JPH10289549A

JPH10289549A - 磁気記録媒体用カートリッジ

Info

Publication number: JPH10289549A
Application number: JP9330997A
Authority: JP
Inventors: Hitoshi Kutsukake; 仁沓掛; Akio Momoi; 昭夫桃井; Masatoshi Okamura; 昌寿岡村
Original assignee: TDK Corp
Current assignee: TDK Corp
Priority date: 1997-04-11
Filing date: 1997-04-11
Publication date: 1998-10-27
Anticipated expiration: 2017-04-11
Also published as: EP0871175A3; DE69828837T2; EP0871175B1; DE69828837D1; JP3113215B2; EP0871175A2

Abstract

(57)【要約】【課題】信頼性が高く、音等の再生性、重厚感等の高機
能性を満足し、寸法精度、外観品位が優れる製品を高生
産性で提供することを目的とする。【解決手段】樹脂１００体積部に対して充填材が１６
体積部以下の割合で混合されており、かつ、比重が１．
８以上である複合樹脂でカートリッジを形成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、磁気記録媒体など
のカートリッジに関する。

【０００２】

【従来の技術】磁気を利用して記録再生を行う磁気記録
媒体の大半は、カートリッジと呼ばれるケースの中に収
納されて、カートリッジごと装置にセットして使用され
る。このカートリッジは、記録媒体にごみやほこりが付
着したり、傷が付くことを防止し、記録媒体の信頼性を
向上させることに寄与している。

【０００３】このような記録媒体への信号の記録再生
は、磁気ヘッドを介して行われる。その際に記録媒体と
磁気ヘッドは、その位置関係を常に一定に保つことが記
録再生の信頼性を確保する点で重要である。その為に
は、記録媒体は安定して走行する必要があることは当然
であり、テープにおいては表面の平滑性、強度、曲がり
具合等の工夫がなされている。しかし、記録媒体と磁気
ヘッドの位置関係を乱す要因としては、記録再生装置の
外部から加わる振動や、記録再生装置自体のモーター等
によって発生する振動が挙げられ、これに対する対策も
十分に行わなければ、良好な記録再生ができない。特に
自動車等の外部の振動の大きいところで使用される記録
再生装置では、それ自体での防振対策がとられるが、カ
ートリッジ自体の防振対策も重要になってくる。

【０００４】音等の再生性、重厚感等の高機能性、高品
位を満足する方策として、高比重の樹脂を用いた、以下
のような提案がなされている。

【０００５】特開平５−３２５４７０号公報には、硫酸
バリウムを１〜３０重量％含む熱可塑性樹脂から成形さ
れた磁気記録容器が提案されている。硫酸バリウムをこ
のような量で添加した複合樹脂は、比重が１．１〜１．
６の範囲にある。また、特開平５−３０７８５９号公報
には、硫酸バリウムを２５〜３５重量％を含む比重が
１．３〜１．４の複合樹脂からなるビデオカセットの例
が示されている。本発明者の研究によると、このような
比重では十分な防振効果を発揮できない。

【０００６】特公平４−３９７５６号公報には、組成物
に占める無機補強剤の容積分率が４５容量％以下で、か
つ、無機補強剤の２０〜１００重量％が酸化亜鉛である
比重が２以上のポリプロピレン樹脂組成物からなるカセ
ットハーフの例が開示されている。また、特公平６−３
４３２９号公報には、炭酸カルシウムおよび硫酸バリウ
ムの少なくとも一方を４５ないし６５％の重量比で混入
してなる複合プラスチック材の例が開示されている。こ
れらの添加量の限定は、射出成形の成形性によるとされ
ているが、本発明者の研究によると、磁気記録媒体用カ
ートリッジのような、細いリブなどが多数あって、複雑
な構造を有する物品を成形する場合、樹脂の流動性は良
好であればある程、寸法精度、外観精度、生産性などを
共に高く成形することが容易であり、前記公報に示され
ている添加量は磁気記録媒体用カートリッジの複合樹脂
としては多すぎる。

【０００７】特開昭５９−１１７７６８号公報には、比
重が１．５〜２．２の複合樹脂で成形するカセットの例
が示されている。同公報には、複合剤として酸化亜鉛、
硫酸バリウム、硫酸鉛等が使用でき、４０〜８０重量％
の範囲で調整することができると書かれているが、具体
的な実施例は示されていない。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】オーディオテープ等の
カートリッジは、通常射出成形によって形成される。射
出成形は、金型に成形用樹脂を注入して行うが、流れに
くい樹脂で射出成形を行う場合は、温度を高くして流動
性を上げたり、圧力を高くして無理矢理樹脂を金型の隅
々まで押し込む必要がある。しかし、そのようにして成
形した成形品は、寸法や形状の精度が悪くなってしま
う。従って、磁気記録媒体のカートリッジのような複雑
で微細な構造を有し、かつ、精度良く成形する必要のあ
る物品を成形するためには、成形用樹脂が流れ易いこと
が非常に重要である。

【０００９】流動性の悪い樹脂で成形しようとすると、
外観、反り、寸法などの問題が発生して、生産性が非常
に低くなってしまう。特に、製品の外観からゲートの位
置や数に制限があって、かつ、細いリブが多数有り、高
い寸法精度が要求される記録媒体用のカートリッジにお
いては、可能な限り成形のし易い樹脂を使用することが
必要であり、上記の樹脂の流れ易さは、たとえそれが僅
かな差であっても、製品の外観や寸法特性、更には生産
性に非常に大きな影響を与えるものである。

【００１０】前記のように、成形体の比重あるいは充填
材の添加効果によって、防振性を向上させる提案が数多
くなされているが、充填材の添加に伴う樹脂の流動性の
低下、すなわち成形性については従来技術では十分に説
明されておらず、防振性と成形性の両者を満足するもの
は見当たらない。

【００１１】又、充填材の量が増えると、成形体がもろ
くなり、対衝撃性が低下する。

【００１２】本発明はこのような状況に鑑みてなされた
もので、高比重樹脂で形成された、信頼性が高く、音等
の再生性、重厚感等の高機能性を満足し、寸法精度、外
観品位が優れる製品を高生産性で提供することを目的と
する。

【００１３】

【課題を解決するための手段】前記課題は以下によって
達成される。

【００１４】樹脂１００体積部に対して充填材が１６体
積部以下の割合で混合されており、かつ、比重が１．８
以上である複合樹脂でカートリッジを形成する。

【００１５】

【発明の実施の形態】音等の再生性、重厚感等の高機能
性、高品位を満足する方策として、前記のように高比重
の樹脂を用いた多数の提案がなされている。本発明者等
の研究によっても、比重が１．８以上の樹脂でカートリ
ッジを形成すると、このような効果が得られることが確
認されている。

【００１６】しかし、樹脂の比重を上げようとして、樹
脂に充填材を混入させると、樹脂と充填材の混合物であ
る複合樹脂の流動性は、樹脂に対する充填材の混入量が
増すに従って低下し、成形性も低下していく。この樹脂
の流動性は、混入される充填材の重量ではなくて、体積
と密接な関係がある。本発明者が鋭意研究した結果で
は、微細な構造を有する物品の成形性を良好に保つに
は、複合樹脂に含有される充填材の体積を、樹脂１００
体積部に対して２０体積部以下にすることが好ましい。
充填材の体積が２０体積部を越えると、成形の圧力や温
度を高くすると成形は可能ではあるが、成形品の寸法精
度や外観品位が悪くなり、成形のサイクル時間も長くな
ってしまうことが判明した。又、硬い充填材を大量に樹
脂に混入させると、成形金型の磨耗が著しくなり、更に
生産性が低下してしまう。

【００１７】また、樹脂に粉末状の充填材を添加する場
合、充填材の体積が増すに従って複合樹脂は固く、もろ
くなっていく。オーディオテープ用カートリッジのガイ
ドローラー軸のような細い柱状物を形成するためには、
このような複合樹脂の物性を十分に考慮する必要があ
る。オーディオテープ用カートリッジのガイドローラー
軸に必要な強度を得るには、複合樹脂中の充填材の体積
を、樹脂の体積１００部に対して１６部以下にする必要
がある。

【００１８】以上のように、本発明者の研究の結果、樹
脂１００体積部に対して充填材を１６体積部以下で混合
し、かつ、比重が１．８以上である複合樹脂で成形した
カートリッジは、防振性に優れ、精度及び生産性が良好
であって、信頼性も優れたものである。

【００１９】しかし、従来技術においては、このような
条件及び充填材については具体的に開示されていない。
すなわち、従来技術において開示されている充填材（炭
酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸鉛、酸化亜鉛など）
では、防振性、成形性、信頼性の全てを同時に満足する
ことはできていないのが現状である。

【００２０】本発明を具現化するのに適した充填材は、
比重が６．５以上の元素または化合物の粉末である。ま
た、本発明に係る磁気記録媒体用カートリッジは、通常
の生活において使用されるものであるので、充填材とし
て使用される元素や化合物には、放射性や毒性があって
はならない。更に、手で触ったり、長期間の保存されて
も高い信頼性を維持するには、耐食性が優れた材料であ
ることが好ましい。このような条件を満たし、工業的に
入手し易い材料として、ステンレススチールの粉末及び
タングステンの粉末があげられる。

【００２１】充填材の粒子径は、平均粒子径が１〜２０
μｍ（最大粒子径が５０μｍ以下）であることが好まし
い。粒子径が前記範囲より大きいと、金型の磨耗が大き
くなり、小さいと、樹脂に対する分散が悪くなって、金
型の磨耗やゲートの詰まり等の不具合が発生する。

【００２２】更に、充填材を潤滑剤またはシランカップ
リング剤またはチタンカップリング剤で表面処理する
と、樹脂とのなじみが良くなり、充填材の添加による複
合樹脂の衝撃強度等の物性の低下を防ぎ、かつ、複合樹
脂の流動性を良好にすることができる。

【００２３】本発明において使用される樹脂は、通常射
出成形に使用される樹脂であって、上記の条件を満足す
るものであれば、特に制限はない。

【００２４】

【実施例】実施例をオーディオテープ用カートリッジを
例にとって説明する。オーディオテープ用カートリッジ
は、通常射出成形で形成された上ケースと下ケースで構
成される。図１はカートリッジの下ケース、図２はカー
トリッジの上ケースを示す斜視図である。

【００２５】繰り出し側のハブ４に巻回されたテープ３
は、下ケース１と一体に成形されたガイドローラー軸２
に装着されたガイドローラー６、パッド５、ガイドロー
ラー６を経て巻き取り側のハブ４に巻き取られる。記録
再生用の磁気ヘッドが、パッドの部分でテープ３に接触
する。カートリッジの上ケース７あるいは下ケース１に
振動が加えられると、この振動がパッド５に伝わり、テ
ープ３と磁気ヘッドの接触を不安定なものとする。

【００２６】以下の材料で、オーディオテープ用カート
リッジの上ケース及び下ケースを成形した。使用した材
料、評価条件、及び評価結果（表１）を以下に示す。

【００２７】樹脂ポリスチレン樹脂（以下ＰＳと表記）充填材種類Ｗ：タングステン粉末（比重＝１９．３）ＳＵＳ：ステンレススチール粉末（比重＝７．９）ＢＳ：硫酸バリウム粉末（比重＝４．５）Ｃｕ：銅粉末（比重＝９．０）Ｆｅ：鉄粉末（比重＝７．９）なし：充填材なし（比重＝１．０５）充填材混入量樹脂１００体積部に対する充填材の体積部複合樹脂比重＝（ＰＳ重量＋充填材重量）／（ＰＳ体積
＋充填材体積）防振性一端を固定したカートリッジに、１ｃｍ離れたスピーカ
ーから１２０Ｈｚの音波を照射し、カートリッジのスピ
ーカーがある側とは反対面の振動を測定する。 ○：図３に示す（実施例サンプル５）。 ×：図４に示す（比較例サンプル１３＊）。成形性 ○：良好（ＰＳと同等レベル） △：生産性やや劣る ×：生産性非常に悪い樹脂強度図１のオーディオカセットのガイドローラー軸２を押圧
して、折れる強度をばねばかりで測定する。 ○：１０００ｇｆ以上 △：９００ｇｆ以上 ×：９００ｇｆ未満耐食性ＪＩＳ−Ｚ２３７１（４８時間）による５％塩水噴霧テ
スト ○：錆が発生しない ×：錆が発生する金型磨耗１０００ショットの成形を行った後の金型表面の傷を観
察した。 ○：傷発生少 △：傷発生中 ×：傷発生多

【００２８】

【表１】

【００２９】

【発明の効果】以上のように、少量の充填剤の添加で複
合樹脂の比重を大きくすることによって、生産性も良好
であって、かつ、信頼性も高い磁気記録媒体用カートリ
ッジを提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】オーディオテープの下ケースを示す斜視図であ
る。

【図２】オーディオテープの上ケースを示す斜視図であ
る。

【図３】実施例のカートリッジの振動特性を示すグラフ
である。

【図４】比較例のカートリッジの振動特性を示すグラフ
である。

【符号の説明】

１下ケース２ガイドローラー軸３テープ４ハブ５パッド６ガイドローラー７上ケース

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】樹脂１００体積部に対して充填材が１６体
積部以下の割合で混合されており、かつ、比重が１．８
以上である複合樹脂で形成されていることを特徴とする
カートリッジ。
【請求項２】前記充填材が、タングステン粉末であるこ
とを特徴とする請求項１記載のカートリッジ。
【請求項３】前記充填材が、ステンレススチール粉末で
あることを特徴とする請求項１記載のカートリッジ。