JPH10286903A - ゴム系複合材料の製造方法 - Google Patents
ゴム系複合材料の製造方法Info
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Abstract
合物からなる接合層を介してゴム組成物を積層し、次い
でこのゴム組成物を加硫することからなるゴム系複合材
料の製造方法において、上記基材と金属又は金属化合物
薄膜との間に下地膜を介在させることを特徴とするゴム
系複合材料の製造方法。 【効果】 本発明によれば、接着界面部に水が接触する
環境下にあっても優れた接着性を有するゴム系複合材料
を得ることができ、化成処理面上に対する接着も安定に
なる。
Description
接着性に優れたゴム系複合材料の製造方法に関する。
り、防振ゴムなど、金属とゴムとの複合材料は広く使用
されているが、この場合金属とゴムとは強固に接合して
いることが必要である。
−87311号、同62−246278号公報におい
て、ドライプレーティング法によりコバルト又はコバル
ト合金を基材上に成膜することで未加硫ゴム加硫時に基
材/ゴムが強固に接合する複合体を製造する方法を提案
した。また、特開平1−290342号公報では基材/
ゴム複合体製造後の耐久性(耐湿熱劣化性)を向上させ
る目的でコバルト成膜時及び成膜後の熱処理によりコバ
ルトの酸化を行っている。
2号公報において、基材表面に酸化コバルト薄膜を形成
したのち、該薄膜上にゴム組成物を形成し、次いでこの
ゴム組成物を加硫してゴム系複合材を製造する方法にお
いて、上記酸化コバルト薄膜を、コバルトをターゲット
とし、酸素分子を有するガスを含有する不活性ガスの存
在下においてターゲットにDC電源を用いてパワーを投
入した際、ターゲット及び基材間の電圧が急激に上昇す
る変移点以上のパワーでスパッタリングすることにより
形成することを特徴とするゴム系複合材の製造方法を提
案している。
ガスを流し、CoOx膜を作製することで、耐湿熱接着
性に優れたゴム系複合材料を得ることができる。
ているような複合材料においては、この接着界面に水が
直接接触する場合がある。このような情況をクリアする
ためには、例えば接着破壊テストにおいて接着破壊時に
接着界面に水をかけるというウエット試験をパスする必
要がある。
基材上に上述のCoOx膜を形成した場合、通常の破壊
テストを行ってもゴム破壊は100%で、優れた接着性
を有するが、接着界面に水をつけるというウエット試験
を行うと、水を滴下すると同時に剥離が生じるという問
題が生じ、このためこの点の解決が望まれた。
面に水が接触するような場合であっても優れた接着性を
示すゴム系複合材料の製造方法を提供することを目的と
する。
発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結
果、基材に金属又は金属化合物からなる接合層を介して
ゴム組成物を積層し、このゴム組成物を加硫してなるゴ
ム系複合材料において、上記基材と接合層との間に下地
膜を介在させることにより、ウエット接着試験において
もゴム破壊100%に至る強固な接着性を得ることがで
き、防振ゴム等の接着界面に水が直接接触する場合にお
いても優れた接着性を示すこと、またこの下地膜を形成
する方法は、特にリン酸塩皮膜等の化成処理面を有する
金属基材にゴムを複合する場合に有効であることを知見
し、本発明をなすに至った。
に金属又は金属化合物からなる接合層を介してゴム組成
物を積層し、次いでこのゴム組成物を加硫することから
なるゴム系複合材料の製造方法において、上記基材と金
属又は金属化合物薄膜との間に下地膜を介在させること
を特徴とするゴム系複合材料の製造方法を提供する。
る。本発明のゴム系複合材料の製造方法において、対象
となる基材の種類は特に制限されず、金属、セラミック
ス、プラスチック等に適用可能である。この場合、金属
基材の種類としては、例えば鉄鋼、ステンレススチー
ル、チタン合金、アルミニウム、アルミニウム合金、
銅、銅合金、亜鉛、亜鉛合金、アモルファス合金などが
挙げられるが、これらに限定されるものではない。ま
た、セラミックス、プラスチックとしてもその目的に応
じて種々のものを選定することができる。この基材の形
状、サイズなどは目的に応じて適宜選定される。
皮膜を有するスチール等の化成処理面を有する金属に対
して好適に採用される。
するゴム組成物中のゴム成分としては、天然ゴム(N
R)、及び構造式中に炭素−炭素二重結合を有する合成
ゴムを単独で或いは2種以上ブレンドして使用できる。
上記合成ゴムには、イソプレン、ブタジエン、クロロプ
レン等の共役ジエン化合物の単独重合体であるポリイソ
プレンゴム(IR)、ポリブタジエンゴム(BR)、ポ
リクロロプレンゴム等、前記共役ジエン化合物とスチレ
ン、アクリロニトリル、ビニルピリジン、アクリル酸、
メタクリル酸、アルキルアクリレート類、アルキルメタ
クリレート類等のビニル化合物との共重合体であるスチ
レンブタジエン共重合ゴム(SBR)、ビニルピリジン
ブタジエンスチレン共重合ゴム、アクリロニトリルブタ
ジエン共重合ゴム、アクリル酸ブタジエン共重合ゴム、
メタアクリル酸ブタジエン共重合ゴム、メチルアクリレ
ートブタジエン共重合ゴム、メチルメタアクリレートブ
タジエン共重合ゴム等、エチレン、プロピレン、イソブ
チレン等のオレフィン類とジエン化合物との共重合体
〔例えばイソブチレンイソプレン共重合ゴム(II
R)〕、オレフィン類と非共役ジエンとの共重合体(E
PDM)〔例えばエチレン−プロピレン−シクロペンタ
ジエン三元共重合体、エチレン−プロピレン−5−エチ
リデン−2−ノルボルネン三元共重合体、エチレン−プ
ロピレン−1,4−ヘキサジエン三元共重合体〕、シク
ロオレフィンを開環重合させて得られるポリアルケナマ
ー〔例えばポリペンテナマー〕、オキシラン環の開環重
合によって得られるゴム〔例えば硫黄加硫が可能なポリ
エピクロロヒドリンゴム〕、ポリプロピレンオキシドゴ
ム等が含まれる。また、前記各種ゴムのハロゲン化物、
例えば塩素化イソブチレンイソプレン共重合ゴム(Cl
−IIR)、臭素化イソブチレンイソプレン共重合ゴム
(Br−IIR)等も含まれる。更に、ノルボルネンの
開環重合体も用い得る。また更に、ブレンドゴムとして
は上述のゴムにエピクロロヒドリンゴム、ポリプロピレ
ンオキシドゴム、クロロスルフォン化ポリエチレン等の
飽和弾性体をブレンドして用いることもできる。
黄、有機硫黄化合物、その他の架橋剤を上記ゴム成分1
00部(重量部、以下同様)当り好ましくは0.01〜
10部、より好ましくは0.1〜6部配合され、また加
硫促進剤がゴム成分100部に対して0.01〜10
部、特に0.1〜5部配合される。この場合、加硫促進
剤の種類は限定されないが、N−シクロヘキシル−2−
ベンゾチアジルスルフェンアミド(CZ)を用いること
で加硫時間を短くすることができる。
ラフィン系、ナフテン系、芳香族系プロセスオイル、エ
チレン−α−オレフィンのコオリゴマー、パラフィンワ
ックス、流動パラフィン等の鉱物油、ひまし油、綿実
油、あまに油、なたね油、大豆油、パーム油、やし油、
落花生油等の植物油などのオイルを配合することが好ま
しく、これによりCZの使用に伴う上記CoOx薄膜上
におけるゴムとの湿熱接着性を向上させることができ
る。オイルの配合量はゴム成分100部に対して3〜5
0部、特に4〜10部とすることが好ましい。オイルの
配合量が少なすぎると湿熱接着性改善効果が少なく、多
すぎるとゴム自身のバネ特性が大きく変化する。特に防
振ゴムの場合振動を減衰させるために重要なtanδが
大きく変化する傾向がある。
的、用途などに応じてカーボンブラック、シリカ、炭酸
カルシウム、硫酸カルシウム、クレイ、マイカ等の充填
剤、亜鉛華、ステアリン酸等の加硫促進助剤等を添加し
てゴム組成物を調製することができる。なお、本発明に
おいては、部分酸化コバルトとゴムとの加硫接着促進剤
として有機コバルト塩類を特に配合する必要はない。
上にゴム組成物を加熱圧着して加硫接着するものである
が、加硫法は硫黄加硫のほか、ジチオモルフォリン、チ
ウラム加硫等の有機硫黄化合物による有機硫黄加硫など
が採用され、常法に従って加硫することができる。これ
らの中では特に硫黄加硫による方法が好ましい。この場
合、硫黄や有機硫黄化合物中の硫黄の配合量はゴム成分
100部に対して0.5〜7部、特に1〜6部とするこ
とが好ましい。なお、加硫条件は適宜選定され、特に制
限されない。例えば155℃で20分程度とすることが
できる。
部といった多量配合したゴム組成物で、長時間加硫接合
を行った場合でも、基材とゴムとを強固に接合でき、こ
のため本発明方法は金属等の基材とゴムとの接合強度を
必要とするタイヤ、動力伝達ベルト、コンベアベルト、
ホース等の繊維状金属を芯材に用いたゴム系複合材や防
振ゴム、免振材、ゴムクローラ、ラバースクリーン、ゴ
ムロールなどの各種ゴム製品や部品類の製造に広く応用
できる。
ム層とを金属又は金属化合物薄膜からなる接合層を介し
て接合するものであり、かつこの場合、この接合層は、
上記基材上に下地膜を形成し、この下地膜上に形成する
もので、これにより接着境界に水が接触する環境下にあ
っても優れた接着性を与えるものである。
ルトやこれらを主体とする合金、これら金属の化合物に
て形成することができるが、特にコバルト、コバルトを
50重量%以上、とりわけ70重量%以上含有するコバ
ルトとZn,Cu,Cr,Ti,Ni等との合金、コバ
ルトの酸化物、窒化物、炭化物などが好ましい。この場
合、コバルトの酸化物、窒化物、炭化物としてはCoO
x、CoNy、CoCzで表すことができるが、xは0〜
1.8、特に0〜1.6、yは0〜1.6、特に0〜
1.4、zは0〜3.2、特に0〜2.8の範囲にある
ことが好ましい。
0Å〜100μm、特に50Å〜1μmであることが好
ましい。
膜のほか、金属又は金属化合物にて形成することがで
き、金属又は金属化合物としては、アルミニウム、クロ
ム、チタン、亜鉛、シリコン、ニッケル、銅、銀、タン
タル、タングステン等の金属、これらの合金、これら金
属の酸化物、窒化物、炭化物、更にコバルトの酸化物、
窒化物、炭化物などを挙げることができるが、この下地
層としては上記接合層とは異なるものを使用する。
a、窒化物CoNb、炭化物CoCcを用いる場合、a,
b,cはそれぞれ正数で、10以下、特に5以下であ
り、上記x,y,zと同様の範囲とすることもできる
が、a>x、b>y、c>zであることが有効である。
ト(コバルトの酸化物)であり、下地層がアルミニウム
又はこの接合層より酸化度の高い酸化コバルトであるこ
とが好ましい。
形成することができる。
Å以上、特に50Å以上とすることができ、通常10μ
m以下、好ましくは2μm以下の膜厚範囲とすることが
できる。
限されず、その種類に応じて選定されるが、接合層は真
空蒸着法、イオンプレーティング法、DCマグネトロン
スパッタリング法、2極スパッタリング法、高周波スパ
ッタリング法、プラズマ重合法、プラズマCVD法等の
気相めっき法にてそのめっき法の常法に従って形成する
ことができ、特にコバルトの酸化物、窒化物、炭化物膜
を形成する場合は、コバルトをターゲットとし、O2等
の酸素原子、N2等の窒素原子、CH4等の炭素原子をそ
れぞれ含有するガスを含む不活性ガスの存在下において
ターゲットにDC電源を用いてパワーを投入する方法が
好ましく、具体的には特開平8−296032号公報記
載の方法を採用し得る。
にて形成する場合は、接合層と同様に気相めっき法にて
形成し得る。
の酸化物、窒化物、炭化物にて形成し、下地膜をコバル
トの酸化物、窒化物、炭化物にて形成する場合、コバル
トをターゲットとし、不活性ガスの存在下においてスパ
ッタリング法にて膜形成を行う際に、不活性ガスに酸素
原子、窒素原子、炭素原子を含有するガスの混入量を変
化させることにより、下地膜と接合層とを連続層として
形成し得る。例えば、下地膜を酸化コバルトとし、接合
層をコバルト又は下地膜の酸化コバルトより低酸化度の
酸化コバルトとする場合、最初に酸素、オゾン、空気、
水等の酸素原子を有するガスの混入量を多くし、CoO
xにおいてx=1.8〜10、特にx=1.8〜5の酸
化皮膜を形成し、所定時間経過後(所定厚さの下地膜が
形成された後)、酸素原子を有するガスの混入を停止し
又は混入量を少なくし、CoOxにおいてx=0〜1.
8、特にx=0〜1.6の酸化皮膜を形成することがで
きる。或いは、このように酸素原子を有するガスの混入
量を低減する場合、上記のように混入量を一挙に低減す
るのではなく、漸減することもでき、これにより下地膜
と接合層との境界部において、酸化コバルトの酸化度を
徐々に段階的に低下することもできる。更には、スパッ
タリングの初期から終期にかけて、酸素原子の混入量を
漸減させ、酸化コバルトの酸化度が漸減した傾斜膜とす
ることもできる。
るが、本発明は下記の実施例に制限されるものではな
い。
5mmのアルミニウム試験片を用い、まず表面をアセト
ンで洗浄した後、高周波13.56MHz、100Wで
5分間減圧アルゴンプラズマ処理を行った。上記基材上
にマグネトロンスパッタリング法でアルミニウム膜を目
標厚み1000Åで形成した。この場合、スパッタリン
グ条件は、アルミニウムをターゲットとし、アルゴンガ
ス導入量18ml/分、ガス圧力10mTorr、ター
ゲット投入パワー500Wで、5分間成膜した。
ゴンガス導入量18ml/分、表2に示す酸素導入量、
投入パワー800Wで1分間成膜し、目標厚み500Å
の接合層を形成した。
り合わせた後、145℃で40分間加硫し、接合させ、
下記の方法で接着試験を行った。結果を表2に示す。
ない以外は同様にしてゴム組成物の加硫、接合を行い、
同様の接着試験を行った。結果を表2に示す。
レンジアミン *2:N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアゾルスル
フィド
SPCC(冷間鍛造鉄試験片)、化成処理試験片は、9
0°剥離法で接着試験を行った。そのままの状態で引張
試験を行ったものをドライ接着試験、剥離部に純水を滴
下させながら引張試験を行ったものをウェット接着試験
とし、双方とも剥離面の破壊状態(ゴム破壊100%を
最も接着性が良いと判断する)で接着性を評価した。
3tのスチール試験片上にリン酸亜鉛皮膜を形成したも
のを使用した以外は実施例1と同様の方法でゴム系複合
材料を作製し、その接着力を測定した。結果を表3に示
す。
3tのSSPC(冷間鍛造試験片)を用い、実施例1と
同様にして減圧アルゴンプラズマ処理を行った後、コバ
ルトをターゲットとし、アルゴンガス導入量20ml/
分、表4に示したように投入パワー800Wで酸素流量
20ml/分で10分間、酸素流量1ml/分で1分間
成膜し、目標厚み1000Åの下地膜−接合層の連続層
を形成した。なお、ガス圧力は5mTorrであった。
材料を作製し、その接着力を測定した。結果を表4に示
す。
する環境下にあっても優れた接着性を有するゴム系複合
材料を得ることができ、化成処理面上に対する接着も安
定になる。
Claims (5)
- 【請求項1】 ゴムと複合すべき基材に金属又は金属化
合物からなる接合層を介してゴム組成物を積層し、次い
でこのゴム組成物を加硫することからなるゴム系複合材
料の製造方法において、上記基材と金属又は金属化合物
薄膜との間に下地膜を介在させることを特徴とするゴム
系複合材料の製造方法。 - 【請求項2】 上記接合層がコバルト又は酸化コバルト
であり、下地膜がアルミニウム、クロム、チタン、亜
鉛、シリコン、ニッケル、銅、銀、タンタル、タングス
テン並びにこれらの酸化物、窒化物及び炭化物から選ば
れるものである請求項1記載の製造方法。 - 【請求項3】 上記接合層がコバルト又は酸化コバルト
であり、下地膜がこの接合層より高酸化度の酸化コバル
トである請求項1記載の製造方法。 - 【請求項4】 下地膜と接合層とが連続層をなし、下地
膜と接合層との境界部において、下地膜から接合層に向
うに従い、酸化コバルトの酸化度が段階的に低下する請
求項3記載の製造方法。 - 【請求項5】 基材が、表面に化成処理面を有する金属
である請求項1乃至4のいずれか1項記載の製造方法。
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