JP2687732B2 - 金属圧延用複合ロール及びその製造法と圧延機 - Google Patents

金属圧延用複合ロール及びその製造法と圧延機

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JP2687732B2 JP3017452A JP1745291A JP2687732B2 JP 2687732 B2 JP2687732 B2 JP 2687732B2 JP 3017452 A JP3017452 A JP 3017452A JP 1745291 A JP1745291 A JP 1745291A JP 2687732 B2 JP2687732 B2 JP 2687732B2
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    • B21MECHANICAL METAL-WORKING WITHOUT ESSENTIALLY REMOVING MATERIAL; PUNCHING METAL
    • B21BROLLING OF METAL
    • B21B27/00Rolls, roll alloys or roll fabrication; Lubricating, cooling or heating rolls while in use

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  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Reduction Rolling/Reduction Stand/Operation Of Reduction Machine (AREA)
  • Heat Treatment Of Articles (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【産業上の利用分野】本発明は新規な金属圧延機用複合
ロール及びその製造法と圧延機並びに圧延システムに係
り、特に、金属冷間圧延に好適な軸強度の高いシフトタ
イプ6段圧延機用作業ロールとその製造法及び圧延シス
テムに関する。
【従来の技術】金属圧延機用ロールでは、圧延中にロー
ルと被圧延材間に発生するスリップ,ロールに被圧延材
が巻き付く圧延事故等により、ロールの表面に熱衝撃が
加わり、著しい場合には、クラックが発生する。作業ロ
ールにはこの熱衝撃に対する耐性に加え、良好な圧延を
維持するため、優れた耐摩耗性が要求されている。耐熱
衝撃性を向上させるには、ロール自身の焼もどし抵抗性
を改善し、より高温で焼もどしを行うことが有効であ
る。従来の作業ロールは特開昭63−60258 号明細書に記
載の如く、C1.2〜2.5%,Si0.8〜3.0%,M
n≦1%,Cr3.0〜6.0%,Mo0.2% 以下より
なるロール素材を焼入の後、焼もどしを行っていたが、
Hs93以上のかたさを得るためには、焼もどし温度を
160℃以下とするものであった。更に、特開昭53−80
351 号公報には、エレクトロスラグ溶接によって芯材に
C1.0〜3.0%,Si0.5〜1.5%,Mn0.5〜
1.5%,Cr3.0〜6.0%,W+1/2Mo10〜
20%,Mo≦10%,W≦18.0%,Co≦5.0
%,V0.5〜5% ,残部が実質的にFeよりなる溶着
金属を5〜100mm形成させ、Hs80以上の硬さとす
る熱間圧延用ロールを製造することが開示されている。
また、従来の冷間圧延用作業ロールは、例えば特公昭50
−7529号公報に記載されるC:0.7〜1.1%,Cr:
1.5〜6% 他にMo,V等を添加した鋼系材質もしく
は冷間ダイズ鋼JIS SKD−11に類似の10%C
r鋼系材質等による一体型鍛鋼ロールが主流であった。
更に他の従来技術として特開昭62−148004号公報が挙げ
られる。近年の冷間圧延法においては、省エネルギー,
生産性向上,鋼材品質の向上等の立場から、高圧下圧延
や高形状制御圧延等の施策がなされつつある。これらの
圧延に使用される圧延機として、従来の4段圧延機に替
わり、6段圧延機あるいはクラスタータイプの多段圧延
機が普及しつつある。これらに使用される作業ロールの
共通点として、ロール直径が小さく、また、高形状制御
のため、大きな曲げが付与されることが挙げられる。そ
のため、ロールとしては従来ロールよりも優れた耐摩耗
性や耐肌荒性と、胴内部及びネック部における強靭性が
要求される。更に近年はユーザーにおける圧延材の品質
要求水準がますます高度化し、ロール表面性状に起因す
る圧延材表面の微小な表面疵も大きな問題となる。この
ため、ロールにはより一層の耐摩耗性,耐肌荒性の向上
が要求される。
【発明が解決しようとする課題】従来は耐摩耗性及び耐
肌荒性の充分な作業ロールはなかった。鉄鋼切削用に開
発された高速度鋼は耐摩耗性には極めて優れたものがあ
り、センジミアミル,ローンミル等の多段圧延機用作業
ロールとして使用され、耐摩耗性,耐肌荒性に優れた性
能を示している。しかしながら、靭性に劣るため、大き
な曲げのかかる作業ロールとしては一体型ロールでは使
用に耐えない問題があった。また、前記従来の一体型鍛
鋼ロールでは耐摩耗性,耐肌荒性の点で長期使用が困難
な状況にある。そのため芯材に低合金鋼を使用し、外層
にそれより硬さの高い高合金鋼をエレクトロスラグ溶解
によって設ける方法があるが、肉盛層を芯材に対して均
一に形成できない問題があった。本発明の第一の目的
は、高合金鋼を外層材とする金属圧延用複合ロールで均
一な圧縮残留応力として圧延使用中の折損を防止するこ
とができる金属圧延用複合ロールを提供することにあ
る。本発明の第二の目的は、ロール芯材に対して偏肉が
少なく、複合構造形成後の芯材の真円度が10mm以下と
いう均一な厚さを有する外層材を備えた金属圧延用複合
ロールの製造法を提供することにある。本発明の第三の
目的は、高合金鋼を外層材とする金属圧延用複合ロール
で均一な圧縮残留応力として圧延使用中の折損を防止
し、金属圧延用複合ロールを用いて圧延事故の少ない圧
延機及び圧延システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】本発明の第一の目的は、
芯材の外周を外層材で覆った金属圧延用複合ロールにお
いて、前記芯材は、ショア硬さが35以上及び複合構造
が形成された後の芯材の真円度が10mm以下で前記外層
材より低い硬さを有する低合金鋼よりなり、更に、前記
外層材は、ショア硬さが80以上及び残留オーステナイ
ト量が15体積%以下のマルテンサイト組織で、最外表
面での残留応力が10kg/mm2 以上の圧縮応力であるこ
とにより達成される。また、本発明の第一の目的は、芯
材の外周を外層材で覆った金属圧延用複合ロールにおい
て、前記芯材は、複合構造が形成された後の芯材の真円
度が10mm以下である低合金鋼よりなり、更に、前記外
層材は、重量で、C0.5〜1.5%,Si0.5〜3.0
%,Mn1.5% 以下,Cr2〜10%,V0.5〜2.
0%,W0.1〜20%を含有する高合金鋼であること
により達成される。また、本発明の第一の目的は、芯材
の外周を外層材で覆った金属圧延用複合ロールにおい
て、前記芯材は、重量でC0.5〜1.0%,Si1%以
下,Mn1%以下,Cr1〜5%,Mo0.5% 以下を
含み前記外層材より低い硬さを有する低合金鋼よりな
り、且つ複合構造が形成された後の芯材の真円度が10
mm以下であり、更に、前記外層材は、重量でC0.5〜
1.5%,Si0.5〜3.0%,Mn1.5% 以下,C
r2〜10%,Mo1〜12%,V0.5〜2.0%,W
0.1〜20%を含む高合金鋼の溶着層からなることに
より達成される。また、本発明の第一の目的は、芯材の
外周を外層材で覆った金属圧延用複合ロールにおいて、
前記外層材は、重量でC0.5〜1.5%,Si0.5〜
3.0%,Mn1.5%以下,Cr2〜10%,V0.5
〜2.0%,W0.1〜20%及びNi5%以下を含有す
る高合金鋼からなり、前記芯材は、該外層材より低い硬
さを有する低合金鋼であり、且つ複合構造が形成された
後の芯材の真円度が10mm以下であることにより達成さ
れる。また、本発明の第一の目的は、芯材の外周を外層
材で覆った金属圧延用複合ロールにおいて、前記外層材
は、重量でC0.5〜1.5%,Si0.5〜3.0%,M
n1.5% 以下,Cr2〜10%,V0.5〜2.0%,
W1〜20%及びCo5〜15%を含有する高合金鋼か
らなり、前記芯材は、該外層材より低い硬さを有する低
合金鋼であり、且つ複合構造が形成された後の芯材の真
円度が10mm以下であることにより達成される。また、
本発明の第一の目的は、低合金鋼よりなる芯材に、該芯
材より硬さの高い高合金鋼よりなる外層材を有する金属
圧延用複合ロールにおいて、複合構造が形成された後の
前記芯材の真円度が10mm以下で、前記外層材が等軸晶
組織であることにより達成される。また、本発明の第一
の目的は、金属圧延用複合ロールにおいて、前記外層材
の厚さが30mm以上であり、前記金属圧延用複合ロール
の外径が250mm〜750mmであることが望ましい。本
発明の第二の目的は、低合金鋼よりなる芯材の外周に該
芯材より硬さの高い高合金鋼よりなる外層材を溶着させ
る金属圧延用複合ロールの製造法において、複合構造形
成後の前記芯材の真円度が10mm以下となるように該芯
材の外周に該外層材を溶着する溶着工程と、熱間鍛造を
施す鍛造工程と、実質的に前記外層材のみをオーステナ
イト変態点以上の温度に漸進加熱しながら該加熱部分に
液体又は気体冷媒を噴射する漸進焼入を施す焼入工程
と、サブゼロ処理を施す工程と、該焼入工程後に前記外
層材の残留オーステナイト相を15体積%以下とする30
0℃以上の高温焼戻し処理を施す焼戻し工程とを含み、
且つ、前記溶着工程には、前記芯材と同心で配置された
冷却モールドと該芯材との間に形成される空隙に前記高
合金鋼から成る消耗電極を挿入する工程と、該芯材及び
該冷却モールドを円周方向に回転する工程と、スラグ浴
の下で前記消耗電極及び芯材に対し各々複数の個所より
交流電流を供給して前記消耗電極を溶解させて溶湯にす
る工程と、該冷却モールドを該芯材の軸線方向に移動さ
せて溶湯を凝固させて該芯材に高合金鋼を溶着させる凝
固工程とを含むことにより達成される。本発明の第三の
目的は、ワークロールと、該ワークロールを支持するバ
ックアップロールとを備えた圧延機において、前記ワー
クロールは、芯材の外周を外層材で覆った金属圧延用複
合ロールであって、前記芯材は、ショア硬さが35以上
及び複合構造が形成された後の芯材の真円度が10mm以
下で前記外層材より低い硬さを有する低合金鋼よりな
り、更に、前記外層材は、ショア硬さが80以上及び残
留オーステナイト量が15体積%以下のマルテンサイト
組織で、最外表面での残留応力が10kg/mm2 以上の圧
縮応力である金属圧延用複合ロールであることにより達
成される。また、本発明の第三の目的は、ワークロール
と、該ワークロールを支持するバックアップロールを備
えた複数の圧延機がタンデムに多段に連結されている圧
延システムにおいて、前記圧延機の少なくとも初段及び
2段スタンドの前記ワークロールが、芯材の外周を外層
材で覆った金属圧延用複合ロールであって、前記芯材
は、ショア硬さが35以上及び複合構造が形成された後
の芯材の真円度が10mm以下で前記外層材より低い硬さ
を有する低合金鋼よりなり、更に、前記外層材は、ショ
ア硬さが80以上及び残留オーステナイト量が15体積
%以下のマルテンサイト組織で、最外表面での残留応力
が10kg/mm2 以上の圧縮応力である金属圧延用複合ロ
ールであることにより達成される。また、本発明の第三
の目的は、圧延システムにおいて、前記ワークロールの
胴部直径が250mm〜750mmで、且つ前記外層材の厚
さが30mm以上であることが望ましい。本発明における
ワークロールの硬さは、Hs90〜100が好ましい。
本発明におけるバックアップロールの硬さは、Hs60
〜70が好ましい。本発明における中間ロールの硬さ
は、Hs70〜80とするのが好ましい。ワークロール
には被圧延材をより平坦化させるため曲げを与えて回転
させることができ、更に中間ロールにおいても曲げを加
えて回転させることができる。中間ロールは左右にスラ
イドさせることができ、圧延幅に応じてロール端部を被
圧延材に近いようにして圧延させることができる。上記
外層材で一体化したロールとした場合、焼入時の熱応力
により内部からの割損の危険があり、また、軸部の靭性
に劣るため、使用中のネック折損に対して不利となる。
そのため、ロールは表層部を上記材料とし、芯材は靭性
の高い合金鋼から成る複合構造とした。また、低合金鋼
材製芯軸の外周に、これより硬さの高い高速度工具鋼等
の高合金鋼材から成る外層を設けた後、該外層に含まれ
る炭化物を分散させるとともに組織を均一化するため
に、外層に対して熱間鍛造処理を施すことは好ましいこ
とである。本発明の複合ロールは芯軸と、これを覆う外
層とから成る複合ロールであるが、仮に、前記高速度工
具鋼でロール全体を形成した場合(すなわち、高速度工
具鋼による一体型ロールとした場合)には、焼入れを行
う際に発生する熱応力により内部からの割損(割れ発
生)の危険があること、および軸部の靭性に劣ることに
より、使用中にロールネック部の折損が生じ易い。その
ため、前記のような複合ロール構造を採用したのであ
る。焼入れ処理は衝風冷却、または油冷却でも行うこと
ができるが、表面層の圧縮残留応力をより高くし、焼入
れ処理の後、温度300℃〜550℃で焼戻し処理を行
った場合、Hs93以上の硬さを得る本発明方法におい
て、ガス噴射又は噴水冷却によって焼入れを行うことが
好ましい。ガス噴射には空気が用いられる。本発明にお
ける焼戻し温度は、300℃〜550℃であり、450
℃〜550℃が好ましく、500℃〜550℃が更に好
ましい。なお、冷間圧延ロールの場合、表面硬度は概ね
Hs90以上が必要であるとされており、熱間圧延ロー
ルの場合、表面硬度は概ねHs80〜85のものが使用
されている。本発明におけるがごとく外層部のみ変態点
以上に加熱し、急速冷却による焼入れ処理を施した場合
の残留応力は、熱応力による残留応力と、変態応力によ
る残留応力とが重畳されたものとなる。外層部が急冷さ
れた場合、その体積収縮により内部の塑性変形温度域の
部分に圧縮塑性歪みを生じる。その結果、内外部の温度
が同一になるまで冷却されると外層部に圧縮残留応力
が、内部に引張り残留応力が生じる。これが熱応力によ
る残留応力である。また、変態によって外層部に生じる
マルテンサイトは相対的に比容積が大きいから、芯軸部
の比容積との違いによって、芯軸部に引張り残留応力
が、硬化外層部に圧縮残留応力が、それぞれ生じる。こ
のように熱応力と変態応力によって生じる残留応力は、
マルテンサイト変態のみによって生じる残留応力(通常
−20kg/mm2程度である)に比してかなり大きく、セ
ミハイス系では、噴水冷却によれば圧縮残留応力−70
kg/mm2〜−120kg/mm2(サブゼロ処理を施した場
合)を得ることができる。ハイス系ではガス噴射冷却に
より−10kg/mm2 以上の圧縮残留応力を得ることがで
きる。また、焼入れ処理のみでは、約40%のオーステ
ナイトが残留しており、この残留オーステナイトの分解
を促進させるために温度−50℃以下のサブゼロ処理が
行われる。サブゼロ処理は、縦型サブゼロ処理槽内にロ
ールを吊し、これを回転させながらロール表面に液体窒
素を噴射させることによって行われる。サブゼロ処理後
の残留オーステナイト量は、概ね15%以下である。こ
の後、温度300℃〜550℃での焼戻し処理を行う
と、残留オーステナイト量は前記値約15%から1〜5
%程度に低下する。最終的に残留したオーステナイト
は、ロールを使用する間において、ロール表面の熱膨張
・収縮を緩和するバッファとなり、ロール表面のクラッ
ク発生を防止する機能を発揮する。また、高温でロール
の焼戻し処理を行っておけば、熱間圧延用として該ロー
ルが使用される場合、仮に事故発生によって高温の鋼板
がロールに巻き付いてロール温度が上昇しても、ロール
表面における残留オーステナイトの分解等によるクラッ
ク発生が効果的に防止される。一般に、焼戻し処理を高
温で行えば、それだけ焼入れによる歪みが解放(relaxa
tion)され易く、残留応力の低下量が大きくなることが
知られている。しかしながら、本発明で使用される高速
度工具鋼は、焼戻し抵抗性を高める合金元素であるS
i,Cr,Mo,V等を多量に含んでいるため、一般の
低合金鋼と比較すると、温度500℃程度の焼戻しでは
歪みの解放が少なく、高い残留応力を維持することがで
きる。なお、本発明における芯材は、引張り強さ60kg
/mm2以上,衝撃値1.5kg−m/cm2 以上の低合金鋼が
好ましく、特に、重量%でC0.5〜1.0%,Si1%
以下,Mn1%以下,Cr1〜5%,Mo0.5% 以下
を含有する鍛鋼が好ましい。
【作用】上記の構成による金属圧延用作業ロールは、大
きな曲げが加わる圧延に使用されてもより高合金化して
硬さを高めることができるので、耐摩耗性,耐肌荒性,
強靭性の点で十分耐用できるものとなる。特に、エレク
トロスラグ再溶解による後述する本発明の特定の製法に
よって外層を軸材に溶着させたロールであるため、芯材
の真円度が10mm以下と小さく、更に溶湯から晶出する
炭化物は浮揚,沈殿,偏析することなく急速凝固するの
で、外層中に微細かつ均等に分散したものとなる。これ
らにより、圧延材の高圧下,高形状制御が健全に行える
とともに圧延材の表面性状に関する品質が向上する。こ
のように、本発明の如く、より高合金化した外層を設け
るには芯材の真円度が特に問題である。真円度は外層材
の厚さに左右し、そのため焼入れ及び焼戻しにおいて不
均衡な圧縮残留応力を形成させ、使用中に折損する恐れ
がある。本発明者らは従来技術の問題点を解決し、上記
目的を達成するため、実験追求を行って以下の知見を得
た。外層は耐摩耗性と耐肌荒性を確保するため、より高
合金化とするとともに、熱処理を施しHs90以上の硬
さを保持させる必要がある。外層の化学成分の特定は次
の理由による。Cは耐摩耗性向上のための炭化物の形成
及び基地硬さ確保に必要である。その量が0.5% 未満
の場合、炭化物量が少なく、耐摩耗性の点で十分でな
い。一方Cが1.5% を超えると、粒界に析出する網目
状炭化物が増加し耐肌荒性及び強靭性の点で劣るように
なる。特に、0.8〜1.2%が好ましい。Siは脱酸剤
として必要な元素であり、0.5% 以上有し、また焼戻
し抵抗性を高める。しかし、その量が3.0% を超える
と脆化が生じやすくなる。特に、1〜3%が好ましく、
1.5〜2.5%がより好ましい。Mnは脱酸作用ととも
に不純物であるSをMnSとして固定する作用がある
が、その量が1.5% を超えると残留オーステナイトが
増え安定して十分な硬さを維持できないとともに、靭性
が低下する。特に、0.2〜1.0%が好ましく、0.2
〜0.5%がより好ましい。Crは2%未満では焼き入
れ性に劣り、10%を超えるとCr系炭化物が過多とな
るため不都合である。特に、3〜7%が好ましく、3.
5〜5% がより好ましい。MoおよびWはそれぞれC
と結合してM2C あるいはM5C 系炭化物を生成させ、
かつ基地中にも固溶して基地を強化し耐摩耗性や焼戻し
抵抗性を向上させる。しかし、過剰になるとM6C 系炭
化物が増加し靭性及び耐肌荒性が低下する。Mo及びW
の上限はそれぞれ12%及び20%であり、W及びMo
の下限はそれぞれ0.1%以上及び1%以上とすべきで
ある。Moはセミハイス鋼が1.5〜4.5%又はハイス
鋼が7〜10%が好ましく、また、Wはセミハイス鋼が
0.1〜1%又はハイス鋼が0.5〜5%が好ましい。V
はMC系炭化物を形成し耐摩耗性向上に寄与するが、
0.5% 未満では十分な効果がなく、5%を超えると、
研削性を著しく阻害する。特に、0.7〜2.0%が好ま
しい。Coは基地に固溶し高温焼戻して高硬度を得るた
めの元素であるが、5%未満でその効果は不十分であ
る。15%を越えると靭性が低下する。特に6〜10%
が好ましい。特に、外層材として例えばセミハイス鋼
は、前述のC,Si,Mn及びCrを含み、更に、W
0.1〜1%,V0.5〜2.0%及びMo1.5〜5%を
含む。外層材として例えばハイス鋼は、前述のC,S
i,Mn及びCrを含み、更に、W0.5〜5% ,Mo
7〜10%,V0.5〜2.0%を含む。又、これらのセ
ミハイス鋼やハイス鋼にCo6〜10%含むことができ
る。Hot(熱間圧延)を基準に考えた組成では炭化物
量が耐摩耗性と耐焼付性を考えるので、炭化物量が多く
なっている。そして、この炭化物量が多いほど研削で仕
上げしづらくなり、靭性も低く、冷間作業ロールのよう
に高い局部圧力に耐えられなくなる。そのため、冷間作
業ロールの合金組成としては耐摩耗性を損なわない程度
まで炭化物量(炭素量)を少なくし、マトリックスの強
化(マルテンサイト特に焼戻しマルテンサイト)で局部
圧(圧延圧力)に耐えるようにしている。このマトリッ
クス強化としてCoは有効であり、高い硬度が得られ
る。なお、本発明の外層に用いる高合金鋼は上記元素の
ほかにNiを含有することができる。Niは焼き入れ性
を向上する作用を有するため、5%以下の量添加するこ
とができる。それを超えると残留オーステナイトの増加
を招き、硬度低下や耐肌荒性の低下を来す。特に、1%
以下が好ましく、0.1〜0.5%がより好ましい。ま
た、本発明においては、芯軸用材料としてHs35以上
を有する鍛鋼を使用することが好ましい。すなわち、本
発明のロールネック部に公称応力として10kg/mm2
応力が加えられた場合、寸法効果係数0.8,表面効果
係数0.9,切欠き係数2.0 として、必要な疲れ限度
は、36kg/mm2 となり、それを得るためには硬さとし
てHs35以上がよい。芯軸上に外層を設ける方法とし
ては、特公昭44−4903号に開示されている。高周波加熱
を利用した連続肉盛方法,特開昭47−2851号公報他に開
示されている粉末冶金法を利用して熱間等方加圧により
外層を形成する方法,特開昭57−2862号公報に開示され
ているエレクトロスラグ再溶解法を利用した肉盛方法等
がある。エレクトロスラグ再溶解肉盛方法が特に好まし
い。すなわち、本発明のエレクトロスラグ再溶解肉盛方
法は、軸材と同心的に配置されたモールドとの間に形成
される空隙に高速度鋼等の高合金鋼から成る消耗電極を
挿入し、軸材及び冷却モールドを円周方向に好ましくは
1rpm 以上で回転しスラグ浴の下で消耗電極及び軸材に
対し複数の個所より交流電流を供給して消耗電極を溶解
させるとともに、冷却モールドを軸材に対し同軸的に上
方へ移動させて溶湯を冷却モールドに接触させ凝固させ
ることにより形成した外層を軸材に溶着させるものであ
る。回転は軸材と消耗電極とて相対的であればよい。電
流と熱を各部に均等に流れるようにすることにより芯材
の偏心をなくすことができる。本発明の複合ロールは熱
間又は冷間作業ロールとして使用でき、特に曲げを与え
て圧延するのに使用できる。そして、スケジュールフリ
ー用ロールとして使用できる。炭素鋼の圧延において従
来のロール寿命は4〜5時間程度であったが、本発明ロ
ールはセミハイスロールで2〜5倍又はハイスロールで
5〜10倍の寿命が得られ、従って1回の研摩工程で8
時間〜25時間又は20時間から50時間の寿命が得ら
れ、研摩回数が著しく少なくできる。本発明によれば、
従来ハイスよりなる一体ロールでは高々直径100mm程
度のものしか製造できなかったが、本発明では直径25
0〜750mmのものが製造でき、従来の圧延機にそのま
ま使用できる。
【実施例】実施例1 胴径750mm,胴長1480mmのロールを直径665mm
の軸材を用いて次のようにエレクトロ再溶解法にて複合
ロール用インゴットとして外径850mmのものを製造し
た。図8は、エレクトロスラグ肉盛法による複合ロール
を製造する装置の概略図である。この装置は、溶接機
9,増幅器17,通電用配線12,カーボンブラシ12
b,直流モータ18およびマニュピュレータ19を含
む。マニュピュレータ19が、直流モータ18によって
動かされ、マニュピュレータの腕12aによって支えら
れた高速度工具鋼から成る消耗電極である管状電極8
が、上方へ動かされるようになっている。低合金鋼材製
芯軸7が回転定盤11上に設置されている。この芯軸7
と同心的に水冷モールド10が設置されており、両者の
間隔部において、環状点火板(すなわち、モールド底)
16が芯軸7の下端部に近く設置されている。芯軸7お
よび水冷モールド10は、円周方向に5rpm 回転させ
た。マニュピュレータ19によって支えられた管状電極
8が、芯軸7と水冷モールド10とで画成される前記間
隔部、すなわち溶解室内に差し込まれ、配線12を介し
て芯軸7は管状電極8との間に供給される交流電流によ
り、管状電極8が溶融消耗する。定盤11にはカーボン
ブラシ12bが周囲に5ケ均等に配置し、管状電極8に
も配線を複数に配置し、各部に均等に電流が流れるよう
にして通電によってアークが発生すると、スラグ15が
その抵抗発熱により溶融するとともに、溶融金属14が
形成され、水冷モールド10との接触で冷却されて凝固
し、芯軸7の表面に均一な肉盛層13が形成される。こ
の間、水冷モールド10は芯軸7に対して同軸的に上方
へ移動せしめられる。スラグ15は、常時厚さ50〜6
0mmに調整される。また、溶融金属14は環状底板16
によって下方への滴下が防止される。電流電圧は一定に
保持されるようにコントロールしながら溶解され、肉盛
層の厚さと芯材への溶け込み深さが一定になるようにコ
ントロールされる。かくして、得られた複合ロールの肉
盛層に1100℃で鍛造が施され、鍛造後の外径を78
0mm、鍛造後の外層の厚さを42.5mm とした。その
後、更に該肉盛層に焼入れ焼戻し熱処理が施され、もっ
て肉盛層の表面硬さHs90以上を得ることができる。
熱処理後、切削加工及び研摩によって仕上げ外径750
mmとなるように直径で約2〜3mmで切削研摩した。平均
表面あらさを約0.5μm となるように砥石によって研
削した。外層材質の化学成分を表1(重量%)に示す。
残部はFeである。このNo.1及びNo.2のロールは更
に1000℃〜1200℃からの焼入れ及び120℃〜
520℃、10〜20時間の焼戻しの熱処理を施した。
比較のため従来の5%Cr鍛鋼材を用いた一体ロールに
ついても同一寸法のロールを製造した。この材質につい
ても化学成分を表1に示す。熱処理はこの材質に適した
熱処理を施した。なお、本発明ロールの軸材にはC0.
95% ,3%Cr鍛鋼を用い、その硬さはHs40で
あった。
【表1】 図9は、噴水又はガス噴射焼入れの手法を示している。
ロール20の肉盛層である外層21が焼入れされる部分
である。垂直に設定されたロール20の外層21を包囲
して、低周波誘導子である誘導コイル22と冷媒噴射筒
23とを含む環状装置が設定されている。誘導コイル2
2に低周波電流が流された状態で、ロール20が回転さ
せられつつ下方へ動かされる。外層21は、発生した誘
導電流によって加熱されながら、冷媒噴射筒23から噴
射される冷媒によって連続的に冷却,焼入する漸進焼入
される。その結果、冷却速度として1℃〜10℃/sec
以上の急冷が達成される。冷却速度は噴射冷媒の量と噴
射速度等によってコントロールすることができる。焼入
れ温度への加熱は実質的に外層21のみとし、芯材との
境界部はオーステナイト変態点以下となるように行っ
た。その結果、境界部での芯材の靭性を高く保つことが
できる。図1は焼戻し温度と硬さとの関係を、図2は焼
戻し温度と残留応力との関係をそれぞれ示している。本
発明例No.1およびNo.2の場合、焼入れ温度は1060℃
であり、図9に示されるような手法により、外層部のみ
の低周波誘導加熱と、引き続く噴水冷却により10℃/
sec の速度の漸進焼入れを行った。その後、−50℃での
サブゼロ処理を施し、各温度で焼戻しを行った。このと
きの冷却速度は約15℃/sec であった。図1と図2と
を対比すれば、残留応力が焼戻し後のロール表面の硬さ
に寄与していることがよく判る。従来のロールでは、H
s93の硬さが得られる焼戻しは、160℃であるが、
本発明例1の場合、520℃であり、従来ロールに比較
して同一硬さを得られる焼戻し温度が大幅に上昇してい
ることが判る。また、焼戻し温度500℃における本発
明のNo.1および2のロール表面の残留応力が、−70
kg/mm2 よりも大きいのに対し、従来ロールでは、ロー
ル表面の残留応力が約−30kg/mm2 であり、本発明に
よって大きな残留応力を確保できることが判る。No.1
及び2の残留オーステナイト量は10〜15体積%であ
った。No.2の場合は500℃で戻もどしを行った後の
かたさはHs88であり、Si添加の効果が如実に認め
られる。図2はNo.1と従来ロールとの耐熱衝撃性比較
を示す。試験は鍛造後のロール素材表面から材料を採取
し加工の後、焼入れを行い、No.1は520℃、従来ロ
ールは160℃で、それぞれ、焼もどしを施し、試験を
行った。試験方法は直径80mm厚さ40mmの試験片を1
420rpm で回転させ、20mm角の軟鋼材を500g/mm
2 の荷重で試験片に押し付けながら水冷を行った。図2
の縦軸のクラック長さは試験片表面に発生したクラック
の長さの合計であるが、従来材のクラック長さが54mm
であるのに対し、No.1の場合、23mmと従来材の半分
以下となっており、高温焼もどしの有効性が明らかであ
る。図3は耐摩耗性の比較を示す。試験は摺動面が直径
18mmの試験片に同様な熱処理を施し、#100エメリ
ーペーパー上で500gの荷重を加えて摺動させた。従
来ロールの摩耗量が230mgであるのに対し、No.1の
場合、120mgと耐摩耗性にも優れていることがわか
る。No.1のロールとして、図4の形状とし、これを用
い図5に示す圧延機を用い、タンデムにF1〜F7の7段
スタンドに図11に示すように配置し、サブmmの厚さ、
特に200μm以下の厚さのステンレス鋼箔、薄板ブリ
キ用鋼板の冷間圧延を行った結果、従来の一体型ロール
にくらべ5倍以上の耐摩耗性が得られることが確認され
た。1は被圧延材、2は本実施例に係るワークロールを
初段スタンドに組込んだもの、3は中間ロール、4はバ
ックアップロール、5は外層、6は芯材である。中間ロ
ール3は左右にシフトすることができる。本発明の複合
構造形成後の複合ロールを複数個に切断し、断面の複合
構造形成後の芯材の真円度を数個所測定した結果、いず
れも真円度が5〜6mmであった。また、外層材と芯材と
の境界をはさんで引張試験を行った結果いずれの試験で
も芯材部で破断した。焼入れ硬化層の厚さは40mm以上
で、少なくとも40mmにおいて約40kg/mm2 以上の圧
縮残留応力が形成されていた。図5中、Fw 及びFI
ールには曲げが矢印の方向にかけられ、被圧延材のエッ
ヂ部の曲率をより大きくなるようにした。F1〜F3スタ
ンドが図5(a)、F4 及びF5 が図5(b)、F6
びF7 が図5(c)のロール配置とした。本実施例によ
れば、表面硬度を従来ロールと同一にしても、300℃
以上の高温で焼もどしを行うことができるため、圧延時
のスリップ,事故等により発生する熱衝撃に対する耐性
を従来ロールに劣らない耐摩耗性を維持したまま著しく
高くすることができる。図7はロール表面からの硬さ及
び残留応力と深さとの関係を示す線図である。σz は軸
方向及びσt は円周方向の残留応力である。 実施例2 胴径425mm及び750mm,胴長1100mmのロールを
直径340mm及び665mm長さ3700mmの軸材を用いて
実施例1と同様に図8に示す装置にてほぼ同様に製造し
た。この時の前者のロール外層材の化学成分を表2に示
す。また、後者は同じ電極を用いているので特に分析は
しなかった。このロールは更に誘導加熱により表層部の
み1100〜1200℃で加熱し、連続的に空気噴射冷
却により1℃/sec の速度の焼入れを行った後、ロール
全体を500〜550℃で加熱し焼戻しの熱処理を施し
た。比較のため従来の3%Cr鍛鋼材を用いた一体ロー
ルについても同一寸法のロールを製造した。この材質に
ついても化学成分を表2に示す。熱処理はこの材質に適
した熱処理を施した。いずれの表面部の硬さはHs90
以上の95であった。なお、本発明ロールの軸材には重
量で、0.9%C,3%Cr及び0.2%Mo を含み、
Si0.3%,Mn0.7%の鍛鋼を用い、その硬さはH
s40であった。前述の後者のロールは熱処理前に鍛造
を施した。これらのロールについて断面の顕微鏡組織を
観察した結果、本発明のロール胴端余長部で調査した外
層と軸材の接合部に異常は認められなかった。各々の平
均表面あらさは前者が約0.1μm、後者が0.5μmで
あり、Hs90以上の硬化層はいずれも約50mmであっ
た。これらの結果から明らかなように、本発明ロールは
表面,接合部とも健全であるとともに要求特性を満たす
ものである。各ロールの肉盛層の厚さは超音波によって
正確に測定された結果、約40mmのほぼ均一な厚さであ
った。本実施例により得られたロールを用い、実施例1
と同様に普通鋼の冷間圧延を行った。前者のロールは最
終段、後者のロールは初段に用い各ロールの圧延コイル
本数とロール表面粗度の関係を調らべた。初段ロールの
結果を図10に示す。これらの圧延において、本発明ロ
ールは粗度低下がほとんどなく、優れた耐摩耗性を示し
ている。また、本発明ロールに胴部のクラック発生事故
やネック部の折損事故はなかった。コイル1本の長さは
約40kmである。最終段のロールについても大きな差は
見られなかった。また、複合構造形成後の本発明のロー
ルを複数個に切断し、断面の複合構造形成後の芯材の真
円度を測定した結果、いずれのロールのいずれの部分も
5〜6mmであった。外層の残留オーステナイト量は約1
5体積%であった。
【表2】 本実施例によれば、外層材に耐摩耗性,耐肌荒性に優れ
た高速度鋼の如く鋼を用い、軸材に靭性に優れた鋼を使
用した冷間圧延用作業ロールであるため、耐摩耗性,耐
肌荒性さらに靭性に優れたロールとすることができる。
これにより、本発明は、冷間圧延における生産性並びに
品質向上に貢献するところ多大なものがある。本実施例
の製造方法によれば、外層材に耐摩耗性,耐肌荒性に優
れた高速度鋼の如く鋼を用い、軸材に靭性な優れた鋼を
使用したロールを凝固むらの発生なく簡単に製造でき
る。実施例1と同様に高周波加熱後水噴霧焼入れを施
し、次いで−70℃でサブゼロ処理を施した結果、残留
オーステナイト組織がマルテンサイトに変態し、残留オ
ーステナイト量はさらに低下し、硬さは若干高くなると
ともに高い圧縮残留応力が得られた。 実施例3 実施例1によって得られた複合ロールを図10に示すF
1〜F3のワークロールに使用し、更に実施例1によって
得られた複合ロールを若干細径にしてF4 及びF5 のワ
ークロールに使用、また実施例2によって得られた細径
のものをF6 及びF7 のワークロールにそれぞれ用い、
中間ロールにHs80〜85の冷間ダイス鋼からなる一
体のロールを用いて、前述と同様に軟鋼の圧延を行っ
た。この圧延システムで1回の研摩で5本のコイルを圧
延したが、ほとんど問題なく圧延でき、1コイル当りの
摩耗量は0.15mm 以下であった。バックアップロール
は3%Cr鋼の鍛鋼を用いた。1本のコイルの重量は約
500tである。 実施例4 実施例1で得られた複合ロールを最終段の中間ロールに
使用し、実施例2で得られた細径ロールをワークロール
を使用し、実施例3と他の点は同じ配置として同様に軟
鋼の圧延を行った。この中間ロールの表面あらさはワー
クロールとほぼ同じ表面あらさとし、中間ロールの表面
硬さをほぼHs90とし、ワークロールの硬さをHs9
5として使用した。この圧延においても特に異常な摩耗
は見られず、良好な圧延結果が得られた。このようなこ
とから、全スタンドに対して特にワークロールを全部又
はこれに中間ロールの1部又は全部とに硬さを調整した
複合ロールを用いることができ、これまで圧延による摩
耗が大きかったためにコイル1本の圧延を行うごとに研
削しながら圧延スケジュールに合せて圧延していたもの
を1回の研削で多量の圧延できることからスケジュール
を特に組まないスケジュールフリーの圧延が可能となる
ことが分った。本発明の複合ロールは冷間圧延において
特に効果があるが、熱間圧延にも使用可能である。
【発明の効果】本発明の金属圧延用複合ロールの製造法
によると、ロール芯材に対して偏肉が少なく、複合構造
形成後の芯材の真円度が10mm以下という均一な厚さを
有する外層材を備えた金属圧延用複合ロールを製造する
製造法を提供することができるという効果を奏する。本
発明の金属圧延用複合ロールによると、高合金鋼を外層
材とする金属圧延用複合ロールで均一な圧縮残留応力と
して圧延使用中の折損を防止することができるという効
果を奏する。本発明の圧延機及び圧延システムによる
と、高合金鋼を外層材とする金属圧延用複合ロールで均
一な圧縮残留応力として圧延使用中の折損を防止し、圧
延事故の少ない圧延機及び圧延システムを提供すること
ができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明例ロールと従来ロールの焼戻し温度と硬
さの関係を示すグラフ。
【図2】本発明例ロールと従来ロールとの耐熱衝撃性を
比較したグラフ。
【図3】本発明によるロールと従来ロールとの耐摩耗性
を比較したグラフ。
【図4】本発明によるワークロールの要部断面図。
【図5】本発明によるワークロールを用いたストリップ
冷間圧延機(cold strip mill)の要部正面図。
【図6】本発明例ロールと従来ロールの焼戻し温度と残
留応力の関係を示すグラフ。
【図7】表面からの硬さ及び残留応力と深さとの関係を
示す線図。
【図8】エレクトロスラグ肉盛法による複合ロール製造
装置の概略図。
【図9】圧延ロールの焼入れ法を示す概略図。
【図10】圧延によるコイル本数とロール粗度との関係
を示す線図。
【図11】圧延機の配置図。
【符号の説明】
1…被圧延材、2…ワークロール、3…中間ロール、4
…バックアップロール、5…外層、6…芯材。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C21D 9/38 C21D 9/38 A B C22C 38/00 301 C22C 38/00 301L 302 302E (72)発明者 清水 正巳 茨城県勝田市堀口832番地の2 株式会 社 日立製作所 勝田工場内 (72)発明者 近藤 保夫 茨城県日立市久慈町4026番地 株式会社 日立製作所 日立研究所内 (56)参考文献 特開 昭61−238407(JP,A) 特開 昭61−165211(JP,A) 特開 昭61−108412(JP,A) 特開 昭61−232009(JP,A) 特開 昭58−197232(JP,A) 特開 昭60−180660(JP,A) 特開 昭63−56305(JP,A) 特開 昭64−5611(JP,A) 特公 昭61−61916(JP,B2)

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】芯材の外周を外層材で覆った金属圧延用複
    合ロールにおいて、前記芯材は、ショア硬さが35以上
    及び複合構造が形成された後の芯材の真円度が10mm以
    下で前記外層材より低い硬さを有する低合金鋼よりな
    り、更に、前記外層材は、ショア硬さが80以上及び残
    留オーステナイト量が15体積%以下のマルテンサイト
    組織で、最外表面での残留応力が10kg/mm2 以上の圧
    縮応力であることを特徴とする金属圧延用複合ロール。
  2. 【請求項2】芯材の外周を外層材で覆った金属圧延用複
    合ロールにおいて、前記芯材は、複合構造が形成された
    後の芯材の真円度が10mm以下である低合金鋼よりな
    り、更に、前記外層材は、重量で、C0.5〜1.5%,
    Si0.5〜3.0%,Mn1.5%以下,Cr2〜10
    %,V0.5〜2.0%,W0.1〜20% を含有する高
    合金鋼であることを特徴とする金属圧延用複合ロール。
  3. 【請求項3】芯材の外周を外層材で覆った金属圧延用複
    合ロールにおいて、前記芯材は、重量でC0.5〜1.0
    %,Si1%以下,Mn1%以下,Cr1〜5%,Mo
    0.5%以下を含み前記外層材より低い硬さを有する低合
    金鋼よりなり、且つ複合構造が形成された後の芯材の真
    円度が10mm以下であり、更に、前記外層材は、重量で
    C0.5〜1.5%,Si0.5〜3.0%,Mn1.5%
    以下,Cr2〜10%,Mo1〜12%,V0.5〜2.
    0%,W0.1〜20% を含む高合金鋼の溶着層からな
    ることを特徴とする金属圧延用複合ロール。
  4. 【請求項4】芯材の外周を外層材で覆った金属圧延用複
    合ロールにおいて、前記外層材は、重量でC0.5〜1.
    5%,Si0.5〜3.0%,Mn1.5% 以下,Cr2
    〜10%,V0.5〜2.0%,W0.1〜20% 及びN
    i5%以下を含有する高合金鋼からなり、前記芯材は、
    該外層材より低い硬さを有する低合金鋼であり、且つ複
    合構造が形成された後の芯材の真円度が10mm以下であ
    ることを特徴とする金属圧延用複合ロール。
  5. 【請求項5】芯材の外周を外層材で覆った金属圧延用複
    合ロールにおいて、前記外層材は、重量でC0.5〜1.
    5%,Si0.5〜3.0%,Mn1.5% 以下,Cr2
    〜10%,V0.5〜2.0%,W1〜20%及びCo5
    〜15%を含有する高合金鋼からなり、前記芯材は、該
    外層材より低い硬さを有する低合金鋼であり、且つ複合
    構造が形成された後の芯材の真円度が10mm以下である
    ことを特徴とする金属圧延用複合ロール。
  6. 【請求項6】低合金鋼よりなる芯材に、該芯材より硬さ
    の高い高合金鋼よりなる外層材を有する金属圧延用複合
    ロールにおいて、複合構造が形成された後の前記芯材の
    真円度が10mm以下で、前記外層材が等軸晶組織である
    ことを特徴とする金属圧延用複合ロール。
  7. 【請求項7】請求項1〜請求項6のいずれかに記載の金
    属圧延用複合ロールにおいて、前記外層材の厚さが30
    mm以上であり、前記金属圧延用複合ロールの外径が25
    0mm〜750mmであることを特徴とする金属圧延用複合
    ロール。
  8. 【請求項8】低合金鋼よりなる芯材の外周に該芯材より
    硬さの高い高合金鋼よりなる外層材を溶着させる金属圧
    延用複合ロールの製造法において、複合構造形成後の前
    記芯材の真円度が10mm以下となるように該芯材の外周
    に該外層材を溶着する溶着工程と、熱間鍛造を施す鍛造
    工程と、実質的に前記外層材のみをオーステナイト変態
    点以上の温度に漸進加熱しながら該加熱部分に液体又は
    気体冷媒を噴射する漸進焼入を施す焼入工程と、サブゼ
    ロ処理を施す工程と、該焼入工程後に前記外層材の残留
    オーステナイト相を15体積%以下とする300℃以上
    の高温焼戻し処理を施す焼戻し工程とを含み、且つ、前
    記溶着工程には、前記芯材と同心で配置された冷却モー
    ルドと該芯材との間に形成される空隙に前記高合金鋼か
    ら成る消耗電極を挿入する工程と、該芯材及び該冷却モ
    ールドを円周方向に回転する工程と、スラグ浴の下で前
    記消耗電極及び芯材に対し各々複数の個所より交流電流
    を供給して前記消耗電極を溶解させて溶湯にする工程
    と、該冷却モールドを該芯材の軸線方向に移動させて溶
    湯を凝固させて該芯材に高合金鋼を溶着させる凝固工程
    とを含むことを特徴とする金属圧延用複合ロールの製造
    法。
  9. 【請求項9】ワークロールと、該ワークロールを支持す
    るバックアップロールとを備えた圧延機において、前記
    ワークロールは、芯材の外周を外層材で覆った金属圧延
    用複合ロールであって、前記芯材は、ショア硬さが35
    以上及び複合構造が形成された後の芯材の真円度が10
    mm以下で前記外層材より低い硬さを有する低合金鋼より
    なり、更に、前記外層材は、ショア硬さが80以上及び
    残留オーステナイト量が15体積%以下のマルテンサイ
    ト組織で、最外表面での残留応力が10kg/mm2 以上の
    圧縮応力である金属圧延用複合ロールであることを特徴
    とする圧延機。
  10. 【請求項10】ワークロールと、該ワークロールを支持
    するバックアップロールを備えた複数の圧延機がタンデ
    ムに多段に連結されている圧延システムにおいて、前記
    圧延機の少なくとも初段及び2段スタンドの前記ワーク
    ロールが、芯材の外周を外層材で覆った金属圧延用複合
    ロールであって、前記芯材は、ショア硬さが35以上及
    び複合構造が形成された後の芯材の真円度が10mm以下
    で前記外層材より低い硬さを有する低合金鋼よりなり、
    更に、前記外層材は、ショア硬さが80以上及び残留オ
    ーステナイト量が15体積%以下のマルテンサイト組織
    で、最外表面での残留応力が10kg/mm2 以上の圧縮応
    力である金属圧延用複合ロールであることを特徴とする
    圧延システム。
  11. 【請求項11】請求項10に記載の圧延システムにおい
    て、前記ワークロールの胴部直径が250mm〜750mm
    で、且つ前記外層材の厚さが30mm以上であることを特
    徴とする圧延システム。
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