JP3209024B2 - 圧延機及び冷間圧延機 - Google Patents

圧延機及び冷間圧延機

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JP3209024B2
JP3209024B2 JP00376695A JP376695A JP3209024B2 JP 3209024 B2 JP3209024 B2 JP 3209024B2 JP 00376695 A JP00376695 A JP 00376695A JP 376695 A JP376695 A JP 376695A JP 3209024 B2 JP3209024 B2 JP 3209024B2
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rolling
rolls
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reinforcing
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  • Metal Rolling (AREA)
  • Reduction Rolling/Reduction Stand/Operation Of Reduction Machine (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、圧延機及び冷間圧延機
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、タンデム圧延機は4段圧延機が主
に用いられ、このため圧延材の板クラウン(板幅方向板
厚分布)や形状(フラットネス)はこの4段圧延機のロ
ールベンディング装置によって行われる。しかし、これ
のみでは板クラウンや形状を制御する能力に限界がある
ため、その後種々の高性能圧延機を組み込んだタンデム
圧延機が開発されてきた。例えば、特公昭53−2140号公
報および特公昭55−2121号公報では、軸方向に移動可能
なロールを有し、該ロール移動と作業ロールベンディン
グとの併用によって板クラウンや形状を制御する圧延機
(図3参照、以後HCミルと称する)を組み込んだタン
デム圧延機が開示されている。これにより、従来修正で
きなかった複合形状の制御が可能となった。また、特公
昭59−41804 号公報では、作業ロールを水平面内でクロ
スさせることにより板クラウン等を制御する圧延機(以
後クロスミルと称する)のみで構成されたタンデム圧延
機が開示されている。
【0003】大径作業ロールが使用可能な4段圧延機で
板クラウン制御能力が大きいミルとして、作業ロールと
バックアップロールを一緒に水平面内で上下クロスさせ
る圧延機(以後PCミルと称する)が特公昭58−23161
号公報が開示されている。
【0004】複合形状を制御するには板幅方向板厚分布
パターンに及ぼす影響の異なる2種類以上の形状修正手
段が必要である。例えば、特公昭53−2140号公報に述べ
られているように、板幅中央部付近からの分布形状に影
響に与える手段と、板端部に集中的に効果を与える手段
とを適宜組み合わせることにより、複合形状を修正する
ことができる。
【0005】一方、作業ロールでは、圧延中にロールと
被圧延材間に発生するスリップ,ロールに被圧延材が巻
き付く圧延事故等により、ロールの表面に熱衝撃が加わ
り、著しい場合には、クラックが発生する。作業ロール
にはこの熱衝撃に対する耐性に加え、良好な圧延を維持
するため、優れた耐摩耗性が要求されている。
【0006】従来の作業ロールは特開昭63−60258 号明
細書に記載の如く、C1.2〜2.5%,Si0.8〜3.
0%,Mn≦1%,Cr3.0〜6.0%,Mo0.2%
以下よりなるロール素材を焼入の後、焼もどしを行って
いたが、Hs93以上のかたさを得るためには、焼もど
し温度を160℃以下とするものであった。
【0007】更に、特開昭53−80351 号公報には、エレ
クトロスラグ溶接によって芯材にC1.0〜3.0%,S
i0.5〜1.5%,Mn0.5〜1.5%,Cr3.0〜
6.0%,W+1/2Mo10〜20%,Mo≦10
%,W≦18.0%,Co≦5.0%,V0.5 〜5%,
残部が実質的にFeよりなる溶着金属を5〜100mm形
成させ、Hs80以上の硬さとする熱間圧延用ロールを
製造することが開示されている。
【0008】また、従来の冷間圧延用作業ロールは、例
えば特公昭50−7529号公報に記載されるC:0.7〜1.
1%,Cr1.5 〜6%他にMo,V等を添加した鋼系
材質もしくは冷間ダイズ鋼JIS SKD−11に類似
の10%Cr鋼系材質等による一体型鍛鋼ロールが主流
であった。更に他の従来技術として特開昭62−148004号
公報が挙げられる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前述のいずれ
の公知例にも補強ロール及び中間ロールの少なくとも一
方、あるいはこれらに加えて作業ロールをエレクトロス
ラグ溶解法によって一体のものを製造し、これらを4段
又は6段圧延機に用いたものは開示されていない。
【0010】本発明の目的は微細結晶粒を有する補強ロ
ール,中間ロール及び作業ロールからなり、表面性状の
優れた被圧延板を得ることができる圧延機及びそれに用
いる圧延用ロールを提供するにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の圧延機は、一対
の作業ロールと補強ロールとを備えた4段からなる圧延
機において、前記作業ロールのシヨア硬さが90以上及
び前記補強ロールのシヨア硬さが60以上であり、前記
作業ロールのシヨア硬さはそれと接する補強ロール又は
中間ロールのシヨア硬さに対して20〜35高い硬さを
有し、前記作業ロールと、該作業ロールに接する補強ロ
ール及び中間ロールの少なくとも一方とが水冷鋳型によ
るエレクトロスラグ再溶解法によって製造されたもので
あり、前記作業ロールは重量で、C0.6〜1.5%,S
i0.1〜1.5%,Mn0.1 〜3%,Cr4.5〜7.
0%,Ni0.1〜2.0及びMo0.1〜2.0%を含有
する鍛鋼からなり、前記作業ロールと接する前記補強ロ
ール及び中間ロールの少なくとも一方は重量で、C0.
6〜1.5%,Si0.1 〜1.5%,Mn0.1〜3
%,Cr2.5〜4.5%,Ni0.1〜2.0%及びMo
0.1〜2.0%を含有する鍛鋼からなることを特徴とす
る。
【0012】或いは、本発明の冷間圧延機は、一対の作
業ロールと補強ロールとの間に中間ロールを備えた6段
からなる冷間圧延機において、前記作業ロールは重量
で、C0.6〜1.5%,Si0.1〜2.5%,Mn0.
1 〜3%,Cr4.5〜7.0%,Ni0.1〜2.0%
及びMo0.1〜2.0%を含有する鍛鋼からなり、前記
補強ロール及び中間ロールは重量で、C0.6〜1.5
%,Si0.1〜2.5%,Mn0.1〜3%,Cr2.5
〜4.5%,Ni0.1〜2.0%及びMo0.1〜2.0
%を含有する鍛鋼からなり、全ロールが水冷鋳型による
エレクトロスラグ再溶解によって製造されたものである
ことを特徴とする。
【0013】或いは、本発明の冷間圧延機は、一対の作
業ロールと補強ロールとの間に中間ロールを備えた6段
からなる冷間圧延機において、前記作業ロールと,中間
ロール及び必要に応じ補強ロールとは重量で、C0.6
〜1.5%,Si0.1〜2.5%,Mn0.1〜3%,C
r2.5〜7.0%,Ni0.1〜2.0%及びMo0.1
〜2.0 %を含有する鍛鋼からなり、前記作業ロール
と,中間ロール及び必要に応じ中間ロールと補強ロール
の各ロールは各元素の含有量の変動差が各元素の平均値
に対し±10%以内の合金組成を有するほぼ同一組成を
有し、前記作業ロールと中間ロール及び必要に応じ補強
ロールが水冷鋳型によるエレクトロスラグ再溶解によっ
て製造されたものであることを特徴とする。
【0014】
【0015】
【0016】
【0017】
【0018】
【0019】
【0020】
【0021】
【0022】
【0023】
【0024】
【0025】
【0026】
【0027】
【0028】
【0029】
【0030】
【0031】
【0032】
【0033】
【0034】
【0035】
【作用】本発明は、圧延機の作業ロール,中間ロール及
び補強ロールを以下に示す水冷鋳型によるエレクトロス
ラグ再溶解装置を用いて製造することにより介在物が少
なく、微細な結晶組織を有する健全なロールが得られる
ことから、補強ロールを中間ロールに及び中間ロールを
作業ロールに順次小径となることから再生して用いるこ
とができる。特に、作業ロールに対して接する補強ロー
ル又は中間ロールは互いに微細なデンドライト組織によ
って形成され、ミクロ的にも接触面積を多くできるので
局部的な面圧を小さくできることから同等の組成のもの
で形成でき、長寿命とすることができる。
【0036】エレクトロスラグ再溶解装置の一例とし
て、水冷モールドとその下方に配置された鋳型底となる
水冷定盤とを有し、前記水冷モールドと前記水冷定盤の
少なくとも一方が上下に相対に移動でき、その移動によ
って前記水冷モールドと製造鋳塊とを滑動させる構造を
有するエレクトロスラグ溶解装置において、前記水冷定
盤上の少なくともエレクトロスラグ溶解が実施される位
置に、前記水冷モールドの内径よりも径が大きく且つ前
記鋳塊と同材質よりなる鋼板を有し、前記鋼板は前記水
冷モールドよりはみ出した部分で前記水冷定盤に着脱可
能な状態で固定されているものがある。
【0037】この冷却定盤の上に製造鋳塊と同材質より
なる適当な厚みの鋼板を上敷して着脱可能な状態で固定
したものである。前記鋼板を鋳塊と一体化して抜出しす
ることにより、水冷定盤を保護することができる。さら
に溶解鋳塊が同材質よりなる鋼板と容易に溶着するため
に鋳塊に固定力が附加され鋳塊の自重では不十分な鋳塊
の抜出しを容易にすることができる。その結果、特に大
型となる補強ロールの製造が容易となり、健全なものが
得られる。
【0038】次に本発明に係るロールの成分について説
明する。
【0039】Cは、耐摩耗性及び高い従来性係数を得る
ための多量の炭化物を形成するに必要な重要元素であ
る。冷間圧延用ロールにおいては、その添加量が0.6
% 未満では体積率で10%以上の残留炭化物が得られ
ないので下限は0.6 が好ましい。また、1.5 %をこ
えると、残留炭化物量は多くなるが、強度及び靭性が著
しく劣化するため、冷間圧延用ワークロール鋼としては
適当でない。特に0.7 〜1.1 %が好ましい。熱間圧
延用ロールに対しては1.5 %未満では炭化物量が少な
く、耐摩耗性が不足するとともに被圧延時に焼付きが生
じ易くなる。一方3.5 を越えると粗大な共晶炭化物が
形成され耐スポーリング性,耐熱亀裂性が低下する。C
量が1.5〜2.0%のものは前段2スタンド,2.5〜
3.5%のものは後段スタンドに用いるのが好ましい。
【0040】Siは、鋼の溶解過程で脱酸作用を有し、
脱酸効果の点から少なくとも0.1% は必要である。
【0041】また、焼戻し抵抗性の増大及び耐熱衝撃性
の向上にも有効に作用する。即ち、高温焼戻しが可能と
なり、強靭性を与える。しかしながら、高含有量になる
と鋼の清浄性を害し、脆くなるので2.5% を上限とし
た。特に、0.4〜1.0%が好ましい。
【0042】Mnは、Si同様脱酸作用を有し、その効
果の点から少なくとも0.1% は必要である。また、焼
入性を向上させるのにも有効であるが、多量の添加は残
留オーステナイト量を多くし、焼入硬さを低下させるの
で、3%以下とすることが望ましい。特に0.3〜1.0
%が好ましい。
【0043】Crは、一部は炭素と結合して複合炭化物
を形成し、耐摩耗性を向上させ一部はオーステナイトに
固溶して焼入性を高めるとともに、耐熱衝撃性をも高め
る。しかしながら、2.5% 未満ではそれらの効果が不
十分であり、また7.0% をこえると残留オーステナイ
ト量が多くなるとともに鋼の靭性を低下させるので、
7.0% 以下が好ましい。特に、2.5〜3.5%又は
4.5〜5.5%が好ましい。
【0044】Niは、オーステナイトに固溶し、焼入性
を向上させ硬化深さを大きくすると同時にマトリックス
を強化し靭性と耐摩耗性を高める効果がある。0.1%
未満ではその効果が不十分であり、2.0% をこえると
残留オーステナイトの生成量が多くなり焼入硬さを低下
させるので上限を2.0% が好ましい。特に0.2 〜
0.6% が好ましい。
【0045】Moは、その添加によって高硬度の炭化物
を形成し、同時に一部はオーステナイトにも固溶し焼入
性を向上させる。0.1% 未満ではその効果が不十分で
あり、2.0% をこえると靭性を低下させるので2.0
% 以下が好ましい。特に、0.2〜0.6%が好まし
い。
【0046】Vは、Cと容易に結合して高硬度のVC炭
化物を形成し、耐摩耗性を著しく向上させるのと同時に
残留炭化物量を増加させ、縦弾性係数を大きくする。ま
たVはオーステナイトへのCの過剰の固溶を抑え、残留
オーステナイトの生成を抑制することによってマトリッ
クスの硬さ低下を防いでいる。さらにVの添加でオース
テナイト中へのCの固溶が抑えられることによって、容
易に製造が行え、靭性の高い鍛鋼ロールの製作が可能と
なる。
【0047】これらの効果は0.01% 未満では不十分
であり、4.0% をこえると靭性が低下し、同時に造塊
上の問題が生じてくるので4%以下が好ましい。特に0.
03〜0.5% が好ましい。より好ましくは0.03〜0.
1%である。
【0048】Wは、耐熱衝撃性及び耐摩耗性を保有させ
るために0.1% 以上添加した方がよい。しかし、その
量が増加すると、共晶炭化物が大きくなり、不必要な添
加は靭性を低下させるので2.0% 以下が好ましい。
【0049】Coは、耐スポーリング性や耐熱衝撃クラ
ック性の向上に有効である。0.1%未満ではその効果
が不十分であり、また2.0% 以上加えてもその効果は
変らず、かえってコストの上昇をきたす。このため、
2.0% 以下が好ましい。
【0050】Nb,Ti,Zrは、特殊炭化物を形成
し、耐摩耗性を向上させるのが、0.5%をこえて添加し
てもさほど、その効果が得られず、経済性の点で不利で
あるので各々0.5% 以下が好ましい。
【0051】次に縦弾性係数及び残留炭化物について説
明する。
【0052】近年の高圧下率圧延においては圧延反力の
増大によってロールの偏平化が促進され、圧延上不都合
を生じることが多い。一方、ロールの偏平化はロール材
の縦弾性係数に大きく依存しており、縦弾性係数は大き
い方が望ましい。ところが従来から用いられてきた鍛鋼
製冷間圧延用ロールの縦弾性係数は高々21,000kg/mm2
であり、現状を改善するためにも21,500kg/mm2以上が
好ましい。ロール材の縦弾性係数は残留炭化物の量に大
きく影響され、一般に炭化物量が多いほど大きくなる
が、縦弾性係数の上限は後述する炭化物量の上限値に対
応し、24,000kg/mm2 となる。炭化物量の増大は耐摩耗
性を向上させる。
【0053】特に10%以上で顕著であるが、40%を
越えると製造面で困難になるので、40%以下が好まし
い。
【0054】本発明に係るタンデム圧延設備の作業ロー
ル,中間ロール及び補強ロールの一部又は全ロール、一
部のスタンド又は全スタンドに対し以下に示す複合ロー
ルを用いることができる。一体のロールと複合ロールと
は同じ圧延機に対しては一体のものは全部を一体、複合
のものは複合のものにするのが好ましい。複合ロールは
芯材は外層材より低い硬さを有する低合金鋼よりなり、
前記外層材はシヨア硬さが80以上及び残留オーステナ
イト量が15体積%以下のマルテンサイト組織で、最外
表面での残留応力が10kg/mm2 以上の圧縮応力を有す
るし、ロール軸方向に凝固した高合金鋼からなる。外層
材として、重量で、C0.5〜1.5%,Si0.5〜3.
0%,Mn1.5% 以下,Cr2〜10%,V0.5〜
2.0%,W1〜20%以下を含有し、ロール軸方向に
凝固した高合金鋼を外層とし、低合金鋼を芯材とし、芯
材として重量でC0.5〜1.0%,Si1%以下,Mn
1%以下,Cr1〜5%,Mo0.5% 以下を含み前記
外層材より低い硬さを有する真円度が10mm以下である
低合金鋼が好ましく、前記外層材は重量でC0.5 〜
1.5%,Si0.5〜3.0%,Mn1.5%以下,Cr
2〜10%,Mo1〜10%,V0.5〜2.0%,W1
〜20%以下を含む高合金鋼からなりロール軸方向に凝
固した溶着層よりなるものが好ましい。また、上述の外
層にNi5%以下又はCo1〜15%を含有する高合金
鋼が好ましい。
【0055】本発明は、低合金鋼よりなる芯材に該芯材
より硬さの高い高合金鋼よりなる外層を有する複合ロー
ルを用いるもので、前記芯材の真円度が10mm以下で、
前記外層が軸方向の凝固組織を有する等軸晶である。
【0056】上述した複合ロールは作業ロール,中間ロ
ール及び補強ロールに適用される。中間ロール及び補強
ロールの外層材の組成及び熱処理は作業ロールに比較
し、硬さを低くなるように調整される。
【0057】複合ロールは低合金鋼の軸材と同心で配置
された冷却モールドとの間に形成される空隙に前記軸材
よりも硬さの高い外層を形成する高合金鋼から成る消耗
電極を挿入する工程と、軸材及び冷却モールドを円周方
向に回転してスラグ浴の下で前記消耗電極及び軸材に対
し各々複数の個所より交流電流を供給して消耗電極を溶
解させて溶湯にする工程と、冷却モールドを軸材の軸線
方向に移動させて溶湯を凝固させて外層を軸材に一体に
溶着させる工程によって製造できる。
【0058】更に本発明においては低合金鋼よりなる芯
材の外周に該低合金鋼より硬さの高い高合金鋼よりなる
外層材をロール軸方向に前記芯材の真円度が10mm以下
となるように凝固溶着させた後、実質的に前記外層材を
オーステナイト変態点以上の温度に漸進加熱しながら該
加熱部分に液体又は気体冷媒を噴射する漸進焼入を施す
焼入工程及び該焼入れ後前記外層材の残留オーステナイ
ト相を15体積%以下とする高温焼戻し処理を施す工程
により製造させる。
【0059】複合ロールは焼入れを行った後、300〜
550℃の温度で焼戻しを行うこと、前記外層材の焼入
工程前に熱間鍛造を施すこと、前記焼入工程後で焼戻し
処理前のサブゼロ処理を施すことが好ましい。
【0060】本発明における圧延用ロールとして、作業
ロールの硬さはシヨア硬さ(Hs)90〜100で、補
強ロールのHsは60〜70及び中間ロールは70〜8
0とするのが好ましく、一体のもの又は複合の外層材の
合金組成又は熱処理調整することによってそれぞれ硬さ
を調整することができる。4段圧延機においては作業ロ
ールのHsは補強ロールのHsより20〜35高く、好
ましくは24〜30高くすることが好ましく、6段圧延
機においては作業ロールのHsは中間ロールのHsより
5〜15、好ましくは7〜12高く、中間ロールのHs
は補強ロールのHsより15〜25、好ましくは8〜2
2高くすることが好ましい。
【0061】本発明におけるロール直径は4段圧延機に
おいては作業ロールは500〜650mm、補強ロールは1
350〜1550mmが好ましい。6段圧延機においては
作業ロールは350〜450mm、中間ロールは450〜
600mm、補強ロールは1250〜1450mmが好ましい。
【0062】本発明は、鋳型内に溶湯を注湯し連続的に
所望の厚さの鋳片を製造する連続鋳造装置,前記鋳片を
熱間圧延する多段熱間圧延機列,最終圧延後の被圧延材
を冷却する冷却装置及び該冷却された被圧延材をコイリ
ングするコイラを備えた鋳造圧延一貫製造システムに適
用でき、前記連続鋳造装置は対向する長辺鋳型と対向す
る短辺鋳型とで形成される固定鋳型を有し、前記短辺鋳
型は前記溶湯に接する面側に加熱手段及び/又は前記固
定鋳型は鋳片引き抜き方向に振動させる振動手段を有
し、前記鋳片を均熱炉にて均熱保持させながら前記圧延
機列にて圧延する連続鋳造と圧延とを連続的に行うこと
を特徴とする。圧延機列に用いる各圧延用ロールは前述
のとおりである。
【0063】本発明においては、長辺鋳型と短辺鋳型と
で形成される鋳型空間に溶融金属を供給するとともに、
前記長辺鋳型は一対の無端軌道によって構成され、前記
長辺鋳型が鋳片の引き抜き速度と同期して移動し、かつ
短辺鋳型が鋳片の引き抜き方向に対し固定され、前記短
辺鋳型の幅が湯面から鋳造方向に向かうに従い狭くなる
鋳型を持つ連続鋳造装置において、前記短辺鋳型面で溶
湯が未凝固の状態で絞り込みを完了するように制御する
制御手段を設けるものが好ましい。
【0064】本発明には、長辺鋳型及び短辺鋳型からな
る固定鋳型を鋳片引抜方向に振動させる振動装置を備
え、前記短辺鋳型は溶融金属に接する面側に加熱手段を
有し、前記鋳片引き抜き方向に高サイクルで微振動させ
る振動装置を有するのが好ましい。
【0065】本発明は、長辺鋳型及び短辺鋳型からなる
固定鋳型を鋳片引き抜き方向に振動させる振動装置と、
前記固定鋳型の下流側に連続して設けられ鋳片の移動と
同期移動する双ベルト式鋳型又は同期回転するロールと
を備えた薄板連続鋳造装置においても同様である。
【0066】本発明では、前記鋳片を前記熱間圧延前に
コイリングするコイラ又は貯蔵する均熱炉及び前記コイ
ラ又は均熱炉に保持された前記鋳片を前記圧延機列ライ
ン上に移動させる鋳片移動手段を有し、単位時間当りの
最終圧延量に換算した圧延速度は単位時間当りの鋳片量
を換算した鋳造速度より高く設定する鋳造速度及び圧延
速度制御手段を有することが好ましい。
【0067】本発明の鋳造圧延一貫製造システムにおい
ては、2台の連続鋳造装置から得られた鋳片を前記熱間
圧延前にコイリングする2台のコイラ又は貯蔵する均熱
炉及び前記2台の連続鋳造装置から得られた鋳片を交互
に前記圧延機列に移動させる鋳片移動手段を有し、単位
時間当りの最終圧延量に換算した圧延速度は単位時間当
りの鋳片量に換算した鋳造速度より高く設定する鋳造速
度及び圧延速度制御手段を有するものが好ましい。
【0068】本発明は、前記鋳片を熱間で粗圧延する圧
延機及び該粗圧延した被圧延材をコイリングするコイラ
を有し、該コイリングされた被圧延材を前記圧延機列ラ
インに移動させる鋳片移動手段を有し、単位時間当りの
最終圧延量に換算した圧延速度は単位時間当りの前記粗
圧延量に換算した圧延速度より高くする粗圧延及び仕上
圧延の圧延速度制御手段を有するものが好ましい。
【0069】本発明は、鋳型内に溶湯を注湯し連続的に
所望の厚さの鋳片を製造する連続鋳造装置,前記鋳片を
熱間圧延する多段熱間仕上圧延機列,最終圧延後の被圧
延材を冷却する冷却装置及び該冷却された被圧延材をコ
イリングするコイラを備えた鋳造圧延一貫製造システム
において、前記連続鋳造装置は対向する長辺鋳型と対向
する短辺鋳型とで形成される固定鋳型を有し、前記短辺
鋳型は前記溶湯に接する面側に加熱手段及び/又は前記
固定鋳型を鋳片引き抜き方向に振動させる振動手段を有
し、前記熱間仕上圧延機列に、作業ロールを備え、補強
ロール或いは中間ロールにより前記作業ロールを間接的
に駆動する圧延機を配置し、前記補強ロール或いは中間
ロールにより作業ロールを駆動する圧延機は、作業ロー
ル或いは中間ロールにロールベンディング装置を設け、
該ロールの撓みを調整し板クラウンを変化し得る圧延
機;前記補強ロール或いは中間ロールにより作業ロール
を駆動する圧延機は、作業ロール及び補強ロールをペア
としてクロスさせ、ロール間ギャップのプロフィルを変
えて板クラウンを変化し得るようにする4段圧延機;前
記補強ロール或いは中間ロールにより作業ロールを駆動
する圧延機は、作業ロール或いは補強ロール或いは作業
ロール及び補強ロールのそれぞれに、圧延機のパスセン
ターに対し非対称で、かつ、上下線対称のカーブを付与
し、該ロールをロール軸方向に移動させてロール間のギ
ャッププロフィルを変化し得るようにする圧延機;前記
補強ロール或いは中間ロールにより作業ロールを駆動す
る圧延機は、作業ロールをロール軸方向に移動させて圧
延によるロールの摩耗を分散させ、摩耗によるロールギ
ャップの変化を小さくし得るようにする4段圧延機;前
記補強ロール或いは中間ロールにより作業ロールを駆動
する圧延機は、作業ロールをロール軸方向に移動させ、
或いはこれに加えて作業ロール或いは中間ロールにロー
ルベンディング装置を設け、該ロールの撓みを調整し板
クラウンを変化し得るようにする6段圧延機;又は前記
補強ロール或いは中間ロールにより作業ロールを駆動す
る圧延機は、作業ロールを複数個の補強ロールで支持す
るクラスターミルのいずれかによって構成され各圧延用
ロールは前述の如くエレクトロスラグ再溶解法によって
製造されるものである。
【0070】
【実施例】
(実施例1)図1及び図2は本発明に係る連続式冷間圧
延設備を示す構成図である。図2は図1のブライドルロ
ーラを出た後に冷間圧延機1〜10にて鋼帯1を圧延す
る構成図である。
【0071】鋼帯1は熱間圧延後にディスケーリングさ
れ、2台のペイオフリール2に設置され、溶接機3にて
接続されながら連続して圧延される。鋼帯1はルーパ4
にて長さを調整することによって時間が調整される。ル
ーパ4を経た後ブライドルローラを経た後5台タンデム
に配置された圧延機6〜10にて冷間圧延され、その後
3本のローラ13を経てカローゼルテンションリール1
2に巻取られる。11は交流電動機である。巻取られた
コイル15はコイル架台14に設置される。
【0072】図3はロールショップ直結ロール組み替え
装置の構成図である。普通鋼,電磁鋼,高強度鋼及びス
テンレス鋼などの多鋼種生産で圧延無停止切換が出来る
ように圧延機−ロールショップ一貫完全自動化するもの
である。各圧延機は作業ロールと中間ロールとが取換で
きるように待期させるものである。
【0073】図2における圧延機6〜9は図5に示す圧
延機のうち作業ロール22,23にロールベンディング
力がかけられるもの(HCミル)によって構成されてお
り、圧延機10は図5に示す圧延機のうち中間ロール2
4,25にもロールベンディング力がかけられるもの
(UCミル)によって構成されている。図4に示す圧延
機は6段ロールを有し、作業ロール22,23、中間ロ
ール24,25及びバックアップロール26,27によ
って構成され、作業ロールにロールベンディング力が加
えられるとともに、中間ロール24,25には軸方向に
移動可能の構成を有するHCミルである。また、図5は
同じく6段であり、図4の構成に加え中間ロール24,
25にもロールベンディング力が加えられるUCミルで
ある。
【0074】図6は本発明に係る作業ロールの一例を示
す構成図である。ロールは胴部29と軸部28とによっ
て構成され、以下に示す製造法によって製造される。
【0075】図7は図6に示す作業ロールの製造工程を
示すブロック図である。鋼塊は通常の電気炉又はアーク
炉による溶解によって溶解された後、金型に鋳造される
ことによって得られ、高温の赤材のまま搬送されて直接
鍛造によってエレクトロスラグ溶解用の所定の形状の丸
棒にされる。電極材は電流供給を受けるために電極懸吊
部処理が行われ、エレクトロスラグ溶解装置に設置され
る。エレクトロスラグ溶解された丸棒状のロール素材を
再び鍛造した後、球状化焼鈍が施され、黒皮のまま油焼
入れ,脱スケール後硬さ測定,黒皮のままでの超音波探
傷検査,高速NC研削盤による研削加工,完全自動超音
波探傷検査,焼入れ,FM加工及び自動硬さ測定と順次
実施される。
【0076】図8及び図9はエレクトロスラグ溶解装置
の構成図を示し、これにより重量で、C0.9%,Si
0.4%,Mn0.4%,Ni0.6%,Cr4.8%,M
o0.5%及び残部Feの5%Cr鋼をスラグ組成CaF
2 40〜50%,Al2320〜30%,CaO10〜
30%,MgO10%以下,SiO2 10%以下のスラ
グを用いて作業ロール,補強ロール及び中間ロールの各
ロールのロール素形を製造した。図8は水冷ロールドを
固定してエレクトロスラグ溶解の進捗に応じて鋳塊を下
方に引抜く鋳塊引出し方式、図9は水冷モールドを逐次
上方に上昇させて固定定盤上に鋳塊を残すモールド移動
方式における例を示す。
【0077】図8において31は所定の化学成分に調整
された消耗電極であって図示することを省略したが溶解
電源とは電極把持装置により連結されると共に、電極把
持装置は溶解電源からの電気信号により自動的に溶解電
圧,電流を設定値に保持できるよう昇降される。32は
水冷モールドであって冷却水の入口33,出口34を有
し、モールド支持金具35により基礎36に固定され
る。37は溶融スラグで電極31はこの中に浸漬されて
通電されるため溶融スラグの電気抵抗熱により、その突
端部から逐次溶解して溶融スラグを通して鋳塊38の頂
部に堆積する。
【0078】40は水冷定盤で冷却水入口44,出口4
5を備え、その移動は油圧などの機械的機構により昇降
する昇降装置39によって溶融スラグの水冷モールド3
2の湯位を一定に保持するよう自動制御される。
【0079】このような装置において溶解を遂行するに
は、まず水冷定盤40を昇降装置39により押し上げ
て、水冷モールド32の下端部と密着させこの中でスラ
グを溶解し、消耗電極31のとけ込みを待つ。消耗電極
が逐次溶解して水冷モールド内の溶融スラグの湯位が上
昇し適当量の鋳塊38が形成されたことを確認して、水
冷定盤40を昇降装置39により徐々に下降すると凝固
した鋳塊38が漸次引き出されてくることになる。
【0080】この水冷定盤40に水冷モールド32の内
径よりも大きい径を有し且つ鋳塊38と同材質よりなる
適当な厚みの鋼板41を前記水冷モールドよりはみ出し
た部位で着脱自在に取付けたものである。鋼板41は水
冷定盤の保護を行うとともに水冷モールド32内の鋳塊
38の底部と接触する部分に溶着ができ鋳塊の自重では
不十分な鋳塊引抜きに要する引張力の伝達を計ることに
なる。水冷定盤40と鋼板41は簡易に着脱する構造と
する。
【0081】水冷定盤40に対する鋼板41の固定機構
の種々の方法の実施例を示す。例えば水冷モールドの外
径D2 よりも外周部で固定する場合としてコッターピン
42,43を用いる方法がある。
【0082】また水冷モールド底部すなわちD1 とD2
の間で鋼板41を固定する場合は皿頭ピン42aをコッ
ターで固定するなどの方法もある。勿論これらの場合コ
ッターの代りにナットを使用しても同様である。図9の
方式では基礎(図示省略)に固定された水冷定盤40に
鋳塊38が生成されるに応じて水冷モールド32がモー
ルド支持金具35を介してモールド昇降装置53により
上方に引き上げられる。モールド昇降装置53は溶融ス
ラグ37の湯位を一定に保持するよう、湯位の検出装置
からの電気信号により自動制御される電動機50により
スクリュー54の回転で昇降する。この水冷モールド引
上げ方式においても図8に示した水冷定盤引き降し方式
と同様に鋼板41を水冷定盤に固定することにより、水
冷モールド32の内面に接触している鋼塊38と水冷モ
ールド32の内面との間に相対滑りを起こすに十分なだ
けの引張力を附与する必要がある。図9では鋼板41と
水冷定盤40との固定は油圧装置51によって昇降およ
び旋回する締付レバー52によって行われている。締付
レバー52は鋼板41を締付けるに際して水冷モールド
の外径D2 よりも外側で締付けができるようにする。
【0083】以上実施例にて示したごとく水冷定盤の上
に鋼板を種々の方法で取付け固定することによって鋳塊
の熱による水冷定盤の破損を防止することができる。ま
た鋳塊と鋼板の接触部が十分溶着し鋳塊の自重力のみで
は不十分な鋳塊引抜きに要する引張力の伝達が計られ順
次鋳塊の引き抜きを遅滞なく行うことができる。
【0084】以上のエレクトロスラグ溶解装置によって
ロール素材としてその表層部は微細な結晶粒のものが得
られるとともに介在物の少ない健全なものが得られる。
その結果、ロールとして有効厚さの大きいロールが得ら
れ、従来の有効径までの使用を一世代とし、更に使用で
きるように2世代,3世代にもわたって使用できる可能
性が高いものが得られる。一世代での使用直径は80〜
100mmであるが、これを150,200mmと高めるこ
とができる。
【0085】以下に本発明を実施例に基づいて説明す
る。本発明を実施した圧延機の主仕様を表1に示す。本
実施例はタンデム6スタンド冷間圧延機に適用した例で
ある。
【0086】
【表1】
【0087】作業ロールは、圧延性等から表面硬さをH
s90〜97に調整される。中間ロールと種々調査の結
果表面硬さHs84〜90に調整し、補強ロールは表面
硬さHs60〜80に調整している。これらロール表面
の硬さ調整は合金組成を同じにしてロール製造時の焼入
及び焼戻し条件を変えることによっておこなわれる。こ
れに対し、従来の硬度条件は、作業ロールは実施例と同
一であるが、中間ロールは表面硬さHs70〜75,補
強ロールはHs50〜55で、中間ロールの表面硬さ,
補強ロールの表面硬さと中間ロールの使用量,噛込疵に
よる歩留落,疵点検休止時中間ロールの表面硬さHs8
4未満では、中間ロール使用量,噛込疵不合発生量,疵
点検休止時間ともに大きい。これは、中間ロール表面に
微小なスポーリングが発生するため中間ロールの研削量
がアップすることと、スポーリングによって剥離した微
小なロール片が作業ロールに噛込んでロール疵となるた
めである。又中間ロールの表面硬さがHs90以上で
は、中間ロールの使用量が大きくなっているが、これ
は、硬度をアップする際、厳しい焼入条件となって、ク
ラックを発生し易くなり、チルヘゲと称するロールの剥
離を生ずるためである。
【0088】さらに、補強ロールについてはロール表面
硬さがHs60以下では、補強ロール使用量,噛込疵不
合,疵点検休止時間が増加しているが、これは、補強ロ
ール表面に微小なスポーリングが発生すること、および
補強ロールに焼付けが発生することにより、使用量が増
加し、さらにスポーリングにより剥離した微小なロール
片が作業ロールに噛込んで、ロール疵となるためであ
る。又、補強ロールの表面硬さがHs90以上では、中
間ロールと同様にクラークを生じ易くなり、チルヘゲを
生ずるため補強ロールの使用量が増大する。さらに補強
ロールの表面硬さがHs60以下では、中間ロールを一
定値以上開とすると焼付発生の危険性が増大するため、
中間ロール位置を制限せざるを得ないため形状不良によ
る不合コイルが増大する。以上の如く、中間ロールの表
面硬さをHs84〜90、補強ロールの表面硬さHs6
0〜80とすることで、ロール使用量減少,歩留向上等
の多くの利益を得られる。
【0089】(実施例2)図10において、本実施例の
冷間圧延用タンデム圧延機は、第1スタンドから第2ス
タンドまでの前段に図11〜図19に示す第1の圧延機
60,61が配置され、第3スタンドから第5スタンド
までの後段に図4,図5に示す第2の圧延機b2〜b4
が配置され、圧延材1は第1の圧延機60,61の入側
より供給され、第2の圧延機b2〜b4を経て連続的に
タンデム圧延される。図11〜図13はクロスミル、図
14〜図19はCVCミルである。CVCはcontinuous
variable crown control system を示すものである。
【0090】第1の圧延機60,61は、図12に示す
ように、それぞれ、一対の作業ロール72,73をそれ
ぞれ支える補強ロール70,71に対してある角度だけ
水平面内で上下反対方向にクロスさせ、幅方向板厚分布
を制御するクロスミルである。なお、この圧延機には補
強ロール70,71と作業ロール72,73間を潤滑す
るための図示しない潤滑剤供給装置が設けられ、作業ロ
ール72,73のみがクロスすることにより作業ロール
72,73と補強ロール70,71との間で生じるロー
ル軸方向のスラスト力を低減している。
【0091】図11は一対の作業ロール72,73に対
して補強ロール70,71が上下反対方向にクロスした
もの、図13は作業ロール72,73及び補強ロール7
0,71ともに互いにクロスさせたものである。第1ス
タンド60及び第2スタンド61は同じ圧延機又は別の
圧延機の組合せのいずれでも可能である。また、作業ロ
ール72,73は前述の実施例1と同様に図7の製造工
程及び合金組成によって製造される。従って、その作業
ロールは結晶粒が微細で非金属介在物の少ないものが得
られ、2世代,3世代への使用が可能である。
【0092】第2の圧延機62〜64は、図4,図5に
示すように、それぞれ、軸方向に移動可能なロール4,
5を有し、該ロール移動と作業ロール2,3のベンディ
ングとの併用によって板クラウンや形状を制御するいわ
ゆるHCミルである。なお、このHCミルでは中間ロー
ル4,5を軸方向に移動させており、補強ロール6,7
がそれを支持している。
【0093】作業ロール径は全スタンド同じであるが、
本実施例では、図1に示すように、後段の第2の圧延機
12〜14では前段の第1の圧延機8〜11に比べて作
業ロール径を小さくしている。これは、作業ロール径が
小さいと作業ロールベンディング効果により板端部に集
中し、複合形状修正能力が高くなるためである。
【0094】通常の圧延スケジュールでは、第1スタン
ドの圧下率が最も大きい。したがって、ここで大きな板
クラウンが付いてしまうと、以後のスタンドでこれを修
正することが困難になる。すなわち、第1スタンドを含
む前段では板クラウン修正能力が大きい圧延機を設置す
る必要がある。また、熱間圧延の場合、前段の数スタン
ドではロールが高温の材料と接触するため、小径ロール
では熱容量が小さくすぐ高温になり、ロールの材質が劣
化する。また、前段作業ロールを小径とすると、板厚の
大きい材料を噛み込むことができなくなる。このため、
タンデム圧延機の前段では大径の作業ロールが必要であ
る。しかし、大径作業ロールを有する6段HCミルは装
置は極めて大型になり、建設費の増大を招く。また、大
径作業ロールは曲がりにくいためロールベンディング効
果が小さく、板クラウン等の制御能力が小さいという欠
点もある。
【0095】また、熱間圧延の場合、前段の数スタンド
ではロールが高温の材料と接触し、表面が黒皮と呼ばれ
る状態に変質することが避けられない。このため、表面
コーティングの一種として積極的に黒皮を付着させるこ
とを行っている。この黒皮は極めて硬く、これがロール
に均一に付着すれば特に問題はない。しかし、ロール交
換直後の黒皮生成過程においては付き方が不安定で、一
度付いたものが剥がれてロールと材料間に巻き込まれ、
疵となることが多かった。このため、ロール交換が必要
となり、それによる時間のロスが生産性低下の原因とな
っていた。また、ロール交換直後は特に黒皮の付きやす
い材料を圧延する必要から、スケジュールの自由度にも
制限を受けていた。
【0096】一方、最終スタンドでは板厚が小さくなる
ため板端部での材料幅方向変形が小さく、板端部での平
坦度が問題となる。そこで最終スタンドには複合形状の
修正能力が高い圧延機を設置する必要がある。
【0097】本実施例においては、タンデム圧延機前段
に配置された第1の圧延機8〜11によるロールクロス
効果によって板幅中央部付近からの板厚分布形状、すな
わち板クラウンを制御し、後段に設置された第2の圧延
機12〜14のロール移動と作業ロールベンディングに
より複合形状を修正する。したがって、前段の4スタン
ドで効果的に板クラウン制御を行い、後段の3スタンド
での高い複合形状制御能力を発揮させることができる。
【0098】また、第1の圧延機8〜11には大径作業
ロールを使用できるので、作業ロールの高温化が抑制さ
れ、ロール材質の劣化を低減できる。更に、大径作業ロ
ールを使用するので板厚の大きい材料に対して充分な噛
込性を確保できる。
【0099】また、タンデム圧延機前段の第1の圧延機
8〜11においては、作業ロール2,3がそれを支える
補強ロール6,7に対してある角度だけ水平面内でクロ
スした状態で回転するので、両ロール間にわずかなスリ
ップが発生し、これによりロール2,3および7,8が
相互に磨かれる。したがって、ロールが常にきれいに保
たれ、黒皮による疵を発生させることがない。
【0100】以上のように本実施例によれば、噛込み性
を確保しつつ板クラウン制御能力および複合形状修正能
力の高いタンデム圧延機を提供できる。また、ロール表
面が常に疵の無い状態に保たれ、材料への疵付きも極端
に減少するため歩留まりが大幅に向上する。また、ロー
ル摩耗が均一化されるので、無駄なロール組替え時間が
減り、生産性の向上につながる。
【0101】なお、本実施例では板クラウン制御能力,
複合形状制御能力,噛込み性向上に関し優れた効果が得
られる。
【0102】(実施例3)図14は第1スタンドと第2
スタンドに用いた本発明に係る四段ミルの断面図であ
る。
【0103】図に示すように被圧延材1を直接に圧延す
る2つの作業ロール81,82は、ロールスタンドに取
付けられる。作業ロール81,82はそれぞれ上部の補
強ロール及び下部の補強ロール84,85によって支持
される。各作業ロール81,82は一端にて先細りにな
っており、作業ロール81の端部86と作業ロール82
の他端87とは、ロール胴端部の方向へ先細りになった
膨らんだ形状を有し、一方両作業ロールの対向する端部
88,89は、前記の膨らんだ形状を補ったものになっ
ている。作業ロールのこの種の形状はS字状となってい
る。作業ロール81と82はその端部にジャーナルを有
し、このジャーナルに、駆動装置を連結するための連結
部が装着されている。作業ロール81,82の先細りに
なっている端部86,87は、軸方向の移動により圧延
材(帯材)1の稜の領域に配置される。このように配置
すると、圧延材の縁に強い圧延力が加わることが回避さ
れる。圧延材の幅が変わる場合には、連結部を介して移
動装置により作業ロールを軸方向に移動させるだけで圧
延材の横断面を一定にすることができ、従って作業ロー
ルの先細りになっている端部86,87は、それぞれ圧
延材の縁領域に配置される。
【0104】本実施例において、作業ロール81,82
を実施例1と同様にエレクトロ再溶解法にて外径750
mmのものを製造した。
【0105】かくして、得られたロールを1100℃で
鍛造が施され、外径680mm,外層の厚さを42.5mm
とした。更に焼入れ焼戻し熱処理が施され、表面硬さHs
90以上を得ることができる。
【0106】熱処理後、図14に示すS字型に切削加工
及び研摩によって最大仕上げ外径650mm,最小外径6
48mmとなるように直径で約2〜3mmで切削研摩した。
平均表面あらさを約0.5μm となるように砥石によっ
て研削した。
【0107】本実施例によれば、幅の小さいものから広
いものの圧延材の全幅にわたって圧延力による作業ロー
ルのたわみを補償し、ロールベンディング効果を増大さ
せて全幅にわたって端部でだれのない厚さ一定の板材の
圧延ができ、また表面に耐摩耗性を有し、硬度の高い肉
盛層を形成しているので、被圧延材の板厚についてもコ
イルの初めから終りにわたって全長でより精度の高いも
のが得られることが明らかである。
【0108】(実施例4)図15は、同じく第1スタン
ドと第2スタンドとに用いた本発明に係る六段ミルの断
面図である。作業ロール90,91は被圧延材1を圧延
する。1つの作業ロール90或いは91で支持される中
間ロール93,94は、その軸線が作業ロールの軸線の
ほぼ真上或いは真下にあるように配置されている。中間
ロール93,94は、それぞれ上部の補強ロール及び下
部の補強ロール95,96によって支持される。さらに
各中間ロール93,94は一端にて先細りになってお
り、中間ロール93の端部86と中間ロール94の他端
87とは、ロール胴端部の方向へ先細りになっている膨
らんだ形状を有し、一方向中間ロールの対向する端部8
2,83は、前記の膨らんだ形状を補完している。中間
ロール93,94はその端部にジャーナルを有し、この
ジャーナルに、駆動装置を連結するための連結部が装着
されている。
【0109】中間ロール93,94をこのように配置す
ると、圧延材の縁に強い圧延力が加わることが回避され
る。作業ロール90,91の一端は補強ロールによって
支持されていないので、ロールベンディング装置によっ
て作業ロールを効果的に曲げ戻しすることができる。小
さな変化の補正は、ベンディング装置を用いて行われ
る。このベンディング装置は、比較的小型に構成されて
いるので即座に対応し、軸受とロールジャーナルに過度
な荷重が受けないようにしている。圧延材の幅が変わる
場合には、連結部を介して移動装置(図示せず)により
中間ロール13,14を軸方向に移動させることによっ
て圧延材の横断面を一定にすることができる。従って中
間ロールの先細りになっている端部20,21は、それ
ぞれ圧延材の縁に配置される。従って、圧延力によって
生じる作業ロールのたわみを阻止し、ロールベンディン
グの有効長を広げることによって、圧延材の幅が変動す
る場合でも一様な横断面の圧延材が得られる。
【0110】本実施例においても、実施例1と同様の組
成と製法によって作業ロール93及び94を得たもので
ある。
【0111】(実施例5)図16は、同じく第1スタン
ドと第2スタンドとに用いた六段ミルの断面図である。
図に示す如く、1つの作業ロール100或いは101で
支持される中間ロール103,104とそれぞれ上部の
補強ロール及び下部の補強ロール105,106によっ
て支持される六段ミルである。さらに各作業ロール10
0と101及び中間ロール103,104は一端にて先
細りになっており、その端部107はロール胴端部の方
向へ先細りになっている膨らんだ形状を有し、一方対向
する端部108は、前記の膨らんだ形状を補完してい
る。作業ロール100,101と中間ロール103,1
04はその一端にジャーナルを有し、このジャーナル
に、駆動装置を連結するための連結部が装着されてい
る。
【0112】本実施例によるロールスタンドでは、作業
ロールの周囲に十分広い空間が提供されており、従って
上部及び下部押圧装置,スクレーパー,冷却装置を作業
ロールを直ぐ近くに配置することができる。
【0113】本実施例における作業ロール及び中間ロー
ルはいずれも実施例1に記載の複合ロールが用いられ、
前述と同様のより優れた効果が発揮されるものである。
【0114】(実施例6)図17は同じく第1スタンド
と第2スタンドとに用いた本発明に係る四段ミルの断面
図である。四段ロール式ロールスタンドは、補強ロール
112,113と作業ロール114,115から構成さ
れるロール群よりなる。
【0115】補強ロール112及び113のロール胴1
12a,113aは、補強ロールの長手方向に見て湾曲
した輪郭を有している。上部補強ロール112の場合に
は、ロール胴112aの輪郭が図の左半分で凸状に湾曲
しており、一方図の右半分では凹状に湾曲している。逆
に下部補強ロール113の場合には、ロール胴113aの輪
郭が図の右半分で凸状に湾曲し、図の左半分で凹状に湾
曲している。補強ロール112,113のロール胴11
2a,113aの長手方向は同じ湾曲曲線によって決定
され、そして図からわかるように、両補強ロール112
と113はロール胴112a,113aの形状がS字形
状である。
【0116】図からわかるように、ロール胴112aと
113aの湾曲した輪郭は、凹状に湾曲した部分の端部
で、ロール胴の稜の方向にある一定の長手方向部分11
2b,113bにわたって筒状に延びている。即ちロー
ル胴112a,113aは、長手方向部分112b,1
13bにわたって一様な直径を有している。
【0117】作業ロール対の両作業ロール114と11
5のロール胴114a,115aも長手方向に湾曲した
輪郭を有している。この輪郭は、それぞれに隣接する補
強ロール112,113のロール胴112a,113a
の輪郭を補充するように設定されている。従って上部作
業ロール114のロール胴114aは、図の左半分では
凹状の輪郭を有し、図の右半分では凸状の輪郭を有して
いる。一方これとは逆に、下部作業ロール15のロール
胴115aは、図の左半分では凸状の輪郭を有し、図の
右半分では凹状の輪郭を有している。両作業ロール11
4と115は、ロール胴に関し同一の形状(びん状の形
状)を有し、互いに180°向きを変えた状態でロール
台架に収容されている。
【0118】作業ロール群の作業ロール114と115
の場合も、ロール胴114aと115aの湾曲した輪郭は、
凹状に湾曲した部分の端部で、ロール胴の稜の方向へあ
る一定の長手方向部分114b,115bにわたって筒
状に延びている。即ちロール胴114a,115aは、
長手方向部分114b,115bにわたって一様な直径
を有している。
【0119】補強ロール対の補強ロール112と113
及び作業ロール対の作業ロール114と115を軸方向に
中心に位置調整する場合、図1に示すようにロール間隙
116はロール胴の全長にわたって一様な横断面高さを有
している。このときロール間隙116は、簡単にS字状
に反って延びている。従って圧延帯材117は、その全
幅にわたって均一な厚さで圧延される。
【0120】両作業ロール対114と115を軸方向に
相対的に移動させることができ、他方補強ロール112
と113の軸方向の相対移動が可能であるばかりでな
く、作業ロール114と115に対しても位置調整が可
能であるので、ロール間隙116の横断面の形状をかなり
の程度に変化させることができる。
【0121】(実施例7)図18は同じく本発明を適用
した六段ミルの断面図である。
【0122】六段ロール式ロールスタンドは、両補強ロ
ール122,123及び両作業ロール124,125に
加えて、2つの中間ロール128,129を有してい
る。圧延帯材127のためのロール間隙126は、同様
に両作業ロール124と125によって決定される。
【0123】図示した六段ロール式ロールスタンドのす
べてのロールは、即ち補強ロール122と123及び作
業ロール124と125ばかりでなく、中間ロール12
8と129も長手方向に湾曲した輪郭を有している。半
分は凸状に湾曲し、他の半分は凹状に湾曲している。補
強ロール122と123はロール胴122aと123aを、
作業ロール24と25はロール胴124aと125aは
それぞれ有し、一方中間ロール128と129はロール
胴128aと129aを有している。
【0124】各ロールの湾曲した輪郭は、互いに接触し
ているロール胴122a,128a,124a或いは1
23a,129a,125aで互いに次のように同調して
おり、これらの輪郭が、すべてのロール対122,12
3;128,129;124,125の軸方向における
中心位置で互いに補足しあい、その結果ロール間隙12
6の横断面形状がほぼS字状に延びているにもかかわら
ず、圧延帯材127のためのロール間隙126が全長に
わたって一様な高さを有するように同調している。
【0125】いずれかのロール対122,123或いは
124,125或いは128,129のロールを軸方向
に相対移動させることによって、及び/または1つのロ
ール対を他のロール対に対して軸方向に相対移動させる
ことによって、ロール間隙126の輪郭を微調整すること
ができる。より厳密にいえば、中間ロール対128と1
29を付加的に設けることによって、図17に図示した
四段ロール式ロールスタンドの場合よりもロール間隙1
26をより高精度に調整することが可能になる。
【0126】図からわかるように、すべてのロール対1
22,123;128,129;124,125のロー
ル胴122a,123a;128a,129a,124
a,125aは、凹状に湾曲した輪郭を有している部分
に続いて長手方向部分122b,123b;128b,12
9b;124b,125bの方向へ筒状に延びている。
この筒状の長手方向部分122b,123b;128b,
129b;124b,125bの直径は、輪郭が標準的
に湾曲している場合よりもわずかに小さい。 (実施例8)図19は同じく第1スタンドと第2スタン
ドとに用いた本発明に係る六段ミルの断面図である。図
示した六段ロール式ロールスタンド141では、作業ロ
ール144と145は、ほぼ全長にわたって筒状の形状
の輪郭を有している。そして、ロール胴の端部において
は、両作業ロール144と145は短い長手方向部分1
44b或いは145bを有し、この長手方向部分144
b或いは145bは、ロール胴の稜の方向へゆるやかに
円錐状に先細りの輪郭を有している。この場合円錐状に
先細りになっている輪郭を備えた長手方向部分144b
と145bは、両作業ロール144と145の互いに離
れる方向のロール胴端部に設けられている。
【0127】これに対して、補強ロール142と143
のロール胴142aと143a及び中間ロール148と
149のロール胴148aと149aは、ほぼ全長にわ
たって湾曲した輪郭を備えている。この湾曲した輪郭
は、ロール胴の半分では凸状になっており、他の半分で
は凹状になっている。輪郭が凹状に湾曲している部分の
ロール胴端部では、凹状に湾曲した輪郭がある程度の長
さにわたってロール胴の稜の方向へ筒状に延びている。
この筒状に延びている長手方向部分を補強ロール14
2,143に対しては142b,143bで示し、中間ロ
ール148,149に対しては符号148b,149b
で示している。この場合筒状に延びている長手方向部分
142b,143b或いは148b,149bの直径
は、凹状に湾曲している輪郭がロール胴の稜の方向へ標
準的に延びている場合のロール胴の稜における直径より
もわずかに小さい。
【0128】本実施例の六段ロール式ロールスタンド1
41の場合、補強ロール142,143の筒状に延びて
いる長手方向部分142b,143bと、中間ロール14
8,149の筒状に延びている長手方向部分148b,
149bと、作業ロール144,145の円錐状の先細
りになっている長手方向部分144b,145bとが、
少なくともそれぞれのロールの最大ずれ長さに同調する
ような長さに選定されているため、この実施例でもロー
ル胴間の接触位置にラインロードピークが生じる心配は
なく、従ってプレスの不具合が生じない。
【0129】(実施例9)図20〜図23は熱間圧延普
通鋼帯を酸洗後冷間圧延する一貫製造装置の構成図であ
る。
【0130】図20は入側コイルカーに巻回された鋼帯
をウェルダーによって接合しながら連続的に送り出すよ
うになっており、次いでブライドルローラによって鋼帯
に形成されているスケールに割れを形成させ、次いで曲
率半径の小さなロールを通してスケールを鋼帯より剥離
するメカニカルスケールブレーカを通し、更に表面に付
着しているスケールをメカニカルブラシでこすり取った
後、図21の酸洗装置に送られる。
【0131】図21の酸洗装置は実施例1又は2に記載
の装置からなるものである。前述の如く、本実施例にお
ける酸洗速度は500m/分以上と高速で脱スケールが
可能となることから図22に示す冷間圧延を直接行うこ
とができる。
【0132】図22は酸洗された鋼帯をセンタリング装
置を経てタンデムに4スタンドに配列したHCミルによ
って薄板が製造される。HCミルは補強ロールと作業ロ
ールとの間に中間ロールが配置されたもので、中間ロー
ルの軸方向へ左右反対の移動によって被圧延材の板厚の
均一なものが得られるものである。本実施例で用いる冷
間圧延機には他UCミル,CVCミル,クロスミルなど
が用いられ、これを組合せて用いることが出来る。一例
として、HCミルを前スタント,UCミルを後列スタン
ドにした組合せ、CVCミルを前スタンド,HCミルを
後列スタンドにして組合せ、クロスミルを前スタンド,
HCミルを後列スタンドにした組合せがある。
【0133】本実施例における作業ロール,中間ロール
及び補強ロールに実施例1と同様にエレクトロスラグ溶
解によって製造することにより、より一層高速の圧延が
可能である。
【0134】以下、本発明における熱間圧延普通鋼帯1
の酸化物スケール除去法の一実施例を示す。
【0135】熱間圧延工程により表面に酸化物スケール
が生成した熱間圧延普通鋼帯は、シャーおよびスケール
ブレイカーを経た後、4槽からなる希塩酸溶液を有する
酸洗槽に導入される。1槽目の塩酸濃度は1.5% で温
度は70℃、以下2槽目は3%,95℃、3槽目は5
%,95℃、4槽目は7%,95℃になるように設定さ
れている。希塩酸溶液はリザーブタンクで濃度調整さ
れ、ポンプ12で送り出される。この際ヒーターで塩酸
溶液は95℃程度に加熱される。塩酸溶液は第4槽から
順次第1槽に脱スケールを行いながら移動し、第1槽か
らヒーターにより引き出される。
【0136】この様に第1槽目は、温度及び酸濃度とも
に低く単純な浸漬のみでは4つの酸洗槽のうち一番酸洗
効率が低いために、電解を併用している。普通鋼帯に対
向して複数の電極が設置され、その電極間に直流電流が
流される。直流電流は、直流電源によって供給される。
これにより普通鋼帯に間接的に電流が流れる。酸洗効率
を上げるために前半においては普通鋼帯がアノードにな
るように陰極電極を設置し、後半においては普通鋼帯の
素地の肌あれを防止するために普通鋼帯がカソードにな
るように陽極電極を設置している。ついで普通鋼帯1は
第2槽,第3槽,第4槽の順に酸洗槽を通過し、酸化物
スケールが除去される。第2槽,第3槽および第4槽
は、第1槽と比較して温度および酸濃度が高いために、
第1槽目と同程度以上の酸洗効率が得られている。電極
の材料は、酸溶液中で使用することから、チタンパラジ
ウム被覆板あるいはチタン白金被覆板などの不溶性電極
が用いられるが、電解に使用する陰極はカソード防食さ
れるためパラジウムや白金等の貴金属被覆を施さなくて
もよい。電極の普通鋼帯に対する面には、電解によって
発生する酸素または水素ガスを効率良く逃がすために、
複数の穴が開けられている。またこれにより、対向する
普通鋼帯を電解する面積を広くしたまま実質電極面積を
小さくし電流密度をあげることが可能となる。
【0137】さらに普通鋼帯を経由しないで陰極と陽極
間に直接流れる損失電流を極力防ぐために、普通鋼帯に
対向しない面はテフロン等の絶縁物で被覆されている。
この処理によって、熱間圧延によって生じた酸化物スケ
ールは、高効率且つ高速で除去される。さらに普通鋼帯
は水洗槽5で表面の塩酸が除去されたのち、ドライヤー
で乾燥される。
【0138】一槽のみ電解による酸化物スケールの除去
速度が11秒と一番早い。酸洗層の長さを各酸洗方法で
一律トータル93mとした場合の酸洗処理速度を求める
と、本発明では500m/分という高速を達成してい
る。酸洗層の長さを長くすることによって(すなわち酸
に浸漬されている時間を長くすることに対応する)従来
の方法でも500m/分を達成でき、従来法の中で一番
酸洗速度の早い噴流方式で酸洗槽の長さは108m、カ
テナリ方式においては166mとなる。このような長い
酸洗槽は、酸処理設備やそのコストおよび作業環境の悪
化等で問題となる。
【0139】また酸洗槽の長さが95m、酸洗処理速度
(通板速度)を500m/分とした場合の酸化物スケー
ル除去率を、表1には同一条件での本発明による酸化物
スケール除去状況および普通帯の表面状態を示した。従
来法では、このような高速通板速度では、酸化物スケー
ルの除去が不完全あるいは除去後の普通鋼帯のくもり,
表面あれが生じた。それに対して本発明では酸洗処理速
度を500m/分の高速においての酸化物スケールの完
全除去、平滑面の確保が可能となった。なお、電解条件
は電流密度が10A/dm2 である。
【0140】(実施例10)図24は連続鋳造後続い
て、熱間圧延する一貫製造装置を示す構成図である。2
台の連続鋳造装置を交互に用いて20〜40mm厚さの薄
板を連続的に製造するので、その薄板を冷やさずに直接
熱間圧延するものである。連続鋳造された薄板はトラン
スファ装置を通して交互に圧延機に送られる。送られた
薄板はエッジャを通し、次いでエッジヒーターで加熱さ
れ、シャーで適宜切断され、HCミル熱間圧延される。
熱間圧延されたものは冷間装置を通して冷却され、図2
0に示すブライドルローラ,メカニカルスケールブレー
カー及びメカニカルブラシを通って図21の酸洗装置に
送られる。連続鋳造装置におけるスピードが酸洗スピー
ドに達しない場合には熱間圧延後冷却装置を通してカロ
ーゼルテンションリールによって巻回され、その後実施
例9に示す工程で4槽の酸洗槽によって酸洗される。
【0141】本実施例における熱間圧延機は粗圧延機及
び仕上圧延機のうち前段の3スタンドを図4に示すHC
ミル及び後段の3スタンドを図5に示すUCミルによっ
て構成したものである。本実施例における作業ロール,
中間ロール及び補強ロールとして、粗圧延機及び前段の
3スタンドを重量で、C2.0%,Si0.5%,Mn
0.4%,Cr4.5%,Mo0.5% を有する鋳鋼後段
の3スタンドを重量でC3.0%,Si0.5%,Mn
0.4%,Cr4.5%,Mo0.5% を有する鋳鋼を実
施例1と同様にエレクトロスラグ再溶解法によって製造
した。
【0142】本実施例における連続鋳造機は冷却された
鋼板ベルト間に側端鋳型を設けた鋳型中に溶湯を注湯す
るやり方、幅広の鋳型間に側端鋳型を設け、鋳造方向に
振動させて薄板を高速で鋳造するやり方等用いられる。
【0143】本実施例においては、熱間圧延後酸洗によ
って脱スケールして巻取るものであるが、巻取らずに実
施例1の図2によって冷間圧延して巻取る連続鋳造−熱
間圧延−メカニカル脱スケール−酸洗−冷間圧延−巻取
りの連続一貫製造装置が可能となる。これにより効率的
な製造ができる。もちろん酸洗初期において、酸洗槽に
陰電極を設置して、普通鋼帯と陰極間に電流を流し、普
通鋼帯1をアノードにしても良い。なお、第1槽に間接
通電のための電極を設けても良いし、図6において第1
槽と第4槽に間接通電のための電極を設けても良い。本
実施例においても実施例9と同様にスケールが完全に除
去されるとともに肌あれの生じない鋼帯が得られる。
【0144】本実施例における薄板連続鋳造装置におい
ては、長辺鋳型及び短辺鋳型からなる固定鋳型を鋳片引
抜方向に振動させる振動装置を備え、前記短辺鋳型は上
部から下部に渡って曲率を持って絞り込まれた絞り込み
部とその下部に設けられた平行部とからなり、前記絞り
込み部は溶融金属に接する面側に加熱手段を有し、前記
平行部の溶融金属に接する面側が水冷金属体によって構
成したものである。
【0145】本実施例の連続鋳造装置は以下のようにな
る。
【0146】(1)鋳型はその上部は広がっている短辺絞
り込み固定鋳型を採用する。短辺の上部絞り込み部はそ
の表面を導電性耐火物とし凝固殻を形成させないように
する。
【0147】(2)この固定鋳型を鋳片引抜方向に高サイ
クル振動させる。
【0148】(3)固定鋳型に続くロールにより送り込み
と2次冷却は鋳片と同期しており長辺側鋳片のバルジン
グ支持を安定して行う。
【0149】(4)鋳型上方に広がっている短辺絞り込み
鋳型により、タンデッシュから鋳型への注湯は従来の大
きさの浸漬ノズルを使用することができる。
【0150】(5)短辺絞り込み部はこの部分の溶鋼を固
まらせないで容易に絞り込み可能な様に耐火物で構成す
る。それに続く短辺ストレート部は絞り込み後の短辺を
凝固させるために内部水冷銅板とする。
【0151】絞り込み部耐火物はエッヂの損傷を防止す
るために水冷銅板で縁取りする。長辺側は短辺絞り込み
形状に沿った湾曲形状とし、内部水冷銅板とし、長辺シ
ェル形成を行う。
【0152】(6)前記長辺鋳型、及び短辺鋳型は鋳型外
枠で一体に支持し、高サイクル鋳型振動を行うことによ
り、表面肌の滑らかな鋳片を造形する。
【0153】(7)前記絞り込み鋳型に続く送りロールは
鋳片引き抜き速度と同期して廻り、鋳片が完全凝固する
までの区間の2次冷却と溶鋼静圧によるバルジングを連
続して押え、バルジング発生を皆無にする機能を有す
る。
【0154】本実施例ではスラブ鋳片厚みを30mmとし
た連続鋳造装置で製造されたスラブ鋳片は補強ロールに
支持されながら、曲げ及び矯正され、水平方向に送り出
される。スラブ鋳片は加熱炉で熱間圧延温度(好ましく
は1000〜1100℃)に加熱され、鋳片コイルとし
て巻き取られる。鋳片コイルは保温ボックス中で保温さ
れている。スラブ鋳片は鋳片コイルの重量が所定量に達
した時点で剪断機により切断される。巻き取られたスラ
ブ鋳片は加熱炉を通過時に所定温度まで加熱され、脱ス
ケール装置で表面の酸化皮膜を除去後4段の熱間粗圧延
後、4段圧延機を3スタンド及び6段圧延機を3スタン
ド配列して圧延され、800〜900℃の鋼帯が得ら
れ、次いで冷却装置で500〜600℃に冷却されて熱
延コイルが製造される。本実施例では粗圧延機を使用し
なくても仕上げ圧延機だけで熱延コイルが製造可能なた
め、圧延ラインが150m以下に短縮できる。
【0155】本実施例により炭素鋼,オーステナイトス
テンレス鋼,フェライトステンレス鋼等の一貫製造が可
能である。
【0156】本実施例では、粗圧延工程を省略すると、
全ライン長を70〜150m、より好ましくは70〜9
0mと大幅な設備縮小が可能になる。
【0157】図に示す熱間圧延機設備において、連鋳機
を出た厚さ30mm前後のスラブはテーブルローラにより
送られ、その間エッジャーにてコイルの前後で板幅を調
整されて厚さ30mm程度のバー材となる。コイル,デス
ケーリング装置により表面に付着した酸化スケールを剥
ぎ取られ、仕上圧延機列に送られる。
【0158】仕上圧延機列は、前段の圧延機の噛み込み
能力を確保するために、その前段に大径の作業ロールを
備え、かつ、作業ロールを直接駆動する2段又は4段圧
延機を配置することができる。
【0159】なお、本実施例においては、4段圧延機を
3台配置した例を示したが、これを大径の作業ロールを
備え、かつ、作業ロールを直接駆動する4段圧延機とし
てもよい。
【0160】仕上圧延機列の中段及び後段には、小径の
作業ロールを備え、かつ、補強ロール或いは中間ロール
により作業ロールを駆動する6段圧延機を配置する。こ
の圧延機により、バー材を低速で、かつ強圧下するもの
である。
【0161】この仕上圧延機は、4ftミル(4フィー
トの幅の圧延材を圧延する圧延機)の場合、300〜4
00mm程度の小径の作業ロールで、4段或いは6段ミル
で構成され、駆動は中間ロールで行われるものである。
【0162】仕上圧延の終わったストリップは冷却装置
により水冷され、ピンチローラを経てチェーン式のベル
トトラッパーにより巻取機に巻取られ、巻取り完了後コ
イルカーにより搬出される。
【0163】以上の実施例においては、圧延機の作業ロ
ールの径について大径、或いは小径として説明したが、
大径の作業ロールとは通常、直径600〜900mmのも
のをいい、ここでは、直径450mm以上のものを呼び
(以下の実施例においても同様である)。
【0164】また、小径のロールとは、前述したように
作業ロールを直接駆動することができない直径のロール
をいい、例えば、作業ロールの直径Dと圧延トルクBの
比D/Bが約0.3 以下の値となる直径のロールをい
う。
【0165】(実施例11)図25は実施例1〜10に
示したエレクトロスラグ再溶解によって製造した作業ロ
ールを用いた熱間圧延装置にロール研削装置を組込んだ
斜視図である。本実施例でのロール研削装置は薄肉円盤
にキュービックBN砥石を取り付けた研削ホイールを用
い、ハイス系から合金鋼に至る熱間圧延用作業ロールに
対し、圧延材の圧延中にオンラインでロールの振動や油
潤滑にかかわらず安定に研削が行えるものである。
【0166】圧延中研削ではロールが振動しており「び
びり」が発生しやすく、従来の円筒砥石に代表される、
柔軟性に乏しく質量の大きな砥石の場合、砥石を安定に
密着させることが困難になっている。これは、ロールと
砥石間には正常な押し付け力のほかに、外乱として振動
加速度による慣性力・変位による反力が発生するからで
あり、慣性力は可動部の慣性質量を小さくすること、反
力は砥石支持系のばね定数を小さくすることで低減でき
る。
【0167】本実施例のロールシェーピングマシンは、
研削ホイールによる高効率・安定研削と、ロールプロフ
ァイル計測機能を持っていることである。概略の構造を
図26に示す。平面型研削ホイールをモータで高速駆動
し、サーボモータでスクリューナットを介してロールに
押し付ける。押し付け力は、研削ホイールの駆動軸の後
端に設置されたロードセルによって検出できる。押し付
け力および位置は、研削の精度を決定するポイントであ
るから、高精度・高分解能の検出器,すきまや摩擦のな
い構造が要求される。
【0168】ロールシェーピングマシンは、薄肉円盤に
CBN砥石を取り付けた平面型研削ホイールを持ってい
ることである。CBN砥石は、在来のアルミナ系,炭化
けい素系に比べ格段に大きな研削比がとれるので、所望
の砥石寿命確保に対して体積を小さくできる。薄肉円盤
は、慣性質量mおよびばね定数kが小さく、ロール振動
の影響を小さくできる一方、固有振動数が高く圧延中の
各種振動に追従可能である。この研削ホイールによっ
て、砥石の高速駆動とロールに対する安定密着が初めて
両立し、高効率・安定研削が実現できた。
【0169】ロールシェーピングマシンは、上記のよう
な専用のセンサを用いずにロールプロファイルを計測で
きることである。ロールプロファイルは、図26に示す
諸量を用いて次式で与えられる。
【0170】Z(x)=S(x)−F(x)/K ここに、 x:ロール長手方向座標 Z(x):ロールプロファイル(mm) S(x):押し付け用サーボモータ位置(mm) F(x):押し付け力(N) K:ばね定数(N/mm) 1回の研削での砥石摩耗量とロール研削量は微小である
から、研削中に上記の諸量を検出すれば、圧延でのゲー
ジメータ式板厚制御の原理を用いてロールプロファイル
を求めることができる。
【0171】研削能力は押し付け力にほぼ比例して増加
しており、ロール長手方向に押し付け力を制御すること
により、所望のプロファイルが得られる。熱間帯鋼圧延
で要求される最大研削能力は、通常仕上げ圧延機後段に
用いられるニッケル・グレンロールによる板幅の狭い特
殊鋼材圧延を想定すると、1ロール当たり約2.7×1
-73/s(16cc/min)と考えられる。幅20mmの
砥石1個を用いて押し付け力300N{30kgf}で、
約0.85×10-73/s(5cc/min)の研削能力が得
られた。実機では1ロール当たり2ヘッド,幅40mmの
砥石を採用すれば、4倍の1ロール当たり約3.4×1
-73/s(20cc/min)が研削可能であり、上記必
要量を十分に満足する。また、ニッケル・グレンロール
の約4倍の耐摩耗性を持つハイス系ロールに対しては、
ニッケル・グレンロール研削時の1/3程度の研削能力
を持つことを確認した。熱間帯鋼圧延では、ロール周速
がスタンドや圧延材の寸法ごとに異なり、研削能力への
影響が懸念されるが、ロールシェーピングマシンでは、
砥石が高速で駆動されるためロール周速による研削能力
の変化は見られず、広い分野への適用が可能である。
【0172】研削比とは、研削されたロール体積に対す
る消耗した砥石の体積の比で、大きいほど砥石寿命が長
くなる。ロールシェーピングマシンは、1回の砥石交換
で1ロール当たり5.28×10-23(52,800cc)
が研削可能である。通常、1コイル当たり4.0×10
-63(4cc) /ロールを研削すると仮定すると、13,
200 コイルの間、研石交換が必要である。
【0173】表面粗さは、押し付け力の増加に伴い、砥
粒がロールに深く食い込むことによって大きくなる傾向
が見られた。一般に、粒度を細かくすると粗さは改善さ
れるが、研削能力は低下するので、適正な粒度選択が必
要である。CBN#120では、高押し付け力でも平均
粗さRaを1.6μm 以下とすることができた。
【0174】実操業では、圧延油による潤滑が行われる
場合がある。5%の熱間圧延油を使用した実験では、水
潤滑に比べて研削能力が25%程度低下するが、研削比
は2倍以上に向上した。したがって、研削能力の低下分
を押し付け力を大きくして補っても、砥石寿命に支障が
ないと考えられる。
【0175】ロールシェーピングマシンは、砥石のドレ
ッシングが困難なので、研削によって砥粒が適度に脱落
し研削性能が維持されなければならない。砥石の結合剤
の適切な選択によって、ドレッシングせずに一つの砥石
が約0.02m3(20,000cc)を連続に研削すること
ができた。
【0176】本実施例によれば、作業ロールはかなりの
芯部まで健全なロールが得られるので、研削しながら圧
延が可能となり、従来約2hでロールを交換していたも
のをほぼ有効径まで連続で圧延できることから設備の有
効な活用が図れる。また、作業ロール自身が研削しなが
ら常にきれない表面を保ったままで圧延するので、補強
ロール及び中間ロールへの影響が小さく、これらの摩耗
も生じにくくなり、全体として長寿命となる。
【0177】本実施例のロール研削装置は低合金鋼より
なる芯材に高速度鋼の如く高合金鋼からなる外層材を焼
ばめ,肉盛溶接,エレクトロスラグ肉盛溶接等によって
形成した複合圧延用ロールの作業ロールにも適用でき
る。
【0178】
【発明の効果】本発明に係る作業ロール,補強ロール及
び中間ロールの各圧延用ロールは、エレクトロスラグ再
溶解法により製造されるため、溶湯から晶出する炭化物
は浮揚,沈澱,偏析することなく急速凝固するので、外
層部において微細かつ均等に分散したものとなる。特
に、作業ロールはこれを補強する補強又は中間ロールと
の接触においてミクロ的に緊密な接触が得られ面接触と
なることから低い面圧となることから圧延材の高圧下,
高形状制御が健全に行えるとともに圧延材の表面性状に
関する品質が向上する。更に、本発明に係る各圧延用ロ
ールを用いることにより圧延スピードの高速度化及び圧
延設備の運転率向上、酸洗による脱スケール及び連続鋳
造と熱間圧延との一貫製造をより高効率で製造できる顕
著な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】冷間圧延設備の前段を示す構成図。
【図2】冷間圧延機列を示す構成図。
【図3】ロール組替え装置の構成図。
【図4】4段圧延機の構成図。
【図5】6段圧延機の構成図。
【図6】圧延用ロールの構成図。
【図7】圧延用ロールの製造工程を示すブロック図。
【図8】エレクトロスラグ再溶解装置の断面図。
【図9】エレクトロスラグ再溶解装置の断面図。
【図10】冷間圧延機列を示す構成図。
【図11】クロスミルの構成図。
【図12】クロスミルの構成図。
【図13】クロスミルの構成図。
【図14】4段CVCミルの構成図。
【図15】6段CVCミルの構成図。
【図16】6段CVCミルの構成図。
【図17】4段CVCミルの構成図。
【図18】6段CVCミルの構成図。
【図19】6段CVCミルの構成図。
【図20】脱スケール設備における機械的脱スケール装
置の構成図。
【図21】酸洗脱スケール設備の構成図。
【図22】酸洗後の冷間圧延機列の構成図。
【図23】冷間圧延機のカローゼルテンションリール巻
取り装置の構成図。
【図24】連続鋳造装置と熱間圧延機列を示す構成図。
【図25】ロール研削装置を備えた熱間圧延装置の斜視
図。
【図26】ロール研削装置の概要図。
【符号の説明】 1…鋼帯、2…ペイオフリール、3…溶接機、4…ルー
パ、5…ブライドルローラ、6〜10…圧延機、11…
交流電動機、12…カローゼルテンションリール、2
2,23,72,73,81,82,90,91,10
0,101,114,115,124,125,144,
145…作業ロール、24,25,93,94,10
3,104,128,129,148,149…中間ロ
ール、26,27,70,71,84,85,95,9
6,105,106,112,113,122,12
3,142,143…補強ロール、28…ロール軸部、
29…ロール胴部。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI B21B 27/00 B21B 27/00 A C 27/02 27/02 A 28/04 28/04 A 29/00 29/00 C 45/06 45/06 B R B22D 23/10 522 B22D 23/10 522 532 532 C22C 38/00 301 C22C 38/00 301L 302 302E 38/44 38/44 38/58 38/58 // B24B 49/02 B24B 49/02 A (56)参考文献 特開 平6−234003(JP,A) 特開 昭61−111708(JP,A) 特開 平6−63616(JP,A) 特開 平5−337507(JP,A) 特開 平8−165544(JP,A) 特開 平7−252606(JP,A) 特開 平7−155814(JP,A) 特開 平7−155932(JP,A) 特開 平4−198455(JP,A) 特開 平5−132738(JP,A) 特開 平5−311334(JP,A) 特開 平1−129929(JP,A) 特開 昭63−149065(JP,A) 特開 昭58−16768(JP,A) 特開 平6−63725(JP,A) 特開 平2−153045(JP,A) 特開 平3−122251(JP,A) 特開 平6−340949(JP,A) 特開 平6−192791(JP,A) 特開 平5−212532(JP,A) 特開 平6−93373(JP,A) 特開 昭63−313610(JP,A) 特開 平6−262242(JP,A) 実開 平4−18662(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B21B 13/14 B21B 1/22 B21B 1/26 B21B 1/46 B21B 27/00 B21B 27/02 B21B 28/04 B21B 29/00 B21B 45/06 B22D 23/10 522 B22D 23/10 532 C22C 38/00 301 C22C 38/00 302 C22C 38/44 C22C 38/58 B24B 49/02 C22B 9/18 F16C 13/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一対の作業ロールと補強ロールとを備えた
    4段からなる圧延機において、前記作業ロールのシヨア
    硬さが90以上及び前記補強ロールのシヨア硬さが60
    以上であり、前記作業ロールのシヨア硬さはそれと接す
    る補強ロール又は中間ロールのシヨア硬さに対して20
    〜35高い硬さを有し、前記作業ロールと、該作業ロー
    ルに接する補強ロール及び中間ロールの少なくとも一方
    とが水冷鋳型によるエレクトロスラグ再溶解法によって
    製造されたものであり、前記作業ロールは重量で、C
    0.6〜1.5%,Si0.1〜1.5%,Mn0.1〜3
    %,Cr4.5〜7.0% ,Ni0.1〜2.0及びMo
    0.1〜2.0%を含有する鍛鋼からなり、前記作業ロー
    ルと接する前記補強ロール及び中間ロールの少なくとも
    一方は重量で、C0.6〜1.5%,Si0.1 〜1.5
    %,Mn0.1〜3%,Cr2.5〜4.5%,Ni0.1
    〜2.0%及びMo0.1〜2.0%を含有する鍛鋼から
    なることを特徴とする圧延機。
  2. 【請求項2】一対の作業ロールと補強ロールとの間に中
    間ロールを備えた6段からなる冷間圧延機において、前
    記作業ロールは重量で、C0.6〜1.5%,Si0.1〜
    2.5%,Mn0.1〜3%,Cr4.5〜7.0%,Ni
    0.1〜2.0%及びMo0.1〜2.0% を含有する鍛
    鋼からなり、前記補強ロール及び中間ロールは重量で、
    C0.6〜1.5%,Si0.1〜2.5%,Mn0.1 〜
    3%,Cr2.5〜4.5%,Ni0.1〜2.0%及びM
    o0.1〜2.0%を含有する鍛鋼からなり、全ロールが
    水冷鋳型によるエレクトロスラグ再溶解によって製造さ
    れたものであることを特徴とする冷間圧延機。
  3. 【請求項3】一対の作業ロールと補強ロールとの間に中
    間ロールを備えた6段からなる冷間圧延機において、前
    記作業ロールと,中間ロール及び必要に応じ補強ロール
    とは重量で、C0.6〜1.5%,Si0.1〜2.5%,
    Mn0.1〜3%,Cr2.5〜7.0% ,Ni0.1〜
    2.0%及びMo0.1〜2.0%を含有する鍛鋼からな
    り、前記作業ロールと,中間ロール及び必要に応じ中間
    ロールと補強ロールの各ロールは各元素の含有量の変動
    差が各元素の平均値に対し±10%以内の合金組成を有
    するほぼ同一組成を有し、前記作業ロールと中間ロール
    及び必要に応じ補強ロールが水冷鋳型によるエレクトロ
    スラグ再溶解によって製造されたものであることを特徴
    とする冷間圧延機。
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