JP3301273B2 - 内燃機関のノッキング制御装置 - Google Patents

内燃機関のノッキング制御装置

Info

Publication number
JP3301273B2
JP3301273B2 JP14213095A JP14213095A JP3301273B2 JP 3301273 B2 JP3301273 B2 JP 3301273B2 JP 14213095 A JP14213095 A JP 14213095A JP 14213095 A JP14213095 A JP 14213095A JP 3301273 B2 JP3301273 B2 JP 3301273B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
knocking
engine
valve timing
value
knock
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP14213095A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH08338295A (ja
Inventor
衛 ▲吉▼岡
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP14213095A priority Critical patent/JP3301273B2/ja
Publication of JPH08338295A publication Critical patent/JPH08338295A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3301273B2 publication Critical patent/JP3301273B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02TCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
    • Y02T10/00Road transport of goods or passengers
    • Y02T10/10Internal combustion engine [ICE] based vehicles
    • Y02T10/12Improving ICE efficiencies
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02TCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
    • Y02T10/00Road transport of goods or passengers
    • Y02T10/10Internal combustion engine [ICE] based vehicles
    • Y02T10/40Engine management systems

Landscapes

  • Valve Device For Special Equipments (AREA)
  • Electrical Control Of Ignition Timing (AREA)
  • Output Control And Ontrol Of Special Type Engine (AREA)
  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)
  • Valve-Gear Or Valve Arrangements (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、内燃機関のノッキング
制御装置に関し、詳細には機関吸気弁の開閉時期を制御
する可変バルブタイミング装置を有する内燃機関のノッ
キング制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】内燃機関では、点火時期進角時や高圧縮
比運転等でノッキングが発生することが知られている。
ノッキングが発生すると機関燃費や振動が増大するのみ
ならず、過大なノッキング下ではバルブやプラグの溶損
が生じるなどの問題が生じる場合がある。
【0003】従来の内燃機関では、機関ノッキング発生
時に点火時期を最適点火時期より遅角させてノッキング
を抑制する方法がとられている。しかし、点火時期の遅
角は機関出力の低下や燃費の悪化、排気温度の上昇等を
伴うため問題を生じる場合がある。特開昭59−939
39号公報は、上記問題を解決するために機関点火時期
の遅角を行うことなくノッキングを抑制するノッキング
制御装置を提案している。上記公報の装置は、クランク
軸に対するカム軸の位相を変えることにより機関バルブ
タイミングを可変とする可変バルブタイミング機構を備
え、ノッキング発生時に吸気弁の閉弁時期を遅角するこ
とによりノッキングを抑制するものである。
【0004】通常、吸気弁の閉弁時期は各気筒の吸気行
程下死点付近に設定されている。これに対して、吸気弁
の閉弁時期を遅角すると吸気弁は吸気行程下死点後の気
筒圧縮行程初期まで開いていることになる。この場合、
吸気弁開弁中は気筒内の混合気の圧縮は行われないため
実際の圧縮行程は吸気弁閉弁時から開始されることとな
る。このため、吸気弁閉弁時期を遅角させるほど実質的
な圧縮行程は短くなり機関の実圧縮比と吸気体積効率は
低下することになる。
【0005】一方、機関実圧縮比が低下すると機関のノ
ック限界(ノッキングの生じる点火時期)は進角側に移
動するため、ノッキング発生時に吸気弁閉弁時期を遅角
することにより、点火時期を遅角させることなく機関の
ノッキングを抑制することが可能となる。このため、上
記公報の装置では機関を常に最適点火時期近傍で運転す
ることが可能となり、点火時期遅角に伴う燃費の増大や
排気温度の上昇を生じることなくノッキングを抑制する
ことが可能となっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところが、前記特開昭
59−93939号公報の装置のように可変バルブタイ
ミング機構を用いて機関ノッキングを抑制する場合には
別の問題が生じる場合がある。一般に可変バルブタイミ
ング機構は油圧アクチュエータやモータなどのアクチュ
エータを用いた機械的な動作を行う部分を有している。
このため、可変バルブタイミング機構の作動速度は比較
的遅く、機関のバルブタイミングを変更するのに比較的
長い時間を要する場合がある。
【0007】一方、ノッキングが生じた場合にはノッキ
ングの強度(ノック強度)によっては迅速にノッキング
を抑制する必要が生じる場合がある。例えば、ノック強
度が小さいときには比較的長時間ノッキングが継続して
も機関に損傷を与えることはないが、ノック強度が大き
い場合には短時間でもバルブや点火プラグに損傷を生じ
る可能性があるため、できるだけ短時間でノッキングを
抑制する必要がある。このような場合、上記公報の装置
のようにバルブタイミングを変更することによってノッ
キングを抑制していたのではノッキングの継続時間が長
くなり機関損傷等を防止できなくなる可能性が生じるの
である。
【0008】一方、点火時期は各点火毎に時期を制御可
能であることから、ノッキングの抑制の効果を極めて短
時間で得ることができるためこのような問題はない。し
かし、前述したように点火時期遅角によるノッキング抑
制を行うと機関出力の低下、燃費の悪化、排気温度の上
昇等の問題が生じる。そこで、本発明は上記問題に鑑
み、機関ノッキングを抑制し機関に損傷を生じることを
確実に防止できるとともに、機関出力低下や燃費の悪
化、排気温度上昇などの発生を最小限にとどめることが
可能な内燃機関のノッキング制御装置を提供することを
目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明に
よれば、内燃機関に生じるノッキングの強度を検出する
ノック強度検出手段と、作動時にノック強度に応じて機
関点火時期を遅角させる点火時期遅角手段と、作動時に
ノック強度に応じて機関吸気弁の開閉時期を遅角させる
バルブタイミング遅角手段と、前記ノック検出手段によ
り機関ノッキングが検出されたときに、前記ノック強度
が所定の判定値より小さいときに前記点火時期遅角手段
に優先して前記バルブタイミング遅角手段を作動させ、
前記判定値以上であるときに前記バルブタイミング遅角
手段に優先して点火時期遅角手段を作動させるノック制
御手段と、を備えた内燃機関のノッキング制御装置が提
供される。
【0010】請求項2に記載の発明によれば、請求項1
に記載のノッキング制御装置において、さらに、機関の
運転状態が過渡状態にあるか否かを判定する判定手段を
備え、 前記ノック制御手段は、機関運転状態が過渡状
態にあると判定されたときに前記ノック強度にかかわら
ず、前記バルブタイミング遅角手段に優先して前記点火
時期遅角手段を作動させる内燃機関のノッキング制御装
置が提供される。
【0011】請求項3に記載の発明によれば、請求項1
に記載のノッキング制御装置において、さらに、機関運
転状態を検出する運転状態検出手段と、検出された機関
運転状態に応じて前記ノック強度の判定値を変更する判
定値設定手段と、を備えた内燃機関のノッキング制御装
置が提供される。請求項4に記載の発明によれば、請求
項3に記載のノッキング制御装置において、前記運転状
態検出手段は、機関の運転状態の過渡の程度を検出する
過渡状態検出手段を備え、前記判定値設定手段は、検出
された過渡の程度が大きいほど前記ノック強度の判定値
を小さく設定する内燃機関のノッキング制御装置が提供
される。
【0012】請求項5に記載の発明によれば、請求項3
に記載のノッキング制御装置において、前記運転状態検
出手段は、機関のノッキング発生に関与する運転状態パ
ラメータを検出するパラメータ検出手段を備え、前記判
定値設定手段は、前記パラメータの値がノッキングが発
生しやすい状態の値であるほど前記ノック強度の判定値
を小さく設定する内燃機関のノッキング制御装置が提供
される。
【0013】請求項6に記載の発明によれば、請求項1
に記載のノッキング制御装置において、さらに、運転条
件に応じて、機関吸気弁の開閉時期の目標値を設定する
バルブタイミング設定手段と、前記設定された目標値に
機関吸気弁の開閉時期を制御するバルブタイミング制御
手段と、前記ノッキング検出手段により機関ノッキング
が検出されたときに、前記バルブタイミング制御手段に
よる機関吸気弁の開閉時期進角操作を禁止する禁止手段
と、を備えた内燃機関のノッキング制御装置が提供され
る。
【0014】請求項7に記載の発明によれば、変速機を
有する自動車用内燃機関のノッキング制御装置であっ
て、機関に生じるノッキングの強度を検出するノック強
度検出手段と、作動時にノック強度に応じて機関点火時
期を遅角させる点火時期遅角手段と、作動時にノック強
度に応じて機関吸気弁の開閉時期を遅角させるバルブタ
イミング遅角手段と、前記ノック検出手段により機関ノ
ッキングが検出されたときに、前記ノック強度が所定の
判定値より小さいときに前記点火時期遅角手段に優先し
て前記バルブタイミング遅角手段を作動させ、前記判定
値以上であるときに前記バルブタイミング遅角手段に優
先して点火時期遅角手段を作動させるノック制御手段
と、前記変速機の変速比を検出する変速比検出手段と、
検出された変速比が大きいほど前記ノック強度の判定値
を大きく設定する判定値設定手段と、を備えた内燃機関
のノッキング制御装置が提供される。
【0015】
【作用】請求項1のノッキング制御装置では、ノック制
御手段は機関にノッキングが生じたときにノッキング強
度に応じて点火時期遅角によるノッキング抑制とバルブ
タイミング遅角によるノッキング抑制とを行う。つま
り、ノック制御手段は、ノック強度が所定の判定値より
大きく直ちにノッキングを抑制する必要がある場合には
優先的に点火時期遅角手段を作動させて点火時期の遅角
によるノッキング抑制を行う。これにより点火時期が極
めて短時間で遅角されるためノッキング発生後短時間で
ノッキングが消滅する。一方、ノック制御手段は、ノッ
ク強度が所定の判定値より小さくノッキングが継続して
も機関の損傷等が生じる恐れが少ない場合には、優先的
にバルブタイミング遅角手段を作動させてバルブタイミ
ング遅角によるノッキング抑制を行う。これにより、機
関燃費の増大や排気温度の上昇を生じることなくノッキ
ングが抑制される。
【0016】請求項2のノッキング制御装置では、更に
判定手段により機関の運転状態が過渡状態にあると判定
されたときには、ノック制御手段はノック強度にかかわ
らず優先的に点火時期遅角手段を作動させる。機関運転
が過渡状態にあるときには、バルブタイミングの最適タ
イミングも機関運転状態に応じて変化しており、最適バ
ルブタイミングの変化にともなって必要なバルブタイミ
ング遅角量を変化している。バルブタイミング遅角手段
は点火時期遅角手段に較べて応答性が悪いため、所要バ
ルブタイミング遅角量が刻々と変化する過渡運転中にバ
ルブタイミング遅角手段を作動させるとバルブタイミン
グ制御が不安定になる可能性がある。請求項2の発明で
は過渡時のノッキング発生時には優先的に点火時期遅角
によるノッキング抑制が実行されるため、バルブタイミ
ング制御の不安定を生じることなくノッキングが抑制さ
れる。
【0017】請求項3に記載のノッキング制御装置で
は、請求項1の作用に加えてさらに判定値設定手段は、
運転状態検出手段により検出された機関の運転状態に応
じてノック強度の判定値を変更する。例えば、判定値設
定手段は機関がノッキング発生時に直ちにノッキング抑
制を行う必要がある運転状態で運転されている場合には
ノック強度の判定値を小さな値に設定する。これにより
機関発生初期の小さなノッキング段階から点火時期遅角
手段が作動するため優先的に点火時期遅角によるノッキ
ング抑制が行われる。
【0018】請求項4に記載のノッキング制御装置で
は、請求項3の運転状態検出手段は機関運転状態の過渡
の程度を検出する過渡状態検出手段を備えている。ま
た、判定値設定手段は検出された過渡の程度が大きいほ
どノック強度の判定値を小さく設定するため、過渡の程
度が大きいほど点火時期遅角によるノッキング抑制が優
先的に行われるようになる。
【0019】請求項5に記載のノッキング制御装置で
は、請求項3の運転状態検出手段は機関のノッキング発
生に関与する運転状態パラメータを検出する。パラメー
タ検出手段を備えている。また判定値設定手段は、上記
ノッキング発生に関与する運転状態パラメータの値がノ
ッキングが発生し易い状態を示す値であるほどノック強
度の判定値を小さく設定するため、ノッキングが発生し
易い運転状態では初期の小さなノッキングが発生した段
階から応答性の良い点火時期遅角手段が作動しノッキン
グ抑制が行われるため、ノッキングの進行が生じない。
【0020】請求項6に記載のノッキング制御装置で
は、バルブタイミング制御手段は機関運転条件に応じて
設定されるバルブタイミング目標値に機関バルブタイミ
ングを制御する。このため、運転条件によってはノッキ
ング発生時にもバルブタイミングの進角が行われる可能
性がある。禁止手段は、ノッキング検出手段によりノッ
キングが検出されたときにはバルブタイミング制御手段
がバルブタイミングを進角させることを禁止する。この
ため、ノッキング発生時には機関の実際のバルブタイミ
ングが目標値より遅角側になっていてもバルブタイミン
グの進角は行われない。
【0021】請求項7に記載のノッキング制御装置で
は、請求項1と同様にノック制御手段は機関にノッキン
グが生じたときノック強度検出手段により検出されノッ
ク強度が所定の判定値より小さい場合には点火時期遅角
手段に優先してバルブタイミング遅角手段を作動させ、
ノック強度が上記判定値以上である場合にはバルブタイ
ミング遅角手段に優先して点火時期遅角手段を作動させ
る。また、判定値設定手段は、変速比検出手段により検
出した変速比が大きいほど、すなわち車両走行速度が低
いほど、上記ノック強度の判定値を大きく設定する。こ
れにより、車両走行速度が低いほどバルブタイミング遅
角手段によるノッキング抑制が優先的に行われるように
なる。
【0022】
【実施例】以下、添付図面を用いて本発明の実施例を説
明する。図1は本発明のノッキング制御装置を自動車用
4サイクル内燃機関に適用した場合の実施例の主要部構
成を示す図である。本実施例においては、吸気弁と排気
弁との開閉駆動用にそれぞれ別のカムシャフトを有する
ダブルオーバーヘッドカムシャフト(DOHC)型機関
が使用されており、図1にはこのDOHC型機関の吸気
弁駆動用カムシャフト(吸気カムシャフト)1部分のみ
を示している。
【0023】本実施例では、吸気カムシャフト1端部に
は後述する可変バルブタイミング装置10が接続されて
いる。可変バルブタイミング装置10は、図1に25で
示すリニアソレノイドバルブにより供給される油圧によ
り作動し、機関の吸気弁開閉時期を無段階に調節するこ
とが可能となっている。可変バルブタイミング装置10
の構成、作動については後に詳述する。
【0024】図1に30で示すのは、機関の制御回路
(ECU)である。本実施例では、ECU30はリード
オンリメモリ(ROM)32、ランダムアクセスメモリ
(RAM)33、マイクロプロセッサ(CPU)34、
入力ポート35、出力ポート36、及びバッテリに直結
され機関停止時にも記憶保持可能なバックアップRAM
37を相互に双方向性バス31で接続した公知の構成の
ディジタルコンピュータとされ。機関の燃料噴射量、点
火時期等の基本制御を行う他、ノッキング発生時に後述
するノッキング制御を行いノッキングを抑制する。
【0025】このノッキング制御のために、ECU30
の入力ポート35には機関の運転状態を表す種々のパラ
メータが以下に説明するセンサからそれぞれ入力されて
いる。図1に41で示すのは、機関の吸気通路(図示せ
ず)に配置されたエアフローメータである。エアフロー
メータ41は、例えば可動ベーン型のものが使用され、
機関吸入空気量に比例した電圧信号を発生する。エアフ
ローメータ41からの電圧信号はマルチプレクサ内蔵型
のAD変換器38を介してECU30の入力ポートに供
給される。また、42はエアフローメータ41に内蔵さ
れた吸気温度センサである。吸気温度センサ42は吸入
空気温度に対応した電圧信号を発生し、この電圧信号は
AD変換器38を介してECU30の入力ポートに供給
される。この吸入空気温度信号はエアフローメータ41
の出力の温度補正用に使用される他、後述する実施例で
はノッキング制御用にも使用される。
【0026】また、入力ポート35には、上記の他、機
関冷却水ジャケットに設けられた冷却水温度センサ43
から冷却水温度に対応する電圧信号が、また大気圧セン
サ44から大気圧(絶対圧)を表す信号がそれぞれAD
変換器38を介して入力されている。図1に50で示す
のは、機関のノッキングを検出するノックセンサであ
る。ノックセンサ50は機関のシリンダブロックに取り
付けられた特定の周波数の振動を検出する振動センサか
らなっている。シリンダ内でノッキングが発生するとシ
リンダ内の圧力変動により固有の周波数(例えば5から
20KHz程度)の振動が発生する。ノックセンサ50
はシリンダブロックに伝達される上記周波数の振動の振
幅を検出し電圧信号に変換する。ノック強度が大きけれ
ばシリンダブロックに伝達されるノッキング振動の振幅
も大きくなるため、ノックセンサ50の電圧信号からノ
ック強度を検出することができる。ノックセンサ50の
出力もAD変換器38を介してECU30の入力ポート
に供給されている。
【0027】なお、本実施例では、振動検出型のノック
センサ50を使用しているが、気筒内の燃焼圧力を検出
する燃焼圧センサを有する機関では、燃焼圧センサの出
力に基づいてノック強度を検出することも可能である。
ノック発生時には気筒内の燃焼圧がピークに達した後に
上述の固有の周波数の燃焼圧変動が発生する。このた
め、燃焼圧センサ出力をフィルター処理して上記固有の
周波数の圧力変動の振幅を検出することにより、振動検
出型ノックセンサと同様にノック強度を検出することが
できる。
【0028】ECU30の入力ポート35には、吸気カ
ムシャフト1に設けられたカム軸回転角センサ45から
カムシャフト1の回転角CMAを表すパルス信号と、ク
ランク軸に設けられたクランク軸回転角センサ46から
クランク軸回転角CAを表すパルス信号とがそれぞれ入
力されている。クランク軸回転角センサ46からのパル
ス信号は、クランク軸回転720度毎に出力される、ク
ランク軸の基準位置を示すN1信号と、クランク軸回転
30度毎に出力されるNE信号とからなり、カム軸回転
角センサ45からはカムシャフト回転360度毎にカム
シャフトが基準位置に到達したことを示すCN1パルス
信号が発生する。ECU30は一定時間毎にNE信号の
パルス間隔から機関回転数NEを計算するとともに、こ
の機関回転数NEを用いてN1信号とCN1信号との時
間間隔からカムシャフト1の回転位相(後述する吸気弁
のバルブタイミング)VTを演算する。この演算結果は
RAM33の所定の領域に格納される。
【0029】また、ECU30の入力ポート35には機
関出力軸に接続された変速機(図示せず)の変速状態
(使用ギヤ)を表す信号がシフトポジションセンサ47
から入力されている。本実施例では、エアフローメータ
41、吸気温度センサ42、冷却水温度センサ43、大
気圧センサ44からの信号は、一定時間毎に行われるA
D変換ルーチンによりAD変換され、それぞれ吸入空気
量データG、吸気温度データTHA、冷却水温度データ
THW、大気圧データPAとしてRAM33の所定領域
に最新の値が格納される。また、ノックセンサ50の出
力はAD変換後、一定時間毎にセンサ出力電圧の振幅値
がノック強度NKとしてRAM33の所定領域に格納さ
れる。
【0030】すなわち、RAM33に格納された機関回
転数データNE、カムシャフト回転位相VT、吸入空気
量データG、吸気温度データTHA、冷却水温度データ
THW、大気圧データPA、及びノック強度NK、変速
機使用ギヤSPのデータは一定時間毎に更新され、常時
最新の値がRAM33に格納されている。一方ECU3
0の出力ポート36は、駆動回路48を介して前述のリ
ニアソレノイドバルブ25のリニアソレノイドアクチュ
エータ25bに接続され、制御信号をアクチュエータ2
5bに供給するとともに、点火回路49に接続され機関
の点火時期を制御している。
【0031】本実施例では、ECU30は図示しないル
ーチンにより、入力ポート35に入力するクランク回転
角センサ46の基準位置信号(N1パルス信号)と回転
角信号(NEパルス信号)から、各気筒の基準角度位置
(例えば、各気筒の圧縮上死点よりクランク角で60°
前の角度、すなわちBTDC60°)を検出し、後述の
ルーチンにより設定された点火時期をこの基準角度位置
からの回転角に換算する。そして、各気筒が上記基準位
置に達してから、上記により換算された回転角だけクラ
ンク軸が回転すると点火回路49に点火信号を出力し、
各気筒の点火プラグ(図示せず)にスパークを発生させ
る。機関1の点火時期は、負荷(例えば機関1回転当た
りの吸入空気量)、回転数等の運転条件の関数としてE
CU30のROM32に最適値が格納されており、最適
な点火時期(基本点火時期)が運転条件に応じて決定さ
れる。また、ノックセンサ50により機関にノッキング
が発生したことが検出されると、後述するルーチンによ
り上記基本点火時期に対する遅角量が算出され、点火時
期は運転状態に応じて上記基本点火時期から遅角され
る。このノッキング制御については後に詳述する。
【0032】次に、本実施例の可変バルブタイミング装
置10について説明する。図1に示すように、可変バル
ブタイミング装置10は、円筒状スリーブ13を有する
タイミングプーリ12と、カムシャフト1の端部を覆う
カバー14とを備えており、タイミングプーリ12は円
筒状スリーブ13を介して、吸気カムシャフト1の周囲
にカムシャフト1に対して回転可能に装着されている。
また、カバー14はタイミングプーリ12にボルト15
により固定され、プーリ12と一体に回転するようにな
っている。
【0033】カバー14内部にはピストン部材17が設
けられている。ピストン部材17は、円環状のピストン
部19と、ピストン部19から延設された円筒部21と
を備えており、ピストン部19の外周面と内周面とは、
カバー14の内周面とプーリ12のスリーブ13の外周
面とにそれぞれ摺接している。また、ピストン部材17
の円筒部21の外周面と内周面とには、それぞれ所定の
捩じれ角を有するアウターヘリカルギヤ21aとインナ
ーヘリカルギヤ21bとが刻設されており、アウターヘ
リカルギヤ21aはカバー14内周面に形成された内歯
ヘリカルギヤ22aと、またインナーヘリカルギヤ21
bはカムシャフト1の端面にボルト1a、ピン1bによ
り一体に装着されたリング状の外歯ヘリカルギヤ22b
とそれぞれ噛合している。
【0034】本実施例の可変バルブタイミング装置10
では、機関のクランク軸(図示せず)の回転は、タイミ
ングベルト12aを介してタイミングプーリ12に伝え
られる。プーリ12が回転すると、カバー14がプーリ
12と一体に回転し、ヘリカルギヤ22a、21aを介
してカバー14に連結されたピストン部材17がカバー
14と一体に回転する。ピストン部材17は、ヘリカル
ギヤ21b、22bを介してカムシャフト1に連結され
ているため、これによりカムシャフト1がプーリ12と
一体に回転する。
【0035】すなわち、本実施例の可変バルブタイミン
グ装置10では、カムシャフト1の回転駆動力は、クラ
ンク軸からタイミングベルト12aを介してタイミング
プーリ12に伝達され、プーリ12からカバー14、ヘ
リカルギヤ22a、21a、ピストン部材17及びヘリ
カルギヤ21b、22bを経てカムシャフト1に伝達さ
れる。
【0036】本実施例の可変バルブタイミング装置10
は、ピストン部材17をカムシャフト1軸線方向に移動
させることにより吸気弁のバルブタイミングの変更を行
う。すなわち、ピストン部材17は、互いに噛合する、
それぞれ所定の捩じれ角のヘリカルギヤ22a、21a
と21b、22bとによってカバー14およびカムシャ
フト1に連結されている。このため、ピストン部材17
がカムシャフト軸線方向に移動すると、ヘリカルギヤ2
2aと21a及び21b、22bの噛合位置はそれぞれ
の歯筋に沿って軸線方向に移動する。ところが、それぞ
れのギヤの歯面は、カムシャフト軸線方向に対して異な
る捩じれ角を有するため、噛合位置が軸線方向に移動す
ると、カバー14とピストン部材17、及びピストン部
材17とカムシャフト1とはそれぞれヘリカルギヤの歯
筋に沿って円周方向に相対移動する。このため、ピスト
ン部材17の軸線方向移動にともなってカバー14とピ
ストン部材17、及びピストン部材17とカムシャフト
1とは相対的に回転することになる。従って、機関の運
転中にピストン部材17をカムシャフト1軸線方向に移
動させることにより、タイミングプーリ12の回転位
相、すなわちクランク軸の回転位相に対するカムシャフ
ト1の回転位相を進める(或いは遅らせる)ことが可能
となり、カムシャフト1に駆動される吸気弁の開閉タイ
ミングを進角(或いは遅角)させることができる。
【0037】上述のように、本実施例の可変バルブタイ
ミング装置10は吸気カムシャフト1の回転位相のみを
変化させるものであるため、バルブタイミング変更の際
には吸気弁の開弁時期と閉弁時期とは常に同じ量だけ変
化し、吸気弁の開弁期間自体は一定に維持される。本実
施例では、機関運転中に、油圧によりピストン部材17
を移動させることにより吸気弁のバルブタイミング変更
操作を行う。図1に示すように、カムシャフト1内には
2つの油通路2及び3が軸線方向に沿って穿設されてい
る。油通路2はカムシャフト1の中心に設けられ、油通
路2の軸端側はボルト1aに穿設されたポート2aを介
してカバー14内面とピストン17の軸端側端面との間
に形成される油圧室5に連通している。また、油通路2
のもう一方の端部はカムシャフト1に半径方向に穿設さ
れたポート2bを介して後述するリニアソレノイドバル
ブ25に接続されている。一方、油通路3の軸端側端部
は前述のリング状外歯ヘリカルギヤ22bにより閉塞さ
れている。また、油通路3は半径方向に穿設されたポー
ト3aを介して、ピストン17端面とタイミングプーリ
12及びカバー14とで画定される油圧室8に連通する
とともに、ポート3bを介してリニアソレノイドバルブ
25に連通している。
【0038】リニアソレノイドバルブ25は、スプール
26を有するスプール弁であり、前述の油通路2のポー
ト2bに配管を介して接続された油圧ポート26aと、
油通路3のポート3bに配管を介して接続された油圧ポ
ート26b、機関潤滑油ポンプ等の圧力油供給源28に
接続されたポート26c及び2つのドレーンポート26
d、26eを備えている。バルブ25のスプール26は
ポート26aと26bのうちのいずれかをポート26c
に連通し、他方をドレーンポートに接続するように動作
する。
【0039】すなわち、図1においてスプール26が左
方向に移動すると、油圧通路2のポート2bに連通する
ポート26aはポート26cを介して油圧供給源28に
接続され、ドレーンポート26dは閉鎖される。また、
この時同時に油圧通路3のポート3bに接続されたポー
ト26bはドレーンポート26eに連通する。このた
め、可変バルブタイミング装置10の油圧室5には、機
関の潤滑油ポンプ等の油圧供給源28から油圧通路2、
ポート2aを介して潤滑油が流入し、ピストン19を図
1右方向に押圧する。また、この時油圧室8内の潤滑油
はポート3aから油通路3、ポート3b、リニアソレノ
イドバルブ25のポート26b等を通ドレーンポート2
6eから排出される。このため、ピストン部材17は図
1右方向に移動する。
【0040】また、図1において逆にスプール26が右
方向に移動すると、ポート26bはポート26cに接続
され、ポート26aはドレーンポート26dに接続され
る。これにより、油圧室8には油通路3を通って潤滑油
が流入し、油圧室5からは油通路2を通ってドレーンポ
ート26dに潤滑油が排出されるため、ピストン部材1
7は図1左方向に移動する。
【0041】図1に25bで示すのは、スプール26を
駆動するリニアソレノイドアクチュエータである。リニ
アソレノイドアクチュエータ25bはECU30からの
制御信号を入力し、この制御信号の大きさに比例する量
だけスプール26を移動させることにより、ピストン部
材17の位置、すなわち吸気弁のバルブタイミングを変
更する。
【0042】次に、本実施例の点火時期とバルブタイミ
ングとについて図2を用いて説明する。図2(A) は本実
施例の点火時期の設定を説明する図である。図2におい
て、TDCはピストン圧縮行程上死点、tABSEは運
転条件により設定される基本点火時期を示している。後
述するように、基本点火時期tABSEは機関負荷(例
えば機関1回転あたりの吸入空気量)と回転数とに基づ
いて定められる点火時期であり、図2(A) に示すように
ピストン圧縮行程上死点までのクランク回転角(BTD
C)として定義される。すなわち、tABSEの値が大
きいほど機関点火時期は進角することになる。また、図
2(A) にAKNKで示したのはノック強度に応じて設定
される点火時期遅角量(但しAKNK≧0)、ACAL
は実際の(遅角後の)点火時期である。上述のように点
火時期は上死点までのクランク回転角で表されるため、
実際の点火時期ACALは、 ACAL=tABSE−AKNK で表される。また、図2(B) は本実施例の吸気弁と排気
弁との開閉時期を模式的に示す図である。図2(B) にお
いて、TDCはピストン行程上死点、BDCは下死点を
示し、IO、ICはそれぞれ吸気弁の開弁時期と閉弁時
期、EO、ECはそれぞれ排気弁の開弁時期と閉弁時期
とを表している。本実施例では、バルブタイミングVT
は可変バルブタイミング装置10により吸気弁バルブタ
イミングが最も遅角された状態を基準状態(VT=0)
として、基準状態に対する吸気弁バルブタイミング進角
量をVTとして定義する。
【0043】図2(B) に示すように、本実施例ではVT
=0の状態では、吸気弁は排気行程上死点(TDC)直
後に開弁し(図2(B) にIO0 で示す)、吸気行程下死
点(BDC)後例えば70°程度(ABDC70°)で
閉弁する(図2(B) にIC0で示す)。一方、本実施例
では排気弁の開弁時期(EO)と閉弁時期(EC)とは
固定されており、排気弁は図2(B) に示すように常に爆
発行程下死点(BDC)前から開弁し、排気行程上死点
(TDC)後に閉弁する。
【0044】また、図2(B) にtVTで示すのは機関運
転状態により定まる最適バルブタイミング(基本バルブ
タイミング)である。基本バルブタイミングtVTは、
機関負荷(例えば機関1回転当たりの吸入空気量)と回
転数とから定められるバルブタイミングであり、本実施
例では図2(B) に示すようにtVTの値が大きい程tV
Tが進角して設定されることになる。
【0045】また、図2(B) にVKNKで示したのはノ
ック強度に応じて設定されるバルブタイミング遅角量
(但しVKNK≧0)、VTCALは実際の(遅角後
の)バルブタイミングを示している。すなわち、実際の
バルブタイミングVTCALは VTCAL=tVT−VKNK として表される。
【0046】次に、点火時期の遅角とバルブタイミング
の遅角とについて説明する。前述したように、点火時期
を遅延させると燃焼室内での混合気の着火時期が遅くな
るためノッキングが生じにくくなり、ノッキング発生時
には点火時期を遅角させることによりノッキング抑制を
行うことができる。一方、点火時期を遅角させると、混
合気の燃焼過程が全体的に遅延することになるため、爆
発行程で燃焼ガスの熱エネルギが完全に運動エネルギに
変換される前に排気弁が開弁して燃焼ガスが排出される
ようになり、機関出力の低下と排気温度の上昇とが生じ
る問題がある。
【0047】また、バルブタイミングを遅角させると
(すなわち、VTが小さくなると)吸気弁は圧縮行程中
まで開弁するようになる。例えば、図2(B) 示した例で
は、基本バルブタイミングtVTに対するバルブタイミ
ング遅角量VKNKが大きくなるほど吸気弁の閉弁時期
は圧縮行程の遅い時期になる。このため、バルブタイミ
ングを遅角させると吸気弁閉弁時から圧縮行程上死点ま
でのピストン行程が短くなり機関の実圧縮比が小さくな
るのでノッキングが発生しにくくなる。従って、ノッキ
ング発生時にバルブタイミングを遅角させることにより
ノッキングを抑制することが可能となる。一方、バルブ
タイミングの遅角量VKNKが大きくなると吸気弁と排
気弁との両方が開弁しているバルブオーバラップ(図2
(B) でIOからECまでの期間)が短くなるため吸気ポ
ートへの既燃ガスの逆流が減少し燃焼室内の残留既燃ガ
ス(内部EGR)量が減少する。このため、機関の負荷
領域によってはバルブタイミングを遅角すると燃焼時の
NOX 発生量が増大する。また、バルブタイミング遅角
により実体積効率も低下するため機関出力は低下する
が、低下幅は点火時期遅角による場合よりは小さく排気
温度の上昇も生じない。
【0048】しかし、上述のように可変バルブタイミン
グ装置10ではピストン部材17の移動によりバルブタ
イミングの変更が行われるため、一般に作動速度は遅
く、また作動速度が機関温度(作動油粘度)、機関回転
数(油圧ポンプ吐出圧力)などにより変動する。すなわ
ち、点火時期遅角によるノッキング抑制とバルブタイミ
ング遅角によるノッキング抑制とは以下のような利点と
欠点とがある。 (1)点火時期遅角 利点:応答性が良く、極めて短時間でノッキングを抑制
できる。
【0049】欠点:機関出力低下が大きい。 排気温度の上昇が大きい。 燃費悪化が大きい。 (2)バルブタイミング遅角 利点:排気温度上昇が生じない。
【0050】燃費の悪化が生じない。 欠点:応答性が悪くノッキング抑制に比較的長時間を
要する。 機関出力低下が生じる(点火時期遅角よりは低下幅は
少ない)。 中負荷運転時などには、バルブタイミング遅角により
内部EGRが減少するためNOX 発生量が増大する。
【0051】以下に説明する各実施例では、上記の点火
時期遅角によるノッキング抑制とバルブタイミング遅角
によるノッキング抑制とを運転状態に応じて組み合わせ
ることにより、両者の利点を活かしたノッキング抑制を
行う。図3、図4は、本発明のノッキング制御ルーチン
の一実施例を説明するフローチャートである。本実施例
では、図1のノックセンサ50で検出したノック強度N
Kが予め定めた所定値NK1 より大きい場合には点火時
期遅角によるノッキング制御を優先して行い、ノック強
度が所定値NK1 以下の場合にはバルブタイミング遅角
によるノッキング抑制を優先して行うようにしている。
【0052】すなわち、ノック強度が大きい場合には、
ノッキングが続くとバルブ溶損など機関の損傷が生じる
恐れがあるため、直ちにノッキングを抑制する必要があ
る。このため、出力低下や燃費悪化等が生じても応答性
の良い点火時期遅角によりノッキング抑制を行い、直ち
にノッキングを抑制するようにする。一方、ノック強度
が小さい場合には多少の時間ノッキングが継続しても機
関の損傷が生じることはない。そこで、ノック強度が小
さい場合には応答性が遅くても燃費悪化や排気温度の上
昇が生じない、バルブタイミング遅角によるノッキング
抑制を行うようにしている。図3、図4のルーチンはE
CU30により一定時間毎に実行される。
【0053】ルーチンがスタートすると、図3ステップ
301では、RAM33の所定領域に格納されている吸
入空気量データG、回転数データNE、現在のバルブタ
イミングVTおよびノックセンサ50で検出したノック
強度NKが読み込まれる。ついで、ステップ303で
は、機関負荷(機関1回転当たりの吸入空気量、すなわ
ちG/NE)と機関回転数NEとを用いて、現在の運転
状態における最適な点火時期(基本点火時期)tABS
Eと、この基本点火時期からの許容可能な最大点火時期
遅角量AKNKMAX とが算出される。
【0054】基本点火時期tABSEは、予め実験等に
より求められ図5(A) に示すような形式のG/NEとN
Eとを用いた数値テーブル(マップ)の形でECU30
のROM32に格納されている。ステップ303では、
ステップ301で読み込んだGとNEとの値からG/N
Eを算出し、G/NEとNEとの値から図5(A) のマッ
プに基づいて基本点火時期tABSEを決定する。
【0055】最大遅角量AKNKMAX は、基本点火時期
tABSEと同様に、G/NEとNEとを用いた図5
(A) と同様な形式のマップとしてROM33に記憶され
ており、tABSEと同様にG/NEとNEとから決定
される。ここで、運転状態に応じて最大許容遅角量AK
NKMAX を設定するようにしたのは、点火時期を遅角さ
せると機関出力の低下と排気温度の上昇とが生じること
から、各運転状態(機関出力、排気温度)に応じて機関
出力の許容低下幅と排気温度の許容上昇幅を設定する必
要があるためである。
【0056】ついで、ステップ305では、tABS
E、AKNKMAX と同様に、機関負荷と機関回転数NE
とを用いて、現在の運転状態における最適なバルブタイ
ミング(基本バルブタイミング)tVTと、この基本バ
ルブタイミングからのバルブタイミングの最大許容遅角
量VKNKMAX とが算出される。tVT、VKNKの値
は、予め実験等により求められ、図5(A) と同様な形式
のマップ(図5(B) 参照)としてROM33に格納され
ており、ステップ305ではG/NEとNEとを用いて
これらのマップからtVT、VKNKが決定される。
【0057】機関運転状態に応じてバルブタイミングの
最大許容遅角量VKNKMAX を設定しているのは、前述
したようにバルブタイミングを遅角すると、機関出力の
低下や、運転領域によっては排気中のNOX 量の増大が
生じることから、出力低下やNOX の増大が許容範囲内
になるように運転状態に応じてバルブタイミングの最大
遅角量VKNKMAX を設定する必要があるためである。
【0058】次いで、ステップ307では、現在機関の
ノッキングが発生しているか否かが判定される。ノッキ
ングの有無の判定は、ノックセンサ50で検出したノッ
ク強度NKが予め定めた所定値NK0 以上か否かにより
判断される。ここで、NK0はノッキングが発生してい
るか否かの判定値であり、誤判定を生じない範囲ででき
るだけ小さな値に設定される。
【0059】ステップ307でNK≧NK0 であった場
合にはステップ309以下のノッキング抑制操作が行わ
れる。すなわち、ステップ309では、ステップ305
で算出した基本バルブタイミングtVTがステップ30
1で読み込んだ現在のバルブタイミングVTより進角側
にあるか否かが判定され、tVTがVTより進角側であ
った場合(すなわち、tVT≧VTであった場合)には
ステップ311に進み、ノック強度NKが所定値NK1
以上か否かが判定される。ここで、判定値NK1 はノッ
キングを直ちに抑制しないと機関に損傷を生じる可能性
がある程度の大きなノック強度の値である。
【0060】ステップ311でNK≧NK1 の場合に
は、ノック強度が大きく直ちにノッキングを抑制する必
要があるため、ステップ313以下の点火時期遅角が実
行される。また、NK<NK1 であった場合にはノッキ
ングがある程度継続しても機関に損傷が生じることはな
いため、ステップ329以下のバルブタイミング遅角に
よるノッキング抑制が実行される。
【0061】一方、ステップ309で、基本バルブタイ
ミングtVTが現在のバルブタイミングVTより遅角側
であった場合(すなわちtVT<VTであった場合)に
は、ステップ311でノック強度を判定することなく、
直接ステップ313に進み点火時期遅角によるノッキン
グ制御を実行する。本実施例では、基本バルブタイミン
グtVTが現在のバルブタイミングVTよりも遅角側で
ある場合には、後述するようにバルブタイミングが基本
点火時期に合致するようにバルブタイミングの遅角が行
われ、特にノッキング抑制のためのバルブタイミング遅
角を行わなくともバルブタイミングが遅角される。この
ため、tVT<VTの場合には、更にバルブタイミング
の遅角を行うことなく点火時期遅角によるノッキング抑
制を行うようにしている。
【0062】ステップ313では、点火時期の遅角量A
KNKが決定される。本実施例では、点火時期の遅角量
はノック強度NKの値に応じて決定される。図6はノッ
ク強度NKと遅角量の設定値AKNKとの関係を示す図
である。図6に示すように、遅角量AKNKはノック強
度NKに応じてほぼ直線的に増大する。すなわち、遅角
量AKNKの値はノック強度NKがNK≦NK0 の場合
には0に設定され、NK>NK0 の領域ではノック強度
NKが大きいほど遅角量AKNKも大きな値に設定され
る。
【0063】また、ステップ315と317では上記に
より設定した遅角量AKNKがステップ303で設定し
た許容最大遅角量AKNKMAX 以上になならないよう
に、AKNKの最大値をAKNKMAX で制限する。すな
わちAKNKの値を最大値AKNKMAX でガードする。
これにより、ノッキング抑制のための点火時期遅角時に
も点火時期遅角量は許容範囲内になり、過度の排気温度
上昇が生じることが防止される。
【0064】さらに、ステップ319では実際の点火時
期制御目標値ACALが、 ACAL=tABSE−AKNK として算出される。また、ステップ321では、同様に
実際のバルブタイミング制御目標値VTCALが、 VTCAL=tVT−VKNK として算出される。ここで、VKNKは基本バルブタイ
ミングに対するバルブタイミング遅角量であり、後述す
るステップ329以下の操作で決定される値である。な
お、後述するようにノッキングが抑制されてステップ3
07でNK<NK0 になった場合にはバルブタイミング
遅角量VKNKは徐々に低減されるため、前回のノック
抑制から一定時間経過後はVKNK=0となっており、
VTCAL=tVTとなるため実際にはバルブタイミン
グの遅角は行われない。
【0065】上記により算出されたACALとVTCA
Lの値はステップ323でRAM33の所定領域に格納
され、ステップ325で本ルーチンの今回の実行は終了
する。なお、ACALの値がRAM33に格納される
と、別途実行される図示しない点火時期制御ルーチンに
より、実際の点火時期がACALになるように制御され
る。また、VTCALの値がRAM33に格納される
と、別途実行される図示しないバルブタイミング制御ル
ーチンにより、リニアソレノイドアクチュエータ25b
が制御され、実際のバルブタイミングVTが制御目標値
VTCALになるように可変バルブタイミング装置10
に供給する油圧が調整される。なお、このバルブタイミ
ング制御は、目標値VTCALと実際のVTとの偏差に
基づく公知のPID制御であるため詳細な説明は省略す
る。
【0066】次に、ステップ311でノック強度NK
が、NK<NK1 であった場合について説明する。この
場合には、前述のようにノック強度が小さくノッキング
がある程度継続しても機関に損傷を与えることがないの
で、図4ステップ329に進み燃費の悪化や排気温度の
上昇のないバルブタイミング遅角によるノッキング抑制
を行う。
【0067】すなわち、ステップ329では遅角限界フ
ラグXVKNKの値が0か否かを判定し、XVKNK≠
0の場合にはバルブタイミングの遅角は行わずに、ステ
ップ313に進み点火時期の遅角を行う。ここで、XV
KNKはバルブタイミングの遅角量VKNKがステップ
305で決定される最大許容遅角量VKNKMAX より大
きくなった場合にステップ335で1に設定されるフラ
グである。すなわち、ステップ329でフラグXVKN
Kの値が1(XVKNK≠0)であった場合には、前回
ルーチン実行時にバルブタイミングが既に最大許容遅角
量まで遅角されており、これ以上バルブタイミングを遅
角する余地がないことを意味している。このため、この
場合にはバルブタイミングの遅角量VKNKの更新は行
わずに、さらに点火時期の遅角(ステップ313からス
テップ319)を行ってノッキングの抑制を行うように
している。なお、この場合にはステップ321で算出さ
れるバルブタイミング制御目標値VTCALは、基本バ
ルブタイミングtVTに対して最大許容遅角量VKNK
MAX だけ遅角された値となる。
【0068】ステップ329でXVKNK=0であった
場合には、バルブタイミングの遅角量はまだ最大許容値
に到達しておらず、更にバルブタイミングの遅角の余地
があるため、ステップ331に進み、ノック強度NKの
値に応じてバルブタイミングの遅角量VKNKの値が設
定される。図7はNKとVKNKとの関係を示す図であ
る。図7に示すように、遅角量VKNKの値は、NK≦
NK0 の領域では0に設定され、NK0 <NK≦NK1
の範囲では、NKの値の増大とともにほぼ直線的に増大
する。なお、図7でNK>NK1 の領域に対応するVK
NKの値がないのは、図3、図4から判るようにNK>
NK1 の場合にはステップ331が実行されることがな
いためである。
【0069】ステップ333から337では、上記によ
り設定されたバルブタイミング遅角量VKNKの値が最
大許容遅角量VKNKMAX の値でガードされる。また、
VKNK>VKNKMAX であった場合にはステップ33
5で遅角限界フラグXVKNKの値が1に設定される。
ステップ329からステップ337でバルブタイミング
の遅角量VKNKが設定されると、ルーチンはステップ
319に進み、前述した点火時期とバルブタイミングの
制御目標値、ACALとtVTとが算出され、ステップ
323でRAM33の所定領域に格納される。これによ
り、バルブタイミングVTはステップ329からステッ
プ337で設定された遅角量VKNKだけ遅角されるこ
とになる。
【0070】次に、ステップ307でノック強度NK
が、NK<NK0 であった場合について説明する。NK
<NK0 であった場合には、現在ノッキングが生じてい
ないので点火時期とバルブタイミングとの遅角は必要が
ないのみならず、一旦発生したノッキングが点火時期と
バルブタイミングとの遅角により消滅した場合には、遅
角された点火時期とバルブタイミングとをそれぞれ基本
点火時期と基本バルブタイミングまで進角させる必要が
ある。本実施例では、NK<NK0 の場合には、ステッ
プ339からステップ351を実行し、点火時期とバル
ブタイミングとを以下の手順で徐々に進角させるように
している。
【0071】すなわち、ステップ307でNK<NK0
の場合にはステップ339に進み点火時期遅角量AKN
Kを一定量Dだけ減少させ、ステップ341では減少後
のAKNK量AKNKが正の値か否かを確認する。減少
後のAKNKの値がAKNK≧0の場合には、点火時期
は未だ基本点火時期に復帰していないので、ステップ3
19に進み減少後のAKNKの値を用いてACALを算
出する。また、ステップ341で、減少後のAKNKの
値が負になっていた場合には、点火時期は基本点火時期
に復帰しているため、ステップ343に進みAKNKの
値を0に設定してステップ345からステップ351で
バルブタイミングの遅角量VKNKを所定量Eだけ減少
させるとともに、減少後のVKNKとステップ343で
設定したAKNK(この場合はAKNK=0)とを用い
てステップ319から323を実行する。
【0072】ステップ339からステップ351の実行
により、NK<NK0 が成立すると、まず点火時期がA
KNK=0になるまでルーチン実行毎に所定量Dずつ減
少され(ステップ339)、AKNK=0になった後
(ステップ341)はAKNK=0の値を保持しながら
(ステップ343)、次にバルブタイミングの遅角量V
KNKがルーチン実行毎に所定量Eずつ減少され(ステ
ップ347)、VKNK=0になった後はVKNKの値
は0のままに保持される(ステップ349、351)。
また、遅角限界フラグXVKNKの値は、VKNKの減
少開始後は0に設定される(ステップ345)。
【0073】すなわち、本実施例ではノッキングが消滅
すると、まず点火時期ACALが基本点火時期tABS
Eまで徐々に進角され、ACALがtABSEに到達し
た後にバルブタイミングVTが基本バルブタイミングt
VTまで徐々に進角される。また、基本点火時期または
基本バルブタイミングに到達後は、ノッキングが生じて
いない限り、点火時期とバルブタイミングとは、それぞ
れ基本点火時期と基本バルブタイミングとに保持される
ことになる。
【0074】ノッキング消滅後、点火時期をバルブタイ
ミングより先に基本時期に復帰させるのは、ノッキング
抑制をできる限りバルブタイミング遅角で行うようにし
て、点火時期遅角による燃費悪化や排気温度の上昇を抑
制するためである。上述のように、本実施例によればノ
ッキング発生時に、ノッキング強度が小さい場合には、
燃費や排気温度上昇のないバルブタイミング遅角による
ノッキング抑制を行い、ノッキング強度が大きく直ちに
ノッキングを抑制する必要がある場合には応答速度の早
い点火時期遅角によるノッキング抑制を行うようにした
ことにより、ノック強度に応じた適切なノッキング抑制
が行われる。
【0075】次に、図8から図10を用いて本発明の別
の実施例について説明する。図3、図4の実施例では、
機関の運転状態にかかわらずノッキング発生時にノック
強度が所定値NK1 以下の場合にはバルブタイミング遅
角によるノッキング抑制が行われる。ところが、例えば
機関が過度運転状態(例えば加速、減速時等)にある場
合のノッキング発生時にバルブタイミング遅角を行うと
問題が生じることがある。例えば、上記実施例では基本
バルブタイミングtVTは機関負荷(G/NE)と機関
回転数NEとに応じて設定されるが(図3ステップ30
5)、加速、減速等の機関過渡運転中は機関負荷と回転
数との変化が大きくなる。このため、図3ステップ30
5で設定される基本バルブタイミングtVTもルーチン
実行毎に比較的大きく変化することになる。ところが、
可変バルブタイミング装置の応答速度は比較的遅いた
め、このようにtVTの設定値がルーチン実行毎に大き
く変化した場合に更にノッキング抑制のための遅角を行
うとバルブタイミングの制御が不安定になる場合が生じ
るのである。このため、以下の実施例では機関が過渡運
転状態にある場合には、ノッキング発生時にノック強度
が所定値NK 1 以下であってもバルブタイミング遅角は
行わず、点火時期遅角によるノッキング抑制を優先して
実行するようにしてこの問題を解決している。
【0076】図8は本実施例のノッキング制御ルーチン
を示すフローチャートである。図8のフローチャートは
図3、図4のフローチャートのステップ307とステッ
プ309との間にステップ801から811が付加され
ている点が図3、図4と相違するため、図8は図3、図
4と同一の部分については省略して示している。また、
以下の説明は相違点のみについて述べるが、本実施例の
図示していない部分は図3、図4のフローチャートと同
一である。
【0077】前述のステップ307で、現在機関にノッ
キングが発生していると判断された場合、図8ではステ
ップ801で機関の現在の運転状態の過渡の程度を示す
パラメータΔ(G/NE)が算出される。Δ(G/N
E)は今回ルーチン実行時と前回ルーチン実行時の機関
負荷(G/NE)の変化の絶対値、すなわち、 Δ(G/NE)=|(G/NE)−(G/NE)i-1 | として算出される。ここで、(G/NE)i-1 は前回ル
ーチン実行時に算出された(G/NE)の値であり、Δ
(G/NE)算出後にルーチン実行毎にステップ803
で更新される。すなわち、本実施例では機関過渡運転時
においては機関負荷の変化が大きいため、本実施例では
Δ(G/NE)を過渡の程度のパラメータとして使用し
ている。
【0078】次いで、ステップ805では、上記により
算出した過渡の程度Δ(G/NE)の大きさが所定値Δ
(G/NE)1 より大きいか否かが判定される。過渡の
程度Δ(G/NE)が所定値以上である場合には、機関
の過渡の程度が大きく基本バルブタイミングtVTの設
定値がルーチン実行毎に大きく変化する可能性があるた
め、ノッキング発生時にもバルブタイミングによる遅角
は実行しないこととして、ステップ811でカウンタT
Gの値をクリアした後ルーチンは直接ステップ313に
進む。これにより、過渡の程度が大きい場合にはノック
強度にかかわらず点火時期遅角によるノッキング抑制が
実行され、バルブタイミング制御が不安定になることが
防止される。
【0079】一方、ステップ805で過渡の程度Δ(G
/NE)が所定値Δ(G/NE)1以下であった場合に
は、ステップ807、809でΔ(G/NE)≦Δ(G
/NE)1 の状態が一定時間以上継続しているか否かが
判定される。すなわち、ステップ807では前述のカウ
ンタTGがカウントアップされる。また、ステップ80
9ではカウンタTGの値が所定値TG1 以上になったか
否かが判定され、TGの値がTG1 より小さい場合には
ルーチンは直接ステップ313に進みバルブタイミング
遅角によるノッキング抑制は実行しない。
【0080】前述のように、カウンタTGは機関運転状
態の過渡の程度が大きい場合には常に0に設定され(ス
テップ811)、過渡の程度が所定値Δ(G/NE)1
より小さくなった時点からルーチン実行毎にカウントア
ップされる(ステップ807)。本ルーチンは一定時間
毎に実行されることから、カウンタTGの値は機関の過
渡運転が終了して安定な状態になってからの時間を表す
ことになる。
【0081】カウンタTGの値が所定値TG1 より小さ
いときにはバルブタイミング遅角によるノッキング制御
を実行しないのは、過渡運転終了直後は機関の運転状態
が安定しておらず、可変バルブタイミング装置が過渡運
転終了後の状態に合わせてバルブタイミングの進角また
は遅角操作を実行している途中である可能性があり、さ
らにバルブタイミング遅角を行うとバルブタイミング制
御が不安定になる可能性があるためである。
【0082】ステップ809でTG≧TG1 、すなわち
過渡運転が終了して十分な時間が経過しており機関運転
状態が安定していると判断された場合には、バルブタイ
ミング遅角を実行しても制御が不安定になることがない
ため、ステップ309以下が実行され、ノッキング強度
に応じてバルブタイミング遅角または点火時期の遅角に
よるノッキング制御が行われる。
【0083】なお、過渡運転終了後、機関運転状態が安
定するまでの時間は過渡運転時の過渡の程度により変化
するため、図9に示すようにステップ807におけるカ
ウンタTGの判定値TG1 を過渡運転中の過渡の程度に
応じて変化させるようにしてもよい。すなわち、図9で
はステップ805で現在過渡運転中であると判断された
場合にはステップ811でTGをクリアするのに加えて
ステップ901で、算出された過渡程度Δ(G/NE)
の値に応じて判定値TG1 の値を設定するようにしてい
る。判定値TG1 の値は、例えば図10に示すように、
過渡の程度Δ(G/NE)の値が大きいほど大きな値に
設定される。これにより、機関運転状態の過渡の程度が
大きいほど過渡運転終了後のバルブタイミング遅角によ
るノッキング制御が禁止される時間が長くなり、機関運
転状態に応じた適切なノッキング制御が実行される。
【0084】次に、本発明の別の実施例について説明す
る。上述の実施例ではノック強度に応じてバルブタイミ
ング遅角によるノッキング制御と点火時期遅角によるノ
ッキング制御とのどちらを優先して実行するかを判断し
ているものの、ノック強度の判定値NK1 (図3ステッ
プ311)は機関運転状態にかかわらず一定値とされて
いる。しかし、実際の運転では、ノッキング制御のため
にバルブタイミング遅角と点火時期遅角とのどちらを優
先して実行したほうが有利かの判断は機関運転状態に応
じて変わってくる場合がある。例えば、機関がノックの
発生し易い状態で運転されているような場合には小さな
ノッキングが発生後急激にノッキングが大きくなる可能
性があるため、小さなノッキングが発生した段階で直ち
にノッキングを抑制する方が有利である。また、可変バ
ルブタイミング装置の作動速度は機関運転状態により
(作動油の油圧、油温等)により変化するため、可変バ
ルブタイミング装置の作動速度が特に遅くなるような運
転状態では、たとえノック強度が小さい場合でも点火時
期遅角によるノッキング抑制を実行した方が有利になる
場合がある。
【0085】そこで、以下に説明する実施例では、ノッ
ク強度の判定値NK1 の値を機関運転状態に応じて設定
することにより、機関運転状態に応じてバルブタイミン
グ遅角と点火時期遅角とのどちらを優先的に実行するか
を変化させている。すなわち、図3、図4のルーチンに
おいて判定値NK1 の値が小さくなると、小さなノッキ
ングでも点火時期遅角によるノッキング抑制が行われる
ようになり、点火時期遅角が優先的に実行される頻度が
高くなる。また、逆に判定値NK1 の値を大きく設定す
れば比較的大きなノッキングでもバルブタイミング遅角
によるノッキング抑制が行われるようになり、バルブタ
イミング遅角が優先的に実行される頻度が高くなる。従
って、ノック強度の判定値NK1 の値を変化させること
により、ノッキング発生時にバルブタイミング遅角と点
火時期遅角のどちらを優先的に実行するかを変えること
が可能となる。
【0086】以下に、図3、図4のルーチンとは別に一
定時間毎に実行されるルーチンにより、機関運転状態パ
ラメータの値に応じて判定値NK1 の値を設定するよう
にした実施例を幾つか示す。 (1)加速度に応じた判定値NK1 の設定。 機関加速時には機関の吸気体積効率や空燃比の変化が大
きくなるため、ノッキングの状態が大きく変化する場合
がある。また、体積効率や空燃比の変化は機関加速度が
大きいほど大きいため、ノッキングの変化も加速度が大
きいほど大きくなる。このため、機関の加速度が大きい
ほど優先的に応答速度の早い点火時期遅角によるノッキ
ング抑制を行い、小さなノッキングが発生した段階でノ
ッキングを抑制する必要がある。更に、機関加速度は機
関運転状態の過渡の程度を表しているため、前述のよう
に過渡の程度が大きい場合にバルブタイミング遅角によ
るノッキング抑制を実施するとバルブタイミング制御が
不安定になる場合がある。本実施例では、判定値NK1
の値を機関加速度に応じて設定することにより、機関運
転状態に応じた適切なノッキング抑制を行うようにして
いる。
【0087】図11は本実施例のNK1 設定ルーチンを
示すフローチャートである。本ルーチンは、ECU30
により一定時間毎に実行される。図11においてルーチ
ンがスタートすると、ステップ1101とステップ11
03では、それぞれ吸入空気量G、機関回転数NEの読
み込みと機関1回転当たりの吸入空気量(G/NE)が
算出される。また、ステップ1103では、加速度パラ
メータACCの値が、ACC=(G/NE)−(G/N
E)i-1 として算出される。すなわち、本実施例では、
今回ルーチン実行時と前回ルーチン実行時との機関1回
転当たりの吸入空気量の差を加速度を代表するパラメー
タとして使用する。(G/NE)i-1 は前回ルーチン実
行時の(G/NE)の値であり、ステップ1107でル
ーチン実行毎に更新される。
【0088】次いで、ステップ1109では上記により
算出した加速度パラメータACCの値から図12に示し
た関係に基づいてノック強度判定値NK1 が決定され、
決定したNK1 の値がRAM33の所定領域に格納され
る。図3、ステップ311では、RAM33からこのN
1 の値を読み出し、このNK1 の値を用いてノック強
度の判定が行われる。
【0089】図12は、本実施例におけるノック強度判
定値NK1 の値と加速度パラメータACCの値との関係
を示す図である。図12に示すように、機関加速度が大
きいほど判定値NK1 は小さな値に設定されるため、ノ
ッキングの変化が大きい(加速度が大きい)運転状態で
は小さなノッキングでも点火時期遅角によるノッキング
抑制が優先して実行されるようになることが判る。 (2)機関温度に応じた判定値NK1 の設定。
【0090】機関温度が高いほどノッキングが発生しや
すくなる。このため、機関温度が高いほど点火時期遅角
によるノッキング抑制を優先して実行し、ノッキングが
大きくなることを防止する必要がある。そこで、本実施
例では、冷却水温度センサ43で機関冷却水温度を検出
して、機関冷却水温度が高いほどNK1 の値を小さく設
定することにより機関高温時ほど点火時期遅角が優先し
て実行されるようにしている。
【0091】図14は冷却水温度THWと判定値NK1
との関係を示す図である。図14に示すように、NK1
の値は機関高温時(THW≧t2 、例えばt2 =95度
C)には冷却水温度が高いほど小さな値に設定される。
一方、機関低温時にはノッキングが発生しにくくなるた
め、バルブタイミング遅角によるノッキング抑制でもノ
ッキングの増大等が生じるおそれはない。しかし、機関
温度が低い場合には機関暖機のために排気温度を通常よ
り上昇させることが好ましい。そこで、本実施例では図
14に示すように機関低温時(THW≦t1 、例えばt
1 =80度C)には冷却水温度が低いほどNK1 の値を
小さく設定してノッキング発生時に点火時期遅角による
ノッキング抑制を優先して実行するようにしている。こ
れにより、ノッキング抑制時には排気温度が上昇するた
め機関暖機が促進される利点がある。図13は、本実施
例のNK1 設定ルーチンを示すフローチャートである。
図13では、ステップ1301でRAM33に格納した
冷却水温度温度データTHWを読み出し、ステップ13
03では、このTHWの値を用いて図14の関係からノ
ック強度判定値NK1 を決定し、ステップ1305では
このNK1 の値をRAM33に格納してルーチンを終了
する。
【0092】本ルーチンの実行により、NK1 の値は機
関運転状態に応じて設定され、機関運転状態に応じた適
切なノッキング抑制が行われる。 (3)機関負荷に応じた判定値NK1 の設定。
【0093】図15、図16は機関負荷に応じて判定値
NK1 の値を設定する実施例を示している。機関負荷が
高くなると機関の実圧縮比が増大し燃焼温度も高くなる
ためノッキングが生じやすい状態になる。本実施例で
は、機関負荷が高いほど判定値NK1 の値を小さく設定
して、点火時期遅角によるノック抑制を優先的に実行す
るようにしている。
【0094】図15のルーチンでは、機関負荷のパラメ
ータとして機関1回転当たりの吸入空気量(G/NE)
を用い(ステップ1501、1503)、この(G/N
E)から図16の関係に基づいて判定値NK1 の値を設
定する(ステップ1505)。図16に示すように、判
定値NK1 の値は機関負荷(G/NE)が増大するほど
小さな値に設定される。これにより、図3のルーチンで
は、機関負荷が高いほど点火時期遅角によるノッキング
抑制が優先的に行われるようになり、機関運転状態に応
じた適切なノッキング抑制が行われる。 (4)機関吸気温度に応じた判定値NK1 の設定。
【0095】図17、図18は機関吸気温度に応じて判
定値NK1 の値を設定する実施例を示している。機関温
度が高くなると圧縮行程における混合気圧縮温度が上昇
し燃焼温度も高くなるためノッキングが生じやすい状態
になる。本実施例では、吸気温度が高いほど判定値NK
1 の値を小さく設定して、点火時期遅角によるノック抑
制を優先的に実行するようにしている。
【0096】図17のルーチンでは、吸気温度センサ4
2により検出した吸気温度THAをRAM33から読み
込み(ステップ1701)、このTHAから図18の関
係に基づいて判定値NK1 の値を設定する(ステップ1
703)。図18に示すように、判定値NK1 の値は機
関吸気温度THAが上昇するほど小さな値に設定され
る。これにより、図3のルーチンでは、機関吸気温度が
高くノッキングが生じやすい状態であるほど点火時期遅
角によるノッキング抑制が優先的に行われるようにな
り、機関運転状態に応じた適切なノッキング抑制が行わ
れる。 (5)可変バルブタイミング装置作動速度に応じた判定値
NK1 の設定。
【0097】前述したように、可変バルブタイミング装
置によるバルブタイミング変更速度は点火時期の変更速
度より大幅に遅く、さらに作動油の温度(粘性)により
作動速度が変化する。このため、通常ではバルブタイミ
ング遅角により十分に対応できるノッキングであって
も、可変バルブタイミング装置の作動速度が遅くなる機
関運転状態ではさらにノッキング抑制に時間がかかるよ
うになり、ノッキングの増大等が生じてしまう場合があ
る。そこで、本実施例では可変バルブタイミング装置の
作動速度を検出し、検出した作動速度が遅くなるほど判
定値NK1 を小さく設定することにより、可変バルブタ
イミング装置の作動速度が遅いほど点火時期遅角による
ノッキング抑制を優先して実行するようにしている。
【0098】図19はECU30により別途一定時間毎
に実行される可変バルブタイミング装置作動速度検出ル
ーチンを示す。本ルーチンでは、可変バルブタイミング
装置のバルブタイミング変更動作時に、バルブタイミン
グVTの実際の変更速度を算出し、実際のバルブタイミ
ングVTの変更速度と、機関回転数から定まる標準バル
ブタイミング変更速度との比を可変バルブタイミング装
置作動速度を表すパラメータとして使用する。
【0099】ルーチンがスタートすると、図19ステッ
プ1901では、現在可変バルブタイミング装置による
バルブタイミング変更操作を実行中か否かが判定され、
バルブタイミング変更中でない場合にはルーチンはその
まま終了する。ステップ1901でバルブタイミング変
更中であった場合には、次にステップ1903でRAM
33の所定領域から現在のバルブタイミングVTと機関
回転数NEとが読み込まれる。次いでステップ1905
ではバルブタイミングの変更速度ΔVTが、 ΔVT=|VT−VTi-1 | として算出される。ここで、VTi-1 は前回ルーチン実
行時のバルブタイミングVTの値であり、ルーチン実行
毎にステップ1907で更新される。
【0100】次に、ステップ1909では、機関回転数
NEに基づいてバルブタイミングの標準変更速度ΔVT
S が図20を用いて算出される。図20は、バルブタイ
ミングの標準変更速度ΔVTS と機関回転数NEとの関
係を示す図である。ここで、標準変更速度ΔVTS は機
関潤滑油温度(可変バルブタイミング装置作動油温度)
が十分に高い一定温度でのバルブタイミング変更速度と
して定義される。油温一定(すなわち作動油粘度一定)
の条件下では、バルブタイミングの変更速度は作動油圧
力に比例して変化する。一方作動油圧力は略油圧ポンプ
回転数(すなわち機関回転数)に比例して変化するた
め、図20に示すようにバルブタイミング標準変更速度
ΔVTS は機関回転数NEに略比例した変化を示す。
【0101】図19ステップ1911では、上記により
算出した実際のバルブタイミング変更速度ΔVTと標準
変更速度ΔVTS との比として可変バルブタイミング装
置の作動速度ΔVVTが、ΔVVT=ΔVT/ΔVTS
として算出される。また、ステップ1913では、上記
により算出した作動速度ΔVVTはRAM33の所定領
域に格納され、本ルーチンの今回の実行は終了する。本
ルーチンの実行により、RAM33の所定領域には、常
に最新の可変バルブタイミング装置作動速度ΔVVTの
値が格納されるようになる。
【0102】図21は上記可変バルブタイミング装置作
動速度ΔVVTの値に応じた判定値NK1 の設定ルーチ
ンを示すフローチャートである。図21のルーチンで
は、RAM33に格納された最新の可変バルブタイミン
グ装置作動速度ΔVVTを読み出し(ステップ210
1)、このΔVVTの値を用いて図22から判定値NK
1 の値を設定するとともに(ステップ2103)、設定
した判定値NK1 の値をRAM33に格納して(ステッ
プ2105)ルーチンを終了する。
【0103】図22は、可変バルブタイミング装置作動
速度ΔVVTと判定値NK1 との関係を示す図である。
図22に示すように、判定値NK1 の値は可変バルブタ
イミング装置作動速度ΔVVTが小さいほど小さな値に
設定される。このため、図21のルーチンで設定した判
定値NK1 の値を用いて図3、図4のルーチンを実行す
ることにより、可変バルブタイミング装置の作動速度が
遅くなるほど点火時期遅角によるノッキング抑制が優先
して実行されることになり、機関運転状態に応じた適切
なノッキング抑制が行われる。 (6)機関回転数に応じた判定値NK1 の設定。
【0104】図23、図24は機関回転数に応じて判定
値NK1 の値を設定する実施例を示している。機関回転
数が高い場合には、それにつれて単位時間当たりに生じ
るノッキングの回数も増大する。このため、機関回転数
が高いほど応答性の高いノッキング抑制方法を使用する
必要がある。本実施例では、機関回転数が高いほど判定
値NK1 の値を小さく設定して、応答性の高い点火時期
遅角によるノック抑制を優先的に実行するようにしてい
る。
【0105】図23のルーチンでは、RAM33から機
関回転数NEを読み込み(ステップ2301)、機関回
転数NEから図24の関係に基づいて判定値NK1 の値
を設定する(ステップ2303)。また、設定した判定
値NK1 の値はRAM33に格納される(ステップ23
05)。図24に示すように、判定値NK1 の値は機関
回転数NEが高くなるほど小さな値に設定される。これ
により、図3のルーチンでは、機関回転数が高くノッキ
ング抑制操作に高い応答性が必要とされる状態であるほ
ど点火時期遅角によるノッキング抑制が優先的に行われ
るようになり、機関運転状態に応じた適切なノッキング
抑制が行われる。 (7)機関空燃比に応じた判定値NK1 の設定。
【0106】図25は機関運転空燃比に応じて判定値N
1 の値を設定する実施例を示している。運転空燃比が
変化すると、それにつれて燃焼室内の混合気燃焼速度が
変化するためノッキングの発生条件が変化する。例え
ば、高負荷運転時などで機関への燃料供給量が増量さ
れ、機関空燃比がリッチ空燃比(例えば12.5程度の
空燃比)になっている状態と、通常運転時の空燃比(例
えば14.5程度の空燃比)になっている状態とを比較
すると燃料増量時の空燃比の方が燃焼速度が高く、ノッ
キングが生じにくい状態になっている。また、燃料増量
時には排気温度が通常より高くなる傾向があるため、ノ
ッキング抑制のために点火時期遅角を行うと更に排気温
度が上昇することになり好ましくない。そこで本実施例
では、機関への燃料増量が実行されている場合には通常
運転時より判定値NK1 の値を大きく設定して、排気温
度の上昇が生じないバルブタイミング遅角によるノッキ
ング抑制が優先的に実行されるようにしている。
【0107】図25は本実施例の判定値NK1 設定ルー
チンを示すフローチャートである。図25のルーチンで
は、ステップ2501で燃料増量フラグFOTPの値が
1に設定されているか否かに応じて判定値NK1 の値を
設定する。ここで、フラグFOTPは、別途ECU30
により実行される図示しないルーチンにより、機関に供
給される燃料が増量される場合に1に設定されるフラグ
である。
【0108】ステップ2501でフラグFOTPの値が
1に設定されていた場合には、すなわち現在燃料増量が
実行されている場合にはステップ2503で判定値NK
1 の値は一定値Aに設定される。また、ステップ250
1でFOTP≠1であった場合、すなわち現在燃料増量
が実行されていない場合(通常の運転の場合)には、ス
テップ2505で判定値NK1 の値は別の一定値Bに設
定される。また、ステップ2507では上記により設定
された判定値NK1 の値がRAM33に格納される。こ
こで、ステップ2503で設定される判定値NK1 の値
Aはステップ2505の判定値NK1 の値Bより大きな
値とされている。このため、燃料増量が実行された場合
には、バルブタイミング遅角によるノッキング抑制が優
先的に実行されるようになり、排気温度の上昇が防止さ
れる。 (8)大気圧に応じた判定値NK1 の設定。
【0109】図26、図27は大気圧に応じて判定値N
1 の値を設定する実施例を示している。例えば、高地
走行等のように機関が大気圧が低い状態で運転される
と、機関の吸気充填効率が低下するため圧縮行程におけ
る混合気の圧縮圧力が低下する。このため、大気圧が低
い場合にはノッキングが生じにくくなる。従って、大気
圧が高い程(高地になるほど)バルブタイミング遅角に
よりノッキングを抑制することができる範囲が広くな
る。本実施例では、大気圧が低いほど判定値NK1の値
を大きく設定して、排気温度上昇や燃費の悪化がないバ
ルブタイミング遅角によるノッキング抑制を優先的に実
行するようにしている。
【0110】図26のルーチンでは、大気圧センサ44
で検出した大気圧Paの値をRAM33から読み込み
(ステップ2601)、大気圧Paから図27の関係に
基づいて判定値NK1 の値を設定する(ステップ260
3)。また、設定した判定値NK1 の値はRAM33に
格納される(ステップ2605)。図27に示すよう
に、判定値NK1 の値は大気圧が低くなるほど(すなわ
ち高地になるほど)大きな値に設定される。これによ
り、図3のルーチンでは、大気圧が低くノッキングが生
じにくい状態であるほどバルブタイミング遅角によるノ
ッキング抑制が優先的に行われるようになり、機関運転
状態に応じた適切なノッキング抑制が実行される。 (9)デポジット堆積量に応じた判定値NK1 の設定。
【0111】機関燃焼室には、使用とともにカーボン等
のデポジットが堆積する。堆積したデポジットの表面は
比較的粗いため、燃焼室内にデポジットが堆積するとデ
ポジット堆積部分には燃焼後の既燃ガスが残留し易くな
る。このため、デポジット堆積部では燃焼が生じにくく
なるためノッキングが生じやすくなる。すなわち、燃焼
室内のデポジット堆積量が増大するほどノッキングが発
生しやすくなる。本実施例では、燃焼室内のデポジット
堆積量を推定し、デポジット堆積量が多いほど判定値N
1 の値を小さく設定することにより、デポジット堆積
によりノッキングが生じやすくなるほど点火時期遅角に
よるノッキング抑制が優先的に実行されるようにして機
関運転状態に応じたノッキング抑制を行っている。
【0112】本実施例では、別途実行される図示しない
ルーチンにより設定される燃料噴射量のデポジット学習
補正量KDPCの値に基づいて判定値NK1 の値を設定
する。デポジット学習補正量KDPCは、吸気ポート壁
面に堆積したデポジットの量に応じて吸気ポート壁面に
付着、保持される燃料量が変化することを補正するため
の補正量である。すなわち、吸気ポート壁面のデポジッ
ト堆積量が増大すると吸気ポートに噴射された燃料のう
ち吸気ポート壁面に付着する燃料量が増大するため、例
えば加速時等に燃料噴射量が増量された場合でも、増量
された燃料の一部が吸気ポート壁面付着燃料量の増大に
消費され、燃焼室に到達しなくなる。このため、吸気ポ
ート壁面へのデポジット堆積量が増大すると機関加速時
に空燃比がリーンになる問題が生じる。そこで、本実施
例では、ECU30は別途実行される図示しないルーチ
ンにより、運転中機関加速時に空燃比がリーンになる度
合いに基づいてデポジット学習補正量KDPCを更新し
ECU30のバックアップRAM37に格納している。
ECU30は、このKDPCの値が大きくなるほど加速
時の燃料増量を増加させ、加速時に空燃比がリーン空燃
比になることを防止している。すなわち、デポジット学
習補正量KDPCは吸気ポート壁面に堆積したデポジッ
トの量に応じた値に設定されている。
【0113】一方、燃焼室壁面へのデポジット堆積量は
吸気ポート壁面へのデポジット堆積量に比例して増大す
ると考えられる。そこで、本実施例では、デポジット学
習補正量KDPCの値を燃焼室壁面へのデポジット堆積
量を表すパラメータとして使用し、KDPCの値に応じ
て判定値NK1 を設定するようにしている。図28は、
上記デポジット堆積量に応じた判定値NK1 の設定ルー
チンを示すフローチャートである。
【0114】図28のルーチンでは、バックアップRA
M37の所定領域に格納されたデポジット学習補正量K
DPCを読み込み(ステップ2801)、KDPCの値
を用いて図29の関係に基づいて判定値NK1 の値を設
定する(ステップ2803)。また、設定した判定値N
1 の値はRAM33に格納される(ステップ280
5)。図28に示すように、判定値NK1 の値はデポジ
ット堆積量が大きくなるほど(すなわちデポジット学習
補正量KDPCの値が大きくなるほど)小さな値に設定
される。これにより、図3のルーチンでは、デポジット
堆積量が大きくノッキングが生じやすい状態であるほど
応答性の高い点火時期遅角によるノッキング抑制が優先
的に行われるようになり、機関運転状態に応じた適切な
ノッキング抑制が実行される。 (10)使用ギヤに応じた判定値NK1 の設定。
【0115】図30、図31は車両の変速比に応じて判
定値NK1 の値を設定する実施例を示している。例え
ば、変速比の大きい低速段のギヤを使用して走行してい
る場合には、機関回転数が比較的高く、かつ走行速度が
低い車両運転状態である。このような場合には、変速比
の小さい高速段ギヤでの走行時に較べて排気系の機器
(例えば触媒等)に当たる走行風が小さくなり排気系の
温度が高速ギヤ走行時に較べて上昇しやすくなってい
る。ところが、ノッキング抑制のために点火時期を遅角
すると排気温度が上昇するため、変速比の大きい低速段
のギヤを使用した走行時に点火時期遅角によるノッキン
グ抑制を実施すると排気温度の上昇により排気系の機器
が過熱してしまう場合が生じる。本実施例では、シフト
ポジションセンサ47で検出した走行ギヤが低速段であ
るほど(ギヤ変速比が大きいほど)判定値NK1 の値を
大きく設定して、排気温度の上昇が生じないバルブタイ
ミング遅角によるノッキング抑制を優先的に実行するよ
うにしている。
【0116】図30のルーチンでは、シフトポジション
センサ47で検出した、走行ギヤを表すパラメータSP
の値からをRAM33から読み込み(ステップ300
1)、走行ギヤSPから図31の関係に基づいて判定値
NK1 の値を設定する(ステップ3003)。また、設
定した判定値NK1 の値はRAM33に格納される(ス
テップ3005)。図31に示すように、判定値NK1
の値は走行ギヤが低速であるほど(変速比が大きいほ
ど)大きな値に設定される。これにより、図3のルーチ
ンでは、走行ギヤがの変速比が大きく、排気系の温度上
昇が生じやすい状態であるほど排気温度の上昇が少ない
バルブタイミング遅角によるノッキング抑制が優先的に
行われるようになり、機関運転状態に応じた適切なノッ
キング抑制が実行される。
【0117】以上、機関運転状態パラメータに応じて判
定値NK1 の値を設定する場合について説明したが、判
定値NK1 の値の設定は上述した機関運転状態パラメー
タ以外のパラメータに応じて設定することも可能であ
り、ノッキング発生に影響を与える他の機関運転状態パ
ラメータや、排気系の温度上昇に影響を与える他の機関
運転状態パラメータの値に応じて判定値NK1 の値を上
記の実施例と同様な方法で設定するようにしても良い。
【0118】次に、本発明の別の実施例について説明す
る。上述の実施例では、基本バルブタイミングtVTは
ノッキングの有無にかかわらず機関負荷と回転数とから
一律に設定されるため(例えば、図3ステップ30
5)、現在のバルブタイミングVTが基本バルブタイミ
ングより遅角側(tVT>VT)になっている状態で
は、ノッキングが発生していてもバルブタイミングが現
在のバルブタイミングから進角されてしまう場合が生じ
る場合がある。すなわち、何らかの原因で機関負荷、回
転数から設定される基本バルブタイミングtVTと現在
の実際のバルブタイミングVTとの間に差が生じてお
り、しかも基本バルブタイミングtVTの方が現在のバ
ルブタイミングVTより進角側に設定されていると、例
えばノッキング強度が判定値NK1 より大きく、点火時
期遅角によるノッキング抑制が行われている場合には、
実際のバルブタイミングVTは基本バルブタイミングt
VTになるように進角されてしまう場合が生じ、逆にノ
ッキングが発生しやすくなってしまう場合が生じる可能
性がある。そこで、本実施例ではノッキング発生時には
機関バルブタイミングを進角することを禁止することに
より上記問題を解決している。
【0119】図32は、上記バルブタイミング進角禁止
を行うノッキング制御ルーチンの一部を示すフローチャ
ートである。図32のルーチンは、図3、図4のルーチ
ンのステップ309、311をステップ3201、32
03、3205で置き換えたものに相当し、図示してい
ない部分は図3のルーチンと同一である。図32のルー
チンでは、図3のルーチンと同様基本点火時期tABS
Eと基本バルブタイミングtVTを算出後(図3ステッ
プ303、305)、ノッキングが発生しているか否か
を判断し(ステップ307)、ノッキングが発生してい
る場合にはステップ3201で、ステップ305で算出
した基本バルブタイミングtVTが実際のバルブタイミ
ングVTより進角側にあるか否かを判定する。また、進
角側にある場合(tVT≧VT)にはステップ3203
に進み、基本バルブタイミングの値を現在のバルブタイ
ミングVTに設定し直した(tVT←VT)後点火時期
遅角によるノッキング抑制(図3ステップ313以下)
を実行する。また、ステップ3201で進角側にない場
合(tVT<VT)にはステップ3205でノック強度
NKを判定値NK1 と比較し、NK<NK1 の場合には
バルブタイミング遅角(図3ステップ329以下)を、
NK≧NK1 の場合には点火時期遅角(図3ステップ3
13以下)を実行する。
【0120】すなわち、本実施例では図3、図4のルー
チンとは異なり、ステップ305で設定された基本点火
時期tVTが実際のバルブタイミングVTより進角側に
ある場合には、基本点火時期tVT自体を遅角側に設定
し直して実際のバルブタイミングVTと一致させた後で
点火時期遅角によるノッキング抑制を実行する。このた
め、バルブタイミング制御(図3ステップ321、32
3)が実行される際にはバルブタイミング制御目標値V
TCALが現在のバルブタイミングVTより進角側にな
ることがなくなり、点火時期遅角によるノッキング抑制
中にバルブタイミングが進角されることが防止される。
また、本実施例においても図3のルーチンと同様にノッ
ク強度に応じた適切なノッキング抑制が実行される。
【0121】次に、本発明の更に別の実施例について説
明する。図32の実施例では機関負荷、回転数から設定
される基本バルブタイミングtVTが実際のバルブタイ
ミングVTより進角側に設定された場合には、強制的に
基本バルブタイミングtVTの値を実際のバルブタイミ
ングVTに一致するように遅角して設定し直して一律に
バルブタイミングの進角を禁止していた。ところが、こ
のように一律にバルブタイミングの進角を禁止してしま
うと、例えば実際のバルブタイミングVTが機関負荷、
回転数に応じて設定された基本バルブタイミング(最適
バルブタイミング)tVTに対して大幅に遅角した状態
になっていた場合には、ノッキングが抑制されるまでは
最適バルブタイミングtVTに対して実際のバルブタイ
ミングが大幅に遅角したままの状態が継続することにな
る。一方、前述したように実際のバルブタイミングが最
適バルブタイミングに対して過度に遅角された状態で
は、機関出力低下やNOX の発生量が大きくなってしま
う問題がある。また、基本バルブタイミングと実際のバ
ルブタイミングとの差があまりに大きいと、ノッキング
が抑制された後に実際のバルブタイミングが基本バルブ
タイミングに調節されるまでに比較的長時間を要するこ
とになり、ノッキング抑制後に機関出力低下やNOX
の増大した状態が継続する時間が長くなってしまう問題
がある。そこで、本実施例では実際のバルブタイミング
VTが基本バルブタイミングtVTに対してステップ3
05で設定される最大許容遅角量VKNKMAX 以上に遅
角している場合には、tVTとの差がVKNKMAX にな
るまではバルブタイミングの進角を許可するようにして
いる。これにより、実際のバルブタイミングVTと最適
バルブタイミングtVTとの差が最大許容遅角量VKN
MAX を越えて過大になることが防止され、機関出力の
過度の低下やNOX 発生量の増大が長時間継続する事態
が防止される。
【0122】図33は上記制御を実行するルーチンを示
すフローチャートである。図33のルーチンは図32の
ルーチンのステップ3201と3203を、それぞれ3
301と3303とに置き換えたものに相当する。本ル
ーチンにおいても図示していない部分は図3、図4のル
ーチンと同一である。本実施例では、ステップ3301
で現在のバルブタイミングVTが、基本バルブタイミン
グtVT(図3ステップ3205)に対して最大許容遅
角量VKNK MAX 以上遅角した状態にあるか否かが判定
され、VKNKMAX 以上遅角していた場合(tVT−V
KNKMAX ≧VTの場合)には、ステップ3303で基
本バルブタイミングtVTの値を、最大許容遅角量VK
NKMAX だけ遅角して設定し直した後(tVT←tVT
−VKNKMAX )、点火時期遅角によるノッキング抑制
を行う。また、基本バルブタイミングtVTに対する遅
角量がVKNKMAX より小さい場合(tVT−VKNK
MAX <VTの場合)には、図32のルーチンと同様ノッ
ク強度NKに応じてノッキング抑制の方法が選択され
る。
【0123】これにより、実際のバルブタイミングVT
が基本バルブタイミング(最適バルブタイミング)tV
Tに対して最大許容遅角量VKNKMAX 以上に遅角した
状態では、点火時期遅角によるノッキング抑制中にもバ
ルブタイミングVTが最大許容遅角量までは進角が許可
されることになる。このため、最適バルブタイミングt
VTに対する実際のバルブタイミングVTの遅角量は常
にVKNKMAX 以内に維持されることになり、ノッキン
グ抑制中に機関出力の過度の低下とNOX 発生量の増大
とが生じることが完全に防止される。
【0124】
【発明の効果】各請求項に記載の発明によれば、機関ノ
ッキングを抑制し、機関に損傷を生じることを確実に防
止できるとともに、機関出力低下や燃費の悪化、排気温
度の上昇、NOX 排出量の増大等の問題の発生を最小限
にとどめることが可能となるという共通の効果を奏す
る。
【0125】また、請求項2に記載の発明では、機関が
過渡運転状態にあるときには、優先的に点火時期遅角に
よるノッキング抑制を行うようにしたことにより、上記
共通の効果に加えて、バルブタイミング制御が不安定に
なることを防止できるという効果を奏する。請求項3に
記載の発明では、請求項1においてノック強度の判定値
を機関の運転状態に応じて変更するようにしたことによ
り、上記共通の効果に加えて機関運転状態に応じた適切
なノッキング抑制が実行されるという効果を奏する。
【0126】請求項4に記載の発明では、請求項3にお
いて、機関運転状態の過渡の程度に応じてノック強度の
判定値を変更するようにしたことにより、上記共通の効
果に加えて、機関運転状態の過渡の程度におうじた適切
なノッキング抑制が実施されるという効果を奏する。請
求項5に記載の発明では、請求項3においてノッキング
が発生しやすい運転状態であるほど点火時期遅角による
ノッキング抑制が優先的に実施されるようにしたことに
より、上記共通の効果に加えてノッキングが発生しやす
い運転状態では小さなノッキングが発生した段階で直ち
にノッキングが抑制されるため、上記共通の効果に加
え、更に効果的にノッキングを抑制可能となるという効
果を奏する。
【0127】請求項6に記載の発明では、ノッキング発
生時にバルブタイミングの進角を禁止するようにしたこ
とにより、上記共通の効果に加え、更に効果的にノッキ
ングを抑制することが可能となる効果を奏する。請求項
7に記載の発明では、車両走行速度に応じてノック強度
の判定値を偏向するようにしたことにより、上記共通の
効果に加えて、ノッキング発生時に機関排気系の過熱が
生じることを防止できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を自動車用内燃機関に適用した実施例の
主要部構成を示す図である。
【図2】図1の実施例の点火時期とバルブタイミングの
定義を示す図である。
【図3】本発明のノッキング制御ルーチンの一実施例を
説明するフローチャートの一部である。
【図4】本発明のノッキング制御ルーチンの一実施例を
説明するフローチャートの一部である。
【図5】図3、図4のルーチンに使用する数値テーブル
の形式を示す図である。
【図6】ノック強度と点火時期遅角量との関係を示す図
である。
【図7】ノック強度とバルブタイミング遅角量との関係
を示す図である。
【図8】本発明のノッキング制御ルーチンの一実施例を
説明するフローチャートの一部である。
【図9】本発明のノッキング制御ルーチンの一実施例を
説明するフローチャートの一部である。
【図10】図9のルーチンのノック強度判定値NK1
設定を説明するグラフである。
【図11】ノック強度判定値NK1 の設定ルーチンの一
実施例を説明するフローチャートである。
【図12】図11のルーチンのノック強度判定値NK1
の設定を説明するグラフである。
【図13】ノック強度判定値NK1 の設定ルーチンの別
の実施例を説明するフローチャートである。
【図14】図13のルーチンのノック強度判定値NK1
の設定を説明するグラフである。
【図15】ノック強度判定値NK1 の設定ルーチンの別
の実施例を説明するフローチャートである。
【図16】図15のルーチンのノック強度判定値NK1
の設定を説明するグラフである。
【図17】ノック強度判定値NK1 の設定ルーチンの別
の実施例を説明するフローチャートである。
【図18】図17のルーチンのノック強度判定値NK1
の設定を説明するグラフである。
【図19】可変バルブタイミング装置作動速度算出ルー
チンを説明するフローチャートである。
【図20】図19のルーチンに使用する定数の設定に用
いるグラフである。
【図21】ノック強度判定値NK1 の設定ルーチンの別
の実施例を説明するフローチャートである。
【図22】図22のルーチンのノック強度判定値NK1
の設定を説明するグラフである。
【図23】ノック強度判定値NK1 の設定ルーチンの別
の実施例を説明するフローチャートである。
【図24】図23のルーチンのノック強度判定値NK1
の設定を説明するグラフである。
【図25】ノック強度判定値NK1 の設定ルーチンの別
の実施例を説明するフローチャートである。
【図26】ノック強度判定値NK1 の設定ルーチンの別
の実施例を説明するフローチャートである。
【図27】図26のルーチンのノック強度判定値NK1
の設定を説明するグラフである。
【図28】ノック強度判定値NK1 の設定ルーチンの別
の実施例を説明するフローチャートである。
【図29】図28のルーチンのノック強度判定値NK1
の設定を説明するグラフである。
【図30】ノック強度判定値NK1 の設定ルーチンの別
の実施例を説明するフローチャートである。
【図31】図30のルーチンのノック強度判定値NK1
の設定を説明するグラフである。
【図32】本発明のノッキング制御ルーチンの別の実施
例を説明するフローチャートの一部である。
【図33】本発明のノッキング制御ルーチンの別の実施
例を説明するフローチャートの一部である。
【符号の説明】
1…カムシャフト 10…可変バルブタイミング装置 30…ECU 49…点火回路 50…ノックセンサ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI F02D 43/00 301 F02D 43/00 301Z F02P 5/152 F02P 5/15 D 5/153 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F02D 45/00 345 F02D 45/00 368 F02D 13/02 F02D 43/00 301 F02P 5/152 F02P 5/153

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内燃機関に生じるノッキングの強度を検
    出するノック強度検出手段と、 作動時にノック強度に応じて機関点火時期を遅角させる
    点火時期遅角手段と、 作動時にノック強度に応じて機関吸気弁の開閉時期を遅
    角させるバルブタイミング遅角手段と、 前記ノック強度検出手段により機関ノッキングが検出さ
    れたときに、前記ノック強度が所定の判定値より小さい
    ときに前記点火時期遅角手段に優先して前記バルブタイ
    ミング遅角手段を作動させ、前記判定値以上であるとき
    に前記バルブタイミング遅角手段に優先して点火時期遅
    角手段を作動させるノック制御手段と、 を備えた内燃機関のノッキング制御装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のノッキング制御装置に
    おいて、 さらに、機関の運転状態が過渡状態にあるか否かを判定
    する判定手段を備え、 前記ノック制御手段は、機関運転状態が過渡状態にある
    と判定されたときに前記ノック強度にかかわらず、前記
    バルブタイミング遅角手段に優先して前記点火時期遅角
    手段を作動させる内燃機関のノッキング制御装置。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載のノッキング制御装置に
    おいて、 さらに、機関運転状態を検出する運転状態検出手段と、 検出された機関運転状態に応じて前記ノック強度の判定
    値を変更する判定値設定手段と、を備えた内燃機関のノ
    ッキング制御装置。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載のノッキング制御装置に
    おいて、 前記運転状態検出手段は、機関の運転状態の過渡の程度
    を検出する過渡状態検出手段を備え、 前記判定値設定手段は、検出された過渡の程度が大きい
    ほど前記ノック強度の判定値を小さく設定する内燃機関
    のノッキング制御装置。
  5. 【請求項5】 請求項3に記載のノッキング制御装置に
    おいて、 前記運転状態検出手段は、機関のノッキング発生に関与
    する運転状態パラメータを検出するパラメータ検出手段
    を備え、 前記判定値設定手段は、前記パラメータの値がノッキン
    グが発生しやすい状態の値であるほど前記ノック強度の
    判定値を小さく設定する内燃機関のノッキング制御装
    置。
  6. 【請求項6】 請求項1に記載のノッキング制御装置に
    おいて、 さらに、運転条件に応じて、機関吸気弁の開閉時期の目
    標値を設定するバルブタイミング設定手段と、 前記設定された目標値に機関吸気弁の開閉時期を制御す
    るバルブタイミング制御手段と、 前記ノック強度検出手段により機関ノッキングが検出さ
    れたときに、前記バルブタイミング制御手段による機関
    吸気弁の開閉時期進角操作を禁止する禁止手段と、 を備えた内燃機関のノッキング制御装置。
  7. 【請求項7】 変速機を有する自動車用内燃機関のノッ
    キング制御装置であって、 機関に生じるノッキングの強度を検出するノック強度検
    出手段と、 作動時にノック強度に応じて機関点火時期を遅角させる
    点火時期遅角手段と、 作動時にノック強度に応じて機関吸気弁の開閉時期を遅
    角させるバルブタイミング遅角手段と、 前記ノック強度検出手段により機関ノッキングが検出さ
    れたときに、前記ノック強度が所定の判定値より小さい
    ときに前記点火時期遅角手段に優先して前記バルブタイ
    ミング遅角手段を作動させ、前記判定値以上であるとき
    に前記バルブタイミング遅角手段に優先して点火時期遅
    角手段を作動させるノック制御手段と、 前記変速機の変速比を検出する変速比検出手段と、 検出された変速比が大きいほど前記ノック強度の判定値
    を大きく設定する判定値設定手段と、 を備えた内燃機関のノッキング制御装置。
JP14213095A 1995-06-08 1995-06-08 内燃機関のノッキング制御装置 Expired - Fee Related JP3301273B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP14213095A JP3301273B2 (ja) 1995-06-08 1995-06-08 内燃機関のノッキング制御装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP14213095A JP3301273B2 (ja) 1995-06-08 1995-06-08 内燃機関のノッキング制御装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH08338295A JPH08338295A (ja) 1996-12-24
JP3301273B2 true JP3301273B2 (ja) 2002-07-15

Family

ID=15308078

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP14213095A Expired - Fee Related JP3301273B2 (ja) 1995-06-08 1995-06-08 内燃機関のノッキング制御装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3301273B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1840357A2 (en) * 2006-03-31 2007-10-03 Mazda Motor Corporation Spark-ignition gasoline engine

Families Citing this family (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3979081B2 (ja) 2001-01-16 2007-09-19 日産自動車株式会社 内燃機関の燃焼制御システム
JP3994783B2 (ja) * 2002-04-19 2007-10-24 日産自動車株式会社 内燃機関の制御装置
US6761153B1 (en) * 2003-02-26 2004-07-13 Ford Global Technologies, Llc Engine air amount prediction based on a change in speed
JP4789756B2 (ja) * 2006-09-12 2011-10-12 トヨタ自動車株式会社 内燃機関の制御装置
US7748355B2 (en) * 2006-09-15 2010-07-06 Ford Global Technologies, Llc Approach for facilitating engine mode transitions
KR101305734B1 (ko) * 2007-08-14 2013-09-06 현대자동차주식회사 주변 실린더 상태를 이용한 엔진의 노크 제어 방법
JP5169934B2 (ja) * 2009-03-24 2013-03-27 トヨタ自動車株式会社 内燃機関の制御装置
JP2012193628A (ja) * 2011-03-15 2012-10-11 Diamond Electric Mfg Co Ltd 内燃機関の燃焼制御装置
JP5675539B2 (ja) * 2011-09-13 2015-02-25 株式会社日本自動車部品総合研究所 内燃機関の制御装置

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1840357A2 (en) * 2006-03-31 2007-10-03 Mazda Motor Corporation Spark-ignition gasoline engine
EP1840357A3 (en) * 2006-03-31 2014-07-09 Mazda Motor Corporation Spark-ignition gasoline engine

Also Published As

Publication number Publication date
JPH08338295A (ja) 1996-12-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100342840B1 (ko) 내연기관의 밸브타이밍 제어장치
JPH07253032A (ja) 内燃機関のバルブタイミング制御装置
JP3085181B2 (ja) 内燃機関の点火時期制御装置
JP3301273B2 (ja) 内燃機関のノッキング制御装置
JP3925391B2 (ja) 内燃機関のノッキング制御装置
JP3663788B2 (ja) 内燃機関のバルブタイミング制御装置
EP1828576B1 (en) Valve characteristic control apparatus for internal combustion engine
JP3292707B2 (ja) 内燃機関のバルブタイミング制御装置
JP3454082B2 (ja) 内燃機関の燃料噴射制御装置
JPH10331670A (ja) 内燃機関のバルブ特性制御装置
JP2001234801A (ja) 内燃機関のノッキング制御装置
JP2910380B2 (ja) エンジンの制御装置
JP5029059B2 (ja) 内燃機関の制御システム
JP3312542B2 (ja) 可変バルブタイミング内燃機関
JP2002257020A (ja) 内燃機関の点火時期制御装置
JPH08338272A (ja) バルブタイミング制御装置
JP3175243B2 (ja) 内燃機関のバルブタイミング制御装置
JP3075126B2 (ja) 内燃機関のバルブタイミング制御装置
JP3726445B2 (ja) 内燃機関の制御装置
JPH06257477A (ja) 内燃機関のバルブタイミング制御装置
JP3265711B2 (ja) 内燃機関のバルブタイミング制御装置
JPS59173559A (ja) エンジンの点火時期制御方法
JPH05104978A (ja) 内燃機関のバルブタイミング制御装置
JP5067205B2 (ja) 内燃機関の制御装置
JPH0768921B2 (ja) 内燃機関のバルブタイミング制御装置

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090426

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090426

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100426

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100426

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110426

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120426

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120426

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130426

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140426

Year of fee payment: 12

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees