JP4061674B2 - 内燃機関用バルブタイミング制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の吸気バルブまたは排気バルブの少なくとも何れか一方の開閉タイミングを運転状態に応じて変更自在な内燃機関用バルブタイミング制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、内燃機関用バルブタイミング制御装置に関連する先行技術文献としては、特開平8−270467号公報にて開示されたものが知られている。このものでは、内燃機関の吸気量、機関回転数、スロットル開度等により運転状態が減速と判断される期間中、一時的に目標相対回転角(制御目標値)を「0(零)」として可変バルブタイミング制御機構(可変機構)の応答性を高める技術が示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、油圧で位相変化させる可変バルブタイミング制御機構のアクチュエータの応答時間は、前述の内燃機関の運転状態に基づくパラメータの変化に比べて遅く、また、可変バルブタイミング制御機構の応答性が要求される急減速時ほどその応答性を改善する期間が短くなるという実用上の不具合があった。更に、機関回転数変化による減速検出では例えば、A/T(Automatic Transmission:自動変速機)車でのシフトアップ時等で、本来、可変バルブタイミング制御機構の遅角要求がないときにも不必要な遅角操作を実行することになり可変バルブタイミング制御機構の制御安定性を損なうという不具合があった。
【0004】
ここで、油圧式可変バルブタイミング制御機構における所定角度範囲の中間位置にあるときにはその位置を保持するために勿論のこと、最遅角位置にあるときでも次の進角側への応答性確保のために進角室の油圧をある程度確保しておく必要がある。一方、油圧式可変バルブタイミング制御機構における遅角側への応答性を高めるためには、進角室への油圧供給を停止する強制遅角操作を実行するのが効果的であるが、この操作を継続し過ぎるとその後の可変バルブタイミング制御機構の制御性に悪影響を及ぼすという不具合があった。
【0005】
そこで、この発明はかかる不具合を解決するためになされたもので、可変バルブタイミング制御機構における急変時の応答性を改善可能な内燃機関用バルブタイミング制御装置の提供を課題としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1の内燃機関用バルブタイミング制御装置によれば、相対回転角強制制御手段で目標相対回転角の急変が検出されたときには、可変バルブタイミング制御機構により駆動軸または従動軸が目標相対回転角と相対回転角との偏差に応じたフィードバック制御によらず所定期間だけ目標相対回転角の変化方向へ強制的に相対回転される。つまり、目標相対回転角変化量の絶対値が所定値を越えており目標相対回転角が急変していると判定されたときには、所定期間だけ可変バルブタイミング制御機構のアクチュエータへの駆動力が目標相対回転角の変化方向に対する最大とされることで可変バルブタイミング制御機構における応答性が改善できる。これにより、可変バルブタイミング制御機構の目標相対回転角の急変時における相対回転角の遷移状態を素早い立下がり曲線または立上がり曲線にできるという効果が得られる。
【0007】
請求項2の内燃機関用バルブタイミング制御装置では、相対回転角強制制御手段にて可変バルブタイミング制御機構を強制的に相対回転する所定期間が目標相対回転角変化量に応じて設定される。これにより、可変バルブタイミング制御機構の目標相対回転角の急変時における相対回転角の追従性が改善される。
【0008】
請求項3の内燃機関用バルブタイミング制御装置では、相対回転角強制制御手段にて可変バルブタイミング制御機構が強制的に相対回転される所定期間内に目標相対回転角と相対回転角との偏差が所定値以下となったときにはその相対回転が中止されると共に、フィードバック制御による相対回転に移行される。即ち、可変バルブタイミング制御機構における目標相対回転角と相対回転角との偏差が所定値以下となると、所定期間内であろうとも通常のフィードバック制御に移行される。これにより、可変バルブタイミング制御機構の保持回転角近傍における相対回転角の挙動が滑らかなものとなる。
【0009】
請求項4の内燃機関用バルブタイミング制御装置では、内燃機関のスロットル開度の全閉状態が検出されたときには、可変バルブタイミング制御機構に対するより素早い応答性が要求されているとして所定期間が増量補正されることで更なる応答性の改善が期待できる。
【0010】
請求項5の内燃機関用バルブタイミング制御装置では、内燃機関の潤滑油を共用する油圧式可変バルブタイミング制御機構ではその潤滑油の油圧状態または油性状により目標相対回転角に対する相対回転角の追従性が大きく左右されるため、強制的に相対回転される所定期間がそれら油圧状態または内燃機関の冷却水の冷却水温または冷却水温に関連する潤滑油の油温によって検出される油性状に基づき補正されることで、可変バルブタイミング制御機構の応答性が所望のように改善される。特に、油温により応答速度が変動するため内燃機関の冷却水温に関連する油温を知ることで、可変バルブタイミング制御機構を強制的に相対回転する所定期間が適切に補正される。
【0011】
請求項6の内燃機関用バルブタイミング制御装置では、内燃機関の潤滑油を共用する油圧式可変バルブタイミング制御機構において、特に機関回転数の低回転側ではポンプの能力が低下し応答速度が低下するため内燃機関の機関回転数に対応する油圧状態を知ることで、可変バルブタイミング制御機構を強制的に相対回転する所定期間が適切に補正される。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を実施例に基づいて説明する。
【0014】
図1は本発明の実施の形態の一実施例にかかる内燃機関用バルブタイミング制御装置を適用したダブルオーバヘッドカム式内燃機関とその周辺機器を示す概略構成図である。
【0015】
図1において、10は内燃機関であり、内燃機関10の駆動軸としてのクランクシャフト11からチェーン12を介して一対のチェーンスプロケット13,14に駆動力が伝達される。このクランクシャフト11と同期して回転される一対のチェーンスプロケット13,14には従動軸としての一対のカムシャフト15,16が配設され、これらのカムシャフト15,16によって図示しない吸気バルブ及び排気バルブが開閉駆動される。
【0016】
クランクシャフト11にはクランクポジションセンサ21、カムシャフト15にはカムポジションセンサ22がそれぞれ配設されている。このクランクポジションセンサ21から出力されるパルス信号θ1 及びカムポジションセンサ22から出力されるパルス信号θ2 はECU(Electronic Control Unit:電子制御装置)30に入力される。
【0017】
なお、ECU30は、周知の中央処理装置としてのCPU、制御プログラムを格納したROM、各種データを格納するRAM、B/U(バックアップ)RAM、入出力回路及びそれらを接続するバスライン等からなる論理演算回路として構成されている。
【0018】
ECU30には、これらの信号の他に内燃機関10の運転状態に対応するエアフローメータ(図示略)からの単位機関回転数当たりの吸気量(吸入空気量)、スロットル開度センサ(図示略)からのスロットル開度、水温センサ(図示略)からの冷却水温等の各種センサ信号が入力されており、後述のクランクシャフト11に対するカムシャフト15の実相対回転角及び目標相対回転角が算出される。また、クランクポジションセンサ21からのパルス信号θ1 に基づき機関回転数が算出される。そして、ECU30からの駆動信号によりOCV(Oil-flow Control Valve:油圧制御弁)としてのスプールバルブ40のリニアソレノイド41がDuty(デューティ比)駆動され、油タンク45内の油がポンプ46により供給油通路47を通って一方のカムシャフト15に設けられた可変バルブタイミング制御機構(Variable Valve Timming Control Mechanism:以下、『VVT』と記す)50(図1の斜線部)に圧送される。このVVT50に供給される油の油量が調整されることで、カムシャフト15がチェーンスプロケット13、即ち、クランクシャフト11に対し所定の位相差を有して回転自在であり、カムシャフト15が目標相対回転角に設定可能である。なお、VVT50からの油は排出油通路48を通って油タンク45内に戻される。
【0019】
ここで、クランクシャフト11が1回転してクランクポジションセンサ21からのパルス数がN個発生するとき、カムシャフト15の1回転でカムポジションセンサ22からのパルス数がN個発生するようにする。また、カムシャフト15のタイミング変換角最大値をθmax °CA(Crank Angle:クランク角)とすると、N<(360/θmax )となるようにパルス数Nを設定する。これによって、後述の実相対回転角の算出時、クランクポジションセンサ21のパルス信号θ1 と、このパルス信号θ1 の次に続いて発生するカムポジションセンサ22のパルス信号θ2 とを使用することができる。
【0020】
次に、本発明の実施の形態の一実施例にかかる内燃機関用バルブタイミング制御装置で使用されているECU30のVVT制御の処理手順を示す図2のフローチャートに基づき、図3、図4、図5及び図6を参照して説明する。なお、このVVT制御ルーチンは100ms毎にECU30にて繰返し実行される。ここで、図3はVVT50の目標相対回転角〔°CA〕に対する実相対回転角〔°CA〕の遷移状態及びスプールバルブ40のリニアソレノイド41に対する駆動Duty 〔%〕の遷移状態を示すタイムチャートである。また、図4はVVT50を駆動する油圧〔kgf/cm2 〕の機関回転数〔rpm〕による遷移状態を示す特性図、図5はVVT50を駆動する油圧〔kgf/cm2 〕によるVVT50の遅角方向の高速(内燃機関の高回転)側/低速(内燃機関の低回転)側及び進角方向の高速側/低速側におけるそれぞれの応答速度〔°CA/sec〕を示す特性図、図6は冷却水温に関連して遷移される油温〔℃〕によるVVT50の応答速度〔°CA/sec〕を示す特性図である。
【0021】
図2において、まず、ステップS101で、各種センサ信号としてクランクポジションセンサ21の出力信号θ1 及びカムポジションセンサ22の出力信号θ2 、内燃機関10の運転状態を表す吸気量、機関回転数、冷却水温及びスロットル開度等が読込まれる。次にステップS102に移行して、ステップS101で読込まれたクランクポジションセンサ21の出力信号θ1 及びカムポジションセンサ22の出力信号θ2 からクランクシャフト11に対するカムシャフト15の現在の実際の位相差である実相対回転角(=θ1 −θ2 )が算出される。
【0022】
次にステップS103に移行して、ステップS101で読込まれた各種センサ信号のうち吸気量及び機関回転数とから現在の目標位相差である目標相対回転角が算出される。次にステップS104に移行して、ステップS103で算出される目標相対回転角の今回値と前回値とから求められる目標相対回転角変化量の絶対値がVVT50の進角側または遅角側への急変時を判定するための所定値K1を越えているかが判定される。ステップS104の判定条件が成立せず、目標相対回転角変化量が所定値K1以下であり急変時でないときにはステップS105に移行し、ステップS103で算出された目標相対回転角からステップS102で算出された実相対回転角が減算された値の絶対値がガード値としての所定値K2未満であるかが判定される。ステップS105の判定条件が成立するときにはステップS106に移行し、VVT50における目標相対回転角の変化方向へ強制的に相対回転する所定期間としての強制操作時間Tが0とされる。なお、ステップS105の判定条件が成立しないときにはステップS106がスキップされる。
【0023】
一方、ステップS104の判定条件が成立し、目標相対回転角変化量が所定値K1を越えており急変時であるときにはステップS107に移行し、目標相対回転角変化量に基づき強制操作基本時間T0 が算出される。次にステップS108に移行して、ステップS101で読込まれた機関回転数に基づき補正量αが算出される。即ち、図4に示すように、VVT50を駆動する油圧〔kgf/cm2 〕は機関回転数〔rpm〕によって遷移するからである。
【0024】
次にステップS109に移行して、ステップS101で読込まれた冷却水温に基づき補正量βが算出される。即ち、図5に示すように、VVT50の応答速度〔°CA/sec〕は油圧〔kgf/cm2 〕によって遅角方向の高速側/低速側及び進角方向の高速側/低速側でそれぞれ変動され、また、図6に示すように、VVT50の応答速度〔°CA/sec〕は冷却水温に関連して遷移される油温〔℃〕によって変動されるからである。次にステップS110に移行して、ステップS101で読込まれたスロットル開度が全閉状態(以下、単に『スロットル全閉』と記す)であるかが判定される。ステップS110の判定条件が成立し、スロットル全閉であるときにはステップS111に移行し、強制操作時間TがステップS107で算出された強制操作基本時間T0 、ステップS108で算出された機関回転数に基づく補正量α、ステップS109で算出された冷却水温に基づく補正量β及びスロットル全閉のときの増量補正量γに基づき次式(1)にて算出される。
【0025】
【数1】
T=T0 +α+β+γ ・・・(1)
一方、ステップS110の判定条件が成立せず、スロットル全閉でないときにはステップS112に移行し、強制操作時間Tが強制操作基本時間T0 、補正量α,βに基づき次式(2)にて算出される。
【0026】
【数2】
T=T0 +α+β ・・・(2)
ステップS105、ステップS106、ステップS111またはステップS112での処理ののちステップS113に移行し、強制操作時間Tが0より大きいかが判定される。ステップS113の判定条件が成立し、急変時として強制操作時間Tが設定されているときにはステップS114に移行し、スプールバルブ40のリニアソレノイド41に対する駆動Duty がそれまでの保持Duty から図3に示すように、遅角側への急変時であれば0〔%〕、進角側への急変時であれば100〔%〕とされる。次にステップS115に移行して、強制操作時間Tが「−1(100ms)」とデクリメントされる。
【0027】
一方、ステップS113の判定条件が成立せず、ときには、強制操作時間Tが0であるときにはステップS116に移行し、目標相対回転角から実相対回転角が減算された偏差の絶対値が所定値K3未満であるかが判定される。なお、所定値K3は目標相対回転角と実相対回転角との偏差がほぼ等しくなったと判定し、駆動Duty を保持Duty に移行させるための判定値である。ステップS116の判定条件が成立せず、目標相対回転角と実相対回転角との偏差が所定値K3以上であり未だ偏差が大きいときにはフィードバック(以下、『F/B』と記す)制御として駆動Duty が次式(3)にて算出される。なお、KPは比例ゲイン、保持学習値はVVT50を所定の実相対回転角に保持するときの保持Duty の予め学習された記憶値である。
【0028】
【数3】
駆動Duty =(目標相対回転角−実相対回転角)*KP+保持学習値・・・(3)
一方、ステップS116の判定条件が成立し、目標相対回転角と実相対回転角との偏差が所定値K3未満であるときにはステップS118に移行し、駆動Duty が保持学習値とされる。ステップS115、ステップS117またはステップS118での処理ののちステップS119に移行し、駆動Duty に基づきリニアソレノイド41が駆動され、本ルーチンを終了する。
【0029】
このように、本実施例の内燃機関用バルブタイミング制御装置は、内燃機関10の駆動軸としてのクランクシャフト11から吸気バルブを開閉する従動軸としてのカムシャフト15に駆動力を伝達するチェーン12等からなる駆動力伝達系に設けられ、カムシャフト15を所定角度範囲内で相対回転自在なVVT50と、クランクシャフト11の回転角θ1 を検出する駆動軸回転角検出手段としてのクランクポジションセンサ21と、カムシャフト15の回転角θ2 を検出する従動軸回転角検出手段としてのカムポジションセンサと、クランクポジションセンサ21で検出されたクランクシャフト11の回転角θ1 に対するカムポジションセンサ22で検出されたカムシャフト15の回転角θ2 との位相差、即ち、カムシャフト15の実相対回転角を算出するECU30にて達成される相対回転角演算手段と、内燃機関10の運転状態に応じてクランクシャフト11の回転角θ1 とカムシャフト15の回転角θ2 との目標とする位相差である目標相対回転角を算出するECU30にて達成される目標相対回転角演算手段と、前記相対回転角演算手段で算出された実相対回転角と前記目標相対回転角演算手段で算出された目標相対回転角との偏差に応じて制御回転角としての駆動Duty を算出し、VVT50によりカムシャフト15を相対回転するECU30にて達成される相対回転角制御手段と、目標相対回転角の急変を検出したときには、VVT50によりカムシャフト15を偏差に応じたF/B制御によらず予め設定された所定期間としての強制操作時間Tだけ目標相対回転角の変化方向へ強制的に相対回転するECU30にて達成される相対回転角強制制御手段とを具備するものである。
【0030】
したがって、相対回転角強制制御手段を達成するECU30で目標相対回転角の急変が検出されたときには、VVT50によりカムシャフト15が目標相対回転角と実相対回転角との偏差に応じたF/B制御によらず強制操作時間Tだけ目標相対回転角の変化方向へ強制的に相対回転される。つまり、目標相対回転角変化量の絶対値が所定値K1を越えており目標相対回転角が急変していると判定されたときには、強制操作時間Tだけスプールバルブ40のリニアソレノイド41への駆動Duty が目標相対回転角の変化方向が遅角側であるときには0〔%〕、進角側であるときには100〔%〕とされることでVVT50における応答性が改善できる。これにより、目標相対回転角の急変時における実相対回転角の遷移状態を図3に示すように、従来に比べ素早い立下がり曲線または立上がり曲線とすることができる。
【0031】
また、本実施例の内燃機関用バルブタイミング制御装置は、ECU30にて達成される相対回転角強制制御手段が強制的に相対回転する強制操作時間Tを目標相対回転角変化量に応じて設定するものである。ここでは、強制操作時間Tのうちの基本となる強制操作基本時間T0 が目標相対回転角変化量に応じて設定されることでVVT50における応答性を改善するための基本的なスプールバルブ40のリニアソレノイド41への駆動Duty が設定される。このため、VVT50の目標相対回転角の急変時における実相対回転角の追従性が改善される。
【0032】
そして、本実施例の内燃機関用バルブタイミング制御装置は、ECU30にて達成される相対回転角強制制御手段が強制的に相対回転される強制操作時間T内に目標相対回転角と実相対回転角との偏差が所定値K2以下となったときには強制的な相対回転を中止すると共に、F/B制御による相対回転に移行するものである。つまり、VVT50における目標相対回転角と実相対回転角との偏差が所定値K2以下となると、強制操作時間T内であろうとも、通常のF/B制御に移行されることで、保持Duty 近傍における実相対回転角の挙動を滑らかなものとすることができる。
【0033】
更に、本実施例の内燃機関用バルブタイミング制御装置は、所定期間としての強制操作時間Tを内燃機関10のスロットル開度の全閉状態が検出されたときには補正量γにより増量補正するものである。つまり、スロットル開度が全閉状態であるときにはVVT50に対してより素早い応答性が要求されているとして、強制操作時間Tが補正量γにより増量補正されることで更に応答性が改善される。
【0034】
更にまた、本実施例の内燃機関用バルブタイミング制御装置は、所定期間としての強制操作時間Tを油圧状態または油性状に基づき補正するものである。つまり、内燃機関10の潤滑油を共用しているVVT50ではその潤滑油の油圧状態または油性状により目標相対回転角に対する実相対回転角の追従性が大きく左右されるため、それら油圧状態または油性状に基づき補正されることでVVT50の応答性が所望のように改善される。
【0035】
そして、本実施例の内燃機関用バルブタイミング制御装置は、油圧状態を内燃機関10の機関回転数に基づき検出するものである。つまり、図4に示すように、特に機関回転数の低回転側ではポンプ46の能力が低下しVVT50の応答速度が低下するため内燃機関10の機関回転数に対応する油圧を知ることが必要である。これにより、VVT50における強制操作時間Tが適切に補正できることとなる。
【0036】
また、本実施例の内燃機関用バルブタイミング制御装置は、油性状を内燃機関の潤滑油の油温により検出するものである。つまり、図6に示すように、油温によりVVT50の応答速度が変動するため内燃機関10の冷却水温に関連する油温を知ることが必要である。これにより、VVT50における強制操作時間Tが適切に補正できることとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は本発明の実施の形態の一実施例にかかる内燃機関用バルブタイミング制御装置を適用したダブルオーバヘッドカム式内燃機関とその周辺機器を示す概略構成図である。
【図2】 図2は本発明の実施の形態の一実施例にかかる内燃機関用バルブタイミング制御装置で使用されているECUにおけるVVT制御の処理手順を示すフローチャートである。
【図3】 図3は本発明の実施の形態の一実施例にかかる内燃機関用バルブタイミング制御装置における目標相対回転角に対する実相対回転角の遷移状態及びスプールバルブのリニアソレノイドに対する駆動Duty の遷移状態を示すタイムチャートである。
【図4】 図4は本発明の実施の形態の一実施例にかかる内燃機関用バルブタイミング制御装置におけるVVTを駆動する油圧と機関回転数との関係を示す特性図である。
【図5】 図5は本発明の実施の形態の一実施例にかかる内燃機関用バルブタイミング制御装置におけるVVTを駆動する油圧による遅角方向の高速側/低速側及び進角方向の高速側/低速側のそれぞれのVVTの応答速度を示す特性図である。
【図6】 図6は本発明の実施の形態の一実施例にかかる内燃機関用バルブタイミング制御装置における冷却水温に関連して遷移される油温によるVVTの応答速度を示す特性図である。
【符号の説明】
10 内燃機関
11 クランクシャフト(駆動軸)
12 チェーン
13 チェーンスプロケット
15 カムシャフト(従動軸)
21 クランクポジションセンサ
22 カムポジションセンサ
30 ECU(電子制御装置)
40 スプールバルブ
41 リニアソレノイド
50 VVT(可変バルブタイミング制御機構)
Claims (6)
- 内燃機関の駆動軸から吸気バルブまたは排気バルブの少なくとも何れか一方を開閉する従動軸に駆動力を伝達する駆動力伝達系に設けられ、前記駆動軸または前記従動軸の何れか一方を所定角度範囲内で相対回転自在な可変バルブタイミング制御機構と、
前記駆動軸の回転角を検出する駆動軸回転角検出手段と、前記従動軸の回転角を検出する従動軸回転角検出手段と、
前記駆動軸回転角検出手段で検出された前記駆動軸の回転角と前記従動軸回転角検出手段で検出された前記従動軸の回転角との位相差である相対回転角を算出する相対回転角演算手段と、
前記内燃機関の運転状態に応じて前記駆動軸の回転角と前記従動軸の回転角との目標とする位相差である目標相対回転角を算出する目標相対回転角演算手段と、
前記相対回転角演算手段で算出された前記相対回転角と前記目標相対回転角演算手段で算出された前記目標相対回転角との偏差に応じて制御回転角を算出し、前記可変バルブタイミング制御機構により前記駆動軸または前記従動軸を相対回転する相対回転角制御手段と、
前記目標相対回転角の急変を検出したときには、前記可変バルブタイミング制御機構により前記駆動軸または前記従動軸を前記偏差に応じたフィードバック制御によらず予め設定された所定期間だけ前記目標相対回転角の変化方向へ強制的に相対回転する相対回転角強制制御手段と
を具備することを特徴とする内燃機関用バルブタイミング制御装置。 - 前記相対回転角強制制御手段は、強制的に相対回転する前記所定期間を前記目標相対回転角の変化量に応じて設定することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関用バルブタイミング制御装置。
- 前記相対回転角強制制御手段は、強制的に相対回転される前記所定期間内に前記目標相対回転角と前記相対回転角との偏差が所定値以下となったときには強制的な相対回転を中止すると共に、前記フィードバック制御による相対回転に移行することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関用バルブタイミング制御装置。
- 前記所定期間は、内燃機関のスロットル開度の全閉状態が検出されたときには増量補正することを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1つに記載の内燃機関用バルブタイミング制御装置。
- 前記所定期間は、油圧状態または内燃機関の冷却水の冷却水温または冷却水温に関連する潤滑油の油温によって検出される油性状に基づき補正することを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1つに記載の内燃機関用バルブタイミング制御装置。
- 前記油圧状態は、内燃機関の機関回転数に基づき検出することを特徴とする請求項5に記載の内燃機関用バルブタイミング制御装置。
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