JPH10296929A - ガスバリアフィルム - Google Patents

ガスバリアフィルム

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JPH10296929A
JPH10296929A JP11090997A JP11090997A JPH10296929A JP H10296929 A JPH10296929 A JP H10296929A JP 11090997 A JP11090997 A JP 11090997A JP 11090997 A JP11090997 A JP 11090997A JP H10296929 A JPH10296929 A JP H10296929A
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alcohol resin
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育 高田
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも片面
に、易接着層とポリビニルアルコール樹脂層が順次積層
されてなるガスバリアフィルムにおいて、該易接着層が
ポリエステル樹脂を主たる構成成分とし、かつ、該ポリ
ビニルアルコール樹脂層にアミノ基含有シランカップリ
ング剤が含まれてなることを特徴とするガスバリアフィ
ルムに関するものである。 【効果】本発明によって作成されるガスバリアフィルム
は、熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも片面に、ポリエ
ステル樹脂からなる易接着層と、ポリビニルアルコール
樹脂層が順次積層されてなるガスバリアフィルムにおい
て、該ポリビニルアルコール樹脂層にアミノ基含有シラ
ンカップリング剤が含まれてなることで、優れたガスバ
リア性を有すると同時に、耐久性にも優れた効果を発現
するものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はガスバリアフィルム
に関するものであり、更に詳しくは、優れたガスバリア
性を有すると同時に、耐久性にも優れたガスバリアフィ
ルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】食品包装や医薬品包装などの包装分野に
おいては、外気、特に酸素などの侵入があると、包装し
た内容物の変質のため長期保存ができないなどの理由か
ら、外気、特に酸素の侵入を防ぐことができるガスバリ
ア性を有する膜状物、すなわち、ガスバリアフィルムの
研究開発が行われている。
【0003】上記したガスバリアフィルムとしては、ガ
スバリア性と自己支持性を兼備した樹脂からなるフィル
ム、自己支持性はないものの基材フィルム上にガスバリ
ア性を有する樹脂を設けたフィルム、あるいは無機化合
物を基材フィルム上に蒸着やスパッタリングなどの方法
により設けたフィルムなどが検討されている。
【0004】Polymer Engineering
and Science,vol.20,22,p.
1543−1546(1986)によると、従来より開
発されたガスバリアフィルムとしては、ポリ塩化ビニリ
デンフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、ポリビ
ニルアルコールフィルムなどがある。
【0005】また、酸化珪素(特公昭53−12953
号公報など)や酸化アルミニウム(特開昭62−179
935号公報など)などの無機物を基材フィルムの表面
に蒸着したフィルムも開発されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前述した従来
の技術には以下のような欠点がある。
【0007】酸化珪素や酸化アルミニウムなどの無機物
を基材フィルムの表面に蒸着したフィルムは、ガスバリ
ア性は非常に優れたものになるが、このようなフィルム
の形成には蒸着過程が加わるのでコストが非常に高くな
るという欠点や、無機被膜の可とう性の無さや、基材フ
ィルムとの接着性が悪いため、その結果としてガスバリ
アフィルムとしての耐久性に劣るなどの問題がある。
【0008】一方、ポリ塩化ビニリデンフィルムは塩素
原子を含有していること、ポリアクリロニトリルフィル
ムは「−CN基」を含有していることから、廃棄の際に
環境を汚染するなど、近年の地球環境保護の観点からは
問題の多い樹脂である。
【0009】これに対し、ポリビニルアルコールは、上
記したような地球環境保護的な問題は全くないが、ポリ
ビニルアルコールフィルムは、単独で用いると吸湿によ
りべたつくなど、非常に取り扱い性に劣るフィルムであ
る。
【0010】この点を解決するため、ポリビニルアルコ
ール樹脂からなる薄膜をポリエステルフィルムやポリオ
レフィンフィルムなどの基材フィルム上に設け、これら
の熱可塑性樹脂フィルムにガスバリア性を付与しようと
する検討も行われているが、基材フィルムとポリビニル
アルコール樹脂層との接着性が悪いため、いわゆる、耐
久性に劣るものとなり、例えば、包装袋などに加工した
際に、袋破れや袋の変形などを生じるなど、信頼性に劣
る包装材料となってしまう。
【0011】本発明はこれらの欠点を解消せしめ、優れ
たガスバリア性を有すると同時に、耐久性にも優れたガ
スバリアフィルムを提供するものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成する本
発明のガスバリアフィルムは、熱可塑性樹脂フィルムの
少なくとも片面に、易接着層とポリビニルアルコール樹
脂層が順次積層されてなるガスバリアフィルムにおい
て、該易接着層がポリエステル樹脂を主たる構成成分と
し、かつ、該ポリビニルアルコール樹脂層にアミノ基含
有シランカップリング剤が含まれてなることを特徴とす
るものである。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明でいう熱可塑性樹脂フィル
ムとは、熱によって溶融もしくは軟化するフィルムの総
称であって、特に限定されるものではないが、代表的な
ものとしては、ポリエステルフィルム、ポリプロピレン
やポリエチレンなどのポリオレフィンフィルム、ナイロ
ンなどのポリアミドフィルム、ポリ塩化ビニルフィル
ム、ポリウレタフィルム、ポリカーボネートフィルム、
アクリル系フィルム、フッ素系フィルムなどを用いるこ
とができる。
【0014】これらの熱可塑性樹脂フィルムを構成する
ポリマーは、ホモポリマーでも共重合ポリマーであって
もよい。これらのうち、機械的強度、寸法安定性、ある
いは易接着層などのフィルム上に設ける積層膜との接着
性、すなわち、ガスバリアフィルムとしての耐久性など
の点で、ポリエステルフィルムが好ましい。また、本用
途においては、基材フィルムとして水蒸気遮断性に優れ
たポリプロピレンやポリエチレンなどのポリオレフィン
フィルムを用いることも好ましい。
【0015】本発明において、ポリエステルフィルムを
構成するポリエステルとは、エステル結合を主鎖の主要
な結合鎖とする高分子の総称であって、好ましいポリエ
ステルとしては、エチレンテレフタレート、エチレン−
2,6−ナフタレート、ブチレンテレフタレート、ブチ
レン−2,6−ナフタレート、エチレン−α,β−ビス
(2−クロロフェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボ
キシレートなどから選ばれた少なくとも1種の構成成分
を主要構成成分とするものを用いることができる。これ
ら構成成分は1種のみ用いても、2種以上併用してもよ
いが、中でも品質、経済性などを総合的に判断するとエ
チレンテレフタレートを主要構成成分とするポリエステ
ルを用いることが好ましい。更に、加熱によるオリゴマ
ーの滲み出しが少なく、表面が汚染されにくいこと、寸
法安定性や機械的強度が優れる点で、ポリエチレン−
2,6−ナフタレートを主要構成成分とするポリエステ
ルも好適に用いることもできる。
【0016】また、これらポリエステルには、更に他の
ジカルボン酸成分やジオール成分が一部、好ましくは2
0モル%以下共重合されていてもよい。
【0017】具体的な共重合成分としては、イソフタル
酸、炭素数4〜10の脂肪族ジカルボン酸、脂環族ジカ
ルボン酸およびこれらのエステル、炭素数3〜20のジ
オール、シクロヘキサンジメタノールなどを用いること
ができる。
【0018】更に、このポリエステル中には、各種添加
剤、例えば、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫
外線吸収剤、有機の易滑剤、顔料、染料、有機または無
機の微粒子、充填剤、帯電防止剤、核剤などがその特性
を悪化させない程度に添加されていてもよい。
【0019】上述したポリエステルの極限粘度(25℃
のo−クロロフェノール中で測定)は、0.4〜1.2
dl/gが好ましく、より好ましくは0.5〜0.8d
l/gの範囲にあるものが本発明を実施する上で好適で
ある。
【0020】上記ポリエステルを使用したポリエステル
フィルムは、本発明にかかる易接着層が設けられた状態
においては、二軸配向されたものであるのが好ましい。
二軸配向ポリエステルフィルムとは、一般に、未延伸状
態のポリエステルシートまたはフィルムを長手方向およ
び幅方向に各々2.5〜5倍程度延伸され、その後、熱
処理が施されて、結晶配向が完了されたものであり、広
角X線回折で二軸配向のパターンを示すものをいう。
【0021】ポリエステルフィルムの厚みは、包装用途
として適用可能であれば、特に限定されるものではない
が、機械的強度、ハンドリング性、透明性などの点か
ら、通常3〜200μm、好ましくは5〜100μmで
ある。このとき、本発明のガスバリアフィルムのみでは
取り扱い性に劣るなどの場合には、例えば、ポリオレフ
ィンフィルムやポリエステルフィルムなどを裏打ちする
などして使用することができる。また、得られたガスバ
リアフィルム同士を各種の方法で貼り合わせて、必要な
厚みとすることもできる。
【0022】本発明のポリビニルアルコール樹脂層に用
いられるポリビニルアルコール樹脂は、ビニルアルコー
ル単位を主要構成成分とするものであれば特に限定され
るものではないが、特に、好ましくは80モル%以上、
より好ましくは90モル%以上がビニルアルコール単位
としてなるポリビニルアルコール樹脂が、ガスバリア性
を付与する点で好適である。
【0023】これらポリビニルアルコール樹脂には、共
重合可能な他の共重合成分、例えば、ビニルアセテー
ト、ビニルブチラール、ビニルアセタール、N−ビニル
アセトアミド、ポリエチレン、ポリプロピレンなどが、
好ましくは20モル%以下、より好ましくは10モル%
以下共重合されていてもよい。
【0024】ポリビニルアルコール樹脂のケン化度は、
85〜99.9モル%が好ましく、より好ましくは90
〜99.8モル%、最も好ましくは92〜99.5モル
%である。特に、ケン化度が上記範囲より低いとガスバ
リア性が悪くなる傾向がある。
【0025】また、重合度は、ガスバリア性や塗布時の
塗液流動性の点で、100〜10000が好ましく、よ
り好ましくは500〜5000、最も好ましくは100
0〜3000である。
【0026】また、本発明において用いることができる
ポリビニルアルコール樹脂としては、変性ポリビニルア
ルコール共重合体、例えば、アクリル、ウレタン、ポリ
エステル、エポキシ、ポリエチレン、ポリプロピレンな
どで変性したブロック共重合体やグラフト共重合体な
ど、あるいは、カルボキシル基、スルホン酸基、アミノ
基、リン酸基、イソシアネート基、オキサゾリン基、メ
チロール基、ニトリル基、アセトアセチル基、カチオン
基などによる変性物なども可能である。
【0027】本発明においては、ポリビニルアルコール
樹脂層として、上記したポリビニルアルコール樹脂にア
ミノ基含有シランカップリング剤を併用することによ
り、ポリビニルアルコール樹脂層とポリエステル樹脂を
主たる構成成分とする易接着層との接着性、すなわちガ
スバリアフィルムの耐久性が飛躍的に向上することを見
出したものである。
【0028】本発明のポリビニルアルコール樹脂層に用
いられるアミノ基含有シランカップリング剤は、分子内
にアミノ基と易加水分解性のアルコキシシラン基を有す
るものであれば特に限定されるものではない。
【0029】アミノ基含有シランカップリング剤として
は、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメト
キシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピル
メチルジメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジ
ルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシ
ラン・塩酸塩、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラ
ン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシランなどを用
いることができる。このようなアミノ基含有シランカッ
プリング剤は市販のものを使用することができ、例え
ば、東レダウコーニングシリコーン(株)製SH602
0、SZ6023、SH6026、SZ6032、SZ
6050、SZ6083、AY43−031などを用い
ることができる。
【0030】これらのシランカップリング剤は、水を加
えることによって容易に加水分解し、アルコキシシラン
基はシラノール基となる。本発明においては、ポリビニ
ルアルコール樹脂層形成塗液中では、加水分解した状態
で使用するのが好ましい。
【0031】本発明にかかるポリビニルアルコール樹脂
層は、上記したポリビニルアルコール樹脂とアミノ基含
有シランカップリング剤を主たる構成成分としてなるも
のであれば特に限定されないが、本発明においては、ポ
リビニルアルコール樹脂100重量部に対し、アミノ基
含有シランカップリング剤が固形分重量比で、0.3〜
7重量部含まれてなることが好ましい。すなわち、アミ
ノ基含有シランカップリング剤の添加量が0.3重量部
未満ではポリビニルアルコール樹脂層と易接着層との接
着性、すなわち耐久性に劣る傾向があり、7重量%を超
えるとガスバリア性に劣る傾向がある。なお、本発明者
らの検討によれば、ポリビニルアルコール樹脂100重
量部に対し、アミノ基含有シランカップリング剤が固形
分重量比で、0.5〜5重量部含まれてなることがより
好ましく、最も好ましくは1〜3重量部であり、この範
囲にすることで、ガスバリア性、耐久性ともに優れたも
のとすることができる。
【0032】また、ポリビニルアルコール樹脂層中には
本発明の効果が損なわれない範囲内で、他の樹脂やその
変性体、例えば、ポリアクリル酸および/またはその
塩、ポリビニルピロリドン、本発明以外のポリビニルア
ルコール、ポリ−N−ビニルアセトアミド、ポリエチレ
ングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレ
ン−ポリビニルアルコール共重合体、デンプン−アクリ
ロニトリルグラフト共重合体の加水分解物、デンプン−
アクリル酸グラフト共重合体の中和物、酢酸ビニル−ア
クリル酸エステル共重合体のケン化物、アクリロニトリ
ルもしくはアクリルアミド系共重合架橋体の加水分解
物、ポリアクリル酸塩系架橋体、あるいは上記アクリル
系樹脂やビニル系樹脂をポリエステル系樹脂にグラフト
化させた変性ポリエステル樹脂、ポリエステル樹脂、ア
クリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリ
カーボネート樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、フェノー
ル樹脂、塩化ビニル樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹
脂、ゴム系樹脂などが配合されてもよい。
【0033】更に、ポリビニルアルコール樹脂層中には
本発明の効果が損なわれない範囲内で各種の添加剤、例
えば、架橋剤、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、
紫外線吸収剤、有機の易滑剤、顔料、染料、有機または
無機の微粒子、充填剤、帯電防止剤、核剤などが配合さ
れてもよい。
【0034】特に、本発明を実施するにあたり、架橋
剤、例えば、メラミン系架橋剤、オキサゾリン系架橋
剤、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、カル
ボジイミド系架橋剤、アジリジン系架橋剤などの添加
は、ポリビニルアルコール樹脂層の強靱化や耐久性が向
上するので更に好ましい。
【0035】有機または無機の微粒子、例えば、シリ
カ、アルミナ、アルミナゾル、カオリン、タルク、マイ
カ、炭酸カルシウム、コロイダルシリカなどの添加は、
易滑性や耐傷性の点で好ましく用いることができる。用
いられる無機粒子は、平均粒径0.1〜10μmである
ものが好ましく、より好ましくは0.3〜5μm、最も
好ましくは1〜3μmであり、塗液中の固形分に対する
配合比は、特に限定されないが、重量比で0.05〜2
0重量部が好ましく、より好ましくは0.1〜10重量
部である。
【0036】また、無機系層状化合物の添加は、易滑性
やガスバリア性の点で好ましく用いることができる。本
発明において用いることのできる無機系層状化合物と
は、極薄の単位結晶層が重なって一つの層状粒子を形成
している無機化合物であれば特に限定されるものではな
いが、溶媒に膨潤あるいは劈開するものが好ましく、中
でも、単位結晶層間に水を配位し、吸収あるいは膨潤す
る粘土化合物が好ましい。本発明においては、カオリナ
イト、ハロイサイト、モンモリロナイト、バーキュライ
ト、サポナイト、ディッカイト、ナクライト、アンチゴ
ライト、パイロフィライト、ヘクトライト、バイデライ
ト、マーガライト、タルク、テトラシリリックマイカ、
白雲母、金雲母などを用いることができ、これらは1種
あるいは2種以上を混合して用いてもよい。用いられる
無機系層状化合物の粒子径は特に限定されないが、20
nm以上が好ましい。
【0037】ポリビニルアルコール樹脂層の厚みは特に
限定されないが、通常は0.5〜20μmが好ましく、
より好ましくは1〜15μm、最も好ましくは2μm〜
10μmの範囲である。ポリビニルアルコール樹脂層の
厚みが薄すぎるとガスバリア性が悪くなるなどの問題が
生じることがある。
【0038】また、本発明を実施するにあたり、ポリビ
ニルアルコール樹脂層を形成する塗液の塗布方法は、例
えば、リバースコート法、スプレーコート法、バーコー
ト法、グラビアコート法、リバースグラビアコート法、
ロッドコート法、ダイコート法などを用いることができ
る。
【0039】本発明においては、基材フィルムである熱
可塑性樹脂フィルムとポリビニルアルコール樹脂層との
接着性を高め、ガスバリアフィルムとしての耐久性を向
上させるため、易接着層を設ける必要がある。該易接着
層を設けない場合、基材フィルムとポリビニルアルコー
ル樹脂とアミノ基含有シランカップリング剤からなる層
とは接着性がなく、全く耐久性に劣るものとなり、例え
ば、表面に付いたゴミを指でこすり取ったり、擦れあっ
たりしたときなど、ポリビニルアルコール樹脂層が簡単
に剥離してしまい二度と使いものにならなくなったり、
ガスバリア性が発現しなくなるなどの弊害が生じる。従
って、熱可塑性樹脂フィルム、易接着層、ポリビニルア
ルコール樹脂層がこの順に積層された構成が必須であ
る。
【0040】本発明にかかる易接着層の構成成分として
用いられるポリエステル樹脂は、主鎖あるいは側鎖にエ
ステル結合を有するもので、ジカルボン酸とジオールか
ら重縮合して得られるものである。
【0041】ポリエステル樹脂を構成するカルボン酸成
分としては、芳香族、脂肪族、脂環族のジカルボン酸や
3価以上の多価カルボン酸が使用できる。芳香族ジカル
ボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソ
フタル酸、フタル酸、2,5−ジメチルテレフタル酸、
1,4−ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボ
ン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,2−ビス
フェノキシエタン−p,p’−ジカルボン酸、フェニル
インダンジカルボン酸などを用いることができる。これ
らの芳香族ジカルボン酸は、易接着層の強度や耐熱性の
点で、好ましくは全ジカルボン酸成分の30モル%以
上、より好ましくは35モル%以上、最も好ましくは4
0モル%以上のものを用いるのがよい。脂肪族および脂
環族のジカルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、
セバシン酸、ドデカンジオン酸、ダイマー酸、1,3−
シクロペンタンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサン
ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸な
ど、およびそれらのエステル形成性誘導体を用いること
ができる。
【0042】ポリエステル樹脂のグリコール成分として
は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリ
エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロ
ピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3
−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−
ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7
−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,
9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、2,
4−ジメチル−2−エチルヘキサン−1,3−ジオー
ル、ネオペンチルグリコール、2−エチル−2−ブチル
−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−イソブ
チル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5
−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,6
−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノ
ール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−
シクロヘキサンジメタノール、2,2,4,4−テトラ
メチル−1,3−シクロブタンジオール、4,4’−チ
オジフェノール、ビスフェノールA、4,4’−メチレ
ンジフェノール、4,4’−(2−ノルボルニリデン)
ジフェノール、4,4’−ジヒドロキシビフェノール、
o−,m−,及びp−ジヒドロキシベンゼン、4,4’
−イソプロピリデンフェノール、4,4’−イソプロピ
リデンビンジオール、シクロペンタン−1,2−ジオー
ル、シクロヘキサン−1,2−ジオール、シクロヘキサ
ン−1,4−ジオールなどを用いることができる。
【0043】また、ポリエステル樹脂を水系樹脂とした
塗液として用いる場合、ポリエステル樹脂の接着性を向
上させるため、あるいはポリエステル樹脂の水溶性化を
容易にするため、カルボン酸塩基を含む化合物や、スル
ホン酸塩基を含む化合物を共重合することが好ましい。
更に、ポリビニルアルコール樹脂などの親水性樹脂を該
易接着層の上に設ける場合は、ポリエステル樹脂にカル
ボン酸塩基やスルホン酸塩基を含む化合物を共重合する
ことは親和性の点で好ましい。
【0044】中でも、カルボン酸塩基を含む化合物の共
重合は、ポリビニルアルコール樹脂の多数の水酸基との
相互作用により、より親和性が高くなり、耐久性が向上
する。
【0045】カルボン酸塩基を含む化合物としては、例
えば、トリメリット酸、無水トリメリット酸、ピロメリ
ット酸、無水ピロメリット酸、4−メチルシクロヘキセ
ン−1,2,3−トリカルボン酸、トリメシン酸、1,
2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、1,2,3,4
−ペンタンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ベ
ンゾフェノンテトラカルボン酸、5−(2,5−ジオキ
ソテトラヒドロフルフリル)−3−メチル−3−シクロ
ヘキセン−1,2−ジカルボン酸、5−(2,5−ジオ
キソテトラヒドロフルフリル)−3−シクロヘキセン−
1,2−ジカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン
酸、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸、
1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸、エチレ
ングリコールビストリメリテート、2,2’,3,3’
−ジフェニルテトラカルボン酸、チオフェン−2,3,
4,5−テトラカルボン酸、エチレンテトラカルボン酸
など、あるいはこれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類
金属塩、アンモニウム塩を用いることができるが、これ
らに限定されるものではない。
【0046】スルホン酸塩基を含む化合物としては、例
えば、スルホテレフタル酸、5−スルホイソフタル酸、
4−スルホイソフタル酸、4−スルホナフタレン−2,
7−ジカルボン酸、スルホ−p−キシリレングリコー
ル、2−スルホ−1,4−ビス(ヒドロキシエトキシ)
ベンゼンなどあるいはこれらのアルカリ金属塩、アルカ
リ土類金属塩、アンモニウム塩を用いることができる
が、これに限定されるものではない。
【0047】また、本発明において用いることができる
ポリエステル樹脂としては、変性ポリエステル共重合
体、例えば、アクリル、ウレタン、エポキシなどで変性
したブロック共重合体、グラフト共重合体なども可能で
ある。
【0048】好ましいポリエステル樹脂としては、酸成
分としてテレフタル酸、イソフタル酸、セバシン酸、ト
リメリット酸、ピロメリット酸、5−(2,5−ジオキ
ソテトラヒドロフルフリル)−3−メチル−3−シクロ
ヘキセン−1,2−ジカルボン酸、5−ナトリウムスル
ホイソフタル酸、グリコール成分としてエチレングリコ
ール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオー
ル、ネオペンチルグリコールから選ばれる共重合体など
である。
【0049】本発明において、易接着層に用いられるポ
リエステル樹脂は、以下の製造法によって製造すること
ができる。例えば、ジカルボン酸成分としてテレフタル
酸、イソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル
酸、グリコール成分としてエチレングリコール、ネオペ
ンチルグリコールからなるポリエステル樹脂について説
明すると、テレフタル酸、イソフタル酸、5−ナトリウ
ムスルホイソフタル酸とエチレングリコール、ネオペン
チルグリコールとを直接エステル化反応させるか、テレ
フタル酸、イソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフ
タル酸及びエチレングリコール、ネオペンチルグリコー
ルとをエステル交換反応させる第一段階と、この第一段
階の反応生成物を重縮合反応させる第二段階とによって
製造する方法などにより製造することができる。
【0050】この際、反応触媒として、例えば、アルカ
リ金属、アルカリ土類金属、マンガン、コバルト、亜
鉛、アンチモン、ゲルマニウム、チタン化合物などを用
いることができる。
【0051】また、カルボン酸を末端および/または側
鎖に多く有するポリエステル樹脂を得る方法としては、
特開昭54−46294号公報、特開昭60−2090
73号公報、特開昭62−240318号公報、特開昭
53−26828号公報、特開昭53−26829号公
報、特開昭53−98336号公報、特開昭56−11
6718号公報、特開昭61−124684号公報、特
開昭62−240318号公報などに記載の3価以上の
多価カルボン酸を共重合した樹脂により製造することが
できるが、むろんこれら以外の方法であってもよい。
【0052】また、本発明にかかる易接着層に用いられ
るポリエステル樹脂の固有粘度は特に限定されないが、
耐久性の点で0.3dl/g以上であることが好まし
く、より好ましくは0.35dl/g以上、最も好まし
くは0.4dl/g以上である。ポリエステル樹脂のガ
ラス転移点(以後、「Tg」と略称する)は、−20〜
90℃であることが好ましく、より好ましくは0〜80
℃である。Tgが−20℃未満では易接着層の塗布、乾
燥の製膜工程でのハンドリング性の低下などが劣り、逆
に、90℃を超える場合、樹脂の造膜性に劣るようにな
るので好ましくない。また、該ポリエステル樹脂の酸価
は好ましくは20mgKOH/g以上、より好ましくは
30mgKOH/g以上が耐久性の点で好ましく用いら
れる。
【0053】また、易接着層中には本発明の効果が損な
われない範囲内で、他の樹脂やその変性体、例えば、本
発明以外のポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン
樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリビニルアルコール樹
脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、
フェノール樹脂、塩化ビニル樹脂、フッ素樹脂、シリコ
ーン樹脂、ゴム系樹脂、ゼラチンなどが配合されてもよ
い。
【0054】更に、易接着層中には本発明の効果が損な
われない範囲内で各種の添加剤、例えば、架橋剤、酸化
防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、有機
の易滑剤、顔料、染料、有機または無機の微粒子、充填
剤、帯電防止剤、核剤などが配合されてもよい。
【0055】特に、本発明を実施するにあたり、易接着
層を形成する塗液中に無機粒子を添加配合し二軸延伸し
たものは、易滑性が向上するので更に好ましい。
【0056】添加する無機粒子としては、代表的には、
シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、アルミナゾル、
カオリン、タルク、マイカ、炭酸カルシウムなどを用い
ることができる。用いられる無機粒子は、平均粒径0.
1〜3μmであるものが好ましく、より好ましくは0.
2〜2μm、最も好ましくは0.3〜1.5μmであ
り、塗液中の固形分に対する配合比は、特に限定されな
いが、重量比で0.05〜8重量部が好ましく、より好
ましくは0.1〜3重量部である。
【0057】また、本発明を実施するにあたり、ポリエ
ステル樹脂の塗布の方法は、例えば、リバースコート
法、スプレーコート法、バーコート法、グラビアコート
法、リバースグラビアコート法、ロッドコート法、ダイ
コート法などを用いることができる。
【0058】易接着層の厚みは特に限定されないが、通
常は好ましくは0.01〜5μm、より好ましくは0.
03〜2μm、最も好ましくは0.05μm〜0.5μ
mの範囲である。易接着層の厚みが薄すぎると耐久性向
上の効果が得られなくなる場合がある。
【0059】また、本発明において易接着層の主たる構
成成分とは、該成分が易接着層中において60重量%以
上であるものをいう。もっとも、本発明においては、好
ましくは80重量%以上、より好ましくは90重量%以
上を占めて、該主たる構成成分が存在していることが望
ましいものである。
【0060】該易接着層を設ける方法は特に限定されな
いが、上記成分を含む塗液を塗布することによって設け
る方法、上記成分を含む樹脂を共押し出し法などで積層
し設ける方法などを用いることができる。
【0061】次に、本発明のガスバリアフィルムの製造
方法について、基材フィルムとしてポリエチレンテレフ
タレート(以後、「PET」と略称する)を例にして説
明するが、これに限定されるものではない。
【0062】本発明の上述した、優れたガスバリア性を
有すると同時に、耐久性にも優れたガスバリアフィルム
は、熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも片面に、ポリエ
ステル樹脂を主たる構成成分とする易接着層と、ポリビ
ニルアルコール樹脂にアミノ基含有シランカップリング
剤が含まれてなるポリビニルアルコール樹脂層を順次積
層することによって製造することができる。
【0063】より具体的には、極限粘度0.5〜0.8
dl/gのPETペレットを十分に真空乾燥した後、押
し出し機に供給し、260〜300℃でシート状に溶融
押し出しし、静電印加キャスト法を用いて表面温度10
〜60℃の鏡面キャスティングドラムに巻き付けて、冷
却固化せしめ、未延伸PETシートを作成する。この未
延伸フィルムを70〜120℃に加熱されたロールで縦
方向(フィルムの進行方向)に2.5〜5倍延伸して一
軸延伸PETフィルムを得る。このフィルムの少なくと
も片面にコロナ放電処理を施し、該表面の塗れ張力を4
7mN/m以上とし、その処理面に所定の濃度のポリエ
ステル樹脂を主たる構成成分とする易接着層形成塗液を
塗布する。塗布して後、フィルム端部をクリップで把持
して70〜150℃に加熱された熱風ゾーンに導き、乾
燥して後、幅方向に2.5〜5倍に延伸する。引き続き
160〜250℃の熱処理ゾーンに導き、1〜30秒間
の熱処理を行い、結晶配向を完了させる。この熱処理工
程中で必要に応じて幅方向あるいは長手方向に1〜12
%の弛緩処理を施してもよい。二軸延伸は縦、横逐次延
伸あるいは同時二軸延伸のいずれでもよく、また縦、横
延伸後、縦、横いずれかの方向、あるいは両方向に再延
伸してもよい。また、ポリエステルフィルムの厚みは特
に限定されるものではないが、3〜200μmが好まし
く用いられる。この場合、用いる塗布液は環境汚染や防
爆性の点で水系が好ましい。
【0064】本発明のガスバリアフィルムは、上記した
易接着層を設けたポリエステルフィルムの易接着層上に
ポリビニルアルコール樹脂層を設けることによって得る
ことができる。該ポリビニルアルコール樹脂層は、ポリ
ビニルアルコール樹脂にアミノ基含有シランカップリン
グ剤が含まれてなるポリビニルアルコール樹脂層形成塗
液を塗布して後、乾燥して得ることができる。なお、該
塗液を塗布する前に、必要に応じてコロナ放電処理など
を施し、塗布性の改良や易接着層とポリビニルアルコー
ル樹脂層との接着性を更に向上させてもよい。
【0065】また、上記例において、易接着層が設けら
れる基材フィルムにも易接着層を形成するのに用いたポ
リエステル樹脂あるいはその反応生成物から選ばれる少
なくとも1種を含有させることができる。この場合は、
易接着層と基材フィルムとの接着性が向上する、易接着
層を設けたポリエステルフィルムの易滑性が向上するな
どの効果がある。易接着層を形成するのに用いたポリエ
ステル樹脂あるいはその反応生成物を含有させる場合に
は、1種であれ複数種であれ、その添加量の合計が5p
pm以上20重量%未満であるのが、接着性、易滑性の
点で好ましい。もちろん、これらは、本発明に係る易接
着層を設けたポリエステルフィルムの再生ペレットなど
であってもよい。
【0066】このようにして得られたガスバリアフィル
ムは、ガスバリア性を有すると同時に、耐久性にも優れ
ているため、ガスバリア性を付与するために各種の包装
材料や工業材料用途に用いることができる。
【0067】
【特性の測定方法および効果の評価方法】本発明におけ
る特性の測定方法及び効果の評価方法は次のとおりであ
る。
【0068】(1)易接着層とポリビニルアルコール樹
脂層の厚み 易接着層を設けたフィルムあるいは易接着層上にポリビ
ニルアルコール樹脂層を設けたフィルムの断面を超薄切
片に切り出し、RuO4 染色、OsO4 染色、あるいは
両者の二重染色による染色超薄切片法により、透過型電
子顕微鏡で観察、写真撮影を行った。その断面写真から
易接着層とポリビニルアルコール樹脂層の厚みを測定し
た。5点測定し、その平均値を持って、各層の厚みとし
た。
【0069】観察方法 ・装置:透過型電子顕微鏡((株)日立製作所製H−7
100FA型) ・測定条件:加速電圧 100kV ・試料調製:凍結超薄切片法
【0070】(2)ガスバリア性 ASTM−D−3985に準じて、酸素透過率測定装置
(モダンコントロール社製、OX−TRAN100)を
用いて、温度23℃、相対湿度0.2%、および温度2
3℃、相対湿度60%で行った。
【0071】(3)耐久性 本発明のガスバリアフィルムのポリビニルアルコール樹
脂層側に、1mm2 のクロスカット100個を入れ、そ
の上にセロハンテープ(ニチバン(株)製)を貼り付
け、ゴムローラーを用いて、荷重19.6Nで3往復さ
せ、押し付けた後、90度方向に剥離すし、ポリビニル
アルコール樹脂層の残存した個数により以下の4段階評
価をした。(◎)、(○)を、耐久性良好とした。
【0072】 ◎:ポリビニルアルコール樹脂層が100%残存してい
るもの ○:ポリビニルアルコール樹脂層が80%以上残存して
いるもの △:ポリビニルアルコール樹脂層が50%以上残存して
いるもの ×:ポリビニルアルコール樹脂層が50%未満残存して
いるもの
【0073】
【実施例】次に実施例に基づき本発明を説明するが、必
ずしもこれに限定されるものではない。
【0074】実施例1 平均粒径0.4μmのコロイダルシリカを0.015重
量%、および平均粒径1.5μmのコロイダルシリカを
0.005重量%含有するPETペレット(極限粘度
0.63dl/g)を十分に真空乾燥した後、280℃
の加熱された押し出し機に供給し、T字型口金よりシー
ト状に押し出し、静電印加キャスト法を用いて表面温度
30℃の鏡面キャスティングドラムに巻き付けて冷却固
化せしめた。この未延伸フィルムを95℃の加熱ロール
群を通過させながら、長手方向に3.5倍延伸し、一軸
配向フィルムとした。このフィルムの片面にコロナ放電
処理を施し、その処理面に以下に示す易接着層形成塗液
を塗布した。塗布された一軸延伸フィルムをクリップで
把持しながら予熱ゾーンに導き、100℃で乾燥後、引
続き連続的に110℃の加熱ゾーンで幅方向に3.5倍
延伸し、更に210℃の加熱ゾーンで熱処理を施し、基
材PETフィルム厚みが12μm、易接着層の厚みが
0.1μmの片面に易接着層が設けられた積層PETフ
ィルムを得た。
【0075】「易接着層形成塗液」 ポリエステル樹脂: ・酸成分 テレフタル酸 88モル% 5−ナトリウムスルホイソフタル酸 12モル% ・ジオール成分 エチレングリコール 100モル% 上記酸成分とジオール成分からなるポリエステル樹脂を
75℃の熱水で30分間攪拌しながら加熱溶解し、常温
まで冷却して得たポリエステル樹脂水性塗液。
【0076】次に、この積層PETフィルム上に、下記
のポリビニルアルコール樹脂層形成塗液を乾燥後の塗布
厚みが2μmとなるようにリバースコーターで塗布し、
130℃の熱風オーブン中で20秒間乾燥して、易接着
層上にポリビニルアルコール樹脂層を設け、ガスバリア
フィルムを得た。結果を表1に示す。
【0077】「ポリビニルアルコール樹脂層形成塗液」 (A)ポリビニルアルコール樹脂: ケン化度98モル%、分子量1700 上記ポリビニルアルコール樹脂を80℃の熱水で30分
間攪拌しながら加熱溶解し、常温まで冷却して得たポリ
ビニルアルコール樹脂水性塗液。
【0078】(B)アミノ基含有シランカップリング
剤: γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシ
シラン 上記アミノ基含有シランカップリング剤を冷水に攪拌し
ながら溶解した後、常温まで冷却して得たアミノ基含有
シランカップリング剤水性塗液。
【0079】この後、上記ポリビニルアルコール樹脂
(A)とアミノ基含有シランカップリング剤(B)を固
形分重量比で、(A)/(B)=100/3となるよう
に混合して得た塗液。
【0080】実施例2 実施例1のポリビニルアルコール樹脂層形成塗液で、
(A)/(B)の混合比を100/10(固形分重量
比)とした以外は、実施例1と同様にしてガスバリアフ
ィルムを得た。結果を表1に示す。
【0081】実施例3 実施例1のポリビニルアルコール樹脂層形成塗液で、
(A)/(B)の混合比を100/0.8(固形分重量
比)とした以外は、実施例1と同様にしてガスバリアフ
ィルムを得た。結果を表1に示す。
【0082】比較例1 実施例1のポリビニルアルコール樹脂層形成塗液で、ア
ミノ基含有シランカップリング剤を添加せずに用いた以
外は実施例1と同様にしてガスバリアフィルムを得た。
結果を表1に示す。
【0083】比較例2 実施例1のポリビニルアルコール樹脂層形成塗液で、ポ
リビニルアルコール樹脂を添加せずに用いた以外は実施
例1と同様にしてガスバリアフィルムを得た。結果を表
1に示す。
【0084】比較例3 実施例1において、積層PETフィルムを得る際に易接
着層形成塗液を塗布せずに用いた、すなわち、易接着層
を設けていないPETフィルムを用いた以外は、実施例
1と同様にしてガスバリアフィルムを得た。結果を表1
に示す。
【0085】比較例4 実施例1において、積層PETフィルムを得る際に易接
着層形成塗液として下記のアクリル樹脂からなる塗液を
用いた以外は、実施例1と同様にしてガスバリアフィル
ムを得た。結果を表1に示す。
【0086】「易接着層形成塗液」 アクリル樹脂: メチルメタクリレート 60重量% エチルアクリレート 37重量% アクリル酸 2重量% N−メチロールアクリルアミド 1重量% 上記4成分からなる共重合アクリル樹脂の水性エマルジ
ョン
【0087】実施例4 実施例1において、積層PETフィルムを得る際に易接
着層形成塗液として下記のポリエステル樹脂からなる塗
液を用いた以外は、実施例1と同様にしてガスバリアフ
ィルムを得た。結果を表1に示す。
【0088】「易接着層形成塗液」 ポリエステル樹脂: ・酸成分 テレフタル酸 28モル% イソフタル酸 9モル% トリメリット酸 10モル% セバシン酸 3モル% ・グリコール成分 エチレングリコール 15モル% ネオペンチルグリコール 18モル% 1,4−ブタンジオール 17モル% 上記酸成分とグリコール成分からなるポリエステル樹脂
のアンモニウム塩型水分散体
【0089】実施例5 実施例4において、ポリビニルアルコール樹脂層の厚み
を5μmとした以外は、実施例4と同様にしてガスバリ
アフィルムを得た。結果を表1に示す。
【0090】実施例6 実施例4のポリビニルアルコール樹脂層形成塗液で、ア
ミノ基含有シランカップリング剤を下記のアミノ基含有
シランカップリング剤とした以外は、実施例4と同様に
してガスバリアフィルムを得た。結果を表1に示す。
【0091】(B)アミノ基含有シランカップリング
剤: γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメト
キシシラン 上記アミノ基含有シランカップリング剤を冷水に攪拌し
ながら溶解した後、常温まで冷却して得たアミノ基含有
シランカップリング剤水性塗液
【0092】比較例5 実施例4のポリビニルアルコール樹脂層形成塗液で、ア
ミノ基含有シランカップリング剤を下記のエポキシ基を
含有するシランカップリング剤とした以外は、実施例4
と同様にしてガスバリアフィルムを得た。結果を表1に
示す。
【0093】(B)シランカップリング剤: γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン 上記シランカップリング剤を冷水に攪拌しながら溶解し
た後、常温まで冷却して得たシランカップリング剤水性
塗液
【0094】実施例7 2軸延伸ポリプロピレンフィルム(東レ(株)“トレフ
ァン”、厚さ12μm)を用い、その表面にコロナ放電
処理(炭酸ガス/窒素混合ガス(体積比83/17で混
合)中)を施し、表面張力を48mN/mとした。その
処理面に実施例4で用いたのと同じ易接着層形成塗液を
塗布し、110℃で2分間、熱風乾燥し、積層ポリプロ
ピレンフィルムを得た。
【0095】この後、実施例1と同様にしてポリビニル
アルコール樹脂層を形成し、ガスバリアフィルムを得
た。結果を表1に示す。
【0096】
【表1】
【0097】
【発明の効果】本発明によって作成されるガスバリアフ
ィルムは、熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも片面に、
ポリエステル樹脂からなる易接着層と、ポリビニルアル
コール樹脂層が順次積層されてなるガスバリアフィルム
において、該ポリビニルアルコール樹脂層にアミノ基含
有シランカップリング剤が含まれてなることで、優れた
ガスバリア性を有すると同時に、耐久性にも優れた効果
を発現するものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08G 63/183 C08G 63/183 63/189 63/189

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも片面
    に、易接着層とポリビニルアルコール樹脂層が順次積層
    されてなるガスバリアフィルムにおいて、該易接着層が
    ポリエステル樹脂を主たる構成成分とし、かつ、該ポリ
    ビニルアルコール樹脂層にアミノ基含有シランカップリ
    ング剤が含まれてなることを特徴とするガスバリアフィ
    ルム。
  2. 【請求項2】 ポリビニルアルコール樹脂層において、
    ポリビニルアルコール樹脂100重量部に対し、アミノ
    基含有シランカップリング剤が0.3〜7重量部含まれ
    てなることを特徴とする請求項1に記載のガスバリアフ
    ィルム。
  3. 【請求項3】 熱可塑性樹脂フィルムがポリエチレンテ
    レフタレートフィルムまたはポリエチレン−2,6−ナ
    フタレートフィルムであることを特徴とする請求項1ま
    たは請求項2に記載のガスバリアフィルム。
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