JP2020015073A - 連続鋳造設備及び圧延方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】双ドラム式連続鋳造装置で鋳片を製造する際に、ワークロールに付着するスケールに起因する鋳片の表面品質不良を低減する。【解決手段】金属溶湯貯留部に貯留された金属溶湯を鋳造する双ドラム式連続鋳造装置と、鋳造された鋳片を一対のワークロールを圧延するインラインミルを有する圧延装置と、圧延された鋳片をコイル状に巻取る巻取り装置と、を備え、圧延装置は、インラインミル入側に、ワークロールを冷却する冷却水を吐出する入側冷却ノズルと、入側冷却ノズルと鋳片との間に設けられ、鋳片への冷却水の落下を防止する水切り板と、を配備しており、インラインミル出側に、ロールバイト出口からワークロールの回転方向に沿って、ワークロールを冷却する冷却水を吐出する出側冷却ノズルと、ワークロールに向けて気中キャビテーション噴流を噴射するキャビテーションノズルと、を順次配備している、連続鋳造設備が提供される。【選択図】図2

Description

本発明は、連続鋳造設備及び圧延方法に関する。
双ドラム式連続鋳造装置では、水平方向に対向配備された一対の連続鋳造用冷却ドラム(以下、「冷却ドラム」ともいう。)とサイド堰とによって金属溶湯貯留部を形成し、金属溶湯貯留部に貯留された金属溶湯を一対の冷却ドラムを回転させて薄肉の鋳片(以下、「鋳片」という。)を鋳造する(例えば、特許文献1)。金属溶湯貯留部に金属溶湯が貯留されると、冷却ドラムはそれぞれ上方から下方に回転され、金属溶湯を冷却ドラムの周面で凝固、成長させながら鋳片として下方へ送り出す。冷却ドラムから送り出された鋳片は、ピンチロールによって水平方向へ送り出され、下流のインラインミルによって所望の板厚に調整される。インラインミルによって板厚が調整された鋳片は、インラインミルの下流に設置された巻取装置によってコイル状に巻き取られる。
このような双ドラム式連続鋳造装置では、冷却ドラムは、一般的に、鋳造開始前は低温であり、鋳造を開始すると金属溶湯との接触により昇温する。また、冷却ドラムは、内面から冷却媒体(例えば、冷却水)によって所定の温度以上とならないように冷却されている。以下、冷却ドラムの温度が所定の温度に到達して一定となった期間を定常鋳造期間、定常鋳造期間の任意の時点を定常鋳造時、定常鋳造期間での冷却ドラムの温度を定常温度とする。また、定常鋳造期間の状態を定常状態という。
冷却ドラムのプロフィルは、鋳造を開始してから定常状態となるまでに時間経過とともに変化する。このため、冷却ドラムのプロフィルは、定常鋳造時における鋳片の板プロフィル(板クラウン)が所望の板プロフィルとなるように設定されている。
また、このような双ドラム式連続鋳造装置では、鋳造開始に当たってダミーシート(図示せず。)が用いられている。このダミーシートの先端は、コイル巻取機にセットされ、ダミーシートの尾端は双ロールドラムで挟むようにセットされている。
鋳片の先端となる溶融した金属は先ず冷えて固まり、前述のダミーシートの尾端と結合する。その後冷却ドラムが回転して、ダミーシートと結合した鋳片は、順次鋳造コイルに供給される。ダミーシートの結合部の板厚は、鋳片の板厚よりも遙かに厚い。この板厚が厚い部分をこぶとも称する。こぶをピンチロールまたはインラインミルで強く押さえたり圧延したりすると蛇行または板破断を生じるため、この部分はから通しを行い、インラインミルでの鋳片の圧延は、から通し後の定常状態になってから開始される。
鋳造後にインラインミルを有する圧延装置の入側に搬送された鋳片には、スケールが形成されており、鋳片の鋼種あるいは圧延機入側の鋳片温度によってスケールの組成、厚み等が異なる。このスケールの一部は、鋳片をインラインミルにて圧下した時に、鋳片から剥がれてワークロールの表面に付着する場合がある。ワークロールの表面に付着したスケールは、ワークロールとバックアップロールとが接触する接触面にて圧下されて、ワークロール表面に圧着される。この圧着されたスケールは、鋳片の圧延時に鋳片の表面と反応してさらに成長し大きくなる場合がある。また、ある程度成長したスケールは、ワークロール表面から脱落することもある。このように大きく成長したスケールは、圧延後の鋳片の表面品質を低下させたり、鋳片の表面に食い込んで表面欠陥を生じさせたりする。
このような表面欠陥が鋳片に生じると、次工程の酸洗にて、必要以上に溶削を行う過酸洗をする必要がある。過酸洗では、例えば、酸洗速度を落として酸洗を行うため、生産性が低下したり、過酸洗により板厚が薄くなることで歩留まりが低下したりする。このように、圧延機でのスケール付着に起因する鋳片の表面品質を改善するために過酸洗を行うと、製造コストの増大や歩留まり低下を生じさせる。
このようなスケールによる生産性の低下、歩留まり低下等を解決するために、インラインミルでスケールが圧下されるまでに鋳片表面のスケールを除去したり、ワークロールに付着したスケールを除去したりすることが有効である。
例えば特許文献2には、鋳片表面のスケールを除去する方法として、鋳片の表面に高速で水を噴射するデスケーラを用いる技術が開示されている。また、特許文献3には、研削ブラシを用いて鋳片のスケールを除去する技術が開示されている。さらに、特許文献4には、ワークロール表面に付着したスケールを除去する方法として、ブラシを用いる方法が開示されている。
特開2000−343103号公報 実公平5−39701号公報 実公昭58−147614号公報 特開2010−184254号公報 特許第5433794号公報
しかしながら、上記特許文献2に記載の方法は、鋳片またはワークロール表面からスケールを除去する上で有効ではあるが、水を用いてストリップ表面またはワークロールのスケールを取り除くためには高圧の水を噴射する必要があり、設備的コストが増大する。また、上記特許文献3、4に記載のように研削ブラシ等を用いて鋳片表面またはワークロールのスケールを取り除く方法では、研削ブラシ等には摩耗が生じるため、頻繁に研削ブラシ等を交換する必要がある。さらに、上記特許文献3、4に記載の研削ブラシ等は、圧延装置に対して、比較的大きいために、ワークロールに適用する場合にはスペースの制約がある。
また、例えば特許文献5には、調質圧延機においてキャビテーションノズルにより圧延ロールの洗浄を行う技術が開示されている。しかし、連続鋳造設備に対して特許文献5に開示されたキャビテーションノズルをそのまま適用しても、圧延ロールが十分に冷却されないため、ワークロールにサーマルクラウンが発生し、板形状が乱れる可能性がある。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、双ドラム式連続鋳造装置で鋳片を製造する際に、ワークロールに付着するスケールに起因する鋳片の表面品質不良を低減することが可能な、新規かつ改良された連続鋳造設備及び鋳造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、一対の冷却ドラムとサイド堰とによって金属溶湯貯留部を形成し、一対の前記冷却ドラムを回転させながら前記金属溶湯貯留部に貯留された金属溶湯を鋳造する双ドラム式連続鋳造装置と、前記双ドラム式連続鋳造装置の鋳造方向下流側に配備され、鋳造された鋳片を一対のワークロールを圧延するインラインミルを有する圧延装置と、前記圧延装置の圧延方向下流側に配備され、圧延された鋳片をコイル状に巻取る巻取り装置と、を備え、前記圧延装置は、前記インラインミル入側に、前記ワークロールを冷却する冷却水を吐出する入側冷却ノズルと、前記入側冷却ノズルと前記鋳片との間に設けられ、前記鋳片への前記冷却水の落下を防止する水切り板と、を配備しており、前記インラインミル出側に、ロールバイト出口から前記ワークロールの回転方向に沿って、前記ワークロールを冷却する冷却水を吐出する出側冷却ノズルと、前記ワークロールに向けて気中キャビテーション噴流を噴射するキャビテーションノズルと、を順次配備している、連続鋳造設備が提供される。
前記圧延装置の入側または出側に設けられ、前記鋳片の表面温度を測定する鋳片温度計と、前記鋳片温度計の測定値に基づいて、前記気中キャビテーション噴流の噴射量を制御する制御装置と、を備えてもよい。
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、連続鋳造設備により鋳造される鋳片の圧延方法であって、前記連続鋳造設備は、一対の冷却ドラムとサイド堰とによって金属溶湯貯留部を形成し、一対の前記冷却ドラムを回転させながら前記金属溶湯貯留部に貯留された金属溶湯を鋳造する双ドラム式連続鋳造装置と、前記双ドラム式連続鋳造装置の鋳造方向下流側に配備され、鋳造された鋳片を一対のワークロールにより圧延するインラインミルを有する圧延装置と、前記圧延装置の圧延方向下流側に配備され、圧延された鋳片をコイル状に巻取る巻取り装置と、を備え、前記圧延装置の前記インラインミル入側では、入側冷却ノズルと前記鋳片との間に水切り板が配備された状態で、前記入側冷却ノズルから前記ワークロールに対して冷却水を吐出し、前記インラインミル出側では、ロールバイト出口から前記ワークロールの回転方向に沿って順次配備された、出側冷却ノズルと、キャビテーションノズルとを用いて、前記ワークロールに対して、前記出側冷却ノズルから冷却水を吐出し、前記キャビテーションノズルから気中キャビテーション噴流を噴射しながら、鋳片を圧延する、鋳片の圧延方法が提供される。
前記圧延装置の入側または出側における前記鋳片の温度に基づいて、前記気中キャビテーション噴流の噴射量を制御してもよい。
上記構成により、冷却ノズルによりワークロールを冷却しながら、ワークロールの冷却によるワークロールの体積変化を利用して、ワークロール表面に付着したスケールを気中キャビテーション噴流により効率的に除去する。
以上説明したように本発明によれば、双ドラム式連続鋳造装置で鋳片を製造する際に、ワークロールに付着するスケールに起因する鋳片の表面品質不良を低減できる。
本発明の実施形態に係る連続鋳造設備を示す断面図である。 同実施形態に係る圧延装置の詳細を示す図である。 同実施形態の比較例に係る圧延装置内のキャビテーションノズルの配備を示す図である。 同実施形態の比較例に係る鋳片の板温度と、キャビテーションノズルの噴射圧力の関係を示した図である。 同実施形態に係る圧延装置内の各構成の配備を示す図である。 同実施形態の比較例に係る圧延装置内の各構成の配備を示す図である。 同実施形態の比較例に係る圧延装置内の各構成の配備を示す図である。 同実施形態の比較例に係る圧延装置内の各構成の配備を示す図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
(1.鋳片製造工程)
まず、図1を参照して、本発明の実施形態に係る鋳片を製造する製造工程の概要を説明する。図1は、本実施形態に係る鋳片(薄肉鋳片)の製造工程の概略構成を示す説明図である。
本実施形態に係る鋳片製造工程1は、図1に示すように、例えば、タンディッシュ(貯蔵装置)Tと、双ドラム式連続鋳造設備10と、酸化防止装置20と、冷却装置30と、第1のピンチロール装置40と、インラインミル50を含む圧延装置5と、第2のピンチロール装置60と、巻取装置70、とを備えている。
(双ドラム式連続鋳造装置)
双ドラム式連続鋳造装置10は、図1に示すように、例えば、一対の冷却ドラム10a、10bと、一対の冷却ドラム10a、10bの軸方向両側に配備されたサイド堰(図示せず。)と、を備える。一対の冷却ドラム10a、10bとサイド堰とは、タンディッシュTから供給される溶融金属を貯留する金属溶湯貯留部15を構成している。
一対の冷却ドラム10a、10bは、第1冷却ドラム10aと第2冷却ドラム10bとを備えている。第1冷却ドラム10a及び第2冷却ドラム10bは、軸方向中央が僅かに窪んだ凹形状のプロフィルを有している。また、第1冷却ドラム10aと第2冷却ドラム10bとは、製造する鋳片Sの板厚あるいは内部品質に応じて、第1冷却ドラム10a、第2冷却ドラム10bの間隔を調整可能に構成されている。第1冷却ドラム10a、第2冷却ドラム10bは、内部に冷却媒体(例えば、冷却水)が流通可能に構成されている。第1冷却ドラム10a、第2冷却ドラム10bの内部に冷却媒体を流通させることによって、第1冷却ドラム10a、第2冷却ドラム10bを冷却することができる。また、第1冷却ドラム10a、第2冷却ドラム10bの表面にはディンプル加工が施されている。
本実施形態では、第1冷却ドラム10a、第2冷却ドラム10bは、例えば、外径800mm、ドラム胴長(幅)1500mm、定常時における鋳片Sの板クラウンが30μmになるように設定(初期加工)されている。また、ディンプル形状は長径1.5mm、深さ100μmであっても良い。なお、一対の冷却ドラム10a、10bの外径、ドラム胴長(幅)、ディンプル形状は、これらに限定されないことはいうまでもない。
双ドラム式連続鋳造装置10では、鋳片Sの先端にダミーシート(図示せず。)を接続して、鋳造を開始する。ダミーシートの先端には、鋳片Sよりも厚みを有するダミーバー(図示せず。)が設けられており、ダミーバーによってダミーシートが誘導される。また、鋳片Sの先端とダミーシートとの接続部には、鋳片Sの板厚よりも厚いこぶ(図示せず。)が形成される。インラインミル50における圧延は、突起部12がインラインミル50を通過した後に開始される。この圧延方法をフライングタッチとも称する。
(酸化防止装置)
酸化防止装置20は、鋳造直後の鋳片Sの表面が酸化してスケールが発生するのを防止するための処理を行うための装置である。酸化防止装置20内では、例えば、窒素ガスによって酸素量を調整することが可能である。酸化防止装置20は、鋳造する鋳片Sの鋼種等を考慮し、必要に応じて適用することが好ましい。
(冷却装置)
冷却装置30は、酸化防止装置20により酸化防止処理が表面に施された鋳片Sを冷却する装置である。冷却装置30は、例えば、複数のスプレーノズル(図示せず。)を備え、鋼種に応じてスプレーノズルから鋳片Sの表面(上面及び下面)に対して冷却水を噴出し、鋳片Sを冷却する。
なお、酸化防止装置20と冷却装置30との間に、一対の送りロール87を配備してもよい。一対の送りロール87は、圧下装置(図示せず。)によって鋳片Sを挟むとともに、一対の冷却ドラム10a、10bと送りロール87との間における鋳片Sのループ長を計測しながら、当該ループ長が一定となるように鋳片Sに水平方向の搬送力を付与する。送りロール87は、例えば、ロール径200mm、ロール胴長(幅)2000mmの一対のロールにより構成されている。
(第1のピンチロール装置)
第1のピンチロール装置40は、インラインミル50の入側に配備されるピンチロール装置である。第1のピンチロール装置40は、上ピンチロール40a及び下ピンチロール40bと、ハウジングと、ロールチョックと、圧延荷重検出装置と、圧下装置(第1のピンチロール装置40以外はいずれも図示せず。)と、を備えている。上ピンチロール40a及び下ピンチロール40bは、それぞれ内部に中空流路が形成されており、冷却媒体(例えば、冷却水)が流通可能に構成されている。冷却媒体を流通させることにより、第1のピンチロール装置40を冷却することができる。
上ピンチロール40a及び下ピンチロール40bは、例えば、ロール径400mm、ロール胴長(幅)2000mmとしてもよい。上ピンチロール40a及び下ピンチロール40bは、ハウジング内のロールチョックを介して配備されており、モータ(図示せず。)によって回転駆動される。また、上ピンチロール40aは、上圧延荷重検出装置(図示せず。)を介してパスライン調整装置(図示せず。)と連結されており、下ピンチロール40bは、圧下装置(図示せず。)と接続されている。
かかる構成の第1のピンチロール装置40では、下ピンチロール40bが圧下装置により上ピンチロール40a側へ押し上げられると、上ピンチロール40a及び下ピンチロール40bに負荷された圧下荷重が検出されるとともに、第1のピンチロール装置40と矯正装置(図示せず。)との間の鋳片Sに張力が発生する。また、第1のピンチロール装置40とインラインミル50との間の鋳片Sに生じる張力が予め設定された張力になるように、一対のピンチロール40a、40bとインラインミル50とにおける鋳片Sの移動速度は制御されている。また、第1のピンチロール装置40と矯正装置との間の鋳片Sに張力は、テンションロール88aにて検出される。第1のピンチロールの上流側には、鋳片の位置を検出する位置検出装置41が設けられてもよい。
(圧延装置)
圧延装置5は、インラインミル50と、冷却ノズルと、水切り板と、キャビテーションノズルと、を備える。
インラインミル50は、鋳片Sを圧延して、鋳片Sを所望の板厚にする圧延機である。本実施形態では、インラインミル50は4重圧延機として構成されている。すなわち、インラインミル50は、一対のワークロール51a、51bと、ワークロール51a、51bの上下に配備されたバックアップロール52a、52bと、を備える。
冷却ノズルは、冷却水をワークロール51a、51bに対して吐出して、ワークロール51a、51bを冷却する。水切り板は、冷却ノズルから吐出された冷却水が鋳片にかからないように設けられる。キャビテーションノズルは、例えば、水のような高圧な液体をワークロールに対して噴射してキャビテーションを発生させてワークロールに付着した異物を除去する。圧延装置5におけるインラインミル50に対する、冷却ノズルと、水切り板と、キャビテーションノズルとの位置関係、キャビテーションに関する詳細は後述する。
(第2のピンチロール装置)
第2のピンチロール装置60は、インラインミル50の出側に配備されている。第2のピンチロール装置60は、第1のピンチロール装置40と同様、上ピンチロール及び下ピンチロールと、圧延荷重検出装置と、圧下装置とを備えている。上ピンチロール及び下ピンチロールは、それぞれ内部に中空流路が形成されており、冷却媒体(例えば、冷却水)が流通可能に構成されている。冷却媒体を流通させることにより、ピンチロールを冷却することができる。上ピンチロール及び下ピンチロールは、例えば、ロール径400mm、ロール胴長(幅)2000mmとしてもよい。また、上ピンチロール及び下ピンチロールは、ハウジング内のロールチョックを介して配備されており、モータ(図示せず。)によって回転駆動される。インラインミル50と第2のピンチロール装置60との間には、テンションロール88bが配備されている。
(巻取装置)
巻取装置70は、第2のピンチロール装置60の出側に配備され、鋳片Sをコイル状に巻き取る装置である。第2のピンチロール装置60と巻取装置70との間には、デフレクターロール89が配備されている。以上、本実施形態に係る鋳片(薄肉鋳片)の製造工程の概略構成を説明した。
(2.圧延装置におけるスケール除去)
(2−1.圧延装置の構成)
次に、図2を参照して、上述した連続鋳造設備の圧延装置5を構成するインラインミル、冷却ノズル、水切り板、キャビテーションノズルの位置関係について説明する。図2は、圧延装置5のインラインミル、冷却ノズル、水切り板、キャビテーションノズルの位置関係を示した図である。冷却ノズル、水切り板、キャビテーションノズルは、例えば、鋳片Sに対して線対称に配備されている。
図2に示すように、圧延装置5のインラインミル50の入側には、上側のワークロール51aに対して、当該ワークロール51aを冷却する冷却水を吐出する2つの入側冷却ノズル130c、130dがワークロール51aの回転方向に沿って順次配備されている。また、同様に、下側のワークロール51bには、下側のワークロール51bに対して、当該ワークロール51bを冷却する冷却水を吐出する2つの入側冷却ノズル130g、130hがワークロール51bの回転方向に沿って配備されている。
鋳片Sの上側で、入側冷却ノズル130dと鋳片Sとの間には、水切り板120fが配備され、鋳片Sの下側で、入側冷却ノズル130hと鋳片Sとの間には、水切り板120eが配備されている。水切り板120f、120eが配備されることにより、入側冷却ノズル130c、130d、130g、130hにより吐出された冷却水が鋳片Sに落下して、鋳片に冷却水がかかることを防止し、冷却水による鋳片Sの温度低下を抑制して、圧延条件が変化することを防止している。
なお、かかる例では入側の冷却ノズルが、鋳片の上側及び下側にそれぞれ2つずつ設ける例を示したが、設けられる入側の冷却ノズルの数は、上側及び下側にそれぞれ2つに限らず、上側及び下側にそれぞれ少なくとも1つ以上設けられれば良い。
インラインミル50の出側には、上側のワークロール51aに対して、ロールバイト出口からワークロール51aの回転方向に沿って、該ワークロール51aを冷却する冷却水を吐出する出側冷却ノズル130aと、ワークロール51aに向けて気中キャビテーション噴流を噴射するキャビテーションノズル110aとが順次配備されている。また、同様に、下側のワークロール51bに対して、ロールバイト出口からワークロール51bの回転方向に沿って、ワークロール51bを冷却する冷却水を吐出する出側冷却ノズル130eと、ワークロール51bに向けて気中キャビテーション噴流を噴射するキャビテーションノズル110bとが順次配備されている。
ここで、キャビテーションノズルに関して説明する。キャビテーションノズル110a、110bは、それぞれワークロール51a、51bに向けて気中キャビテーション噴流を噴射し、ワークロールに51a、51bに付着したスケールを除去する。
気中キャビテーション噴流とは、液相中に気泡のような気相を含み、該気相が液相に移行する際に発生する衝撃力を使用して、ワークロール表面に付着したスケールを除去する噴流である。このキャビテーション噴流を発生させるために、キャビテーションノズル110a、110bでは、大気中に低速噴流を噴射して、該低速噴流の中心部に高速噴流を噴射し、液相に気相を発生させている。この方法により、液相中に気泡のような気相を発生させ、該気相が液相に相変化を引き起こす際の衝撃力を利用して、鋳片表面に付着したスケールを除去する。この気中キャビテーション噴流に用いられる液体には、主に水が用いられるが、かかる例に限定されず、スケール種類、鋼種等に応じて適宜決定されてよい。
キャビテーションノズル110a、110bは、上述したようにインラインミル50の出側に設けられる。この配置により、ワークロールに付着したスケールを含む異物が、ワークロール51a、51bとバックアップロール52a、52bとの間で圧着される前に除去される。
また、キャビテーションノズル110a、110bの配置位置は、バックアップロール52a、52bに近いほど、スケールの除去効率が高くなる。これは、バックアップロール52aに近くなるほど、ワークロールの最高温度と最低温度の差が大きくなり、鋳片Sにワークロール51aの冷却率が高く、ワークロールの体積変化が大きいためスケールが剥離しやすくなるからと考えられる。よって、キャビテーションノズル110a、110bは、バックアップロール52a、52bの近くに配備されてもよい。なお、ワークロールの体積変化とスケールとに関する説明は後述する。
インラインミル50の出側の鋳片Sの上側には、さらに鋳片Sと出側冷却ノズル130aとの間に水切り板120bが配備されている。水切り板120bは鋳片Sに冷却水がかかることを防止する。また、キャビテーションノズル110aと出側冷却ノズル130aとの間には、水切り板120aが配備されている。水切り板120aは、出側冷却ノズル130aから吐出された冷却水がワークロール51aの回転に沿ってキャビテーションノズル110a側に移動することを防止する。
これらの水切り板120a、120bは必ずしも圧延装置5に配備する必要はなく、適宜、配備の有無が決定されてよい。しかし、出側冷却ノズル130aから吐出された冷却水がワークロール51aの回転方向に沿って移動すると、キャビテーションノズル110aから噴射される気中キャビテーション噴流のワークロール51aへの衝突がワークロール51aに付着した冷却水によって妨げられてしまい、スケール除去効果が低下してしまう。このため、水切り板120aは配備した方が望ましい。
インラインミル50の出側の鋳片Sの下側には、鋳片Sの上側と同様に、鋳片Sと出側冷却ノズル130eとの間に水切り板120cが配備されている。水切り板120cは鋳片Sに冷却水がかかることを防止する。また、キャビテーションノズル110bと出側冷却ノズル130eとの間には、水切り板120dが配備されている。水切り板120dは、出側冷却ノズル130eから吐出された冷却水がワークロール51bの回転に沿ってキャビテーションノズル110b側に移動することを防止する。
これらの水切り板120c、120dは必ずしも圧延装置5に配備する必要はなく、適宜、配備の有無が決定されてよい。しかし、出側冷却ノズル130eから吐出された冷却水がワークロール51bの回転方向に沿って移動すると、キャビテーションノズル110bから噴射される気中キャビテーション噴流のワークロール51bへの衝突がワークロール51bに付着した冷却水によって妨げられてしまい、スケール除去効果が低下してしまう。このため、水切り板120dは配備した方が望ましい。
圧延装置5の出側には、鋳片Sの表面温度を測定する鋳片温度計180が設けられる。なお、図2において、鋳片温度計180は、圧延装置5の出側に設けられているが、本発明はかかる例に限定されず、圧延装置5の入側に設けられてもよい。圧延装置5の入側に鋳片温度計180が設けられることにより、これから圧延される鋳片Sに対して適切な気中キャビテーション噴流の噴射量を設定することができる。鋳片温度計180は、鋳片Sの表面温度を測定して、制御装置190に測定値を出力する。
制御装置190は、気中キャビテーション噴流の噴射量を制御する。気中キャビテーション噴流の噴射量は、例えばキャビテーションノズルから噴射される際の噴射圧力、流体の流量等を調整することにより制御される。制御装置190が、鋳片温度計180の測定値に基づいて気中キャビテーション噴流の噴射量を制御することにより、圧延装置5では、鋳片の温度に応じた適切な気中キャビテーション噴流の噴射量にて、スケールを除去することができる。具体的には、制御装置190は、鋳片温度計180にて測定された鋳片Sの温度の入力を受けて、予め実験等に基づいて設定された温度と圧力との関係から、入力された温度に対応する噴射圧力を求め、当該噴射圧力となるようにキャビテーションノズル110a、110bに供給される流体の噴射圧力が制御される。
(2−2.気中キャビテーション噴流の噴射量制御)
ここで、キャビテーションノズル110aから噴射される気中キャビテーション噴流の噴射圧力と、圧延装置入側の温度との関係を調査した結果を示す。本調査では、図3に示すように、インラインミル50の出側にキャビテーションノズル110aを配備する圧延装置にて調査を行った。キャビテーションノズル110aの先端とワークロール51aの表面との離間距離は50mmとした。図3では、鋳片Sの上側のみ示しているが、鋳片Sの下側には図3に示す鋳片上側の構成が鋳片に対して線対称に設けられている。気中キャビテーション噴流の噴射圧力は10MPaから60MPaまで、圧延機入側の炭素鋼温度は800℃から1100℃まで変化させて、ワークロール51aの表面と圧延後の板表面との調査を行った。なお、圧延装置には、ロール径400mmのワークロール51a、51b、ロール径1200mmのバックアップロール52a、52bを用いた。各ロールの胴長は例えば2000mmとした。さらに、鋳片Sの鋼種は炭素鋼、板幅は1200mm、板厚2mmとした。
本調査の結果を図4に示す。図4は、鋳片の板温度と気中キャビテーション噴流の噴射圧力との関係を示した図である。図4では、ワークロール表面及び圧延後の板表面に表面欠陥等の異常が確認されなかったものを○、ワークロール表面及び圧延後の板表面に異常が確認されたものを×で示した。
図4より、気中キャビテーション噴流の噴射圧力が50MPa以上であれば板温度を800℃から1100℃としても、ワークロール表面および圧延後の板表面に表面欠陥等の異常が発生しないことがわかる。また、板温度が高温域になるほどワークロール表面および圧延後の板表面に表面欠陥等を発生させないために必要な気中キャビテーション噴流の噴射圧力は低下する。これは、ワークロールにスケールが付着した時のワークロールの温度が高いほど線膨張係数が高くなることに起因すると考えられる。
ワークロールは、鋳片Sとの接触の際に最も高温となり、その後冷却ノズルから吐出される冷却水により冷却され、バックアップロールと接触した後、再度鋳片Sに接触するまで、ワークロールの温度は低下していく。鋳片Sの温度が高いほど、鋳片Sに接触したワークロールの温度も高くなる。このため、スケールは、鋳片Sの温度が高い状態であればワークロールの線膨張率が高い状態でワークロールに付着する。その後ワークロールが冷却されるとワークロールは収縮し、ワークロールに接したときの鋳片Sの温度が高いほどワークロールの冷却率が高くなるため、ワークロールの体積または長さ変化が大きくなり、スケールがワークロール表面から剥離されやすくなる。この様な理由により、鋳片Sの温度が高いほどワークロールの線膨張係数の差が大きくなり、スケール剥離が容易となることから、気中キャビテーション噴流の噴射圧力が低い場合にも、圧延後の鋳片Sに表面欠陥等の異常が発生しないと考えられる。
また、気中キャビテーション噴流の噴射圧力が高いほど、板温度の変化幅が大きくてもスケールを除去することができる。しかしながら、製造コストの観点からみると、気中キャビテーション噴流の噴射圧力を高く維持させると電力コストがその分かかるため、板温度に応じて気中キャビテーション噴流の噴射量を制御することが好ましい。例えば、気中キャビテーション噴流の噴射圧力が50Mpaから30Mpaに低下すると、必要な電力は50Mpaの圧力時の約70%に低下する。
よって、板温度に応じて気中キャビテーション噴流の噴射圧力を適正値に調整することで、製造コストを低減することができる。また、気中キャビテーション噴流の噴射圧力を制御することにより、噴射圧力を最大で維持するよりも、キャビテーションノズルに使用される部品等の長寿命化を図ることができる。このように設備メンテナンスおよび経済性の観点からも気中キャビテーション噴流の噴射圧力を制御することが好ましい。さらには、板温度に応じて、スケールの組成、厚みが変化する。このように、スケールの観点からも、気中キャビテーション噴流の噴射圧力を制御することが好ましい。
図4に示したような、板温度と適正な噴射圧力との関係は、鋳片Sの鋼種、連続鋳造設備における冷却装置の雰囲気等によって異なるため、適宜予め実験で求めればよい。鋳片Sを圧延する際には、図4に示したような鋳片S及びワークロールに表面欠陥が生じない限界曲線を示す近似曲線Lを求め、制御装置190では、板温度により近似曲線Lで示される噴射圧力よりも低下しないように噴射圧力を制御すれば良い。また、噴射圧力を制御する代わりに、ノズル口径の異なるキャビテーションノズルを複数配備し、使用するキャビテーションノズルを切り替えることにより、同じ噴射圧力でもキャビテーション噴流の噴射量を変えることができるようにしても良い。
以上説明した圧延装置の構成、該圧延装置における気中キャビテーション噴流の噴射量制御を行うことで、双ドラム式連続鋳造設備により製造される鋳片をインラインミルで圧延する際に、ワークロールに付着するスケールに起因する鋳片の表面品質不良を低減できる。
本発明の効果を確認するために、図2で示した位置関係でキャビテーションノズルが配置される圧延装置と、その他の位置にキャビテーションノズルが配置される圧延装置と、を用いて鋳片を圧延し表面欠陥の確認を行った。図3及び図5Aから図5Dを参照して、説明を行う。図3及び図5Aから図5Dでは、鋳片Sに対して鉛直方向上側のみの圧延装置の構成を示しており、インラインミル、冷却ノズル、水切り板、キャビテーションノズルの各構成の位置関係を示している。鋳片Sから鉛直方向下側には、鋳片Sを線対称に同様の構成が配備される。まず、各図を参照しながら圧延装置の構成配置を説明する。なお、図5Aに示される圧延装置では、図2にて説明した本発明のキャビテーションノズルと同様にキャビテーションノズルを配置している。
(実施例1)
図5Aは、図2と同様の圧延装置を示しており、鋳片Sの上側を示した図である。図5Aに示される圧延装置5では、インラインミル50の入側に、上側のワークロール51aに対して、当該ワークロール51aを冷却する冷却水を吐出する2つの入側冷却ノズル130c、130dがワークロール51aの回転方向に沿って配備され、入側冷却ノズル130d及び鋳片Sの間には、冷却水が鋳片Sにかかることを防止する水切り板120fが配備される。インラインミル50の出側には、上側のワークロール51aに対して、該ワークロール51aを冷却する冷却水を吐出する出側冷却ノズル130aと、ワークロール51aに向けて気中キャビテーション噴流を噴射するキャビテーションノズル110aと、がロールバイト出口からワークロール51aの回転方向に沿って、順次配備されている。キャビテーションノズル110aと出側冷却ノズル130aとの間には、水切り板120aが設けられ、出側冷却ノズル130aと鋳片Sとの間には、水切り板120bが設けられている。この圧延装置を実施例1とする。
(比較例1)
図5Bに示す圧延装置には、インラインミル50の入側に、上側のワークロール51aに対して、当該ワークロール51aを冷却する冷却水を吐出する2つの入側冷却ノズル130c、130dがワークロール51aの回転方向に沿って配備され、入側冷却ノズル130d及び鋳片Sの間には、冷却水が鋳片Sにかかることを防止する水切り板120fが配備される。インラインミル50の出側には、上側のワークロール51aに対して、ワークロール51aに向けて気中キャビテーション噴流を噴射するキャビテーションノズル110aと、ワークロール51aを冷却する冷却水を吐出する出側冷却ノズル130bとがロールバイト出口からワークロール51aの回転方向に沿って、順次配備されている。キャビテーションノズル110aと出側冷却ノズル130bとの間には、水切り板120aが設けられ、キャビテーションノズル110aと鋳片Sとの間には、水切り板120bが設けられている。この圧延装置を比較例1とする。
(比較例2)
図5Cに示す圧延装置では、インラインミル50の出側に、上側のワークロール51aに対して、該ワークロール51aを冷却する冷却水を吐出する2つの出側冷却ノズル130a、130bが、ワークロール51aの回転方向に沿って、配備される。出側冷却ノズル130aと出側冷却ノズル130bとの間には水切り板120aが設けられ、出側冷却ノズル130aと鋳片Sとの間には水切り板120bが設けられている。インラインミル50の入側には、ワークロール51aに対して、ワークロール51aとバックアップロール52aの接触点から、ワークロール51aの回転方向に沿って、ワークロール51aに向けて気中キャビテーション噴流を噴射するキャビテーションノズル110aと、ワークロール51aを冷却する冷却水を吐出する入側冷却ノズル130dとが順次配備されている。入側冷却ノズル130dと鋳片Sとの間には、水切り板120fが設けられている。この圧延装置を比較例2とする。
(比較例3)
図5Dに示す圧延装置では、インラインミル50の出側に、ワークロール51aに対して、該ワークロール51aを冷却する冷却水を吐出する2つの出側冷却ノズル130a、130bがワークロール51aの回転方向に沿って配備される。出側冷却ノズル130aと出側冷却ノズル130bとの間には水切り板120aが設けられ、出側冷却ノズル130aと鋳片Sとの間には水切り板120bが設けられている。インラインミル50の入側には、ワークロール51aに対して、ワークロール51aとバックアップロール52aの接触点から、ワークロール51aの回転方向に沿って、ワークロール51aを冷却する冷却水を吐出する入側冷却ノズル130cとワークロール51aに向けて気中キャビテーション噴流を噴射するキャビテーションノズル110aと、が順次配備されている。キャビテーションノズル110aと鋳片Sとの間には、水切り板120fが設けられている。この圧延装置を比較例3とする。
(比較例4)
図3に示す圧延装置では、インラインミル50の出側に、キャビテーションノズル110aが配備されている。図3に示す圧延装置では、冷却ノズル、水切り板のいずれも配備されない。この圧延装置を比較例4とする。
(比較例5)
なお、図示はしていないが、さらに、実施例1で示した圧延装置のキャビテーションノズル110aの代わりに冷却水ノズルを配備した圧延装置を比較例5とした。
以上説明した圧延装置を用いて、図1と同様の構成を備えた鋳片の製造工程において、鋳片の製造を実施した。本実施例で使用した鋳片は、板厚2mm、板幅1200mmの炭素鋼であった。なお、本実施例では、炭素鋼を用いたが、鋳片の鋼種はかかる例に限定されない。鋳造開始からの冷却ドラムの加速レートは150m/min/30secであり、定常状態の冷却ドラムの回転速度は150m/minであった。なお、冷却ドラムの初期プロフィルは定常状態で鋳片の板クラウンが43μmになるように初期プロフィルを加工した。また、圧延装置では、鋳片の板温度を980から1150℃の間で設定し、インラインミルにより圧下率30%の圧延を行った。圧延後のインラインミル出側の鋳片の板厚は1.4mmとした。インラインミルでの圧延は、ダミーシートが通過し、鋳片の板クラウン150μm以下になった後の鋳造開始から15秒後に開始された。
本実施例では、図4に示した圧延装置入側の板温度と気中キャビテーション噴流の噴射圧力との関係から限界曲線を3次式で近似した3次式関数を算出し、該3次式関数を制御装置に組み込んだ。そして、該3次式関数が組み込まれた制御装置により、ワークロール及び鋳片Sの表面に欠陥が生じない範囲で気中キャビテーション噴流の噴射量を制御して圧延を行った。
上記の実施例1及び比較例1から比較例5の圧延装置にて、炭素鋼を100コイル、板温度1000℃、圧下率30%で圧延した。鋳片を100コイル圧延後に、鋳造後のワークロールの表面を撮影し、ワークロール表面に付着した異物の面積率を画像処理して求めた。ここで、異物の面積率を求める際の基準として、比較例5の圧延装置にて、鋳片の圧延を行い、該圧延装置にてワークロールの表面に付着した異物の面積を1として、実施例及び他の比較例の鋳片の異物の面積割合を求めた。なお、比較例5の圧延装置による圧延では、実施例1で示したキャビテーションノズル110aの噴射量とキャビテーションノズル110aの代わり配備した冷却水ノズルの吐出流量とが同じになるように圧延を行った。
実施例1では、異物の面積割合は0であり、異物の付着が確認されることはなかった。
比較例1では、異物の面積割合は0.09であった。比較例2では、異物の面積割合は0.41であった。比較例3では、異物の面積割合は0.42であった。
なお、冷却ノズルおよび水切り板を設けない比較例4の圧延装置では、異物の面積割合は0.08であった。この比較例4の圧延では、ワークロールが冷却されないために、サーマルクラウンが発生し、鋳片Sの板形状の乱れが発生し、安定した圧延ができなかった。
実施例1及び比較例1の結果は、インラインミルの出側にキャビテーションノズルが配備された場合の結果を示している。キャビテーションノズルの位置としては、実施例1のキャビテーションノズルが比較例1よりもバックアップロールに近い位置に配備されている。実施例1及び比較例1の異物の面積割合を比較すると、それぞれ0と0.09であり、キャビテーションノズルの配備位置がバックアップロールに近いほど、異物の面積率が減少することが確認された。
これは、バックアップロールに近いほど、ワークロールが冷却されるため、キャビテーションノズルの配備位置がバックアップロールに近いほど、スケールが剥離しやすいからと考えられる。ワークロールは、鋳片Sとの接触の際に最も高温となり、その後冷却ノズルから吐出される冷却水により冷却され、バックアップロールと接触した後、再度鋳片Sに接触するまで、ワークロールの温度は低下していく。このため、スケールは、ワークロールの線膨張率が高い状態でワークロールに付着する。その後ワークロールが冷却されるとワークロールは収縮する。インラインミルの出側においては、ワークロールがバックアップロールに近いほど、ワークロールの温度は冷却されており、ワークロールの体積または長さ変化が大きくなり、スケールがワークロール表面から剥離されやすくなる。よって、実施例1では、効率よくスケールが除去され、キャビテーションノズルの配備位置がバックアップロールに近いほど、異物の面積率が減少したと考えられる。
一方、比較例2及び比較例3では、異物の面積割合がそれぞれ0.41と0.42を示し、キャビテーションノズルがインラインミル出側に設けられる場合よりも、インラインミル入側に設けられる方が、異物の面積割合が高いことがわかった。これは、ワークロールに付着したスケールが、バックアップロールと接触することにより圧着され、気中キャビテーション噴流を噴射してもスケールが除去できなかったことが原因と考えられる。
以上より、本発明のキャビテーションノズルの配置を示す実施例1の圧延装置では、スケールを含む異物の除去に格段の効果が奏されることが分かった。
上記では、キャビテーションノズルの配置位置の違いにより、ワークロール表面の異物の面積割合が変化することを確認した。次に、キャビテーションノズルから噴射される気中キャビテーション噴流の噴射量の制御に関して、本発明の圧延制御の効果の確認を行った。
本実施例では、上記の実施例に加えて、さらに、実施例1で示した圧延装置を用いて、鋳片の温度を900℃から150℃となるように冷却条件を変化させて、圧延を実施し圧延後の鋳片の表面観察を行った。
(実施例2)
実施例2では、鋳片の板温度に応じた気中キャビテーション噴流の噴射量の制御は行わなかった。
(実施例3)
実施例3では、鋳片の板温度に応じて気中キャビテーション噴流の噴射圧力を制御して圧延を実施し、圧延後のワークロールの表面観察を行った。
実施例2では、冷却されたワークロールの温度が高温側であるほどワークロール表面に異物が付着する場合があった。一方で、キャビテーションノズルの噴射圧力の制御を行った実施例3では、冷却されたワークロールの温度が高温側であってもワークロール表面に異物が付着することはなかった。これは、板温度が変化した際に、ワークロールに気中キャビテーション噴流を噴射されるまでのワークロール温度が異なり、スケールの剥離のしやすさが変化したことによると考えられる。冷却されたワークロールの温度が高温であるほど、ワークロールの体積変化は減少するため、スケールは剥離しにくい。
つまり、実施例2では、気中キャビテーション噴流の噴射量が一定であったため、スケールが剥離しにくいワークロールの温度が高温側では、スケールがワークロール表面に残存し、異物が確認されたと考えられる。一方、実施例3では、板温度に応じて、気中キャビテーション噴流の噴射量を変化させたため、ワークロールの体積変化が小さく、スケールが剥離しにくい場合であっても、気中キャビテーション噴流の噴射量を増加して、スケールを除去できたと考えられる。
以上のことから、本発明により、双ドラム式連続鋳造設備により製造される鋳片をインラインミルで圧延する際に、ワークロールに付着するスケールに起因する鋳片の表面品質不良を低減できることが確認された。表面品質不良を低減できれば、次工程の酸洗工程にて過酸洗をしなくてもよく、過酸洗による製造コストを低減させることができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
110a、110b キャビテーションノズル
120a、120b、120c、120d、120e、120f 水切り板
130a、130e 出側冷却ノズル
130c、130d、130g、130h 入側冷却ノズル
180 鋳片温度計
190 制御装置

Claims (4)

  1. 一対の冷却ドラムとサイド堰とによって金属溶湯貯留部を形成し、一対の前記冷却ドラムを回転させながら前記金属溶湯貯留部に貯留された金属溶湯を鋳造する双ドラム式連続鋳造装置と、
    前記双ドラム式連続鋳造装置の鋳造方向下流側に配備され、鋳造された鋳片を一対のワークロールを圧延するインラインミルを有する圧延装置と、
    前記圧延装置の圧延方向下流側に配備され、圧延された鋳片をコイル状に巻取る巻取り装置と、
    を備え、
    前記圧延装置は、
    前記インラインミル入側に、
    前記ワークロールを冷却する冷却水を吐出する入側冷却ノズルと、
    前記入側冷却ノズルと前記鋳片との間に設けられ、前記鋳片への前記冷却水の落下を防止する水切り板と、を配備しており、
    前記インラインミル出側に、ロールバイト出口から前記ワークロールの回転方向に沿って、
    前記ワークロールを冷却する冷却水を吐出する出側冷却ノズルと、
    前記ワークロールに向けて気中キャビテーション噴流を噴射するキャビテーションノズルと、を順次配備している、連続鋳造設備。
  2. 前記圧延装置の入側または出側に設けられ、前記鋳片の表面温度を測定する鋳片温度計と、
    前記鋳片温度計の測定値に基づいて、前記気中キャビテーション噴流の噴射量を制御する制御装置と、を備える、請求項1に記載の連続鋳造設備。
  3. 連続鋳造設備により鋳造される鋳片の圧延方法であって、
    前記連続鋳造設備は、
    一対の冷却ドラムとサイド堰とによって金属溶湯貯留部を形成し、一対の前記冷却ドラムを回転させながら前記金属溶湯貯留部に貯留された金属溶湯を鋳造する双ドラム式連続鋳造装置と、
    前記双ドラム式連続鋳造装置の鋳造方向下流側に配備され、鋳造された鋳片を一対のワークロールにより圧延するインラインミルを有する圧延装置と、
    前記圧延装置の圧延方向下流側に配備され、圧延された鋳片をコイル状に巻取る巻取り装置と、を備え、
    前記圧延装置の前記インラインミル入側では、
    入側冷却ノズルと前記鋳片との間に水切り板が配備された状態で、前記入側冷却ノズルから前記ワークロールに対して冷却水を吐出し、
    前記インラインミル出側では、
    ロールバイト出口から前記ワークロールの回転方向に沿って順次配備された、出側冷却ノズルと、キャビテーションノズルとを用いて、
    前記ワークロールに対して、前記出側冷却ノズルから冷却水を吐出し、
    前記キャビテーションノズルから気中キャビテーション噴流を噴射しながら、鋳片を圧延する、鋳片の圧延方法。
  4. 前記圧延装置の入側または出側における前記鋳片の温度に基づいて、前記気中キャビテーション噴流の噴射量を制御する、請求項3に記載の鋳片の圧延方法。
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