JPH10271716A - 電動機の固定子鉄心及びその製造方法 - Google Patents

電動機の固定子鉄心及びその製造方法

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JPH10271716A
JPH10271716A JP6765897A JP6765897A JPH10271716A JP H10271716 A JPH10271716 A JP H10271716A JP 6765897 A JP6765897 A JP 6765897A JP 6765897 A JP6765897 A JP 6765897A JP H10271716 A JPH10271716 A JP H10271716A
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laminated
teeth
stator core
electric motor
yoke
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JP6765897A
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Yoshinari Asano
能成 浅野
Takeshi Morishige
健 森重
Katsutoshi Kazama
勝利 風間
Hisataka Kato
久孝 加藤
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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    • H02K15/08—Forming windings by laying conductors into or around core parts
    • H02K15/085—Forming windings by laying conductors into or around core parts by laying conductors into slotted stators

Abstract

(57)【要約】 【課題】 分割されたヨーク部とティース部を結合固定
してなる電動機の固定子鉄心において、鉄損をが少な
く、かつ同一入力で磁束密度を高くすることを目的とす
る。 【解決手段】 外コアを形成する積層ヨーク体１１０及
び内コアを形成する積層ティース体１２０ａを、方向性
電磁鋼板を、磁化容易方向Ｌが、鉄心中の磁路の方向と
一致するように打ち抜かれた帯状のヨーク素材１１０ａ
及びティース素材１２０ａをそれぞれ円環状にし積層し
て形成し、積層ヨーク体１１０と積層ティース体１２０
を結合固定して形成した電動機の固定子鉄心とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は、方向性電磁鋼板を
積層した電動機の固定子鉄心及びその製造方法に関す
る。
【０００２】
【従来の技術】従来より、電動機の固定子鉄心は以下に
示すようにいくつかの製造方法があった。
【０００３】まず第１の製造方法として、電磁鋼板を環
状にプレスにて打ち抜いてヨークとティースが一体とな
ったコアシートを作成し、このコアシートを積層して筒
状の固定子鉄心を形成する製造方法があり、従来の製造
方法としては主流となっている。
【０００４】また、第２の製造方法として、ヨークとテ
ィースをヨーク素材とティース素材として別々に分割し
て打ち抜き、それぞれ積層して外コア及び内コアを作成
し、分割面を溶着，溶接，接着，圧着，圧入などの固定
手段により結合固定して筒状の固定子鉄心を形成する製
造方法がある。
【０００５】第３の方法としては、固定子鉄心を帯状の
ヨーク素材とティース素材に分割して打ち抜き、後にこ
れを円環状に折り曲げ形成する方法がある。図２４に基
づき第３の方法をさらに詳細に説明する。
【０００６】図２４は特願平８−１１２８６５号公報に
示す従来例の電動機の固定子鉄心の平面図である。外コ
アを形成する積層ヨーク体６１０は、切り欠き６１１を
有し薄肉部６１２でつながれた帯状のヨーク素材（図示
せず）を積層して円環状に形成し、内コアを形成する積
層ティース体６２０は、薄肉部６２２でつながれた帯状
のティース素材（図示せず）を積層して円環状に形成
し、積層ヨーク体６１０に積層ティース体６２０を圧入
して電動機の固定子鉄心６００を形成する。本構成によ
り、積層ティースに外側から巻線を施すことができ、巻
線性が良く、占積率が向上する。
【０００７】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
電動機の固定子鉄心及び製造方法では、次のような問題
点を有している。
【０００８】第１の製造方法においては、環状のコアシ
ートをプレス加工で打ち抜いて作成するので、コアシー
トの内側の抜き部分が無駄になり、歩留まりが悪い。ま
た、固定子鉄心の内側から巻線を施さねばならず、巻線
性が悪い。
【０００９】第２の製造方法においては、内コアに外側
から巻線を施すことが可能となり、巻線性が良いという
利点はあるが、コアシートの内側の抜き部分が無駄にな
るため歩留まりが悪いという欠点は解消できない。
【００１０】第３の製造方法においては、帯状に打ち抜
くため歩留まりが良く、積層ティース体の外側から巻線
を施すため巻線性も良い。しかし、ヨーク素材（図示せ
ず）の切り欠き６１１の接合部や積層ヨーク体６１０と
積層ティース体６２０の接合部６３１が存在するため、
磁路が微少なギャップを介することになり、磁気抵抗が
大きくなる。したがって、第１及び第２の製造方法によ
る電動機の固定子鉄心と比べると効率が低下するという
欠点を持っていた。
【００１１】本発明は、これらの欠点を解決し、歩留ま
りが良く、巻線性が良好で、かつ効率の高い電動機の固
定子鉄心を提供するものである。
【００１２】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
本発明は、方向性電磁鋼板を積層してなる積層ヨーク体
と、方向性電磁鋼板からなり、一方の端部が積層ヨーク
体との結合部である基端部でもう一方の端部が回転子に
対向する拡歯部であり、基端部と拡歯部の中間を脚部で
構成するティースが所定の数連結された積層ティース体
とからなり、前記積層ヨーク体と前記積層ティース体が
結合手段によって一体に結合固定されてなる電動機の固
定子鉄心において、前記方向性電磁鋼板の磁化容易方向
が電動機運転時に積層鉄心を流れる磁束の方向と略同一
となるように前記積層ヨーク体及び前記積層ティース体
を配置したことを特徴とする電動機の固定子鉄心であ
り、積層ヨーク体と積層ティース体の分割面を溶着，溶
接，接着，圧着，圧入などの結合手段によって結合固定
された電動機の固定子鉄心において、ヨーク素材及びテ
ィース素材に方向性電磁鋼板を用い、磁化容易方向を積
層鉄心中を流れる磁束の方向と一致させたことを特徴と
したものであり、積層鉄心中の磁束の方向が、全て磁化
容易方向に一致しているため、鉄損が小さく、かつ同一
入力で磁束密度が高く、したがって高いトルクを実現で
き、より高い効率を実現できる。また、歩留まりが良
く、巻線性も良好で占積率も高くできるため、スロット
面積を小さくし、鉄を多く使い、または巻線の銅量を増
やすことができ、鉄損または銅損を減少させることがで
きる。したがって、歩留まりが良く、生産性が高く、効
率の高い電動機の固定子鉄心を提供することができる。
【００１３】
【発明の実施の形態】前記課題を解決するため請求項１
記載の発明は、方向性電磁鋼板を積層してなる積層ヨー
ク体と、方向性電磁鋼板を積層してなり、一方の端部が
積層ヨーク体との結合部である基端部でもう一方の端部
が回転子に対向する拡歯部であり、基端部と拡歯部の中
間を脚部で構成するティースが所定の数連結された積層
ティース体とからなり、前記積層ヨーク体と前記積層テ
ィース体が結合手段によって一体に結合固定されてなる
電動機の固定子鉄心において、前記方向性電磁鋼板の磁
化容易方向が電動機運転時に積層鉄心を流れる磁束の方
向と略同一となるように前記積層ヨーク体及び前記積層
ティース体を配置したことを特徴とする電動機の固定子
鉄心であり、積層鉄心中の磁束の方向が全て磁化容易方
向に一致しているため、鉄損が小さく、かつ同一入力で
磁束密度が高く、したがってより高いトルクが実現で
き、より高い効率が実現できる。またヨーク素材及びテ
ィース素材を帯状に打ち抜くため歩留まりが良く、ティ
ースに外側から巻線を施すことができるため、巻線性が
良く占積率も高くなる。したがって、スロット面積を小
さくし、鉄を多く使い、または巻線の銅量を増やすこと
ができ、鉄損または銅損を減少させることができる。し
たがって、歩留まりが良く、生産性が高く、効率の高い
電動機の固定子鉄心を提供することができる。
【００１４】また、請求項２記載の発明は、長手方向が
磁化容易方向である帯状の方向性電磁鋼板の一方の長辺
側から他方の長辺側に向けて先すぼまりの切り欠きを所
定の数Ｎ１個形成し、先すぼまりの前記切り欠きの開き
角度を３６０／Ｎ１に設定し、前記切り欠き側を内側に
して前記方向性電磁鋼板を円環状に折り曲げて積層ヨー
ク体を形成したことを特徴とする請求項１記載の電動機
の固定子鉄心であり、ヨーク素材をわずかな加工力で精
度よく円環状に曲げ加工をすることができる。また、外
コアを形成する積層ヨーク体を構成する部品点数が少な
く生産性が良い。
【００１５】また、請求項３記載の発明は、長手方向が
磁化容易方向である帯状の方向性電磁鋼板の一方の長辺
側にティースの基端部が係合する開口を所定間隔で形成
し、前記開口の奥端から帯状の前記方向性電磁鋼板の他
方の長辺側に向けて先すぼまりの切り欠きを設けたヨー
ク素材から形成したことを特徴とする積層ヨーク体を有
する請求項２記載の電動機の固定子鉄心であり、切り欠
きによるわずかな加工力で曲げ加工ができるため、切り
欠きによる微少なギャップや曲げ加工時の応力による薄
肉部の変形などが、積層ヨーク体の細かい部分になく、
良好な磁気回路が得られる。
【００１６】また、請求項４記載の発明は、長手方向が
磁化容易方向である帯状の方向性電磁鋼板の一方の長辺
側にティースの基端部が係合する開口を所定間隔で形成
し、隣り合う前記開口の中間に帯状の前記方向性電磁鋼
板の他方の長辺側に向けて先すぼまりの切り欠きを設け
たヨーク素材から形成したことを特徴とする積層ヨーク
体を有する請求項２記載の電動機の固定子鉄心であり、
切り欠き部と開口が離れているので外コアを形成する積
層ヨーク体に内コアを形成する積層ティース体を結合し
たときの結合力が強い。
【００１７】また、請求項５記載の発明は、ヨーク素材
をティースの基端部が係合する開口が所定の間隔で設け
られた側を内側として円環状に曲げて形成された積層ヨ
ーク体と、積層ティース体とが前記ティースの前記基端
部と前記積層ヨーク体の前記開口で嵌合結合して連続し
た磁路を形成したことを特徴とする請求項３または４記
載の電動機の固定子鉄心であり、鉄心中の磁束の流れる
方向の全てが磁化容易方向に一致しているため、効率の
高い電動機の固定子鉄心が得られる。
【００１８】また、請求項６記載の発明は、積層ティー
ス体は、長手方向が磁化容易方向である帯状の方向性電
磁鋼板に脚部が前記方向性電磁鋼板の幅方向に並ぶよう
にティースを配置し、隣り合うティースの拡歯部の端を
薄肉部で連結して打ち抜かれたティース素材を積層して
形成したことを特徴とする請求項１から５のいずれかに
記載の電動機の固定子鉄心であり、積層ティース体を構
成する部品点数を少なくし、固定子内径の精度を高くす
ることができ、ギャップ不同を防止する。
【００１９】また、請求項７記載の発明は、積層ヨーク
体と積層ティース体を結合固定の後、積層ティース体の
薄肉部を、切除したことを特徴とする請求項６記載の電
動機の固定子鉄心であり、固定子の巻線に流れる電流に
よりティースに発生した磁束が、回転子にわたらずに隣
接するティースに回り込むことを防止し、磁束を有効に
利用し、効率の高い電動機を提供することができる。
【００２０】また、請求項８記載の発明は、積層ヨーク
体と積層ティース体を結合固定の後、積層ティース体の
薄肉部を、両端の少数枚のティースシートを残して積層
方向に切除したことを特徴とする請求項６記載の電動機
の固定子鉄心であり、固定子の巻線に流れる電流により
ティースに発生した磁束が、回転子にわたらずに隣接す
るティースに回り込むことを防止し、磁束を有効に利用
し、効率の高い電動機を提供するとともに、固定子内径
の精度を高くすることができ、ギャップ不同を防止す
る。
【００２１】また、請求項９記載の発明は、薄肉部の積
層方向の切除が円周方向に切除幅以上のひねりを設けた
ことを特徴とする請求項７または８記載の電動機の固定
子鉄心であり、固定子のスロットオープン部が存在する
ために発生する回転むらをなくし、振動・騒音の少ない
電動機を提供することができる。
【００２２】また、請求項１０記載の発明は、かご形回
転子を有する誘導電動機において、薄肉部切除のひねり
角度は回転子の１スロットピッチに等しくした請求項９
記載の電動機の固定子鉄心であり、かご形回転子にスキ
ューを施すことなく、容易に電動機の振動・騒音を低減
することができる。
【００２３】また、請求項１１記載の発明は、永久磁石
回転子を有する電動機において、固定子ティース数と回
転子磁極数の最少公倍数をＮ２とした時、薄肉部切除の
ひねり角度は３６０／Ｎ２に等しくした請求項９記載の
電動機の固定子鉄心であり、コギングトルクによる回転
むらを防止し、容易に電動機の振動・騒音を低減するこ
とができる 。
【００２４】また、請求項１２記載の発明は、磁束の流
れる方向と平行に薄肉部でつながれたヨーク素材及び磁
束の流れる方向に対して垂直に薄肉部でつながれたティ
ース素材を、磁化容易方向をそれぞれの鉄心の磁束の流
れる方向と一致させて打ち抜き、それぞれ積層した後に
環状にし、または環状にした後に積層し、積層ヨーク体
と積層ティース体を結合固定して固定子鉄心を形成する
電動機の固定子鉄心の製造方法であり、積層ヨーク体と
積層ティース体の固着力が強力で、精度の良い電動機の
固定子鉄心を生産性良く製造することができる。
【００２５】また、請求項１３記載の発明は、磁束の流
れる方向と平行に薄肉部でつながれたヨーク素材及び磁
束の流れる方向と垂直に薄肉部でつながれたティース素
材を、磁化容易方向をそれぞれの鉄心の磁束の流れる方
向と一致させて打ち抜き、積層し環状にした積層ティー
ス体に、外側から、積層したヨーク素材を湾曲しながら
前記積層ティース体に固定していく電動機の固定子鉄心
の製造方法であり、わずかな加工力にて積層ヨーク体と
積層ティース体を結合でき、かつ、積層ティース体に加
わる力もわずかなため、生産性良く精度の良い電動機の
固定子鉄心が製造できる。
【００２６】また、請求項１４記載の発明は、ヨーク素
材を積層後、積層したヨーク素材に巻線用枠を施し、ト
ロイダル巻線を施した後に積層したヨーク素材を環状に
する請求項１２または１３記載の電動機の固定子鉄心の
製造方法であり、容易にトロイダル巻線が施せるため、
巻線性が良好で、かつ占積率も高くでき、効率の高いト
ロイダル巻線の電動機を生産性良く製造できる。
【００２７】また、請求項１５記載の発明は、ティース
素材を積層後、積層したそれぞれのティースに巻線用枠
を施し、巻線を施す請求項１２または１３記載の電動機
の固定子鉄心の製造方法であり、固定子の巻線を積層テ
ィース体の外側から施すため、巻線性が良好で、かつ占
積率も高くでき、効率の高い電動機を生産性良く製造で
きる。
【００２８】また、請求項１６記載の発明は、ティース
素材を積層後、積層したそれぞれのティースに巻線を施
したボビンを挿入する請求項１２または１３記載の電動
機の固定子鉄心の製造方法であり、単体のボビンに巻線
を施すため巻線性が良好で、かつ占積率も高くできると
ともに、固定子鉄心そのものに巻線用枠を施す必要がな
いため効率の高い電動機を生産性良く製造できる。
【００２９】また、請求項１７記載の発明は、巻線処理
前に積層ヨーク体や積層ティース体を焼鈍処理したこと
を特徴とし、積層ヨーク体や積層ティース体の打ち抜き
歪みや加工歪みを除去し、磁気特性を向上させることに
より、電動機の効率を高くすることが可能である。
【００３０】
【実施例】以下、本発明の実施例について、図面に基づ
き説明する。なお、各実施例において同一構成要素には
同一符号を付し一部説明を省略する。
【００３１】（実施例１）図１は本発明の実施例１の電
動機の固定子鉄心の平面図である。図２は同電動機の固
定子鉄心のヨーク素材の打ち抜きパターンを示す図であ
る。図３は同電動機の固定子鉄心のティース素材の打ち
抜きパターンを示す図である。図４は電動機の固定子鉄
心のヨーク素材及びティース素材の拡大図である。
【００３２】図１から図４において、固定子鉄心１００
の外コアを形成する積層ヨーク体１１０は、方向性電磁
鋼板１３０を磁化容易方向Ｌが固定子鉄心１００の鉄心
中の磁路の方向と一致するように打ち抜かれた帯状のヨ
ーク素材１１０ａを円環状に形成したヨークシート（図
示せず）を積層して構成されている。
【００３３】ヨーク素材１１０ａは、長手方向が磁化容
易方向Ｌである帯状の方向性電磁鋼板１３０の一方の長
辺側にティース１２１の基端部１２１ａが係合する開口
１１３を所定の間隔でティース１２１の数Ｎｔに等しい
数だけ設け、開口１１３の奥端から帯状の方向性鋼板１
３０の他の長辺側に向けて先すぼまりの切り欠き１１１
を有し、薄肉部１１２でつながれ、切り欠き１１１の開
き角度αを薄肉部中心Ｃを中心として、α＝３６０／Ｎ
ｔに設定して、打ち抜き形成されている。薄肉部１１２
はわずかな加工力で円環状に曲げることが可能な程度に
細く短く形成されている。また、帯状のヨーク素材１１
０ａは切り欠き１１１側を内側に両端が接合するまで円
環状に曲げてヨークシート（図示せず）を形成した時、
切り欠き１１１も隙間なく接合し、開口１１３はティー
ス１２１の基端部１２１ａと隙間なく結合される形状に
なっている。ヨークシート（図示せず）を積層し外コア
を形成する積層ヨーク体１１０を構成する。１２０は固
定子鉄心１００の内コアを形成する積層ティース体であ
り、方向性電磁鋼板１３０を磁化容易方向Ｌが固定子鉄
心１００の鉄心中の磁路の方向と一致するように打ち抜
かれた帯状のティース素材１２０ａを円環状にしたティ
ースシート（図示せず）を積層して形成されている。テ
ィース素材１２０ａは、一方の端部がヨークシート（図
示せず）の開口１１３との結合部である基端部１２１ａ
でもう一方の端部が回転子に対向する拡歯部１２１ｂで
あり、基端部１２１ａと拡歯部１２１ｂの中間を脚部１
２１ｃで構成するティース１２１の脚部１２１ｃが長手
方向が磁化容易方向Ｌである帯状の方向性電磁鋼板１３
０の幅方向に並ぶようにティース１２１を配列し、隣り
合うティース１２１の拡歯部１２１ｂの端を薄肉部１２
２で連結して打ち抜いたものである。薄肉部１２２はわ
ずかな加工力で円環状に曲げることが可能な程度に細く
短く形成されている。また帯状のティース素材１２０ａ
はティース１２１を設けた側を外側にして両端が接合す
るよう円環状に曲げられてティースシート（図示せず）
を形成し、積層して内コアを形成する積層ティース体１
２０を構成している。外コアを形成する積層ヨーク体１
１０と内コアを形成する積層ティース体１２０とを開口
１１３と基端部１２１ａで結合固定し電動機の固定子鉄
心１００を形成する。
【００３４】なお、巻線処理前に、積層ヨーク体１１０
及び積層ティース体１２０に焼鈍処理を施し、打ち抜き
歪みや加工歪みを除去すれば、より効率の高い電動機の
固定子鉄心１００を得ることができる。
【００３５】方向性電磁鋼板１３０の磁化容易方向の磁
気特性は、一般に、無方向性電磁鋼板の磁気特性と比較
して良好である。板厚０．３５mmの代表的な無方向性電
磁鋼板では、Ｗ１５／５０＝４〜６（Ｗ／kg）、Ｂ５０
＝１．７（Ｔ）程度である。また、高効率用の電磁鋼板
の場合でも、Ｗ１５／５０＝２〜３（Ｗ／kg）である。
一方、板厚０．３５mmの方向性電磁鋼板１３０の磁化容
易方向では、Ｗ１５／５０＝１〜２（Ｗ／kg）、Ｂ５０
＝２．０（Ｔ）程度である。したがって、鉄損が少な
く、低入力にて同一出力が実現可能であり、銅損も減少
する。また占積率の向上により、スロットを小さくで
き、または銅量を増加できるので、さらなる効率向上が
実現される。
【００３６】以上の構成により、従来の環状のコアシー
トを打ち抜いてなる電動機の固定子鉄心と比較し、出力
１ｋＷ程度の小形ブラシレスモータでは２〜３％程度の
効率向上が実現した。
【００３７】これは、従来の電動機の場合の界磁鉄損が
約３０Ｗ、一次銅損４０Ｗであり、本構成によると、界
磁鉄損が２０Ｗ程度、一次銅損が３５Ｗ程度に減少する
ことによる。
【００３８】特に、回転子に希土類永久磁石を用いた場
合でも、飽和磁束密度が高いので、永久磁石の特性を充
分に活かし、小形で効率の高い電動機を提供できる。
【００３９】なお、切り欠き１１１の形状やヨーク素材
１１０ａの開口１１３及びこれと係合するティース素材
１２０ａの基端部１２１ａの形状は任意であり、切り欠
き１１１の数はティース１２１の数と必ずしも一致する
必要はない。切り欠き１１１の数がティース１２１の数
と異なる場合は、それぞれの切り欠き１１１の角度の合
計が３６０゜であればよい。
【００４０】（実施例２）図５（ａ），（ｂ），
（ｃ），（ｄ）は、本発明の実施例２における電動機の
固定子鉄心の製造方法の工程を示す図である。図５
（ａ），（ｂ），（ｃ），（ｄ）において、まず、図５
（ａ）に示すように、磁束の流れる方向と平行に薄肉部
１１２でつながれたヨーク素材１１０ａ及び磁束の流れ
る方向と垂直に薄肉部１２２でつながれたティース素材
１２０ａを、磁化容易方向Ｌをそれぞれの鉄心中の磁束
の流れる方向と一致させて打ち抜く。次に、図５（ｂ）
に示すように、ヨーク素材１１０ａを積層した後、環状
に曲げ、または環状に曲げた後、積層し、外コアを形成
する積層ヨーク体１１０を作成する。環状にした際、切
り欠き１１１は、隙間なく接合し、良好な磁路を形成す
る。一方、ティース素材１２０ａは図５（ｃ）に示すよ
うに、積層した後環状に曲げ、または環状に曲げた後、
積層し、内コアを形成する積層ティース体１２０を作成
する。絶縁処理、巻線（図示せず）等を施した後に、図
５（ｄ）に示すように、外コアを形成する積層ヨーク体
１１０と内コアを形成する積層ティース体１２０を溶
着，溶接，接着，圧着，圧入などにより固定し、電動機
の固定子鉄心１００を製造する。
【００４１】なお、本実施例では、１つのヨーク素材１
１０ａ，ティース素材１２０ａで、環状の鉄心一枚を形
成しているが、鉄心形状や電磁鋼板のコイル幅などによ
り、鉄心３６０゜分を数個に分割してもよく、またヨー
ク素材１１０ａ，ティース素材１２０ａ一枚で、螺旋状
にして、数枚分の鉄心を形成してもよい。
【００４２】以上の製造方法により、外コアを形成する
積層ヨーク体１１０及び内コアを形成する積層ティース
体１２０をそれぞれ環状にし、精度を出した後に接合す
るため、積層ヨーク体１１０と積層ティース体１２０の
固着力が強力で、精度の良い電動機の固定子鉄心１００
を生産性良く製造することができる。さらに、磁路の微
少なギャップによる磁気抵抗を小さくすることができ
る。
【００４３】（実施例３）図６（ａ），（ｂ）は、本発
明の実施例３の電動機の固定子鉄心の製造方法の工程を
示す図である。図６（ａ），（ｂ）において、磁束の流
れる方向と平行に薄肉部でつながれたヨーク素材１１０
ａ（図５）及び磁束の流れる方向と垂直に薄肉部でつな
がれたティース素材１２０ａ（図５）を、磁化容易方向
Ｌをそれぞれの鉄心の磁束の流れる方向と一致させて打
ち抜く。まず、ティース素材１２０ａ（図５）を積層
し、環状にした内コアを形成する積層ティース体１２０
に巻線（図示せず）を施した後、図６（ａ）に示すよう
に外側から、積層したヨーク素材１１０ａを湾曲しなが
ら積層ティース体１２０に固定していき、図６（ｂ）の
ように完成させる。
【００４４】以上の製造方法により、わずかな加工力に
て外コアを形成する積層ヨーク体１１０と内コアを形成
する積層ティース体１２０を結合でき、かつ、内コアを
形成する積層ティース体１２０に加わる力もわずかなた
め、固定子鉄心１００の内径の精度も良く、生産性良く
電動機の固定子鉄心１００が製造できる。
【００４５】（実施例４）図７（ａ），（ｂ）は、本発
明の実施例４の電動機の固定子鉄心の製造方法の工程を
示す図である。図７（ａ），（ｂ）において、ヨーク素
材１１０ａ（図５）を積層した後に巻線用枠（図示せ
ず）を施し、トロイダル巻線１４１を施した後、図７
（ａ）に示すように、積層したヨーク素材１１０ａを円
環状に曲げて外コアを形成する積層ヨーク体１１０を作
成する。
【００４６】トロイダル巻線１４１を施した外コアを形
成する積層ヨーク体１１０に、ティース素材１２０ａ
（図５）を積層し、環状にした内コアを形成する積層テ
ィース体１２０を結合することにより、図７（ｂ）に示
すような電動機の固定子鉄心１００を製造する。
【００４７】以上の製造方法により、容易かつ高速にト
ロイダル巻線１４１を行うことができ、整列巻線が可能
であるため、占積率を高くすることも可能である。した
がって、生産性良く効率の高いトロイダル巻線１４１の
電動機の固定子鉄心１００を製造できる。
【００４８】なお、ティース素材１２０ａを積層し、環
状にした内コアを形成する積層ティース体に、トロイダ
ル巻線１４１を施した積層したヨーク素材１１０ａを外
側から湾曲させながら、固定してもよい。
【００４９】（実施例５）図８（ａ），（ｂ）は、本発
明の実施例５の電動機の固定子鉄心の製造方法の工程を
示す図である。図８（ａ），（ｂ）において、ティース
素材１２０ａ（図５）を積層後、積層したそれぞれのテ
ィースに巻線用枠（図示せず）を施し、図８（ａ）に示
すように巻線１４２を施し、内コアを形成する積層ティ
ース体１２０を形成し、図８（ｂ）に示すようにヨーク
素材１１０ａ（図５）を積層して環状にした外コアを形
成する積層ヨーク体１１０と結合し、電動機の固定子鉄
心１００を製造する。固定子の巻線１４２を形成する積
層ティース体１２０の外側から施すため、重ね巻や集中
巻等を行っても、巻線性が良好で、かつ占積率も高くで
き、効率の高い電動機の固定子鉄心１００を生産性良く
製造できる。
【００５０】なお、ティース素材１２０ａを積層し、環
状にして巻線を施した内コアを形成するティース素材１
２０に、積層したヨーク素材１１０ａを外側から湾曲さ
せながら、固定してもよい。
【００５１】（実施例６）図９は、本発明の実施例６の
電動機の固定子鉄心の斜視図である。図９において、実
施例１と同様に外コアである積層ヨーク体１１０と内コ
アである積層ティース体１２０を結合固定した後、内コ
アである積層ティース体１２０の薄肉部１２２を、積層
方向に切除する切除部１２３ａを設けたものである。切
除するのは、全てのティースシート１２０ｂでも、両端
の少数枚をティースシート１２０ｂ残した他の全てのテ
ィースシート１２０ｂでもよい。
【００５２】以上の構成により、固定子の巻線（図示せ
ず）に流れる電流によりティース１２１に発生した磁束
が、回転子にわたらずに隣接するティース１２１に回り
込むことを防止し、磁束を有効に利用し、効率の高い電
動機を提供することができる。磁気回路の利用効率から
は、全てのティースシート１２０ｂの薄肉部１２２を切
除することが望ましいが、固定子鉄心１００の内径の精
度が特に必要な場合などは、両端のティースシート１２
０ｂ少数枚を除く全てのティースシートの薄肉部１２２
を切除すればよい。
【００５３】（実施例７）図１０は、本発明の実施例７
の電動機の固定子鉄心の平面図である。図１１は、同電
動機の固定子鉄心のヨーク素材及びティース素材の平面
図である。図１０，図１１において、固定子鉄心２００
の外コアを形成する積層ヨーク体２１０は、方向性電磁
鋼板１３０を磁化容易方向Ｌが、鉄心中の磁路の方向と
一致するように打ち抜かれた帯状のヨーク素材２１０ａ
を円環状に形成したヨークシート（図示せず）を積層し
て構成されている。
【００５４】ヨーク素材２１０ａは、長手方向が磁化容
易方向Ｌである帯状の方向性電磁鋼板１３０の一方の長
辺側にティース２２１の基端部２２１ａに係合する開口
２１３を所定の間隔でティース１２１の数Ｎｔに等しい
数だけ設け、隣り合う開口２１３の中間に帯状の方向性
電磁鋼板１３０の他方の長辺側に向けて先すぼまりの切
り欠き２１１を設け、その先端の薄肉部２１２でつなが
れ、切り欠き２１１の開き角度αを薄肉部中心Ｃを中心
として、α＝３６０／Ｎｔに設定して、打ち抜き形成さ
れている。薄肉部１１２はわずかな加工力で円環状に曲
げることが可能な程度に細く短く形成されている。ま
た、帯状のヨーク素材２１０ａは切り欠き２１１側を内
側に両端が接合するまで円環状に曲げてヨークシート
（図示せず）を形成した時、切り欠き２１１も隙間なく
接合するようになっている。ヨークシート（図示せず）
を積層して外コアを形成する積層ヨーク体２１０を構成
する２２０は固定子鉄心２００の内コアを形成する積層
ティース体であり、方向性電磁鋼板１３０を磁化容易方
向Ｌが鉄心中の磁路の方向し一致するように打ち抜かれ
た帯状のティース素材２２０ａを円環状にしたティース
シート（図示せず）を積層して形成されている。ティー
ス素材２２０ａは一方の端部がヨークシート（図示せ
ず）の開口２１３との結合部である基端部２２１ａで、
もう一方の端部が回転子に対向する拡歯部２２１ｂであ
り、基端部１２１ａと拡歯部１２１ｂの中間を脚部２２
１ｃで構成するティース２２１の脚部２２１ｃが長手方
向が磁化容易方向Ｌである方向性電磁鋼板（図示せず）
の幅方向に並ぶように２２１を配列し、隣り合うティー
ス２２１の拡歯部２２１ｂの端を薄肉部２２２で連結し
て打ち抜いたものである。薄肉部２２２はわずかな加工
力で円環状に曲げることが可能な程度に細く短く形成さ
れている。また、帯状のティース素材２２０ａはティー
ス２２１を設けた側を外側にして両端が接合するよう円
環状に曲げられてティースシート（図示せず）を形成
し、積層して内コアを形成する積層ティース体２２０を
構成する。
【００５５】外コアを形成する積層ヨーク体２１０と内
コアを形成する積層ティース体２２０とを開口２１３と
基端部２２１ａで結合固定し電動機の固定子鉄心２００
を形成する。
【００５６】以上の構成による作用は実施例１と同様で
あるので説明を省略するが、外コアを形成する積層ヨー
ク体２１０の切り欠き２１１や薄肉部２１２が内コアを
形成する積層ティース体２２０と結合する開口２１３の
位置にないため、外コアを形成する積層ヨーク体２１０
に内コアを形成する積層ティース体２２０を圧入した時
の結合力が強い。
【００５７】（実施例８）図１２は、本発明の実施例８
の電動機の固定子鉄心の平面図である。図１３は、同電
動機の固定子鉄心のヨーク素材の打ち抜きパターンを示
す図、図１４は、同電動機の固定子鉄心のティース素材
の打ち抜きパターンを示す図である。また、図１５は、
同電動機の固定子鉄心のヨーク素材及びティース素材の
平面図である。図１６は、本発明の実施例８の他の電動
機の固定子鉄心の平面図である。図１７（ａ），
（ｂ），（ｃ），（ｄ）は、本発明の実施例８の電動機
の固定子鉄心の製造方法の工程を示す図である。図１２
から図１７において、固定子鉄心３００の外コアを形成
する積層ヨーク体３１０は、方向性電磁鋼板１３０を、
磁化容易方向Ｌが、鉄心中の磁路の方向と一致するよう
に打ち抜かれた帯状のヨーク素材３１０ａを円環状に形
成したヨークシート（図示せず）を積層して構成されて
いる。
【００５８】ヨーク素材３１０ａは、ティース３２１の
数Ｎｔに等しい数で、スロットにあたる部分に切り欠き
３１１を有し、薄肉部３１２でつながれ、切り欠き３１
１の開き角度αは、薄肉部の中心Ｃを中心とし、α＝３
６０／Ｎｔに設定されている。薄肉部３１２は、わずか
な加工力で曲げることが可能な程度に細く短く形成され
ている。
【００５９】内コアを形成する積層ティース体３２０
は、方向性電磁鋼板１３０を、磁化容易方向Ｌが、鉄心
中の磁路の方向と一致するように打ち抜かれた帯状のテ
ィース素材３２０ａを環状に形成したティースシート
（図示せず）を積層して構成されている。
【００６０】ティース素材３２０ａは、ティース３２１
が薄肉部３２２でつながれている。ヨーク素材３１０ａ
は、ティース３２１の基端部３２１ａと係合する開口３
１３を有し、ヨーク素材３１０ａを円環状にして切り欠
き３１１が接合したとき、ティース３２１の基端部３２
１ａと隙間なく結合する形状となっている。
【００６１】外コアを形成する積層ヨーク体３１０と内
コアを形成する積層ティース体３２０を結合固定して電
動機の固定子鉄心３００を形成する。
【００６２】なお、切り欠き３１１の形状やヨーク素材
３１０ａの開口３１３とティース素材３２０ａの基端部
３２１ａの形状は任意であり、図１６に示す開口３１３
ａや基端部３２１ｄのような形状であってもよい。切り
欠き３１１の数はティース３２１の数と必ずしも一致す
る必要はない。切り欠き３１１の数がティース３２１の
数と異なる場合は、それぞれの切り欠き３１１の開き角
度ｄの合計が３６０゜であればよい。
【００６３】以上のように構成された電動機の固定子鉄
心３００の製造方法を図１７により説明する。
【００６４】まず、図１７（ａ）に示すように、磁束の
流れる方向と平行に薄肉部３１２でつながれたヨーク素
材３１０ａ及び磁束の流れる方向と垂直に薄肉部３２２
でつながれたティース素材３２０ａを、磁化容易方向Ｌ
をそれぞれの鉄心中の磁束の流れる方向と一致させて打
ち抜く。次に、図１７（ｂ）のように、ヨーク素材３１
０ａを積層した後環状に曲げ、内コアを形成する積層テ
ィース体３２０を形成する。一方で、ボビン３４１に巻
線３４２を施し、内コアを形成する積層ティース体３２
０の積層されたそれぞれのティース３２１に挿入し、図
１７（ｃ）のごとく内コアを形成する積層ティース体３
２０の巻線完成品を作成する。
【００６５】また、ヨーク素材３１０ａを積層して環状
に曲げ、外コアを形成する積層ヨーク体３１０を形成
し、内コアを形成する積層ティース体３２０の巻線完成
品と結合固定して、図１７（ｄ）のごとく電動機の固定
子鉄心３００を製造する。
【００６６】なお、本製造方法において、内コアを形成
する積層ティース体３２０は、それぞれのティース３２
１毎に分割されていてもよい。
【００６７】本製造方法においては、単体のボビン３４
１に巻線３４２を施すため、巻線性が良好で、かつ、占
積率も高くできるとともに、固定子鉄心３００そのもの
に巻線用枠を施す必要がないため、効率の高い電動機を
生産性良く製造することができる。
【００６８】（実施例９）図１８は、本発明の実施例９
の電動機の固定子鉄心の斜視図であり、図１９は同電動
機の固定子鉄心の平面図である。図１８において、電動
機の固定子鉄心３００ａの内コアを形成する積層ティー
ス体３２０ｂの薄肉部３２２を積層方向に切除する切除
部３２３ａを設けたものである。切除部３２３ａは、全
てのティースシート３２０ｄでも、両端のティースシー
ト３２０ｄ少数枚を残した全てのティースシート３２０
ｄでもよい。
【００６９】以上の構成により、固定子の巻線３４２に
流れる電流により発生した磁束が、回転子にわたらずに
隣接するティース３２１に回り込むことを防止し、磁束
を有効に利用し、効率の高い電動機を提供する。また、
図１９において、固定子鉄心３００ｂの内コアを形成す
る積層ティース３２０ｃの薄肉部３２２の積層方向の切
除を円周方向にひねった切除部３２３ｂとすることによ
り、回転むらを小さくし、振動・騒音の小さい電動機を
提供することができる。また、切除部３２３ｂのひねり
の中心角度θは、切除部３２３ｂの幅の中心角度δ以上
であることが望ましい。
【００７０】また、ひねりの中心角度θは、かご型回転
子を持つ誘導電動機の場合、回転子の１スロットピッチ
と等しくすると、回転子のスキューが不要で、同様の効
果が得られる。
【００７１】また、永久磁石回転子を有する電動機の場
合、ひねりの中心角度θは、３６０／（固定子ティース
数と回転子磁極数の最小公倍数）と等しくするとよい。
３６０／（固定子ティース数と回転子磁極数の最小公倍
数）は、コギングトルクの周期角度である。コギングト
ルクの発生の原因である固定子スロットのオープン部
を、コギングトルクの周期角度ずらすことにより、コギ
ングトルクによる電動機の振動を低減することが可能で
ある。
【００７２】（実施例１０）図２０は、本発明の実施例
１０の電動機の固定子鉄心の平面図である。図２０にお
いて、固定子鉄心４００の外コアを形成する積層ヨーク
体４１０は、実施例８と同様であるので、構成について
の説明は省略する。
【００７３】ティース４２１は、方向性電磁鋼板（図示
せず）を、磁化容易方向Ｌが、鉄心中の磁路の方向と一
致するように打ち抜かれ、積層させる。
【００７４】外コアを形成する積層ヨーク体４１０に
は、ティース４２１の基端部４２１ａと係合する開口４
１３を有し、ティース４２１の基端部４２１ａと隙間な
く結合する形状となっている。
【００７５】外コアを形成する積層ヨーク体４１０とそ
れぞれの積層されたティース４２１を結合固定して電動
機の固定子鉄心４００を形成する。
【００７６】以上の構成により、固定子の巻線（図示せ
ず）に流れる電流により発生した磁束が、回転子にわた
らずに隣接するティース４２１に回り込むことを防止す
るため実施例９に示す固定子鉄心の積層ティース体の薄
肉部の切除工程が不要である。また、外コアを形成する
積層ヨーク体４１０を精度良く円環状にすれば、固定子
鉄心４００の内径の精度も良好である。実施例８と同様
に、ボビン単体（図示せず）に巻線（図示せず）を施し
てそれぞれの積層されたティース４２１に挿入した後、
外コアを形成する積層ヨーク体４１０に結合固定すると
いう製造方法の採用も可能である。
【００７７】（実施例１１）図２１は、本発明の実施例
１１の電動機の固定子鉄心の平面図である。図２２は、
同電動機の固定子鉄心のヨーク素材及びティース素材の
平面図、また図２３は、ヨーク素材及びティース素材の
要部拡大図である。図２１から図２３において、固定子
鉄心５００の外コアを形成する積層ヨーク体５１０は、
方向性電磁鋼板（図示せず）を、磁化容易方向Ｌが、鉄
心中の磁路の方向と一致するように打ち抜かれた帯状の
ヨーク素材５１０ａを円環状に形成したヨークシート
（図示せず）を積層して構成されている。
【００７８】ヨーク素材５１０ａは、ティース５２１の
数Ｎｔに等しい数で、ティース５２１の基端部５２１ａ
と係合する切り欠き５１１を有し、薄肉部５１２でつな
がれ、切り欠き５１１の開き角度βは、薄肉部中心Ｃを
中心とし、ティース５２１の基端部５２１ａの開き角度
をγとすると、β＝３６０／Ｎｔ＋γに設定されてい
る。薄肉部５１２は、わずかな加工力で曲げることが可
能な程度、細く短く形成されている。
【００７９】また、内コアを形成する積層ティース体５
２０は、方向性電磁鋼板（図示せず）を、磁化容易方向
Ｌが、鉄心中の磁路の方向と一致するように打ち抜かれ
た帯状のティース素材５２０ａを環状に形成したティー
スシート（図示せず）を積層して構成されている。
【００８０】ティース素材５２０ａは、ティース５２１
が薄肉部５２２でつながれている。ヨーク素材５１０ａ
の切り欠き５１１は、環状に曲げてティース５２１と基
端部５２１ａと結合したとき、ティース５２１の基端部
５２１ａと隙間なく結合する形状となっている。
【００８１】外コアを形成する積層ヨーク体５１０と内
コアを形成する積層ティース体５２０を結合固定して電
動機の固定子鉄心５００を形成する。
【００８２】以上の構成により、積層ヨーク体５１０と
積層ティース体５２０の結合部分の磁気回路上の微小ギ
ャップを最少にでき、良好な磁気回路を得ることが可能
となり、効率の高い電動機の固定子鉄心を提供すること
が可能である。
【００８３】なお、本発明は電動機の種類，形状，極
数，駆動方式等に関係なく適用でき、同様の効果を得る
ことができる。
【００８４】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、請求項
１記載の発明によれば、積層鉄心中の磁束の方向が全て
方向性電磁鋼板の磁化容易方向に一致しているので、鉄
損及び銅損が低く、したがって効率の高い電動機の固定
子鉄心を、生産性良く製造することができる。
【００８５】また、請求項２から５記載の発明によれ
ば、外コアを形成する積層ヨーク体の構成部品の部品点
数が少なく、生産性が良好で、かつ、鉄心中の磁束の流
れる方向の全てが磁化容易方向と一致し、また円環状に
形成したときの磁気回路上のギャップが小さいので良好
な磁気回路が得られ、効率の高い電動機を提供すること
ができる。
【００８６】また、請求項６記載の発明によれば、内コ
アを形成する積層ティース体が一体の帯状のティース素
材で構成するので部品点数が少なく、固定子鉄心内径の
精度が高く生産性が良好で、かつ、鉄心中の磁束の流れ
る方向の全てが磁化容易方向と一致するので良好な磁気
回路が得られ、効率の高い電動機を提供することができ
る。
【００８７】また、請求項７及び８記載の発明によれ
ば、テイースに発生した磁束が隣接するティースに回り
込むことを防止し、無効磁束を抑制し、効率の高い電動
機を提供することができる。
【００８８】また、請求項９から１１記載の発明によれ
ば、効率が高く、固定子のスロットオープン部が存在す
るために発生する回転むらを防止し、振動・騒音の小さ
い電動機を提供することができる。
【００８９】また、請求項１２記載の発明によれば、生
産性が良く、精度の良好な電動機の固定子鉄心の製造方
法を提供するものである。
【００９０】また、請求項１３から１５記載の発明によ
れば、加工が容易な電動機の固定子鉄心の製造方法を提
供するものである。
【００９１】また、請求項１７記載の発明によれば、焼
鈍処理により打ち抜き歪みや加工歪みを除去し、より効
率の高い電動機を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の実施例１の電動機の固定子鉄心の平面
図
【図２】同電動機の固定子鉄心のヨーク素材の打ち抜き
パターンを示す図
【図３】同電動機の固定子鉄心のティース素材の打ち抜
きパターンを示す図
【図４】同電動機の固定子鉄心のヨーク素材及びティー
ス素材の拡大図
【図５】本発明の実施例２の電動機の固定子鉄心の製造
方法の工程を示す図
【図６】本発明の実施例３の電動機の固定子鉄心の製造
方法の工程を示す図
【図７】本発明の実施例４の電動機の固定子鉄心の製造
方法の工程を示す図
【図８】本発明の実施例５の電動機の固定子鉄心の製造
方法の工程を示す図
【図９】本発明の実施例６の電動機の固定子鉄心の斜視
図
【図１０】本発明の実施例７の電動機の固定子鉄心の平
面図
【図１１】同電動機の固定子鉄心のヨーク素材及びティ
ース素材の平面図
【図１２】本発明の実施例８の電動機の固定子鉄心を示
す平面図
【図１３】同電動機の固定子鉄心のヨーク素材の打ち抜
きパターンを示す図
【図１４】同電動機の固定子鉄心のティース素材の打ち
抜きパターンを示す図
【図１５】同電動機の固定子鉄心のヨーク素材及びティ
ース素材の平面図
【図１６】本発明の実施例８の他の電動機の固定子鉄心
の平面図
【図１７】本発明の実施例８の電動機の固定子鉄心の製
造方法の工程を示す図
【図１８】本発明の実施例８の電動機の固定子鉄心の斜
視図
【図１９】同電動機の固定子鉄心の斜視図
【図２０】本発明の実施例１０の電動機の固定子鉄心の
平面図
【図２１】本発明の実施例１１の電動機の固定子鉄心の
平面図
【図２２】同電動機の固定子鉄心のヨーク素材及びティ
ース素材の平面図
【図２３】同電動機の固定子鉄心のヨーク素材及びティ
ース素材の要部拡大図
【図２４】従来例の電動機の固定子鉄心の平面図
【符号の説明】
１００，２００，３００，３００ａ，３００ｂ，４０
０，５００ 固定子鉄心 １１０，２１０，３１０，４１０，５１０ 積層ヨーク
体 １１０ａ，２１０ａ，３１０ａ，５１０ａ ヨーク素材 １１１，２１１，３１１，５１１ 切り欠き １１２，２１２，３１２，５１２ 薄肉部 １１３，２１３，３１３，３１３ａ，４１３ 開口 １２０，２２０，３２０，３２０ｂ，３２０ｃ，５２０
積層ティース体 １２０ａ，２２０ａ，３２０ａ，５２０ａ ティース素
材 １２０ｂ，３２０ｄ ティースシート １２１，２２１，３２１，４２１，５２１ ティース １２１ａ，２２１ａ，３２１ａ，３２１ｄ，４２１ａ，
５２１ａ 基端部 １２１ｂ，２２１ｂ 拡歯部 １２１ｃ，２２１ｃ 脚部 １２２，２２２，３２２，５２２ 薄肉部（ティース素
材の） １２３ａ，３２３ａ，３２３ｂ 切除部 １３０ 方向性電磁鋼板 １４１ トロイダル巻線 １４２，３４２ 巻線 ３４１ ボビン Ｌ 磁化容易方向 Ｃ 薄肉部中心
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 加藤 久孝 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】方向性電磁鋼板を積層してなる積層ヨーク
    体と、方向性電磁鋼板を積層してなり、一方の端部が積
    層ヨーク体との結合部である基端部でもう一方の端部が
    回転子に対向する拡歯部であり、基端部と拡歯部の中間
    を脚部で構成するティースが所定の数連結された積層テ
    ィース体とからなり、前記積層ヨーク体と前記積層ティ
    ース体が結合手段によって一体に結合固定されてなる電
    動機の固定子鉄心において、前記方向性電磁鋼板の磁化
    容易方向が電動機運転時に積層鉄心を流れる磁束の方向
    と略同一となるように前記積層ヨーク体及び前記積層テ
    ィース体を配置したことを特徴とする電動機の固定子鉄
    心。
  2. 【請求項２】長手方向が磁化容易方向である帯状の方向
    性電磁鋼板の一方の長辺側から他方の長辺側に向けて先
    すぼまりの切り欠きを所定の数Ｎ１個形成し、先すぼま
    りの前記切り欠きの開き角度を３６０／Ｎ１に設定し、
    前記切り欠き側を内側にして前記方向性電磁鋼板を円環
    状に折り曲げて積層ヨーク体を形成したことを特徴とす
    る請求項１記載の電動機の固定子鉄心。
  3. 【請求項３】長手方向が磁化容易方向である帯状の方向
    性電磁鋼板の一方の長辺側にティースの基端部が係合す
    る開口を所定間隔で形成し、前記開口の奥端から帯状の
    前記方向性電磁鋼板の他方の長辺側に向けて先すぼまり
    の切り欠きを設けたヨーク素材から形成したことを特徴
    とする積層ヨーク体を有する請求項２記載の電動機の固
    定子鉄心。
  4. 【請求項４】長手方向が磁化容易方向である帯状の方向
    性電磁鋼板の一方の長辺側にティースの基端部が係合す
    る開口を所定間隔で形成し、隣り合う前記開口の中間に
    帯状の前記方向性電磁鋼板の他方の長辺側に向けて先す
    ぼまりの切り欠きを設けたヨーク素材から形成したこと
    を特徴とする積層ヨーク体を有する請求項２記載の電動
    機の固定子鉄心。
  5. 【請求項５】ヨーク素材をティースの基端部が係合する
    開口が所定の間隔で設けられた側を内側として円環状に
    曲げて形成された積層ヨーク体と、積層ティース体とが
    前記ティースの前記基端部と前記積層ヨーク体の前記開
    口で嵌合結合して連続した磁路を形成したことを特徴と
    する請求項３または４記載の電動機の固定子鉄心。
  6. 【請求項６】積層ティース体は、長手方向が磁化容易方
    向である帯状の方向性電磁鋼板に脚部が前記方向性電磁
    鋼板の幅方向に並ぶようにティースを配置し、隣り合う
    ティースの拡歯部の端を薄肉部で連結して打ち抜かれた
    ティース素材を積層して形成したことを特徴とする請求
    項１から５のいずれかに記載の電動機の固定子鉄心。
  7. 【請求項７】積層ヨーク体と積層ティース体を結合固定
    の後、積層ティース体の薄肉部を、積層方向に切除した
    ことを特徴とする請求項６記載の電動機の固定子鉄心。
  8. 【請求項８】積層ヨーク体と積層ティース体を結合固定
    の後、積層ティース体の薄肉部を、両端の少数枚のティ
    ースシートを残して積層方向に切除したことを特徴とす
    る請求項６記載の電動機の固定子鉄心。
  9. 【請求項９】薄肉部の積層方向の切除が円周方向に切除
    幅以上のひねりを設けたことを特徴とする請求項７また
    は８記載の電動機の固定子鉄心。
  10. 【請求項１０】かご形回転子を有する誘導電動機におい
    て、薄肉部の切除のひねり角度は回転子の１スロットピ
    ッチに等しくしたことを特徴とする請求項９記載の電動
    機の固定子鉄心。
  11. 【請求項１１】永久磁石回転子を有する電動機におい
    て、固定子ティース数と回転子磁極数の最少公倍数をＮ
    ２とした時、薄肉部切除のひねり角度は３６０／Ｎ２に
    等しくしたことを特徴とする請求項９記載の電動機の固
    定子鉄心。
  12. 【請求項１２】磁束の流れる方向と平行に薄肉部でつな
    がれたヨーク素材及び磁束の流れる方向に対して垂直に
    薄肉部でつながれたティース素材を、磁化容易方向をそ
    れぞれの鉄心の磁束の流れる方向と一致させて打ち抜
    き、それぞれ積層した後に環状にし、または環状にした
    後に積層し、積層ヨーク体と積層ティース体を結合固定
    して固定子鉄心を形成する電動機の固定子鉄心の製造方
    法。
  13. 【請求項１３】磁束の流れる方向と平行に薄肉部でつな
    がれたヨーク素材及び磁束の流れる方向と垂直に薄肉部
    でつながれたティース素材を、磁化容易方向をそれぞれ
    の鉄心の磁束の流れる方向と一致させて打ち抜き、積層
    し環状にした積層ティース体に、外側から、積層したヨ
    ーク素材を湾曲しながら前記積層ティース体に固定して
    いく電動機の固定子鉄心の製造方法。
  14. 【請求項１４】ヨーク素材を積層後、積層したヨーク素
    材に巻線用枠を施し、トロイダル巻線を施した後に積層
    したヨーク素材を環状にする請求項１２または１３記載
    の電動機の固定子鉄心の製造方法。
  15. 【請求項１５】ティース素材を積層後、積層したそれぞ
    れのティースに巻線用枠を施し、巻線を施す請求項１２
    または１３記載の電動機の固定子鉄心の製造方法。
  16. 【請求項１６】ティース素材を積層後、積層したそれぞ
    れのティースに、巻線を施したボビンを挿入する請求項
    １２または１３記載の電動機の固定子鉄心の製造方法。
  17. 【請求項１７】巻線処理前に積層ヨーク体や積層ティー
    ス体を焼鈍処理したことを特徴とする請求項１から１１
    のいずれかに記載の電動機の固定子鉄心または、請求項
    １２から１６のいずれかに記載の電動機の固定子鉄心の
    製造方法による電動機の固定子鉄心。
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