7にインプットされる。インプットされ
たデータは、演算システム8の中でこれらのデータより
本発明のアルゴリズムを用いて最適な運行条件が計算さ
れ、その情報をもってフィードバックがかけられ、液温
度の調整,ラインスピードの設定,注入塩酸濃度の設
定,注入塩酸濃度の調整等の各操作が行われる。アルゴ
リズムの内容は、作用の項で示したとおりである。セン
サー9は酸の濃度,流量を検出するセンサー,10はラ
インスピード,膜厚計を検出するセンサーである。
【0036】図1に示したのは、カテナリ方式の酸洗槽
である。酸洗槽は3槽または4槽からなり、鋼板は各槽
の両端に設置されているロールによって支持されてい
る。溶液の流れる方向と鋼板の進む方向とは逆方向にな
っており、相対速度が上がるようになっている。そのた
めに鋼板の入り口においては、鋼板は濃度の低い酸液と
接触ししかも鋼板が充分に加熱されていないため鋼板温
度が低い。鋼板が進むに連れて接触する酸の濃度は増加
し、しかも充分に鋼板は加熱されるため鋼板の温度は溶
液温度とほとんど同じになる。酸溶液の流れる方向は鋼
板の進行方向の上流側から上流側に酸洗槽の上部よりオ
ーバーフローするように流れる。また、酸洗槽には槽内
に酸溶液を加熱するヒータが設けられている。
【0037】センサー9では、注入塩酸濃度,塩酸注入
量を測定します。センサー10は、板厚,板幅,初期ス
トリップ温度,スケール量,ラインスピードを測定しま
す。センサー11は液温を検出するものである。
【0038】図1の実線は液の流れを、点線は情報の流
れを示すものである。従ってセンサー10から監視ユニ
ットへの点線は、板厚,板幅,初期ストリップ温度,ス
ケール量,ラインスピードの測定結果が転送されます。
同様にセンサー9からは、注入塩酸濃度,塩酸注入量を
測定の測定結果が転送される。
【0039】各槽からの点線は、溶液温度の測定結果が
転送される。監視ユニットを通して演算処理システムで
計算された最適パラメータの各値は、監視ユニットを通
して、溶液濃度および流量に関しては酸の溶液濃度,流
量コントロールシステム13に送られて、そこで新たに
最適値が設定される。通板速度も同様な方法で通板速度
制御システム12によって最適値に設定される。
【0040】図2は本発明に関する運転開始時の操作の
フローチャートを示す。フローチャートに示す各パラメ
ータを初期入力し、ついで前述の式(1)−(25)を
使って出口における脱スケーンング率を計算される。そ
の値が、100−105%の範囲に入っている場合は、
その条件で運転を開始する。その範囲に入っていない場
合は、再度変更可能な運転パラメータである初期塩酸濃
度(注入塩酸濃度),溶液温度塩酸流量を再入力する。
生産量が変更可能な場合は、通板速度も変更パラメータ
となる。再度累積脱スケーリング率を計算させる。
【0041】図3は本発明に関する鋼種パラメータであ
るスケール量等が運転途中で変化した場合の、操作のフ
ローチャートを示す。累積脱スケーリング率が100−
105%になる条件で運転していたが、たとえ焼鈍条件が
変わりスケール量が変化し、図4の運行条件(1)にな
った場合、累積脱スケーリング率を再度計算させる。そ
の値が100−105%の範囲であればそのままの運転
条件パラメータで運転を続行する。その範囲に入らない
場合は、再度運転条件パラメータを設定し直す必要性が
生じる。運転パラメータの中で一番変更が容易なパラメ
ータは、通板速度である。
【0042】図5は計算によって求めた通板速度と脱ス
ケーリング率(累積脱スケーリング率と同一)の関係を
示す。この関係から適性通板速度は、225−252m
/min であるため、この値を再入力し運転を続行させ
る。生産性を変更できない場合は(通板速度を変更でき
ない場合)、他の運転パラメータである初期塩酸濃度,
溶液温度、また塩酸流量を変更することになる。図6は
それぞれの値を変更した場合の脱スケール率の変化を計
算によって求めたものである。図6に示すようにそれぞ
れの操作を行うときの最適設定値を決定することができ
る。またその操作を行うことによって次の安定状態まで
に達する過渡応答時間を式(26)−(28)を用いて
求めることができる。最適制御方法に関しては、過渡応
答時間が短いものがよい。ただし図6の(b)に示すよう
に、たとえば塩酸温度が100℃を超えてしまう場合
は、装置性能上その操作は不可能ということになり、そ
の操作は除外される。図6中、(a)は塩酸流量を変更
した場合、(b)は塩酸温度を変更した場合、(c)は
塩酸濃度を変更した場合のものである。
【0043】(実施例2)図7及び図8は現状のプラン
トの定常時の運行条件における初期ストリップ温度θ
(0)10℃,液温θ(f)85℃,スケール量X(0)
0.07kg/m2,ラインスピードV250m/min ,熱
伝達率α20000kcal/m2h℃,ストリップ比熱C
(1)0.11kcal/kg℃,各酸洗槽の長さl(n)1槽2
0.7m 2槽21.75m 3槽21.75m 4槽2
6m,ARPからの注入HCl濃度d180g/l,H
Cl注入量Q80kg/min,板幅h1m,板厚t0.00
35mを本発明のアルゴリズムに代入し求めた酸洗槽内
のHCl濃度,Feイオン濃度,温度分布を示してい
る。濃度分布を示すグラフ中の斜線は、実機運転中にお
けるHCl濃度の分布を示している。本発明のアルゴリ
ズムで求めたHClの濃度分布は、実機における濃度分
布と良く一致しており本アルゴリズムが正しく作用して
いることが確認される。このアルゴリズムを使用して求
めた酸洗槽内の各場所における累積デスケーリング率を
図9に示す。これによると酸洗槽を出るところでの累積
デスケーリング率は、110%でありデスケーリング終
了の100%を超えている。100%がデスケーリング
終了時点を示していることを考えると、この運転条件で
は、やや過酸洗になっていることがわかる。過酸洗にな
ると下地の溶出が顕著になり表面を荒し製品価値を低下
させるために、できるだけ酸洗槽出口近傍で累積デスケ
ーリング率を100%にもっていかなければならない。
そこで本アルゴリズムを使用して、たとえば温度を下げ
た場合、累積デスケーリング率は図10の様になり、出
口において100%となり、過酸洗を減少させることが
できる。これらのことを本発明のアルゴリズムを用いて
瞬時に最適制御方法およびその値を求め運転条件にフィ
ードバックさせることにより最適条件で運転できるとと
もに肌あれの少ない品質の良い鋼板を得ることができ
る。
【0044】(酸濃度分布) 第n部で Cn=Q×Cn+1/(Q+7996800
00×2×1n×h×exp(−7168/(273+tn))) 第n−1部で Cn-1=Q×Cn/(Q+7996800
00×2×1n-1×h×exp(−7168/(273+t
n-1))) 第2部で C2=Q×C3/(Q+79968000
0×2×12×h×exp(−7168/(273+t2))) 第n部で C1=Q×C2/(Q+79968000
0×2×11×h×exp(−7168/(273+t1))) (鉄濃度分布) 第n部で Dn=(Cn+1−Cn)×56/72 第n−1部で Dn-1=(Cn+1−Cn-1)×56/72 第2部で D2=(Cn+1−C2)×56/72 第n部で D1=(Cn+1−C1)×56/72 (実施例3)図7及び図8に示す条件で酸洗装置を運転
中にラインスピードを50m/minに下げた場合、その
ままの運転条件で運転を継続させた場合、本発明のアル
ゴリズムを使用して計算すると図11に示すように、酸
洗槽の第2槽後半のあたりですでに累積デスケーリング
率が既に100%を超えてしまい、出口においては58
0%になってしまい過酸洗が著しいことがわかる。この
場合にとられる処置としては、(1)ARPからの塩酸
濃度を変える (2)液温を変える (3)ARPから
の塩酸の注入量を変える等の操作が考えられる。各操作
により出口付近での累積脱スケーリング率を100%近
傍にもって行くように設定しなければいけない値を本発
明のアルゴリズムを用いて計算すると(1)の操作では1
80g/lから32g/lに (2)の操作では85か
ら45℃に (3)の操作では80kg/min から12kg
/min となり、経験に基づかず任意の値を求めることが
できる。図11は(1)から(3)の各操作をした場合
の酸洗槽の各場所の累積脱スケーリング率を示す。
(1)および(2)の操作では、酸洗槽内で一定の割合
で脱スケーリングされているが、(3)の操作では、初
期においてはほとんど脱スケーリングされていなく、酸
洗槽の後半で累積脱スケーリング率が急激に立ちあが
り、ごく短い区間で脱スケーリングされていることがわ
かる。この様な場合、表面が荒れてしまうために適切で
なく、この場合(3)の操作によりプラントをコントロ
ールすべきではないことが判断できる。(1)および
(2)の操作を比較した場合、本アルゴリズムを用い
て、操作を行ったあと定常状態に達するまでの時間を求
めると、(1)の操作で15分、(2)の操作で80分
であることがわかった。これらの結果を総合判定すると
(1)の操作が一番最適であることがわかる。これらの
ことを本発明のアルゴリズムを用いて瞬時に最適制御方
法およびその値を求め運転条件にフィードバックさせる
ことにより最適条件で運転できるとともに肌あれの少な
い品質の良い鋼板を得ることができる。
【0045】(実施例4)図7及び図8に示す条件で酸
洗装置を運転中に板幅が1mから1.5m に変化した場
合、そのままの運転条件で運転を継続させた場合、本発
明のアルゴリズムを使用して計算すると図13に示すよ
うに、累積脱スケーリング率は酸洗槽の出口においては
81.6% になり、脱スケーリングが完了していないこ
とがわかる。この場合にとられる処置としては、(1)
ARPからの塩酸濃度を変える(2)液温を変える
(3)ARPからの塩酸の注入量を変える (4)ライ
ンスピードを変える等の操作が考えられる。実施例3と
同様に各操作により出口付近での累積脱スケーリング率
を100%近傍にもって行くように設定しなければいけ
ないが、その値を本発明のアルゴリズムを用いて計算す
ると(1)の操作では、180から225g/lへ増
加、(2)の操作では、85から100℃へ増加させて
も累積脱スケーリング率は90.3% 、(3)の操作で
は80から108kg/min へ増加、および(4)250か
ら205m/min へ低下、となる。実施例2の場合と同
様に累積デスケーリング率および安定状態までに達する
時間等の要因を含めて考慮すると、(1)の操作では温
度を100℃に上げても脱スケーリングは終了しないこ
とがわかるし、(2)および(3)の操作ではARPに
大きな負荷がかかる。また濃度を上げることはラインの
ダメージを増加させることになる。これらのことを判断
すると最適な制御は、(4)の操作であることがわか
る。これらのことを本発明のアルゴリズムを用いて瞬時
に最適制御方法およびその値を求め運転条件にフィード
バックさせることにより最適条件で運転できるとともに
肌あれの少ない品質の良い鋼板を得ることができる。
【0046】(実施例5)図14〜図17は熱間圧延普
通鋼帯を酸洗後冷間圧延する一貫製造装置の構成図であ
る。
【0047】図14は入側コイルカーに巻回された鋼帯
をウェルダーによって接合しながら連続的に送り出すよ
うになっており、次いでブライドルローラによって鋼帯
に形成されているスケールに割れを形成させ、次いで曲
率半径の小さなロールを通してスケールを鋼帯より剥離
するメカニカルスケールブレーカを通し、更に表面に付
着しているスケールをメカニカルブラシでこすり取った
後、図15の酸洗装置に送られる。
【0048】図15の酸洗装置は実施例1に記載の装置
からなるものである。前述の如く、本実施例における酸
洗速度は500m/分以上と高速で脱スケールが可能と
なることから図16に示す冷間圧延を直接行うことがで
きる。
【0049】図16は酸洗された鋼帯をセンタリング装
置を経てタンデムに4スタンドに配列したHCミルによ
って薄板が製造される。HCミルはバックアップロール
とワークロールとの間に中間ロールが配置されたもの
で、中間ロールの軸方向へ左右反対の移動によって被圧
延材の板厚の均一なものが得られるものである。本実施
例で用いる冷間圧延機には他UCミル,CVCミル,ク
ロスミルなどが用いられ、これを組合せて用いることが
出来る。一例として、HCミルを前スタンド,UCミル
を後列スタンドにした組合せ、CVCミルを前スタン
ド,HCミルを後列スタンドにした組合せ、クロスミル
を前スタンド,HCミルを後列スタンドにした組合せが
ある。
【0050】本実施例におけるワークロール,中間ロー
ル及びバックアップロールに複合ロールを用いることに
より、より一層高速の圧延が可能である。複合ロールは
軸材表面に軸材より高耐摩耗性を有する高合金鋼をエレ
クトロスラグ肉盛溶接によって微細炭化物を有する外層
材を形成したものである。軸材は重量でC0.2〜1.5
%,Si3%以下,Mn2%以下,Cr5%以下、又は
これにNi0.5%以下,Mo1%以下を含む合金鋼が用
いられる。外層材は重量でC0.5〜1.5%,Si3%
以下,Mn2%以下,Cr2〜10%,Mo1〜10
%,W20%以下,V1〜5%,Co13%以下を含む
高合金鋼よりなり、HS硬さが80以上を有するように
低周波表面加熱焼入れ後強制的に急冷する焼入れ及び焼
戻しが施されたものである。
【0051】HSが80以上のものはワークロールとし
て使用され、中間ロールはそれより硬さが小さく、バッ
クアップロールは中間ロールより硬さを小さくするよう
に合金元素量が調整される。いずれもHS硬さで5〜1
0小さくするとよい。いずれのミルも4又は6段のロー
ルによって構成される。ワークロール及び中間ロール径
は同等であるが、バックアップロールはそれらより大き
い径のものが用いられる。
【0052】図17は冷間圧延された鋼帯を出側コイル
カーで巻取る構成図である。鋼帯はロータリー式スクラ
ッチチョッパによって適宜切断され、オイラを通ってカ
ローゼルテンションリールによって巻回される。
【0053】本実施例においても実施例と同様にスケー
ルが完全に除去されるとともに肌あれのないものが得ら
れる。
【0054】(実施例6)図18は連続鋳造後続いて、
熱間圧延する一貫製造装置を示す構成図である。2台の
連続鋳造装置を交互に用いて20〜40mm厚さの薄板を
連続的に製造するので、その薄板を冷やさずに直接熱間
圧延するものである。連続鋳造された薄板はトランスフ
ァ装置を通して交互に圧延機に送られる。送られた薄板
はエッジャを通し、次いでエッジヒータで加熱され、シ
ャーで適宜切断され、HCミル熱間圧延される。熱間圧
延されたものは冷間装置を通して冷却され、図19に示
すブライドルローラ,メカニカルスケールブレーカ及び
メカニカルブラシを通って図1の酸洗装置に送られる。
連続鋳造装置におけるスピードが酸洗スピードに達しな
い場合には熱間圧延後冷却装置を通してカローゼルテン
ションリールによって巻回され、その後に実施例1〜4
に示す工程で酸洗される。
【0055】本実施例においても実施例1と同様にスケ
ールが完全に除去されるとともに肌あれの生じないもの
が得られる。
【0056】本実施例における連続鋳造機は冷却された
鋼板ベルト間に側端鋳型を設けた鋳型中に溶湯を注湯す
るやり方、幅広の鋳型間に側端鋳型を設け、鋳造方向に
振動させて薄板を高速で鋳造するやり方等用いられる。
また、圧延用ロールは実施例5に示す複合ロールを用い
ることができる。
【0057】本実施例においては、熱間圧延後酸洗によ
って脱スケールして巻取るものであるが、巻取らずに実
施例5の図16及び図17と冷間圧延して巻取る連続鋳
造−熱間圧延−メカニカル脱スケール−酸洗−冷間圧延
−巻取りの連続一貫製造装置が可能となる。これにより
効率的な製造ができる。
【0058】
【発明の効果】本発明によれば、熱間圧延普通鋼板の酸
化物スケールを除去するための最適な運転条件で操業で
きるだけでなく、その結果美麗でかつ極めて表面状態の
良好な普通鋼板が得られる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例になる脱スケールプロセスの
装置図。
【図2】本発明に関する運転開始時の操作のフローチャ
ート図。
【図3】本発明に関する運転途中の操作のフローチャー
ト図。
【図4】本発明の運行条件を示すパラメータ。
【図5】通板速度と脱スケール率との関係を示す線図。
【図6】各操作における最適運転条件の設定方法を示す
図。
【図7】本発明のアルゴリズムによる酸洗槽の温度、H
ClおよびFe濃度の分布計算結果を示す図。
【図8】本発明のアルゴリズムによる酸洗槽の温度、H
ClおよびFe濃度の分布計算結果を示す図。
【図9】本発明のアルゴリズムによる酸洗槽内での累積
脱スケーリング率の計算結果を示す図。
【図10】本発明のアルゴリズムによる酸洗槽内での累
積脱スケーリング率の計算結果を示す図。
【図11】本発明のアルゴリズムによる酸洗槽内での累
積脱スケーリング率の計算結果を示す図。
【図12】本発明のアルゴリズムによる酸洗槽内での累
積脱スケーリング率の計算結果を示す図。
【図13】本発明のアルゴリズムによる酸洗槽内での累
積脱スケーリング率の計算結果を示す図。
【図14】本発明の一実施例を示す脱スケール−冷間圧
延一貫製造装置の構成図。
【図15】本発明の一実施例を示す脱スケール−冷間圧
延一貫製造装置の構成図。
【図16】本発明の一実施例を示す脱スケール−冷間圧
延一貫製造装置の構成図。
【図17】本発明の一実施例を示す脱スケール−冷間圧
延一貫製造装置の構成図。
【図18】本発明の一実施例を示す連続鋳造−熱間圧延
一貫製造装置の構成図。
【図19】本発明の一実施例を示すメカニカル脱スケー
ル設備の構成図。
【符号の説明】
1…酸洗槽、2…鋼帯、3…ARP(酸回収システ
ム)、4…酸リザーブタンク、5…酸タンク、6…水タ
ンク、7…監視ユニット、8…演算システム、9,1
0,11…センサー、12…通板速度制御システム、1
3…酸の溶液濃度,流量コントロールシステム。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中村 恒雄 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式会 社日立製作所日立工場内 (72)発明者 横須賀 伸一 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式会 社日立製作所日立工場内

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】鋼板の板厚,板幅及びスケール量に関する
    鋼板の状態量と、酸洗槽に供給される酸の濃度,酸の供
    給量,酸の温度,ラインスピード及び酸洗槽に入る直前
    のストリップ温度に関する運転状態量とを監視し、前記
    鋼板の状態量及び運転状態量の値を用いて前記酸洗槽内
    の任意の複数部分の脱スケーリング率を求め、その求め
    られた値に基づいてプラントの前記運転状態量を決定す
    ることを特徴とする酸洗プラント制御方法。
  2. 【請求項2】鋼板の板厚,板幅及びスケール量に関する
    鋼板の状態量と、酸洗槽に供給される酸の濃度,酸の供
    給量,酸の温度,ラインスピード及び酸洗槽に入る直前
    のストリップ温度に関する運転状態量とを監視し、前記
    鋼板の状態量及び運転状態量の値を用いて前記酸洗槽内
    の任意の複数部分での流入する酸,流出する酸およびそ
    の部分で消費する酸の物質収支を求めるとともに、その
    求められた値を用いて前記酸洗槽内の複数部分の脱スケ
    ーリング効率を求め、その求められた値に基づいてプラ
    ントの前記運転状態量を決定し、運転することを特徴と
    する酸洗プラントの制御方法。
  3. 【請求項3】鋼板の板厚,板幅及びスケール量に関する
    鋼板の状態量を監視するセンサーと、複数の酸洗槽に供
    給される酸の濃度,酸の供給量,酸の温度,ラインスピ
    ード及び酸洗槽に入る直前のストリップ温度に関するプ
    ラントの運転状態量のうち少なくとも一つを監視するセ
    ンサーと、前記状態量の値を用いて前記酸洗槽内の任意
    の複数部分に流入する酸,流出する酸およびその部分で
    消費する酸の物質収支よりその部分の酸濃度を求めると
    ともに、その求められた値を用いて前記酸洗槽内の複数
    部分の脱スケーリング率を求める演算処理手段と、該演
    算処理された値に基づいてプラントの前記運転状態量を
    コントロールする制御手段を有することを特徴とする酸
    洗プラント。
  4. 【請求項4】酸洗槽に注入する酸の濃度酸の供給量,酸
    の温度、およびラインスピードに関する運転状態量と、
    鋼板の板厚,板幅及びスケール量に関する鋼板の状態量
    とがプラント運転中に変化する酸洗プラントの制御方法
    であって、任意の部分に流入する酸と流出する酸との関
    係から求められるその部分で消費する酸の量より前記運
    転状態量を決定することを特徴とする酸洗プラントの制
    御方法。
  5. 【請求項5】普通鋼を熱間圧延機で圧延し、該圧延され
    た普通鋼帯を酸溶液と接触して普通鋼帯の表面に生成し
    たスケールを酸洗によって除去する酸洗プラントの制御
    方法において、前記酸洗を請求項1,2及び4のいずれ
    かに記載の酸洗によって行う酸洗プラントの制御方法。
  6. 【請求項6】普通鋼を熱間圧延機で圧延し、該圧延され
    た普通鋼帯を酸溶液と接触して普通鋼帯の表面に生成し
    たスケールを酸洗によって除去する酸洗プラントの制御
    方法において、前記圧延機から出た普通鋼帯表面のスケ
    ールを機械的に除去した後、次いで請求項1,2及び4
    のいずれかに記載の酸洗によって行うことを特徴とする
    普通鋼帯の脱スケール圧延連続一貫製造方法。
  7. 【請求項7】普通鋼を熱間圧延機で圧延し、該圧延され
    た普通鋼帯を酸溶液と接触して普通鋼帯の表面に生成し
    たスケールを酸洗によって除去する酸洗プラントの制御
    方法において、前記圧延機から出た普通鋼帯表面のスケ
    ールを機械的に除去した後、次いで請求項1,2及び4
    のいずれかに記載の酸洗によって行い、更に該酸洗され
    た普通鋼帯を冷間圧延することを特徴とする普通鋼帯の
    脱スケール圧延連続一貫製造方法。
  8. 【請求項8】熱間圧延機で圧延した普通鋼帯を任意の長
    さに切断する手段,該普通鋼帯に生成したスケールに対
    し機械的応力を与える手段,該普通鋼帯と接触する酸溶
    液を貯蔵する複数の酸洗槽,該普通鋼帯を該複数の酸洗
    槽の該酸溶液に浸漬しながら通板することにより前記ス
    ケールを除去する酸洗プラント,該酸洗プラントから出
    た処理済み普通鋼帯を水洗する手段及び該水洗された普
    通鋼帯を乾燥する手段を具備する熱間圧延普通鋼帯の脱
    スケール設備において、前記酸洗プラントは請求項3よ
    りなる脱スケール設備。
  9. 【請求項9】熱間圧延普通鋼帯表面のスケールを機械的
    に除去するメカニカルスケールブレーカと、希塩酸溶液
    を入れた複数の酸洗槽と、該希塩酸溶液を通板の下流か
    ら上流側へ移動させる手段と、該普通鋼帯を前記酸洗槽
    の上流側から下流側へ移動させる手段とを備えた酸洗プ
    ラントと、該酸洗された普通鋼帯を冷間圧延する冷間圧
    延機を有する脱スケール冷間圧延連続一貫製造設備にお
    いて、前記酸洗プラントは請求項3よりなる普通鋼帯の
    脱スケール冷間圧延連続一貫製造設備。
  10. 【請求項10】普通鋼薄板鋳物を製造する連続鋳造機
    と、前記薄板鋳物を熱間圧延する熱間圧延機と、該圧延
    された普通鋼帯表面のスケールを機械的に除去するメカ
    ニカルスケールブレーカと、希塩酸溶液を貯蔵する複数
    の酸洗槽と前記脱スケール後の普通鋼帯を該複数の酸洗
    槽に浸漬しながら通板する手段と、前記希塩酸溶液を加
    熱する加熱手段と、前記希塩酸溶液を通板の下流から上
    流側へ移動させる手段と、を備えた酸洗プラントと、該
    酸洗プラントから出た普通鋼帯を水洗する手段と、該水
    洗された普通鋼帯を乾燥する手段と、を具備する脱スケ
    ール連続一貫製造設備において、前記酸洗プラントは請
    求項3よりなる普通鋼帯の脱スケール連続一貫製造設
    備。
  11. 【請求項11】前記乾燥した普通鋼帯を冷間圧延する冷
    間圧延機を具備する請求項10よりなる普通鋼帯の脱ス
    ケール連続一貫製造設備。
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