JPS6161916B2

JPS6161916B2 -

Info

Publication number: JPS6161916B2
Application number: JP16149979A
Authority: JP
Inventors: Moroo Nakagawa
Original assignee: Hitachi Ltd
Current assignee: Hitachi Ltd
Priority date: 1979-12-14
Filing date: 1979-12-14
Publication date: 1986-12-27
Also published as: JPS5686697A

Description

【発明の詳細な説明】本発明は熱間圧延用作業ロールに係り、特に耐
焼きつき性に優れた熱間圧延用作業ロールの製造
法に関する。

従来、熱間圧延用作業ロールとして鋳鉄系の高
合金グレンやダクタイル、及び鋼系のアダマイト
材が用いられて来たが圧延中に流星疵やスケール
バンデイング及びピツト疵を生ずるために早期組
替が必要となり、圧延機の休止時間が長く、また
ロールの消耗量が多いという欠点があつた。その
ために流星疵や肌荒れの生じにくい鍛造した鋼ロ
ールが近年用いられている。しかし鍛造ロールは
流星疵や肌荒れを防止する上で効果があつたが鋳
鉄やアダマイトロールに比較してカーバイトが極
端に少いため鍛造ロールを仕上げ圧延機の前段に
用いると焼きつきを生じやすいという欠点があつ
た。焼きつきを生じにくい鍛造ロールとして自己
潤滑性の大きいＳやＰをロールに添加し、硫化鉄
や燐化鉄の形で存在させておけば圧延中に熱に対
して安定な硫化鉄および燐化鉄の被膜が摩擦、摩
耗を減少させることがテストロールにより確認さ
れた。しかし、ロールを製造する上で種々解決し
なければならないことがあることがわかつた。そ
こで本発明においてはその解決法の１つとして提
案し実施した結果、良好な結果が得られたもので
ある。

すなわち、鋼中にＳ及びＰを単独もしくは複合
して0.1〜0.5％含有させることにより耐焼きつき
性を大巾に改善させうることを実験的に確かめ更
に試作ロールにより実際の圧延でも確認すること
ができた。しかし、このように高いＳ及びＰを含
有させた鋼を作る場合に次の欠点を有することが
明らかとなつた。

(1) 高いＳ及びＰを含有する鋼を溶解した後の溶
解炉で一般の鋼を溶解すると異常に高いＳ及び
Ｐ濃度を示し、製鋼過程で脱Ｓ及び脱Ｐに長時
間を要すること。

(2) 鍛造過程で赤熱脆性が現われるため鍛造温度
の管理や圧下量の管理が難かしく、工業的な見
地から製造が難かしいこと。

以上の２点を解決するために、鍛造丸棒、圧延
丸棒及び径小となつたロールを芯金として圧延ロ
ールの胴部に相当する部分に特許請求の範囲にあ
る鋼を溶接肉盛する方法を考えた。溶接肉盛する
方法は従来実施されているいずれの方法でもよい
が、溶接量が多い場合はエレクトロスラグ溶接法
など高能率のものがよい。

以下本発明の実施例について述べる。

溶接法として高能率のエレクトロスラグ法を採
用した。すなわち、直径100mmの電極を次の化学
成分で作成した。すなわち、Ｃ：0.96％、Si0.86
％、Mn：0.35％、Cr：3.42％、Mo：0.46％、
Ｖ：0.08％、Ｓ：0.21％、Ｐ：0.09％とした。こ
れを電極として18本の多電極法により直径450mm
長さ2800mmの鍛造丸棒JISSF55にその中央部1300
mmにわたつて厚さ160mm溶接肉盛を行つた。溶接
に際しては欠陥が少なく均一な肉盛ができるよう
電極揺動を行つた。このようにして造つた鋼塊を
1200℃で拡散処理を施した後に溶接肉盛した部分
の直径が700mmになるまで鍛造を行い、機械加工
後、所定の熱処理すなわち焼入れ、焼もどしを行
い、所定の寸法に仕上げ加工を実施し、実際の圧
延作業に使用した。その結果、従来の鋳鉄ロール
と異り、圧延後の表面肌は非常に良好であり、ロ
ールの組替期間を３倍に延長しても従来ロールに
遜色ないものであつた。

すなわち、高いＳ、高いＰを含有する熱間圧延
用作業ロールを溶接肉盛法により製造することが
可能となつた。

本発明の方法によりロールの鍛造時に問題とさ
れている赤熱脆性割れを防止できると共に、芯部
に欠陥の少ない鍛造丸棒または圧延丸棒を用いて
いるので鍛造比は溶接肉盛部の巨大炭化物の分散
を計る程度でよいことがわかつた。電極作製に当
つて高いＳや高いＰを含有させることが工業的見
地から望ましくないこともありうるので、そのと
きはエレクトロスラク溶接ではフラツクスの中に
所定量のＳおよびＰを含有させ一定の速度で補給
することにより溶接肉盛部のＳおよびＰ量を高く
とることができる。更にサブマージアーク溶接法
などでは複合ワイヤを用いることによりこの問題
は容易に解決できる。

本発明を、従来法により高Ｓ材を鍛造したもの
と比較した場合には次の違いがある。まず、高Ｓ
材を鋳造したものは鋳造性が劣るため中心部近傍
に鋳造欠陥が発生する。従つて熱間圧延（特に
2Hロール）のごとく高い曲げ応力をうける場
合、これらの鋳造欠陥に起因する破壊が発生す
る。また、中心部に欠陥が存在するため熱処理も
限定せざるを得なく、表面層に十分なかたさと硬
化深さを与えることができない。さらに大型ロー
ルを鋳造する際の冷却速度には限界があるため表
面層においても十分な健全性を保つことは不可能
である。

これに対して本発明の方法では中心部は健全な
鍛造または圧延丸棒を使用することができ、これ
に必要量だけ肉盛溶接をするので、破壊に対して
は健全な鍛造または圧延丸棒が強度メンバーとし
て作用し、さらに表面の耐熱性に対しては肉盛溶
接部が有効に作用することにより、ロールとして
優れた特性を発揮する。また肉盛溶接した表面層
の組織は一体鋳造品に比較して緻密であり、有害
な偏析や巨大介在物なども少なく、流星疵やスケ
ールバンデイングなどが出にくくなる。

次に、Ｐ、Ｓ量の影響について述べる。Ｃ：
0.95％、Si：0.3％、Mn：0.25％、Cr：4.5％、
Mo：0.4％、Ｖ：0.05％とし、ＰとＳを単独及び
複合で含有し且つ含有量を変えて溶解製造した鋼
を鍛造し、摩耗試験を行つた。第１図は、摩耗減
量に及ぼすＰ量、Ｓ量及びＰとＳの合計量の影響
を示す。いずれも0.1％より少なくなると摩耗減
量が急増し、0.05％以下では焼きつきが生じた。
第２図は鍛造割れ発生率に及ぼすＰ量、Ｓ量及び
ＰとＳの合計量の影響を示す。いずれも0.5％を
超えると割れ発生率が著しく高くなる。

肉盛材の成分範囲限定の理由について説明す
る。

Ｃはセメンタイトの量、かたさ及び鍛造性など
に影響を及ぼすものであり、下限は炭化物の量に
より限定され、上限は鍛造性により限定される。
すなわちM₃C型のセメンタイトを10％程度残留さ
せるためには0.5％以上必要であり、また鍛造作
業は1.2％を超えると困難であるので0.5〜1.2％に
限定する。

Siは脱酸剤として使用する他に焼入性向上及び
焼もどし抵抗性の向上が期待されるため0.3％以
上添加するが1.2％をこえると焼入性をむしろ低
下させるので0.3〜1.2％に限定する。

Mnは不純元素として含有されるが他に焼入性
を改善すると共にＣ量が高い場合にMnを添加す
ると靭性の低下を抑制することができるので0.2
〜１％を含有する。

Crは炭化物形成元素であり耐摩耗性を向上さ
せるし、また焼入性も増すので多い方がよいが、
Ｃ量と同様に鍛造性を損うので２〜20％に限定す
る。

Moは焼入性の向上、焼もどし脆化の抑制など
有効な元素であるが、その効果と経済性を堪案し
て0.2〜２％に限定する。

Ｖは結晶粒の微細化、耐摩耗性の向上に役立つ
元素であるが研削性を損うので１％以下に限定す
る。

Ｗを必要に応じて含有してもよい。ＷはMoと
同様の効果があるがその量が増すと、硬い炭化物
を作り、肌荒れや、研削性に悪影響を及ぼすので
２％以下に限定する。

ＳおよびＰはその量が増すほど耐焼きつき性を
改善する効果があるが、大物鍛造品を作るに際し
て鍛造中に割れを誘発する危険性があるばかりで
なく、大型の非金属介在物を形成し、機械的性質
を損ねるので、その効果が期待できる最少量に止
めることが望ましい。従つて本発明においてはＳ
およびＰともに単独もしくは複合して含有させる
量を0.1〜0.5％に限定する。

【図面の簡単な説明】

第１図は摩耗試験における摩耗減量に及ぼす
Ｐ、Ｓの単独及び複合の含有量の影響を示す特性
図、第２図は鍛造割れ発生率に及ぼすＰ、Ｓの単
独及び複合の含有量の影響を示す特性図である。

Claims

【特許請求の範囲】

１重量でＣ：0.5〜1.2％、Si：0.3〜1.2％、
Mn：0.2〜１％、Cr：２〜20％、Mo：0.2〜２
％、Ｖ：１％以下、ＳとＰの少なくとも１つ0.1
〜0.5％、残部Feからなる鋼を、ロールの胴部に
溶接肉盛したのち鍛造することを特徴とする熱間
圧延用作業ロールの製造法。