JPH10259747A - 内燃機関用バルブタイミング制御装置 - Google Patents
内燃機関用バルブタイミング制御装置Info
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Abstract
エミッション・燃費等の向上を図ると共に、急加速を抑
制して失火領域への突入を防止すること。 【解決手段】 電源の投入と同時にステップS100に
よる初期化ののち、ステップS200で内燃機関の運転
状態によりVVTの応答性能が推定され、ステップS3
00でVVTの相対回転角が制御され、ステップS40
0でVVTの応答性能に適合するようにスロットルバル
ブの開度を補正するためのスロットル補正ゲインが演算
され、ステップS500でスロットルバルブが制御され
る。これにより、VVTの応答性能が低下しているとき
には、その応答性能に基づきスロットルバルブの開度が
補正され制御されるため、VVTの有効性が最大限に引
出されエミッション・燃費等の向上が図られると共に、
急加速が抑制されることで失火域への突入が防止され
る。
Description
ルブまたは排気バルブの少なくともいずれか一方の開閉
タイミングを運転状態に応じて変更自在な内燃機関用バ
ルブタイミング制御装置に関するものである。
装置に関連する先行技術文献としては、特開昭64−8
0733号公報にて開示されたものが知られている。こ
のものでは、アクセル操作量等に応じてモータを駆動し
てスロットルバルブの開度を制御する所謂、『電子スロ
ットルシステム』と、内燃機関の吸気バルブの開閉タイ
ミングを運転状態に応じて変更自在とするバルブタイミ
ング制御機構(弁作動変更機構)とを備えている。そし
て、バルブタイミング制御機構におけるカムを切替作動
させる際に発生するトルク差によるショックを、アクセ
ルペダル操作量とスロットルバルブの開度との関係を変
更して解消する技術が示されている。
では、作動油の油温を検出し要求されるバルブタイミン
グ制御機構の応答性が満足される油温となるまで、その
バルブタイミング制御機構による制御量を所定以下にガ
ードまたは制御を禁止している。このような制御では、
バルブタイミング制御機構を備えた内燃機関におけるエ
ミッション・燃費等の向上に対する有効性を最大限に引
出すことができないという不具合があった。
るためになされたもので、バルブタイミング制御機構に
よるエミッション・燃費等の向上を図った内燃機関用バ
ルブタイミング制御装置の提供を課題としている。更
に、バルブタイミング制御機構の応答性能に応じて急加
速を抑制して失火域への突入を防止可能な内燃機関用バ
ルブタイミング制御装置の提供を課題としている。
ルブタイミング制御装置によれば、応答性能推定手段で
推定されたバルブタイミング制御機構の応答性能に基づ
き、スロットル開度制御手段で制御されるアクセルペダ
ル操作量とは独立して内燃機関への吸気量を調節するス
ロットルバルブの開度がスロットル開度補正手段にて補
正される。これにより、油温が低くバルブタイミング制
御機構の応答性能が低下しているときには、その応答性
能に基づきスロットルバルブの開度が補正され制御され
るため、バルブタイミング制御機構の有効性が最大限に
引出されエミッション・燃費等の向上が図られる。更
に、バルブタイミング制御機構の応答性能が低下してい
るときには、急加速が抑制されることで失火域への突入
が防止されるという効果が得られる。
御装置では、応答性能推定手段でバルブタイミング制御
機構の応答性能が油温検出手段で検出された直接的また
は間接的な作動油の油温に基づき推定され、更に、その
推定された応答性能が応答性能補正手段で機関回転速度
にて補正されるため、バルブタイミング制御機構の応答
性能を内燃機関の運転状態に応じて正確に知ることがで
きるという効果が得られる。
御装置では、油温検出手段で内燃機関の現在の冷却水
温、始動時の冷却水温、始動後経過時間、始動後点火回
数、始動後燃料噴射回数のうち少なくとも1つに基づき
油温が間接的に検出、即ち、内燃機関の運転状態におけ
る冷却水温の遷移状態、内燃機関の爆発行程やシリンダ
等の摩擦による総発熱量に基づき作動油の油温が推定さ
れるため、油温センサが不要となるという効果が得られ
る。
御装置では、バルブタイミング制御機構の応答性能から
スロットル開度制御手段でスロットルバルブの開度を制
御する際のスロットル制御時定数が算出され、そのスロ
ットル制御時定数を用いてスロットル開度補正手段でス
ロットルバルブの開度が補正される。即ち、スロットル
バルブの開度補正としてバルブタイミング制御機構の応
答速度に基づきスロットルバルブの開度の制御時のスロ
ットル制御時定数が算出され、そのスロットル制御時定
数によりバルブタイミング制御機構の応答性能に対応さ
せスロットルバルブの操作速度が平滑化されているた
め、バルブタイミング制御機構の有効性と相まって急加
速が抑制されるという効果が得られる。
御装置では、スロットル開度補正手段でバルブタイミン
グ制御機構の応答性能が低下しており、かつ内燃機関の
運転状態が急激に減速側へ移行したと判断されたときに
は、アクセルペダル操作量に基づきバルブタイミング制
御機構の遅角側制御が行われると共に、スロットル閉制
御手段でアクセルペダル操作量に対して所定時間遅らせ
スロットルバルブが閉制御される。これにより、バルブ
タイミング制御機構の急激な遅角操作に対してバルブタ
イミング制御機構の遅れによる内部EGR(燃焼室内の
残留ガス)の増大に起因する内燃機関の失火を防止する
ことができるという効果が得られる。
例に基づいて説明する。
かる内燃機関用バルブタイミング制御装置を適用したダ
ブルオーバヘッドカム式内燃機関とその周辺機器を示す
概略構成図である。
関1の駆動軸としてのクランクシャフト31の回転角θ
1 信号を検出するクランク角センサ、3は内燃機関1の
冷却水温THW信号を検出する水温センサ、4は内燃機
関1の吸気バルブ32側の従動軸としてのカムシャフト
33の回転角θ2 信号を検出し、クランク角センサ2か
らの回転角θ1 信号との位相差から相対回転角(変位
角)を算出するためのカム角センサ、5はスロットルバ
ルブ14のスロットル開度TA信号を検出するスロット
ル開度センサ、6は内燃機関1への吸入空気量QA信号
を検出するエアフローメータ等の吸気量センサ、7は油
路の途中に設置され、作動油の油温THO信号を検出す
る油温センサ、8はアクセルペダル操作量としてのアク
セル開度AP信号を検出するアクセル開度センサ、9は
作動油の油圧を調整制御する油圧制御バルブ(Oil-flow
Control Valve:以下『OCV』と記す)、10はOC
V9にて調整された油圧にてカムシャフト33をクラン
クシャフト31との目標とする位相差である目標相対回
転角(目標変位角)に制御するアクチュエータとしての
吸気バルブ32側に設置された油圧式のバルブタイミン
グ制御機構(VariableValve Timming Control Mechanis
m:以下、『VVT』と記す)、11は作動油を内燃機
関1のオイルパン内より吸上げるためのオイルストレー
ナ、12は作動油を圧送するオイルポンプ、13はスロ
ットルバルブ14のスロットル開度を指示される目標ス
ロットル開度に一致させるように駆動するアクチュエー
タとしてのDCモータ、20は各種センサからの入力信
号に基づき内燃機関1の運転状態を検知し、最適な制御
値を演算し、OCV9やDCモータ13に駆動信号を出
力するECU(Electronic Control Unit:電子制御装
置)である。
2を参照して説明する。
処理装置としてのCPU21、制御プログラムを格納し
たROM22、各種データを格納するRAM23、水温
センサ3からの冷却水温THW信号、スロットル開度セ
ンサ5からのスロットル開度TA信号、吸気量センサ6
からの吸入空気量QA信号、油温センサ7からの油温T
HO信号及びアクセル開度センサ9からのアクセル開度
AP信号の各アナログ信号をディジタル信号に変換する
A/D変換回路24、クランク角センサ2からの回転角
θ1 信号及びカム角センサ4からの回転角θ2 信号を波
形整形する波形整形回路25、これら各種情報に基づき
CPU21で算出される後述のOCVDuty (デューテ
ィ比)制御値DOCVに基づく駆動信号IDOCVをOCV
9、出力スロットル開度TAEXに基づく駆動信号ITA
EXをDCモータ13にそれぞれ出力するための出力回路
26からなる論理演算回路として構成されている。
かる内燃機関用バルブタイミング制御装置で使用されて
いるECU20内のCPU21のベースルーチンを示す
図3のフローチャートに基づき説明する。なお、このベ
ースルーチンは所定時間毎にCPU21にて繰返し実行
される。
(電源起動時)にステップS100で、初期化が実行さ
れる。この初期化では、RAM23等のメモリ内容が初
期値に設定されたり、各種センサからの入力信号がチェ
ックされる。このステップS100による初期化のの
ち、以下のループ内の本格的な制御処理が繰返し実行さ
れる。
状態によりVVT10の応答性能の推定処理が実行され
る。次にステップS300に移行して、VVT相対回転
角制御処理が実行される。次にステップS400に移行
して、ステップS200で推定されたVVT10の応答
性能に適合すべくスロットルバルブ14のスロットル開
度を補正するためのスロットル補正ゲインの演算処理が
実行される。次にステップS500に移行して、スロッ
トル制御処理が実行されたのち、ステップS200に戻
り同様な処理が繰返し実行される。
理を各サブルーチン毎に詳細に説明する。
答性能推定処理ルーチンの詳細について、図4のフロー
チャートに基づき、図5のVVT応答特性図を参照して
説明する。なお、このサブルーチンは120ms毎にC
PU21にて繰返し実行される。
VVT10の作動油の油温THOが読込まれる。次にス
テップS202に移行して、ステップS201で読込ま
れた油温THOに対してVVT10が進角側へ変位する
ときの応答速度ARBASがテーブルから算出される。
この油温THOと応答速度ARBASとの関係を表すテ
ーブルは後述のように予め油温THOの影響を受けるV
VT応答速度を考慮して実験等により求められた最適値
である。次にステップS203に移行して、同様に、ス
テップS201で読込まれた油温THOに対してVVT
10が遅角側へ変位するときの応答速度RRBASがテ
ーブルから算出される。なお、VVT応答速度は同じ油
温THOに対して進角側と遅角側とではVVT応答特性
が異なるため各々のテーブルが用意されている。
9に出力されるOCVDuty 制御値DOCVを0%から
100%に変化させたときの目標相対回転角VTT〔°
CA〕に追従して遷移する相対回転角VT〔°CA〕の
傾き(A/B)をVVT応答速度〔°CA/sec〕と
すると、進角側及び遅角側のVVT応答速度は油温
〔℃〕に対応して図5(b)に示すような特性にて遷移
する。
オイルポンプ12は内燃機関1の駆動部に連動している
ために機関回転速度NEに比例した吐出量でありVVT
10の駆動に同じ作動油を用いているため影響を受ける
こととなり、ステップS204で機関回転速度NEに対
する速度補正係数FNEがテーブルから算出される。こ
の機関回転速度NEと速度補正係数FNEとの関係を表
すテーブルは予めポンプ特性から計算・実験等により求
められた最適値である。
プS202で算出された進角側応答速度ARBASに速
度補正係数FNEが乗算され最終的な進角側応答速度A
RPNSが算出される。次にステップS206に移行し
て、ステップS203で算出された遅角側応答速度RR
BASに速度補正係数FNEが乗算され最終的な遅角側
応答速度RRPNSが算出され、本ルーチンを終了す
る。
よるバルブタイミング制御を実施する方式であり、吸気
バルブ32に対する進角/遅角の考え方は、図6に示す
ように、TDC(Top Dead Center:上死点)に対して排
気バルブ34のバルブタイミングが固定され、フレキシ
ブルに吸気バルブのバルブタイミングを進角/遅角させ
ることでオーバラップ量が制御されている。
VT相対回転角制御処理ルーチンの詳細について、図7
のフローチャートに基づき説明する。なお、このサブル
ーチンは16ms毎にCPU21にて繰返し実行され
る。
転速度NE、吸入空気量QAが読込まれる。次にステッ
プS302に移行して、ステップS301で読込まれた
機関回転速度NEと吸入空気量QAとに基づきマップか
らVVT10の目標相対回転角が算出される。ここで、
マップから例えば、NE=ne1,QA=qa1のとき目標
相対回転角としてaが算出される。このマップから求ま
る目標相対回転角は予め計算・実験等により求められた
最適値である。
プS302で算出された目標相対回転角aがRAM23
の目標相対回転角の記憶領域の“VTT”に格納され
る。したがって、以下の説明においては目標相対回転角
VTTと記す。次にステップS304に移行して、クラ
ンク角センサ2及びカム角センサ4からの各入力信号に
基づくVVT10の現在の相対回転角(実相対回転角と
も記す)VTが読込まれる。次にステップS305に移
行して、前回の相対回転角VT(i-1) と今回の相対回転
角VT(i) との偏差から微分値DLVTが算出される。
次にステップS306に移行して、今回の相対回転角V
T(i) と目標相対回転角VTTとの偏差から相対回転角
偏差ERVTが算出される。
プS306で算出された相対回転角偏差ERVTに基づ
きテーブルからP(比例)項補正値PVTが算出され
る。次にステップS308に移行して、ステップS30
5で算出された微分値DLVTに基づきテーブルからD
(微分)項補正値DVTが算出される。なお、ステップ
S307でテーブルから算出されるP項補正値PVT及
びステップS308でテーブルから算出されるD項補正
値DVTは予め計算・実験等により求められた最適値で
ある。次にステップS309に移行して、ステップS3
07で算出されたP項補正値PVTとステップS308
で算出されたD項補正値DVTと前回のOCVDuty 制
御値DOCVとが加算され最終的なOCVDuty 制御値
DOCVが算出され、本ルーチンを終了する。このOC
VDuty 制御値DOCVが出力されるOCV9を介して
VVT10によりVVT相対回転角制御が実行される。
ここで、OCV9の作動では、図8に特性図を示すよう
に、OCVDuty 制御値DOCV〔%〕に比例して油量
が増加されることで相対回転角制御値〔°CA〕が増加
される。
ロットル補正ゲイン演算処理ルーチンの詳細について、
図9のフローチャートに基づき説明する。なお、このサ
ブルーチンは8ms毎にCPU21にて繰返し実行され
る。
のステップS305で算出された微分値DLVTが読込
まれる。次にステップS402に移行して、微分値DL
VTが0以上であるかが判定される。微分値DLVTが
0以上であるときには、相対回転角VTの進角側への変
位が指示されているとしてステップS403に移行し、
図4のステップS205で内燃機関1の運転状態から推
定され算出された進角側応答速度ARPNSが読込まれ
る。次にステップS404に移行して、ステップS40
3で読込まれた進角側応答速度ARPNSに基づきテー
ブルから進角側制御時のスロットル制御時定数Tが算出
され、本ルーチンを終了する。なお、ステップS404
で用いるテーブルにはVVT10の応答性能に適合して
スロットルバルブ14の操作速度を制御するための進角
側応答速度ARPNSに対応するスロットル制御時定数
Tが予め計算・実験等により求められ設定されている。
せず、微分値DLVTが0未満であるときには、相対回
転角VTの遅角側への変位が指示されているとしてステ
ップS405に移行し、図4のステップS206で内燃
機関1の運転状態から推定され算出された遅角側応答速
度RRPNSが読込まれる。次にステップS406に移
行して、ステップS405で読込まれた遅角側応答速度
RRPNSに基づきテーブルから遅角側制御時のスロッ
トル制御時定数Tが算出され、本ルーチンを終了する。
なお、ステップS406で用いるテーブルにはVVT1
0の応答性能に適合してスロットルバルブ14の操作速
度を制御するための遅角側応答速度RRPNSに対応す
るスロットル制御時定数Tが予め計算・実験等により求
められ設定されている。
ロットル制御処理ルーチンの詳細について、図10のフ
ローチャートに基づき説明する。なお、このサブルーチ
ンは8ms毎にCPU21にて繰返し実行される。
セル開度APが読込まれる。次にステップS502に移
行して、ステップS501で読込まれたアクセル開度A
Pに対する目標スロットル開度TTAがテーブルから算
出される。このテーブルには、アクセル開度APに対し
内燃機関1のドライバビリティ(Drivability)や制御性
等を考慮し変換したときの目標スロットル開度TTAが
設定されている。次にステップS503に移行して、目
標スロットル開度TTAに伝達関数のモデル{1/(1
+T・S)}を介してゲイン補正を行い最終的な出力ス
ロットル開度TAEXが算出される。なお、モデル中の
Tは図9のステップS404またはステップS406で
求めたスロットル制御時定数である。
スロットル開度TAが読込まれる。次にステップS50
5に移行して、ステップS504で読込まれた現在のス
ロットル開度TAがステップS503で算出された出力
スロットル開度TAEXを越えているかが判定される。
現在のスロットル開度TAが出力スロットル開度TAE
Xを越えているときには、ステップS506に移行し、
スロットルバルブ14を開閉するDCモータ13を閉側
に駆動し現在のスロットル開度TAを出力スロットル開
度TAEXに一致させる操作処理を行い、本ルーチンを
終了する。
しないときには、ステップS507に移行し、ステップ
S504で読込まれた現在のスロットル開度TAがステ
ップS503で算出された出力スロットル開度TAEX
未満であるかが判定される。現在のスロットル開度TA
が出力スロットル開度TAEX未満であるときには、ス
テップS508に移行し、スロットルバルブ14を開閉
するDCモータ13を開側に駆動し現在のスロットル開
度TAを出力スロットル開度TAEXに一致させる操作
処理を行い、本ルーチンを終了する。一方、ステップS
507の判定条件が成立しないときには、現在のスロッ
トル開度TAが出力スロットル開度TAEXに一致して
いるとしてステップS509に移行し、スロットルバル
ブ14を開閉するDCモータ13を停止状態とし現在の
スロットル開度TAをホールド(保持)する処理を行
い、本ルーチンを終了する。
タイムチャートを用いて説明する。なお、本タイムチャ
ートでは説明の都合上、VVT10の進角側への制御の
みについて述べる。
基づき、VVT10が追従可能な進角側応答速度ARP
NSが求められる。次に、進角側応答速度ARPNSよ
り速いスロットルバルブ14の加速/減速により失火等
の不具合が発生しないよう、適合するスロットル制御時
定数Tが算出され、このスロットル制御時定数Tにより
スロットル制御速度、即ち、出力スロットル開度TAE
Xが補正されることで、そのときの油温THOにより決
定されるVVT応答速度に対応した目標相対回転角VT
Tが設定されるため、目標相対回転角VTTと現在の相
対回転角VTとの偏差である相対回転角偏差ERVTを
小さく抑えることができる。これにより、燃料系や点火
系制御における内燃機関1のバルブタイミングの追従性
が良好となり、ドライバビリティやエミッション等が向
上される。
VT10の遅角域においても、スロットル制御時定数T
によりVVT10の応答性能に適合させスロットルバル
ブ14の操作速度を平滑化しているが、図12にタイム
チャートを示すように、アクセル操作量としてのアクセ
ル開度APの閉側へのアクセル開度微分値DLAPが所
定値γ以上となったときには、アクセル開度APに基づ
き予めVVT10を遅角側へ操作し所定期間ディレイ
(遅延)したのちスロットルバルブ14を閉側に制御す
ることにより、VVT10の急激な遅角操作に対してV
VT10の遅れによる内部EGRの増大に起因する内燃
機関1の失火を防止することができる。
タイミング制御装置は、内燃機関1の駆動軸としてのク
ランクシャフト31から吸気バルブ32を開閉する従動
軸としてのカムシャフト33に駆動力を伝達する駆動力
伝達系に設けられ、カムシャフト33を所定角度範囲内
で相対回転自在なVVT10と、クランクシャフト31
の回転角θ1 を検出する駆動軸回転角検出手段としての
クランク角センサ2と、カムシャフト33の回転角θ2
を検出する従動軸回転角検出手段としてのカム角センサ
4と、クランク角センサ2で検出されたクランクシャフ
ト31の回転角θ1 に対するカム角センサ4で検出され
たカムシャフト33の回転角θ2 の位相差、即ち、カム
シャフト33の相対回転角VTを算出するECU20内
のCPU21にて達成される相対回転角演算手段と、内
燃機関1の運転状態に応じてクランクシャフト31の回
転角θ1 とカムシャフト33の回転角θ2 との目標とす
る位相差である目標相対回転角VTTを算出するECU
20内のCPU21にて達成される目標相対回転角演算
手段と、前記相対回転角演算手段で算出された相対回転
角VTと前記目標相対回転角演算手段で算出された目標
相対回転角VTTとの偏差ERVTに応じて制御回転角
を算出し、VVT10によりカムシャフト33を相対回
転するECU20内のCPU21にて達成される相対回
転角制御手段と、各種情報に基づきアクセルペダル操作
量としてのアクセル開度APとは独立して内燃機関1へ
の吸気量を調節するスロットルバルブ14の開度を制御
するECU20内のCPU21にて達成されるスロット
ル開度制御手段と、VVT10の応答性能を推定するE
CU20内のCPU21にて達成される応答性能推定手
段と、前記応答性能推定手段で推定された応答性能に基
づき前記スロットル開度制御手段で制御されるスロット
ルバルブ14の開度を補正するECU20内のCPU2
1にて達成されるスロットル開度補正手段とを具備する
ものである。
ECU20内のCPU21で推定されたVVT10の応
答性能に基づき、スロットル開度制御手段を達成するE
CU20内のCPU21で制御されるアクセルペダル操
作量としてのアクセル開度APとは独立して内燃機関1
への吸気量を調節するスロットルバルブ14の開度がス
ロットル開度補正手段を達成するECU20内のCPU
21にて補正される。これにより、油温が低くVVT1
0の応答性能が低下しているときには、その応答性能に
基づきスロットルバルブ14の開度が補正され制御され
るため、VVT10の有効性が最大限に引出されエミッ
ション・燃費等の向上が図られる。更に、VVT10の
応答性能が低下しているときには、急加速が抑制される
ことで失火域への突入が防止される。
ング制御装置は、ECU20内のCPU21にて達成さ
れる応答性能推定手段が、VVT10の作動油の油温T
HOを直接的に油温検出手段としての油温センサ7で検
出された油温THOに基づきVVT10の応答性能を推
定し、その推定された応答性能を内燃機関1の機関回転
速度NEで補正する応答性能補正手段とを含むものであ
る。即ち、VVT10の応答性能として具体的には、図
4に示すように、作動油の油温THOに基づき進角側応
答速度ARBAS、遅角側応答速度RRBASが算出さ
れ、更に、機関回転速度NEで補正され進角側応答速度
ARPNS、遅角側応答速度RRPNSが求められるた
め、VVT10の応答性能を内燃機関1の運転状態に応
じて正確に知ることができる。
ミング制御装置は、ECU20内のCPU21にて達成
されるスロットル開度補正手段がVVT10の応答性能
からECU20内のCPU21にて達成されるスロット
ル開度制御手段でスロットルバルブ14の開度を制御す
る際のスロットル制御時定数Tを算出し、そのスロット
ル制御時定数Tを用いてスロットルバルブ14の開度を
補正するものである。即ち、スロットルバルブ14の開
度補正として具体的には、図9に示すように、微分値D
LVTの正負、VVT10の進角側応答速度ARPN
S、遅角側応答速度RRPNSに基づきスロットルバル
ブ14の開度の制御時のスロットル制御時定数Tが算出
され、図10に示すように、そのスロットル制御時定数
TによりVVT10の応答性能に適合させスロットルバ
ルブ14の操作速度が平滑化されているため、VVT1
0の有効性と相まって急加速が抑制される。
ング制御装置は、ECU20内のCPU21にて達成さ
れるスロットル開度補正手段がVVT10の応答性能が
低下しており、かつ内燃機関1の運転状態が急激に減速
側へ移行したと判断したときには、アクセルペダル操作
量としてのアクセル開度APに基づきVVT10の遅角
側制御を行うと共に、アクセル開度APに対して所定時
間遅らせスロットルバルブ14を閉制御するスロットル
閉制御手段を含むものである。即ち、アクセルペダル操
作量として具体的には、図12に示すように、アクセル
開度APの閉側へのアクセル開度微分値DLAPが所定
値γ以上となったときには、アクセル開度APに基づき
予めVVT10を遅角側へ操作し所定期間ディレイした
のちスロットルバルブ14が閉側に制御されるため、V
VT10の急激な遅角操作に対してVVT10の遅れに
よる内部EGRの増大に起因する内燃機関1の失火を防
止することができる。
能推定において、直接、油温センサ7により作動油の油
温を検出しているが、本発明を実施する場合には、これ
に限定されるものではなく、内燃機関の冷却水温の遷移
状態やシリンダ壁の温度の遷移状態、始動時の冷却水
温、経過時間等から推定してもよい。
御装置は、油温検出手段が内燃機関1の現在の冷却水
温、始動時の冷却水温、始動後経過時間、始動後点火回
数、始動後燃料噴射回数のうち少なくとも1つに基づき
油温THOを間接的に検出するものである。即ち、内燃
機関1の運転状態における冷却水温の遷移状態、内燃機
関1の爆発行程やシリンダ等の摩擦による総発熱量に基
づき作動油の油温が推定されるため、上述の実施例にお
けるような油温センサ7を必ずしも配設する必要はな
い。
る内燃機関用バルブタイミング制御装置を適用したダブ
ルオーバヘッドカム式内燃機関とその周辺機器を示す概
略構成図である。
る内燃機関用バルブタイミング制御装置におけるECU
内の電気的構成を示すブロック図である。
る内燃機関用バルブタイミング制御装置で使用されてい
るECU内のCPUにおけるベースルーチンの処理手順
を示すフローチャートである。
理手順を示すフローチャートである。
る内燃機関用バルブタイミング制御装置におけるVVT
応答特性図である。
る内燃機関用バルブタイミング制御装置における吸気バ
ルブに対する進角/遅角制御を示す説明図である。
処理手順を示すフローチャートである。
る内燃機関用バルブタイミング制御装置で用いられてい
るOCVの作動特性図である。
算の処理手順を示すフローチャートである。
理手順を示すフローチャートである。
かかる内燃機関用バルブタイミング制御装置における作
用を説明するタイムチャートである。
かかる内燃機関用バルブタイミング制御装置における変
形例の作用を説明するタイムチャートである。
処理装置としてのCPU21、制御プログラムを格納し
たROM22、各種データを格納するRAM23、水温
センサ3からの冷却水温THW信号、スロットル開度セ
ンサ5からのスロットル開度TA信号、吸気量センサ6
からの吸入空気量QA信号、油温センサ7からの油温T
HO信号及びアクセル開度センサ8からのアクセル開度
AP信号の各アナログ信号をディジタル信号に変換する
A/D変換回路24、クランク角センサ2からの回転角
θ1 信号及びカム角センサ4からの回転角θ2 信号を波
形整形する波形整形回路25、これら各種情報に基づき
CPU21で算出される後述のOCVDuty (デューテ
ィ比)制御値DOCVに基づく駆動信号IDOCVをOCV
9、出力スロットル開度TAEXに基づく駆動信号ITA
EXをDCモータ13にそれぞれ出力するための出力回路
26からなる論理演算回路として構成されている。
Claims (5)
- 【請求項1】 内燃機関の駆動軸から吸気バルブまたは
排気バルブの少なくともいずれか一方を開閉する従動軸
に駆動力を伝達する駆動力伝達系に設けられ、前記駆動
軸または前記従動軸のいずれか一方を所定角度範囲内で
相対回転自在なバルブタイミング制御機構と、 前記駆動軸の回転角を検出する駆動軸回転角検出手段
と、 前記従動軸の回転角を検出する従動軸回転角検出手段
と、 前記駆動軸回転角検出手段で検出された前記駆動軸の回
転角と前記従動軸回転角検出手段で検出された前記従動
軸の回転角との位相差である相対回転角を算出する相対
回転角演算手段と、 前記内燃機関の運転状態に応じて前記駆動軸の回転角と
前記従動軸の回転角との目標とする位相差である目標相
対回転角を算出する目標相対回転角演算手段と、 前記相対回転角演算手段で算出された前記相対回転角と
前記目標相対回転角演算手段で算出された前記目標相対
回転角との偏差に応じて制御回転角を算出し、前記バル
ブタイミング制御機構により前記駆動軸または前記従動
軸を相対回転する相対回転角制御手段と、 各種情報に基づきアクセルペダル操作量とは独立して前
記内燃機関への吸気量を調節するスロットルバルブの開
度を制御するスロットル開度制御手段と、 前記バルブタイミング制御機構の応答性能を推定する応
答性能推定手段と、 前記応答性能推定手段で推定された応答性能に基づき前
記スロットル開度制御手段で制御される前記スロットル
バルブの開度を補正するスロットル開度補正手段とを具
備することを特徴とする内燃機関用バルブタイミング制
御装置。 - 【請求項2】 前記応答性能推定手段は、前記バルブタ
イミング制御機構の作動油の油温を直接的または間接的
に油温検出手段で検出された油温に基づき前記バルブタ
イミング制御機構の応答性能を推定し、その推定された
応答性能を前記内燃機関の機関回転速度で補正する応答
性能補正手段とを含むことを特徴とする請求項1に記載
の内燃機関用バルブタイミング制御装置。 - 【請求項3】 前記油温検出手段は、前記内燃機関の現
在の冷却水温、始動時の冷却水温、始動後経過時間、始
動後点火回数、始動後燃料噴射回数のうち少なくとも1
つに基づき油温を間接的に検出することを特徴とする請
求項2に記載の内燃機関用バルブタイミング制御装置。 - 【請求項4】 前記スロットル開度補正手段は、前記バ
ルブタイミング制御機構の応答性能から前記スロットル
開度制御手段で前記スロットルバルブの開度を制御する
際の時定数を算出し、前記時定数を用いて前記スロット
ルバルブの開度を補正することを特徴とする請求項1に
記載の内燃機関用バルブタイミング制御装置。 - 【請求項5】 前記スロットル開度補正手段は、前記バ
ルブタイミング制御機構の応答性能が低下しており、か
つ前記内燃機関の運転状態が急激に減速側へ移行したと
判断したときには、前記アクセルペダル操作量に基づき
前記バルブタイミング制御機構の遅角側制御を行うと共
に、前記アクセルペダル操作量に対して所定時間遅らせ
前記スロットルバルブを閉制御するスロットル閉制御手
段を含むことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関用
バルブタイミング制御装置。
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