JPH04278272A - 磁気テープカセット - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は磁気テープカセットに関
し、特に上下カセットハーフにより形成されるケースボ
デイ内に一対のハブに巻装して収納し、テープ走行路を
形成するガイドピンがカセットハーフと一体に形成され
た磁気テープカセットに関する。

【０００２】

【従来の技術】近年、デジタルオーディオテープレコー
ダ等に見られるように、カセットテープレコーダの小型
化、軽量化、ならびに高性能化が進んでおり、これに伴
って、オーディオ用磁気テープカセットの性能の向上も
望まれ、種々の改良がなされている。図７乃至図９は、
このオーディオ用磁気テープカセットの基本的な構造を
示すものである。前記磁気テープカセットは、上下一対
のカセットハーフ１，２（上カセットハーフは図示しな
い）によって形成される中空内部が仕切壁３により記録
再生領域４とハブ収納領域５に分けられている。

【０００３】そして、前記ハブ収納領域５には、カセッ
ト前後方向に沿った中心線Ｃに対して左右対称にハブ１
２及び回転ガイドローラ１３等が設けられている。又、
前記記録再生領域４には、中心線Ｃに対して左右対称に
キャプスタン挿入孔６、カセット位置決め孔７及びヘッ
ドピン８等が形成されており、更に前記ヘッドピン８の
後方の所には加圧パッド９を支持した板状支持部材であ
る板バネ１０、該板バネ１０の後方にはシールド板１１
ａが組み込まれている。

【０００４】記録再生時には、図９に示したように、記
録再生装置の磁気ヘッド１５がカセット前方の磁気ヘッ
ド挿入口１４から前記記録再生領域４内に挿入される。 そして、前記磁気ヘッド１５の先端が、前記加圧パッド
９と共に磁気テープＴをカセット内方へ押し込まれる。 この結果、一対の前記ヘッドピン８間に張架される磁気
テープＴのテンション及び前記板バネ１０の付勢力に基
づく前記加圧パッド９の加圧力によって、前記磁気テー
プＴが前記磁気ヘッド１５の先端部に形成されたヘッド
ギャップに圧接される。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】前記上下カセットハー
フ１，２は、一般にアクリルニトリル−ブタジエン−ス
チレン共重合樹脂（以下、ＡＢＳ樹脂と云う）やポリス
チレン等の合成樹脂を射出成形したものであり、一対の
前記ヘッドピン８も前記上下カセットハーフ１，２の何
れか一方に一体に成形されている。そして、一対の前記
ヘッドピン８には図９に示したように磁気テープＴが接
触し、記録・再生を行う場合は前記両ヘッドピン８に一
定角度巻きついて摺動しながら走行する。

【０００６】しかし、前記従来の如き合成樹脂で成形し
た一対の前記ヘッドピン８は、金属に比較して摺動特性
が劣っており、耐久性に難点があった。また、成形条件
や成形樹脂の性質等により、特に前記ヘッドピン８はカ
セットハーフの他の部分に比較して突出しているので、
樹脂のヒケや離型時の抵抗がかかり易く、成形品に反り
やねじれといった変形を生じることがある。このため、
前記上下カセットハーフ１，２の何れか一方の内壁に垂
設される一対の前記ヘッドピン８の垂直度及び平行度が
低下して前記磁気テープＴのアジマス特性が低下し、記
録再生信号の周波数特性が悪化するという問題があった
。そこで、金属性のガイドピンを組み込むようにした構
成のものも提案されているが、この金属加工ならびに組
み込み工程等が必要になり、生産性および廉価性の面で
の問題があり、好ましい対応策ではなかった。

【０００７】一方、カセットハーフにフイラー等を混入
してハーフ剛性を高め、カセット使用時におけるハーフ
振動を抑えようとしたものが、これまでに幾つか提案さ
れ、例えば特開昭５９−１１７７６８号、同６２−５７
１８２号、同６３−２７１７８５号等がある。上記広報
に開示されたものは、主に振動特性の対策に重きを置い
たものであり、カセットハーフを単に剛性を高めるだけ
でなく、例えばポリオレフィン系のプラスチック樹脂を
用いて比較的軟らかい樹脂にて振動吸収性を考慮し、尚
且つフィラー等の複合材を適当量含有させた構成等が提
案されている。また、フィラー等の複合材の含有率が一
定以上（一般的にほぼ５０数％程度以上）になると、成
形性の問題がクローズアップされてくる。

【０００８】すなわち、従来においては、混合物を多く
すればカセットハーフの剛性を高められるが、混合物が
多くなるのに伴って、成形性（樹脂流れ）が悪くなり、
これにより成形歪が増大するということは、定説となっ
ており、余り多くの複合材（６０数％程度以上）を含有
させた領域の剛性樹脂に関しては研究が進んでいなかっ
た。しかし、前記ヘッドピン８に注目した場合、近年の
高密度化、高記録再生化にともなって更に高い性能が求
められていることからすると、従来の材料では、前記ガ
イドピン８の傾きはまだ大きくなっているのが実情であ
った。

【０００９】そこで、本発明の目的は、ヘッドピンの傾
きが改善できる程度のカセットハーフの剛性を達成でき
ることと、これに加えて成形性の低下を抑えることがで
きる素材とは相反する課題を解決することであるが、本
発明者が鋭意研究を重ねた結果、射出成形時の樹脂の流
動性を示す実用的範囲（メルトフローレートが約１００
／１０ｍｉｎ　程度）　以上の特性を示した材料で、前
記カセットハーフのソリを０．０３ｍｍ程度の一定限度
以下に抑えることができれば実用上望ましいことが明ら
かにかってきた。

【００１０】

【課題を解決するための手段】本発明にかかる上記課題
は、上下一対のカセットハーフにより形成されるケース
ボデイ内に磁気テープを走行自在に収納し、該磁気テー
プの走行案内をするガイドピンが前記カセットハーフに
一体に形成してなる磁気テープカセットにおいて、前記
カセットハーフがポリブチレンテレフタレートに複合剤
を混入し、曲げ弾性率を５０，０００ｋｇｆ／ｃｍ２　
〜５５，０００ｋｇｆ／ｃｍ２　になる樹脂にて構成し
たことを特徴とする磁気テープカセットによって解決す
ることができる。

【００１１】まず、課題であるヘッドピンの傾斜により
発生する左右チャンネル（Ｒｃｈ、Ｌｃｈ）の位相ずれ
の原理に関し、オーディオ用の磁気テープカセットにつ
いて述べる。図１に、磁気テープＴの例えばＡ面におけ
る左右（Ｒｃｈ，Ｌｃｈ）チャンネルの位置関係を示す
。（ＥＩＡＪ　　ＣＰ−８０１に準ずる）なお、Ｗ０　
：テープ幅＝３．８１ｍｍ、Ｗ１　：左右トラックの領
域幅＝１．５ｍｍ、Ｗ２　：録音トラック幅＝０．６０
ｍｍ、Ｗ３　：テープ中央からＲｃｈまでの距離＝０．
３２５ｍｍ、Ｗ４　：テープ端からＬｃｈまでの距離＝
０．０８ｍｍ、Ｗ５　：左右チャンネル間の距離＝０．
３ｍｍであり、又、λ：記録波長、θ：傾斜角、α：位
相差、左右チャンネル中心の距離Ｌ１　を０．９ｍｍと
すると、 λ＝　　υ／ｆ　　・・・・・・（υ＝４７．５ｍｍ／
ｓｅｃのテープスピードｆ：記録周波数） となる。

【００１２】今、左チャンネル（Ｌｃｈ）のギャップ中
心より右チャンネル（Ｒｃｈ）のギャップが図１の如く
ｘずれたとする。このずれｘ（テープ走行方向の位置ず
れ）は、例えば再生時における高音領域に悪影響を与え
るものであり、これは図２に示すようなヘッドピン８の
傾きに起因したテープの変形にて発生する。

【００１３】 ｔａｎθ＝ｘ／０．９　　………………　　（１）位相
差α＝（２π／λ）・ｘ（ｒａｄ）……（２）〔λ／２
ずれると位相差π（ｒａｄ）〕（２）より　　ｘ＝（λ
／２π）・α　　…………（３）（３）の式を（１）へ
代入 　　　　ｔａｎθ＝（　λ・α）／（　０．９×２π）
　　　…………（４）θ＝ｔａｎ−１（　λ・α）／（
　０．９×２π）　……（４）′となる。 ここで例えばＡ面で−１０８°位相がずれている場合、
左右トラックとヘッドの傾斜角θはどの位か求めると。 （４）′において 　　　　λ＝　（４．７５ｃｍ）／１００００＝４．７
５μ・ｍ　　　　（ｆ＝１０ＫＨｚ）　　　　α＝−１
０８° 　　　　　　＝−０．６（Ｒａｄ） 　　　　θ＝ｔａｎ−１（４．７５×１０−４×１０８
π）／（０．９×２π×１８０）　　　　　　＝０．５
４″　　　　〔（−）位相のためＲｃｈ図１中にて右へ
ずれる〕

【００１４】左右トラックのヘッドギャップの
ずれは、上記のように例えば０．５４″となる。このず
れを発生させる原因の改善が必要となるわけである。図
２は、上述したような左右トラックとヘッドギャップを
傾斜させる原因の一つであるヘッドピン８の傾きを説明
する図である。ヘッドピン８がそれぞれθ１　，　θ２
　傾いているため、磁気テープＴの上、下で、例えば前
記ヘッドピン８の上端側が磁気ヘッド１５側に傾いてい
る（図４参照）とすると、記録および再生時において、
図２の矢印の大きさで示すような張力（Ｔ１　〜　　Ｔ
１２に示すような張力）の差が生じ、テープ上側が下側
よりも伸びる方向に変形し、磁気ヘッド１５に対してト
ラックが例えば前記のように０．５４″ずれていること
になる。

【００１５】図２における前記ヘッドピン８がそれぞれ
θ１　，　θ２　ずれと、ヘッドギャップの左右トラッ
クのずれｘとの関係は、一対一の対応で計算値を求める
のは難しい。その理由は、磁気テープＴと前記ヘッドピ
ン８との摩擦係数、前記ヘッドピン８のタワミ等のテー
プ停止時と走行時では、前記ハッドピン８の傾き量が異
なるためである。

【００１６】しかし、カセットハーフ１のソリによる潜
在的にある静的歪に基づく前記ヘッドピン８の傾きは次
の様に求めることが出来る。カセット前後方向において
例えば図３に模式的に示すように、ハーフ支持部Ｚとの
寸法精度０．１ｍｍとする（ソリｈ１　によりハーフ支
持部から持ち上がった高さが０．１ｍｍあるとする）と
前記ヘッドピン８は図４の如くαだけ傾く。この傾きα
はα＝ｔａｎ−１（０．１）／６３．８＝５．４′ヘッ
ドピン傾き量Δｄは（ピン長さｈ２　は約６ｍｍ実測値
） Δｄ＝６×ｔａｎα＝１０μ 即ち、前記カセットハーフ１が図３　の如く単純にカセ
ット前後方向において、例えば０．１ｍｍソルと、前記
ヘッドピン８は１０μ傾斜することになる。このハーフ
１のソリを可能な限り小さくして行けば、前述したよう
な前記磁気ヘッド１５のヘッドギャップ部分におけるテ
ープの伸びを防止することができる。

【００１７】このことをふまえて鋭意研究し、上述のカ
セットハーフのソリと前記ガイドピン８との関係をカセ
ットハーフに複合剤を混ぜて実験にてもとめた。この結
果から、カセットハーフの前記ソリを０．０３ｍｍ以下
にするには曲げ弾性率が５０，０００ｋｇｆ／ｃｍ２　
以上であれば良いこと明らかになった。このときに複合
剤の含有量は重量比率で従来においてはほとんど限界の
５５％以上となる。一方、複合剤の添加量は、当然、無
制限に多くできるものではなく、前記カセットハーフの
機械的強度（脆弱性）を考慮すると自ずと上限があり、
この上限は６５％程であり、このときの曲げ弾性率は５
５，０００ｋｇｆ／ｃｍ２　となることが判った。

【００１８】このように、磁気テープＴの走行案内をす
る前記ガイドピン８がカセットハーフに一体に形成する
もので、前記カセットハーフにはポリブチレンテレフタ
レートに複合剤を混入したものを使用し、かつその曲げ
弾性率を５０，０００ｋｇｆ／ｃｍ２　から５５，００
０ｋｇｆ／ｃｍ２　の範囲に収まるようにした樹脂にて
構成すると、剛性は非常に高くなり、前記ヘッドピン８
のソリは極めて低く抑えることができる。また、前記作
用に合わせて、驚くべきことに、メルトフローレートが
例えば１００ｇ／１０ｍｉｎ以上にでき、成形時の樹脂
の流動性は実用の範囲に抑えることができた。なお、前
記複合剤としては、例えば酸化亜鉛、硫酸バリウム、硫
酸鉛等を用いることができる。これは、前記ポリブチレ
ンテレフタレートの例えば他の樹脂に比べて高い繊維形
成能を発揮できるといった特質が、前記複合剤を従来で
は実用範囲外の６０数％以上にした場合でも、成形時の
樹脂流動性を実用の範囲にとどめることができ、尚且つ
成形後の曲げ弾性を上述の範囲にまで高めることが可能
であるものと推察される。

【００１９】

【発明の効果】以上述べたように、本発明の磁気テープ
カセットは、カセットハーフがポリブチレンテレフタレ
ートに複合剤を混入したものを使用し、かつその曲げ弾
性率を５０，０００ｋｇｆ／ｃｍ２　から５５，０００
ｋｇｆ／ｃｍ２　の範囲に収まるようにした樹脂にて構
成したことにより、カセットハーフの剛性は従来にくら
べて格段に高めることができたので、ヘッドピンの傾き
を抑えることができた。また、ポリブチレンテレフタレ
ートの特性を利用して成形時の樹脂流動性の実用範囲に
抑えることができたので、従来のように樹脂の流動性の
低下による成形不良の問題を回避することができた。し
たがって、前記ヘッドピンの傾きが従来に比べて極めて
小さくできるので、テープ走行時における磁気ヘッドと
磁気テープとの位置が正しく保たれ、良好の記録再生が
可能であるだけでなく、テープ挙動が安定し、例えばテ
ープエッジ損傷がなく、ドロップアウト、音飛びの発生
も防止出来る。さらに、本発明のカセットハーフは比重
の高い前記複合剤が従来に比べて非常に多くふくまれる
ので、ハーフ自体が高比重材となり、記録再生時の機械
振動等を防ぐ防振効果も有する。また、非樹脂性のもの
が非常に多く添加が可能であるので、例えば耐熱温度１
１０℃程度の磁気テープカセットを提供することができ
る。

【００２０】

【実施例】以下、本発明の効果を更に明確するために実
施例について説明する。オーディオハーフの場合につい
て複合剤を混入させて、ソリと曲げ弾性、および曲げ弾
性率と複合剤の添加量との関係を求めるべく射出成形し
てサンプルとした。なお、樹脂はポリブチレンテレフタ
レート（ＰＢＴ）である。また、複合剤としてはＴｉＯ
２　を用いた。さらに、ＴｉＯ２　の粒径は５μｍであ
る。 カセットハーフのカセット前後方向のソリと曲げ弾性率
との関係を求めた結果を図５に示す。この結果から、カ
セットハーフの前記ソリを０．０３ｍｍ以下にするには
曲げ弾性率が５０，０００ｋｇｆ／ｃｍ２　以上である
。 このときにＴｉＯ２　の含有量は重量比率で５５％以上
となる。

【００２１】一方、複合剤の添加量の上限を求めるべく
さらに多くのＴｉＯ２　を混入させていくと、カセット
ハーフの機械的強度（脆弱性）から判断して、この上限
は６５％程であった。このときの曲げ弾性率は図６から
も判るように５５，０００ｋｇｆ／ｃｍ２　となった。 また、このきのＴｉＯ２　を６５％添加したＰＢＴ樹脂
を用いて、樹脂温度２２０℃、射出圧力１２０　ｋｇｆ
／ｃｍ２　の条件にて射出成形した。このときにメルト
フローレートは約１００ｇ／１０ｍｉｎであり、成形上
の実用的範囲に収まるものであった。その成形性は充分
実用的のものであり、ハーフ長手方向のソリは０．０３
ｍｍ以下が得られ、このソリに基づくヘッドピンの傾き
は２．８μｍｍとなり、明らかに改善が認められた。

【図面の簡単な説明】

【図１】磁気テープの左右チャンネルにおける位相ずれ
の原理を説明するための原理図である。

【図２】ヘッドピンが傾いたときのテープテンションの
変化を示す部分斜視図である。

【図３】カセットハーフが反ったときの概念図である。

【図４】ヘッドピンが傾いた状態及び磁気ヘッドとの対
応関係を示す概略図である。

【図５】本発明の実施例におけるカセットハーフのソリ
と曲げ弾性率の関係を示すグラフである。

【図６】本発明の実施例における曲げ弾性率と複合剤添
加量との関係を示すグラフである。

【図７】磁気テープカセットの内部構造を示した平面図
である。

【図８】磁気テープカセットのヘッドピンの付近の部分
斜視図である。

【図９】磁気テープカセットのヘッドピンの付近の平面
図である。

【符号の説明】

１、２　　カセットハーフ ３　　仕切壁 ４　　記録再生領域 ５　　ハブ収納領域 ６　　キャプスタン挿入孔 ７　　カセット位置決めピン孔 ８　　ヘッドピン ９　　加圧ハッド １０　　板ばね １５　　磁気ヘッド １１ａ　　シールド板 １２　　ハブ １３　　回転ガイドローラ Ｔ　　磁気テープ

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】　　上下一対のカセットハーフにより形成
   されるケースボデイ内に磁気テープを走行自在に収納し
   、該磁気テープの走行案内をするガイドピンが前記カセ
   ットハーフに一体に形成してなる磁気テープカセットに
   おいて、前記カセットハーフがポリブチレンテレフタレ
   ートに複合剤を混入し、曲げ弾性率を５０，０００ｋｇ
   ｆ／ｃｍ２　〜５５，０００ｋｇｆ／ｃｍ２　になる樹
   脂にて構成したことを特徴とする磁気テープカセット。