JP6696410B2 - 圧延設備及び圧延方法 - Google Patents

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本発明は、双ドラム式連続鋳造装置によって鋳造された鋳片を一対のワークロールによって圧延する圧延設備及びこれを用いた圧延方法に関する。
双ドラム式連続鋳造装置では、水平方向に対向配置された一対の連続鋳造用冷却ドラム(以下、「冷却ドラム」とする。)とサイド堰によって金属溶湯貯留部を形成し、金属溶湯貯留部に貯留された金属溶湯を一対の冷却ドラムを回転させて薄肉の鋳片(以下、「鋳造ストリップ」という。)を鋳造する(例えば、特許文献1)。金属溶湯貯留部に金属溶湯が貯留されると、冷却ドラムはそれぞれ上方から下方に回転され、金属溶湯を冷却ドラムの周面で凝固、成長させながら鋳造ストリップとして下方へ送り出す。冷却ドラムから送り出された鋳造ストリップは、ピンチロールによって水平方向へ送り出され、下流のインラインミルによって所望の板厚に調整される。インラインミルによって板厚が調整された鋳造ストリップは、インラインミルの下流に設置された巻取装置によってコイル状に巻き取られる。
このような双ドラム式連続鋳造装置では、冷却ドラムは、一般的に、鋳造開始前は低温であり、鋳造を開始すると金属溶湯との接触により昇温する。また、冷却ドラムは、内面から冷却媒体(例えば、冷却水)によって所定の温度以上とならないように冷却されている。以下、冷却ドラムの温度が所定の温度に到達して一定となった期間を定常鋳造期間、定常鋳造期間の任意の時点を定常鋳造時、定常鋳造期間での冷却ドラムの温度を定常温度とする。また、定常鋳造期間の状態を定常状態という。
冷却ドラムのプロフィルは、鋳造を開始してから定常状態となるまでに経過時間とともに変化する。このため、冷却ドラムのプロフィルは、定常鋳造時における鋳造ストリップの板プロフィル(板クラウン)が所望の板プロフィルとなるように設定されている。
ここで、図8に、従来の双ドラム式連続鋳造装置により鋳造ストリップSを製造する際の、鋳造開始からの経過時間に伴う冷却ドラム10a、10bのプロフィル及び鋳造ストリップSの板プロフィルの変化を示す。なお、鋳造ストリップSの板プロフィルは、インラインミルにおける圧下を実施する前の状態を示している。
鋳造開始時における冷却ドラム10a、10bは、図8の状態Aに示すように、軸方向中央が窪んだ凹形状のプロフィルに設定されている。このようなプロフィルの冷却ドラム10a、10bで圧延された鋳造ストリップSは、板幅方向(すなわち、軸方向)中央が凸形状の板プロフィルを有する。
次に、鋳造を開始から暫く時間が経過すると、冷却ドラム10a、10bは、金属溶湯からの入熱によって軸方向中央が膨張(拡径)し、図8の状態Bに示すように、鋳造開始時(状態A)よりも小さな凹形状のプロフィルに変化する。このため、鋳造ストリップSの板プロフィルは、鋳造開始時(状態A)の鋳造ストリップSよりもクラウン量が小さい凸形状となる。
その後、さらに鋳造開始からさらに時間が経過して定常状態に到達した後は、冷却ドラム10a、10bは、金属溶湯からの入熱によってさらに膨張(拡径)して、図8の状態Cに示すように、軸方向中央の窪みが僅かな凹形状のプロフィルに変化する。したがって、鋳造ストリップSの板プロフィルは、状態Bよりもクラウン量がさらに小さい凸形状となる。
なお、図8の状態Aから状態Cに到達するまでの時間は、金属溶湯の鋼種(溶融温度)、鋳造ストリップの厚さ、冷却ドラムの回転速度や冷却効率によって異なるが、概ね鋳造開始から約30秒程度である。
一方、鋳造ストリップSの板プロフィルの変化には、冷却ドラムの熱膨張に起因する変化の他、鋳造開始から定常温度に到達するまでの冷却ドラムの冷却不均一による凝固シェルの成長変化が起因する。一般に、冷却ドラムによる溶融金属の冷却が強ければ凝固シェル厚さは厚くなり、鋳造ストリップSの厚さは厚くなる。この際、冷却ドラムの軸方向において中央部よりも端部の方が冷却ドラムによる溶融金属の冷却効率は高い。したがって、凝固シェルの厚さは鋳造ストリップSの板中央部よりも板端部の方が厚くなる。その結果、鋳造開始後の鋳造ストリップSは、板端部の板厚が板中央部の板厚よりも厚くなる。この板端部の板厚が厚い部分をエッジアップと呼ぶ。エッジアップの量は鋳造開始時が最も大きく、鋳造開始後、経過時間とともに減少して、定常鋳造時にはほぼ解消する。
図9は、双ドラム式連続鋳造装置によって鋳造ストリップを製造する際の、冷却ドラムが定常温度に到達するまでの凝固シェルの成長変化に起因する鋳造ストリップSの板プロフィルの変化を示す概念図である。なお、図9では、冷却ドラムの図示を省略している。
鋳造開始直後は、冷却ドラムの軸方向中央よりも端部の方が熱は逃げやすい。したがって、溶融金属は鋳造ストリップSの幅方向端部において大きく冷却され、凝固シェルは、鋳造ストリップSの幅方向中央部と比較して幅方向端部の方が厚く形成される。その結果、鋳造開始直後の鋳造ストリップSの板プロフィルは、図9の状態Aに示すように、幅方向端部に大きなエッジアップSaが形成される。
鋳造開始後暫く経過すると、冷却ドラムの軸方向中央と端部との温度差が鋳造開始時よりも小さくなる。このため、鋳造ストリップSの幅方向端部における溶融金属の冷却が鋳造開始時よりも弱くなり、凝固シェルの幅方向中央部と端部とにおける厚さの差が鋳造開始時より小さくなる。その結果、鋳造開始後暫く経過した時点の鋳造ストリップSの板プロフィルは、図9の状態Bに示すように、幅方向端部のエッジアップSaは、鋳造開始直後(状態A)よりも小さくなる。
そして、鋳造開始からさらに時間が経過して定常状態に到達した後は、冷却ドラムの軸方向中央部と端部との温度差がさらに小さくなり、凝固シェルの幅方向中央部と端部とにおける厚さの差はほとんどなくなる。その結果、鋳造開始からさらに時間が経過して定常状態に到達した後の鋳造ストリップSの板プロフィルは、図9の状態Cに示すように、エッジアップはほとんど解消されることとなる。
なお、図9の状態Aから状態Cに到達するまでの時間は、金属溶湯の鋼種(溶融温度)、鋳造ストリップの厚さ、冷却ドラムの回転速度や冷却効率によって異なるが、図8の状態Aから状態Cの場合とほぼ同じであり、概ね鋳造開始から約30秒程度である。
以上より、鋳造開始から定常鋳造時に至るまでの鋳造ストリップSの板プロフィルは、冷却ドラムの熱膨張によるクラウン変化と、冷却ドラムの冷却不均一によるエッジアップ変化とを併せたものとなる。すなわち、図10に示すように、鋳造ストリップSの板プロフィルは、鋳造開始直後は状態Aに示すように幅方向中央部と両端との板厚が厚くなり、鋳造開始後暫く時間が経過すると状態Bに示すように幅方向における板厚の偏りが減少し、その後定常状態となると状態Cに示すように板厚は概ね均一になる。
ここで、特許文献1のように双ドラム式連続鋳造設備で鋳造した鋳造ストリップをインラインミルで圧延する場合、鋳造ストリップの温度はインラインミル入側において約1000℃である。したがって、鋳造ストリップに板幅方向のメタルフロー(幅広がり)を生じさせて僅かに板クラウンを調整することが可能である。インラインミルとしては中間ロールシフト機構を有する6段圧延機やワークロールクロス機構を有する4段圧延機等がある。
また、特許文献2には、一対の鋳造ロールを水平に並列配置した双ロール連続鋳造設備のインラインミルとして、S字形状のロールプロフィルを有し、シフト機構を有する一対の圧延ロールを備える4段圧延機が開示されている。かかる圧延機では、ロールシフトにより板クラウンを凸型から凹型に変化させることが可能であり、また、ロールシフトの非対称を実現することにより素材板クラウンの非対称にも対応できることが開示されている。
特開2000−343103号公報 特開2004−50221号公報
しかしながら、上記特許文献1、2に記載のインラインミルは、単純な中伸びや端伸びの形状制御には対応できるが、図10の状態Aや状態Bに示したような、幅方向中央部と両端との板厚が厚くなった板プロフィルを有する鋳造ストリップの板クラウンを制御することは困難である。
また、インラインミルにおいて、図10の状態Aや状態Bに示したような板プロフィルを有する鋳造ストリップをクラウン量が調整される程度の大きな力で圧延すると、板中央部及び板端部は板厚が厚いことから、長手方向により大きな伸びを生じ、板中央部における中伸びと板端部における端伸びとが極端に大きくなる。その結果、蛇行や絞りが発生し鋳造ストリップが破断し易くなる。鋳造ストリップが破断すると、金属溶湯貯留部に残存する溶湯は直ちに廃棄処分されるため、多大な歩留まり低下を生じさせることとなる。
一方、インラインミルで所望の板厚となるまでの間の鋳造ストリップは、一般的にはオフゲージ(板厚外れ)として後工程で切断されてスクラップとして処理される。その結果、鋳造ストリップのオフゲージは、鋳造ストリップの歩留まりを低下させ製造コストを増大させる大きな要因となっている。したがって、インラインミルでの鋳造ストリップの板厚ができるだけ早く所望の板厚となることが望ましい。すなわち、インラインミルにおけるフライングタッチをより早く開始して、鋳造ストリップを安定的かつ効率的に所望の板厚に圧延するには、図10の状態Aに示したような板プロフィルを有する鋳造ストリップをインラインミルで圧延する際に蛇行や板破断の発生しないようにする必要がある。
しかし、上述のように、従来の技術では幅方向中央部と両端との板厚が厚くなった板プロフィルを有する鋳造ストリップの板クラウンを制御することは困難であるため、フライングタッチは定常状態になってから開始せざるを得ず、オフゲージが発生しコスト上昇を招いてしまう。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、双ドラム式連続鋳造装置によって鋳造された鋳造ストリップをインラインミルに送って圧延する場合に、蛇行や絞りの発生を防止し、かつフライングタッチを早めることの可能な、新規かつ改良された圧延設備及び圧延方法を提供することにある。
本発明の発明者らは、双ドラム式連続鋳造装置によって鋳造された薄肉の鋳片である鋳造ストリップをインラインミルに送って圧延する場合に、インラインミルにおける蛇行を抑制して安定して圧延するための技術を鋭意研究した結果、インラインミルを構成する一対のワークロールに特別なロールプロフィルを与え、当該ワークロールによって形成される隙間を、鋳造開始後経過時間に伴って変化する薄肉鋳片の板プロフィルに対応して上記ワークロールをロール軸方向に移動させることを想到した。これにより、鋳造ストリップの板プロフィルに対応させてロールプロフィルを変化させることが可能となり、鋳造ストリップを均一に、かつ、蛇行や板形状不良なく安定して圧延できるとともに、フライングタッチのタイミングを早めることにも有効であるとの知見を得た。
すなわち、上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、双ドラム式連続鋳造装置により鋳造された鋳片を一対のワークロールによって圧延する圧延設備であって、予め取得された双ドラム式連続鋳造装置により鋳造される鋳片の板プロフィルの時間変化に基づいて、各ワークロールのロール軸方向の相対位置を制御するロールシフト制御部を備え、各ワークロールは、ロール軸方向の一端側にあって当該ロール軸方向の一端から他端側に向かって拡径する拡径部と、ロール軸方向の他端側にあってロール軸方向の一端側から他端に向かって縮径する縮径部と、拡径部と縮径部との間にあって拡径部側から縮径部側へ向かって縮径した後拡径する中間部と、からなり、ロール径が、拡径部と中間部との境界部で極大、中間部で極小、中間部と縮径部との境界部で極大となるロールプロフィルを有しており、点対称に、かつ、ロール軸方向に相対移動可能に配置されている、圧延設備が提供される。
また、圧延設備は、一対のワークロールを支持する一対のバックアップロールを備え、バックアップロールの胴長は、一対のワークロールにより圧延されている鋳片の板幅よりも短く設定される。
また、圧延設備の圧延方向入側または出側のうち少なくともいずれか一方に、鋳片の板幅方向位置を検出する位置検出装置を備え、位置検出装置により検出された鋳片の板幅方向位置に基づいて、当該鋳片を板幅方向中央位置に対して対称に挟むように、各ワークロールのロール軸方向の相対位置を制御するロールシフト制御部を備えてもよい。
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、双ドラム式連続鋳造装置により鋳造された鋳片を一対のワークロールを備える圧延設備によって圧延する圧延方法であって、各ワークロールは、ロール軸方向の一端側にあって当該ロール軸方向の一端から他端側に向かって拡径する拡径部と、ロール軸方向の他端側にあってロール軸方向の一端側から他端に向かって縮径する縮径部と、拡径部と縮径部との間にあって拡径部側から縮径部側へ向かって縮径した後拡径する中間部と、からなり、ロール径が、拡径部と中間部との境界部で極大、中間部で極小、中間部と縮径部との境界部で極大となるロールプロフィルを有しており、点対称に、かつ、ロール軸方向に相対移動可能に配置されており、鋳片の圧延開始前に、双ドラム式連続鋳造装置により鋳造される鋳片の板プロフィルの時間変化を算出し、予め算出された鋳片の板プロフィルの時間変化に基づいて、当該ワークロールをロール軸方向に相対移動し、鋳片を圧延する、圧延方法が提供される。
さらに、予め取得された鋳片の板プロフィルの時間変化に基づいて、当該ワークロールをロール軸方向に相対移動するとともに、圧延設備の圧延方向入側または出側のうち少なくともいずれか一方に配置された位置検出装置によって鋳片の板幅方向位置を検出し、位置検出装置により検出された鋳片の板幅方向位置に基づいて、当該鋳片を板幅方向中央位置に対して対称に挟むように、各ワークロールのロール軸方向の相対位置を制御してもよい。
鋳片の板プロフィルに基づく圧延は、各ワークロールの拡径部及び中間部で鋳片を圧延する第1段階と、各ワークロールの中間部においてロール径が最小となる極小部を含ように当該中間部にて鋳片を圧延する第2段階と、各ワークロールの中間部のうち極小部よりも縮径部側の部分にて鋳片を圧延する第3段階と、を含んでもよい。
また、第3段階の後、各ワークロールの中間部のうち極小部よりも縮径部側の部分と縮径部とにより鋳片を圧延する第4段階をさらに含んでもよい。
本発明によれば、双ドラム式連続鋳造装置によって鋳造された鋳造ストリップをインラインミルに送って圧延する場合に、蛇行や絞りの発生を防止し、かつフライングタッチを早めることが可能となる。
本発明の第1の実施形態に係る鋳造ストリップの製造工程の概略構成を示す説明図である。 同実施形態に係る圧延開始時における鋳造ストリップの先端とダミーシートとの接続部を示す説明図である。 インラインミルを制御するインラインミル制御装置の構成を示す説明図である。 同実施形態に係るインラインミルのワークロールの形状を示す説明図である。 同実施形態に係るインラインミルのワークロールによる鋳造ストリップの圧延工程を説明する説明図である。 本発明の第2の実施形態に係るインラインミルを制御するインラインミル制御装置90の構成を示す説明図である。 同実施形態に係るインラインミルを構成するワークロール及びバックアップロールを示す説明図である。 従来の双ドラム式連続鋳造装置により鋳造ストリップを製造する際の、鋳造開始からの経過時間に伴う冷却ドラムのプロフィル及び鋳造ストリップの板プロフィルの変化を示す概念図である。 双ドラム式連続鋳造装置によって鋳造ストリップを製造する際の、冷却ドラムが定常温度に到達するまでの凝固シェルの成長変化に起因する鋳造ストリップの板プロフィルの変化を示す概念図である。 冷却ドラムの熱膨張によるクラウン変化と冷却ドラムの冷却不均一によるエッジアップ変化とに起因する変化を考慮した、鋳造開始から定常鋳造時に至るまでの鋳造ストリップの板プロフィルの変化を示す概念図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
<1.第1の実施形態>
[1−1.鋳造ストリップ製造工程]
まず、図1〜図3に基づいて、本発明の第1の実施形態に係る鋳造ストリップを製造する製造工程の概要を説明する。図1は、本実施形態に係る鋳造ストリップ(薄肉鋳片)の製造工程の概略構成を示す説明図である。図2は、圧延開始時における鋳造ストリップSの先端とダミーシート11との接続部を示す説明図である。図3は、インラインミル50を制御するインラインミル制御装置90の構成を示す説明図である。
本実施形態に係る鋳造ストリップ製造工程1は、図1に示すように、例えば、タンディッシュ(貯蔵装置)Tと、双ドラム式連続鋳造設備10と、酸化防止装置20と、冷却装置30と、第1のピンチロール装置40と、インラインミル50と、第2のピンチロール装置60と、巻取装置70とを備えている。
双ドラム式連続鋳造装置10は、図1に示すように、例えば、一対の冷却ドラム10a、10bと、一対の冷却ドラム10a、10bの軸方向両側に配置されたサイド堰(図示せず。)とを備える。一対の冷却ドラム10a、10bとサイド堰とは、タンディッシュTから供給される溶融金属を貯留する金属溶湯貯留部15を構成している。
一対の冷却ドラム10a、10bは、第1冷却ドラム10aと第2冷却ドラム10bとを備えている。第1冷却ドラム10a及び第2冷却ドラム10bは、軸方向中央が僅かに窪んだ凹形状のプロフィルを有している。また、第1冷却ドラム10aと第2冷却ドラム10bとは、製造する鋳造ストリップSの板厚(内部品質)に対応して、冷却ドラム10a、10bの間隔を調整可能に構成されている。第1冷却ドラム10a、第2冷却ドラム10bは、内部に冷却媒体(例えば、冷却水)が流通可能に構成されている。冷却ドラム10a、10bの内部に冷却媒体を流通させることによって、冷却ドラム10a、10bを冷却することができる。
本施形態では、第1冷却ドラム10a、第2冷却ドラム10bは、例えば、外径800mm、ドラム胴長(幅)1500mm、定常時における鋳造ストリップSの板クラウンが30μmになるように設定(初期加工)されている。なお、一対の冷却ドラム10a、10bの外径、ドラム胴長(幅)は、これに限定されないことはいうまでもない。
双ドラム式連続鋳造装置10では、図2に示すように、鋳造ストリップSの先端にダミーシート11を接続して、鋳造を開始する。ダミーシート11の先端には、鋳造ストリップSよりも厚みを有するダミーバー13が設けられており、ダミーバー13によってダミーシート11が誘導される。また、鋳造ストリップSの先端とダミーシート11との接続部には、鋳造ストリップSの板厚よりも厚い突起部12が形成される。インラインミル50における圧延(フライングタッチ)は、突起部12がインラインミル50を通過した後に開始される。
酸化防止装置20は、鋳造直後の鋳造ストリップSの表面が酸化してスケールが発生するのを防止するための処理を行うための装置である。酸化防止装置20内では、例えば、窒素ガスによって酸素量を調整することが可能である。酸化防止装置20は、鋳造する鋳造ストリップSの鋼種等を考慮し、必要に応じて適用することが好ましい。
冷却装置30は、酸化防止装置20により酸化防止処理が表面に施された鋳造ストリップSを冷却する装置である。冷却装置30は、例えば、複数のスプレーノズル(図示せず。)を備え、鋼種に応じてスプレーノズルから鋳造ストリップSの表面(上面及び下面)に対して冷却水を噴出し、鋳造ストリップSを冷却する。
なお、酸化防止装置20と冷却装置30との間に、一対の送りロール81を配置してもよい。一対の送りロール81は、圧下装置(図示せず。)によって鋳造ストリップSを挟むとともに、一対の冷却ドラム10a、10bと送りロール81との間における鋳造ストリップSのループ長を計測しながら、当該ループ長が一定となるように鋳造ストリップSに水平方向の搬送力を付与する。送りロール81は、例えば、ロール径200mm、ロール胴長(幅)2000mmの一対のロールにより構成されている。
第1のピンチロール装置40は、インラインミル50の入側に配置されるピンチロール装置である。第1のピンチロール装置40は、上ピンチロール及び下ピンチロールと、圧延荷重検出装置と、圧下装置とを備えている。上ピンチロール及び下ピンチロールは、それぞれ内部に中空流路が形成されており、冷却媒体(例えば、冷却水)が流通可能に構成されている。冷却媒体を流通させることにより、ピンチロールを冷却することができる。上ピンチロール及び下ピンチロールは、例えば、ロール径400mm、ロール胴長(幅)2000mmとしてもよい。また、上ピンチロール及び下ピンチロールは、ハウジング内のロールチョックを介して配置されており、モータ(図示せず。)によって回転駆動される。
第1のピンチロール装置40と後述するインラインミル50との間に生じる張力は、これらの間に配置されたテンションロール82によって測定可能である。そして、第1のピンチロール装置40とインラインミル50間に生じる張力が、予め設定された張力になるように、一対のピンチロールの速度制御が行われている。
インラインミル50は、鋳造ストリップSを圧延して、鋳造ストリップSを所望の板厚にする圧延装置である。本実施形態では、インラインミル50は、一対のワークロール51a、51bを有する2段圧延機である。また、インラインミル50は、インラインミルを制御するインラインミル制御装置(図3の符号90)や板厚計等を備えている。ワークロール51a、51bは、モータ(図示せず。)により回転駆動されるとともに、入側及び出側から冷却水により冷却されている。また、ワークロール51aの上方には、ワークロール51aを下方のワークロール51bへ圧下する油圧シリンダ55が設けられている。
インラインミル50は、図2に示したように、定常鋳造時に鋳造された鋳造ストリップSの先端が、インラインミル50を通過した後に、インラインミル50のワークロール51a、51bを回転させながらロールギャップを締め込んで圧延を開始するようになっている。このような圧延方法は、フライングタッチと呼ばれている。
インラインミル制御装置90は、図3に示すように、インラインミル50を統括して制御するミル制御部91と、油圧シリンダ55を制御する油圧シリンダ制御部93と、ロールシフト制御部95と、ロール回転制御部97とを含む。
油圧シリンダ制御部93は、ワークロール51a、51bに連結された油圧シリンダ55を圧下制御する。油圧シリンダ制御部93は、インラインミル50を統括して制御するミル制御部91からの指示に基づき、油圧シリンダ55を制御して、ワークロール51a、51b間のロールギャップを調整する。この際、ミル制御部91は、インラインミル50の出側に設置された板厚計73により測定された鋳造ストリップSの板厚に基づいて、鋳造ストリップSが予め設定された板厚に形成されるようにロールギャップを調整する。板厚計73には、例えばX線板厚計等を用いてもよい。ロールシフト制御部95は、ミル制御部91からの指示に基づき、ワークロール51a、51bをそれぞれロール軸方向に移動させる。ロール回転制御部97は、ミル制御部91からの指示に基づき、ワークロール51a、51bの回転速度を制御する。
インラインミル制御装置90は、さらにロールベンディング力を設定するロールベンディング設定部(図示せず。)を含んでもよい。ただし、ロールベンディングの板形状(板クラウン)に及ぼす効果は2段圧延機の場合よりも4段圧延機の場合の方が遙かに大きいことはいうまでもない。さらに、当該インラインミル50に対して入側または出側のうち少なくともいずれか一方に、鋳造ストリップSの幅方向位置を検出する位置検出装置71、72を設けてもよい。図1では、インラインミル50の入側及び出側に位置検出装置71、72が配置された状態をしているが、図3に示すように、インラインミル50の出側のみに位置検出装置72を設けてもよい。例えば、鋳造ストリップSの蛇行量を検出するために、位置検出装置71、72を用いて鋳造ストリップSの幅方向中央位置を検出してもよい。位置検出装置71、72の検出値はミル制御部91に出力され、インラインミル50の制御に利用される。
また、本実施形態に係るワークロール51a、51bは、双ドラム式連続鋳造装置10によって鋳造された鋳造ストリップSを圧延する際に、インラインミル50における鋳造ストリップSの蛇行を抑制して安定して圧延するために、所定のロールプロフィルが設定されている。そして、鋳造開始後経過時間に伴って変化する鋳造ストリップSの板プロフィルに対応して上記ワークロールをロール軸方向に移動させることで、鋳造ストリップSと接するワークロール51a、51bのロールギャップを変化させる。なお、インラインミル50のワークロール51a、51bのロールプロフィル及びロールシフトに関しては、後述する。
図1の説明に戻り、インラインミル50の出側には、第2のピンチロール装置60が配置されている。第2のピンチロール装置60は、第1のピンチロール装置40と同様、上ピンチロール及び下ピンチロールと、圧延荷重検出装置と、圧下装置とを備えている。上ピンチロール及び下ピンチロールは、それぞれ内部に中空流路が形成されており、冷却媒体(例えば、冷却水)が流通可能に構成されている。冷却媒体を流通させることにより、ピンチロールを冷却することができる。上ピンチロール及び下ピンチロールは、例えば、ロール径400mm、ロール胴長(幅)2000mmとしてもよい。また、上ピンチロール及び下ピンチロールは、ハウジング内のロールチョックを介して配置されており、モータ(図示せず。)によって回転駆動される。インラインミル50と第2のピンチロール装置60との間には、テンションロール83が配置されている。
巻取装置70は、第2のピンチロール装置60の出側に配置され、鋳造ストリップSをコイル状に巻き取る装置である。第2のピンチロール装置60と巻取装置70との間には、デフレクタロール84が配置されている。
[1−2.インラインミルのワークロールについて]
本実施形態に係るインラインミル50のワークロール51a、51bは、鋳造ストリップSの蛇行を抑制して安定して圧延するために、所定のロールプロフィルが設定されている。そして、鋳造開始後経過時間に伴って変化する鋳造ストリップSの板プロフィルに対応して上記ワークロール51a、51bをロール軸方向に移動させ、鋳造ストリップSと接する部分のワークロール51a、51bのロールギャップを変化させながら圧延する。以下、図4及び図5に基づいて、本実施形態に係るインラインミル50のワークロール51a、51bのロールプロフィルとこれによる作用について説明する。なお、図4は、本実施形態に係るインラインミル50のワークロール51a、51bの形状を示す説明図である。図5は、本実施形態に係るインラインミル50のワークロール51a、51bによる鋳造ストリップSの圧延工程を説明する説明図である。
(1)ロールプロフィル
本実施形態に係るワークロール51a、51bは、同一のロールプロフィルを有するロールであり、ロール軸を平行にして配置される。ワークロール51a、51bは、図4に示すように、ロール軸方向の一端側にあって当該ロール軸方向の一端から他端側に向かって拡径する拡径部C1と、ロール軸方向の他端側にあってロール軸方向の一端側から他端に向かって縮径する縮径部C3と、拡径部C1と縮径部C3との間にあって拡径部C1側から縮径部C3側へ向かって縮径した後拡径する中間部C2とからなる。拡径部C1、中間部C2及び縮径部C3は、連続した外周面を有し、1つのロールを形成している。また、ワークロール51a、51bのロール径は、拡径部C1と中間部C2との境界部P1で極大となり、中間部C2の間の所定の位置P2で極小となり、中間部C2と縮径部C3との境界部P3で極大となっている。
このようなロールプロフィルを有するワークロール51a、51bは、図4に示すように、外周面がロール軸方向に沿って波打つ曲面となる。ワークロール51a、51bは、ロール軸を平行に、点対称にして配置される。そして、圧延する鋳造ストリップSの板プロフィルに応じて、鋳造ストリップSに接する面が変化するようにワークロール51a、51bをロール軸方向にシフトさせ、相対位置を変化させる。
(2)ロールシフト位置
図5に、本実施形態に係るインラインミル50のワークロール51a、51bのロールシフト位置と、そのロールシフト位置において圧延された鋳造ストリップSの板プロフィル(出側板プロフィル)を示す。なお、出側板プロフィルは上下対称に簡略化して示している。
まず、図5の状態Aに示すロールシフト位置は、ワークロール51a、51bの拡径部C1及び中間部C2で鋳造ストリップSを圧延するようにした状態である(第1段階)。状態Aでは、鋳造ストリップSの板幅方向の一端側が、ワークロール51aの拡径部C1の外周面とワークロール51bの中間部C2とに接触し、他端側が、ワークロール51aの中間部C2の外周面とワークロール51bの拡径部C1とに接触している。このときのロールギャップ間の分布(出側板プロフィル)は、大きな凸クラウンと大きなエッジアップとを組み合わせたものとなる。したがって、図10の状態Aに示したような鋳造開始直後の鋳造ストリップSの圧延に適した形状となっている。
次いで、図5の状態Bに示すロールシフト位置は、状態Aのロールシフト位置から各ワークロール51a、51bの拡径部C1側端部を遠ざけるようにロールシフトさせ、鋳造ストリップSが拡径部C1に接する範囲を少なくした状態である。このときのロールギャップ間の分布(出側板プロフィル)は、小さな凸クラウンと小さなエッジアップとを組み合わせたものとなる。したがって、図10の状態Bに示したような鋳造開始後暫く時間が経過した後の鋳造ストリップSの圧延に適した形状となっている。
そして、図5の状態Cに示すロールシフト位置は、状態Bのロールシフト位置から各ワークロール51a、51bの拡径部C1側端部をさらに遠ざけるようにロールシフトさせ、ワークロール51a、51bの中間部C2のうち極小部P2よりも縮径部C3側の部分にて鋳造ストリップSを圧延するようにした状態である(第3段階)。すなわち、鋳造ストリップSは、ワークロール51a、51bの中間部C2において対向する外周面が略平行となる部分で圧延されることになる。このときのロールギャップ間の分布(出側板プロフィル)は略矩形であり、図10の状態Cに示したような定常状態での鋳造ストリップSの圧延に適した形状となっている。
このように、上述のロールプロフィルを有するワークロール51a、51bのロール軸方向における相対位置を変化させることで、図10の状態A、Bに示したような幅方向中央部と両端との板厚が厚くなった板プロフィルを有する鋳造ストリップSの板クラウンを制御することが可能である。
また、本実施形態に係るワークロール51a、51bは、さらに縮径部C3を備えていることで、例えば図5の状態Dに示すような板幅方向中央部が窪んだ凹形状の出側板プロフィルとなった場合でも、当該形状の矯正が可能である。例えば、冷却ドラム10a、10bの初期プロフィルの凹型が大きすぎたり、冷却ドラム10a、10bの冷却不足等の外乱の影響を受けたりすることによって、定常状態の板プロフィルが凹形状になることもある。この場合、図5の状態Dに示すように、状態Cのロールシフト位置から各ワークロール51a、51bの拡径部C1側端部をさらに遠ざけるようにロールシフトさせ、ワークロール51a、51bの中間部C2のうち極小部P2よりも縮径部C3側の部分と縮径部C3とにより鋳造ストリップSを圧延するようにしてもよい(第4段階)。
なお、上述したように、インラインミル50の入側及び出側には、図1に示すように、鋳造ストリップSの板幅方向における位置を検出する位置検出装置71、72が配置されていてもよい。これにより、位置検出装置71、72の検出結果に基づいて、鋳造ストリップSの板幅方向における中央位置がずれたことを検知することが可能となり、当該中央位置がずれた場合(すなわち、オフセンターの場合)、各ワークロール51a、51bの位置が鋳造ストリップSに対して適切に配置されるように、上下非対称にシフトされ修正される。
このように、本実施形態に係るインラインミル50のワークロール51a、51bのロールプロフィルを上述のように設定し、鋳造開始から定常状態に至るまでの鋳造ストリップSのクラウン変化に対してワークロール51a、51bをロール軸方向にシフトさせることで、圧延時でのクラウン変化比率が抑制できる。したがって、圧延時の形状変動を抑制でき、インラインミル50における鋳造ストリップSの蛇行や絞りによる板破断を防止でき、さらにフライングタッチの時期を早めることができる。
[1−3.鋳造ストリップの製造]
以下、図1に示した鋳造ストリップ製造工程1における鋳造ストリップSの製造について説明する。
まず、タンディッシュTに金属溶湯が一時的に貯蔵される。タンディッシュTに貯蔵された金属溶湯は、タンディッシュ下部に形成されたノズルを介して、双ドラム式連続鋳造装置10の金属溶湯貯留部15に注入される。このとき、ノズルを制御して、金属溶湯貯留部15に貯留される金属溶湯の量は一定に制御される。
次いで、一対の冷却ドラム10a、10bを回転させながら、金属溶湯貯留部15に貯留された金属溶湯を一対の冷却ドラム10a、10bの周面で凝固、成長させて、鋳造ストリップSを鋳造する。双ドラム式連続鋳造装置10において鋳造を開始する際は、例えば、図2に示したように、鋳造ストリップSの先端となる部分にダミーシート11を接続する。このとき、ダミーシート11の進行方向先端側には鋳造ストリップSに比べてはるかに厚いダミーバー13が設けられ、鋳造ストリップSとダミーシート11との接続部には、鋳造ストリップSの板厚よりも厚い突起部12が形成される。例えば、鋳造ストリップSの寸法を板厚2mm、板幅1200mmとし、一対の冷却ドラム10a、10bの周速(鋳造速度)を150m/minとしてもよい。ただし、鋳造ストリップSの寸法及び鋳造速度はかかる例に限定されない。
一対の冷却ドラム10a、10bで形成された鋳造ストリップSは、必要に応じて、酸化防止装置20において、酸化防止処理がされる。そして、送りロール81によって、冷却ドラム10a、10bと送りロール81との間における鋳造ストリップSのループ長を一定に保ちながら、鋳造ストリップSが下流側に搬送される。また、必要に応じて、冷却装置30によって鋳造ストリップSを冷却する。その後、第1のピンチロール装置40によって、鋳造ストリップSに第1のピンチロール装置40とインラインミル50との間に張力を発生させながら、鋳造ストリップSをインラインミル50に送る。
次いで、インラインミル50は、突起部12がインラインミル50を通過した後、フライングタッチを開始する。すわなち、鋳造ストリップSの板速度にインラインミル50のロール速度を同期させながら圧下力をかけていく。インラインミル50は、鋳造ストリップSを圧延して、所望の板厚に調整する。ここで、インラインミル50でのワークロール51a、51bのロールシフト量は予め実験によって算出されてもよい。すなわち、鋳造開始から定常状態に至るまでの鋳造ストリップの板プロフィルに応じてワークロール51a、51bのロールシフト量を制御する。また、鋳造ストリップSにオフセンターがある場合には、検出された該鋳造ストリップの位置情報をミル制御部91へ送り、ミル制御部91にて当該鋳片の板幅中央位置を演算して上記ロールシフト量は修正される。
インラインミル50により圧延された鋳造ストリップSは、第2のピンチロール装置60によって、鋳造ストリップSにインラインミル50と第2のピンチロール装置60との間に張力を発生させながら、巻取装置70へ搬送される。巻取装置70は、搬送されてきた鋳造ストリップSを巻き取る。
以上、第1の実施形態に係る双ドラム式連続鋳造装置により鋳造された鋳片を一対のワークロールによって圧延する圧延設備と、これによる圧延方法について説明した。
<2.第2の実施形態>
次に、図6及び図7に基づいて、本発明の第2の実施形態に係る双ドラム式連続鋳造装置により鋳造された鋳片を一対のワークロールによって圧延する圧延設備と、これによる圧延方法について説明する。図6は、本実施形態に係るインラインミル50を制御するインラインミル制御装置90の構成を示す説明図である。図7は、インラインミル50を構成するワークロール51a、51b及びバックアップロール53a、53bを示す説明図である。本実施形態に係る鋳造ストリップ製造工程は基本的に第1の実施形態と同一であり、図6に示すように、インラインミル50の構成のみ相違する。
すなわち、第1の実施形態に係るインラインミル50は2段圧延機であるが、本実施形態に係るインラインミル50は、一対のバックアップロール53a、53bを有する4段圧延機である。鋳造ストリップSの鋼種や製品幅が同一であれば第1の実施形態に係る構成の圧延機で対応可能であるが、鋼種等が変化した場合にはインラインミル50の圧延力が変わる。このときワークロール51a、51bの撓みも変化するため、すべての鋼種にワークロール51a、51bのロールプロフィル1つのみで対応する(すなわち、クラウン補率変化を揃える)ことは困難である。
この場合、鋼種や板幅毎にワークロールを交換する必要がある。また、ロール径によって軸受け部の最大荷重が決まるため、インラインミル50での荷重が大きな場合にはロール径を大きくする必要があり、その結果、接触弧長も増大するのでインラインミル50が大型化してしまうことがある。そこで、本実施形態に係るインラインミル50の構成とすることで、このような場合にも容易に対応することが可能となる。
すなわち、図6に示すように、図3に示したインラインミル50のワークロール51a、51bを支持するバックアップロール53a、53bを配置し、圧延荷重をバックアップロール53a、53bで受けるようにする。バックアップロール53a、53bのロール径は、ロール軸方向に同一としてよい。また、ワークロール51a、51bはロールシフトするが、バックアップロール53a、53bのロール軸方向における位置は固定としてもよい。
ただし、バックアップロール53a、53bの胴長をワークロール51a、51bの胴長と同一にするとワークロール51a、51bとバックアップロール53a、53bとの間の荷重分布の影響により、ワークロール51a、51b間のギャップが図5に示したような出側板プロフィルにはならず、複合波を誘発し、板破断を招く。
そこで、本実施形態に係るインラインミル50では、図7に示すように、バックアップロール53a、53bの胴長を、鋳造プロフィルSの板幅Wよりも短くする。これにより複合伸びの影響を防止することができる。バックアップロール53a、53bの胴長は該鋳造プロフィルSの板幅Wよりも50mm〜100mm程度短くすることが好ましい。なお、この結果、ロールマークが圧延後の薄肉中片に転写されるが、後工程での酸洗によって無害化されるため問題ない。
以下、本発明の実施例について説明する。実施例1は、図1と同様の構成を備えた鋳造ストリップの製造工程において実施した。また、実施例1で使用した鋳造ストリップは、板厚2mm、板幅1200mmであった。鋳造開始からの冷却ドラムの加速レートは150m/min/30秒であり、定常鋳造状態の冷却ドラムの回転速度は150m/minであった。インラインミルでの圧下率は30%とし、インラインミル出側の鋳造ストリップの板厚は1.4mmとした。また、第1のピンチロール装置とインラインミルとの間の張力は合力で3.6tf(応力:約15MPa)であった。また、押付力は左右合わせて約15tfであった。
一方、比較例1、2として、従来技術に係るインラインミルにおいて2段圧延機を用いた場合について検証した。比較例1では、インラインミルのワークロールのロール径は一定(フラット)とした。また、比較例2では、インラインミルのワークロールはS字形状のロールプロフィルとした。
まず、比較例1では、鋳造開始から28秒以降後になっても安定したフライングタッチができなかった。その結果、約40mのオフゲージが発生した。また、比較例2では、鋳造開始から22秒で安定したフライングタッチが可能となり、オフゲージは比較例1よりも短く、約31mに抑えられた。しかし、鋳造開始から22秒が経過する前ではエッジアップに対応する圧延が適切に行われず板破断が多発した。
これに対して、実施例1では、鋳造開始から8秒で安定したフライングタッチが可能となり、オフゲージは約12mに抑えられた。なお、実施例2として、インラインミルの構成を図6に示したバックアップロールを備える4段圧延機を用いた場合について検証した。このとき、ワークロールのロールプロフィル及びその他の圧延条件は、実施例1と同一とした。実施例2では、複数の鋼種について鋳造ストリップの製造を実施したが、鋼種の相違によって変形抵抗が2倍になっても、実施例1と同程度の鋳造開始からの経過時間で安定したフライングタッチが可能となり、オフゲージも同程度に抑えられた。なお、実施例2(変形抵抗2倍の場合)において、実施例1の圧延機を使用した場合には圧延機の圧化力限界(ベアリングの強度起因)により所望の圧下率を得ることができなかった。
また、実施例3として、圧延機出側に鋳片の板幅方向位置を検出する位置検出装置(図3の位置検出装置75)を設置した場合について検証した。実施例3においては、位置検出装置により検出された位置情報がミル制御部へ送信され、ミル制御部にて鋳片の板幅中央位置が演算される。その結果と予め取得された双ドラム式連続鋳造装置により鋳造される鋳片の板プロフィルの時間変化に基づいて、ロールシフト制御部により当該鋳片を板幅方向中央位置に対して対称に挟むように、各ワークロールのロール軸方向の相対位置が制御される。その際、圧延機入側にて意図的に鋳造ストリップを50mmオフセンターさせた。また、実施例3との対比として、比較例3では、圧延機入側にて意図的に鋳造ストリップを50mmオフセンターさせたが、オフセンターの影響を考慮せず実施例1と同様に行った。
実施例3及び比較例3を実施した結果、実施例3では実施例2と同様に鋳造開始から8秒で安定したフライングタッチが可能となり、オフゲージは約12mに抑えられた。一方、比較例3ではエッジアップに対応する圧延が適切に行われず板破断が多発した。
以上のことから、本発明によれば、双ドラム式連続鋳造設備において圧延設備であるインラインミルでの鋳造ストリップの蛇行を防止することが可能であり、早期にフライングタッチが可能となり、鋳造ストリップを安定して製造できることが判明した。その結果、鋳造ストリップの製造コストを低減できることが明らかとなった。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
10 双ドラム式連続鋳造装置
10a、10b 冷却ドラム
11 ダミーシート
12 突起部
13 ダミーバー
15 金属溶湯貯留部
20 酸化防止装置
30 冷却装置
40 第1のピンチロール装置
50 インラインミル
51a、51b ワークロール
53a、53b バックアップロール
60 第2のピンチロール装置
70 巻取装置
71、72 位置検出装置
73 板厚計
81 送りロール
82、83 テンションロール
84 デフレクタロール
90 インラインミル制御装置
91 ミル制御部
93 油圧シリンダ制御部
95 ロールシフト制御部
97 ロール回転制御部
S 鋳造ストリップ(薄肉鋳片)
T タンディッシュ
C1 拡径部
C2 中間部
C3 縮径部

Claims (7)

  1. 双ドラム式連続鋳造装置により鋳造された鋳片を一対のワークロールによって圧延する圧延設備であって、
    予め取得された前記双ドラム式連続鋳造装置により鋳造される前記鋳片の板プロフィルの時間変化に基づいて、各前記ワークロールのロール軸方向の相対位置を制御するロールシフト制御部を備え、
    各前記ワークロールは、
    ロール軸方向の一端側にあって当該ロール軸方向の一端から他端側に向かって拡径する拡径部と、前記ロール軸方向の他端側にあって前記ロール軸方向の一端側から他端に向かって縮径する縮径部と、前記拡径部と前記縮径部との間にあって前記拡径部側から前記縮径部側へ向かって縮径した後拡径する中間部と、からなり、
    ロール径が、前記拡径部と前記中間部との境界部で極大、前記中間部で極小、前記中間部と前記縮径部との境界部で極大となるロールプロフィルを有しており、
    点対称に、かつ、前記ロール軸方向に相対移動可能に配置されている、圧延設備。
  2. 一対の前記ワークロールを支持する一対のバックアップロールを備え、
    前記バックアップロールの胴長は、一対の前記ワークロールにより圧延されている前記鋳片の板幅よりも短い、請求項1に記載の圧延設備。
  3. 前記圧延設備の圧延方向入側または出側のうち少なくともいずれか一方に、前記鋳片の板幅方向位置を検出する位置検出装置を備え、
    前記位置検出装置により検出された前記鋳片の板幅方向位置に基づいて、当該鋳片を板幅方向中央位置に対して対称に挟むように、各前記ワークロールのロール軸方向の相対位置を制御するロールシフト制御部を備える、請求項1または2に記載の圧延設備。
  4. 双ドラム式連続鋳造装置により鋳造された鋳片を一対のワークロールを備える圧延設備によって圧延する圧延方法であって、
    各前記ワークロールは、
    ロール軸方向の一端側にあって当該ロール軸方向の一端から他端側に向かって拡径する拡径部と、前記ロール軸方向の他端側にあって前記ロール軸方向の一端側から他端に向かって縮径する縮径部と、前記拡径部と前記縮径部との間にあって前記拡径部側から前記縮径部側へ向かって縮径した後拡径する中間部と、からなり、
    ロール径が、前記拡径部と前記中間部との境界部で極大、前記中間部で極小、前記中間部と前記縮径部との境界部で極大となるロールプロフィルを有しており、
    点対称に、かつ、前記ロール軸方向に相対移動可能に配置されており、
    前記鋳片の圧延開始前に、前記双ドラム式連続鋳造装置により鋳造される前記鋳片の板プロフィルの時間変化を算出し、
    予め算出された前記鋳片の板プロフィルの時間変化に基づいて、当該ワークロールをロール軸方向に相対移動し、前記鋳片を圧延する、圧延方法。
  5. 予め取得された前記鋳片の板プロフィルの時間変化に基づいて、当該ワークロールをロール軸方向に相対移動するとともに、
    前記圧延設備の圧延方向入側または出側のうち少なくともいずれか一方に配置された位置検出装置によって前記鋳片の板幅方向位置を検出し、前記位置検出装置により検出された前記鋳片の板幅方向位置に基づいて、当該鋳片を板幅方向中央位置に対して対称に挟むように、各前記ワークロールのロール軸方向の相対位置を制御する、請求項に記載の圧延方法。
  6. 前記鋳片の板プロフィルに基づく圧延は、
    各前記ワークロールの前記拡径部及び前記中間部で前記鋳片を圧延する第1段階と、
    各前記ワークロールの前記中間部においてロール径が最小となる極小部を含ように当該中間部にて前記鋳片を圧延する第2段階と、
    各前記ワークロールの前記中間部のうち前記極小部よりも前記縮径部側の部分にて前記鋳片を圧延する第3段階と、
    を含む、請求項またはに記載の圧延方法。
  7. 前記第3段階の後、各前記ワークロールの前記中間部のうち前記極小部よりも前記縮径部側の部分と前記縮径部とにより前記鋳片を圧延する第4段階をさらに含む、請求項に記載の圧延方法。
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