JP2003246033A - 積層ポリエステルフィルムおよびその製造方法 - Google Patents

積層ポリエステルフィルムおよびその製造方法

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JP2003246033A
JP2003246033A JP2002046986A JP2002046986A JP2003246033A JP 2003246033 A JP2003246033 A JP 2003246033A JP 2002046986 A JP2002046986 A JP 2002046986A JP 2002046986 A JP2002046986 A JP 2002046986A JP 2003246033 A JP2003246033 A JP 2003246033A
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polyester
laminated film
polyester film
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JP2002046986A
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Arimichi Kubota
有理 窪田
Masato Yanagibashi
真人 柳橋
Takashi Mimura
尚 三村
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Original Assignee
Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 各種被覆物との接着性を満足させることがで
き、経時での接着性にも優れた積層ポリエステルフィル
ム、及びその製造方法を提供する。 【解決手段】 ポリエステルフィルムの少なくとも片面
に、ポリエステル樹脂を主たる成分とする積層膜が形成
されてなる積層フィルムであって、該積層膜の表面にお
けるX線光電子分光法測定によるN/C値が0.005
以上0.05以下である積層ポリエステルフィルムであ
る。この積層ポリエステルフィルムは、ポリエステルフ
ィルムの少なくとも片面に形成された特定の積層膜に窒
素雰囲気下で放電加工処理を行うことによって製造でき
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は積層ポリエステルフ
ィルムの改良に関し、詳しくは、各種被覆物との接着性
に優れたポリエステルフィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】二軸配向ポリエステルフィルムは、寸法
安定性、機械的特性、耐熱性、透明性、電気的特性およ
び耐薬品性などに優れた性質を有することから、磁気記
録材料、包装材料、電気絶縁材料、各種写真材料および
グラフィックアーツ材料などの多くの用途の基材フィル
ムとして広く使用されている。しかしながら、一般に、
二軸配向ポリエステルフィルムは表面が高度に結晶配向
しているため、各種被覆物との接着性に乏しいという欠
点を有している。このため、従来からポリエステルフィ
ルムの表面に種々の方法で接着性を与えるための検討が
なされてきた。
【0003】接着性を付与する方法としては、基材フィ
ルムであるポリエステルフィルムに、各種の易接着処
理、例えばフィルム表面にコロナ放電処理、紫外線照射
処理またはプラズマ処理などを行なう表面活性化法、
酸、アルカリまたはアミン水溶液などの薬剤による表面
エッチング法などが提案されている。また、上記処理以
外の方法としては、フィルム表面に接着性を有するアク
リル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂またはポリ
オレフィン樹脂などの各種樹脂をプライマー層として設
ける方法などが提案されている。さらに、ポリエステル
フィルム上に被覆層を設け、該被覆層を放電加工処理し
た易接着性ポリエステルフィルムも提案されている(特
開昭58−5338号公報)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た従来の技術、特にポリエステル樹脂系のプライマー層
を用いたときでは、紫外線硬化型インキのように硬化収
縮を伴うインキとの接着性及び溶剤型インキとの接着性
を兼ね備えるという点において、未だ不十分なものであ
った。
【0005】かかる状況に鑑み、本発明は、このような
欠点を改良し、従来なし得なかった各種被覆物との接着
性を満足に保持し得る積層ポリエステルフィルムを提供
することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成する本
発明の積層ポリエステルフィルムは、ポリエステルフィ
ルムの少なくとも片面に、ポリエステル樹脂を主たる成
分とする積層膜が形成されてなる積層フィルムであっ
て、該積層膜の表面におけるX線光電子分光法測定によ
るN/C値が0.005以上0.05以下であることを
特徴とするものであり、この積層ポリエステルフィルム
は、ポリエステルフィルムの少なくとも片面に形成され
た積層膜に窒素雰囲気下で放電加工処理を行うことによ
って製造できる。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の積層ポリエステルフィル
ムの基材フィルムであるポリエステルフィルムにおい
て、ポリエステルとは、エステル結合を主鎖の主要な結
合鎖とする高分子の総称である。ここで、好ましいポリ
エステルとしては、エチレンテレフタレート、プロピレ
ンテレフタレート、エチレン−2,6−ナフタレート、
ブチレンテレフタレート、プロピレン−2,6−ナフタ
レート、エチレン−α,β−ビス(2−クロロフェノキ
シ)エタン−4,4’−ジカルボキシレート、エチレン
−α,β−ビス(フェノキシ)エタン−4,4’−ジカ
ルボキシレートなどから選ばれた少なくとも1種の構成
成分を主要構成成分とするものを用いることができる。
これらの構成成分は、1種のみを用いても、2種以上併
用してもよい。中でも、品質、経済性などを総合的に判
断すると、ポリエチレンテレフタレートまたはエチレン
テレフタレートを主要構成成分とするポリエステルを用
いることが好ましい。また、これらポリエステルには、
更に他のジカルボン酸成分やジオール成分が一部、好ま
しくは20モル%以下の範囲で共重合されていてもよ
い。
【0008】更に、このポリエステル中には、各種添加
剤、例えば、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫
外線吸収剤、有機の易滑剤、顔料、染料、有機または無
機の微粒子、充填剤、帯電防止剤および核剤などが、本
発明の効果を損なわない範囲で添加されていてもよい。
【0009】上述したポリエステルの極限粘度(25℃
のo−クロロフェノール中で測定した)は、0.4〜
1.2dl/gが好ましく、より好ましくは0.5〜
0.8dl/gの範囲にあるものが本発明を実施する上
で好適である。
【0010】上記ポリエステルフィルムは、二軸配向さ
れたものであることが好ましい。二軸配向したポリエス
テルフィルムとは、一般に、未延伸状態のポリエステル
シートまたはフィルムを長手方向および幅方向に各々
2.5〜5倍程度延伸し、その後、熱処理を施して、結
晶配向が完了したものであり、広角X線回折で二軸配向
のパターンを示すものをいう。ここで、延伸のタイミン
グは特に限定されないが、積層膜を設けたあとに二軸延
伸する方法、あるいは、縦(フィルムの進行方向)延伸
後に積層膜を設けさらに横延伸する方法が好ましく用い
られる。
【0011】本発明の積層ポリエステルフィルムの厚み
は、特に限定されるものではなく、本発明のフィルムが
使用される用途に応じて適宜選択されるが、機械的強
度、ハンドリング性などの点から、好ましくは1〜50
0μm、より好ましくは5〜300μm、特に好ましく
は30〜210μmである。また、得られたフィルムを
各種の方法で貼り合わせて用いることもできる。
【0012】本発明の積層ポリエステルフィルムの基材
フィルムとして白色ポリエステルフィルムを好適に用い
ることもできる。この白色ポリエステルフィルムは、白
色に着色されたポリエステルフィルムであれば特に限定
されるものではないが、白色度は65〜150%が好ま
しく、より好ましくは80〜120%である。また、光
学濃度は100μm換算で、0.5〜5が好ましく、よ
り好ましくは1〜3である。光学濃度が0.5未満の基
材フィルムを使用した場合は隠蔽性が低下し、白色度が
65%未満の場合はフィルムが汚れて見えることがあ
る。
【0013】このような白色度と光学濃度を得る方法は
特に限定されないが、たとえば無機粒子あるいはポリエ
ステルと非相溶の樹脂の添加により得ることができる。
ここで、添加量は特に限定されないが、無機粒子の場
合、好ましくは5〜35重量%、より好ましくは8〜2
5重量%である。また、ポリエステルと非相溶の樹脂を
添加する場合は、好ましくは3〜35重量%、より好ま
しくは6〜25重量%である。
【0014】該無機粒子の粒径は特に限定されないが、
好ましくは平均粒径0.1〜4μm、より好ましくは
0.3〜1.5μmのものが用いられる。具体的には、
硫酸バリウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、酸化
チタン、シリカ、アルミナ、チタン酸バリウム、タル
ク、クレーなどあるいはこれらの混合物を使用でき、こ
れらの無機粒子は他の無機化合物、例えば、リン酸カル
シウム、酸化チタン、雲母、ジルコニア、酸化タングス
テン、フッ化リチウム、フッ化カルシウムなどと併用し
てもよい。
【0015】上述のポリエステルと非相溶の樹脂として
は特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタ
レートやポリエチレン−2,6−ナフタレートをポリエ
ステルとして使用する場合についていえば、アクリル樹
脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、変性オレフィン樹
脂、ポリブチレンテレフタレート系樹脂、フェノキシ樹
脂およびポリフェニレンオキシドなどの1種以上を用い
ることができる。
【0016】非相溶の樹脂と上述した無機粒子とを併用
してもよい。例えば、ポリエステルに、無機粒子とポリ
エステルと非相溶の樹脂の両方を混合して2軸延伸し、
内部に空洞を有した比重が0.5〜1.3の白色ポリエ
ステルフィルムは、基材フィルム自体が軽量化でき、印
刷特性が向上するなどの長所を有しており、より好まし
い。
【0017】また、白色ポリエステルフィルムに、他の
色に着色されたフィルムまたは透明なフィルムを積層さ
せ、2層以上の積層体とし、これを基材フィルムとして
使用してもよい。
【0018】本発明において、積層膜とは、基材となる
ポリエステルフィルムの表面に積層構造的に形成されて
存在する膜状のものをいう。該積層膜は、単一層であっ
ても複数層からなるものであってもよい。
【0019】積層膜の厚みは、特に限定されないが、通
常は0.01〜5μmの範囲が好ましく、より好ましく
は0.02〜2μm、最も好ましくは0.05μm〜
0.5μmである。積層膜の厚みが薄すぎると接着性不
良となる場合がある。
【0020】本発明における積層膜は、ポリエステルフ
ィルムの少なくとも片面に形成され、ポリエステル樹脂
を主たる成分とするものであり、かつ、該積層膜の表面
におけるN/C値(X線光電子分光法測定により求めら
れる値)が0.005以上0.05以下であることを特
徴とする。
【0021】該積層膜を構成する主たる成分はポリエス
テル樹脂であり、具体的には、積層膜構成全成分の70
重量%以上を、好ましくは80重量%以上をポリエステ
ル樹脂が占めるものである。
【0022】本発明において、積層膜の構成成分として
用いられるポリエステル樹脂は、主鎖あるいは側鎖にエ
ステル結合を有するもので、ジカルボン酸とジオールを
重縮合して得られるものである。該ポリエステル樹脂を
構成するカルボン酸成分としては、芳香族、脂肪族、脂
環族のジカルボン酸や3価以上の多価カルボン酸を使用
することができる。
【0023】芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル
酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、フタル酸、2,5
−ジメチルテレフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボ
ン酸、ビフェニルジカルボン酸、2,6−ナフタレンジ
カルボン酸、1,2−ビスフェノキシエタン−p,p’
−ジカルボン酸、フェニルインダンジカルボン酸などを
用いることができる。積層膜の強度や耐熱性の点から、
これらの芳香族ジカルボン酸が、好ましくは全ジカルボ
ン酸成分の30モル%以上、より好ましくは35モル%
以上、最も好ましくは40モル%以上を占めるポリエス
テルを用いることが好ましい。
【0024】また、脂肪族および脂環族のジカルボン酸
としては、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼラ
イン酸、ドデカンジオン酸、ダイマー酸、1,3−シク
ロペンタンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカ
ルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸など、
およびそれらのエステル形成性誘導体を用いることがで
きる。
【0025】ポリエステル樹脂のグリコール成分として
は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリ
エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロ
ピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3
−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−
ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7
−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,
9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、2,
4−ジメチル−2−エチルヘキサン−1,3−ジオー
ル、ネオペンチルグリコール、2−エチル−2−ブチル
−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−イソブ
チル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5
−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,6
−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノ
ール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−
シクロヘキサンジメタノール、2,2,4,4−テトラ
メチル−1,3−シクロブタンジオール、4,4’−チ
オジフェノール、ビスフェノールA、4,4’−メチレ
ンジフェノール、4,4’−(2−ノルボルニリデン)
ジフェノール、4,4’−ジヒドロキシビフェノール、
o−,m−,およびp−ジヒドロキシベンゼン、4,
4’−イソプロピリデンフェノール、4,4’−イソプ
ロピリデンビンジオール、シクロペンタン−1,2−ジ
オール、シクロヘキサン−1,2−ジオール、シクロヘ
キサン−1,4−ジオールなどを用いることができる。
【0026】また、ポリエステル樹脂を水系液にして塗
液として用いる場合には、ポリエステル樹脂の水溶性化
あるいは水分散化を容易にするため、スルホン酸塩基を
含む化合物や、カルボン酸塩基を含む化合物を共重合す
ることが好ましい。
【0027】カルボン酸塩基を含む化合物としては、例
えば、トリメリット酸、無水トリメリット酸、ピロメリ
ット酸、無水ピロメリット酸、4−メチルシクロヘキセ
ン−1,2,3−トリカルボン酸、トリメシン酸、1,
2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、1,2,3,4
−ペンタンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ベ
ンゾフェノンテトラカルボン酸、5−(2,5−ジオキ
ソテトラヒドロフルフリル)−3−メチル−3−シクロ
ヘキセン−1,2−ジカルボン酸、5−(2,5−ジオ
キソテトラヒドロフルフリル)−3−シクロヘキセン−
1,2−ジカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン
酸、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸、
1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸、エチレ
ングリコールビストリメリテート、2,2’,3,3’
−ジフェニルテトラカルボン酸、チオフェン−2,3,
4,5−テトラカルボン酸、エチレンテトラカルボン酸
など、あるいはこれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類
金属塩、アンモニウム塩等を挙げることができるが、こ
れらに限定されるものではない。
【0028】スルホン酸塩基を含む化合物としては、例
えば、スルホテレフタル酸、5−スルホイソフタル酸、
4−スルホイソフタル酸、4−スルホナフタレン−2,
7−ジカルボン酸、スルホ−p−キシリレングリコー
ル、2−スルホ−1,4−ビス(ヒドロキシエトキシ)
ベンゼンなどあるいはこれらのアルカリ金属塩、アルカ
リ土類金属塩、アンモニウム塩を用いることができる
が、これに限定されるものではない。
【0029】また、本発明においては、ポリエステル樹
脂として、変性ポリエステル共重合体、例えば、アクリ
ル、ウレタン、エポキシなどで変性したブロック共重合
体、グラフト共重合体なども使用可能である。
【0030】好ましいポリエステル樹脂としては、酸成
分としてテレフタル酸、イソフタル酸、セバシン酸、5
−ナトリウムスルホイソフタル酸、グリコール成分とし
てエチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4
−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘ
キサンジメタノールから選ばれる共重合体などが挙げら
れる。耐水性が必要とされる場合は、5−ナトリウムス
ルホイソフタル酸の代わりに、トリメリット酸をその共
重合成分とした共重合体なども好適に用いることができ
る。
【0031】本発明の積層ポリエステルフィルムにおい
て、積層膜に用いられるポリエステル樹脂は、以下の製
造法によって製造することができる。例えば、ジカルボ
ン酸成分として、テレフタル酸、イソフタル酸、5−ナ
トリウムスルホイソフタル酸、グリコール成分としてエ
チレングリコール、ネオペンチルグリコールからなるポ
リエステル樹脂について説明すると、テレフタル酸、イ
ソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸とエチ
レングリコール、ネオペンチルグリコールとを直接エス
テル化反応させるか、テレフタル酸、イソフタル酸、5
−ナトリウムスルホイソフタル酸及びエチレングリコー
ル、ネオペンチルグリコールとをエステル交換反応させ
る第一段階と、この第一段階の反応生成物を重縮合反応
させる第二段階とによって積層膜用ポリエステル樹脂を
製造することができる。この際、反応触媒として、例え
ば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、マンガン、コバ
ルト、亜鉛、アンチモン、ゲルマニウム、チタン化合物
などを用いることができる。
【0032】また、カルボン酸を末端および/または側
鎖に多く有するポリエステル樹脂は、特開昭54−46
294号公報、特開昭60−209073号公報、特開
昭62−240318号公報、特開昭53−26828
号公報、特開昭53−26829号公報、特開昭53−
98336号公報、特開昭56−116718号公報、
特開昭61−124684号公報、特開昭62−240
318号公報などに記載の3価以上の多価カルボン酸を
共重合した樹脂により製造することができるが、むろん
これら以外の方法であってもよい。
【0033】本発明においては、積層膜表面における窒
素と炭素との原子数比(N/C値)が0.005以上
0.05以下であることが必要があり、このN/C値
は、X線光電子分光法測定により求められる値である。
このN/C値の条件を達成する方法は特に限定されず、
例えば、窒素原子を有する架橋剤を用いたり、積層
膜を窒素雰囲気下で放電加工処理したりするなどの方法
が挙げられるが、なかでも、積層膜を窒素雰囲気下で放
電加工処理する方法が好ましい。この方法を用いると、
積層膜中に例えばアミノ基やイミノ基などの官能基を生
成、導入させることができ、さらには積層膜表面に効率
よく上記のような窒素原子を有する官能基を特異的に存
在させることができ、N/C値が前記範囲内となり、各
種被覆物との接着性を従来予期し得なかった程に改善す
ることができた。該N/C値の好ましい範囲は0.00
5以上0.03以下である。該N/C値が小さすぎると
積層膜表面に窒素原子を有する官能基が少な過ぎるの
で、各種被覆物との接着性を得ることができない。
【0034】一般にポリエステルフィルムに放電加工処
理を施した場合、その処理強度が強くなるにつれ表面の
濡れ性が向上するという現象が生じる。しかし、積層膜
に特定のガラス転移温度(Tg)のポリエステル樹脂を
用い、この積層膜に窒素雰囲気下で強い放電加工処理を
施した場合には、積層膜表面の濡れ性がほとんど変化す
ることなく接着性を向上させることができる。すなわ
ち、Tgが0〜40℃、より好ましくは15〜40℃で
あるポリエステル樹脂を用いて積層膜を形成した場合に
は、接着性の経時的低下がなく、耐ブロッキング性、造
膜性、樹脂の安定性などにも優れることになるので好ま
しい。
【0035】また、本発明においては、表面の濡れ性の
指標として、表面自由エネルギーの極性成分の値を用い
るが、積層膜表面における該極性成分が10〜16mN
/mであることが好ましく、10〜15mN/mである
ことがさらに好ましい。特定のTgのポリエステル樹脂
を用いたときには、積層膜表面の濡れ性、即ち表面自由
エネルギー極性成分の値は放電加工処理によって殆ど変
化しないから、放電加工処理後も表面自由エネルギー極
性成分の値を上記の範囲内にすることができる。このよ
うに放電加工処理による積層膜表面の濡れ性の変化がほ
とんど生じないことから、経時においても処理直後の優
れた接着性を維持できる。これに対し、ポリエステルフ
ィルムに放電加工処理を施して表面の濡れ性を向上させ
ることにより接着性を向上させた場合には、放電加工処
理後の時間の経過とともに表面の濡れ性が低下するとい
う現象が生じ、接着性が経時的に低下し易い。
【0036】また、積層膜中には本発明の効果が損なわ
れない範囲内で、各種の添加剤、例えば、酸化防止剤、
耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、有機の易滑
剤、顔料、染料、有機または無機の微粒子、充填剤、帯
電防止剤、核剤、架橋剤などが配合されていてもよい。
特に、積層膜中に無機粒子を添加したものは、易滑性や
耐ブロッキング性が向上するので更に好ましい。この場
合、添加する無機粒子としては、シリカ、コロイダルシ
リカ、数珠状シリカ、アルミナ、アルミナゾル、カオリ
ン、タルク、マイカ、炭酸カルシウムなどを用いること
ができる。用いられる無機粒子は、平均粒径0.001
〜5μmが好ましく、より好ましくは0.005〜3μ
m、最も好ましくは0.01〜2μmであり、積層膜中
の樹脂に対する混合比は特に限定されないが、固形分重
量比で0.05〜10重量部が好ましく、より好ましく
は0.1〜5重量部である。また、積層膜中に添加され
得る架橋剤に関しては、例えばポリエステル樹脂に存在
するカルボキシル基やヒドロキシル基などの官能基と架
橋反応しうるものであれば特に限定されないが、例え
ば、メチロール化あるいはアルキロール化した尿素系、
メラミン系、アクリルアミド系、ポリアミド系樹脂、エ
ポキシ化合物、イソシアネート化合物、オキサゾリン系
化合物、アジリジン化合物、各種シランカップリング
剤、各種チタネート系カップリング剤などが挙げられ、
その量としてはポリエステル樹脂100重量部に対して
0.5〜30重量部が好ましい。
【0037】本発明の積層ポリエステルフィルムを製造
するに際して、ポリエステルフィルム上に積層膜を設け
る方法としては、ポリエステルフィルムの製造工程中に
基材フィルム上に積層膜形成塗液を塗布し、基材フィル
ムと共に延伸する方法が好適である。
【0038】例えば、溶融押し出しされた結晶配向前の
ポリエステルフィルムを長手方向に2.5〜5倍程度延
伸し、一軸延伸されたフィルムに連続的に積層膜形成塗
液を塗布する。塗液が塗布されたポリエステルフィルム
は、段階的に加熱されたゾーンを通過しつつ乾燥され、
幅方向に2.5〜5倍程度延伸される。更に、連続的に
150〜250℃の加熱ゾーンに導かれ結晶配向を完了
させる方法(インラインコート法)によって、積層膜が
設けられたポリエステルフィルムとすることができる。
【0039】本発明においては、積層膜形成塗液を塗布
する前に、基材フィルムの表面(上記例の場合では、一
軸延伸ポリエステルフィルム)にコロナ放電処理などを
施し、該基材フィルム表面の濡れ張力を、好ましくは4
7mN/m以上、より好ましくは50mN/m以上とす
ることが、積層膜の基材フィルムとの接着性を向上させ
ることができるので好ましい。
【0040】基材フィルムであるポリエステルフィルム
上への塗液の塗布方法は、各種の塗布方法、例えば、リ
バースコート法、グラビアコート法、ロッドコート法、
バーコート法、マイヤーバーコート法、ダイコート法、
スプレーコート法などを用いることができる。
【0041】本発明法においては、塗布により形成され
た積層膜に窒素雰囲気下での放電加工処理を行うことが
必要であり、該放電加工処理をする好ましい方法として
は、ポリエステルフィルムの製造工程中に行う方法が好
適である。なお、窒素雰囲気下とは、放電加工処理によ
って処理表面に有効に含窒素原子官能基が導入され得る
雰囲気下であればよいが、好ましくは酸素濃度が10体
積%以下、より好ましくは5体積%以下の雰囲気下であ
る。酸素濃度が高い場合、通常の空気中の放電加工処理
と同様になり、酸素原子に由来する官能基が選択的に処
理表面に導入される傾向がある。
【0042】また、放電加工処理の処理強度としては、
下記式で定義づけられる「E値」を用いることができ
る。このE値は、処理装置が異なった場合絶対値を単純
に比較することはできず、例えば濡れ性を指標にしたマ
スターカーブを作成することにより比較することができ
る。本発明におけるE値は、高周波電源(PP700−
248J型、米国PILLAR CORPORATIO
N製)の装置を使用した場合の値で表記する。
【0043】E値=[(印加電圧)×(印加電流)]/
[(処理速度)×(電極幅)] ここで、印加電圧(V)、印加電流(A)、処理速度
(m/s)、電極幅(m)である。
【0044】放電加工処理時のE値は、本発明の効果が
損なわれない範囲内で適宜選択することができるが、2
000〜30000(W・s/m2)が好ましく、より
好ましくは3000〜15000(W・s/m2)であ
る。処理強度が弱過ぎる場合は、放電加工処理による効
果が得られにくく、処理強度が強過ぎる場合は、処理表
面が親水化しすぎる、あるいは処理表面にダメージを与
えるなどの悪影響が起こりやすくなる。
【0045】次に、本発明の積層ポリエステルフィルム
の製造方法について、ポリエチレンテレフタレート(以
下、「PET」と略称する)を基材フィルムとした例に
ついて説明するが、これに限定されるものではない。
【0046】例えば、極限粘度0.5〜0.8dl/g
のPETペレットを真空乾燥した後、押し出し機に供給
し、260〜300℃で溶融し、T字型口金よりシート
状に押し出し、静電印加キャスト法を用いて表面温度1
0〜60℃の鏡面キャスティングドラムに巻き付けて、
冷却固化せしめて未延伸PETフィルムを作成する。こ
の未延伸フィルムを70〜120℃に加熱されたロール
間で縦方向(フィルムの進行方向)に2.5〜5倍延伸
する。このようにして得られた一軸延伸PETフィルム
の少なくとも片面にコロナ放電処理を施し、該表面の濡
れ張力を47mN/m以上とし、その処理面に積層膜形
成塗液を塗布する。次いで、積層膜形成塗液を塗布した
フィルムをクリップで把持して70〜150℃に加熱さ
れた熱風ゾーンに導き、乾燥した後、幅方向に2.5〜
5倍延伸し、引き続き160〜250℃の熱処理ゾーン
に導き、1〜30秒間の熱処理を行ない、結晶配向を完
了させる。この熱処理工程中において、必要に応じて幅
方向あるいは長手方向に3〜12%の弛緩処理を施して
もよい。二軸延伸は、縦、横逐次延伸あるいは同時二軸
延伸のいずれでもよく、また縦、横延伸後、縦、横いず
れかの方向に再延伸してもよい。また、積層ポリエステ
ルフィルムの厚みは特に限定されるものではないが、1
〜500μmが好ましく用いられる。更に、得られた積
層ポリエステルフィルムの積層膜に窒素雰囲気下で放電
加工処理を施す。
【0047】本発明の上記例において、基材PETフィ
ルム中に、積層膜形成組成物、あるいはこれらの反応生
成物から選ばれる少なくとも1種の成分を含有させるこ
とができる。この場合は、積層膜と基材フィルムとの接
着性が向上する、積層フィルムの易滑性が向上するなど
の効果がある。その成分の添加量は、1種であれ複数種
であれ、その添加量の合計が5ppm以上20重量%未
満であることが、接着性、易滑性の点で好ましい。かか
る成分を基材フィルムに含有させる方法としては、環境
保護、生産性を考慮すると、該積層膜形成組成物を含む
再生ペレットを用いる方法が好適である。
【0048】このようにして得られた本発明の積層ポリ
エステルフィルムにおいては、積層膜上に各種の印刷イ
ンキや紫外線硬化型樹脂など様々な被覆物を設けること
ができ、各種被覆物との接着性を保持することができる
ので、各種用途の基材フィルムとして広く用いることが
できる。例えば、本発明の積層ポリエステルフィルム
は、ラベル、X線写真フィルム、テレホンカードやパチ
ンコカードなどのプリペイドカード用、拡散板やプリズ
ムフィルムやARフィルムなどの光学用フィルム、光記
録カード、電気絶縁部材、オーディオ用やビデオ用やコ
ンピューター用などの磁気テープ、ジアゾフィルム、蒸
着フィルムなどの極めて広範な用途の基材フィルムとし
て用いることができる。
【0049】[特性の測定方法および効果の評価方法]
本発明における特性の測定方法および効果の評価方法は
次のとおりである。
【0050】(1)積層膜の厚み (株)日立製作所製の透過型電子顕微鏡HU−12型を
用いて積層ポリエステルフィルムの断面を観察し、得ら
れた断面写真から積層膜の厚みを求めた。厚みは、測定
視野内の10個の平均値とした。
【0051】(2)接着性−1 得られた積層ポリエステルフィルムを23℃、65%R
Hの雰囲気下で24時間放置した後に、下記のインキ
A、インキBを用いて接着性を評価する。 ・インキA: FDO−G墨(東洋インキ製造(株)
製) ・インキB: “EG−911墨”(帝国インキ(株)
製) インキAによる接着性評価方法:ロールコート法で積層
膜上に約1.5μm厚みに、紫外線硬化型インキである
インキAを塗布した。その後、照射強度80W/cmの
紫外線ランプを用い、照射距離(ランプとインキ面の距
離)12cmで5秒間照射し、塗布されたインキAを硬
化させた。接着性評価は以下の方法で行った。
【0052】インキAの硬化膜に1mm2のクロスカッ
トを100個入れ、ニチバン(株)製セロハンテープを
その上に貼り付け、ゴムローラーを用いて、荷重19.
6Nで3往復させ、押し付けた後、90度方向に剥離
し、該硬化膜の残存した個数により4段階で評価(◎:
100、○:80〜99、△:50〜79、×:0〜4
9)した。(◎)と(○)を接着性良好とした。
【0053】インキBによる接着性評価方法:専用希釈
溶剤を用いてインキB/溶剤=10/1(重量比)の割
合で希釈したインキBの液を、スクリーン印刷方式を用
い積層膜上に約5μm厚みに塗布した。その後、熱風オ
ーブン中60℃で5分間でインキB(溶剤型インキ)を
硬化させた。接着性評価は以下の方法で行った。
【0054】インキBの硬化膜を、約500gの加重が
かかるように爪で10往復ひっかいたときの、硬化膜の
残存状態を評価した。このとき、◎:硬化膜が削れな
い、○:硬化膜が僅かに削れる、△:硬化膜の削れが著
しい、×:硬化膜が容易に削れる、の4段階評価を行っ
た。(◎)と(○)を接着性良好とした。
【0055】(3)接着性−2 得られた積層ポリエステルフィルムを40℃、90%R
Hで1ヶ月間放置した後、上記(2)と同様にして、積
層膜上にインキA、インキBを塗布し硬化させた層を設
け、同様の接着性評価を行った。
【0056】(4)表面自由エネルギー極性成分 表面自由エネルギーおよびその各成分(分散力、極性
力、水素結合力)の値が既知の4種の液体として、水、
エチレングリコール、ホルムアミド、ヨウ化メチレンを
用い、23℃、65%RH下で、接触角計CA−D型
(協和界面科学(株)製)にて、各液体の積層膜上での
接触角を測定した。1つの測定面に対し5回測定を行い
その平均値を接触角(θ)とした。この接触角の値およ
び各液体の既知の値(Panzerによる方法IV(日
本接着協会誌vol.15、No.3、p96に記載)
の数値)から、拡張Fowkes式とYoungの式よ
り導入される下記式を用いて各成分の値を計算した。
【0057】(γS d・γL d1/2+(γS p・γL p1/2
(γS h・γL h1/2=(1+cosθ)/2 ここで、γL d、γL p、γL hは、それぞれ測定液の分散
力、極性力、水素結合力の各成分の値(既知)を表し、
θは測定面上での測定液の接触角を表し、また、γS d
γS p、γS hは、それぞれ積層膜表面の分散力、極性力、
水素結合力の各成分の値を表す。既知の値およびθを上
記の式に代入して得られた連立方程式を解くことによ
り、測定面(積層膜表面)の3成分の値を求める。本発
明においては、求められた極性力成分の値と水素結合力
成分の値の和を表面自由エネルギー極性成分の値とし
た。
【0058】(5)ガラス転移温度(Tg) セイコー電子工業(株)製ロボットDSC(示差走査熱
量計)RDC220にセイコー電子工業(株)製SSC
5200ディスクステーションを接続して測定した。D
SCの測定条件は次のとおりである。即ち、試料10m
gをアルミニウムパンに調整後、DSC装置にセツトし
(リファレンス:試料を入れていない同タイプのアルミ
ニウムパン)、300℃の温度で5分間加熱した後、液
体窒素中で急冷処理をする。この試料を10℃/分で昇
温し、そのDSCチャートからガラス転移点(Tg)を
検知する。
【0059】(6)X線光電子分光法 SSX−100(米国SSI社製)を用い、以下の条件
にて、積層膜表面の測定を行い、窒素と炭素の原子数比
であるN/C値を求めた。この装置の検出限界(最小
値)は0.002程度であった。 励起X線:monochromaticAlKα1,2
線(1486.6eV)、X線径:1mm、X線出力:
10kV,20mA、光電子脱出角度:90゜(検出深
さ:約10nm)。
【0060】
【実施例】次に、実施例に基づいて本発明を説明する
が、本発明は必ずしもこれらに限定されるものではな
い。
【0061】(実施例1)平均粒径0.4μmのコロイ
ダルシリカを0.015重量%、平均粒径1.4μmの
コロイダルシリカを0.005重量%含有するPETペ
レット(極限粘度0.63dl/g)を十分に真空乾燥
した後、押し出し機に供給し285℃で溶融し、T字型
口金よりシート状に押し出し、静電印加キャスト法を用
いて表面温度25℃の鏡面キャスティングドラムに巻き
付けて冷却固化し未延伸フィルムを作成した。この未延
伸フィルムを88℃に加熱して長手方向に3.3倍延伸
し、一軸延伸フィルム(基材PETフィルム)とした。
この基材PETフィルムの表面に空気中でコロナ放電処
理を施し、濡れ張力を55mN/mとし、その処理面に
積層膜形成塗液を塗布した。この積層膜形成塗液には、
下記組成からなるポリエステル樹脂(ポリエステル1と
いう)の水分散液(濃度約5重量%)を用いた。
【0062】ポリエステル1: イソフタル酸(93モ
ル%)、5−ナトリウムスルホイソフタル酸(7モル
%)、エチレングリコール(10モル%)、ジエチレン
グリコール(85モル%)、及び1,4−シクロヘキサ
ンジメタノール(5モル%)から共重合されるポリエス
テル樹脂(Tg25℃) ついで、積層膜形成塗液を塗布した一軸延伸フィルムを
クリップで把持しながら予熱ゾーンに導き、90℃で乾
燥後、引き続き連続的に110℃の加熱ゾーンで幅方向
に3.5倍延伸し、更に、225℃の加熱ゾーンで熱処
理を施し、結晶配向の完了した積層PETフィルムとし
た。このとき、熱処理工程の後、窒素雰囲気下で放電加
工処理を行った。なお、この放電加工処理は、窒素を1
時間以上流し続けて作成した窒素雰囲気下で、高周波電
源(PP700−248J型、米国PILLAR CO
RPORATION製)を用いることにより行い、その
際のE値は3600(W・s/m2)とした。
【0063】得られた積層PETフィルムにおいて、基
材PETフィルムの厚みは50μm、積層膜の厚みは
0.08μmであった。この積層PETフィルムの特性
等を表1に示す。
【0064】(比較例1)窒素雰囲気下での放電加工処
理を行わなかったこと以外は、実施例1と同様に行っ
た。結果を表1に示す。窒素雰囲気下での放電加工処理
を行わなかったことにより、積層膜表面におけるN/C
値が極めて小さく検出限界未満であり接着性に劣ってい
た。
【0065】(比較例2)放電加工処理を行う雰囲気
を、窒素雰囲気下ではなく大気中と変更した(E値:3
600(W・s/m2))こと以外は、実施例1と同様
に行った。結果を表1に示す。窒素雰囲気下での放電加
工処理ではなかったことで、積層膜表面におけるN/C
値が極めて小さく検出限界未満であり接着性に劣ってい
た。
【0066】(比較例3)積層膜形成塗液を、実施例1
で用いたポリエステル1の水分散液と下記組成のメラミ
ンとを固形分重量比100/10で混合した水性液に変
更し、放電加工処理を行わなかったこと以外は、実施例
1と同様に行った。結果を表1に示す。窒素を有する架
橋剤を積層膜に用いても、N/C値が小さく接着性に劣
っていた。メラミン: メチロール化メラミンのイソプ
ロピルアルコール/水混合溶媒(25/75(重量
比))液
【0067】(比較例4)積層膜を形成しなかったこと
以外は、実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
積層膜を形成しなかったことにより、接着性に劣ってい
た。
【0068】
【表1】
【0069】
【発明の効果】本発明による積層膜を有するポリエステ
ルフィルムは、紫外線硬化型インキのように硬化収縮を
伴うインキや溶剤型インキなどの各種被覆物との接着性
を満足に保持することができる。
フロントページの続き Fターム(参考) 4F006 AA35 AB35 BA01 CA01 CA02 CA03 CA05 CA07 CA09 4F100 AK41A AK41B AK41C BA02 BA03 BA06 BA10A BA10B BA10C BA16 CC00B CC00C EA061 EH462 EH862 EJ371 EJ382 EJ422 EJ553 EJ603 GB15 GB41 GB90 JA05B JA05C JA20B JA20C JB01 JG00 JJ03 JK01 JL04 JL11 JN01 YY00B YY00C

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエステルフィルムの少なくとも片面
    に、ポリエステル樹脂を主たる成分とする積層膜が形成
    されてなる積層フィルムであって、該積層膜の表面にお
    けるX線光電子分光法測定によるN/C値が0.005
    以上0.05以下であることを特徴とする積層ポリエス
    テルフィルム。
  2. 【請求項2】 該積層膜の表面における表面自由エネル
    ギー極性成分の値が10〜16mN/mであることを特
    徴とする請求項1に記載の積層ポリエステルフィルム。
  3. 【請求項3】 積層膜の主成分をなすポリエステル樹脂
    のガラス転移温度が0〜40℃であることを特徴とする
    請求項1または2に記載の積層ポリエステルフィルム。
  4. 【請求項4】 ポリエステルフィルムの少なくとも片面
    に形成された積層膜に窒素雰囲気下で放電加工処理を行
    うことにより請求項1、2または3に記載の積層ポリエ
    ステルフィルムを製造することを特徴とする積層ポリエ
    ステルフィルムの製造方法。
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