JPH10277285A - ミシンの糸通し装置 - Google Patents

ミシンの糸通し装置

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JPH10277285A
JPH10277285A JP10823097A JP10823097A JPH10277285A JP H10277285 A JPH10277285 A JP H10277285A JP 10823097 A JP10823097 A JP 10823097A JP 10823097 A JP10823097 A JP 10823097A JP H10277285 A JPH10277285 A JP H10277285A
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threading
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threading shaft
pin
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 針棒台の剛性を確保しつつ、簡単な構成で且
つ小型化を図り、しかもミシンアーム部の縦方向寸法を
小型化できる糸通し装置を提供すること。 【解決手段】 糸通し軸41は2又部材22を介してフ
レーム6に揺動可能に支持された針棒台21に支持さ
れ、糸通し軸41の上端部が2又部材22で画定される
隙間を挿通することで針棒台21の上端部を糸通し軸4
1の上端よりも低くできる分、ミシンアーム部の縦方向
寸法を小さくできる。一方、糸通し軸41に内側の第1
ガイド部材50と外側の第2ガイド部材51とが2重に
挿通され、糸通し軸41をそれに設けたピン42を介し
て、上側の待機位置から糸通し位置まで回動不能に下降
案内する縦スリットのうち、その大部分を縦スリット5
0f,51cとして第1,第2ガイド部材50,51に
形成し、残りの小さい縦スリット21fを針棒台21に
形成したので、針棒台の剛性を確保することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、針棒と平行に配設
された糸通し軸を下降させて回動させることで、糸通し
軸の下端部に取付けられたフックにより縫針の針穴に糸
通しを行うようにしたミシンの糸通し装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ミシンにより加工布に縫目を形成
する縫製作業に際して、縫針の針穴に簡単に糸通しが可
能な糸通し装置を装備したミシンが実用に供されるとと
もに、その糸通し装置として種々提案されている。例え
ば、特開平4─227298号公報には、針棒として構
成された筒状のサポート内に管状要素が上下動可能に支
持されるととも、その管状要素内にロッドが上下動可能
に支持され、糸通しに際してロッドを押し下げると、先
ず管状要素がその管状要素に形成した立て長のスリット
で許容される距離だけ下降され、更にロッドがプレート
に形成した平行四辺形状の把動路の縦スリット分だけ下
降するときにフックが前方に突出して、縫針の針孔に糸
が挿通されるようにした糸通し装置が提案されている。
【0003】更に、実開平6─55585号公報には、
上端で揺動可能に支持された支持枠に、中段部に位置決
めブロックを取付けた針棒と、下端部にフックを取付け
た糸通し軸とが上下動可能に支持され、糸通し軸は、そ
れに取付けたガイドブロックと支持枠に形成した所定ス
トロークの縦溝との係合と、糸通し軸のピンのガイドブ
ロックの窪みへの係合を介して回転不能に構成され、ガ
イドブロックが位置決め部材に当接するまで糸通し軸を
下降させ、更に糸通し軸を押し下げることで糸通し軸の
回動が許可されるので、フックが縫針の針穴を挿通して
糸通しできるようにした糸通し装置が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前記特開平4─227
298号公報に記載の糸通し装置においては、針棒を3
重構造にし、しかも管状要素の下端部に、平行四辺形状
の把動路を形成したプレートや、フックを支持するスラ
イダ等を内蔵したケースを取付けているので、糸通し装
置が複雑構造でしかも大型化し、組付けが煩雑化するこ
と、ジグザグ縫いの為には、機枠に上端部を揺動可能に
枢支させた針棒台に針棒を支持することになるが、大型
のケースを取付けた針棒の下端部の重量が大きいので、
針棒台を高速揺動できないこと、また針棒台の枢支部を
最上位置の針棒よりも上側に設けることになり、ミシン
アーム部の頭部(顎部)の縦方向寸法が大型化するこ
と、などの問題がある。
【0005】また、実開平6─55585号公報に記載
の糸通し装置においては、支持枠には、糸通し軸を上側
の待機位置からフック部が略縫針の目孔に対応する位置
まで下降できるように、ガイドブロックの上下動を許容
する所定ストロークの縦溝が形成されているので、針棒
台の剛性が低下するという問題がある。そこで、剛性を
向上させる為に針棒台の板厚を厚くする場合には、針棒
台の重量が大きくなり、針棒台の高速揺動が困難になる
という問題がある。更に、針棒台の枢支部が最上位置の
針棒よりも上側に設けられているので、ミシンアーム部
の頭部の縦方向寸法が大型化するという問題がある。
【0006】本発明の目的は、針棒台の剛性を確保しつ
つ、簡単な構成で且つ小型化を図り、しかもミシンアー
ム部の縦方向寸法を小型化できる糸通し装置を提供する
ことである。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1のミシンの糸通
し装置は、ミシンの針棒の付近に配設された鉛直姿勢の
糸通し軸と、この糸通し軸の下端部に付設されたフック
とを備え、糸通し軸を下降させてから回動させフックを
針穴に挿通させて糸通しを行う糸通し装置において、糸
通し軸を昇降可能に支持する針棒台と、糸通し軸に固着
された水平方向に伸張するピンと、糸通し軸が昇降可能
に挿通され且つピンを昇降可能に案内する縦スリットを
有する第1ガイド部材と、糸通し軸が昇降可能に挿通さ
れ、第1ガイド部材に相対昇降不能且つ相対回動自在に
係合され且つピンを昇降可能に案内する縦スリットとこ
の縦スリットの下端部から水平方向に延びる横スリット
とを有する第2ガイド部材と、第2ガイド部材に固着さ
れた水平のピン部材および針棒台に形成されピン部材を
昇降可能に案内する縦向き係合部と、糸通し軸を上方へ
付勢する第1弾性部材および第1,第2ガイド部材を上
方へ付勢する第2弾性部材と、第1ガイド部材に形成さ
れ、針棒に固着された位置決め部材に当接して第1ガイ
ド部材の回動を規制するとともに、ピンが2つの縦スリ
ットの下端にあって、かつ位置決め部材に対して所定の
位置にあるとき回動規制を解除する規制部とを備えたも
のである。ここで、第2弾性部材のバネ力を第1弾性部
材のバネ力より大きく設定してもよい。
【0008】糸通し動作しないときには、糸通し軸は第
1弾性部材により上方の待機位置に位置し、第1,第2
ガイド部材は第2弾性部材により所定の高さ位置に保持
されている。そして、糸通しに際して操作レバーを操作
して糸通し軸を第1弾性部材のバネ力に抗して、フック
が縫針の針穴近傍まで下降させることにより、糸通し軸
に固着された水平方向に伸張するピンは、第1,第2ガ
イド部材の縦スリットにより夫々案内されて縦スリット
の下端まで移動する。この移動中においては、第2ガイ
ド部材は、ピン部材が針棒台の縦向き係合部に係合する
ことで回動規制され、糸通し軸のピンが第1,第2ガイ
ド部材の縦スリットにより夫々係合することで、糸通し
軸の回動が規制されている。
【0009】ところで、ピンが第1ガイド部材の縦スリ
ットの下端に移動したとき、ピンはその縦スリットに連
続する横スリットにより回動できるようになるが、第1
ガイド部材の規制部が位置決め部材に当接することで、
第2ガイド部材が回動できないことから、結果的に糸通
し軸の回動が阻止される。糸通し軸を更に下降させる
と、第2ガイド部材のピン部材が針棒台の縦向き係合部
で案内されるとともに、糸通し軸のピンと両縦スリット
との係合を介してこれら第1,第2ガイド部材が第2弾
性部材のバネ力に抗して下降する。そして、フックが針
穴に対応する位置まで糸通し軸及び第1,第2ガイド部
材が下降したときには、規制部が位置決め部材に対して
所定の位置にあることで回動規制が解除されて、ピンが
横スリットにより回動できるようになり、フックが針穴
を挿通して糸通しが実行される。
【0010】請求項2のミシンの糸通し装置は、請求項
1の発明において、前記第1,第2弾性部材は糸通し軸
に外装されたものである。この場合、第1,第2弾性部
材は糸通し軸に外装されているので、これら第1,第2
弾性部材を設ける余分なスペースを省略でき、糸通し装
置をコンパクト化することができる。その他、請求項1
と同様の作用を奏する。請求項3のミシンの糸通し装置
は、請求項1または2の発明において、前記第1,第2
弾性部材は第1,第2ガイド部材の上下両側に配設され
たものである。この場合には、これら第1,第2弾性部
材を、第1,第2ガイド部材の上下両側に対応するよう
に糸通し軸に外装するだけなので、組み付け性が向上す
る。その他、請求項1または2と同様の作用を奏する。
【0011】請求項4のミシンの糸通し装置は、請求項
1〜3の何れか1項の発明において、前記針棒台は、そ
の上端部に固定された2又部材を介してミシン機枠に揺
動可能に支持されたものである。この場合には、針棒台
はその上端部において、2又部材により揺動可能に支持
されるので、ジグザグ縫いなどのときに揺動することが
できる。その他、請求項1〜3の何れか1項と同様の作
用を奏する。
【0012】請求項5のミシンの糸通し装置は、請求項
4の発明において、前記糸通し軸の上端部分が2又部材
で画定される隙間を挿通しているものである。この場合
には、糸通し軸の上端部分を2又部材で画定される隙間
に挿通させることにより、針棒台の上端部を糸通し軸の
上端よりも低くできるので、その低くできる分に相当し
てミシンアーム部の縦方向寸法を小さくすることができ
る。その他、請求項4と同様の作用を奏する。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面に基いて説明する。本実施形態は、針棒上下動機
構や針棒揺動機構などを備えた電子制御式ジグザグミシ
ンに設けられた糸通し装置に本発明を適用した場合のも
のである。この電子制御式ジグザグミシン1において
は、ベッド部2の右端部には脚柱部3が立設され、この
脚柱部3の上端から左方に延びるアーム部4はベッド部
2の上方に対向するように水平に配設され、このアーム
部4の左端部の頭部には針棒25を上下駆動する針棒上
下動機構20設けられている。
【0014】前記アーム部4内には、玉軸受け5を介し
てダイキャスト製のフレーム6(機枠に相当する)に回
転可能に支持された水平な主軸7が配設され、ミシンモ
ータ8で駆動されるタイミングプーリ9と主軸7に固着
されたタイミングプーリ10とにタイミングベルト11
が掛装され、主軸7はミシンモータ8の駆動により、両
タイミングプーリ9,10とタイミングベルト11とを
介して所定回転方向に回転駆動される。次に、針棒上下
動機構20は、通常の機構と同様なので簡単に説明す
る。
【0015】図1〜図5に示すように、アーム部4の頭
部には、板部材を折り曲げ形成された針棒台21が上下
方向向きに配設されている。その針棒台21は、基本的
には相互に直交する前壁部21aと側壁部21bとで構
成されるとともに、前壁部21aの下端部分が水平に折
り曲げられて下支持部21cが形成され、また前壁部2
1aの上端部分が折り曲げられて上支持部21dが形成
され、更に側壁部21bの上端部には枢支部21eが形
成されている。その枢支部21eには、図4に示すよう
に、前方が開放した平面視略コ字状の2又部材22がピ
ン23で回動可能に固定され、その2又部材22は水平
な支持軸24でフレーム6に揺動可能に支持されてい
る。
【0016】そして、針棒25はこれら上下両支持部2
1c,21dで上下動可能に支持され、針棒25の下端
には縫針26が取付けられている。一方、主軸7の左端
部には天秤クランク27が固着され、その天秤クランク
27にクランクピンを介して針棒クランク28が回動自
在に連結され、針棒クランク28の下端部が針棒25の
中段部に針棒抱き29により連結されている。これによ
り、ミシンモータ8の回転により主軸7と天秤クランク
27が回転駆動され、針棒クランク28の上下動により
針棒25が上下に駆動される。
【0017】ところで、前記針棒台21には、揺動レバ
ー30が連結され、ジグザグ縫いの際には、その揺動レ
バー30が図示外の揺動駆動機構により針棒25の上下
動と調時して左右方向に揺動されるようになっている。
一方、前記脚柱部3には、鉛直向きの縦軸35が配設さ
れ、その縦軸35の上端部には傘歯車36が固着される
とともに、この傘歯車36に噛合する傘歯車37が主軸
7に固定されている。そして、その縦軸35には、図示
を省略するが、ベッド部2に設けられた糸輪捕捉用釜が
連結され、縫針26の上下動と糸輪捕捉用釜との協働に
より加工布に縫目が形成されるようになっている。
【0018】次に、縫針26の針穴26aに糸を通す糸
通し装置40について、図1〜図5に基づいて説明す
る。前記針棒25に隣接して設けられた鉛直姿勢の糸通
し軸41は、針棒台21の両支持部21c,21dによ
り上下動自在に支持されるとともに、図4に示すよう
に、その上端部が2又部材22で画定される隙間を挿通
して配設され、その高さ方向中段部より高い位置に水平
なピン42が固定されるとともに、図2、図5に示すよ
うに、その下端部には糸通し軸41を操作する操作レバ
ー43が固定されるとともに、糸を係合するフック45
及び糸案内板46,47とを有するフック部材44が付
設されている。そして、針棒25には、針棒抱き29の
直ぐ上側に、糸通し軸41の下降位置を位置決めする位
置決め部材48が固定されている。
【0019】ところで、針棒台21の両支持部21c,
21dの間に対応する糸通し軸41には、図5、図7に
示すように、縦方向に所定長さを有する内側の第1ガイ
ド部材50と外側の第2ガイド部材51とが2重構造と
して昇降可能に挿通されている。前記第1ガイド部材5
0は、糸通し軸41が挿通する上下1対の水平壁50a
と、これら水平壁50aの略左半部分に亙って一体的に
形成された側壁50bとから構成され、上側の水平壁5
0aには後側に突出して、位置決め部材48に上側から
当接する当接部50cが形成されている。
【0020】前記側壁50bの後端には、その下端か
ら、当接部50cの直ぐ下側にギャップ50dを除いた
高さ位置まで回動規制の為の規制部50eが形成されて
いる。ここで、そのギャップ50dは、位置決め部材4
8の先端部の突出部48a(図7参照)の板厚に相当す
る高さ寸法であり、第1ガイド部材50の回転規制を解
除する為のものである。更に、側壁50bの左側面部に
は、糸通し軸41のピン42を昇降可能に案内する所定
長さを有する縦スリット50fが形成されている。
【0021】一方、前記第1ガイド部材50の外側に当
接状に設けられた第2ガイド部材51は、糸通し軸41
が挿通する上下1対の水平壁51aと、これら水平壁5
1aの略左半部分に亙って一体的に形成された側壁51
bとから構成され、側壁51bの左側面部には、その上
端部において左方向きのピン部材52が固着され、針棒
台21の側壁部21bには、ピン部材52を昇降可能に
案内する縦スリット21f(縦向き係合部に相当する)
が形成されている。更に、そのピン部材52の下側に
は、ピン42を昇降可能に案内する所定長さを有する縦
スリット51cが、第1ガイド部材50の縦スリット5
0fに対向状に形成されるとともに、その縦スリット5
1cの下端部から水平に延びる横スリット51dが形成
されている。
【0022】即ち、第2ガイド部材51は第1ガイド部
材50に対して相対昇降不能に且つ相対回動可能であ
り、第2ガイド部材51はピン部材52と縦スリット2
1fとの係合を介して回動不能に且つその縦スリット2
1fの長さに相当して昇降可能であり、糸通し軸41
は、そのピン42とこれら2つの縦スリット50f,5
1cとの係合を介して回動不能に且つこれら縦スリット
50f,51cの長さに相当して昇降可能になってい
る。但し、ピン42が第2ガイド部材51の横スリット
51dに位置し且つ第1ガイド部材50が回動可能なと
きに限って、糸通し軸41は所定の糸通し方向に回動可
能になる。
【0023】前記糸通し軸41の上端のEリング53と
針棒台21の上支持部21dとの間の糸通し軸41に
は、糸通し軸41を上方へ付勢する第1圧縮コイルバネ
54(第1弾性部材に相当する)が外装されるととも
に、針棒台21の下支持部21cと第2ガイド部材51
との間の糸通し軸41には、これら第1,第2ガイド部
材50,51を上方へ付勢する第2圧縮コイルバネ55
(第2弾性部材に相当する)が外装されている。ここ
で、第2圧縮コイルバネ55のバネ力は第1圧縮コイル
バネ54のバネ力よりも大きく設定されている。これに
より、糸通し動作が行われないときには、図2、図3に
示すように、糸通し軸41は第1圧縮コイルバネ54に
より操作レバー43の基端部が下支持部21cに下側か
ら当接するように上方に移動した待機位置に位置してい
る。
【0024】そして、糸通し軸41がその待機位置に位
置しているときには、第1,第2ガイド部材50,51
は、第2圧縮コイルバネ55により第2ガイド部材51
の上端が上支持部21dに下側から当接するように上方
に移動した上昇位置に位置している。次に、このように
構成された糸通し装置40の作動について説明する。糸
通しに際しては、図2、図3に示すように、糸通し軸4
1は前述したように、上昇した待機位置に位置してお
り、ピン42と第1,第2ガイド部材50,51の縦ス
リット50f,51cとの係合を介して、また第2ガイ
ド部材51のピン部材52と針棒台21の縦スリット2
1fとの係合を介して回動不能になっている。
【0025】そして、操作レバー43を第1圧縮コイル
バネ54のバネ力に抗して押し下げることにより、ピン
42が縦スリット50f,51cに案内されてこれら縦
スリット50f,51cの下端まで下降するので、糸通
し軸41はその待機位置から、図9に示すように、糸通
し可能な位置よりも若干上側の途中位置まで下降する。
このとき、第1,第2ガイド部材50,51は第2圧縮
コイルバネ55により夫々その上昇位置に保持され、ピ
ン部材52は縦スリット21fの略上縁に対応してい
る。また、位置決め部材48の突出部48aが第1ガイ
ド部材50の規制部50eに当接しているので、糸通し
軸41の回動が規制されている。
【0026】次に、糸通し軸41を更に押し下げること
により、ピン42が縦スリット50f,51cの下縁に
係合しながら第1,第2ガイド部材50,51が第2圧
縮コイルバネ55のバネ力に抗して下降するので、糸通
し軸41はその途中位置から、図10に示すように、第
1ガイド部材50の当接部50cが位置決め部材48の
突出部48aに当接する糸通し位置まで下降する。この
とき、図8に示すように、突出部48aは第1ガイド部
材50のギャップ50dに対応するとともに、ピン42
が横スリット51dに対応することから、糸通し軸41
の回動規制が解除される。
【0027】このときに、図6、図10に示すように、
糸駒(図示略)から延びる上糸60を糸案内板46に係
合させて縫針26の手前を通るように右方へ水平状に引
き出しておく。そして、操作レバー43をその糸通し位
置において平面視にて時計回り方向に、ピン部材52が
横スリット51dの端部に移動するまで所定の角度だけ
回動させることにより、上糸60は二股状の糸案内板4
7で位置決めされながら、フック45が縫針26の針穴
26aに挿通して上糸を引っ掛けるので、操作レバー4
3を元の位置まで反時計回り方向に回動させることによ
り、上糸を針穴26aに糸通しすることができる。その
後操作レバー43の操作を止めることにより、糸通し軸
41は第1圧縮コイルバネ54によりその待機位置まで
一気に上昇する。
【0028】このように、電子制御式ジグザグミシン1
に設けられた糸通し装置40においては、針棒25と糸
通し軸41を昇降可能に支持する針棒台21と、糸通し
軸41に固着された水平のピン42と、第1ガイド部材
50と、第2ガイド部材51と、第2ガイド部材51に
固着された水平のピン部材52および針棒台21に形成
されピン部材52を昇降可能に案内する縦スリット21
fと、糸通し軸41を上方へ付勢する第1圧縮コイルバ
ネ54および第1,第2ガイド部材50,51を上方へ
付勢する第1圧縮コイルバネ55と、第1ガイド部材5
0に形成された規制部50eとを設けたので、針棒台2
1のデッドスペースを有効利用して第1,第2ガイド部
材50,51を設けることで糸通し装置40を簡単な構
成で且つ小型化を図れる。また、これら第1,第2ガイ
ド部材50,51に縦スリット50f,51cを設けた
分、針棒台21の縦スリット21fを小型化でき、針棒
台21の剛性を向上させることができる。
【0029】また、第1,第2圧縮コイルバネ54,5
5は、第1,第2ガイド部材50,51の上下両側に対
応するように糸通し軸41に外装されているので、これ
ら第1,第2弾性部材を設ける余分なスペースを省略で
き、糸通し装置をコンパクト化でき、更に組み付け性が
向上する。また、針棒台21はその上端部において2又
部材22により揺動可能に支持され、しかも糸通し軸4
1の上端部分が2又部材22で画定される隙間を挿通し
ているので、ジグザグ縫いが可能になる上、針棒台21
の上端部を糸通し軸41の上端よりも低くでき、その低
くできる分に相当してミシンアーム部4の縦方向寸法を
小さくすることができる。
【0030】ここで、前記実施形態の変更態様として、
次のように構成してもよい。 1) 前記針棒台21に形成される縦スリット21fに
代えて、第2ガイド部材51のピン部材52が係合する
凹部を形成してもよい。 2) 前記第1,第2ガイド部材50,51は軽量金属
製であってもよく、また合成樹脂製であってもよい。 更に、本発明は前記実施形態に限定して解釈されるべき
ではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲におい
て、前記実施形態の各部の機構に、既存の技術や当業者
に自明の技術に基いて種々の変更を加えることもあり得
る。
【0031】
【発明の効果】請求項1のミシンの糸通し装置によれ
ば、ミシンの針棒の付近に配設された鉛直姿勢の糸通し
軸と、この糸通し軸の下端部に付設されたフックとを備
え、糸通し軸を下降させてから回動させフックを針穴に
挿通させて糸通しを行う糸通し装置において、糸通し軸
を昇降可能に支持する針棒台と、糸通し軸に固着された
水平に伸張するピンと、第1ガイド部材と、第2ガイド
部材と、第2ガイド部材に固着された水平のピン部材お
よび針棒台に形成されピン部材を昇降可能に案内する縦
向き係合部と、糸通し軸を上方へ付勢する第1弾性部材
および第1,第2ガイド部材を上方へ付勢する第2弾性
部材と、第1ガイド部材に形成された規制部とを設けた
ので、針棒台のデッドスペースを有効利用して第1,第
2ガイド部材を設けることで糸通し装置を簡単な構成で
且つ小型化を図れる。また、これら第1,第2ガイド部
材に縦スリットを設けた分、針棒台の縦向き係合部を小
型化でき、針棒台の剛性を向上させることができる。
【0032】請求項2のミシンの糸通し装置によれば、
請求項1と同様の効果を奏するが、第1,第2弾性部材
は糸通し軸に外装されているので、これら第1,第2弾
性部材を設ける余分なスペースを省略でき、糸通し装置
をコンパクト化することができる。請求項3のミシンの
糸通し装置によれば、請求項1または2と同様の効果を
奏するが、これら第1,第2弾性部材を、第1,第2ガ
イド部材の上下両側に対応するように糸通し軸に外装す
るだけなので、組み付け性が向上する。
【0033】請求項4のミシンの糸通し装置によれば、
請求項1〜3の何れか1項と同様の効果を奏するが、針
棒台はその上端部において、2又部材により揺動可能に
支持されるので、ジグザグ縫いなどのときに揺動するこ
とができる。請求項5のミシンの糸通し装置によれば、
請求項4と同様の効果を奏するが、糸通し軸の上端部分
が2又部材で画定される隙間を挿通しているので、針棒
台の上端部を糸通し軸の上端よりも低くでき、その低く
できる分に相当してミシンアーム部の縦方向寸法を小さ
くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る電子制御式ジグザグミ
シンの内部機構を部分的に示す正面図である。
【図2】糸通し装置の正面図である。
【図3】糸通し装置の側面図である。
【図4】糸通し装置の平面図である。
【図5】糸通し装置の分解斜視図である。
【図6】図2のF─F線横断平面図である。
【図7】図2のG─G線横断平面図である。
【図8】図7のH─H線縦断側面図である。
【図9】糸通し軸が途中位置まで下降したときの図2相
当図である。
【図10】糸通し軸が糸通し位置まで下降したときの図
2相当図である。
【符号の説明】
1 電子制御式ジグザグミシン 21 針棒台 21f 縦スリット 22 2又部材 25 針棒 40 糸通し装置 41 糸通し軸 42 ピン 43 操作レバー 45 フック 48 位置決め部材 48a 突出部 50 第1ガイド部材 50e 規制部 50f 縦スリット 51 第2ガイド部材 51c 縦スリット 51d 横スリット 52 ピン部材 54 第1圧縮コイルバネ 55 第2圧縮コイルバネ

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ミシンの針棒の付近に配設された鉛直姿
    勢の糸通し軸と、この糸通し軸の下端部に付設されたフ
    ックとを備え、糸通し軸を下降させてから回動させフッ
    クを針穴に挿通させて糸通しを行う糸通し装置におい
    て、 前記糸通し軸を昇降可能に支持する針棒台と、 前記糸通し軸に固着された水平方向に伸張するピンと、 前記糸通し軸が昇降可能に挿通され且つ前記ピンを昇降
    可能に案内する縦スリットを有する第1ガイド部材と、 前記糸通し軸が昇降可能に挿通され、第1ガイド部材に
    相対昇降不能且つ相対回動自在に係合され且つ前記ピン
    を昇降可能に案内する縦スリットとこの縦スリットの下
    端部から水平方向に延びる横スリットとを有する第2ガ
    イド部材と、 前記第2ガイド部材に固着された水平のピン部材および
    前記針棒台に形成されピン部材を昇降可能に案内する縦
    向き係合部と、 前記糸通し軸を上方へ付勢する第1弾性部材および第
    1,第2ガイド部材を上方へ付勢する第2弾性部材と、 前記第1ガイド部材に形成され、針棒に固着された位置
    決め部材に当接して第1ガイド部材の回動を規制すると
    ともに、ピンが2つの縦スリットの下端にあって、かつ
    位置決め部材に対して所定の位置にあるとき回動規制を
    解除する規制部と、 を備えたことを特徴とするミシンの糸通し装置。
  2. 【請求項2】 前記第1,第2弾性部材は糸通し軸に外
    装されたことを特徴とする請求項1に記載のミシンの糸
    通し装置。
  3. 【請求項3】 前記第1,第2弾性部材は第1,第2ガ
    イド部材の上下両側に配設されたことを特徴とする請求
    項1または2に記載のミシンの糸通し装置。
  4. 【請求項4】 前記針棒台は、その上端部に固定された
    2又部材を介してミシン機枠に揺動可能に支持されたこ
    とを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のミシ
    ンの糸通し装置。
  5. 【請求項5】 前記糸通し軸の上端部分が2又部材で画
    定される隙間を挿通していることを特徴とする請求項4
    に記載のミシンの糸通し装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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