JP3661321B2 - パワートレーンの制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、可変バルブタイミング機構と、自動変速機とを備えた内燃機関のパワートレーンの制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、内燃機関の回転数、負荷等の運転状態に応じて吸排気弁の開閉タイミング(バルブタイミング)を変更し、各運転状態における出力や燃費の向上を図る可変バルブタイミング機構が知られている。
可変バルブタイミング機構を備えた機関では、バルブタイミングを変更することにより、吸気弁と排気弁との両方が同時に開弁している期間(以下、この期間の長さを「バルブオーバラップ量」と称する)を調整し、各運転状態において最適な機関性能を得ている。
【0003】
このような可変バルブタイミング機構を備えた機関に自動変速機を適用する場合には、自動変速機の変速特性をバルブタイミングに応じて変更することが好ましい。可変バルブタイミング機構によりバルブタイミングが変更されるとそれに応じて機関出力特性が変化するため、自動変速機の変速特性もバルブタイミングの変化に応じて変更し、機関出力特性の変化と変速特性とを適合させるようにする必要があるためである。
【0004】
このように、バルブタイミングの変化に応じて自動変速機の変速特性を変更するパワートレーンの制御装置の例としては、例えば特開平2−303937号公報に記載されたものがある。
同公報の装置は、バルブオーバラップ量の小さい低速用バルブタイミングとバルブオーバラップ量の大きい高速用バルブタイミングの間で2段階にバルブタイミングを切換可能な可変バルブタイミング機構を有する自動車用機関の自動変速機の変速特性の切換制御を行うものである。同公報の装置では、機関低温時には可変バルブタイミング機構を低速用バルブタイミングに固定してバルブタイミング切換を行わず、同時に自動変速機の変速特性を通常より動力性能重視した特性に変更するようにしている。
【0005】
機関低温時には可変バルブタイミング機構の作動油粘性が増大しているため、機構の作動遅れが生じる。このため、上記公報のように2段階にバルブタイミングを切り換える可変バルブタイミング機構では、加速中等にバルブタイミングの切換が遅れる問題がある。そこで、上記公報の装置では機関低温時にはバルブタイミングを低速用に固定してバルブタイミング切換動作を禁止するとともに、自動変速機の変速特性として動力性能を重視する特性を選択するようにしている。
【0006】
後述するように、バルブタイミングをバルブオーバラップ量の小さい低速用バルブタイミングに固定すると、機関中低速回転領域では吸気体積効率が低下してしまうために機関出力が低下する問題が生じる。そこで、上記公報の装置では、機関低温時にバルブタイミングを低速用に固定した場合には、同時に自動変速機の変速特性を動力性能重視型の特性に変更して機関の出力低下を補うようにしている。動力性能重視型の自動変速機変速特性では、低速段ギヤと高速段ギヤとの間のシフトは比較的高い車両走行速度で行われるようになる。従って、動力性能重視型の自動変速機変速特性では低速段ギヤが使用される運転領域が拡大され、機関出力が多少低下した場合でも加速時の車両駆動トルクを高く維持することができる。このため、上記公報の装置では機関低温時にバルブタイミングを低速用のタイミングに固定した場合でも、加速性能の悪化等が生じない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記特開平2−303937号公報のパワートレーン制御装置では、機関低温時には、可変バルブタイミング機構の作動を停止してバルブタイミングを固定するとともに、低速用の自動変速機変速特性を選択するようにしているが、機関温度が上昇し可変バルブタイミング機構の作動が許可されるようになると、自動変速機の変速特性は可変バルブタイミング機構の作動速度とは無関係に選択されるようになる。
【0008】
ところが、実際には機関温度が上昇した場合でも一律に可変バルブタイミング機構作動速度が増大するとは限らず、機関温度が上昇したからといって可変バルブタイミング機構の作動速度と無関係に自動変速機の変速特性を選択すると問題が生じる場合がある。
例えば、可変バルブタイミング機構の作動速度は作動油の粘度以外にも機構各部のクリアランスによっても変化する。また、機構各部のクリアランスは公差の範囲内で製品毎にばらつきがあるため機構作動速度自体も製品毎に差が生じている。例えば、各部のクリアランスが比較的大きい場合には、機関低温時で作動油粘度が増大した場合でも機構の作動速度の低下は比較的少ないが、機関高温時には作動油粘度が低下して各クリアランスからの作動油の洩れが大きくなるため高温時の機構の作動速度の低下が比較的大きくなる。従って、可変バルブタイミング機構の作動速度と作動速度の温度変化特性は製品毎にばらつきが生じている。更に、上記の製品毎のばらつきに加えて、可変バルブタイミング機構の作動速度は作動油の油圧に応じて変化するため、機関駆動の油圧ポンプから作動油を供給している場合には可変バルブタイミング機構の作動速度は機関回転数によっても変化するようになる。このため、上記公報の装置のように機関温度のみに基づいて一律に可変バルブタイミング機構作動速度を決定していると、自動変速機の変速特性を適切に制御できない場合が生じる。
【0009】
また、上記公報の装置では、低速用と高速用のバルブタイミングとの間の2段階のバルブタイミング切換を行う可変バルブタイミング機構が使用されているが、機関運転条件に応じて連続的に無段階にバルブタイミングを変化させる可変バルブタイミング機構を使用する場合には、特に可変バルブタイミング機構作動速度に応じて正確に自動変速機の変速特性を制御する必要が生じる。この問題を図9を用いて以下に説明する。
【0010】
図9(A) 、(B) 、(C) は、連続的にバルブタイミングを変化させる可変バルブタイミング機構を有する機関の加速時におけるスロットル弁開度(図9(A) )、バルブタイミング(図9(B) )、機関出力トルク(図9(C) )の時間変化を示す図である。
図9(B) のカーブAは機関バルブタイミングの設定値(目標値)の変化を示し、カーブBは可変バルブタイミング機構作動速度が大きい場合の実際のバルブタイミング変化を、カーブCは作動速度が小さい場合の実際のバルブタイミング変化を示している。
【0011】
機関加速時に、図9(A) に示すようにスロットル弁開度が増加すると、バルブタイミングの制御目標値は、スロットル弁開度(負荷)の増大に応じて遅滞なく図9(B) カーブAのように変化する。しかし、実際のバルブタイミングは目標値より遅れて変化し、可変バルブタイミング機構の作動速度に応じて図9(B) カーブB、カーブCのように変化する。従って、図9(A) のようにスロットル弁開度が増加した場合でも、実際の機関出力トルクの増大は、図9(C) に示したように、可変バルブタイミング機構作動速度が遅い場合(図9(C) カーブC)には速い場合(同図カーブB)に較べて大幅に遅れることになる。
【0012】
このため、可変バルブタイミング機構作動速度が遅い(図9(B) 、(C) カーブC)にもかかわらず、高速用ギヤが選択されると、車両の動力性能が大幅に低下してしまい加速性能の低下などを生じる問題がある。従って、可変バルブタイミング機構の作動速度が遅い場合には、低速用ギヤでの運転領域が広い動力性能重視型の変速特性で自動変速機を制御し、動力性能の低下を補う必要がある。しかも、連続的にバルブタイミングを変化させる可変バルブタイミング機構では、機関低温時以外では常に機関運転状態に応じたバルブタイミングの制御が行われており、バルブタイミングは変化している。このため、機関低温時以外においても自動変速機の変速特性を可変バルブタイミング機構の作動速度に応じて選択するようにしないと、機関の動力性能の低下が大きくなる問題がある。
【0013】
本発明は上記問題に鑑み、自動変速機の変速特性を可変バルブタイミング機構の作動速度に応じて正確に選択することにより、機関動力性能を常に高く維持することが可能な内燃機関のパワートレーン制御装置を提供することを目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明によれば、内燃機関のバルブタイミングを変更することにより機関運転状態に応じて機関のバルブオーバラップ量を調節する可変バルブタイミング機構と、
前記内燃機関の出力軸に接続された自動変速機と、を備えたパワートレーンの制御装置であって、前記可変バルブタイミング機構によるバルブタイミング変更時の実際のバルブタイミング変化速度を検出する作動速度検出手段と、
前記作動速度検出手段により検出された実際のバルブタイミング変化速度を予め定めた基準値と比較する比較手段と、前記バルブタイミング変化速度が前記基準値より小さい場合には前記バルブタイミング変化速度が前記基準値より大きい場合に較べて、前記自動変速機の変速操作をより動力性能を重視した変速特性に制御する変速制御手段と、を備えたパワートレーンの制御装置が提供される。
【0015】
すなわち、請求項1の発明では可変バルブタイミング機構のバルブタイミング変更速度、すなわち実際の可変バルブタイミング機構作動速度を検出し、この作動速度に応じて自動変速機の変速特性が選択される。このため、機関温度にかかわらず、常に可変バルブタイミング機構の作動速度に応じた適切な自動変速機変速特性が選択される。
【0016】
請求項2に記載の発明によれば、更に、機関回転数を検出する回転数検出手段と、前記作動速度検出手段により検出されたバルブタイミング変化速度と前記基準値とのうち少なくとも一方を、機関回転数に基づいて補正する回転数補正手段を備えた請求項1に記載のパワートレーンの制御装置が提供される。
請求項2の発明では、機関回転数に基づく可変バルブタイミング機構作動速度の補正が行われる。すなわち、機関高回転時には可変バルブタイミング機構作動油ポンプの吐出圧や吐出流量が増大するため、可変バルブタイミング機構の作動速度は機関低回転時より大きくなる。従って、例えば機関高回転時に作動速度検出手段が検出した可変バルブタイミング機構作動速度に基づいて自動変速機変速特性を選択すると、機関低回転時の変速特性が必ずしも適切にならないおそれがある。請求項2の発明では、回転数補正手段は作動速度検出手段の検出した可変バルブタイミング機構作動速度を機関回転数に応じて補正する。これにより、機関回転数にかかわらず、可変バルブタイミング機構作動速度に応じて正確に自動変速機変速特性が選択される。なお、回転数に応じて、検出した作動速度を補正する代わりに、自動変速機の変速特性を選択するための基準値、または作動速度と基準値との両方を補正するようにしても良い。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下添付図面を用いて本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明のパワートレーン制御装置を自動車用機関に適用した場合の概略全体構成を示す図である。
図1において、100で示すのは車両用内燃機関、200で示すのは機関100の出力軸に接続された自動変速機、210で示すのは車両の各駆動輪に接続される駆動軸である。本発明では、機関100、自動変速機200とを含む動力系統をパワートレーンと称している。
【0018】
本実施形態では、内燃機関100として吸気弁と排気弁との駆動用にそれぞれ別のカムシャフトを有する4サイクルダブルオーバヘッドカムシャフト(DOHC)型機関が使用されており、吸気弁駆動用カムシャフトには可変バルブタイミング機構10が設けられている。
可変バルブタイミング機構10は、リニアソレノイドバルブ25により供給される作動油によって作動し、吸気弁の開閉時期(バルブタイミング)を変化させることにより、吸排気弁のバルブオーバラップ量を変化させるものである。また、図1に30で示すのは、機関運転状態に応じてリニアソレノイドバルブ25を制御し、機関100のバルブタイミングを調節する電子制御ユニット(ECU)30である。可変バルブタイミング機構10、リニアソレノイドバルブ25、ECU30については後に詳述する。
【0019】
本実施形態では、自動変速機200としては4速の変速ギヤを有する公知の形式のものが使用されている。自動変速機200の変速ギヤは車両の走行速度と機関100のスロットル弁開度とに応じて自動的に選択される。図1に50で示すのは、車両走行速度と機関スロットル弁開度とに応じて自動変速機200の変速ギヤの選択(変速操作)を行う自動変速機用電子制御ユニット(ECT−ECU)である。ECT−ECU50は、本実施形態では後述するECU30と同様な構成のディジタルコンピュータが使用されており、ECT−ECU50の入力ポートには、自動変速機200の上記変速制御のために車両の車輪近傍(図示せず)に配置された車速センサ51から車両走行速度に比例した周波数の車速パルス信号が入力されている他、機関100のスロットル弁(図示せず)に配置されたスロットル開度センサ53からスロットル弁開度に応じた電圧信号がAD変換器55を介して、それぞれ入力されている。ECT−ECU50は、一定時間毎に実行される図示しないルーチンにより、車速センサ51から入力する車速パルス信号のパルス間隔から車両走行速度を算出し、最新の車両走行速度データSPDをECT−ECU50のRAM(ランダムアクセスメモリ)の所定領域に常時格納している。また、同様にECT−ECU50は、スロットル開度センサ53から入力する電圧信号を一定時間毎にAD変換し、常時最新のスロットル弁開度データTAをRAMの所定領域に格納している。
【0020】
図2は、本実施形態の自動変速機200の変速特性を示す図である。図2において縦軸はスロットル弁開度TA、横軸は車両走行速度SPDを表しており、図にIからIVで示した領域はそれぞれ1速から4速の変速ギヤが選択される運転領域を示す。また、図2のカーブ12、23、34(実線)及び12′、23′、34′(点線)は、それぞれ動力性能重視変速特性(パターンI)及び燃費重視変速特性(パターンII)の変速線を示している。
【0021】
本実施形態では、ECT−ECU50は一定時間毎に実行する図示しない変速制御ルーチンにより、車両走行速度SPDとスロットル弁開度TAとに基づいて自動変速機200の変速ギヤを選択し、実際の使用ギヤと選択したギヤとが相違する場合には選択したギヤへの切換操作を行う。
すなわち、動力性能重視変速特性(パターン1)を例にとって説明すると、ECT−ECU50は、例えば車速SPDとスロットル開度TAとで定まる点が図2の領域Iにある場合には自動変速機を1速で運転する。また、この状態で例えば車速が上昇し、運転点がカーブ12を横切ると自動変速機を1速から2速に切換、2速での運転を行う。
【0022】
本実施形態では、各変速ギヤの変速特性として、動力性能重視変速特性(パターンI)と燃費重視変速特性(パターンII)とが設定されている。図2に示すように、動力性能重視変速特性(パターンI)が選択されると、各変速ギヤの変速操作は、運転点がカーブ12、23、34の各変速線を横切ったときに行われるようになり、燃費重視変速特性(パターンII、カーブ12′、23′、34′)に較べて変速線が、車速SPDが高い側、及びスロットル開度TAが小さい側に設定されるようになる。すなわち、動力性能重視変速特性(パターンI)が選択されると、加速時(車速、スロットル開度増大時)の低速ギヤと高速ギヤとの間の変速は、燃費重視変速特性(パターンII)に較べて、より高車速、低スロットル開度側で行われるようになり、低速ギヤでの運転領域が拡大されるようになる。このため、動力性能重視変速特性(パターンI)では車両の駆動力が大きくなり、動力性能が良好になる。
【0023】
一方、燃費重視変速特性(パターンII)が選択されると加速時の低速ギヤと高速ギヤとの変速は、動力性能重視変速特性(パターンI)に較べて、より低車速、高スロットル開度側で行われるようになる。このため、燃費重視変速特性(パターンII)では高速ギヤでの運転領域が拡大され、機関の燃料消費量が低減される。
【0024】
本実施形態では、ECU30は、後述するように可変バルブタイミング機構10の作動速度に応じて自動変速機200の変速特性を、動力性能重視変速特性(パターンI)と燃費重視変速特性(パターンII)とのうちから選択し、ECT−ECU50に変速特性を指示する。このために、ECU30の出力ポートからはECT−ECU50の入力ポートに変速特性選択信号が供給されている。
【0025】
次に、本実施形態の可変バルブタイミング機構10について図3を用いて説明する。図3は、可変バルブタイミング機構10を4サイクル機関の吸気弁に適用した場合の概略構成を示す図である。
本実施形態においては、前述のように、吸気弁と排気弁との駆動用ににそれぞれ別のカムシャフトを有するダブルオーバヘッドカムシャフト(DOHC)型機関が使用され、可変バルブタイミング装置は吸気カムシャフトのみに設けられている。すなわち、本実施形態では排気弁のバルブタイミング変更は行わず、吸気弁のバルブタイミングのみを運転条件に応じて変更することにより、吸気弁と排気弁とのバルブオーバラップを変更するようにしている。なお、本発明はこの実施形態に限定されるものではなく、排気弁のみのバルブタイミング変更を行うもの、或いは吸気弁と排気弁との両方のバルブタイミング変更を行うものについても適用可能である。
【0026】
図3において、1は機関100の吸気弁(図示せず)を開閉駆動する吸気カムシャフト、その全体を10で示すのは吸気カムシャフト端部に設けられた可変バルブタイミング機構である。
可変バルブタイミング機構10は、円筒状スリーブ13を有するタイミングプーリ12と、カムシャフト1の端部を覆うカバー14とを備えており、タイミングプーリ12は円筒状スリーブ13を介して吸気カムシャフト1の周囲にカムシャフト1に対して回転可能に装着されている。また、カバー14はタイミングプーリ12にボルト15により固定され、プーリ12と一体に回転するようになっている。
【0027】
カバー14内部にはピストン部材17が設けられている。ピストン部材17は、円環状のピストン部19と、ピストン部19から延びる円筒部21とを備えており、ピストン部19の外周面と内周面とは、カバー14の内周面とプーリ12のスリーブ13の外周面とにそれぞれ摺接している。また、ピストン部材17の円筒部21の外周面と内周面とには、それぞれ所定の捩じれ角を有するアウターヘリカルギヤ21aとインナーヘリカルギヤ21bとが刻設されており、アウターヘリカルギヤ21aはカバー14内周面に形成された内歯ヘリカルギヤ22aと、またインナーヘリカルギヤ21bはカムシャフト1の端面にボルト1a、ピン1bにより一体に装着されたリング状の外歯ヘリカルギヤ22bとそれぞれ噛合している。
【0028】
本実施形態の可変バルブタイミング機構10では、機関のクランク軸(図示せず)の回転は、タイミングベルト12aを介してタイミングプーリ12に伝えられる。プーリ12が回転すると、カバー14がプーリ12と一体に回転し、ヘリカルギヤ22a、21aを介してカバー14に連結されたピストン部材17がカバー14と一体に回転する。ピストン部材17は、ヘリカルギヤ21b、22bを介して同時にカムシャフト1にも連結されているため、これによりカムシャフト1がプーリ12と一体に回転する。
【0029】
すなわち、本実施形態の可変バルブタイミング機構10では、カムシャフト1の回転駆動力は、クランク軸からタイミングベルト12aを介してタイミングプーリ12に伝達され、プーリ12からカバー14、ヘリカルギヤ22a、21a、ピストン部材17及びヘリカルギヤ21b、22bを経てカムシャフト1に伝達される。
【0030】
本実施形態の可変バルブタイミング機構10は、ピストン部材17をカムシャフト1軸線方向に移動させることにより吸気弁のバルブタイミングの変更を行う。
すなわち、ピストン部材17は、互いに噛合する、それぞれ所定の捩じれ角のヘリカルギヤ22a、21aと21b、22bとによってカバー14およびカムシャフト1に連結されている。このため、ピストン部材17がカムシャフト軸線方向に移動すると、ヘリカルギヤ22aと21a及び21b、22bの噛合位置はそれぞれの歯筋に沿って軸線方向に移動する。ところが、それぞれのギヤの歯面は、カムシャフト軸線方向に対して捩じれ角を有するため、噛合位置が軸線方向に移動すると、カバー14とピストン部材17、及びピストン部材17とカムシャフト1とはそれぞれヘリカルギヤの歯筋に沿って円周方向に相対移動する。このため、ピストン部材17の軸線方向移動にともなってカバー14とピストン部材17、及びピストン部材17とカムシャフト1とは相対的に回転することになる。従って、機関の運転中にピストン部材17をカムシャフト1軸線方向に移動させることにより、タイミングプーリ12の回転位相、すなわちクランク軸の回転位相に対するカムシャフト1の回転位相を進める(或いは遅らせる)ことが可能となり、カムシャフト1に駆動される吸気弁の開閉タイミングを進角(或いは遅角)させることができる。
【0031】
上述のように、本実施形態の可変バルブタイミング機構10は吸気カムシャフト1の回転位相のみを変化させるものであるため、バルブタイミング変更の際には吸気弁の開弁時期と閉弁時期とは常に同じ量だけ変化し、吸気弁の開弁期間自体は一定に維持される。
本実施形態では、機関運転中に、油圧を用いてピストン部材17を移動させることによって吸気弁のバルブタイミング変更操作を行う。図3に示すように、カムシャフト1内には2つの油通路2及び3が軸線方向に沿って穿設されている。油通路2はカムシャフト1の中心に設けられ、油通路2の軸端側はボルト1aに穿設されたポート2aを介してカバー14内面とピストン部材17の軸端側端面との間に形成される油圧室5に連通している。また、油通路2のもう一方の端部はカムシャフト1に半径方向に穿設されたポート2bを介して後述するリニアソレノイドバルブ25に接続されている。一方、油通路3の軸端側端部は前述のリング状外歯ヘリカルギヤ22bにより閉塞されている。また、油通路3は半径方向に穿設されたポート3aを介して、ピストン部材17端面とタイミングプーリ12及びカバー14とで形成される油圧室8に連通するとともに、別のポート3bを介してリニアソレノイドバルブ25に連通している。
【0032】
リニアソレノイドバルブ25は、スプール26を有するスプール弁であり、前述の油通路2のポート2bに配管を介して接続された油圧ポート26aと、油通路3のポート3bに配管を介して接続された油圧ポート26b、機関潤滑油ポンプ等の油圧供給源28に接続されたポート26c及び2つのドレーンポート26d、26eを備えている。バルブ25のスプール26はポート26aと26bのうちのいずれかをポート26cに連通し、他方をドレーンポートに接続するように動作する。
【0033】
すなわち、図3においてスプール26が左方向に移動すると、油通路2のポート2bに連通するポート26aはポート26cを介して油圧供給源28に接続され、ドレーンポート26dは閉鎖される。また、この時同時に油通路3のポート3bに接続されたポート26bはドレーンポート26eに連通する。このため、可変バルブタイミング機構10の油圧室5には、機関の潤滑油ポンプ等の油圧供給源28から油通路2、ポート2aを介して潤滑油が流入し、ピストン部材17を図3右方向に押動する。また、この時油圧室8内の潤滑油はポート3aから油通路3、ポート3b、リニアソレノイドバルブ25のポート26b等を通ドレーンポート26eから排出される。このため、ピストン部材17は図3右方向に移動する。
【0034】
また、図3において逆にスプール26が右方向に移動すると、ポート26bはポート26cに接続され、ポート26aはドレーンポート26dに接続される。これにより、油圧室8には油通路3を通って潤滑油が流入し、油圧室5からは油通路2を通ってドレーンポート26dに潤滑油が排出されるため、ピストン部材17は図3左方向に移動する。
【0035】
なお、本実施形態では、油圧室5に潤滑油が供給されてピストン部材17が図3右方向に移動すると吸気弁バルブタイミングは進角側に変更され、油圧室8に潤滑油が供給されてピストン部材17が図3左方向に移動すると吸気弁バルブタイミングは遅角側に変更されるようにヘリカルギヤ21a、21b及び22a、22bの捩じり角が設定されている。
【0036】
また、図3に25bで示すのは、スプール26を駆動するリニアソレノイドアクチュエータである。リニアソレノイドアクチュエータ25bは後述する制御回路30からの制御信号を入力し、この制御信号の大きさに比例する量だけスプール26を移動させることにより、ピストン部材17の位置、すなわち吸気弁のバルブタイミングを変更する。
【0037】
図3に30で示すのは、リニアソレノイドバルブ25の作動を制御する機関電子制御ユニット(ECU)である。本実施形態では、ECU30はリードオンリメモリ(ROM)32、ランダムアクセスメモリ(RAM)33、マイクロプロセッサ(CPU)34、入力ポート35、出力ポート36を相互に双方向性バス31で接続した公知の構成のディジタルコンピュータとして構成される。また、ECU30はバッテリ等の電源に直結され、機関が停止されても記憶保持が可能なバックアップRAM37を備えている。本実施形態のECU30は、機関運転条件に応じてリニアソレノイドバルブ25の作動を制御して吸気弁のバルブタイミングを調節し、吸排気弁のバルブオーバラップ量を制御する。この制御のため、ECU30の入力ポート35には、機関の吸気通路に設けられたエアフローメータ41から機関吸入空気量(体積流量)に比例する電圧信号と、機関冷却水通路に設けられた水温センサ42から機関冷却水温度THWに比例する電圧信号とが、それぞれAD変換器43を介して入力されているほか、機関クランク軸に設けられたクランク軸回転角センサ44からクランク軸回転角CAを表すパルス信号と、カムシャフトに設けられたカム回転角センサ45からカムシャフト1の回転角CMAを表すパルス信号とが入力されている。
【0038】
エアフローメータ41で検出した機関吸入空気量は、公知の方法で重量流量Gに換算され、更に機関回転数NEを用いて機関1回転当たりの吸気重量流量GN(=G/NE)が一定時間毎に算出され、ECU30のRAM33に格納される。
クランク軸回転角センサ44からのパルス信号は、クランク軸回転720度毎に発生するクランク軸の基準位置を示すN1信号と、クランク軸回転30度毎に発生するNE信号とからなり、カム回転角センサ45からはカムシャフト回転360度毎にカムシャフトが基準位置に到達したことを示すCN1パルス信号が発生する。ECU30は一定時間毎にNE信号のパルス間隔から機関回転数NEを計算するとともに、この機関回転数NEを用いてN1信号とCN1信号との時間間隔からカムシャフト1の回転位相(吸気弁のバルブタイミング)VTを演算する。この演算結果はRAM33に格納される。また、冷却水温度THWは一定時間毎にAD変換され同様にRAM33に格納される。つまり、RAM33に格納されるNE、VT、GN、THW等の各検出値値は一定時間毎に更新され、常時最新の値がRAM33に格納されている。
【0039】
後述するように、機関回転数NEと機関吸入空気量GNとは機関の負荷条件を表すパラメータとして使用される。また、冷却水温度THWは後述するバルブタイミングの機関温度に基づく補正のために使用される。
一方ECU30の出力ポート36は、駆動回路48を介してリニアソレノイドバルブ25のアクチュエータ25bに接続され、制御信号をアクチュエータ25bに供給している。
【0040】
本実施形態では、ECU30は、後述するように可変バルブタイミング機構の作動速度を検出する作動速度検出手段、作動速度を所定の速度と比較する比較手段、及び、比較結果に基づいて自動変速機200の変速特性を選択する変速制御手段として機能している。
次に、本実施形態の吸気弁のバルブタイミング設定について図4を用いて説明する。
【0041】
図4は吸気弁と排気弁との一般的な開閉時期を模式的に示す図である。図4ににおいて、TDCはピストン行程上死点、BDCは下死点を示し、IO、ICはそれぞれ吸気弁の開弁時期と閉弁時期、EO、ECはそれぞれ排気弁の開弁時期と閉弁時期とを表している。図4に示すように、吸気弁は排気行程上死点(TDC)前から開弁し、吸気行程下死点(BDC)後に閉弁する。また、排気弁は爆発行程下死点(BDC)前から開弁し、排気行程上死点(TDC)後に閉弁する。図4に示すように、排気行程では排気弁が閉じる(EC)前に吸気弁が開く(IO)ようにバルブタイミングが設定されるため、吸気弁と排気弁との両方が開弁している期間(図4にOLで示す期間)が存在する。本実施形態では期間OLの長さ(角度)をバルブオーバラップ量と称する。また、本実施形態では吸気弁開弁時期から上死点までの角度をバルブタイミング値VTと定義している。図4から判るように、本実施形態では排気弁の閉弁時期は固定されているため、バルブタイミング値VTとバルブオーバラップ量OLとは一対一に対応する。すなわち、VTが大きい(吸気弁の開弁時期IOが早い)ことはバルブオーバラップ量OLもそれに応じて大きくなっていることを意味し、VTが小さい(吸気弁の開弁時期IOが遅い)ことは、バルブオーバラップ量OLもそれに応じて小さくなっていることを意味している。
【0042】
一般に、吸気弁のバルブタイミングVT(バルブオーバラップOL)の設定が機関性能に及ぼす影響は以下の通りである。
(1)VTを増大させてバルブオーバラップ量OLを大きく設定すると、吸気管負圧が増大(吸気ポート絶対圧力が低下)する低負荷時には、既燃ガスの吸気ポートへの吹き返しが大きくなる。また、吸気ポートに吹き返した既燃ガスが燃焼室内に再吸入されるため燃焼室内の残留既燃ガス量が大きくなる、いわゆる内部EGR効果が増大する。一方、負荷が増大するにつれてスロットル弁開度が増大し吸気負圧は減少するため、高負荷時にはバルブオーバラップ量OLを大きく設定しても既燃ガスの吹き返しは小さくなる。
【0043】
(2)VTを減少させてバルブオーバラップ量OLを小さく設定すると、吸気弁の開弁時期と閉弁時期とはバルブオーバラップ量OLが大きい場合に較べて遅くなる(図4、IO′、IC′はバルブオーバラップ量OLを小さく設定したときの吸気弁の開弁時期と閉弁時期とを示す)。この場合、圧縮行程時に吸気弁が開弁している期間(図4にIBで示す期間)が長くなるため、低中速回転領域では気筒内に吸入された新気が圧縮行程初期に気筒から吸気ポートに押し戻されるようになり、気筒の充填効率が低下する。従って、バルブオーバラップ量OLを小さく設定すると、気筒の実圧縮比が低下する。
【0044】
一方、高回転領域では吸気の流速が早くなるため吸気慣性効果が生じ、閉弁時期を遅くするほど充填効率が向上して実圧縮比が増大する。このため、機関高回転領域では、バルブオーバラップ量OLを小さく設定すると、気筒の実圧縮比は増大する。
本実施形態では、上記の機関性能に対するバルブタイミング値の影響を考慮して、以下に説明するように機関の各運転領域における吸気弁バルブタイミングを設定している。
【0045】
図5は、本実施形態における標準状態における運転時、すなわち機関の暖機完了後の運転時のバルブタイミング値VTの設定値の一例を示している。以下、この標準状態における、バルブタイミング設定値を基本バルブタイミング値(tVVT)と称する。
図5の表中、縦軸は機関負荷を表すパラメータとして使用する機関1回転当たりの吸入空気重量GN(グラム/回転)、横軸は機関回転数NE(RPM)を表しており、基本バルブタイミング値tVVTはクランク軸の回転角度(°CA)で表してある。
図5に示すように、基本バルブタイミング値tVVTは、機関の中回転中負荷運転領域(図5においてNE≒2400〜3200RPM、GN≒1.0〜1.25グラム/回転付近の領域)で最大値をとり(すなわち、バルブオーバラップOLも最大となり)、この中回転中負荷領域から回転数または負荷が離れるほど遅角され、バルブオーバラップ量OLも小さくなる。
【0046】
すなわち、本実施形態では低負荷領域(例えば、GN<1.00)では、負荷が低いほど基本バルブタイミング値tVVT(すなわち、バルブオーバラップ量OL)を小さく設定して、既燃ガスの吹き返しによる内部EGRを低減による燃焼の安定を図っている。また、中負荷領域では、内部EGR量を大幅に増大することによりエミッションの改善とポンピングロスの低減を図ることができるためバルブオーバラップ量OL(基本バルブタイミング値tVVT)は低負荷または高負荷時より全般的に大きく設定される。しかし、中負荷領域においても、低速領域でバルブオーバラップ量OLをあまり大きく設定すると燃焼不安定が生じやすくなるため、また高速中負荷領域ではバルブオーバラップ量OLを大きく設定すると吸気慣性を利用できなくなり逆に充填効率が低下するため、低速領域と高速領域ではOLは比較的小さい値に設定される。このため本実施形態では、中速中負荷領域でバルブオーバラップOLが最大となるように基本バルブタイミング値tVVTの値が設定されている。
【0047】
また、高負荷領域では、内部EGRを低減して出力を増大する必要があるためVTは全般的に小さく設定される。特に高速領域ではVTを小さくするほど吸気慣性による新気充填効率の向上効果が大きいため、低、中速領域よりもVTが小さく設定されている。このため、本実施形態では、高負荷領域(GN>1.25の領域)では、負荷が大きくなるほどバルブオーバラップ量OLは小さくなり、更に同一負荷では低速領域(NE<1600RPM)より高速領域(NE>3200RPM)でバルブオーバラップ量OLが小さくなるように基本バルブタイミング値tVVTが設定されている。
【0048】
次に、本実施形態の機関低温時における基本バルブタイミング値tVVTの補正について説明する。
上述したように、図5に示した基本バルブタイミング値tVVTは機関が十分に暖機され可変バルブタイミング機構10の作動速度が十分に高い標準状態におけるものである。ところが、機関温度が低い状態で上記標準状態におけるバルブタイミング設定値を用いて可変バルブタイミング機構10を制御すると問題が生じる場合がある。
【0049】
前述のように、本実施形態では油圧により可変バルブタイミング機構10を駆動しているが、作動油(この場合は機関100の潤滑油)の粘度は機関温度が低いほど増大する。また、可変バルブタイミング機構10各部のフリクションは作動油の粘度が高いほど増大する。このため、機関が低温になるほど可変バルブタイミング機構10を作動させるために必要とされる油圧は大きくなり、可変バルブタイミング機構10の作動速度は機関が低温になるほど低下する。
【0050】
図6は、可変バルブタイミング機構の作動速度(すなわち、可変バルブタイミング機構作動時のバルブタイミング変化速度。本実施形態では可変バルブタイミング機構作動速度は単位時間あたりのバルブタイミング変化量(クランク回転角換算)、すなわち℃A/秒で表す。)の機関温度(機関冷却水温度THW)に対する一般的な変化を表している。図6に示すように、機関温度が非常に低い場合(図6でTHW≦THW0)には、可変バルブタイミング機構各部のフリクションが大きいため可変バルブタイミング機構は作動不能となる(すなわち作動速度は0になる)。また、機関温度が上昇し、THW>THW0となると可変バルブタイミング機構作動速度は作動油の粘度低下に応じて機関温度とともに上昇するようになる。このため、本実施形態では、この機関温度が低い領域ではバルブタイミング値が0になるように機関温度によりバルブタイミング設定値を補正(すなわち、可変バルブタイミング機構を非作動位置に固定)することにより、可変バルブタイミング機構の誤作動を防止している。また、本実施形態では、機関温度が上昇するにつれて、全体的にバルブタイミング設定値を徐々に増大させる温度補正を行い、機関温度が所定値以上になったときに図5の基本バルブタイミングが得られるようにしている。
【0051】
図7は、本実施形態におけるバルブタイミング制御を示すフローチャートである。本ルーチンは、ECU30により一定時間毎に実行される。図7のルーチンでは、機関負荷状態に応じて基本バルブタイミング値を決定するとともに、この基本バルブタイミング値を機関温度(機関冷却水温度THW)に応じて補正し、実際のバルブタイミング制御目標値を算出している。
【0052】
図7においてルーチンがスタートすると、ステップ701では、機関1回転当たりの吸気重量流量GNと機関回転数NEが読み込まれる。次いでステップ703では、このGNとNEとの値を用いて図5から基本バルブタイミングtVVTが読みだされる。図5の関係は、予めGNとNEとを用いた数値マップとしてECU30のROM32に格納されている。
【0053】
基本バルブタイミングtVVT算出後、ステップ705では、現在の冷却水温度THWが読み込まれ、ステップ707では、この冷却水温度THWから図8の関係を用いて温度補正量tVTHWが決定される。
図8は、冷却水温度THWとバルブタイミング温度補正量tVTHWとの関係を示すグラフである。図8に示すように、温度補正量tVTHWの値は、暖機完了後(冷却水温度THWが所定値THW1以上)では0に設定され、THW<THW1の温度範囲では冷却水温度が低いほど大きな値に設定され、さらに冷却水温度が所定値THW0以下の領域では一定の大きな値(図5の基本バルブタイミング値tVVTの最大値以上の値)に設定されている。図8の温度補正量tVTHWの値は、冷却水温度THWを用いた数値マップの形でECU30のROM32に格納されている。
【0054】
次いで、ステップ709では、上記により求めた温度補正量tVTHWを用いて、基本バルブタイミング値tVVTが補正され、バルブタイミングの設定値VVTが、VVT=tVVT−tVTHWとして算出される。
次いで、ステップ711、713では、ステップ709で補正したバルブタイミング設定値VVTが負の値になっている場合にはVVT=0に再設定され、バルブタイミング設定値VVTが常にVVT≧0になるように制限する。
【0055】
そして、ステップ715では、カム軸回転角センサ45で検出した実際のバルブタイミングVTが設定値VVTに一致するようにリニアソレノイドバルブ25を制御してルーチンを終了する。この制御は、例えばVVTとVTとの偏差に基づくPDI(比例微分積分)制御とされる。
上記補正を行うことにより、バルブタイミング設定値は機関冷却水温度THWが所定値THW0以下の場合には、全ての負荷領域で0になるように設定され、可変バルブタイミング機構10は負荷領域にかかわらず非作動位置に固定されるようになる。また、機関冷却水温度THWがTHW0以上になると、バルブタイミング設定値VVTは機関温度とともに徐々に増大し、冷却水温度がTHW1以上になると図5の基本バルブタイミング値tVVTに一致するようになる。
【0056】
ところで、本実施形態では機関のバルブタイミングは機関負荷状態に応じて連続的に変化するように設定されている(図5参照)。このため、機関低温時で可変バルブタイミング機構が作動不能となる領域(図6でTHW≦TWH0の領域)以外では、できるだけ可変バルブタイミング機構を作動させてバルブタイミングを適切に制御するようにしている。すなわち、本実施形態では可変バルブタイミング機構が作動不能となる温度領域以外では、常に運転状態に応じてバルブタイミングが変更されていることになる。このため、可変バルブタイミング機構が作動領域(図6でTHW>THW0の領域)にある場合には、可変バルブタイミング機構の作動速度が低いと、図9を用いて説明したように加速時等に適正なバルブタイミングが得られず機関の出力低下が生じることになる。この出力低下を補うために、例えば加速時等の機関出力低下が生じる場合には、自動変速機を動力性能を重視した変速特性(図2、パターンI)で制御して機関出力低下を変速特性で補うようにすることが可能である。
【0057】
しかし、本実施形態のように負荷条件に応じて連続的にバルブタイミングの調整を行う可変バルブタイミング機構では、従来技術のように単に機関温度に基づいて一律に自動変速機の変速特性の選択を行っていたのでは問題が生じる。
すなわち、可変バルブタイミング機構の作動速度は製品毎にばらつきがあり、更に同一の製品でも経年的に変化する場合がある。このため、同一の機関温度でも、製品毎に、あるいは同一製品でも時期により作動速度は変化する。
【0058】
また、図6に示したように、可変バルブタイミング機構作動速度は、機関温度が高くなると増大するが、機関温度がある温度を越えると減少するようになる。これは、温度上昇により作動油温度が低下すると可変バルブタイミング機構内部の各クリアランス部からの作動油の洩れ量が大きくなり、内部油圧が低下するためである。
【0059】
前述したように、可変バルブタイミング機構の作動速度は可変バルブタイミング機構各部のクリアランスと作動油の粘度とによって大きく変化する。ここで、可変バルブタイミング機構各部のクリアランスは、製品毎に公差の範囲内でばらつきがある。また、作動油の粘度は使用する油(潤滑油)の種類や作動油の劣化の程度(使用時間)により大きく変化する。このため、機関温度が同一であっても可変バルブタイミング機構の作動速度は、製品毎や使用条件毎に大きくばらつきを生じる。
【0060】
従って、自動変速機の変速特性を単に機関温度に基づいて一律に選択したのでは、実際には可変バルブタイミング機構作動速度が低下しており、機関出力低下が大きいにもかかわらず燃費重視変速特性が選択されてしまい車両の動力性能が低下したり、逆に可変バルブタイミング機構作動速度が大きく機関出力低下が生じていないにもかかわらず動力性能重視変速特性が選択され、不必要に燃料消費量が悪化することなる。
【0061】
本実施形態では、実際に可変バルブタイミング機構10の作動速度を検出し、この実際の作動速度に応じて自動変速機200の変速特性を選択することにより、上記の問題を防止している。
上記のように、実際の可変バルブタイミング機構作動速度に基づいて自動変速機の変速特性を選択するためには、可変バルブタイミング機構の作動速度を検出する必要がある。本実施形態では、図10に示す方法で可変バルブタイミング機構の実際の作動速度を検出している。
【0062】
図10は、ECU30により一定時間毎に実行される可変バルブタイミング機構作動速度検出ルーチンを説明するフローチャートである。
図10においてルーチンがスタートすると、ステップ1001では現在の実際のバルブタイミングの値VTと、図7のバルブタイミング制御ルーチンで算出されたバルブタイミング設定値(制御目標値)VVTとが読み込まれ、ステップ1003では、バルブタイミング制御目標値VVTと現在のバルブタイミング値VTとの偏差|VVT−VT|が所定値Aより大きいか否かが判定され、|VVT−VT|>Aの場合にのみステップ1005を実行し、前回ルーチン実行時からのバルブタイミング値VTの変化量ΔVTが、ΔVT=|VT−VTi-1 |として算出される。VTi-1 は、前回ルーチン実行時のバルブタイミング値である。本ルーチンは一定時間間隔で実行されるため、この変化量ΔVTは現在の可変バルブタイミング機構の実際の作動速度を表すことになる。そして、ステップ1007では、次回のルーチン実行に備えてVTi-1 の値を更新する。
【0063】
ステップ1003で偏差|VVT−VT|が所定値A以下の場合には、作動速度ΔVTの算出は行わず、ステップ1007でVTi-1 の値を更新するのみでルーチンを終了する。
偏差|VVT−VT|が所定値Aより大きい場合にのみ作動速度ΔVTを算出するようにしたのは、制御目標値VVTと実際のバルブタイミングVTとの偏差がある程度大きく、可変バルブタイミング機構10の作動速度が十分に大きくなっている状態で計測したバルブタイミング値変化量ΔVTを作動速度として採用するようにするためである。すなわち、制御目標値と実際のバルブタイミング値との偏差がある程度大きい状態では、可変バルブタイミング機構の作動速度も大きくなっており、作動速度のばらつきも少なくなっている。このため、この状態で計測した変化量ΔVTを作動速度として採用することにより、信頼性の高い作動速度検出を行うことができるためである。
【0064】
図11は、上記により算出した可変バルブタイミング機構作動速度ΔVTに基づく自動変速機200の変速特性選択ルーチンを示す。本ルーチンもECU30により一定時間毎に実行される。
図11ステップ1101では、現在のバルブタイミング値VTと図10で算出した可変バルブタイミング機構作動速度ΔVTとが読み込まれる。次いで、ステップ1103では現在のバルブタイミングの値VTが所定値αより小さいか否かが判定される。ここで、αは機関の低中速トルクがある程度増大するバルブタイミング値であり、例えば本実施形態ではα=20°CA(クランク角)程度の値に設定される。ステップ1103で現在のバルブタイミング値VTがα以上であった場合には、現在のバルブタイミングではある程度低中速トルクが向上しており可変バルブタイミング機構作動速度が多少遅くとも機関出力低下の問題は生じないと判断されるため、ステップ1111に進み、ECT−ECU50に燃費重視変速特性(パターンII)を選択する信号を出力する。これにより、自動変速機200は動力性能より燃費を重視した特性(図2、変速線12′、23′、34′)で制御されるようになる。
【0065】
一方、ステップ1103でVT<αであった場合には、ステップ1105に進み、図10のルーチンで算出した変化量ΔVTが所定値βより大きいか否かを判断し、ΔVT≦βの場合には現在の選択されている変速特性をそのままホールドした状態でルーチンを終了する。ここで、βはβ≒0の値に設定されている。すなわち、本ルーチンでは、可変バルブタイミング機構が作動中でない場合(すなわち、ΔVT≒0)の場合には変速特性は前回選択したままにホールドされる。ΔVT≒0では変速特性の切換を行わないのは、可変バルブタイミング機構が作動中でない場合には、可変バルブタイミング機構作動速度による機関出力の低下が問題になることはないため、可変バルブタイミング機構作動速度に応じて変速特性を切り換える必要はないためである。
【0066】
ステップ1105でΔVT>βであった場合、すなわち現在可変バルブタイミング機構が作動中の場合には、次にステップ1107に進み、可変バルブタイミング機構作動速度が予め定めた判定値Bより小さいか否かを判定する。そして、ΔVT<Bであった場合には、可変バルブタイミング機構作動速度が低下しており、機関出力の低下を自動変速機の変速特性で補う必要があるためステップ1109に進み、ECT−ECU50に動力性能重視変速特性(パターンI)を選択する信号を出力する。これにより、自動変速機200は燃費より動力性能を重視した特性(図2、変速線12、23、34)で制御されるようになる。
【0067】
また、ステップ1107でΔVT≧Bであった場合には、可変バルブタイミング機構作動速度は十分に高く機関出力の低下は生じていないと判断されるため、ステップ1111に進み、ECT−ECU50に燃費重視変速特性(パターンII)選択信号を出力してルーチンを終了する。
図10、図11のルーチンを実行することにより、本実施形態では可変バルブタイミング機構10の実際の作動速度に応じて自動変速機200の変速特性が選択されるようになるため、可変バルブタイミング機構作動速度低下時にも車両動力性能の低下が生じない。
【0068】
次に、図12を用いて本発明の別の実施形態について説明する。図11の実施形態では、自動変速機200の変速特性の選択は、現在可変バルブタイミング機構が進角動作中か遅角動作中かにかかわらず一律に行われていた。しかし、実際には可変バルブタイミング機構は、機関の運転中バルブ駆動反力を受けており、一定の方向(例えば遅角動作方向)への作動中の作動速度が、他の方向(例えば進角動作方向)に作動中の作動速度より大きくなる傾向がある。このため、現在可変バルブタイミング機構が遅角方向に作動中の場合には、算出した作動速度は機構各部のクリアランスと作動油粘度とで決まる真の作動速度より大きな値となっている可能性がある。また逆に現在可変バルブタイミング機構が進角動作中である場合には、算出した作動速度が真の作動速度より小さくなっている可能性がある。そこで、本実施形態では現在可変バルブタイミング機構が進角動作中か遅角動作中かに応じて作動速度の判定値を変更し、正確に変速特性の選択を行うようにしている。
【0069】
図12のルーチンでは、作動速度ΔVT算出と変速特性の選択とを同一のルーチンで行う。本ルーチンは、ECU30により一定時間毎に実行される。
図12においてルーチンがスタートするとステップ1201では実際のバルブタイミング値VTとバルブタイミング設定値VVTとが読み込まれ、ステップ1203では、VT<αか否かが判定される。また、VT≧αの場合にはステップ1223に進み燃費重視変速特性(パターンII)が選択されるのは、図11のルーチンと同様である。更に、ステップ1205、ステップ1207では、図10のルーチンと同様、|VVT−VT|>Aの場合にのみ作動速度ΔVTがΔVT=|VT−VTi-1 |として算出される。また、本実施形態においても、可変バルブタイミング機構が作動中でない場合(ステップ1209でΔVT≦βの場合)には、変速特性の変更は行わずにそのままルーチンを終了する。なお、本実施形態ではVTi-1 の値の更新はルーチン終了直前にステップ1225で行われる。
【0070】
ステップ1211は、可変バルブタイミング機構が現在進角動作中か遅角動作中かの判定を示す。本実施形態では、バルブタイミングの設定値VVTが実際のバルブタイミング値VTより大きい(進角している)場合には現在可変バルブタイミング機構が進角動作中、そうでない場合には現在遅角動作中と判断する。
そして、本実施形態では進角動作中の場合には、ステップ1213で、遅角動作中の場合にはステップ1219で、それぞれΔVTの異なる判定値を用いて自動変速機の変速特性を決定する。
【0071】
すなわち、現在進角動作中であった場合には判定値Cを用いて変速特性を決定し(ステップ1213からステップ1217)、現在遅角動作中であった場合には判定値Dを用いて変速特性を決定する(ステップ1219からステップ1223)。ここで、判定値CとDとは一定値とされ、C<Dとなるように設定されている。すなわち、現在進角動作中である場合には、真の作動速度は算出したΔVTよりも大きいと考えられるため、ΔVTが小さい値であっても燃費重視の変速特性(パターンII)を選択するようにし、逆に現在遅角動作中である場合には、真の作動速度は算出したΔVTより小さいと考えられるため、ΔVTが大きい値であっても動力性能重視の変速特性(パターンI)を選択するようにする。
【0072】
このように、現在可変バルブタイミング機構が進角動作中か遅角動作中かに応じてΔVTの判定値を変えることにより、より正確に変速特性を選択することができるようになる。
次に、図13から図16を用いて本発明のパワートレーン制御の別の実施形態について説明する。図12の実施形態では、バルブタイミングの設定値VVTと実際のバルブタイミング値VTとの差がある程度大きければ、機関回転数にかかわらずバルブタイミング値の変化速度ΔVTを可変バルブタイミング機構作動速度として採用している。しかし、実際には可変バルブタイミング機構の作動速度は機関回転数によって変化する。例えば、機関低回転時には機関駆動の油圧ポンプの回転数も低くなるため、可変バルブタイミング機構作動油の油圧が低下し、可変バルブタイミング機構の作動速度も低下する。また、逆に機関高回転時には油圧ポンプの回転数が上昇し、作動油の油圧が上昇するため可変バルブタイミング機構の作動速度は大きくなる。
【0073】
このため、正確に自動変速機の変速特性を選択するためには、回転数の影響を排除して、純粋に可変バルブタイミング機構の各部クリアランスや作動油粘度で定まる真の作動特性を求める必要がある。
そこで、本実施形態では作動速度ΔVTの算出時の機関回転数NEに基づいて算出した作動速度ΔVTの値を補正することにより、作動速度算出時の回転数にかかわらず正確に変速特性を選択可能としている。
【0074】
図14、図15は機関回転数による可変バルブタイミング機構作動速度変化の一例を示している。図14は、機関駆動の油圧ポンプの吐出圧力の機関回転数による変化を示している。図14に示すように、ポンプ吐出圧力は機関回転数が上昇するにつれて高くなる。また、図15は図14の油圧変化による可変バルブタイミング機構作動速度の変化を進角動作時(カーブA)と遅角動作時(カーブB)とについて示す。図15に示すように可変バルブタイミング機構作動速度は、油圧ポンプの吐出圧力と略同一の変化を示す。
【0075】
すなわち、図15に示すように、回転数が高い場合には算出した作動速度ΔVTの値は回転数の影響により真の作動速度より大きな値になり、回転数が低い場合にはΔVTの値は真の作動速度より小さな値になる。そこで、本実施形態では、図16に示すような回転数補正係数tVNEを、算出したΔVTに乗じることにより上記傾向を補正し、真の作動速度を求めるようにしている。すなわち、補正係数tVNEは図15の傾向と逆の傾向を持つように設定されており、回転数が高い場合には低い場合より小さな値をとり、かつ遅角動作中(図16カーブB)は進角動作中(同カーブA)より小さい値になるように設定されている。このように設定した回転数補正係数tVNEの値を用いてΔVTを補正することにより、算出されたΔVTの値を、純粋に各部クリアランスや作動油粘度により定まる真の作動速度に補正することができる。
【0076】
図13は、図16の回転数補正を行うΔVTの算出ルーチンを説明するフローチャートである。本ルーチンは、ECU30により一定時間毎に実行される。 図13においてルーチンがスタートすると、ステップ1301では、現在のバルブタイミング値VTとバルブタイミング設定値VVTに加えて現在の機関回転数NEが読み込まれる。また、ステップ1303からステップ1311では、バルブタイミング変化速度ΔVTの算出(ステップ1305、ステップ1307)と変速特性の選択実行条件の判定(ステップ1303、ステップ1309)、及び現在可変バルブタイミング機構が進角動作中か否かの判定(ステップ1311)が行われる。これらのステップは図12のルーチンのものと同一であるので、ここでは説明を省略する。
【0077】
ステップ1311で、現在可変バルブタイミング機構が進角動作中であった場合にはステップ1312aに進み、ステップ1301で読み込んだ機関回転数NEに基づいて図16のカーブA(進角動作中)から回転数補正係数tVNEを決定する。そして、ステップ1312bでは、ステップ1307で算出した作動速度ΔVTにステップ1312aで決定した回転数補正係数tVNEを乗じて、補正後の作動速度ΔVT0を算出する(すなわち、ΔVT0=ΔVT×tVNE)。そして、ステップ1313から1317では補正後の作動速度ΔVT0を用いて、図12のステップ1213から1217と同様の変速特性の選択を行う。また、ステップ1311で現在遅角動作中であった場合には、ステップ1313cとステップ1313dでは機関回転数NEから、図16カーブB(遅角動作中)を用いて回転数補正係数tVNEを決定し、この補正係数tVNEを用いて補正した作動速度ΔVT0に基づいてステップ1319からステップ1323で変速特性の選択を行う。ステップ1319からステップ1323及びステップ1325は、それぞれ図12、ステップ1219からステップ1223及びステップ1225と同一である。
【0078】
上記のように、本実施形態によれば機関回転数NEを用いて検出した可変バルブタイミング機構作動速度を補正し、補正後の値を用いて自動変速機変速特性を選択することにより、機関回転数にかかわらず正確に変速特性の選択を行うことが可能となる。
次に、図17を用いて本発明のパワートレーン制御の別の実施形態について説明する。図13の実施形態では、算出した作動速度ΔVTを機関回転数NEに基づいて補正し、補正後の作動速度ΔVT0を所定の判定値(一定値)と比較することにより自動変速機の変速特性を選択していた(ステップ1313、ステップ1319)。これに対して、本実施形態では算出した作動速度ΔVTを補正する代わりに、ステップ1313とステップ1319の判定値C、Dを機関回転数NEに応じて変更するようにした点が図13の実施形態と相違している。
【0079】
図17において、ステップ1701から1711及びステップ1715、1717、1721から1725は、それぞれ図13ステップ1301から1311及びステップ1315、1317、1321から1325と同一の操作を示している。図17のルーチンでは、ステップ1711で現在可変バルブタイミング機構が進角動作中か遅角動作中かを判断した後、進角動作中の場合にはステップ1712aで、遅角動作中の場合にはステップ1712cで、それぞれ作動速度ΔVTの判定値tVC、tVDを機関回転数NEに基づいて算出する。
【0080】
図18は、本実施形態の判定値tVC、tVDと回転数NEとの関係を示す図である。図18に示すように、判定値tVC、tVDは図15の作動速度の変化と同様に、機関回転数NEが高くなるにつれて大きな値になるように、また、同一回転数では遅角動作時の判定値tVCが進角動作時の判定値tVDより大きくなるように設定されている。
【0081】
ステップ1713とステップ1719では、ステップ1707で算出した作動速度ΔVTがそれぞれ判定値tVCとtVDと比較され、ステップ1715、1717及び1721、1723ではこの比較結果に基づいて変速特性が選択される。
上述のように、図17のルーチンでは、算出した作動速度ΔVTを機関回転数NEに基づいて補正する代わりに、機関回転数NEに基づいて作動速度の判定値を変更するようにしたことにより、図13のルーチンと同様、機関回転数にかかわらず正確に自動変速機の変速特性を選択することが可能となる。
【0082】
【発明の効果】
各請求項に記載の発明によれば、可変バルブタイミング機構作動速度を検出し、この作動速度に応じて自動変速機の変速特性を選択するようにしたことにより機関動力性能を常に高く維持することが可能となる共通の効果を奏する。
更に、請求項2に記載の発明によれば、上記変速特性の選択の際に機関回転数による可変バルブタイミング機構作動速度の変化を考慮するようにしたことにより、上記共通の効果に加えて、機関回転数にかかわらず適切な変速特性の選択が可能となる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のパワートレーン制御装置の概略全体構成を説明する図である。
【図2】図1の自動変速機の変速特性の設定の一例を示す図である。
【図3】図1の可変バルブタイミング機構の詳細を示す図である。
【図4】吸気弁と排気弁との一般的な開閉タイミングを模式的に示す図である。
【図5】機関の暖機完了後の基本バルブタイミング値の設定例を示す図である。
【図6】可変バルブタイミング機構の作動速度の機関温度による変化傾向を説明する図である。
【図7】可変バルブタイミング機構のバルブタイミング制御ルーチンの一例を説明するフローチャートである。
【図8】バルブタイミングの温度補正量と機関温度との関係を示す図である。
【図9】可変バルブタイミング機構作動速度の低下によるパワートレーンの動力性能低下を説明する図である。
【図10】可変バルブタイミング機構の作動速度検出ルーチンの一例を説明するフローチャートである。
【図11】可変バルブタイミング機構作動速度に基づく自動変速機変速特性の選択ルーチンの一実施形態を説明するフローチャートである。
【図12】可変バルブタイミング機構作動速度に基づく自動変速機変速特性の選択ルーチンの別の実施形態を説明するフローチャートである。
【図13】可変バルブタイミング機構作動速度に基づく自動変速機変速特性の選択ルーチンの別の実施形態を説明するフローチャートである。
【図14】機関回転数による可変バルブタイミング機構作動油圧の変化を説明する図である。
【図15】機関回転数による可変バルブタイミング機構作動速度の変化を説明する図である。
【図16】機関回転数と回転数補正係数との関係を示すグラフである。
【図17】可変バルブタイミング機構作動速度に基づく自動変速機変速特性の選択ルーチンの別の実施形態を説明するフローチャートである。
【図18】図17のルーチンで使用する作動速度判定値と機関回転数との関係を示す図である。
【符号の説明】
1…カムシャフト
10…可変バルブタイミング装置
30…機関電子制御ユニット(ECU)
50…自動変速機電子制御ユニット(ECT−ECU)
100…内燃機関
200…自動変速機
Claims (2)
- 内燃機関のバルブタイミングを変更することにより機関運転状態に応じて機関のバルブオーバラップ量を調節する可変バルブタイミング機構と、
前記内燃機関の出力軸に接続された自動変速機と、
を備えたパワートレーンの制御装置であって、
前記可変バルブタイミング機構によるバルブタイミング変更時の実際のバルブタイミング変化速度を検出する作動速度検出手段と、
前記作動速度検出手段により検出された実際のバルブタイミング変化速度を予め定めた基準値と比較する比較手段と、
前記バルブタイミング変化速度が前記基準値より小さい場合には前記バルブタイミング変化速度が前記基準値より大きい場合に較べて、前記自動変速機の変速操作をより動力性能を重視した変速特性に制御する変速制御手段と、
を備えたパワートレーンの制御装置。 - 更に、機関回転数を検出する回転数検出手段と、
前記作動速度検出手段により検出されたバルブタイミング変化速度と前記基準値とのうち少なくとも一方を、機関回転数に基づいて補正する回転数補正手段を備えた請求項1に記載のパワートレーンの制御装置。
Priority Applications (1)
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JP33726396A JP3661321B2 (ja) | 1996-12-17 | 1996-12-17 | パワートレーンの制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP33726396A JP3661321B2 (ja) | 1996-12-17 | 1996-12-17 | パワートレーンの制御装置 |
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JPH10175462A JPH10175462A (ja) | 1998-06-30 |
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-
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- 1996-12-17 JP JP33726396A patent/JP3661321B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
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JPH10175462A (ja) | 1998-06-30 |
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