JPH10331670A - 内燃機関のバルブ特性制御装置 - Google Patents

内燃機関のバルブ特性制御装置

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JPH10331670A
JPH10331670A JP9140217A JP14021797A JPH10331670A JP H10331670 A JPH10331670 A JP H10331670A JP 9140217 A JP9140217 A JP 9140217A JP 14021797 A JP14021797 A JP 14021797A JP H10331670 A JPH10331670 A JP H10331670A
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JP
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valve
engine
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speed
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JP9140217A
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Mamoru Yoshioka
衛 吉岡
Toshihiro Fukumasu
利広 福増
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Toyota Motor Corp
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Toyota Motor Corp
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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F02COMBUSTION ENGINES; HOT-GAS OR COMBUSTION-PRODUCT ENGINE PLANTS
    • F02DCONTROLLING COMBUSTION ENGINES
    • F02D13/00Controlling the engine output power by varying inlet or exhaust valve operating characteristics, e.g. timing
    • F02D13/02Controlling the engine output power by varying inlet or exhaust valve operating characteristics, e.g. timing during engine operation
    • F02D13/0261Controlling the valve overlap
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F02COMBUSTION ENGINES; HOT-GAS OR COMBUSTION-PRODUCT ENGINE PLANTS
    • F02DCONTROLLING COMBUSTION ENGINES
    • F02D41/00Electrical control of supply of combustible mixture or its constituents
    • F02D41/0002Controlling intake air
    • F02D2041/001Controlling intake air for engines with variable valve actuation
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
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    • Y02TCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
    • Y02T10/00Road transport of goods or passengers
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    • Y02T10/12Improving ICE efficiencies

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  • Output Control And Ontrol Of Special Type Engine (AREA)
  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
  • Valve-Gear Or Valve Arrangements (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 加速時のバルブオーバラップ量急変による空
燃比の乱れを防止する。 【解決手段】 機関に可変バルブタイミング機構機構1
0を設け、機関運転状態に応じてバルブオーバラップ量
を制御する。制御回路10は、低温時等バルブオーバラ
ップ量急変により吸気ポート壁面への噴射燃料付着量が
急激に変化する条件下では、可変バルブタイミング機構
の作動速度を低下させてバルブオーバラップ量変化速度
を低減する。これにより、バルブオーバラップ量の急激
な変化が生じず、壁面付着燃料量も急激に変化しなくな
るため加速時に機関空燃比のオーバーリーンが生じる問
題が解決される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、運転状態に応じて
内燃機関の吸気弁と排気弁とのバルブオーバラップ量を
調節するバルブ特性制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、内燃機関の回転数、負荷等の
運転状態に応じて吸排気弁の開閉タイミング(バルブタ
イミング)やバルブリフトを変更し、各運転状態におけ
る出力や燃費の向上を図るバルブ特性制御装置が知られ
ている。この種のバルブ特性制御装置では、吸気弁と排
気弁との両方が同時に開弁している期間(以下、この期
間の長さを「バルブオーバラップ量」と称する)を最適
な値に設定することにより、各運転状態における機関性
能を向上させている。
【0003】この種のバルブ特性制御装置の例として
は、例えば特開平8−270467号公報に記載された
ものがある。同公報は、機関負荷と回転数に応じてバル
ブタイミングを変更し、バルブオーバラップ量を機関運
転状態に応じて無段階に変更するバルブ特性制御装置を
開示している。また、同公報の装置では、更に、機関の
減速時には強制的にバルブオーバラップ量を最小に設定
する制御を行っている。機関低回転時等にバルブオーバ
ラップ量が適正値より大幅に大きくなると、燃焼室から
吸気ポートへの既燃ガスの吹き返しが増大する。このた
め、バルブオーバラップ量が過大な状態では失火による
エンジンストール等が生じやすくなる。上記公報の装置
は、機関減速時にバルブオーバラップ特性制御装置の応
答遅れによりバルブオーバラップ量が過大な状態が生じ
ることを防止するために、機関減速時に強制的にバルブ
オーバラップ量を最小値に設定する操作を行うものであ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】一般に、バルブオーバ
ラップ量を大きく設定すると排気行程時に排気弁と吸気
弁との両方が同時に開弁する期間が長くなるため、気筒
内の既燃ガスが吸気ポートに逆流する、いわゆる吸気ポ
ートへの既燃ガスの吹き返しが増大する。このように吸
気ポートへの既燃ガスの吹き返しが増大すると、機関の
空燃比制御の制御性が悪化し、空燃比のオーバーリッチ
やオーバーリーンが生じる場合がある。
【0005】例えば上記吸気ポートへの既燃ガスの吹き
返しが大きいと、吸気ポートに逆流した既燃ガスが吸気
行程時に再度気筒内に吸入されることにより、気筒に供
給される新気の量が低下する問題(内部EGR量の増
大)が生じる他、特に機関温度が低い場合には吸気ポー
トに供給された燃料のうち吸気ポート壁面に付着する燃
料(壁面付着燃料)の量が増大するため十分な量の燃料
が気筒に供給されなくなる問題が生じる。
【0006】すなわち、機関温度が低い場合には、吸気
ポートに供給された燃料は気化しにくいため吸気ポート
内に比較的大きな液体燃料粒子を形成している。この状
態で吸気ポートに既燃ガスが逆流すると、吸気ポート内
の燃料粒子が吹き戻されて壁面に付着してしまう。この
壁面付着燃料の量は、他の条件が同一であれば機関温度
が低い程、すなわち燃料の気化状態が悪い程、またバル
ブオーバラップ量が大きい程(すなわち既燃ガスの吹き
返しが大きい程)多くなる。
【0007】一般に、バルブオーバラップ量は機関負荷
が大きくなるほど大きな値に設定される。このため、急
加速時等で負荷が急増するとバルブオーバラップ量も急
激に増大することになり、機関低温時には壁面に付着す
る燃料の量は極めて短い時間に急激に増大することにな
る。このように、壁面に付着する燃料の量が急激に増大
すると、機関に供給された燃料のうち壁面に付着する燃
料量を増大させるために消費される燃料の量が大きくな
り、実際に気筒内に供給される燃料の量が減少してしま
う問題が生じる。このため、バルブオーバラップ量が急
激に増大する急加速時等には機関の燃焼空燃比がオーバ
ーリーンとなり、ドライバビリティの悪化や排気性状の
悪化が生じやすくなる問題がある。また、逆に前述の特
開平8−270467号公報の装置のように、機関減速
時にバルブオーバラップ量を急激に減少させた場合に
は、壁面に付着した燃料が急激に減少し、壁面から脱離
した燃料が気筒内に流入するため機関の燃焼空燃比がオ
ーバーリッチとなる問題が生じる。
【0008】実際の機関においては、例えば上記加速時
の壁面付着燃料量の増大によるオーバーリーンを防止す
るため、壁面付着燃料量の増大に消費される燃料量に相
当する量だけ機関に供給する燃料量を増大する、いわゆ
る加速増量が行われる。ところが、前述したように壁面
付着燃料量の増大速度はバルブオーバラップ量の増大速
度に応じて変化する。しかも、バルブオーバラップ量の
増大速度、すなわちバルブ特性制御装置の作動速度には
製品毎のばらつきがあるのみならず、運転条件や経年変
化等によっても変化する。
【0009】例えば、油圧駆動のバルブ特性制御装置で
は作動油の粘度により装置作動速度が大きく変化するた
め、同じ装置であっても作動油の種類や劣化状態、運転
温度等に応じて作動速度が大きく変化することになる。
このため、上記加速時のオーバーリーンを防止するため
には、バルブ特性制御装置の製品毎のばらつき、経年変
化、運転条件などを考慮して装置作動速度が最も早くな
る場合に合わせて加速増量の値を設定する必要がある。
ところが、このように最もバルブ特性制御装置の作動速
度が速い状態に適合するように加速増量の値を設定して
いると、作動速度が遅いバルブ特性制御装置では燃料の
加速増量が過大となるため加速時に機関空燃比がオーバ
ーリッチとなってしまい、必要以上の燃費悪化や空燃比
制御の悪化を生じる問題があった。
【0010】本発明は上記問題に鑑み、バルブ特性制御
装置作動速度のばらつきによる空燃比制御の悪化の問題
を解決し、空燃比のオーバーリーンやオーバーリッチが
生じることを防止可能な内燃機関のバルブ特性制御装置
をが提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明に
よれば、内燃機関のバルブオーバラップ量を変更するバ
ルブ特性変更手段を備え、機関バルブオーバラップ量を
機関運転状態に応じて定まる目標値に調節するバルブ特
性制御装置において、機関運転状態の所定の条件が成立
したときに、前記バルブ特性変更手段の作動速度を制限
することにより、機関バルブオーバラップ量の変化速度
を所定の補正量だけ低下させる変化速度制限手段を備え
たことを特徴とする内燃機関のバルブ特性制御装置が提
供される。
【0012】請求項2に記載の発明によれば、前記変化
速度制限手段は、機関温度が予め定めた温度より低いと
きに前記所定条件が成立したと判断する請求項1に記載
のバルブ特性制御装置が提供される。請求項3に記載の
発明によれば、前記変化速度制限手段は、機関バルブオ
ーバラップ量目標値が増大したときに前記所定条件が成
立したと判断する請求項1に記載のバルブ特性制御装置
が提供される。
【0013】請求項4に記載の発明によれば、前記変化
速度制限手段は、機関バルブオーバラップ量目標値が減
少する場合には、機関バルブオーバラップ量目標値が増
大する場合に較べて前記バルブオーバラップ変化速度の
補正量を小さく設定する請求項1に記載のバルブ特性制
御装置が提供される。請求項5に記載の発明によれば、
前記変化速度制限手段は、機関吸気管圧力が低いほど前
記補正量を大きな値に設定する請求項1に記載のバルブ
特性制御装置が提供される。
【0014】請求項6に記載の発明によれば、前記変化
速度制限手段は、機関回転数が低いほど前記補正量を大
きな値に設定する請求項1に記載のバルブ特性制御装置
が提供される。請求項7に記載の発明によれば、前記バ
ルブ特性変更手段の作動領域にはバルブ特性変更手段が
作動しても機関バルブオーバラップ量が変化しない領域
が含まれ、前記変化速度制御手段は、前記バルブオーバ
ラップ量が変化しない領域ではバルブ特性変更手段の前
記作動速度の制限を実施しない請求項1に記載のバルブ
特性制御装置が提供される。
【0015】請求項8に記載の発明によれば、前記変化
速度制限手段は、機関のバルブオーバラップ量目標値が
大きいほど前記補正量を大きな値に設定する請求項1に
記載のバルブ特性制御装置が提供される。請求項9に記
載の発明によれば、前記変化速度制限手段は、機関のバ
ルブオーバラップ量の変化速度を検出する変化速度検出
手段を備え、検出したバルブオーバラップ量変化速度が
予め定めた値を越えたときに前記所定条件が成立したと
判断する請求項1に記載のバルブ特性制御装置が提供さ
れる。
【0016】請求項10に記載の発明によれば、内燃機
関のバルブオーバラップ量を変更するバルブ特性変更手
段を備え、機関バルブオーバラップ量を機関運転状態に
応じて定まる目標値に調節するバルブ特性制御装置にお
いて、更に、機関バルブオーバラップ量が所定値より大
きくなる領域で他の領域に較べて前記バルブ特性変更手
段の作動抵抗を増大させる手段を備えたことを特徴とす
る内燃機関のバルブ特性制御装置が提供される。
【0017】以下、各請求項の発明の作用について説明
する。各請求項の発明では、所定の条件下でバルブ特性
制御装置の作動速度、すなわちバルブオーバラップ量の
変化速度を制限することにより、壁面付着燃料量の急激
な変化が生じることを防止する。例えば、機関低温時に
おける急加速等でバルブオーバラップ量が急激に増大す
ると前述のように壁面付着燃料の急激な増大が生じ機関
空燃比がオーバーリーンとなるが、オーバラップ量変化
速度を制限して緩やかに増大させるようにすることによ
り壁面付着燃料量の増大速度も小さくなる。このため、
各請求項に記載の発明では機関に供給される燃料のうち
壁面付着燃料増大に消費される燃料の割合が比較的小さ
くなり、加速増量値を小さく設定しても機関空燃比のオ
ーバーリーンを防止することができる。
【0018】また、このように所定条件下でバルブオー
バラップ量の変化速度をある一定レベルまで低下させる
ことにより装置作動速度のばらつきに起因する加速増量
の不適合が生じることが防止される。すなわち、前述し
たようにバルブ特性制御装置の作動速度は同一条件下で
あっても製品毎のばらつきがあり、更に同じ装置であっ
ても経年変化や運転条件により変化する。従来は、これ
らの作動速度のばらつきを考慮して最も作動速度が速く
なる条件に合わせて加速増量値を設定していたため、作
動速度が遅い装置では加速時等に機関空燃比がオーバー
リッチとなる問題が生じていた。
【0019】これに対して、本発明の各請求項に記載の
発明では、所定の機関運転条件下でバルブ特性制御装置
の作動速度(すなわちオーバラップ量の変化速度)を所
定の補正量だけ低下させることにより、所定の機関運転
条件下では装置作動速度のばらつきにかかわらず、実際
のオーバラップ量変化速度を一定の低いレベルに揃える
ことが可能となる。このため、燃料の加速増量値を上記
一定のレベルに揃えたオーバラップ変化速度に適合する
ように設定することにより、設定された加速増量値は、
作動速度のばらつきにかかわらず全ての装置で適切な値
となり、加速時等にオーバーリーンやオーバーリッチが
生じることが防止される。
【0020】また、請求項2と請求項3の発明では、上
記オーバラップ変化速度の制限を行う機関運転条件は、
機関温度が低い時(請求項2)及びバルブオーバラップ
量が増大するとき(請求項3)とされる。すなわち、請
求項2、請求項3では壁面付着燃料量が増大する機関運
転条件が成立したときにオーバラップ変化速度の制限が
行われる。
【0021】また、請求項4の発明では、バルブオーバ
ラップ量が減少方向に変化する場合には、上記オーバラ
ップ量変化速度の低減量は増大時に較べて小さく設定さ
れる。このため、バルブオーバラップ量減少時には、変
化速度の低下は少なく、または全く低下しないように設
定されるので、機関減速時等には回転数低下に追従して
バルブオーバラップ量が低減されるようになり、失火等
が生じない。
【0022】請求項5と請求項6の発明では、変化速度
制限手段はオーバラップ量変化速度を制限する際に、壁
面付着燃料量が増大する条件に応じてバルブオーバラッ
プ量の変化速度の低減量が大きくなるようにする。すな
わち、吸気管圧力が低い場合には他の条件が同一であっ
ても既燃ガスの吹き返しが大きくなり壁面付着燃料が増
大する。また、機関低回転時には機関高回転時に較べて
既燃ガスの影響が大きくなり、同一のオーバラップ量で
あっても壁面付着燃料量は増大する。このため、請求項
5では吸気管圧力が低いほど、また請求項6では機関回
転数が低いほどオーバラップ量変化速度の低減量を大き
くして壁面付着燃料量の増大を防止する。
【0023】一方、バルブ特性変更手段が作動してもバ
ルブオーバラップ量が変化しない領域(例えばバルブオ
ーバラップ量がゼロに設定されている領域)ではバルブ
オーバラップ量変化速度の制限は必要がないため、バル
ブ特性変更手段の作動速度を制限する必要はない。そこ
で、請求項7では、このような領域ではバルブ特性変更
手段の作動速度の制限を行わず、バルブ特性制御装置の
応答速度の低下を防止している。
【0024】請求項8の発明では、変化速度制限手段は
オーバラップ量変化速度を制限する際に、バルブオーバ
ラップ量の目標値が大きいほどバルブオーバラップ量変
化速度の低減量を大きく設定する。このため、バルブオ
ーバラップ量が大きく、既燃ガスの吹き返し量が大きく
なって壁面付着燃料量が増大する領域では、バルブオー
バラップ変化速度が大きく低減され壁面付着燃料量の急
激な増大が抑制される。
【0025】請求項9の発明では、変化速度制限手段は
変化速度検出手段により検出した実際のバルブオーバラ
ップ量変化速度が所定値より大きくなったときに変化速
度の制限を実施する。このため、壁面付着燃料量の急激
な増大が確実に防止される。請求項10の発明では、バ
ルブオーバラップ量が大きい領域、すなわち壁面付着燃
料量が大きくなる領域ではバルブ特性変更手段の作動抵
抗が増大する。従って、このような領域ではバルブ特性
変更手段の作動速度は小さくなり、バルブオーバラップ
量変化速度が低下するため壁面付着燃料量の急激な増大
が防止される。
【0026】
【発明の実施の形態】以下添付図面を用いて本発明の実
施形態について説明する。図1は本発明のバルブ特性制
御装置を4サイクル機関に適用した場合の構成の一例を
示す図である。本発明では、バルブ特性制御装置とし
て、例えば吸排気弁の少なくとも一方のバルブタイミン
グを変更することによりバルブオーバラップ量を調整可
能とする形式のもの、あるいは吸排気弁の少なくとも一
方のバルブリフトを変更することによりバルブオーバラ
ップ量を調整可能とする形式のもの等が使用可能であ
る。図1の実施形態では上記のうち、吸気弁のバルブタ
イミングのみを変更することによりバルブオーバラップ
量を調整可能としたバルブ特性制御装置、すなわちバル
ブタイミング制御装置が使用されている。
【0027】すなわち、本実施形態においては、吸気弁
と排気弁との駆動用にそれぞれ別のカムシャフトを有す
るダブルオーバヘッドカムシャフト(DOHC)型機関
が使用され、バルブタイミングを変更するための可変バ
ルブタイミング機構が吸気カムシャフトのみに設けられ
ている。すなわち、本実施形態では排気弁のバルブタイ
ミング変更は行わず、吸気弁のバルブタイミングのみを
運転条件に応じて変更することにより、吸気弁と排気弁
とのバルブオーバラップ量を変更する。
【0028】以下、図1のバルブ特性制御装置の構成に
ついて簡単に説明する。図1において、1はDOHC型
機関の吸気弁(図示せず)を開閉駆動する吸気カムシャ
フト、その全体を10で示すのは吸気カムシャフト端部
に設けられた可変バルブタイミング機構である。可変バ
ルブタイミング機構10は、円筒状スリーブ13を有す
るタイミングプーリ12と、カムシャフト1の端部を覆
うカバー14とを備えており、タイミングプーリ12は
円筒状スリーブ13を介して吸気カムシャフト1の周囲
にカムシャフト1に対して回転可能に装着されている。
また、カバー14はタイミングプーリ12にボルト15
により固定され、プーリ12と一体に回転するようにな
っている。
【0029】カバー14内部にはピストン部材17が設
けられている。ピストン部材17は、円環状のピストン
部19と、ピストン部19から延びる円筒部21とを備
えており、ピストン部19の外周面と内周面とは、カバ
ー14の内周面とプーリ12のスリーブ13の外周面と
にそれぞれ摺接している。また、ピストン部材17の円
筒部21の外周面と内周面とには、それぞれ所定の捩じ
れ角を有するアウターヘリカルギヤ21aとインナーヘ
リカルギヤ21bとが刻設されており、アウターヘリカ
ルギヤ21aはカバー14内周面に形成された内歯ヘリ
カルギヤ22aと、またインナーヘリカルギヤ21bは
カムシャフト1の端面にボルト1a、ピン1bにより一
体に装着されたリング状の外歯ヘリカルギヤ22bとそ
れぞれ噛合している。
【0030】本実施形態の可変バルブタイミング機構1
0では、機関のクランク軸(図示せず)の回転は、タイ
ミングベルト12aを介してタイミングプーリ12に伝
えられる。プーリ12が回転すると、カバー14がプー
リ12と一体に回転し、ヘリカルギヤ22a、21aを
介してカバー14に連結されたピストン部材17がカバ
ー14と一体に回転する。ピストン部材17は、ヘリカ
ルギヤ21b、22bを介して同時にカムシャフト1に
も連結されているため、これによりカムシャフト1がプ
ーリ12と一体に回転する。
【0031】すなわち、本実施形態の可変バルブタイミ
ング機構10では、カムシャフト1の回転駆動力は、ク
ランク軸からタイミングベルト12aを介してタイミン
グプーリ12に伝達され、プーリ12からカバー14、
ヘリカルギヤ22a、21a、ピストン部材17及びヘ
リカルギヤ21b、22bを経てカムシャフト1に伝達
される。
【0032】本実施形態の可変バルブタイミング機構1
0は、ピストン部材17をカムシャフト1軸線方向に移
動させることにより吸気弁のバルブタイミングの変更を
行う。すなわち、ピストン部材17は、互いに噛合す
る、それぞれ所定の捩じれ角のヘリカルギヤ22a、2
1aと21b、22bとによってカバー14およびカム
シャフト1に連結されている。このため、ピストン部材
17がカムシャフト軸線方向に移動すると、ヘリカルギ
ヤ22aと21a及び21b、22bの噛合位置はそれ
ぞれの歯筋に沿って軸線方向に移動する。ところが、そ
れぞれのギヤの歯面は、カムシャフト軸線方向に対して
捩じれ角を有するため、噛合位置が軸線方向に移動する
と、カバー14とピストン部材17、及びピストン部材
17とカムシャフト1とはそれぞれヘリカルギヤの歯筋
に沿って円周方向に相対移動する。このため、ピストン
部材17の軸線方向移動にともなってカバー14とピス
トン部材17、及びピストン部材17とカムシャフト1
とは相対的に回転することになる。従って、機関の運転
中にピストン部材17をカムシャフト1軸線方向に移動
させることにより、タイミングプーリ12の回転位相、
すなわちクランク軸の回転位相に対するカムシャフト1
の回転位相を進める(或いは遅らせる)ことが可能とな
り、カムシャフト1に駆動される吸気弁の開閉タイミン
グを進角(或いは遅角)させることができる。
【0033】上述のように、本実施形態の可変バルブタ
イミング機構10は吸気カムシャフト1の回転位相のみ
を変化させるものであるため、バルブタイミング変更の
際には吸気弁の開弁時期と閉弁時期とは常に同じ量だけ
変化し、吸気弁の開弁期間自体は一定に維持される。本
実施形態では、機関運転中に、油圧を用いてピストン部
材17を移動させることによって吸気弁のバルブタイミ
ング変更操作を行う。図1に示すように、カムシャフト
1内には2つの油通路2及び3が軸線方向に沿って穿設
されている。油通路2はカムシャフト1の中心に設けら
れ、油通路2の軸端側はボルト1aに穿設されたポート
2aを介してカバー14内面とピストン17の軸端側端
面との間に形成される油圧室5に連通している。また、
油通路2のもう一方の端部はカムシャフト1に半径方向
に穿設されたポート2bを介して後述するリニアソレノ
イドバルブ25に接続されている。一方、油通路3の軸
端側端部は前述のリング状外歯ヘリカルギヤ22bによ
り閉塞されている。また、油通路3は半径方向に穿設さ
れたポート3aを介して、ピストン17端面とタイミン
グプーリ12及びカバー14とで形成される油圧室8に
連通するとともに、別のポート3bを介してリニアソレ
ノイドバルブ25に連通している。
【0034】リニアソレノイドバルブ25は、スプール
26を有するスプール弁であり、前述の油通路2のポー
ト2bに配管を介して接続された油圧ポート26aと、
油通路3のポート3bに配管を介して接続された油圧ポ
ート26b、機関潤滑油ポンプ等の圧力油供給源28に
接続されたポート26c及び2つのドレーンポート26
d、26eを備えている。バルブ25のスプール26は
ポート26aと26bのうちのいずれかをポート26c
に連通し、他方をドレーンポートに接続するように動作
する。
【0035】すなわち、図1においてスプール26が左
方向に移動すると、油圧通路2のポート2bに連通する
ポート26aはポート26cを介して油圧供給源28に
接続され、ドレーンポート26dは閉鎖される。また、
この時同時に油圧通路3のポート3bに接続されたポー
ト26bはドレーンポート26eに連通する。このた
め、可変バルブタイミング機構10の油圧室5には、機
関の潤滑油ポンプ等の油圧供給源28から油圧通路2、
ポート2aを介して潤滑油が流入し、ピストン19を図
1右方向に押動する。また、この時油圧室8内の潤滑油
はポート3aから油通路3、ポート3b、リニアソレノ
イドバルブ25のポート26b等を通ドレーンポート2
6eから排出される。このため、ピストン部材17は図
1右方向に移動する。
【0036】また、図1において逆にスプール26が右
方向に移動すると、ポート26bはポート26cに接続
され、ポート26aはドレーンポート26dに接続され
る。これにより、油圧室8には油通路3を通って潤滑油
が流入し、油圧室5からは油通路2を通ってドレーンポ
ート26dに潤滑油が排出されるため、ピストン部材1
7は図1左方向に移動する。
【0037】なお、本実施形態では、油圧室5に潤滑油
が供給されてピストン部材17が図1右方向に移動する
と吸気弁バルブタイミングは進角側に変更され、油圧室
8に潤滑油が供給されてピストン部材17が図1左方向
に移動すると吸気弁バルブタイミングは遅角側に変更さ
れるようにヘリカルギヤ21a、21b及び22a、2
2bの捩じり角が設定されている。
【0038】また、図1に25bで示すのは、スプール
26を駆動するリニアソレノイドアクチュエータであ
る。リニアソレノイドアクチュエータ25bは後述する
制御回路30からの制御信号を入力し、この制御信号の
大きさに比例する量だけスプール26を移動させること
により、ピストン部材17の位置、すなわち吸気弁のバ
ルブタイミングを変更する。
【0039】図1に30で示すのは、リニアソレノイド
バルブ25の動作を制御する制御回路である。本実施形
態では、制御回路30はリードオンリメモリ(ROM)
32、ランダムアクセスメモリ(RAM)33、マイク
ロプロセッサ(CPU)34、入力ポート35、出力ポ
ート36を相互に双方向性バス31で接続した公知の構
成のディジタルコンピュータとして構成される。また、
制御回路30は、バッテリ等の電源に直結され機関が停
止されても記憶保持が可能なバックアップRAM37を
備えている。本実施形態の制御回路30は、機関運転条
件に応じてリニアソレノイドバルブ25の動作を制御し
て吸気弁のバルブタイミングを調節し、吸排気弁のバル
ブオーバラップ量を制御する。この制御のため、制御回
路30の入力ポート35には、機関の吸気通路に設けら
れたエアフローメータ41(例えば熱線式エアフローメ
ータ)から機関吸入空気量(重量流量)に比例する電圧
信号と、機関冷却水通路に設けられた水温センサ42か
ら機関冷却水温度THWに比例する電圧信号、また機関
吸気通路のスロットル弁(図示せず)近傍に配置された
スロットル開度センサ40からスロットル弁開度TAを
表す電圧信号とが、それぞれAD変換器43を介して入
力されているほか、機関クランク軸に設けられたクラン
ク軸回転角センサ44からクランク軸回転角を表すパル
ス信号と、カムシャフトに設けられたカム回転角センサ
45からカムシャフト1の回転角を表すパルス信号とが
入力されている。
【0040】エアフローメータ41で検出した機関吸入
空気量Gは、更に機関回転数NEを用いて機関1回転当
たりの吸気重量流量GN(=G/NE)が一定時間毎に
算出され、制御回路30のRAM33に格納される。ク
ランク軸回転角センサ44からのパルス信号は、クラン
ク軸回転720度毎に発生するクランク軸の基準位置を
示すN1信号と、クランク軸回転30度毎に発生するN
E信号とからなり、カム回転角センサ45からはカムシ
ャフト回転360度毎に、カムシャフトが基準位置に到
達したことを示すCN1パルス信号が発生する。制御回
路30は一定時間毎にNE信号のパルス間隔から機関回
転数NEを計算するとともに、この機関回転数NEを用
いてN1信号とCN1信号との時間間隔からカムシャフ
ト1の実際の回転位相(吸気弁のバルブタイミング)V
Tを演算する。この演算結果はRAM33に格納され
る。また、スロットル弁開度TAと冷却水温度THWと
は一定時間毎にAD変換され同様にRAM33に格納さ
れる。つまり、RAM33に格納されるNE、VT、G
N、TA、THW等の値は一定時間毎に更新され、常時
最新の値がRAM33に格納されている。
【0041】後述するように、機関回転数NEと機関吸
入空気量GN、及びスロットル弁開度TAは、機関の負
荷条件を表すパラメータとして使用される。また、冷却
水温度THWは後述するバルブオーバラップ量変化速度
の制限のために使用される。一方制御回路30の出力ポ
ート36は、駆動回路48を介してリニアソレノイドバ
ルブ25のアクチュエータ25bに接続され、制御信号
をアクチュエータ25bに供給している。
【0042】次に、本実施形態の吸気弁のバルブタイミ
ング設定について図2を用いて説明する。図2は吸気弁
と排気弁との一般的な開閉時期を模式的に示す図であ
る。図2において、TDCはピストン行程上死点、BD
Cは下死点を示し、IO、ICはそれぞれ吸気弁の開弁
時期と閉弁時期、EO、ECはそれぞれ排気弁の開弁時
期と閉弁時期とを表している。図2に示すように、吸気
弁は排気行程上死点(TDC)前から開弁し、吸気行程
下死点(BDC)後に閉弁する。また、排気弁は爆発行
程下死点(BDC)前から開弁し、排気行程上死点(T
DC)後に閉弁する。図2に示すように、排気行程では
排気弁が閉じる(EC)前に吸気弁が開く(IO)よう
にバルブタイミングが設定されるため、吸気弁と排気弁
との両方が開弁している期間(図2にOL)で示す期間
が存在する。本実施形態では期間OLの長さ(角度)を
バルブオーバラップ量と称する。また、本実施形態では
吸気弁のバルブタイミングを最も遅角した状態(図2、
IO0 )からのバルブタイミング進角量をバルブタイミ
ング値VTと定義している。図2から判るように、本実
施形態では排気弁の閉弁時期は固定されているため、バ
ルブタイミング値VTとバルブオーバラップ量OLとは
一対一に対応する。すなわち、VTが大きい(吸気弁の
開弁時期IOが早い)ことはバルブオーバラップ量OL
もそれに応じて大きくなっていることを意味し、VTが
小さい(吸気弁の開弁時期IOが遅い)ことは、バルブ
オーバラップ量OLもそれに応じて小さくなっているこ
とを意味している。
【0043】一般に、吸排気弁のバルブオーバラップ量
OL(吸気弁バルブタイミングVT)の設定が機関性能
に及ぼす影響は以下の通りである。 (1)VTを増大させてバルブオーバラップ量OLを大
きく設定すると、既燃ガスの吸気ポートへの吹き返しが
大きくなる。これにより、吸気ポートに吹き返した既燃
ガスが燃焼室内に再吸入される、いわゆる内部EGR効
果が増大する。この既燃ガスの吹き返しは、吸気管圧力
が低い低負荷運転時等には大きく、吸気管圧力が高い高
負荷運転時等には小さくなる。
【0044】(2)VTを減少させて(吸気弁開弁時期
を遅らせて)バルブオーバラップ量OLを小さく設定す
ると、吸気弁の閉弁時期(図2、IC)が遅くなるた
め、圧縮行程時(BDC後)に吸気弁が開弁している期
間が長くなる。このため、低中速回転領域では気筒内に
吸入された新気が圧縮行程初期に気筒から吸気ポートに
押し戻されるようになり、気筒の新気充填効率が低下す
る。従って、バルブオーバラップ量OLを小さく設定す
ると、気筒の実圧縮比が低下する。
【0045】一方、高回転領域では吸気の流速が早くな
るため吸気慣性効果が生じ、閉弁時期を遅くするほど充
填効率が向上して実圧縮比が増大する。このため、機関
高回転領域では、バルブオーバラップOLを小さく設定
すると、気筒の実圧縮比は増大する。本実施形態では、
上記の機関性能に対するバルブタイミング値の影響を考
慮して、以下に説明するように機関の各運転領域におけ
る吸気弁バルブタイミングを設定している。
【0046】図3は、本実施形態における暖機完了後の
運転時のバルブタイミング値VTの設定値の一例を示し
ている。以下、この標準状態における、バルブタイミン
グ設定値を基本バルブタイミング値(tVVT)と称す
る。図3においてtVVTの値はバルブタイミングが最
も遅角された状態(図2、IO0 )からの進角量(クラ
ンク軸回転角CA)で表わしている。前述のように、本
実施形態では、基本バルブタイミングtVVTの値はバ
ルブオーバラップ量OLと1対1の関係を有する。
【0047】図3の表中、縦軸は機関負荷を表すパラメ
ータとして使用する、機関1回転当たりの吸入空気重量
GN(グラム/回転)、横軸は機関回転数NE(RP
M)をそれぞれ表している。図3に示すように、基本バ
ルブタイミング値tVVTは、機関の中回転中負荷運転
領域(図3においてNE≒2400〜3200RPM、
GN≒1.0〜1.25グラム/回転付近の領域)で最
大値をとり(すなわち、バルブオーバラップOLも最大
となり)、この中回転中負荷領域から回転数または負荷
が離れるほど小さな値になり、バルブオーバラップ量O
Lも小さくなる。すなわち、本実施形態では低負荷領域
(例えば、GN<1.00)では、負荷が低いほど基本
バルブタイミングtVVTを小さく(すなわち、バルブ
オーバラップ量OLを小さく)設定して、既燃ガスの吹
き返しによる内部EGRの低減による燃焼の安定を図っ
ている。また、中負荷領域では、内部EGR量を大幅に
増大することによりエミッションの改善とポンピングロ
スの低減を図ることができるためバルブオーバラップ量
OLは低負荷または高負荷時より全般的に大きく設定さ
れる。しかし、中負荷領域においても、低速領域でバル
ブオーバラップ量OLをあまり大きく設定すると燃焼不
安定が生じやすくなるため、また高速中負荷領域ではO
Lを大きく設定する吸気慣性を利用できなくなり逆に充
填効率が低下するため、低速領域と高速領域ではOLは
比較的小さい値に設定される。このため本実施形態で
は、中速中負荷領域でバルブオーバラップOLが最大と
なるように基本バルブタイミングtVVTの値が設定さ
れている。 また、高負荷領域では、内部EGRを低減
して出力を増大する必要があるためVTは全般的に小さ
く設定される。特に高速領域ではVTを小さくするほど
吸気慣性による新気充填効率の向上効果が大きいため、
低、中速領域よりもVTが小さく設定されている。この
ため、本実施形態では、高負荷領域(GN>1.25の
領域)では、負荷が大きくなるほどバルブオーバラップ
量OLは小さくなり、更に同一負荷では低速領域(NE
<1600RPM)より高速領域(NE>3200RP
M)でバルブオーバラップOLが小さくなるように基本
バルブタイミングtVVTの値が設定されている。
【0048】次に、機関低温時のバルブオーバラップ量
OLの設定について説明する。上述したように、図3に
示したバルブタイミングtVVTは、機関が十分に暖機
された後の状態におけるものである。ところが、機関温
度が低い状態では燃料の気化状態が悪いため、吸気ポー
トへの既燃ガスの吹き返しが大きいと、吸気ポートに供
給された気化しないままの燃料粒子が既燃ガスの吹き返
しにより吸気ポート壁面に付着してしまう問題がある。
そこで、本実施形態では、機関冷却水温度THWに基づ
いて図3の基本バルブタイミングtVVTを補正し、機
関温度(機関冷却水温度THW)が低いほど実際のバル
ブオーバラップが小さくなるようにして、壁面への燃料
付着量が大きくなることを防止している。
【0049】図4は、冷却水温度THWと、THWに基
づくバルブタイミング温度補正量tVTHWとの関係を
示すグラフである。図4に示すように、温度補正量tV
THWの値は、暖機完了後(冷却水温度THWが所定値
THW1 以上)では0に設定され、THW<THW1
温度範囲では冷却水温度が低いほど大きな値に設定さ
れ、さらに冷却水温度が所定値THW0 以下の領域では
一定の大きな値に設定される。後述するように、制御回
路30は冷却水温度TWHに基づいて、温度補正量tV
THWの値を図4から決定する。そして、機関回転数と
負荷とから決定される基本バルブタイミングtVVTを
温度補正量tVTHWを用いて補正し、実際の可変バル
ブタイミング機構10のバルブタイミング制御目標値V
VTIを、VVTI=tVVT−tVTHW(但しVV
T≧0)として算出する。 〔第1の実施形態〕次に、本発明のバルブオーバラップ
量変化速度制御の一実施形態について図5を用いて説明
する。
【0050】上記のように機関温度に応じてバルブタイ
ミング制御目標値VVTを補正することにより定常運転
時のバルブオーバラップ量は機関温度に応じた値に補正
される。ところが、機関温度が比較的低い場合にはバル
ブオーバラップ量が急激に変化する加速、減速等の過渡
運転時には上記のような温度補正をしても問題が生じる
場合がある。図5は、機関低温時に加速等のようにバル
ブオーバラップ量が急激に増大する運転が行われた場合
を例にとって、バルブオーバラップ変化量、壁面付着燃
料量等の時間変化を示したタイミング図である。図5に
おいて(A) は機関負荷、(B) はバルブオーバラップ量O
L、(C) は壁面付着燃料量、(D) は機関の要求燃料量、
(E) は、(D) の要求燃料量のみを機関に供給した場合に
実際に燃焼室に供給される燃料量、(F) は機関の燃焼空
燃比、のそれぞれ加速時の変化を示している。
【0051】また、図(B) 、(C) 、(E) 、(F) におい
て、実線はバルブオーバラップ量の変化速度が速く、制
御目標値の変化に実際のバルブオーバラップ量VIが追
従している場合を、点線はバルブオーバラップ量VIの
変化速度が遅い場合を示している。図5(A) に示すよう
に加速期間中に負荷が増大すると、加速中の各時点にお
いて図3、図4により目標バルブタイミングVVTが設
定され、可変バルブタイミング機構10は目標バルブタ
イミングを得る位置に動作する。この場合、可変バルブ
タイミング機構の作動速度が十分に速く目標バルブタイ
ミングの加速中の変化に追従できる場合には、実際のバ
ルブオーバラップ量OLは図5(B) に実線に示したよう
に比較的急激に変化する。
【0052】ところが、この場合にはバルブオーバラッ
プ量の急激な増大に応じて既燃ガスの吹き返し量も急激
に増大するため、機関低温時には図5(C) に示すように
壁面付着燃料量が急激に増大する。一方、図5(D) は加
速時に機関を理論空燃比に維持するために必要とされる
燃料量の変化を示している。いま、図5(D) に示した加
速中に必要とされるだけの量の燃料を加速期間中に機関
に供給した場合について考えると、このうち実際に燃焼
室に供給される燃料の量は図5(E) のようになる。すな
わち、実際に燃焼室に供給される燃料量は、供給された
燃料量(図5(D) )から壁面付着燃料量(図5(C) )の
増加量を差し引いた量になる。このため、図5(B) 実線
のようにバルブオーバラップ量OLの変化速度が速く、
壁面付着量が急激に増大する場合(図5(C) 実線)に
は、実際に加速中に燃焼室に供給される燃料量(図5
(E) 実線)は機関が必要とする燃料量(図5(D) )より
大幅に少なくなってしまう。このため、機関燃焼空燃比
は図5(F) に示すように加速中大幅にリーンとなる。こ
のため、加速中にも空燃比を理論空燃比に維持するため
には、機関が必要とする燃料量(図5(D) )を供給する
のみでは足りず、比較的多量の加速増量を行う必要が生
じる。この加速増量は壁面付着燃料量の増加速度が大き
い程、すなわちバルブオーバラップ量の変化速度が大き
いほど大きく増量する必要がある。
【0053】ところが前述のように、実際にはバルブ特
性制御装置の作動速度は製品毎、あるいは同一の装置で
あっても経年変化や運転条件により大きくばらついてい
る。このため、上記加速増量値はあらゆる条件を考慮し
てバルブ特性制御装置の作動速度が最も速くなる場合に
合致するような最大値に設定する必要がある。このた
め、作動速度が遅い装置では加速増量が過大になり加速
時等に機関空燃比がリッチになる問題が生じるのであ
る。
【0054】本実施形態では、上記問題を解決するため
に、図5(C) 実線のように壁面付着燃料量が急激に増大
する可能性のある運転状態では、図5(B) に示すように
装置作動速度を一律に点線で示した速度以下に制限する
ようにしている。このように、装置作動速度を制限する
ことにより、既燃ガスの吹き返し量が増大する速度が遅
くなり、壁面付着燃料量は図5(C) に点線で示すように
緩やかに増大するようになる。このため、実際に燃焼室
に到達する燃料量は図5(E) 点線のようにほぼ要求燃料
量(図5(D) )に近い値になり、機関空燃比も理論空燃
比から僅かにリーン側に変化する程度にとどまる。この
ため、燃料の加速増量値は極めて小さな値に設定するこ
とができる。更に、一律にバルブオーバラップ量変化速
度を制限する結果、装置の最大作動速度のばらつきがあ
っても実際のバルブオーバラップ変化速度はばらつきの
ない一定の値になる。このため、加速増量値を、上記に
より制限したバルブオーバラップ変化速度に合わせて設
定することにより、加速時等の空燃比オーバーリーンや
装置作動速度のばらつきによるオーバーリッチ等の問題
が生じることが防止される。
【0055】図6、図7は、上記バルブオーバラップ量
変化速度制御操作を示すフローチャートである。本操作
は、制御回路30により一定時間毎に実行されるルーチ
ンにより行われる。図6においてルーチンがスタートす
ると、ステップ601では、機関1回転当たりの吸気重
量流量GNと機関回転数NE、及び現在の実際のバルブ
タイミングVTが読み込まれる。次いでステップ603
では、このGNとNEとの値を用いて図3から基本バル
ブタイミングtVVTが読み出される。図3の関係は、
予めGNとNEとを用いた数値マップとして制御回路3
0のROM32に格納されている。
【0056】基本バルブタイミングtVVT算出後、ス
テップ605では、現在の冷却水温度THWが読み込ま
れ、ステップ607では、読み込んだ冷却水温度THW
に基づいて図4の関係から温度補正量tVTHWを決定
する。そして、ステップ609で基本バルブタイミング
tVVTを温度補正量tVTHWを用いて補正し、バル
ブタイミングの目標値VVTIを、VVTI=tVVT
−tVTHWとして算出する。
【0057】次に、ステップ611では機関冷却水温度
THWが所定値THWAより高いか否かが判定され、T
HW>THWAであった場合には図7ステップ635に
進み、後述するフラグXVVT1とXVVT2との値を
共に0に設定し、ステップ637では上記温度補正後の
目標値VVTIを実際の目標値VVT0 として設定し、
ステップ639に進む。ステップ639以下については
後述する。
【0058】すなわち、本実施形態では、冷却水温度T
HWが所定値THWAより高い場合には、壁面付着燃料
の量は少なくバルブオーバラップ量が急激に変化しても
吹き返しによる壁面付着燃料量の増大は小さいため、ス
テップ613以下のバルブオーバラップ量変化速度の制
限を実行しない。上記所定値THWAは、機関の形式等
により異なってくるため実際には実験等により決定する
ことが好ましい。
【0059】ステップ611で冷却水温度THWが所定
値THWA以下であった場合には、次に、図6ステップ
613で上記により求めた温度補正後の目標値VVTI
と現在の実バルブタイミング値VTとの偏差ΔVVTが
算出される。そして、図7ステップ615では、上記偏
差ΔVVTが正の値の所定値Bより大きいか否かが判定
される。また、ステップ615でΔVVT≦Bであった
場合には、次にステップ625でΔVVTが所定値−D
(Dは正の値)より小さいか否かが判定される。そし
て、ステップ625でΔVVT≧−Dであった場合、す
なわち偏差ΔVVTがB≧ΔVVT≧−Dであった場合
には、前述のステップ635以下を実行する。ΔVVT
は前述のようにバルブタイミングの目標値と現在の値と
の偏差を表している。従って、偏差ΔVVTが大きい場
合には可変バルブタイミング機構の単位時間当たりの作
動量(目標作動速度)が大きく設定され、機構自体の作
動速度が目標作動速度に追従可能である場合には、バル
ブオーバラップ量の変化速度も大きくなる。一方、偏差
ΔVVTが小さい場合には機構自体の作動速度がいくら
速くてもバルブオーバラップ量の変化速度は小さくな
る。そこで、本実施形態では、上記偏差ΔVVTが予め
定めた範囲(B≧ΔVVT≧−D)にある場合には、バ
ルブオーバラップ変化量の変化速度は小さいと判断して
バルブオーバラップ量変化速度の制限を行わないように
している。
【0060】一方、ステップ615でΔVVT>Bであ
った場合(すなわち、バルブオーバラップ量の増大速度
が大きい場合)とステップ625でΔVVT<−Dであ
った場合(すなわち、バルブオーバラップ量の減少速度
が大きい場合)には、それぞれステップ617からステ
ップ623、またはステップ627から633の変化速
度の制限が実行される。
【0061】ステップ617からステップ623では、
まず、前回ルーチン実行時のバルブタイミングの目標値
VVTI(i-1) に一定値Cを加えた値を今回のバルブタ
イミング目標値VVT0 として設定する。そして、以後
のルーチンではステップ615が成立する限りステップ
623でこのバルブタイミング目標値を一定量Cだけ増
大させるようにする。また、図3に示したように、本実
施形態ではバルブタイミング値VTは常に正になるよう
に設定されているため、ステップ639では、ステップ
617から623で算出されたバルブタイミング目標値
VVT0 が負の値にならないようにガードされる(ステ
ップ639、ステップ641)。そして、実際のバルブ
タイミング制御目標値VVTは、上記ガード後のVVT
0 に設定される。なお、ステップ617、619のXV
VT1は、ステップ615が成立した後にステップ62
1が1回だけ実行されるようにするためのフラグであ
る。
【0062】ステップ615から623により、バルブ
オーバラップ量が急激に増大する運転条件下でも、バル
ブタイミングはルーチン実行毎に一定量C(C>0)だ
けしか進角せず、従ってバルブオーバラップ量変化速度
は一定値に制限される。ステップ625から633は上
記とは逆に、バルブオーバラップ量が急激に減少する場
合の変化速度制限操作を示している。ステップ625か
ら633では、バルブタイミングがルーチン実行毎に一
定量E(但しE>0)ずつ遅角するように変化速度が制
限される。なお、ステップ627、629のXVVT2
はXVVT1と同様にステップ625成立後ステップ6
31を1回だけ実行させるためのフラグである。
【0063】図8は、上記ステップ615から623に
よるバルブオーバラップ量変化速度制限を説明するタイ
ミングダイアグラムである。図8の横軸は時間、数字0
から5はバルブタイミングが変化を開始してからのルー
チン実行回数を示している。すなわち、ルーチン実行回
数0回目から1回目ではでは、バルブタイミング目標値
VVTIはVVTI(0) からVVTI(1) に急激に増大
する。この場合、上記制御によりバルブタイミングの制
御目標値VVT0 は、1回目のルーチン実行時にはVV
0(1)=VVTI(0) +Cに、2回目のルーチン実行時
にはVVT0(2)=VVT0(1)+Cに、3回目のルーチン
実行時には、VVT0(3)=VVT0(2)+Cのように、ル
ーチン実行毎に一定量Cずつ緩やかに増大する。そし
て、図8の例では、5回目のルーチン実行時にΔVVT
≦Bとなり、VVT0(5)=VVTI (1) となり、目標値
VVTIと制御目標値VVT0 とが一致する。
【0064】上述のように、本実施形態によれば、機関
低温時等壁面付着燃料量が急激に変化しやすい条件下で
は、実際のバルブ特性制御装置作動速度とは無関係にバ
ルブオーバラップ量の変化速度が一定値に制限されるた
め、壁面付着燃料量の変化が少なくなる。このため、燃
料の加速増量を小さく設定することが可能となるととも
に、加速時にバルブ特性制御装置作動速度のばらつきに
よる空燃比オーバーリーンやオーバーリッチが生じるこ
とが防止される。 〔第2の実施形態〕上述の図6、図7の実施形態では機
関減速時(すなわちバルブオーバラップ量が急激に減少
する場合)にもバルブオーバラップ量変化速度の制限を
行っている。しかし、減速時等で機関回転数が急激に低
下したときにバルブオーバラップ量が大きいままに保持
されていると、内部EGR量の増大により失火が生じる
おそれがある。そこで、上記バルブオーバラップ量変化
速度の制限をバルブオーバラップ量が増大変化する場合
にのみ実施するようにしてもよい。
【0065】図9は、バルブオーバラップ量が減少する
場合にはバルブオーバラップ量変化速度の制限を行わ
ず、バルブオーバラップ量が増大する場合にのみ変化速
度を制限する場合の変化速度制御操作を示すフローチャ
ートである。本制御操作においても、図6に示した操作
は共通である。また、図9の各ステップは図7の対応す
るステップと同一の操作であるので、ここでは詳しい説
明は省略する。
【0066】また、図9に示した実施形態では、バルブ
オーバラップ量が減少する場合には全くバルブオーバラ
ップ量の変化速度の制限を行っていないが、バルブオー
バラップ量が減少する場合にも変化速度の制限を行い、
バルブオーバラップ量減少時にはバルブオーバラップ量
変化速度をバルブオーバラップ増大時に較べて大きくな
るように設定してもよい。この場合には、図7において
増大側の変化速度制限値C(ステップ621、623)
を減少側の変化速度制限値Eより小さく設定する(E>
C>0)ようにすれば良い。
【0067】なお、以下に説明する各実施形態では、い
ずれもバルブオーバラップ量減少時にはバルブオーバラ
ップ量変化速度の制限を行わない場合を例にとって説明
することとするが、以下の各実施形態においてもバルブ
オーバラップ量増大時の変化速度制限値を減少時の変化
速度制限値より小さく設定するようにすることも可能で
ある。 〔第3の実施形態〕次に、本発明の別の実施形態につい
て図10を用いて説明する。
【0068】前述の各実施形態では、冷却水温度THW
が所定値THWAより低い場合にバルブオーバラップ量
変化速度の制限を実施するものの、変化速度制限値Cは
一定量とされていた(図7、ステップ621、623、
図9ステップ907、909)。しかし、吸気ポート壁
面への燃料付着量は壁面温度が低いほど、すなわち機関
温度が低いほど大きくなる。このため、既燃ガスの吹き
返し増大による壁面付着燃料量の増大は機関温度が低く
なるほど大きくなる。従って、機関温度が低い場合には
同一のバルブオーバラップ量変化速度であっても、機関
温度が高い場合に較べて燃料の加速増量を大きくする必
要が生じる。そこで、図10の実施形態では、機関温度
(冷却水温度THW)が低くなるほどバルブオーバラッ
プ量の変化速度制限値Cを小さな値に設定するようにし
て、機関温度低下による加速増量値の増大が生じないよ
うにしている。
【0069】図10は、本実施形態のバルブオーバラッ
プ量変化速度制御操作を示すフローチャートの一部であ
る。本実施形態においても図10の各ステップの前に図
6の各ステップが実行され、図10のフローチャート
は、図6のフローチャートの後に続くべき部分のみを示
している。また、図10のフローチャートは図9のフロ
ーチャートのステップ901と903との間にステップ
1003を挿入した点、及びステップ1009と101
1とでは変化速度制限値としてCTHWを用いる点のみ
が図9と相違する。すなわち、本実施形態では、ステッ
プ1001でΔVVT>Bであった場合には、ステップ
1005を実行する前に、冷却水温度THWに応じて変
化速度制限値CTHWを決定し、このCTHWを用いて
目標バルブタイミングVVT0 (ステップ1009、1
011)を算出する点が図9の実施形態と相違してい
る。
【0070】図11は、ステップ1003で設定される
制限値CTHWと冷却水温度THWとの関係を示す図で
ある。図11に示すように制限値CTHWは冷却水温度
THW(機関温度)が低いほど小さな値に設定される。
このため、本実施形態では機関温度が低いほど、バルブ
オーバラップ量の変化速度は低い値に制限されることに
なる。このため、本実施形態では機関温度にかかわらず
バルブオーバラップ量変化時の壁面付着燃料量の変化を
小さく設定することが可能となる。 〔第4の実施形態〕次に、図12、図13を用いて本発
明の別の実施形態について説明する。図10、図11の
実施形態では燃料の壁面付着量が増大する要因として機
関温度に着目し、機関温度が低いほどバルブオーバラッ
プ量変化速度を小さく設定していた。しかし、燃料壁面
付着量は機関吸気管圧力によっても大きく変化する。例
えば、既燃ガスの吹き返し量はバルブオーバラップ期間
中の燃焼室圧力(及び背圧)と吸気管圧力との差が大き
いほど多くなる。このうち、吸気管圧力は機関負荷が低
下するほど大きくなるが、バルブオーバラップ期間中
(すなわち、排気行程終期)では燃焼室圧力と背圧とは
機関負荷によってはそれほど大きく変化しない。従っ
て、機関吸気管圧力が低下する軽負荷運転時には、高負
荷運転時に較べてオーバラップ期間中の既燃ガスの吹き
返し量が多くなり、燃料の壁面付着量が増大する。この
ため、軽負荷運転時にバルブオーバラップ量が急激に変
化すると燃料壁面付着量の変化が大きくなる。本実施形
態では、吸気管圧力が低いほど(すなわち、機関負荷が
低いほど)バルブオーバラップ量変化速度制限値を小さ
く設定することにより、壁面付着燃料量の急激な変化を
防止している。
【0071】図12は、本実施形態のバルブオーバラッ
プ量変化速度制御操作を示すフローチャートの一部であ
る。本実施形態においても図12の各ステップの前に図
6の各ステップが実行され、図12のフローチャートは
図6のフローチャートの後に続く部分のみを示してい
る。図12のフローチャートの各ステップは、図10の
フローチャートの対応する各ステップと同一の操作を示
している。ただ、図12のフローチャートでは、変化速
度制限値として、図10のCTWHに代えてCGNが用
いられている点(ステップ1209、1211)、及び
この変化速度制限値CGNが機関負荷(機関一回転あた
りの吸入空気重量GN)に基づいて設定される点(ステ
ップ1203)のみが図10のフローチャートと相違し
ている。
【0072】図13は、図12ステップ1203におい
て変化速度制限値CGNの設定に用いるCGNと機関負
荷GNとの関係を示す図である。図13に示すように、
制限値CGNは、機関負荷が低いほど、すなわち吸気管
圧力が低い程小さな値に設定されるため、バルブオーバ
ラップ量変化速度は吸気管圧力が低いほど小さくなる。
これにより、本実施形態では吸気管圧力(機関負荷)に
かかわらず壁面付着燃料量の急激な変化を防止すること
が可能となっている。 〔第5の実施形態〕次に、図14から図16を用いて本
発明の別の実施形態について説明する。本実施形態で
は、機関回転数による壁面付着燃料量の変化に着目して
機関回転数に応じてバルブオーバラップ量変化速度を変
更することにより、機関回転数にかかわらず壁面付着燃
料量の急激な変動を防止している。
【0073】まず、機関回転数と壁面付着燃料量との関
係について説明する。図14はバルブオーバラップ量
(図2、OL)を一定に維持したまま機関回転数を変化
させた場合の実際のバルブオーバラップ時間を示してい
る。図14に示すように、高速になるほど機関の1サイ
クルの時間が短くなるため、バルブオーバラップ量が同
一であれば機関回転数が高くなるほどバルブオーバラッ
プが生じる時間も短くなる。一方、燃料噴射弁からの燃
料噴射時間について考えると、燃料噴射時間は燃料噴射
量が同一であれば、すなわち機関負荷GNが同一であれ
ば機関回転数にかかわりなく同一の時間になる。このた
め、機関負荷とバルブオーバラップ量とが同一であれ
ば、燃料噴射時間は変わらないが機関回転数が低いほど
バルブオーバラップ時間は長くなる。このため、一般的
には機関回転数が低いほど一回の燃料噴射時間に占める
バルブオーバラップ時間が長くなる。このことは、低回
転になるほど燃料噴射弁から噴射された燃料のうちバル
ブオーバラップによる既燃ガスの吹き返しの影響を受け
るものの割合が大きくなること、すなわち吹き返しによ
る壁面付着量が多くなることを意味する。このため、機
関回転数が低いときには、同一バルブオーバラップ量で
あっても機関回転数が高い場合に較べて壁面付着燃料量
が増大し、バルブオーバラップ量の変化による壁面付着
燃料量の変化が大きくなる。従って、機関回転数が低い
場合には同一のバルブオーバラップ量変化速度であって
も機関回転数が高い場合に較べて壁面付着燃料量の変化
速度が大きくなる。そこで、本実施形態では機関回転数
が低いほどバルブオーバラップ量の変化速度制限値を小
さくして低回転時の壁面付着燃料量の急激な変化を防止
している。
【0074】図15は、本実施形態のバルブオーバラッ
プ量変化速度制御操作を示すフローチャートの一部であ
る。本実施形態においても図15の各ステップの前に図
6の各ステップが実行され、図15のフローチャートは
図6のフローチャートの後に続く部分のみを示してい
る。図15のフローチャートの各ステップは、図10の
フローチャートの対応する各ステップと同一の操作を示
している。但し、図15のフローチャートでは、変化速
度制限値として、図10のCTWHに代えてCNEが用
いられている点(ステップ1509、1511)、及び
この変化速度制限値CNEが機関回転数NEに基づいて
設定される点(ステップ1503)のみが図10のフロ
ーチャートと相違している。
【0075】図16は、図15ステップ1503におい
て変化速度制限値CNEの設定に用いる、CNEと機関
回転数NEとの関係を示す図である。図16に示すよう
に、制限値CNEは、機関回転数が低いほど小さな値に
設定されるため、バルブオーバラップ量変化速度は機関
回転数が低いほど小さくなる。これにより、本実施形態
では機関回転数が低い場合にも壁面付着燃料量の急激な
変化が生じることを防止している。 〔第6の実施形態〕次に、図17、図18を用いて本発
明の別の実施形態について説明する。本実施形態では、
図17に示すようなバルブタイミングの設定がなされて
いる。すなわち、図17のバルブタイミング設定では、
吸気弁の開弁時期の調節範囲(図17、IO0 〜I
1 )が排気弁閉弁(図17、EC)より後まで広がっ
ており、バルブタイミングが最も遅角された状態(VT
=0、すなわち図17、IO0 )からバルブタイミング
を進角させても、一定の進角領域内(0≦VT≦H)で
はバルブオーバラップは生じないようになっている。こ
のようなバルブタイミング設定の場合には、上記の領域
ではバルブタイミングが変化してもバルブオーバラップ
量は変化しない。従って、この領域では装置作動速度が
速い場合であっても既燃ガス吹き返しによる壁面付着燃
料量の変化は生じず、装置の作動速度を制限する必要は
ない。
【0076】このため、本実施形態では、バルブタイミ
ングVTが、0≦VT≦Hの領域にある場合には、バル
ブタイミング変化速度を制限せず機関運転状態に応じた
バルブタイミングが応答性良く得られるようにしてい
る。図18は、本実施形態のバルブオーバラップ量変化
速度制御操作を示すフローチャートの一部である。本実
施形態においても図18の各ステップの前に図6の各ス
テップが実行され、図18のフローチャートは図6のフ
ローチャートの後に続く部分のみを示している。
【0077】図18のフローチャートは、図9のフロー
チャートの各ステップにステップ1801からステップ
1807が付加されている点が図9のフローチャートと
相違している。すなわち、ステップ1801では図6ス
テップ609で温度補正後のバルブタイミング目標値V
VTIがバルブオーバラップ量0の領域の最大バルブタ
イミング値Hより大きいか否かを判断し、VVTI>H
であった場合にはステップ1819でフラグXVVTの
値を1にセットするとともにステップ1821ではバル
ブタイミング制御目標値VVT0 をVVTIにセットす
る。すなわち、この場合にはバルブタイミング変化速度
の制限を行わない。また、ステップ1801でVVTI
>Hであった場合には、ステップ1803で現在の実際
のバルブタイミングVTがHより大きいか否かを判断
し、VT≦Hであった場合にはステップ1805で制御
目標値VVT0 をHに設定するとともに、ステップ18
07でフラグXVVTの値を1にセットする。すなわ
ち、この場合には、VT=Hになるまでバルブタイミン
グが最大の速度で進角されることになる。そして、ステ
ップ1803で実際のバルブタイミングVTがHより大
きい場合(バルブオーバラップが実際に生じている場
合)にはステップ1811以下で図6と同じバルブタイ
ミング変化速度の制限が行われる。
【0078】上記操作を実行することにより、バルブタ
イミング進角時には、バルブオーバラップが生じない間
(VT≦H)はバルブタイミングは最大速度で変化し、
バルブオーバラップが生じる領域ではバルブタイミング
変化速度(すなわちバルブオーバラップ量変化速度)が
制限されるようになる。このため、バルブオーバラップ
が生じない領域で不必要にバルブタイミングの応答速度
を低下させることなく壁面付着燃料量の急激な変化が防
止される。 〔第7の実施形態〕次に、図19、20を用いて本発明
の別の実施形態について説明する。本実施形態では、図
18の制御に加えてバルブオーバラップ量が大きい場合
には、バルブオーバラップ量が小さい場合に較べて更に
バルブオーバラップ量変化速度制限値を小さく設定する
ようにしている。バルブオーバラップ量が大きい領域で
は既燃ガスの吹き返し量が大きくなるためバルブオーバ
ラップ量が小さい領域に較べて既燃ガス吹き返しの影響
が大きく、バルブオーバラップ量の変化に対する壁面付
着燃料量の変化も大きくなる。このため、バルブオーバ
ラップ量の変化速度が同一であってもバルブオーバラッ
プ量が大きい領域では小さい領域に較べて加速時のオー
バーリーンが生じやすくなる。本実施形態では、バルブ
オーバラップ量が所定値より大きい領域では図18の場
合より更にバルブオーバラップ量変化速度制限値を小さ
く設定することにより、加速時のオーバーリーンの問題
を解決している。また、前述したように機関回転数が低
い場合には高い場合に較べて既燃ガスの吹き返しの影響
が大きくなる。このため、本実施形態では、上記バルブ
オーバラップ量の所定値は機関回転数が低くなるほど小
さく設定し、機関低回転時には比較的バルブオーバラッ
プ量が小さい領域でもバルブオーバラップ量変化速度制
限値が図18のものより小さくなるようにしている。
【0079】図19は、本実施形態のバルブオーバラッ
プ量変化速度制御操作を示すフローチャートの一部であ
る。本実施形態においても図19の各ステップの前に図
6の各ステップが実行され、図19のフローチャートは
図6のフローチャートの後に続く部分のみを示してい
る。図19のフローチャートは、図18のフローチャー
トの各ステップにステップ1919からステップ192
3が付加されている点が図18のフローチャートと相違
している。すなわち、本実施形態では、ステップ190
1から1917でバルブオーバラップ量変化速度を制限
した後、ステップ1919では更にバルブオーバラップ
量変化速度を制限すべきか否かの判定値Jを機関回転数
NEに応じて設定し、ステップ1921ではバルブオー
バラップ量の制御目標値VVT0 が上記判定値Jより大
きいか否かを判断する。そして、VVT0 >Jの場合に
のみステップ1923でステップ1901から1917
の操作で設定した制御目標値VVT0 の値を更に一定量
Kだけ低減する(但しK<C)。
【0080】図20は、ステップ1919で設定される
判定値Jと機関回転数NEとの関係を示す図である。図
20に示すように判定値Jは機関回転数が低く既燃ガス
吹き返しの影響が大きくなるほど小さな値に設定され
る。上述のように、本実施形態によればバルブオーバラ
ップ量が大きい領域では小さい領域より更にバルブオー
バラップ量変化速度が小さく設定されるようになり、バ
ルブオーバラップ量が大きい領域での既燃ガスの吹き返
しの影響を最小限に抑制することが可能となる。 〔第8の実施形態〕次に、図21から図23を用いて本
発明の別の実施形態について説明する。前述したよう
に、機関が高負荷で運転され吸気管圧力が高い状態では
バルブオーバラップ量が大きくなっても既燃ガスの吹き
返し量は少なくなる。このため、高負荷運転時には壁面
付着燃料量は比較的少なくなっており、バルブオーバラ
ップ量変化速度が大きくても壁面付着燃料量の変化は少
ない。このため、本実施形態では、図19の制御に加え
て、更に機関が所定の高負荷運転領域にある時にはバル
ブオーバラップ量変化速度の制限を行わないようにして
いる。これにより、図19の制御に較べて高負荷運転時
には壁面付着燃料量の急激な変化を生じることなくバル
ブ特性制御装置の応答速度を向上させることが可能とな
っている。
【0081】図21、図22は本実施形態のバルブオー
バラップ量変化速度制御操作を示すフローチャートの一
部である。本実施形態においても図21、図22の各ス
テップの前に図6の各ステップが実行され、図21、図
22のフローチャートは図6のフローチャートの後に続
く部分のみを示している。また、図21、図22のフロ
ーチャートは、図19のフローチャートの各ステップに
対してステップ2101から2105が付加されている
点が相違している。すなわち、本実施形態ではステップ
2101でスロットル開度センサ40から現在のスロッ
トル開度TAを読み込み、ステップ2103では機関回
転数NEに応じてスロットル開度の高負荷判定値TA
WOT を設定する。そして、ステップ2105では現在の
スロットル開度TAが判定値TAWOT より大きいか否か
を判定し、TA>TAWOT であった場合にはステップ2
131に進む。すなわち、機関負荷が大きく、TA>T
WOT になっているような状態ではバルブオーバラップ
量変化速度の制限は行わない。そして、ステップ210
5でTA≦TAWOT であり、機関負荷が小さいと判断さ
れた場合にのみステップ2107以下の各ステップを実
行し、図19と同一の制御を行う。
【0082】図23は、ステップ2103で設定される
高負荷判定値TAWOT と機関回転数NEとの関係を示す
図である。図23に示すように、本実施形態では機関回
転数が低くなるほど判定値TAWOT の値は小さくなるよ
うに設定される。すなわち、機関出力トルク(吸気管圧
力)が最大になるスロットル開度は、機関回転数が低い
ほど小さくなる。このため、機関回転数が低いほど機関
は小さなスロットル開度で高負荷状態になり、バルブオ
ーバラップ量の影響は小さくなる。このため、本実施形
態では判定値TAWOT を機関回転数が低くなるほど小さ
く設定するようにしている。 〔第9の実施形態〕次に、図24から図26を用いて本
発明の別の実施形態について説明する。本実施形態で
は、図21、図22の制御に加えて機関吸気ポート壁面
に付着したデポジットの量に応じてバルブオーバラップ
量変化速度制限値を変更する制御を行う。機関運転中に
は、既燃ガスの吹き返し等により吸気ポート壁面に徐々
にデポジット(未燃カーボン等)が堆積する。壁面にデ
ポジットが堆積すると、デポジット表面の凹凸等により
壁面への燃料付着量が大きくなる。このため、同一のバ
ルブオーバラップ量変化速度であってもデポジット堆積
量が増大した場合には少ない場合に較べて壁面付着燃料
量の変化速度は大きくなり、加速時のオーバーリーンが
生じやすくなる。そこで、本実施形態ではデポジット堆
積量が増大するにつれてバルブオーバラップ量変化速度
制限値が小さくなるように制御している。
【0083】本実施形態では、別途実行される図示しな
いルーチンにより設定される燃料噴射量のデポジット学
習補正量KDPCの値に基づいて吸気ポート壁面へのデ
ポジット堆積量を推定する。デポジット学習補正量KD
PCは、吸気ポート壁面に堆積したデポジットの量に応
じて吸気ポート壁面に付着、保持される燃料量が変化す
ることを補正するための補正量である。すなわち、吸気
ポート壁面のデポジット堆積量が増大すると吸気ポート
に噴射された燃料のうち吸気ポート壁面に付着する燃料
量が増大するため、例えば加速時等の燃料噴射増量が不
足するようになり加速時に機関空燃比がリーンになる。
そこで、本実施形態では、制御回路30は別途実行され
る図示しないルーチンにより、運転中機関加速時に空燃
比がリーンになる度合いに基づいてデポジット学習補正
量KDPCを更新し制御回路30のバックアップRAM
37に格納している。制御回路30は、このKDPCの
値が大きくなるほど加速時の燃料増量を増加させ、加速
時に空燃比がリーン空燃比になることを防止している。
すなわち、デポジット学習補正量KDPCは吸気ポート
壁面に堆積したデポジットの量に応じた値に常時設定さ
れている。そこで、本実施形態ではデポジット学習補正
量KDPCの値が大きくなるほどバルブオーバラップ量
変化速度制限値を小さく設定することにより、デポジッ
ト増大による壁面付着燃料量増大の影響を排除してい
る。
【0084】図24、図25は本実施形態のバルブオー
バラップ量変化速度制御操作を示すフローチャートの一
部である。本実施形態においても図24、図25の各ス
テップの前に図6の各ステップが実行され、図24、図
25のフローチャートは図6のフローチャートの後に続
く部分のみを示している。また、図24、図25のフロ
ーチャートは、図21、22のフローチャートの各ステ
ップに対してステップ2417と2419とが付加され
ている点、及びステップ2424とステップ2427の
バルブオーバラップ量変化速度の演算が相違している。
すなわち、ステップ2417ではバックアップRAM3
7からデポジット学習補正量KDPCの値を読み出し、
ステップ2419ではこのKDPCの値に応じてバルブ
オーバラップ量変化速度制限値のデポジット補正係数L
を設定する。そして、ステップ2425とステップ24
27では、図22のように変化速度制限値Cを一定値と
するのではなく、一定値Cに補正係数Lを乗じた値を制
限値とする。図26はステップ2419で設定される補
正係数Lとデポジット学習補正量KDPCとの関係を示
す図である。図26に示すように、補正係数Lの値はデ
ポジット学習補正量KDPCの値が小さい領域では1.
0に設定され、その他の領域ではKDPCの値が大きく
なるほど(デポジット堆積量が大きくなるほど)小さな
値に設定される。このため、バルブオーバラップ量変化
速度制限値C×Lはデポジット堆積量が大きくなるほど
小さな値に設定されるようになる。 〔第10の実施形態〕次に、図27、図28を用いて本
発明の別の実施形態について説明する。前述の各実施形
態ではバルブタイミングの制御目標値VVTを制御する
ことにより間接的に実際のバルブオーバラップ量変化速
度を制御していた。これに対して、本実施形態では実際
のバルブオーバラップ量変化速度(バルブタイミングV
Tの変化速度)を検出し、この変化速度が所定値以下に
なるように装置作動速度を制御する点が相違している図
27、図28は本実施形態のバルブオーバラップ量変化
速度制御操作を示すフローチャートの一部である。
【0085】図27、図28の制御操作では、バルブタ
イミング進角時(バルブオーバラップ量増大時)のみバ
ルブタイミング変化速度の制限を行い、バルブタイミン
グ遅角時には制限を行わない。また、進角時であっても
実際のバルブタイミングVTが所定値Xより小さい領域
(例えば、図17の0≦VT≦Hの領域のようにバルブ
オーバラップが生じない領域)ではバルブタイミング変
化速度の制限は行わず。VT>Xの領域では実際のバル
ブタイミング変化速度が一定値αより小さくなるように
制御している。
【0086】図27において、ステップ2701からス
テップ2709は基本バルブタイミングtVVTとその
温度補正後の値VVTIを算出するステップである。こ
れらのステップは図6ステップ601からステップ60
9と同一であるのでここでは説明を省略する。また、ス
テップ2711から2715では上記により算出された
VVTIが下限値0でガードされた後バルブタイミング
制御目標値VVTとして設定される。さらに、ステップ
2717では、この制御目標値VVTと実際のバルブタ
イミングVTとの偏差ΔVVTを算出し、ステップ27
19では偏差ΔVVTに基づいて、リニアソレノイドバ
ルブ25のソレノイドアクチュエータ25bに出力する
駆動信号のデューティ比CDUTYの値を設定する。
【0087】本実施形態ではデューティ比CDUTYが
0.5のときソレノイドアクチュエータ25bはリニア
ソレノイドバルブ25のスプール26を中立の位置に維
持し、バルブタイミングは一定値に維持される。また、
デューティ比CDUTYが0.5より大きい値のとき、
アクチュエータ25bはスプールを図1の左方向に移動
させる。これにより、ポート26aを通じて可変バルブ
タイミング機構10の油圧通路2に作動油が供給され、
可変バルブタイミング機構10のピストン17は駆動信
号のデューティ比CDUTYに応じた速度で図1の右方
向に移動し、バルブタイミングVTはデューティ比CD
UTYが大きくなるにつれて大きな速度で進角する。ま
た、デューティ比CDUTYが0.5より小さい時には
アクチュエータ25bはスプール26をCDUTYが小
さくなるほど図1右方向に移動させるため、バルブタイ
ミングVTはCDUTYの値が小さいほど速く遅角す
る。本実施形態では、ΔVVTの値が大きいほどCDU
TYの値は大きく設定される。
【0088】次いで、図28ステップ2721では上記
偏差ΔVVTが所定値β以上か否かを判断する。ΔVV
T<βのときには制限をしなくてもバルブタイミング増
大速度は小さいため速度の制限は行わず、ステップ27
25で後述するフラグXDVTの値を0に設定した後、
ステップ2719で設定されたデューティ比CDUTY
の駆動信号をリニアソレノイドバルブ25のアクチュエ
ータ25bに出力する(ステップ2741)。
【0089】一方、ステップ2721でΔVVT≧βで
あった場合には次にステップ2723で、現在のバルブ
タイミングVTが所定値Xより大きいか否かを判定す
る。そして、VT≦Xであった場合には前述のようにバ
ルブタイミング変化速度の制限は行わず、ステップ27
25に進む。ステップ2721でVT>Xであった場合
は、次に現在の実際のバルブタイミング変化速度DVT
を、DVT=VT−VT(i-1) として算出する。VT
(i-1)は前回ルーチン実行時のバルブタイミング値であ
る。そして、ステップ2729では上記により算出した
バルブタイミング変化速度(バルブオーバラップ量変化
速度)DVTが一定値αより大きいか否かを判断し、D
VT≦αであった場合には現在のバルブタイミング変化
速度を制限する必要はないためステップ2741に進
み、ステップ2719で設定したCDUTYをアクチュ
エータ25bに出力する。
【0090】一方、ステップ2729でDVT>αであ
った場合にはステップ2731でフラグXDVTの値が
1にセットされているか否かを判定する。フラグXDV
Tの値は、ステップ2729で最初にDVT>αが成立
したときに1にセットされ(ステップ2731、ステッ
プ2733)、ステップ2721でΔVVT<βになっ
たときに0にセットされる。すなわち、フラグXDVT
はDVT>αが成立したときに1回だけステップ273
5を実行し、CDUTYの低減量ΔDを初期値γにセッ
トするために用いられる。一旦ステップ2733とステ
ップ2735とが実行されΔDが初期値γにセットされ
た後は、ステップ2729でDVT>αが成立するかぎ
りステップ2731の次にステップ2737が実行され
るようになり、CDUTYの低減量ΔDは一定値δずつ
増大されるようになる。
【0091】上記により低減量ΔDを設定後、ステップ
2739では、前述のステップ2719で設定されたC
DUTYの値はΔDだけ低減され、ステップ2741で
は低減後のCDUTYの駆動信号がアクチュエータ25
bに出力される。すなわち、ステップ2729からステ
ップ2731では実際のバルブタイミング変化速度DV
Tが所定値α以下になるまでルーチン実行毎にCDUT
Yの値が一定量δだけ低減され、実際のバルブタイミン
グ変化速度DVTは速やかに所定値α以下の値となる。
【0092】本実施形態によれば、実際のバルブタイミ
ング変化速度を検出し、この変化速度が所定値以下にな
るようにフィードバック制御するため確実にバルブオー
バラップ量変化速度を制限することが可能となる。 〔第11の実施形態〕次に、図29を用いて本発明の別
の実施形態について説明する。上述の各実施形態では制
御回路30により実行される制御ルーチンによって所定
条件下のバルブオーバラップ量変化速度を制限していた
のに対して、本実施形態ではバルブ特性制御装置そのも
のに所定のバルブタイミング領域でのバルブオーバラッ
プ量変化速度を制限する機構を組み込んだ点が相違して
いる。
【0093】図29は、本実施形態のバルブ特性制御装
置の構成の他の例を示す図1と同様な図である。図29
において図1と同一の参照符号は図1のものと同一の要
素を示している。図29に示すように、本実施形態のバ
ルブ特性制御装置とでは、可変バルブタイミング機構1
0の油圧室8内のプーリー12側面にリング状の速度リ
ミッタ90が設けられている点が図1の可変バルブタイ
ミング機構と相違している。
【0094】本実施形態では速度リミッタ90は、ウレ
タン、ゴム等の弾性体からなっており、予め定めた厚さ
Tを有している。本実施形態では、ピストン17が図2
9右方向に移動するとバルブタイミングは進角する。バ
ルブタイミング進角時には、ピストン17はリミッタ9
0に当接しない範囲ではリミッタ90に制限されること
なく進角方向の動作を行う。しかし、ピストン17がリ
ミッタ90と接触した後はピストン17はリミッタ90
を弾性変形させながら進角方向に移動するため、ピスト
ン17の進角方向の作動に対する抵抗が増大する。この
ため、ピストン17とリミッタ90とが接触した後はピ
ストン17の移動速度は低下し、バルブタイミング変化
速度(バルブオーバラップ量変化速度)が低下すること
になる。また、ピストン17位置とバルブタイミングと
は1対1に対応しているため、速度リミッタ90の厚さ
Tを変えることにより、進角時の作動抵抗増大が開始さ
れるバルブタイミングを任意に設定することができる。
更に、本実施形態では、速度リミッタ90を構成する弾
性体のバネ定数を変えることにより作動抵抗の大きさ
を、また速度リミッタ90の断面形状を変えることによ
りピストン17の移動距離に対する作動抵抗の増大特性
を、それぞれ任意に設定することが可能となっている。
【0095】なお、図29では速度リミッタとして弾性
材料からなるリングを使用しているが、本発明では他の
形状、材料からなる速度リミッタも使用可能である。例
えば、ウレタン、ゴム等の樹脂弾性材料を用いたリング
の代わりに、コイルスプリングを用いた速度リミッタを
使用しても良い。
【0096】
【発明の効果】各請求項に記載の発明によれば、所定の
条件下でバルブ特性制御装置の作動速度を制限すること
により、バルブ特性制御装置作動速度のばらつきによる
過渡運転時の空燃比制御の悪化の問題を解決し、加速時
の機関のオーバーリーンやオーバーリッチが生じること
を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のバルブ特性制御装置の一実施形態の概
略構成を示す断面図である。
【図2】機関バルブタイミング設定の一例を説明する図
である。
【図3】各運転条件における基本バルブタイミングの設
定例を説明する図である。
【図4】基本バルブタイミングの温度補正量を示す図で
ある。
【図5】本発明によるバルブオーバラップ量変化速度制
限の効果を説明するタイミングダイアグラムである。
【図6】本発明のバルブオーバラップ量変化速度制限操
作の第1の実施形態を示すフローチャートの一部であ
る。
【図7】本発明のバルブオーバラップ量変化速度制限操
作の第1の実施形態を示すフローチャートの一部であ
る。
【図8】図6、図7の操作によるバルブタイミング変化
を説明するタイミングダイアグラムである。
【図9】本発明のバルブオーバラップ量変化速度制限操
作の第2の実施形態を示すフローチャートの一部であ
る。
【図10】本発明のバルブオーバラップ量変化速度制限
操作の第3の実施形態を示すフローチャートの一部であ
る。
【図11】図10の操作に使用する補正係数の設定の一
例を示す図である。
【図12】本発明のバルブオーバラップ量変化速度制限
操作の第4の実施形態を示すフローチャートの一部であ
る。
【図13】図12の操作に使用する補正係数の設定の一
例を示す図である。
【図14】バルブオーバラップ時間と機関回転数との関
係を示す図である。
【図15】本発明のバルブオーバラップ量変化速度制限
操作の第5の実施形態を示すフローチャートの一部であ
る。
【図16】図15の操作に使用する補正係数の設定の一
例を示す図である。
【図17】機関バルブタイミング設定の他の一例を説明
する図である。
【図18】本発明のバルブオーバラップ量変化速度制限
操作の第6の実施形態を示すフローチャートの一部であ
る。
【図19】本発明のバルブオーバラップ量変化速度制限
操作の第7の実施形態を示すフローチャートの一部であ
る。
【図20】図19の操作に使用する定数の設定の一例を
示す図である。
【図21】本発明のバルブオーバラップ量変化速度制限
操作の第8の実施形態を示すフローチャートの一部であ
る。
【図22】本発明のバルブオーバラップ量変化速度制限
操作の第8の実施形態を示すフローチャートの一部であ
る。
【図23】図22、図23の操作に使用する定数の設定
の一例を示す図である。
【図24】本発明のバルブオーバラップ量変化速度制限
操作の第9の実施形態を示すフローチャートの一部であ
る。
【図25】本発明のバルブオーバラップ量変化速度制限
操作の第9の実施形態を示すフローチャートの一部であ
る。
【図26】図24、図25の操作に使用する補正係数の
設定の一例を示す図である。
【図27】本発明のバルブオーバラップ量変化速度制限
操作の第10の実施形態を示すフローチャートの一部で
ある。
【図28】本発明のバルブオーバラップ量変化速度制限
操作の第10の実施形態を示すフローチャートの一部で
ある。
【図29】本発明のバルブ特性制御装置の別の実施形態
の概略構成を示す断面図である。
【符号の説明】
1…カムシャフト 10…可変バルブタイミング機構 30…制御回路

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内燃機関のバルブオーバラップ量を変更
    するバルブ特性変更手段を備え、機関バルブオーバラッ
    プ量を機関運転状態に応じて定まる目標値に調節するバ
    ルブ特性制御装置において、 機関運転状態の所定の条件が成立したときに、前記バル
    ブ特性変更手段の作動速度を制限することにより、機関
    バルブオーバラップ量の変化速度を所定の補正量だけ低
    下させる変化速度制限手段を備えたことを特徴とする内
    燃機関のバルブ特性制御装置。
  2. 【請求項2】 前記変化速度制限手段は、機関温度が予
    め定めた温度より低いときに前記所定条件が成立したと
    判断する請求項1に記載のバルブ特性制御装置。
  3. 【請求項3】 前記変化速度制限手段は、機関バルブオ
    ーバラップ量目標値が増大したときに前記所定条件が成
    立したと判断する請求項1に記載のバルブ特性制御装
    置。
  4. 【請求項4】 前記変化速度制限手段は、機関バルブオ
    ーバラップ量目標値が減少する場合には、機関バルブオ
    ーバラップ量目標値が増大する場合に較べて前記バルブ
    オーバラップ変化速度の補正量を小さく設定する請求項
    1に記載のバルブ特性制御装置。
  5. 【請求項5】 前記変化速度制限手段は、機関吸気管圧
    力が低いほど前記補正量を大きな値に設定する請求項1
    に記載のバルブ特性制御装置。
  6. 【請求項6】 前記変化速度制限手段は、機関回転数が
    低いほど前記補正量を大きな値に設定する請求項1に記
    載のバルブ特性制御装置。
  7. 【請求項7】 前記バルブ特性変更手段の作動領域には
    バルブ特性変更手段が作動しても機関バルブオーバラッ
    プ量が変化しない領域が含まれ、前記変化速度制御手段
    は、前記バルブオーバラップ量が変化しない領域ではバ
    ルブ特性変更手段の前記作動速度の制限を実施しない請
    求項1に記載のバルブ特性制御装置。
  8. 【請求項8】 前記変化速度制限手段は、機関のバルブ
    オーバラップ量目標値が大きいほど前記補正量を大きな
    値に設定する請求項1に記載のバルブ特性制御装置。
  9. 【請求項9】 前記変化速度制限手段は、機関のバルブ
    オーバラップ量の変化速度を検出する変化速度検出手段
    を備え、検出したバルブオーバラップ量変化速度が予め
    定めた値を越えたときに前記所定条件が成立したと判断
    する請求項1に記載のバルブ特性制御装置。
  10. 【請求項10】 内燃機関のバルブオーバラップ量を変
    更するバルブ特性変更手段を備え、機関バルブオーバラ
    ップ量を機関運転状態に応じて定まる目標値に調節する
    バルブ特性制御装置において、 更に、機関バルブオーバラップ量が所定値より大きくな
    る領域で他の領域に較べて前記バルブ特性変更手段の作
    動抵抗を増大させる手段を備えたことを特徴とする内燃
    機関のバルブ特性制御装置。
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