JP2020015074A - 連続鋳造設備及び圧延方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ダミーシートから軽圧下圧延を実施することを可能とし、鋳片の破断を抑制し、歩留り向上による製造コスト低減が可能な、新規かつ改良された連続鋳造設備及び鋳造方法を提供する。【解決手段】一対の冷却ドラムを回転させながら金属溶湯貯留部に貯留された金属溶湯を鋳造する双ドラム式連続鋳造装置と、双ドラム式連続鋳造装置の鋳造方向下流側に配置され、鋳造された鋳片を圧延する圧延装置と、圧延装置の圧延方向下流側に配置され、圧延された鋳片を水平方向へ送り出すピンチロールと、ピンチロールの鋳片送出方向下流側に配置され、送出された鋳片をコイル状に巻取る巻取り装置と、を有する連続鋳造設備において、圧延装置と、ピンチロールとの間にダンパーを配備し、ダンパーは、鋳片の張力変動に応じて変化する鋳片からの負荷を受けて減衰力を発生するダンパー機能を有する、連続鋳造設備が提供される。【選択図】図1

Description

本発明は、連続鋳造設備及び圧延方法に関する。
双ドラム式連続鋳造装置では、水平方向に対向配置された一対の連続鋳造用冷却ドラム(以下、「冷却ドラム」ともいう。)とサイド堰とによって金属溶湯貯留部を形成し、金属溶湯貯留部に貯留された金属溶湯を一対の冷却ドラムを回転させて薄肉の鋳片(以下、「鋳片」という。)を鋳造する(例えば、特許文献1)。金属溶湯貯留部に金属溶湯が貯留されると、冷却ドラムはそれぞれ上方から下方に回転され、金属溶湯を冷却ドラムの周面で凝固、成長させながら鋳片として下方へ送り出す。冷却ドラムから送り出された鋳片は、ピンチロールによって水平方向へ送り出され、下流のインラインミルによって所望の板厚に調整される。インラインミルによって板厚が調整された鋳片は、インラインミルの下流に設置された巻取装置によってコイル状に巻き取られる。
このような双ドラム式連続鋳造装置では、冷却ドラムは、一般的に、鋳造開始前は低温であり、鋳造を開始すると金属溶湯との接触により昇温する。また、冷却ドラムは、内面から冷却媒体(例えば、冷却水)によって所定の温度以上とならないように冷却されている。以下、冷却ドラムの温度が所定の温度に到達して一定となった期間を定常鋳造期間、定常鋳造期間の任意の時点を定常鋳造時、定常鋳造期間での冷却ドラムの温度を定常温度とする。また、定常鋳造期間の状態を定常状態という。
冷却ドラムのプロフィルは、鋳造を開始してから定常状態となるまでに時間経過とともに変化する。このため、冷却ドラムのプロフィルは、定常鋳造時における鋳片の板プロフィル(板クラウン)が所望の板プロフィルとなるように設定されている。
また、このような双ドラム式連続鋳造装置では、鋳造開始に当たってダミーシートが用いられている。このダミーシートの先端は、コイル巻取機にセットされ、ダミーシートの尾端は双ロールドラムで挟むようにセットされている。
鋳片の先端となる溶融した金属は先ず冷えて固まり、ダミーシートの尾端と結合する。その後冷却ドラムが回転して、ダミーシートと結合した鋳片は、順次鋳造コイルに供給される。
図2は、上記の双ドラム式連続鋳造装置を用いて鋳造される、ダミーシートを含む鋳片Sの先端の様子を示しており、図3は、鋳片の先端にダミーシートが結合された状態を示している。
双ドラム式連続鋳造装置では、図2に示すように、鋳片Sの先端にダミーシート11を結合して、鋳造を開始する。ダミーシート11の先端には、鋳片Sよりも厚みを有するダミーバー13が設けられており、ダミーバー13によってダミーシート11が誘導される。ダミーバー13及びダミーシート11は鋳片Sを圧延方向下流に誘導する。また、鋳片Sの先端とダミーシート11との結合部は、鋳片Sの板厚t3よりも厚い突起状の結合部12となる。通常、インラインミル50において圧延を行う際には、結合部12がインラインミル50を通過した後に開始される。この圧延方法をフライングタッチと称する。これは、結合部12をピンチロールまたはインラインミルで強く押さえたり圧延したりすると鋳片の蛇行または板破断を生じさせるためである。従って、鋳片Sの先端部からフライングタッチ開始部分まではから通しを行い、鋳片Sは圧延が行われずに、鋳造されたままの状態、つまり無圧延状態となる。鋳片Sの圧延は、このから通し後の定常状態になってから開始される。
フライングタッチの際には、既に搬送されて移動している鋳片とインラインミルとが接触するため、インラインミルと鋳片との速度同期が重要である。インラインミルと鋳片との速度同期が上手くいかず、インラインミルの回転速度と、鋳片の進行速度との差が広がると、鋳片とインラインミルのワークロールとの間で滑りが生じる。このため、例えばインラインミルのワークロール速度の方が鋳片の進行速度よりも速い場合には、フライングタッチ開始時、インラインミルの圧延方向上流側では鋳片の張力が増大し、インラインミルの圧延方向下流側では鋳片の張力は減少する。鋳片に対する引張りの張力がさらに大きくなると鋳片は破断し得る。
また、鋳片の板破断が発生しない場合であっても、鋳片とインラインミルのワークロールとの間における滑りにより、ワークロール表面が損傷して、疵が発生することがあった。ワークロールが損傷すると、圧延後の鋳片の表面には、ワークロールの損傷痕が転写され、鋳片に表面欠陥を発生させる。そのため、ワークロールが損傷すると交換が必要となる。また、表面欠陥が生じた鋳片は表面欠陥の程度により、次工程の酸洗にて溶削量を多くする必要がある。溶削量を大きくするには、例えば酸洗速度を落として処理する。この対応により、鋳片の表面欠陥を除去できる場合もあるが、表面欠陥が除去できない場合には、鋳片はスクラップ処理される。いずれにしても、鋳片に表面欠陥が生じると、生産性の低下および製造コストの増大を招くこととなる。
鋳片とインラインミルのワークロールとの間で滑りを小さくする方法としては、例えば、鋳造速度を下げることが有効であるが、定常状態の鋳造速度が下がると生産性が低下する。生産性を向上させるために、フライングタッチまでは低速で鋳造を行い、その後加速してフライングタッチよりも後は、高速で鋳造する方法も考えられる。しかし、冷却ドラム直後の鋳片の板厚、冷却装置後の鋳片の板温度は変化するため、鋳造速度の加速が完了するまでに、鋳片の材質および鋳造板厚が一定とならない。この場合、鋳片の材質および鋳造板厚が一定でない部分は切り捨てることとなり、製造コストの増大を招く。
また、他には、鋳片の破断を抑制する方法として、結合部を削ることで、結合部とダミーシートとの厚み差を無くす方法が挙げられる。しかしながら、結合部を削ると、溶融金属が凝固した部分と鋳片部分との密着性が悪くなり、曲げや張力が発生するピンチロールと圧延機との間で板破断が生じる。
このような鋳片の破断を解決する方法として、鋳片を圧延するよりも前からフライングタッチを行う方法が考えられる。即ち、鋳片を圧延方向下流に誘導するダミーシートからワークロールをダミーシート部分に軽く押付けておき、ダミーシートと鋳片とを結合する結合部もダミーシートと同様に軽く圧延する。
特開2000−343103号公報 特開2010−52027号公報
しかしながら、ダミーシートからフライングタッチを開始すると、結合部がワークロールに噛み込まれるときに圧延トルクが急激に増大し、ワークロールの周速が一瞬低下する。これをインパクトドロップと称する。インパクトドロップが生じると、インラインミル入側の鋳片の張力は一瞬低下し、インラインミル出側の鋳片の張力は一瞬増大する。この結果、インラインミル出側にて、鋳片は過張力によって引きちぎられて破断する。
この板破断を抑制する方法として、インラインミルに装備されている油圧圧下装置を用いて結合部の圧延量を少なくしてインパクトドロップ量を低減させることも考えられるが、瞬間的な張力変化には油圧圧下装置の応答性が間に合わず対応できない。
さらに、板破断を抑制する方法としてインラインミルのミル剛性を小さくすることも考えられる。ミル剛性を小さくするには、圧延機を再設計して、結合部を圧延しても鋳片に不具合が生じないようにミル剛性を小さくする方法があるが、インラインミルにて板厚を制御する際に、圧下制御の精度が著しく低下するので実用的でなかった。
また、インパクトドロップ量の低減方法として、例えば特許文献2に開示されている熱間圧延機で用いられるルーパーを適用する技術も考えられる。しかしながら、インパクトドロップのようなステップ応答的な瞬間的な張力変化に対応するには十分でない。
以上のように、従来の技術では、フライングタッチによる圧延をダミーシートから行う際に、結合部の圧延により生じるインパクトドロップによる急激な張力変化による板破断のため、フライングタッチをダミーシートから実施することはできなかった。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、双ドラム式連続鋳造設備により製造される鋳片をインラインミルで圧延する際に、ダミーシートから軽圧下圧延を実施することを可能とし、鋳片の破断を抑制し、歩留り向上による製造コスト低減が可能な、新規かつ改良された連続鋳造設備及び鋳造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、一対の冷却ドラムとサイド堰とによって金属溶湯貯留部を形成し、一対の前記冷却ドラムを回転させながら前記金属溶湯貯留部に貯留された金属溶湯を鋳造する双ドラム式連続鋳造装置と、前記双ドラム式連続鋳造装置の鋳造方向下流側に配置され、鋳造された鋳片を圧延する圧延装置と、前記圧延装置の圧延方向下流側に配置され、圧延された鋳片を水平方向へ送り出すピンチロールと、前記ピンチロールの鋳片送出方向下流側に配置され、送出された鋳片をコイル状に巻取る巻取り装置と、を有する連続鋳造設備において、前記圧延装置と、前記ピンチロールとの間にダンパーを配備し、前記ダンパーは、前記鋳片の張力変動に応じて変化する前記鋳片からの負荷を受けて減衰力を発生するダンパー機能を有する、連続鋳造設備が提供される。
前記圧延装置と前記ダンパーとの間、または前記ダンパーと前記ピンチロールとの間に、前記鋳片の張力変動に応じて変化する前記鋳片からの負荷を受けて変位するルーパーを配備してもよい。
前記ダンパーの代わりに、前記ダンパー機能を備えたルーパーを配備してもよい。
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、前記連続鋳造設備を用いて鋳片を圧延する圧延方法であって、前記鋳片の先端は、前記鋳片を誘導するためのダミーシートと結合され、前記鋳片の先端とダミーシートとの結合部よりも上流のダミーシートから前記圧延装置による圧延を開始する、鋳片の圧延方法が提供される。
前記圧延装置は、前記ダミーシートから前記結合部が通過するまでは荷重制御を行い、少なくとも前記結合部が前記圧延装置を通過した後に圧下位置制御を行ってもよい。
上記構成により、ダンパーの減衰力により、鋳片に発生する急激な張力変化をより緩やかな張力変化にした上で、急激な張力変化を抑制することができる。
以上説明したように本発明によれば、双ドラム式連続鋳造設備により製造される鋳片をインラインミルで圧延する際に、ダミーシートから軽圧下圧延を実施することを可能とし、鋳片の破断を抑制し、歩留り向上による製造コスト低減をさせることができる。
本発明の実施形態に係る鋳片の製造工程の概略構成を示す説明図である。 同実施形態に係る圧延開始時における鋳片の先端とダミーシートとの接続部を示す説明図である。 同実施形態に係る圧延開始時における鋳片の先端とダミーシートとの接続部の厚みを示す説明図である。 同実施形態に係るダンパー機能を有するルーパーの構造の一例を示す詳細図である。 同実施形態に係るダンパー機能を有するルーパーの構造の一例の変形例である。 同実施形態に係るダンパーの配置の一例を示す図である。 同実施形態に係るダンパー及びルーパーの配置の一例を示す図である。 同実施形態に係るダンパー及びルーパーの配置の一例を示す図である。 本発明の比較例にかかる連続鋳造設備の配置の一例を示す図である。 本発明の比較例にかかる連続鋳造設備の配置の一例を示す図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
(1.鋳片製造工程)
まず、図1及び図2を参照して、本発明の第1の実施形態に係る鋳片を製造する製造工程の概要を説明する。図1は、本実施形態に係る鋳片(薄肉鋳片)の製造工程の概略構成を示す説明図である。図2は、鋳片Sの先端とダミーシート11との接続部を示す説明図である。
本実施形態に係る鋳片製造工程1は、図1に示すように、例えば、タンディッシュ(貯蔵装置)Tと、双ドラム式連続鋳造設備10と、酸化防止装置20と、冷却装置30と、第1のピンチロール装置40と、インラインミル50と、ダンパー機能を有するルーパー100と、第2のピンチロール装置60と、巻取装置70、とを備えている。
(双ドラム式連続鋳造装置)
双ドラム式連続鋳造装置10は、図1に示すように、例えば、一対の冷却ドラム10a、10bと、一対の冷却ドラム10a、10bの軸方向両側に配置されたサイド堰(図示せず。)と、を備える。一対の冷却ドラム10a、10bとサイド堰とは、タンディッシュTから供給される溶融金属を貯留する金属溶湯貯留部15を構成している。
一対の冷却ドラム10a、10bは、第1冷却ドラム10aと第2冷却ドラム10bとを備えている。第1冷却ドラム10a及び第2冷却ドラム10bは、軸方向中央が僅かに窪んだ凹形状のプロフィルを有している。また、第1冷却ドラム10aと第2冷却ドラム10bとは、製造する鋳片Sの板厚あるいは内部品質に応じて、第1冷却ドラム10a、第2冷却ドラム10bの間隔を調整可能に構成されている。第1冷却ドラム10a、第2冷却ドラム10bは、内部に冷却媒体(例えば、冷却水)が流通可能に構成されている。第1冷却ドラム10a、第2冷却ドラム10bの内部に冷却媒体を流通させることによって、第1冷却ドラム10a、第2冷却ドラム10bを冷却することができる。また、第1冷却ドラム10a、第2冷却ドラム10bの表面にはディンプル加工が施されている。
本実施形態では、第1冷却ドラム10a、第2冷却ドラム10bは、例えば、外径800mm、ドラム胴長(幅)1500mm、定常時における鋳片Sの板クラウンが30μmになるように設定(初期加工)されている。なお、一対の冷却ドラム10a、10bの外径、ドラム胴長(幅)は、ディンプル形状はこれに限定されないことはいうまでもない。
(酸化防止装置)
酸化防止装置20は、鋳造直後の鋳片Sの表面が酸化してスケールが発生するのを防止するための処理を行う装置である。酸化防止装置20内では、例えば、窒素ガスによって酸素量を調整することが可能である。酸化防止装置20は、鋳造する鋳片Sの鋼種等を考慮し、必要に応じて適用することが好ましい。
(冷却装置)
冷却装置30は、酸化防止装置20により酸化防止処理が表面に施された鋳片Sを冷却する装置である。冷却装置30は、例えば、複数のスプレーノズル(図示せず。)を備え、鋼種に応じてスプレーノズルから鋳片Sの表面(上面及び下面)に対して冷却水を噴出し、鋳片Sを冷却する。
なお、酸化防止装置20と冷却装置30との間に、一対の送りロール87を配置してもよい。一対の送りロール87は、圧下装置(図示せず。)によって鋳片Sを挟むとともに、一対の冷却ドラム10a、10bと送りロール87との間における鋳片Sのループ長を計測しながら、当該ループ長が一定となるように鋳片Sに水平方向の搬送力を付与する。送りロール87は、例えば、ロール径200mm、ロール胴長(幅)2000mmの一対のロールにより構成されている。
(第1のピンチロール装置)
第1のピンチロール装置40は、インラインミル50の入側に配置されるピンチロール装置である。第1のピンチロール装置40は、上ピンチロール40a及び下ピンチロール40bと、ハウジングと、ロールチョックと、圧延荷重検出装置と、圧下装置(第1のピンチロール装置40以外はいずれも図示せず。)と、を備えている。上ピンチロール40a及び下ピンチロール40bは、それぞれ内部に中空流路が形成されており、冷却媒体(例えば、冷却水)が流通可能に構成されている。冷却媒体を流通させることにより、第1のピンチロール装置40を冷却することができる。
上ピンチロール40a及び下ピンチロール40bは、例えば、ロール径400mm、ロール胴長(幅)2000mmとしてもよい。上ピンチロール40a及び下ピンチロール40bは、ハウジング内のロールチョックを介して配置されており、モータ(図示せず。)によって回転駆動される。また、上ピンチロール40aは、上圧延荷重検出装置(図示せず。)を介してパスライン調整装置(図示せず。)と連結されており、下ピンチロール40bは、圧下装置(図示せず。)と接続されている。
かかる構成の第1のピンチロール装置40では、下ピンチロール40bが圧下装置により上ピンチロール40a側へ押し上げられると、上ピンチロール40a及び下ピンチロール40bに負荷された圧下荷重が検出されるとともに、第1のピンチロール装置40と矯正装置(図示せず。)との間の鋳片Sに張力が発生する。また、第1のピンチロール装置40とインラインミル50との間の鋳片Sに生じる張力が予め設定された張力になるように、一対のピンチロール40a、40bとインラインミル50とにおける鋳片Sの移動速度は制御されている。また、第1のピンチロール装置40と矯正装置との間の鋳片Sの張力は、テンションロール88aにて検出される。第1のピンチロール装置40の上流側には、鋳片Sの位置を検出する位置検出装置41が設けられてもよい。
(インラインミル)
インラインミル50は、鋳片Sを圧延して、鋳片Sを所望の板厚にする圧延装置である。本実施形態では、インラインミル50は4重圧延機として構成されている。すなわち、インラインミル50は、一対のワークロール51a、51bと、ワークロール51a、51bの上下に配置されたバックアップロール52a、52bと、を備える。
また、ワークロール51a、51bには、冷却水供給ノズル(図示せず。)が圧延機前後に設けられ、冷却水供給ノズルから供給される冷却水によって、ワークロール51a、51bは、冷却される。さらに、これらの冷却水が鋳片にかからないように、ワークロール51a、51bには、水切り板(図示せず。)が設けられている。
圧延荷重は上バックアップロールチョックに配備されたロードセル(図示せず。)にて検出され、圧下位置は下バックアップロール下部に配備された油圧圧下装置(図示せず。)にて検出される。
本実施形態では、例えば、インラインミルでは、ロール径400mmのワークロール51a、51b、ロール径1200mmのバックアップロール52a、52bを用いてもよい。各ロールの胴長は同一であってもよく、例えば2000mmとしてもよい。また、例えば鋳片Sの鋼種は炭素鋼、板幅は1200mm、板厚2mmとしてもよい。なお、鋳片Sの鋼種等は、かかる例に限定されない。
(ダンパー機能付きルーパー)
ダンパー機能付きルーパー100は、インラインミル50に対して少なくとも圧延方向下流側に設けられる。図1の例では、ダンパー機能付きルーパー100は、圧延方向において、インラインミル50と第2のピンチロール装置60との間に配備されている。このダンパー機能付きルーパー100により、鋳片にかかる急激な張力変化を抑制し、鋳片の板破断を防止する。ダンパー機能付きルーパー100は、圧下方向におけるダンパー部の上下の移動量を確保し、ダンパー機能付きルーパー100とインラインミル50との間で鋳片に張力を生じさせるために、インラインミル50のパスラインよりも上方に位置するように配備されている。デフレクターロール90は、ダンパー機能付きルーパー100の位置が変化しても、テンションロール88bのパスラインが変化しないように配備されている。ダンパー機能付きルーパー100の詳細に関しては後述する。
(第2のピンチロール装置)
第2のピンチロール装置60は、インラインミル50の圧延方向下流側に配置されている。第2のピンチロール装置60は、圧延装置にて圧延された鋳片を水平方向へ送り出して、鋳片の送出方向下流の巻取装置へ鋳片を送出する。第2のピンチロール装置60は、第1のピンチロール装置40と同様、上ピンチロール及び下ピンチロールと、圧延荷重検出装置と、圧下装置とを備えている。上ピンチロール及び下ピンチロールは、それぞれ内部に中空流路が形成されており、冷却媒体(例えば、冷却水)が流通可能に構成されている。冷却媒体を流通させることにより、ピンチロールを冷却することができる。上ピンチロール及び下ピンチロールは、例えば、ロール径400mm、ロール胴長(幅)2000mmとしてもよい。また、上ピンチロール及び下ピンチロールは、ハウジング内のロールチョックを介して配置されており、モータ(図示せず。)によって回転駆動される。インラインミル50と第2のピンチロール装置60との間には、テンションロール88bが配置されている。
(巻取装置)
巻取装置70は、第2のピンチロール装置60の出側に配置され、鋳片Sをコイル状に巻き取る装置である。第2のピンチロール装置60と巻取装置70との間には、デフレクターロール89が配置されている。以上、本実施形態に係る鋳片(薄肉鋳片)の製造工程の概略構成を説明した。
このような鋳片製造工程の各装置を通して鋳片の製造を行う上で、連続鋳造設備において、圧延装置に対して少なくとも圧延方向下流側であり、圧延装置とピンチロールとの間に、鋳片の張力変動に応じて変化する鋳片からの負荷を受けて変位し、減衰力を発生するダンパーを配備する。これにより、連続鋳造設備により製造される鋳片を圧延する際に、ダミーシートから軽圧下圧延を実施でき、鋳片の破断、ワークロールの損傷を防止することができる。以下では、ダンパーの詳細に関して説明を行う。
(2.ダンパー)
(2−1.ダンパー機能に関して)
図3及び図4Aを参照して、ダンパー機能が作用する説明を行う。図3を参照すると、鋳片Sの先端は、鋳片Sを圧延方向下流に誘導するダミーシート11と結合され、結合部は突起状の結合部12となっている。結合部12の厚みt2が最も厚く、その次に鋳片Sの厚みt3が厚く、ダミーシート11の厚みt1が最も薄い。具体的には、例えば、ダミーシート11の板厚t1は1mm程度、鋳片の板厚t3は2mm程度、結合部の板厚t2は3から5mm程度である。なお、結合部の長手方向の長さは50mmから100mmである。
最も厚みが薄いダミーシート11から軽圧下を開始すると、結合部12がインラインミル50を通過する際に圧延トルクが急激に増大し、ワークロール51a、51bの周速が一瞬低下するインパクトドロップが生じる。このとき、結合部12はある程度圧延されても割れ及び破断が生じることはない。しかし、インパクトドロップが生じると、インラインミル入側の鋳片Sの張力は一瞬低下し、インラインミル出側の鋳片Sの張力は一瞬増大する。この結果、インラインミル出側にて、鋳片Sに過張力がかかり、鋳片は引きちぎられて破断してしまう。
そこで、インラインミル50に対して圧延方向下流側に、図4Aに示すようなダンパー機能を有したルーパー100を配置する。このダンパー機能を有したルーパー100により、インパクトドロップによる急激な張力変化を緩やかに抑制することで板破断を防止できる。ダンパー機能を有したルーパー100は、ダンパー部110とルーパー部120により構成されている。
ダンパー部110は、鋳片Sの張力変動に応じて変化する鋳片からの負荷を受けて、減衰力を発生させるダンパー機能を有する。ダンパー部110は、鋳片Sと接触する接触部110aと、接触部110aを支持する支持柱110bと外筒110cとを含む。ダンパー部110では、鋳片Sにかかる張力に応じて、接触部110aと支持柱110bとが上下に変位することで、鋳片Sの張力変動が緩衝される。ダンパー部110は、ショックアブソーバーとも称し、瞬間的な張力変動を防止する。
ダンパー部110の外筒110cには、例えば固体、液体などが保持されている。ダンパー部110の支持柱110bには、該液体等の通り穴が形成されており、鋳片Sの張力の発生により、ダンパー部110の接触部110aおよび支持柱110bは、これらの固体、液体などを押しこみながら圧下方向の下方に変位する。固体または液体を押し込む際には、固体同士の摩擦抵抗、液体の流体抵抗が発生するため、これらの抵抗を減衰力とした上でダンパー部110が圧下方向の下方に変位して、鋳片Sに瞬時に生じる張力変化を低減する。外筒110cに保持される内容物としては、例えば、液体として、オイル等の流体が使用され得る。減衰力は、内容物の種類、穴の大きさ等を変化させることにより適宜設定される。
ダンパー部110と鋳片Sとが接触する接触点Xは、通常、圧下方向において、インラインミル50を通過する時点での鋳片Sの圧下方向の位置、つまりパスライン高さよりも上方に位置する。これにより、接触部110aは定常状態で鋳片Sと接触した状態となり、鋳片Sの張力変動に応じて変化する鋳片Sからの負荷を受けて、ダンパー部110は機能することができる。鋳片Sに急激な張力変化が生じると、ダンパー部110は、その張力変動によって鋳片Sから大きな負荷を受ける。ダンパー部110は、かかる負荷によって変位するダンパー部110の変位速度に応じた減衰力を発生し、鋳片Sに生じた急激な張力変動を抑制することができる。
ルーパー部120は、ルーパー軸120bと、ばね部120dと、基部120eを有する。ルーパー部120は、ルーパー軸120bを介してダンパー部110と連結される。ルーパー軸120bは、基部120eを介して設置面に接続されており、ばね部120dによって揺動可能に設けられている。このように、ばねの力を利用して変位することで、ルーパー部120では、鋳片Sにかかる急激な張力変化をさらに抑制することができる。また、ダンパー機能付きルーパー100には、ルーパー部120の位置を制御するルーパー位置制御装置が配備されている。ルーパー位置はテンションロール88bにて検出される張力をもとに、設定値になるように制御される。ルーパー位置制御装置により、ルーパー部120は、急激な張力変化のみならず、緩やかな張力変化に対しても、鋳片Sを板破断させることなく対応することができる。
ダンパー部110は、主に、インパクトドロップのような高周期とされる瞬間的な張力変化に対応する機能を有し、ルーパー部120は、低周期とされる鋳片の圧延方向に継続する張力変化に対応する機能を有する。特に、ダンパー部110は速度に応じて減衰力を発生させ、速度が大きいと減衰力が大きくなる。つまり、ダンパー部110は、張力変化が急激になるほど、張力変化に対応して大きな減衰力を生じさせ、急激な張力変化を緩やかに抑制することができる。
以上のように、ルーパー部120に加えて、ダンパー部110を配置させることにより、鋳片Sの破断、ワークロール51a、51bの損傷を防止するとともに、ダミーシートから軽圧下圧延を実施することをより確実に可能とし、次工程での圧延で顕在化する表面欠陥を防止し、歩留り向上による製造コストの低減をさせることができる。
(2−2.ダンパー変形例)
上記では、ダンパー部110とルーパー部120とから構成されるダンパー機能付きルーパーの構成例を示したが、本発明は、係る例に限定されない。例えば、タンパー機能付きルーパー200は、図4Bに示すようなダンパー部210とルーパー部220との構成であってもよい。
図4Bは、図4Aで示したダンパー機能付きルーパーの構成の変形例である。ダンパー機能付きルーパー200のダンパー部210は、鋳片Sと接触する接触部210aと、接触部210aを支持する支持柱210bと外筒210cとを含む。ダンパー部210では、鋳片Sにかかる張力に応じて、接触部210aと支持柱210bとが上下に変位することで、鋳片Sの急激な張力変化が抑制される。
ダンパー部210と鋳片Sとが接触する接触点Xは、ダンパー部110と同様に、通常、圧下方向において、インラインミル50を通過する時点での鋳片Sの圧下方向の位置、つまりパスライン高さよりも上方に位置する。これにより、接触部210aは定常状態で鋳片Sと接触した状態となり、鋳片Sの張力変動に応じて変化する鋳片Sからの負荷を受けて、ダンパー部210は機能することができる。鋳片Sに急激な張力変化が生じると、ダンパー部210は、その張力変動によって鋳片Sから大きな負荷を受ける。ダンパー部210は、かかる負荷によって変位するダンパー部210の変位速度に応じた減衰力を発生し、鋳片Sに生じた急激な張力変動を抑制することができる。
ルーパー部220は、ルーパー軸220bと、ばね部220dとを有する。ルーパー部220は、ルーパー軸220bを介してダンパー部210と連結される。ルーパー軸220bは、設置面に接続されており、ばね部120dによって揺動可能に設けられている。このように、ばねの力を利用して変位することで、ルーパー部220では、鋳片Sにかかる急激な張力変化をさらに抑制することができる。
上記のように、ダンパー部210が高周期の張力変化を抑制する一方で、ルーパー部220がばねの力を利用して変位することで、鋳片Sの低周期の張力変化を抑制することができる。この構成では、ダンパー部210及びルーパー部220は直列配置されている。この配置により、ダンパー機能付きルーパー200は、図4Aに示した構成例よりも、省スペースにて設置される。
以上では、ダンパー部を有したルーパーの構成に関して説明を行ったが、ルーパー部がダンパー部と同一の構成でなくとも、本発明では少なくともダンパーのみを備えていれば、急激な張力変動による鋳片の板破断を防止できる。以下では、ダンパーの配置例に関して、図5〜図6Bを参照して説明を行う。
図5は、インラインミル50と、インラインミル50の圧延方向下流側に配置される第2のピンチロール60との間にダンパー310のみを配置した配置例である。ダンパー310の圧延方向下流にはさらにデフレクターロール90、テンションロール88b、及び第2のピンチロール60が順に配置されている。この配置例では、ダンパー310により、板破断を引き起こすような鋳片Sにかかる急激な張力変動を抑制することができる。
図6A及び図6Bは、ダンパー310とルーパー320とをそれぞれ配置した配置例である。図6Aでは、インラインミル50の出側から順に、ルーパー320、ダンパー310の順に配置され、図6Bではインラインミル50の出側から順に、ダンパー310、ルーパー320の順に配置されている。ルーパー320及びダンパー310の圧延方向下流には、それぞれデフレクターロール90、テンションロール88b、及び第2のピンチロール60が順に配置されている。つまり、図6Aでは、インラインミル50とダンパー310との間にルーパー320が配置され、図6Bでは、ダンパー310と第2のピンチロール60との間にルーパー320が配置されている。図6Bに示すようなダンパー310をルーパー320よりも圧延方向上流に配置した方が、図6Aに示すダンパー310及びルーパー320の配置と比較して、鋳片Sに生じる急激な張力変化に対して、ダンパー部110がより早く応答することができ、急激な張力変動をより効果的に抑制することができる。
(3.圧延開始時の圧延の安定性について)
本実施形態に係る連続鋳造設備は、インラインミル50の圧延方向下流側、インラインミル50と第2のピンチロール60との間にダンパー部110を備えることにより、鋳片Sに急激な張力変動が生じても鋳片Sが破断することを抑制する。これにより、インラインミル50によりダミーシートから軽圧下を開始した場合に、結合部12がインラインミル50に噛み込まれる際にインパクトドロップが生じても、鋳片Sが破断することなく、ダミーシートから圧延を行うことができる。
ここで、図3に示すように、鋳片Sの先端は、鋳片Sと反対側の端部にダミーバー13が接続されたダミーシート11と、結合部12により接続されていている。本実施形態に係る連続鋳造設備1では、インラインミル50は、少なくともダミーバー13の通過後、ダミーシート11の通過時から圧延を開始できる。しかし、ダミーシート11を圧延する圧延初期では、板厚の変動はないが、鋳片Sは鋳造開始から数メートルは、冷却ドラム10a、10bの熱膨張の影響により鋳片Sの板断面形状が変化し、板厚は安定しない。冷却ドラム10a、10bの熱膨張による変形(すなわち、サーマルクラウン)が安定し、鋳片Sの板厚が安定するまでの間に、冷却ドラム10a、10bは3〜4回転、距離にして8m〜10m程度回転する。時間にすると、2sec程度である。このとき、鋳片Sの板厚は、冷却ドラム10a、10bの回転速度が150m/minとなるまで変化し、徐々に薄くなる。よって、鋳片Sの板厚は安定していない。
このように冷却ドラム10a、10bのサーマルクラウンが安定する前に、インラインミル50により鋳片Sを圧延すると、鋳片Sの形状が大きく乱れ、蛇行を誘発する場合がある。この場合、インラインミル50のワークロール51a、51bの位置をベンダー等で調整することで、鋳片Sの形状を整えることも可能であるが、例えば、インラインミル50において、ダミーシート11から結合部12が通過するまでは荷重制御を行い、少なくとも結合部12が通過した後に、ロールギャップを徐々に調整して、圧下位置制御を行うようにしてもよい。
具体的には、例えば、結合部12がインラインミル50を通過した後、鋳片Sに対しても荷重制御を行った場合、図3に示すように、ダミーシート11の板厚t1よりも鋳片Sの板厚t3は厚いため、板厚が厚い分、鋳片Sにかかる荷重が大きくなる。また、冷却ドラム10a、10bの熱膨張による形状変化が安定するまでは鋳片Sの板厚も変化し続ける。このように鋳片Sの板厚が変化する状況で、結合部12がインラインミル50を通過した直後から即座に圧下位置制御に切り替え、目標板厚とするための鋳片Sの圧下率(例えば圧下率30%)で鋳片Sを圧延すると、鋳片Sの形状は大きく乱れ、蛇行を誘発する。
そこで、ダミーシート11及び結合部12がインラインミル50を通過するまでは荷重制御を行い、その後、結合部12がインラインミル50を少なくとも通過した後に、徐々にロールギャップを調整し、鋳片Sの板厚変動が収束して定常状態となった後は圧下位置制御により鋳片Sを圧延する。これにより、鋳片Sの形状に大きな乱れを生じさせること無く、安定した圧延を行うことができる。したがって、鋳片Sの板破断やロール損傷を防止できる上、鋳片規格外の板厚部分である鋳片Sのオフゲージ部分を減少させ、製造コスト低減ができる。なお、圧下位置制御が開始するタイミングは、鋳片Sの板厚変動が収束して定常状態となるタイミングに近いほど、鋳片規格外の板厚部分が減少して、製造コストの低減が可能である。
以上説明した本実施形態に係るダンパー部及びルーパー部の配置による効果、圧延方法を変化させた鋳片に対する評価を行った。比較例として2条件、実施例として5条件の試験を行った。各条件と結果を下記表1にまとめた。なお、表1では、ルーパー及びダンパーについて、連続鋳造設備に配置した場合を○、配置しない場合を×で示している。
実施例及び比較例では、図2に示したように鋳片の先端にダミーバー及びダミーシートを設け、連続鋳造設備により鋳造を行った。実施例及び比較例では、板厚2mm、板幅1200mmの炭素鋼を鋳造した。鋳造開始からの冷却ドラムの加速レートは150m/min/30secであり、定常状態の冷却ドラムの回転速度は150m/minであった。なお、冷却ドラムの初期プロフィルは定常状態で鋳片の板クラウンが43μmになるように加工した。
鋳片Sは、板厚5mmの結合部により、板厚0.8mmのダミーシートと結合され、比較例及び実施例では、ダミーシートから鋳片Sの圧延を開始した。圧延開始時から結合部が通過するまで、圧下率は1%(圧延荷重20トン)で圧延した。インラインミルでは、定常状態では、圧下率30%の圧延(板温度1000℃)が行われ、インラインミル出側の鋳片の板厚は1.4mmとして圧延を行った。比較例及び実施例について、それぞれ100コイルほど圧延し、その際の鋳片の破断率を調査した。また、比較例及び実施例の詳細条件は、以下の通りとした。
比較例1では、ルーパー及びダンパーのいずれも備えない連続鋳造設備において鋳片の圧延を行った。図7には、比較例1の各構成の配置例を示している。インラインミル50の圧延方向下流側にはデフレクターロール90、テンションロール88b、および第2のピンチロール60が備えられている。
比較例2では、ルーパーのみを備える連続鋳造設備において圧延を行った。図8に比較例2の各構成の配置例を示している。比較例1と同様に、インラインミル50の圧延方向下流側にはデフレクターロール90、テンションロール88b、および第2のピンチロール60が備えられている。インラインミル50とデフレクターロール90の間には、ルーパー320のみが備えられている。
実施例1では、ダンパーのみを備える連続鋳造設備において圧延を行った。図5に実施例1の各構成の配置例を示している。インラインミル50の圧延方向下流側にはデフレクターロール90、テンションロール88b、および第2のピンチロール60が備えられている。インラインミル50とデフレクターロール90の間には、ダンパー310が備えられている。
実施例2では、ダンパー及びルーパーを備える連続鋳造設備において圧延を行った。図6Aに実施例2の各構成の配置例を示している。インラインミル50の圧延方向下流側にはデフレクターロール90、テンションロール88b、および第2のピンチロール60が備えられている。インラインミル50とデフレクターロール90の間には、インラインミル50の出側からルーパー320、ダンパー310の順に、ダンパー及びルーパーが備えられている。
実施例3では、実施例2と同様にダンパー及びルーパーを備える連続鋳造設備において圧延を行った。図6Bに実施例3の各構成の配置例を示している。インラインミル50の圧延方向下流側にはデフレクターロール90、テンションロール88b、および第2のピンチロール60が備えられている。インラインミル50とデフレクターロール90の間には、インラインミル50の出側からダンパー310、ルーパー320の順に、ダンパー及びルーパーが備えられている。
実施例4では、ダンパー機能を有するルーパーを備える連続鋳造設備において圧延を行った。図1に示すような各構成の配置にて、実施例4の圧延を行った。実施例4では、インラインミル50の圧延方向下流側にはデフレクターロール90、テンションロール88a、および第2のピンチロール60が備えられている。インラインミル50とデフレクターロール90の間には、ダンパー機能を有するルーパー100が備えられている。
実施例5では、実施例4と同様の構成配置の連続鋳造設備を用いて、圧延方法を変化させて圧延を行った。
実施例5では、インラインミルでの圧延はダミーシートから開始された。但し、ダミーシートおよび結合部が通過した後、鋳片が結合部から圧延方向下流に8m移動するまでは、圧延荷重20トンの荷重制御を行い、それ以降は徐々にロールギャップを調整して圧下率30%で圧下位置制御を行った。
上記の比較例及び実施例における板破断率は以下の通りであった。
比較例1に示した、連続鋳造設備にルーパー及びダンパーのいずれも備えない場合の板破断率は96%であった。また、連続鋳造設備に比較例2のルーパーのみ設置した場合は、破断率が85%であった。比較例2のルーパーのみ連続鋳造設備に設置した場合は、比較例1のルーパー及びダンパーのいずれも備えない場合よりは、破断率が低減したものの、比較例1と大きな差が生じることはなかった。
次に、実施例1〜4についてみると、実施例1の連続鋳造設備にダンパーのみ設置した場合、破断率は18%であり、破断率は大きく低減した。この結果より、連続鋳造設備にダンパーのみを備えるだけで、板の破断に対して優れた効果を示すことが分かった。実施例1は、板破断率が大きく低減した実施例の中で、板破断率は相対的に大きな値を示した。これは、ルーパーを備えないことにより、ルーパーにて鋳片にかかる急激な張力変化が抑制される割合が減少したことによると考えられる。
連続鋳造設備にルーパー、ダンパーを順に設置した実施例2の場合は、破断率は15%であった。実施例2では、実施例1と同様に破断率は大きく低減した。
連続鋳造設備にダンパー、ルーパーを順に設置した実施例3の場合は、破断率は11%であった。実施例3では、実施例1および実施例2と同様に破断率は大きく低減した。実施例2及び実施例3の間での板破断率の違いは、ダンパーがインラインミル50により近い位置に配置されることで、鋳片Sにかかる張力変化への応答性が高まることによると考えられる。
連続鋳造設備にダンパー機能を有するルーパーを設置した実施例4の場合は、破断率は0%であった。実施例4では、板破断が生じることが無かった。これにより、ダンパー機能を有するルーパーを連続鋳造設備に配置することにより、板破断を生じさせることなく鋳片を圧延できることが確認できた。実施例4におけるダンパー機能を有するルーパーでは、ダンパーの構成による鋳片の張力抑制に加えて、ルーパーの構成による張力抑制が生じるため、鋳片にかかる急激な張力変化を抑制する力が大きいと考えられる。
また、ロールの観点から本試験をみると、比較例及び実施例1から実施例4を通して、板が破断した試験例のロールのほとんどには、ロールの損傷による表面傷が認められ、ロール交換が行われた。
以上、比較例及び実施例1から実施例4の結果から、ダンパーを設置、さらにルーパーと組み合わせることにより板破断を格段に低減できることが確認された。さらに、実施例4のように、ダンパー機能を有するルーパーを設置して、板破断を防止することでロールの損傷を防ぐことができ、ロールの交換をする必要なく、製造コストの低減ができることが確認できた。
次に、板形状の結果に関して説明を行う。比較例1及び比較例2、並びに実施例1から実施例4では、鋳片の板形状に乱れが生じた。形状の乱れとしては、ロール軸方向の鋳片端部における、大きな端のびが確認された。インラインミル50のワークロール51a、51bの位置をベンダー等で調整することで、鋳片の板形状の乱れを抑制することもできるが、圧延制御方法にて抑制可能である。実施例5では、圧延制御方法の適正化による板形状の乱れの抑制を確認した。
実施例5の圧延条件では、板形状が乱れることは無かった。圧延条件は、ダミーシートおよび結合部から8mまでにおいては、圧延荷重20トンの荷重制御を行い、結合部が通過した後は、徐々にロールギャップを調整し、圧下率30%の圧下位置制御を行う圧延条件である。結合部が通過した後に徐々にロールギャップを締めこんで調整し、圧下率30%の圧下位置制御へ移行することで、ダミーシートよりも板厚が厚いことにより荷重が大きくなることを抑制する圧下ができ、形状の乱れが生じなかったと考えられる。実施例5では、ダンパー機能付きルーパーを使用し、さらに上記の圧延条件にて鋳片を圧延することで、板破断やロール損傷を防止するとともにオフゲージを減少させ、製造コスト低減ができることが確認された。
Figure 2020015074
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
100 ダンパー機能付きルーパー
110 ダンパー部
110a 接触部
110b 支持柱
110c 外筒
120 ルーパー部
120b ルーパー軸
120d ばね部
120e 基部
310 ダンパー
320 ルーパー

Claims (5)

  1. 一対の冷却ドラムとサイド堰とによって金属溶湯貯留部を形成し、一対の前記冷却ドラムを回転させながら前記金属溶湯貯留部に貯留された金属溶湯を鋳造する双ドラム式連続鋳造装置と、
    前記双ドラム式連続鋳造装置の鋳造方向下流側に配置され、鋳造された鋳片を圧延する圧延装置と、
    前記圧延装置の圧延方向下流側に配置され、圧延された鋳片を水平方向へ送り出すピンチロールと、
    前記ピンチロールの鋳片送出方向下流側に配置され、送出された鋳片をコイル状に巻取る巻取り装置と、を有する連続鋳造設備において、
    前記圧延装置と、前記ピンチロールとの間にダンパーを配備し、
    前記ダンパーは、前記鋳片の張力変動に応じて変化する前記鋳片からの負荷を受けて減衰力を発生するダンパー機能を有する、連続鋳造設備。
  2. 前記圧延装置と前記ダンパーとの間、または前記ダンパーと前記ピンチロールとの間に、
    前記鋳片の張力変動に応じて変化する前記鋳片からの負荷を受けて変位するルーパーを配備する、請求項1に記載の連続鋳造設備。
  3. 前記ダンパーの代わりに、前記ダンパー機能を備えたルーパーを配備する、請求項1に記載の連続鋳造設備。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の連続鋳造設備を用いて鋳片を圧延する圧延方法であって、
    前記鋳片の先端は、前記鋳片を誘導するためのダミーシートと結合され、
    前記鋳片の先端とダミーシートとの結合部よりも上流のダミーシートから前記圧延装置による圧延を開始する、鋳片の圧延方法。
  5. 前記圧延装置は、前記ダミーシートから前記結合部が通過するまでは荷重制御を行い、少なくとも前記結合部が前記圧延装置を通過した後に圧下位置制御を行う、請求項4に記載の鋳片の圧延方法。
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