JP2001340908A - ロール冷却方法 - Google Patents

ロール冷却方法

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JP2001340908A
JP2001340908A JP2000402011A JP2000402011A JP2001340908A JP 2001340908 A JP2001340908 A JP 2001340908A JP 2000402011 A JP2000402011 A JP 2000402011A JP 2000402011 A JP2000402011 A JP 2000402011A JP 2001340908 A JP2001340908 A JP 2001340908A
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roll
cooling
rolled
rolling
sheet
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JP2000402011A
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Yoshikiyo Tamai
良清 玉井
Michio Yamashita
道雄 山下
Takeshi Wada
武司 和田
Futoshi Goto
太 後藤
Hiroshi Shiomi
弘資 潮海
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JFE Steel Corp
Original Assignee
Kawasaki Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 スラブを加熱炉で加熱し、粗圧延機で圧延し
てシートバーとなし、シートバーを接合して、連続して
仕上圧延を行う熱間エンドレス圧延、あるいはそれに限
らず熱間バッチ圧延においても、仕上圧延する際に、ロ
ールバレル方向に多数配設した冷却ノズルから冷却水を
噴出してロールの冷却を行い、そのサーマルプロフィル
を制御する方法に関する。 【解決手段】 ロールと被圧延材が接触する板道の両端
から所定距離分の冷却ノズルのロール冷却水流量を、板
道内のそれ以外の部分の冷却ノズルのロール冷却水流量
よりも少なくなるように調整し、板道内におけるロール
バレル方向のロールの熱膨張量の差を減少させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スラブを粗圧延
し、粗圧延したシートバーをそのまま間断的に仕上圧延
(以下、熱間バッチ圧延あるいは単にバッチ圧延とも称
する)するか、あるいは複数のシートバーの先尾端を接
合し、接合したシートバーを連続して仕上圧延する熱間
エンドレス圧延ラインにおいて、特に、熱間エンドレス
圧延するに際し、同一幅材をつづけて圧延するとき発生
する被圧延金属板材(以下、単に被圧延材と称する)の
板幅端部での板厚増加現象であるエッジビルドアップの
発生を防止し、被圧延材を板幅方向に均一な板厚分布と
して良好な品質の板材製品を得ようとするものである。
【0002】また、熱間エンドレス圧延、熱間バッチ圧
延にかかわりなく、ある特定の品種や寸法の被圧延材の
圧延の際に特有の現象である被圧延材のクォータ部と呼
ばれる板幅略1/4と3/4の領域部における局部伸び
を防止し、板形状を良好とし、バウンドにより被圧延材
に疵が入るのを防止して良好な表面品質の金属板材製品
を得ようとするものである。
【0003】
【従来の技術】熱間圧延においては、一般に高温の被圧
延材からワークロール(以下、単にロールともいう。)
に流入した熱は、時間の経過とともにロールの半径方向
および軸方向に伝搬する。そのように伝搬した熱によっ
て生じるロールの温度分布は、ロールと被圧延材が接す
るロール側にとって板道と呼ばれる領域において突出し
た台形形状となり、熱膨張したロールのロールプロフィ
ルも同様の台形形状となる。
【0004】粗圧延後の被圧延材(鋼片等)を1本ずつ
仕上圧延する熱間バッチ圧延では、次の被圧延材の仕上
圧延を行うまでのインターバル中にロールを冷却する時
間を確保することができるため、概して仕上圧延機のロ
ールの熱膨張量(以下、サーマルクラウンともいう。)
は低減され、熱膨張量のロールバレル方向分布もなだら
かに分散される。
【0005】これに対し、図2に例示する熱間エンドレ
ス圧延ライン(シートバー同士を接合しなければバッチ
圧延も可能)での熱間エンドレス圧延(以下、単にエン
ドレス圧延ともいう。)では、粗圧延機2での圧延後、
接合装置4で被圧延材1を接合し、連続して仕上圧延機
5での圧延を行うことから、被圧延材間のインターバル
が存在しないため、ロールの熱膨張量はバッチ圧延に比
べて大きくなる。
【0006】被圧延材1は、間断なく連続的に仕上圧延
された後、剪断装置8で分割され、コイラ9でコイルに
巻き取られる。12は、仕上圧延機5の出側に設置され
た、被圧延材1の板プロフィルを検出するためのプロフ
ィルメータ、13はランナウトテーブルである。ここで、
バッチ圧延では、仕上圧延機のロールとして研磨した新
品を投入したら、まず被圧延材を幅狭材から幅広材へ、
という圧延順幅構成となるように十数本にわたって圧延
し、その後、幅広材から幅狭材へという圧延順幅構成と
なるように数十本にわたり圧延を行うといった被圧延材
群構成単位(圧延サイクルと呼ばれる)の圧延順命令組
が多くの場合採用され、この場合、ロールへの入熱位置
を幅方向に分散し、ロール熱膨張量のロールバレル方向
分布がなだらかな状態としつつ被圧延材の圧延を行うこ
とが可能である。
【0007】これに対し、エンドレス圧延では被圧延材
の接合時の幅差制限などのために、同一幅材を連続して
圧延するケースがほとんどであり、ロールへの入熱範囲
も板道に集中する傾向にある。以上の理由から、従来の
バッチ圧延に比較すると、エンドレス圧延ではロールバ
レル中央(ロールを円柱に見立て、その円柱の中心軸方
向に見て中央という意味。被圧延材で言えば幅方向の中
央に相当。)とバレル端部の熱膨張量の差が極めて大き
くなり、ロール軸方向の熱膨張量の分布が板道の端部に
相当する位置で急峻な勾配となる。
【0008】図3に模式的に示すように、被圧延材をこ
のように台形状とも言える急峻な勾配のサーマルクラウ
ン形状となったロールで圧延した場合、被圧延材の幅方
向両端部近傍ではその台形状の肩部で強圧下されること
になり、その肩部の形状が被圧延材に転写される一方、
被圧延材の最幅端部の板厚が増加するエッジビルドアッ
プと呼ばれる特異な板厚プロフィルになり、品質不良と
なる場合がある。
【0009】このときのサーマルクラウン形状を含むロ
ールプロフィルは、図4に示すように略台形状である
が、圧延時には、この台形のロールが圧延荷重によって
たわみ、図4に圧延時のロールカーブとして示す形状と
なる。そのため、被圧延材の幅方向両端部近傍がこの台
形状の肩部で強圧下されて最幅端部にはエッジビルドア
ップが発生するのである。
【0010】このエッジビルドアップは、バッチ圧延に
比べ、サーマルクラウンの成長が大きいエンドレス圧延
において特に顕著となる。また、上述のような台形状の
肩部で圧下されることにより、被圧延材の板幅が比較的
広い場合には、被圧延材のクォータ部近傍は図11中の○
印で示されるように局部伸びが発生し、絞り、穴あきな
どによる通板不良が生じるという不具合が発生してい
た。
【0011】この現象は、サーマルクラウンの成長が大
きいエンドレス圧延において顕著であり、バッチ圧延で
は通常比較的板厚が厚く形状が乱れにくいと言われてい
る、7スタンド圧延機でいえば第4スタンドなどの中段
においても発生することが少なくない。また、耳伸び、
腹伸びといったバッチ圧延で発生する通常の形状不良は
エンドレス圧延においてはむしろ発生しにくく、図中○
印で示すクォータ部の局部的な伸びが発生しやすいこと
が、操業経験上わかっている。
【0012】一方、サーマルクラウンが小さいバッチ圧
延においても、実は被圧延材の幅が1400mm以上の幅広材
やフェライト系ステンレス鋼などの特定の品種につい
て、一般の低炭素鋼あるいは幅狭材等とメタルフローの
挙動が違うためか、このようなサーマルクラウンに起因
したクォータ伸びが、最終スタンドあるいはそのさらに
1つ前のスタンドにて発生する傾向にあることが観察さ
れていた。このことは、クォータ部の伸びによる波打ち
形状に起因したランナウトテーブル上での被圧延材のバ
ウンドにより被圧延材に疵が発生するということにつな
がり、絞り、穴あきといった通板すること自体が不可能
になる程の問題ではないとはいえ、品質の面からは大き
な問題であった。
【0013】しかしながら、これらの問題の解決は、容
易に実現できず、その方法の確立が望まれていた。とこ
ろで、冷間圧延において、ロールクーラントの幅方向流
量制御を行い、被圧延材である鋼板の形状を制御する技
術は、これまでにも数多く開発されてきている。
【0014】これらの技術は、ロールの一部を積極的に
冷却しサーマルクラウンを平滑化することで、被圧延材
のクォータ伸び等の局所的な材料伸び率変化を抑制し形
状不良を防止する冷却制御技術と、ロール全体を冷却し
てロールの熱膨張の絶対量を低減する冷却制御技術に大
別される。前者については、例えば特公平6-61569 号公
報に、平坦度検出器により板形状の不良部を検出し、該
当するロール部分を強冷却してサーマルプロフィルを平
滑化することで形状の良好な板を製造する冷間圧延方法
が開示されている。
【0015】また、特公昭62-40081号公報には、サーマ
ルクラウンの台形肩部の勾配に着目した発明が開示され
ており、サーマルクラウンの勾配を増大させることでベ
ンディング力により発生するロールカーブとサーマルク
ラウンを合成したロールプロフィルを平坦化し、全体的
に平坦な板形状を得るとしている。一方、後者について
は、例えば特公平7-67567 号公報に、ロールの熱膨張絶
対量を低減する方法として、板道内を強冷却し、板道外
を緩冷却する冷間圧延方法が開示されている。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】熱間圧延において、ロ
ールに生じるサーマルプロフィルは、被圧延材とロール
の温度差および両者の接触熱伝達率から定まるロールへ
の入熱、ロールクーラント(ロール冷却水のこと)によ
るロールの冷却、ロールからの自然放冷等から決定され
る。
【0017】本発明では仕上圧延を対象としているが、
熱間圧延では冷間圧延にくらべロールへの入熱量が大き
く、ロールの熱膨張量が大きいため、上記したような従
来のロール冷却方法ではロールプロフィル制御として有
効なロール冷却を期待することは難しかった。特に近年
開発されたエンドレス圧延では、バッチ圧延と比べロー
ルへの入熱量がさらに大きくなるため、サーマルクラウ
ンの成長も大きく、ロール冷却による熱膨張の抑制効果
も小さい。そのため、エッジビルドアップやクォータ伸
びを抑制することは難しかった。
【0018】バッチ圧延では、ある被圧延材の尾端が抜
けてから次の被圧延材が来るまでの時間的なインターバ
ル中にロールを冷却する水冷時間を確保することが可能
である。しかしながら、エンドレス圧延のように実質的
に絶え間なく被圧延材が仕上圧延機ににより圧延される
場合は、そのようなロール冷却のための時間を確保する
ことができず、サーマルクラウンも極めて大きくなる。
【0019】また、被圧延材の板形状制御手段であるワ
ークロールベンダ方式やロールクロス方式等は、ロール
の形状を2次カーブまたは高次カーブ的に変化させて被
圧延材の形状を制御するものであり、エッジビルドアッ
プやクォータ伸びの原因である急峻な台形状のサーマル
クラウンを補償するようロールの形状を制御することは
難しい。
【0020】ワークロールベンダやロールクロスによる
板の形状制御では、サーマルクラウンの形状が緩やかな
山形であることを前提とするからである。ところで、サ
ーマルクラウンの形状を緩やかな山形とする方策として
は、ロールと被圧延材との接触位置を分散する目的で、
幅狭材と幅広材を交互に圧延することによってロールへ
の入熱位置を分散する、あるいは、ロールシフト方式を
採用する、等の対策をとることができる。
【0021】しかしながら、上記の対策をエンドレス圧
延に適用するには、以下のような問題がある。エンドレ
ス圧延では、異なる幅の被圧延材の接合には幅差制限が
あり、その幅差内での接続が成立するように圧延に先立
って被圧延材を圧延順に並べようとすると、オーダ状況
により、適当な被圧延材がないとか、あったとしてもそ
のような圧延順命令組を実施することは、オペレータの
負荷が非常に大きくなるなどの問題があるほか、幅狭材
と幅広材を接合して連続圧延することによるサーマルプ
ロフィルの山形を緩やかにする効果も、前述の幅差制限
から自ずと限度がある。
【0022】また、ロールシフトを圧延中に行うことは
困難であり、ロールシフトはインターバル中に行う必要
があるが、エンドレス圧延ではそのタイミングを得られ
ない。本発明は、エンドレス圧延において、特に同一幅
の材料を連続して圧延する際にワークロールに生じるサ
ーマルクラウンによって発生する非圧延材のエッジビル
ドアップを有効に抑制し、幅方向に均一な板厚の板材製
品を製造することを可能とするロール冷却方法を提供す
ることを目的とする。
【0023】また、本発明はエンドレス圧延において、
特に同一幅の非圧延材を連続して圧延する際にワークロ
ールに生じるサーマルクラウンによって発生する非圧延
材のクォータ伸びを有効に抑制し、形状が良好な板材製
品を製造することを可能とし、絞り、穴あきといった通
板不良を抑制することを可能とするロール冷却方法を提
供することを目的とする。さらに、エンドレス圧延のみ
ならず、バッチ圧延においても、被圧延材幅1400mm以上
の幅広材やフェライト系ステンレス鋼などの特定の品種
の圧延において、最終スタンドあるいはさらにその1つ
前のスタンドでのクォータ伸びに起因したランナウトテ
ーブル上での被圧延材のバウンドにより被圧延材に疵が
入るのを抑制するためのロール冷却方法を提供すること
を目的とする。
【0024】なお、本発明にいう同一幅とは±50mmを意
味するものとする。また、文中で被圧延材である鋼帯な
どの金属帯を、当業者間での慣習上から単に板あるいは
板材と称することがある。
【0025】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ワークロ
ールに台形状に成長したサーマルクラウンの肩部が板に
転写されることによって被圧延材のさらに最幅端部寄り
の部分がエッジビルドアップになることに着目し、本発
明をするに到った。本発明者らは、ワークロールに台形
状に成長したサーマルクラウンの肩部を解消するための
手段として、ロールバレル方向に多数配設された冷却ノ
ズルを有するロール冷却水(ロールクーラントともい
う)にあらためて着目した。
【0026】しかしながら、エンドレス圧延では、被圧
延材からの熱流入が大きいため、ロール冷却水を用いて
ロール全体の熱膨張を低減し、ロールプロフィルを均一
にするにはロール冷却設備仕様上の冷却能力の限界があ
る。そこで、従来行われてきたロール冷却とは考え方を
逆転させ、サーマルクラウンの台形肩部の熱膨張を逆に
促進させることで板道内の熱膨張量を均一にするように
した。
【0027】ロールのサーマルクラウンは、板道端部近
傍で急峻な勾配を有することはすでに説明した通りであ
る。したがって、この板道端部近傍の熱膨張をむしろ促
進させ、サーマルクラウンを板道中央から板道端部にか
けて略平滑にするには、板道端部近傍を冷却する冷却ノ
ズルを冷却水噴出停止するか、または、その流量を減少
することで、板道端部近傍の熱の流出を抑制すればよい
のである。
【0028】また、エンドレス圧延のみならず、被圧延
材幅1400mm以上の幅広材やフェライト系ステンレス鋼な
ど特定の品種のバッチ圧延においては、クォータ伸びの
問題が生じやすい仕上圧延最終スタンドあるいはさらに
その1つ前のスタンドといった特定のスタンドに、同様
の方法を適用すればよいのである。さらには、上記のよ
うなバッチ圧延、あるいは、エンドレス圧延におけるロ
ール冷却方法にあっては、スタンド出側板厚が所定の板
厚以上のタンデム圧延機上流スタンドでは、ロールと被
圧延材が接触する板道内もしくはロールバレル全域を冷
却し、スタンド出側板厚が所定の板厚未満の下流スタン
ドにおいては、ロールと被圧延材が接触する板道の両端
からロールバレル方向に所定距離分の冷却ノズルのロー
ル冷却水流量を、板道内のそれ以外の部分の冷却ノズル
のロール冷却水流量よりも少なくなるように調整するこ
とにより、中段スタンド以降で発生するクォータ伸びを
効果的に抑制できることを見いだしたのである。
【0029】あるいはさらに、仕上圧延機出側での被圧
延材の板プロフィルを実際に測定して検出し、その結果
を前記のようなロール冷却水の特定区間すなわち板道端
部における噴出停止あるいは流量減少という制御に反映
するのがさらに好ましいことを見出したのである。すな
わち、本発明は、スラブを加熱炉で加熱し、粗圧延機で
圧延してシートバーとなし、シートバーを接合して、連
続して仕上圧延を行う熱間エンドレス圧延において、ロ
ールバレル方向に多数配設した冷却ノズルからロール冷
却水を噴出して、ロールのサーマルクラウンを制御する
に際し、ロールと被圧延材が接触する板道の両端からロ
ールバレル方向に所定距離分の冷却ノズルのロール冷却
水流量を、板道内のそれ以外の部分の冷却ノズルのロー
ル冷却水流量よりも少なくなるように調整し、板道内に
おけるロールバレル方向のロールの熱膨張量の差を減少
させることを特徴とするロール冷却方法によって上記課
題を解決したものである。
【0030】また、本発明は、スラブを加熱炉で加熱
し、粗圧延機で圧延してシートバーとなし、仕上圧延を
行う熱間仕上圧延において、ロールバレル方向に多数配
設した冷却ノズルからロール冷却水を噴出して、ロール
のサーマルクラウンを制御するに際し、仕上圧延最終ス
タンドあるいはさらにその1つ前のスタンドにおいて、
ロールと被圧延材が接触する板道の両端からロールバレ
ル方向に所定距離分の冷却ノズルのロール冷却水流量
を、板道内のそれ以外の部分の冷却ノズルのロール冷却
水流量よりも少なくするように調整し、板道内における
ロールバレル方向のロールの熱膨張量の差を減少させる
ことを特徴とするロール冷却方法によって上記課題を解
決したのである。
【0031】また、本発明は、上記いずれかに記載のロ
ール冷却方法であって、仕上圧延機各スタンドにおい
て、スタンド出側板厚が所定の板厚以上である上流スタ
ンドでは、ロールと被圧延材が接触する板道もしくはロ
ールバレル全域を冷却し、スタンド出側板厚が所定の板
厚未満となる下流スタンドにおいて、ロールと被圧延材
が接触する板道の両端からロールバレル方向に所定距離
分の冷却ノズルのロール冷却水流量を、板道内のそれ以
外の部分の冷却ノズルのロール冷却水流量よりも少なく
するように調整を行うことを好適とするものである。
【0032】さらに、本発明は、上記いずれかのロール
冷却方法において、仕上圧延機出側で被圧延材の板プロ
フィルを検出し、検出した板プロフィルに基づき、前記
被圧延材のエッジビルドアップ量が所定の値以上の場合
に、ロールと被圧延材が接触する板道の両端からロール
バレル方向に所定距離分の冷却ノズルのロール冷却水流
量を、板道内のそれ以外の部分の冷却ノズルのロール冷
却水流量よりも少なくするように調整することが好適で
あることを見出したのである。
【0033】
【発明の実施の形態】図1に、本発明のロール冷却方法
を適用するロールクーラントを付設した圧延スタンド7
の側面図(a)と部分正面図(b)を示す。圧延スタン
ド7は、被圧延材1に接するワークロール7aとバックア
ップロール7bから構成され、ワークロール7aには、ロー
ル軸方向に多数の冷却ノズル10が配設され、ワークロー
ル7aに冷却水11を噴射している。
【0034】ここで、冷却ノズル10は、例えば、図示の
ように1つのワークロール当たり2段構成で配設する場
合もあれば、また、1段、あるいは、3段以上の多段と
することもあり、要求される冷却能力に応じて段数が決
定される。また、冷却ノズルの配置間隔も、要求される
冷却能力とロール長に応じて決定されるが、例えば、50
mm間隔でロールバレル方向に41ケ×2段のノズルを配置
する。各ノズルの噴出流量は、 100l/min 程度とする
のが通常であるが、特に限定するものではない。
【0035】本発明は、板道内において、板道端部近傍
における所定区間の冷却ノズルを冷却水噴出停止とし、
または、その流量を減少し、ロールにとって板道端部近
傍に該当する領域の冷却を緩和して熱膨張を促進させ、
板道中央域に発生する熱膨張と板道端部近傍の熱膨張を
一体平滑化することを特徴とする。冷却ノズルを冷却水
噴出停止とし、または、その流量を減少する区間は、サ
ーマルクラウンの肩部形状によるが、通常は板道両端か
らロールバレル方向に 100〜200mm の距離である。つま
り、冷却ノズルを50mm間隔で配置している場合、板の片
側で2〜4ケの冷却ノズルを閉とし、または、その流量
を絞るように調整する。この距離を大きくとりすぎる
と、逆にロールの板道端部のある特定の領域が局所的に
突出したプロフィルとなってしまい、被圧延材の板幅端
部のその特定の領域が板中央部に比べて強圧下されるこ
とになり、板厚品質不良が発生する可能性が大となり、
好ましくない。また、流量を減少する場合は、5〜50l
/min とするのが好ましい。
【0036】以上、説明したように、本発明は、ロール
の板道端部近傍を冷却水噴出停止またはその流量を減少
する(以下、板道端部緩冷却と称する。)ことで、板道
内でのロールバレル方向の熱膨張の差を減少させること
を特徴とする。板道端部緩冷却の場合は、板道全域を均
一に冷却する板道全域あるいはロールバレル全域の冷却
の場合に比べて、板道端部近傍での板からロールへの入
熱が大きくなり、ロールの表面温度は上昇することにな
る。そのため、板道端部緩冷却が行われた部分で局所的
なロール面荒れが発生し、板材製品の表面品質が劣化す
るという品質不良が発生する場合がある。
【0037】したがって、ロールの表面性状を良好な状
態に維持し、板材製品の表面品質不良を起こさないため
には、板道端部緩冷却による冷却水流量の低減代を必要
最低限とすることが望ましい。ロールの熱膨張は、圧延
本数の増加とともに増大し、また、熱膨張が大きくなる
にしたがい、エッジビルドアップの発生原因であるサー
マルプロフィルの肩部の勾配も急峻となる。図8に、3
本圧延後のロールの熱膨張量のロールバレル方向(板幅
方向と同じ)分布形状と、60本圧延後の同分布形状を比
較して示す。3本圧延後のロールの熱膨張量の分布形状
(すなわち、プロフィル)では、未だロールの熱膨張絶
対量が小さいため、肩部の勾配が小さいことがわかる。
当然のことながら、このようなロールで圧延された被圧
延材は、フラットなロールで圧延された被圧延材とほぼ
同等の板プロフィルになり、前述したようなサーマルク
ラウンによるエッジビルドアップ不良が発生することは
ない。
【0038】比較的エッジビルドアップが発生しにくい
圧延サイクルの前半では、板道端部緩冷却する必要もな
く、ロールの表面性状を考慮すれば、板道もしくはロー
ルバレル全域幅内を冷却することが好ましいと言える。
一方、サーマルクラウンが成長してくる圧延サイクル後
半において、板道端部緩冷却をつづけた結果、その効果
が過大になった場合、ロールのバレル中央の熱膨張量に
比べ板道端部近傍の熱膨張量が大きくなりすぎ、図9に
示すように、板道端部近傍が突出したロール形状となる
場合がある。
【0039】このような形状となったロールで圧延され
た被圧延材は、板幅端部エッジビルドアップが発生する
問題がある。よって、圧延サイクル後半においては、適
宜、例えば、後半15本目以降とか本数を決め、(それに
は、前半は全部で例えば、20本とか、あるいはサイクル
先頭材から最大幅材までと決める必要があるが)、板道
もしくはロールバレル全域を冷却するようにしてもよ
い。なお、こうしたことはエンドレス圧延、バッチ圧延
にはよらない。
【0040】上記した板道両端から100 〜200mm の位置
を冷却水噴出停止するかあるいは冷却水流量を減少する
方法を、被圧延材幅1400mm以上の幅広材やフェライト系
ステンレス鋼のバッチ圧延において、仕上圧延最終スタ
ンドあるいはさらにその1つ前のスタンドに適用するこ
とにより、上記と全く同様の作用により、仕上圧延機に
おける被圧延材のクォータ伸びを防止でき、ランナウト
テーブル上で被圧延材がバウンドして被圧延材に疵が入
るのを抑制できる。
【0041】ここで話は変わるが、エンドレス圧延のみ
ならず、被圧延材幅1400mm以上の幅広材やフェライト系
ステンレス鋼などの特定品種で発生するもう一つの問題
として、前述したようなクォータ部の局部伸びの問題が
ある。前述したように、エンドレス圧延ではサーマルク
ラウンの成長により、被圧延材のクォータ部が局部的に
伸びるクォータ伸びと呼ばれる形状不良が発生しやす
く、これに起因した穴あきなどの通板不良が発生しやす
い。この発生原因として、発明者らは略台形状に成長し
たサーマルクラウンの肩部により圧延された被圧延材ク
ォータ部で波打ち状の形状不良が発生し、当該圧延スタ
ンドのロール入側で被圧延材が折り重ねられ、重ねられ
たまま圧延される結果、そのクォータ部に急激に引張力
が作用することにより穴あきが発生することを突き止め
た。
【0042】そこで、前述のエッジビルドアップ防止の
本発明方法と同じ観点から、板道の両端からロールバレ
ル方向に所定距離分の冷却ノズルを冷却水噴出停止また
は流量を減少することにより、熱の流出を防ぎ、熱膨張
を促進させ、サーマルクラウン肩部の形状を平滑化させ
ることによりクォータ伸びを有効に抑制できることを見
いだした。
【0043】サーマルクラウンに起因したクォータ伸び
による穴あき等の不具合は、例えば、エンドレス圧延す
る場合について言うと、スタンド出側板厚が6mm以下の
中段スタンド〜下流スタンドで発生することが操業経験
上わかっている。尚、中段〜下流スタンドの定義はスタ
ンド数や圧下率配分によって変わってくるため、例えば
7スタンドタンデムミルの場合には例えば4〜7スタン
ドと決めればよいが、これに限定されるものではない。
【0044】従って、前述の板道端部緩冷却を、スタン
ド出側板厚に応じ、穴あきが発生する可能性のあるスタ
ンドを含んで、それとさらに下流のスタンドで実施すれ
ばよい。したがって、穴あきの発生する可能性の低い上
流スタンドでは、板道もしくはロールバレル全域の冷却
による台形状のサーマルクラウンで圧延することで被圧
延材のクォータ部の板厚を減少させ、下流スタンドでは
板道端部緩冷却されたロールによって圧延することによ
り、下流スタンドでの被圧延材のクォータ部の伸び率を
減少させ局部伸びを効果的に抑制することができる。す
なわち上流スタンドと下流スタンドでのサーマルクラウ
ン形状を変えることにより被圧延材のクォータ伸び防止
のより大きな効果が得られる。
【0045】冷却ノズルを冷却水噴出停止とし、また
は、その流量減少する区間の距離は、成長するサーマル
クラウンの肩部形状によるが、前述したエッジビルドア
ップ防止の場合と同じように板道両端からロールバレル
方向に100 〜200mm である。この距離を大きくとりすぎ
ると、被圧延材板幅中央部に比べ板幅端部が強圧下され
ることとなり、板幅端部が局所的に突出したプロフィル
形状となり、板幅クォータ部の領域の局部的な伸びであ
るクォータ伸びが大きくなって通板不良を生じる可能性
があり好ましくない。
【0046】なお、ここで述べてきたスタンド出側板厚
によって、板道端部緩冷却とするか、あるいは、板道も
しくはロールバレル全域冷却とするかを決定する制御
は、エンドレス圧延のみならずバッチ圧延、中でも被圧
延材幅1400mm以上の幅広材やフェライト系ステンレス鋼
のバッチ圧延に適用することは何ら問題ない。以上のよ
うな板材製品の表面品質不良や形状不良が発生する不具
合を防止するには、圧延機出側に配置したプロフィルメ
ータの信号に基づき、被圧延材毎のエッジビルドアップ
量を検出し、エッジビルドアップ量が所定の値を超えた
場合に、冷却パターンを、板道端部緩冷却に切り替え、
そうでない場合には板道もしくはロールバレル全域の冷
却に切り替えるようにすることが有効である。この方法
を採用することで、板道端部緩冷却を行う本発明をさら
に効果的とすることができ、板道端部緩冷却をつづけた
結果、その効果が過大となって発生する表面品質不良や
形状不良を有効に防止できる。なお、板道端緩冷却によ
りエッジビルドアップ量が所定の値以内に戻った場合
は、板道端部緩冷却から板道もしくはロールバレル全域
冷却に切り替え、圧延を継続すればよい。
【0047】ここで、仕上圧延機出側に設置するプロフ
ィルメータとしては、光学式、電磁式、超音波式、放射
線式等の各種方式の装置を適用することが可能である。
【0048】
【実施例】実施例1:図5に、冷却ノズルの流量をすべ
て100 l/min としてロールを冷却する従来例と、板道
端部から100mm までの冷却ノズルの流量を、板道内の他
の部分の冷却ノズルの流量の半分の50l/min としてロ
ールの冷却を行う本発明例について、ロールプロフィル
を比較した結果を示す。
【0049】なお、ここでは冷却ノズルを図1に示す例
のごとく2段配置としたことから、流量を半分にするに
は該当する冷却ノズルの片側(上ロールは上段側、下ロ
ールは下段側)を閉として流量を調整している。ちなみ
に、適用スタンドはF4、ロール直径は750mm である。
図5からも明らかなように、板道に対応するロール部分
では、本発明例のロールプロフィルが従来例よりも平坦
化されている。
【0050】すなわち、本発明は、サーマルクラウンが
台形状である点では従来例と変わらないが、その台形の
急峻部を板道の外側に移動させることでロールプロフィ
ルの平坦化を実現している。このように板道内での熱膨
張を均一とすることで、板幅端部でのロールプロフィル
の転写によるエッジビルドアップの発生を抑制できるの
である。
【0051】一方、図6は、特公昭62-40081号公報に開
示されている、サーマルクラウンの勾配を増大させるこ
とでベンディング力により発生するロールの2次または
高次のカーブとサーマルクラウンの合成プロフィルを平
坦化する方法を適用した比較例を従来例と対比したグラ
フである。ここで、従来例は図5の説明で登場した従来
例と同じである。
【0052】ここで、比較例では、サーマルプロフィル
の勾配を増大させたため、その台形形状が従来例よりも
むしろ悪化し、台形の急峻部が板道の更に内側となって
いることがわかる。次に、本発明をエンドレス圧延に適
用した例と、従来例、比較例とを対比した結果について
説明する。
【0053】ここで、粗圧延後の低炭素鋼片(板幅1200
mm、板厚30mm)の接合処理を行い、図2に例示した7ス
タンドのタンデム配列の仕上圧延機を用いてエンドレス
圧延を実施した。仕上圧延後の製品厚さは1.2mm として
いる。なお、ここでは8本の鋼片を1セットとして接合
し、8セットのエンドレス圧延を実施した。セット間の
インターバルは 360秒である。
【0054】本発明を適用する圧延スタンドは、仕上圧
延機の第4〜7スタンドである。冷却ノズルは、圧延ス
タンド出側に配備しており、上下のワークロールにそれ
ぞれ上下2ヘッダずつの冷却ノズルをロールバレル方向
に50mm間隔で合計41個配置している。各ノズルの冷却水
の噴出流量は 100l/min であり、それぞれのノズルに
設けられた制御弁によって自由に流量を制御可能であ
る。
【0055】まず、従来例として、ロールの全幅にわた
り、すべての冷却ノズルの冷却水流量を同じとして8セ
ットのエンドレス圧延を行い、最終材の板プロフィルの
測定を行った。その測定結果を図7(a)に示す。図7
(a)に示すように、板幅端部の板厚が、板幅端から10
0mm 位置の板厚に比べて厚くなっており、エッジビルド
アップ不良が発生した。これはサーマルクラウンの台形
状の肩部が板に転写されたために発生したものである。
【0056】また、ボディクラウンが全体的に三角形状
となるいびつなプロフィルになっている。尚、図中にい
うエッジビルドアップ量とは、板幅端のごく近傍での板
厚最大個所の板厚と、図中で板幅端から100mm 位置近傍
での板厚最小個所の板厚の差として定義される。次に、
比較例として、特公昭62-40081号公報に記載の方法によ
り、サーマルクラウンの勾配を増大させるようにロール
の流量分布を制御して8セットのエンドレス圧延を行
い、最終材の板プロフィルを測定した。その結果を、図
7(b)に示す。
【0057】比較例では、サーマルクラウンの勾配が増
大することで、板幅端部でのエッジビルドアップ量が更
に増加する結果となり、従来例よりも品質が悪化してい
ることがわかる。一方、本発明例として、板道両端より
100mm 以内のロール側の領域について上側のノズルヘッ
ダを冷却水噴出停止としてロールの冷却を行い、8セッ
トのエンドレス圧延を行った。ここで、板道外の上側ノ
ズルヘッダも同様に冷却水噴出停止とした。つまり、該
当箇所では上ノズルヘッダを停止することで冷却水の流
量を半減させている。そして、エンドレス圧延を行い、
最終材の板プロフィルを測定した。その結果を、図7
(c)に示す。図から明らかなように、本発明例では、
エッジビルドアップが発生せず、板材製品の品質も良好
である。 実施例2:(フェライト系ステンレス鋼バッチ圧延の場
合のクォータ伸び防止) フェライト系ステンレスの代表鋼種であるSUS430
について、スラブ加熱後、粗圧延し、そのシートバー
(板幅1200mm、板厚30mm)を板厚4mmに仕上圧延するに
際し、F6、F7について、板道両端から200mm を冷却
水停止とした本発明例と、全ての冷却ノズルから100 l
/min の冷却水を噴出した従来例を比較したところ、本
発明例の場合の板形状は図13になり、一方、従来例の場
合の板形状は図12になった。
【0058】また、本発明による疵の発生率は0%と、
従来例の1%に比べ改善された。 実施例3:(クォータ伸び防止) スタンド出側板厚が所定の板厚以上のタンデム圧延機上
流スタンドでは、ロールと被圧延材が接触する板道もし
くはロールバレル全域を冷却し、スタンド出側板厚が所
定の板厚未満の下流スタンドにおいては、ロールと被圧
延材が接触する板道両端から所定距離分の冷却ノズルの
ロール冷却水流量を、板道内のそれ以外の部分の冷却ノ
ズルのロール冷却水流量よりも少なくなるように調整す
ることにより、中段スタンド以降で発生するクォータ伸
びを効果的に防止する本発明を検証するため、エンドレ
ス圧延を実施した。
【0059】被圧延材はクォータ伸びが発生しやすい仕
上げ板厚1.0mm 、板幅1200mmの低炭素鋼帯とした。エン
ドレス圧延条件およびその他の実施条件は実施例1と同
じとした。まず、最初に、比較例として本発明によらず
ロール冷却水をロールバレル全域にわたって同じ流量で
噴出させるロールバレル全域冷却を行った場合の圧延結
果例を示す。圧延の進行に伴い、同鋼帯クォータ部での
局部伸びが次第に大きくなり、8本接合材を8セット圧
延した際の最終材の板形状は図12に示すのと同様になっ
た。このとき同鋼帯クォータ部の急峻度が大きく、局部
伸びによる穴あきが発生した。これはサーマルクラウン
の成長により同鋼帯クォータ部で伸びが顕著になったた
めである。
【0060】引き続き、本発明に基づきロール冷却水の
幅方向流量分布を制御して連続熱間圧延を実施した。仕
上厚1.0mm 材の場合、穴あき等の通板不良は経験上第4
〜5スタンドで発生するため、第1〜3スタンドではロ
ールバレル全域を均一に冷却し、第4〜7スタンドでは
板幅1200mmの材料に対し、板道外および、板道両端より
100mm 以内に相当する位置までの上下ノズルを停止し
た。すなわち被圧延材中央より10番目までのノズルより
外側のノズルについてはすべて冷却水を噴出停止して圧
延を実施した。
【0061】比較例と同じく8本接合材を8セット圧延
した際の最終材の板形状は図13に示すのと同様になっ
た。比較例に比べ、同鋼帯クォータ部の局部伸びは改善
され、全体的に耳腹伸び傾向になったものの、穴あき等
の通板不良は発生せず安定して圧延することができた。 実施例4:(板プロフィル情報の付加) 仕上圧延機出側に設置した板プロフィルメータの検出情
報に基づき、被圧延材のエッジビルドアップ量(定義
は、前出図7(a)での説明に登場したのと同じ)が所
定の値以上の場合に、ロール冷却水流量を調整して、板
道端部緩冷却と板道全域冷却(ロールバレル全域を冷
却)を切り換えるようにして連続熱間圧延を実施した。
但し、その他の実施条件は実施例1と同じとしている。
【0062】ここで、エッジビルドアップ量が1μmを
超えた場合にロール冷却のしかたを板道端部緩冷却に切
り替え、それ以外の場合は板道全域冷却(ロールバレル
全域を冷却)とした。図10に、圧延サイクル内での各材
のエッジビルドアップ量の推移を示す。ここで、黒丸と
白丸は、それぞれ適用した冷却のしかたを示す。
【0063】圧延サイクルの前半では、サーマルクラウ
ンも小さく、全数、板道全域冷却を適用している。そし
て、圧延本数が増えるにしたがってエッジビルドアップ
量も大きくなることから、板道端部緩冷却へ切り替えら
れる場合が発生している。そして、圧延サイクルの後半
では、エッジビルドアップ量に応じて適宜、冷却のしか
たが切り替えられていることがわかる。
【0064】そして、上記のように冷却のしかたの切替
を行うことで、圧延サイクル全体にわたって被圧延材の
エッジビルドアップ量が3μm未満となるように制御さ
れたのである。また、本発明の適用によって、圧延後の
板形状も平坦で良好となることを確認することができ
た。さらに、ロール荒れの原因となる板道端部緩冷却に
ついては、必要最低限の5l/min /ノズルとしてお
り、圧延後のロールの表面性状の劣化もなく、鋼板の表
面性状も良好であることが確認できた。
【0065】これに対し、図示しないが、圧延サイクル
内の全被圧延材に対し板道端部緩冷却を実施した場合に
は、サイクル後半で板幅端部領域が強圧下され板幅端か
ら100 〜200mm の領域の板厚が過薄になるとともに、被
圧延材の形状がクォータ伸びとなって通板不良が発生し
た。そのため冷却のしかたを板道端部緩冷却から板道全
域領域に切り替えた。これによりクォータ伸びを緩和す
ることで通板に支障は生ぜず、圧延をスムーズに継続す
ることができた。
【0066】
【発明の効果】本発明によって、エンドレス圧延におい
て同一幅の被圧延材を連続して圧延する際のエッジビル
ドアップの発生を抑制することができるようになった。
その結果、被圧延材幅方向に均一な板厚の製品を製造す
ることが可能となり、品質不良の発生を抑制することが
できるようになった。
【0067】また、エンドレス圧延のみならず、バッチ
圧延においても、最終スタンドあるいはさらにその1つ
前のスタンドでのクォータ伸びに起因したランナウトテ
ーブル上でのバウンドにより被圧延材に疵が入るのを防
止することができた。また、エンドレス圧延においてロ
ールのサーマルクラウンによって発生する被圧延材のク
ォータ伸びを抑制することができ、通板時のトラブル発
生を抑制し安定な操業を実現した。
【0068】さらに、仕上圧延機出側での板プロフィル
測定結果に基づき、板道端部緩冷却、板道全域冷却を切
替えるようにロール冷却を制御することで、ロール面荒
れを抑制することが可能となり、製品板材の品質不良を
解消することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用する圧延スタンドの側面図(a)
と、部分正面図(b)である。
【図2】熱間エンドレス圧延ラインの模式図である。
【図3】エッジビルドアップを説明する模式図である。
【図4】エッジビルドアップが発生する際のロールプロ
フィルを説明するグラフである。
【図5】従来例と本発明例のロールプロフィルを比較す
るグラフである。
【図6】従来例と比較例のロールプロフィルを比較する
グラフである。
【図7】熱延鋼板の板プロフィルを比較するグラフであ
り、(a)は従来例、(b)は比較例、(c)は本発明
例の板プロフィルを示す。
【図8】圧延3本目と60本目のロールの熱膨張量を比較
するグラフである。
【図9】板道端部緩冷却が過大な場合について例示する
グラフである。
【図10】圧延サイクル内でのエッジビルドアップ量の推
移を示すグラフである。
【図11】クォータ伸び発生を説明する図である。
【図12】全スタンドロールバレル全域冷却を実施した際
の仕上出側における板形状を急峻度で示す図である。
【図13】実施例3において本発明を実施した際の仕上出
側における板形状を急峻度で示す図である。
【符号の説明】
1 金属板 2 粗圧延機 3 クロップシャー 4 接合装置 5 仕上圧延機 6 圧延スタンド 7 圧延スタンド 7a ワークロール 7b バックアップロール 8 剪断装置 9 コイラ 10 冷却ノズル 11 冷却水 12 プロフィルメータ 13 ランナウトテーブル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 和田 武司 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社千葉製鉄所内 (72)発明者 後藤 太 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社千葉製鉄所内 (72)発明者 潮海 弘資 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社千葉製鉄所内 Fターム(参考) 4E024 AA03 DD04 EE01

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スラブを加熱炉で加熱し、粗圧延機で圧
    延してシートバーとなし、シートバーを接合して、連続
    して仕上圧延を行う熱間エンドレス圧延において、ロー
    ルバレル方向に多数配設した冷却ノズルからロール冷却
    水を噴出して、ロールのサーマルクラウンを制御するに
    際し、ロールと被圧延材が接触する板道の両端からロー
    ルバレル方向に所定距離分の冷却ノズルのロール冷却水
    流量を、板道内のそれ以外の部分の冷却ノズルのロール
    冷却水流量よりも少なくなるように調整し、板道内にお
    けるロールバレル方向のロールの熱膨張量の差を減少さ
    せることを特徴とするロール冷却方法。
  2. 【請求項2】 スラブを加熱炉で加熱し、粗圧延機で圧
    延してシートバーとなし、仕上圧延を行う熱間仕上圧延
    において、ロールバレル方向に多数配設した冷却ノズル
    からロール冷却水を噴出して、ロールのサーマルクラウ
    ンを制御するに際し、仕上圧延最終スタンドあるいはさ
    らにその1つ前のスタンドにおいて、ロールと被圧延材
    が接触する板道の両端からロールバレル方向に所定距離
    分の冷却ノズルのロール冷却水流量を、板道内のそれ以
    外の部分の冷却ノズルのロール冷却水流量よりも少なく
    するように調整し、板道内におけるロールバレル方向の
    ロールの熱膨張量の差を減少させることを特徴とするロ
    ール冷却方法。
  3. 【請求項3】 仕上圧延機各スタンドにおいて、スタン
    ド出側板厚が所定の板厚以上である上流スタンドでは、
    ロールと被圧延材が接触する板道もしくはロールバレル
    全域を冷却し、スタンド出側板厚が所定の板厚未満とな
    る下流スタンドにおいて、ロールと被圧延材が接触する
    板道の両端からロールバレル方向に所定距離分の冷却ノ
    ズルのロール冷却水流量を、板道内のそれ以外の部分の
    冷却ノズルのロール冷却水流量よりも少なくするように
    調整することを特徴とする請求項1または2に記載のロ
    ール冷却方法。
  4. 【請求項4】 仕上圧延機出側で被圧延材の板プロフィ
    ルを検出し、検出した板プロフィルに基づき、前記被圧
    延材のエッジビルドアップ量が所定の値以上の場合に、
    ロールと被圧延材が接触する板道の両端からロールバレ
    ル方向に所定距離分の冷却ノズルのロール冷却水流量
    を、板道内のそれ以外の部分の冷却ノズルのロール冷却
    水流量よりも少なくするように調整することを特徴とす
    る請求項1〜3のいずれかに記載のロール冷却方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8281632B2 (en) 2007-02-09 2012-10-09 Centre De Recherches Metallurgiques Asbl Device and method for cooling rollers used for rolling in a highly turbulent environment
CN103962389A (zh) * 2013-01-28 2014-08-06 宝山钢铁股份有限公司 一种利用冷却水喷嘴梯度布置来控制辊型热凸度的方法
KR20160077298A (ko) * 2014-12-22 2016-07-04 주식회사 포스코 롤 냉각장치
CN107983771A (zh) * 2017-11-23 2018-05-04 攀钢集团攀枝花钢铁研究院有限公司 建筑混凝土固定件用高强冷硬卷热轧方法

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