JPH10195041A - メチルメルカプタンの触媒合成の生成物気体混合物の分離法 - Google Patents

メチルメルカプタンの触媒合成の生成物気体混合物の分離法

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JPH10195041A JP9356622A JP35662297A JPH10195041A JP H10195041 A JPH10195041 A JP H10195041A JP 9356622 A JP9356622 A JP 9356622A JP 35662297 A JP35662297 A JP 35662297A JP H10195041 A JPH10195041 A JP H10195041A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 メチルメルカプタンの触媒合成の生成物気体
混合物の分離法を提供する。 【解決手段】 前記方法は、生成物気体流の分離、メチ
ルメルカプタンおよびジメチルスルフィドの吸収、洗浄
気体流の分配、硫化水素の吸収、洗浄メタノールおよび
凝縮物の蒸留、粗製生成物の分離の工程からなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、100〜150℃
の温度および6〜12バールの圧力で生じる、硫化水素
およびメタノールからメチルメルカプタンを触媒合成す
ることにより得られる生成物気体混合物を分離する方法
に関する。合成の生成物気体混合物は、所望のメチルメ
ルカプタンのほかに、反応の際に生じる水および副生成
物としてジメチルスルフィド、ジメチルエーテルおよび
少量のポリスルフィド、および未反応のメタノール、過
剰の硫化水素および反応の枠内で不活性の気体、窒素、
二酸化炭素、一酸化炭素および水素を含有する。生成物
気体混合物のその成分への分離は、メチルメルカプタン
およびジメチルスルフィドを取得するために、水および
不活性気体部分を放出するために、および合成反応器に
消費されないメタノールおよび硫化水素を返送するため
に用いられる。
【0002】メチルメルカプタンはメチオニンを合成す
るためのおよびジメチルスルホキシドおよびジメチルス
ルホンを製造するための工業的に重要な中間生成物であ
る。メチルメルカプタンは現在は大部分がメタノールお
よび硫化水素から酸化アルミニウムからなる触媒に接触
した反応により製造される。メチルメルカプタンの合成
は一般に気相中で300〜500℃の温度および1〜2
5バールの圧力で実施する。触媒の活性および選択性を
高めるために、触媒に一般に助触媒としてタングステン
酸カリウムを加える。硫化水素およびメタノールからメ
チルメルカプタンを生じる反応は発熱工程であり、反応
するメタノール1キロモル当たり28.500kJが生
じる。
【0003】メチルメルカプタン製造の全工程は2つの
工程に分けることができる。第一の工程には出発物質気
体混合物の調製およびメチルメルカプタンを生じる反応
が含まれる。第二の工程にはメチルメルカプタンを取得
し、使用されなかったメタノールおよび硫化水素を返送
するための生成物気体混合物の分離、および排水および
排ガスの除去が含まれる。本発明は、前記製造工程の第
二の工程における改良に関する。
【0004】
【従来の技術】ドイツ特許第1768826号明細書に
は、生成物気体混合物を最高で11バールの圧力および
10〜140℃の温度で蒸留することによる、メチルメ
ルカプタン合成からの生成物気体混合物の分離法が記載
されている。この蒸留の気体状の相は主に硫化水素、不
活性気体、ジメチルスルフィドおよびメチルメルカプタ
ンからなる。メチルメルカプタンおよびジメチルスルフ
ィドはメタノールの向流で気体状の相から除去する。残
留する硫化水素および不活性気体を循環気体として合成
反応器に返送する。メチルメルカプタンおよびジメチル
スルフィドを有する洗浄メタノールをほぼ硫化水素不含
の蒸留溜り物と共に再び蒸留により後処理し、同様に製
造工程に返送する。
【0005】この方法により得られるメチルメルカプタ
ンは少量の不純物としてなお硫化水素最高で0.015
重量%およびメタノール最高で0.15重量%を含有す
る。
【0006】不活性気体は一部分不純物として硫化水素
の新製気体と共に製造工程に運ばれる。合成反応器中の
メタノールの分解により付加的に不活性気体が形成され
る。反応中の不活性気体の蓄積を回避するために、ドイ
ツ特許第1768826号明細書により、硫化水素循環
気体の一部を放出し、燃焼する。この場合に製造工程か
ら価値の高い硫化水素気体が失われる。燃焼の際に形成
される二酸化硫黄は現在の煙道ガス基準を満足するため
に煙道ガスから除去しなければならない。
【0007】メチルメルカプタンの合成の際に形成され
る水は、生成物気体混合物から分離後、共沸混合物メチ
ルメルカプタン/メタノールおよびジメチルスルフィド
/メタノールを分離するために使用する。水は最終的に
反応から連続的に放出しなければならない。その際重要
な問題は、悪臭の負荷および環境の破壊を回避するため
に、排水からメチルメルカプタン、ジメチルスルフィド
およびポリスルフィドを可能な限り完全に除去すること
である。
【0008】フランス特許第2477538号明細書に
より、反応器から放出する生成物気体混合物は、大部分
の気体混合物を凝縮するために、2つの凝縮段階を通
る。有機相および水相に分離するための相分離容器中で
7バールの圧力および30℃の温度で凝縮物を集める。
凝縮されない硫化水素の多い気体をメタノールで洗浄
し、引き続き燃焼するために工程から放出する。洗浄液
を同様に相分離容器に集める。相分離容器から有機相お
よび水相を別々に蒸留カラム中で更に処理する。
【0009】技術水準から公知の方法の問題は、生成物
気体混合物の個々の物質流への分離が不十分な分離度を
有して実施されることである。これは、例えば硫化水素
循環気体と共にメチルメルカプタンが再び合成反応器に
返送され、燃焼するために放出される不活性気体がなお
高い割合の硫化水素、メチルメルカプタンおよびメタノ
ールを含有するという結果を生じる。工程から放出すべ
き水は、更に処理せずに放出できるほど十分な純度を有
しない。この不十分な物質流の分離は、大部分の物質流
が循環に供給されなければならないので、一般に高いエ
ネルギコストを生じる。更に価値の高い反応物質(硫化
水素、メタノール)の燃焼によりおよびこれにより必要
になる煙道ガスの後処理により経費が高くなる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の課題
は、生成物気体混合物の個々の物質流への改良された分
離により優れている、メチルメルカプタン合成からの生
成物気体混合物を分離する方法を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】前記課題は、100〜1
50℃の温度および6〜12バールの圧力で生じる、硫
化水素およびメタノールからメチルメルカプタンを触媒
合成することにより得られる生成物気体混合物を、メチ
ルメルカプタン、ジメチルスルフィド、ポリスルフィ
ド、水、メタノール、硫化水素および不活性気体の成分
に分離する方法により解決され、該方法は、 a)二段階の部分凝縮により、生成物気体流を、メタノ
ールおよび水を含有する水性凝縮物に、硫化水素、メチ
ルメルカプタンおよびジメチルスルフィドを含有する有
機凝縮物に、および硫化水素およびメチルメルカプタン
を含有する残留気体流に分離し、その際水性凝縮物を5
5℃〜65℃の温度で、および有機凝縮物を15〜30
℃の温度で凝縮し、 b)メタノールを用いた第一の洗浄で残留気体流からメ
チルメルカプタンおよびジメチルスルフィドを吸収し、
洗浄した硫化水素の多い気体流を循環気体流および放出
気体流に5:1〜20:1の容積比で分配し、 c)メタノールを用いた第二の洗浄で放出気体流から硫
化水素を吸収し、工程から浄化した放出流を除去し、そ
の際第二の洗浄のために新鮮なメタノールを使用し、該
メタノールを硫化水素を吸収後、洗浄剤として第一の洗
浄のために使用し、 d)液体の粗製生成物として蒸留溜り物中に生じる生成
物気体混合物の残留成分から気体状頭部生成物として硫
化水素を分離するために、装填した洗浄メタノール、水
性凝縮物および有機凝縮物を蒸留し、分離した硫化水素
気体を循環気体流または残留気体流に供給し、かつ e)粗製生成物を更に蒸留することにより、メチルメル
カプタン、ジメチルスルフィド、ジメチルエーテル、ポ
リスルフィド、メタノールおよび水の成分に分離する工
程からなることを特徴とする。
【0012】メチルメルカプタン合成の生成物気体混合
物は340〜360℃の範囲の温度および6〜12バー
ルの圧力で反応器を離れる。生成物気体混合物を個々の
成分に分離するために、まず約100〜150℃の温度
に冷却する。これは、例えばドイツ特許第176882
6号明細書に記載された硫化水素を有する熱交換器中で
行うことができる。ほかの可能性は、生成物気体混合物
の熱容量をメタノールを蒸発するために利用することで
ある(同日出願のドイツ特許出願番号DE196545
15.3号を参照)。
【0013】冷却を実施後、生成物気体混合物を成分に
分離し、メチルメルカプタンを取得するために、本発明
の方法により更に処理する。
【0014】まず生成物気体流を、二段階の部分凝縮に
より、水性凝縮物および有機凝縮物および残留気体流に
分配する。水性凝縮物は主にメタノールおよび水からな
る。有機凝縮物の主成分は硫化水素、メチルメルカプタ
ンおよびジメチルスルフィドであり、一方残留気体流は
主成分として硫化水素およびメチルメルカプタンを含有
する。水性凝縮物は55〜65℃の範囲の温度で生成物
気体流から分離する。有機凝縮物は15〜30℃の温度
間隔で得られる。
【0015】冷却水と水性凝縮物の凝縮温度とのかなり
大きい温度差により、水およびメタノールの凝縮熱をか
なり小さい熱交換器面積でおよび少量の冷却水を用いて
生成物気体流から除去することができる。
【0016】メチルメルカプタンおよびジメチルスルフ
ィドを吸収するために、水性凝縮物および有機凝縮物を
凝縮後、残留する残留気体流をメタノールで洗浄する。
残留気体流はこの第一のメタノール洗浄後に90容量%
より多い硫化水素を含有する。残りの容量部分は主に不
活性気体、二酸化炭素、一酸化炭素、水および窒素から
なる。洗浄した残留気体流の実際の組成は主に使用され
る硫化水素新製気体の純度に依存し、該気体は第一の工
程のメチルメルカプタン製造の全工程に供給される。メ
チルメルカプタンを生じる触媒反応の際のメタノール分
解からの不活性気体部分は反応の際の反応パラメータに
よりわずかに影響されることがある。
【0017】メチルメルカプタン製造の全工程中の不活
性気体の収集を回避するために、不活性気体を連続的に
工程から放出しなければならない。このために洗浄した
残留気体流を循環気体流と放出気体流に容積比5:1〜
20:1で分配する。容積比5:1は高い不活性気体含
量を有する硫化水素新製気体の場合に使用する。高純度
の硫化水素新製気体の場合は容積比を20:1に高める
ことができる。
【0018】循環気体流を第一の工程に返送する。本発
明により、メタノールを用いた第二の洗浄により放出流
から硫化水素を分離する。洗浄後、浄化した放出流は
0.1容量%より少ない硫化水素を含有し、直接排ガス
燃焼に供給することができる。その際生じる煙道ガスは
現在適用される煙道ガス基準を遵守して直接大気に放出
することができる。
【0019】この事実から本発明の方法は技術水準から
公知の方法と実質的に異なる。フランス特許第2477
538号明細書により放出気体流は70容量%より多い
硫化水素を含有する。同様にドイツ特許第176882
6号明細書にもとづく工程からの放出流も大部分が硫化
水素からなる。これにより、技術水準にもとづく方法は
価値の高い原料を失う。更に放出流の高い硫化水素含量
は、場合による燃焼の際に煙道ガスから二酸化硫黄を除
去する手段を必要とする。
【0020】本発明の方法の特にすぐれた点は、2つの
メタノール洗浄を同じメタノールで実施するという事実
である。新鮮な洗浄メタノールをまず放出流の洗浄に使
用する。その際洗浄メタノールは硫化水素を吸収する。
硫化水素を有する洗浄メタノールを、引き続き残留気体
流の洗浄に使用し、その際残留気体流に含まれるメチル
メルカプタンおよびジメチルスルフィドを吸収する。洗
浄メタノールに硫化水素を予め装填することはメチルメ
ルカプタンの吸収能力に不利な作用を有しないことが示
された。
【0021】有利には放出気体流もしくは残留気体流か
らの硫化水素およびメチルメルカプタンの吸収を等温で
20〜30℃の範囲の温度で実施する。この目的のため
に、吸収熱を相当する冷却により洗剤流から除去しなけ
ればならない。
【0022】連続して行われる硫化水素およびメチルメ
ルカプタンの等温吸収は洗浄メタノールのかなりの節約
を生じ、完全に硫化水素を含まない放出流を生じる。ド
イツ特許第1768826号明細書においてメチルメル
カプタン1kg当たりメタノール2.5kgが洗浄に必
要であるのに対して、本発明の方法ではこの1/3の量
で十分である。
【0023】洗浄メタノールおよび部分凝縮の2つの凝
縮物は多くの量の硫化水素を含有する(洗浄メタノー
ル:H2S15〜20重量%、水性凝縮物: H2S 1〜
2重量%、有機凝縮物: H2S約20重量%)。硫化水
素を分離するために、3つの物質流を一緒に蒸留し、そ
の際硫化水素を気体状頭部生成物として生成物気体混合
物の残りの成分から分離する。分離した硫化水素を循環
気体流に供給する。気体状頭部生成物は、硫化水素のほ
かに、なおかなりの量のメチルメルカプタンを含有して
もよい。これは第一の工程に返送される循環気体が3容
量%までのメチルメルカプタンからなることを生じる。
気体状の頭部生成物を直接循環気体流に供給せず、残留
気体流と一緒にすでに記載された第一のメタノール洗浄
に供給する場合に、このメチルメルカプタン含量を1容
量%未満に減少することができる。
【0024】硫化水素分離の液体の溜り生成物もしくは
粗製生成物を、メチルメルカプタンを収得するために、
更に蒸留することによりメチルメルカプタン、ジメチル
スルフィド、ジメチルエーテル、ポリスルフィド、メタ
ノールおよび水の成分に分離する。
【0025】有利には粗製生成物からまずメチルメルカ
プタンを分離し、および副生成物、ジメチルスルフィド
およびジメチルエーテルをメタノールおよび水から分離
する。粗製生成物中に存在するメチルメルカプタン/メ
タノールおよびジメチルスルフィド/メタノールからな
る共沸混合物のために、抽出蒸留を使用し、共沸混合物
を分離し、その際抽出剤として水を使用する。この場合
に頭部生成物としてメチルメルカプタンおよびジメチル
スルフィドが生じる。メタノールおよび水は蒸留残留物
を形成する。抽出水により、メタノールが共沸により頭
部生成物にならないことが達成される。更に頭部生成物
を凝縮するための付加的な還流が必要でないことが判明
した。前記生成物は、むしろ中間凝縮せず、直接メチル
メルカプタンの引き続く単離に供給することができる。
抽出蒸留の際の還流として抽出水を使用する。
【0026】メチルメルカプタンを単離するために、抽
出蒸留の頭部生成物を更に蒸留することによりメチルメ
ルカプタンおよび水を含有する頭部凝縮物に、および主
にジメチルスルフィドからなる底部生成物に分離するこ
とができる。頭部凝縮物を液−液相分離により高純度メ
チルメルカプタンおよび水に分離する。
【0027】抽出蒸留からの蒸留残留物はほぼ同じ割合
のメタノールおよび水を含有する。更に蒸留残留物はな
お少ない割合の低沸点物(メチルメルカプタン、ジメチ
ルエーテル)およびジメチルスルフィドおよびポリスル
フィドを含有する。メタノールを再び収得し、全反応に
返送するために、蒸留残留物を再び蒸留することができ
る。その際メタノールが頭部に凝縮し、洗浄メタノール
としてメチルメルカプタン合成に再び使用する。底部生
成物として水およびポリスルフィドが生じる。
【0028】有利にはこの反応水の一部(底部生成物の
約2/3)を抽出水として抽出蒸留に再び使用する。反
応の際に形成される反応水に相当する残りの1/3を反
応から放出する。反応中のポリスルフィドの蓄積を回避
し、放出水の悪臭の負荷を減少するために、反応水から
ポリスルフィドを蒸気と共に追い出し、排ガス燃焼に供
給する。
【0029】本発明の方法による生成物気体混合物の分
離は種々の成分の凝縮のために必要な冷却効率を制限す
るために、1〜10バールの圧力で実施する。前記工程
a)〜d)を含む第一の工程において6〜10バール、
有利には8バールに圧力を保って作動する。抽出蒸留に
よる硫化水素分離および引き続くメチルメルカプタンお
よびジメチルスルフィドへの分離からの粗製生成物の更
なる分離は4〜8バール、有利には6バールの圧力で実
施する。最終的に、メタノールおよび反応水の分離は、
有利には1バールの標準圧で実施する。
【0030】
【実施例】本発明の方法を2つの図面により詳細に説明
する。
【0031】図1はメチルメルカプタン製造の第一工程
のフローシートであり、図2はメチルメルカプタン製造
の第二工程のフローシートである。
【0032】図1はメチルメルカプタン製造の第一工程
のフローシートを示す。これは同日出願のドイツ特許出
願番号DE19654515.3号に記載の図1の工程
図に相当する。反応器5中で、硫化水素およびメタノー
ルからなる出発物質気体混合物25を、硫化水素とメタ
ノールのモル比1.8で、酸化アルミニウム触媒に接し
て、作動圧10バールおよび反応温度360℃で反応さ
せ、メチルメルカプタンおよび副生成物(ジメチルスル
フィド、ジメチルエーテル、ポリスルフィド)を生じ
る。触媒に、その活性および選択性を高めるために、ド
イツ特許第19639584号明細書の例2によりタン
グステン酸セシウム25重量%が付加されている。
【0033】生成物気体混合物26を130℃に冷却
後、生成物流27としてメチルメルカプタン製造の第二
の工程に移送する。熱い生成物気体混合物の熱容量を、
触媒反応に必要なメタノールの一部を蒸発するために、
熱交換器6中で利用する。
【0034】反応に必要な硫化水素の新製気体20を、
二段スクリュー圧縮機1を用いて中間圧6バールを介し
て、最終圧11バールまで圧縮する。この例では99重
量%より多い硫化水素を含有する高純度硫化水素を使用
する。圧縮機の第一段階で温度を制限するために、緩衝
剤容器2から液体のメタノールを注入する。第一段階の
圧縮熱によりメタノールの一部を蒸発する。蒸発しない
部分を緩衝剤容器2を介して循環させる。蒸発したメタ
ノールの代わりに緩衝剤容器3からのメタノール流21
を使用する。第一の圧縮段階の後に、硫化水素/メタノ
ール気体混合物に、第二の工程から返送される硫化水素
循環気体22を混合する。圧縮した気体混合物23に、
硫化水素/メタノールのモル比を調節するために、メタ
ノール蒸気24を供給する。こうして得られた出発物質
気体混合物25を、ガスヒーター4中でほぼ170℃に
加熱し、次いで10バールの圧力で反応器に導入し、こ
こで熱交換器により触媒床に遊離する反応熱を用いて反
応温度に加熱する。
【0035】反応の際に消費されるメタノールの代わり
に、緩衝剤容器3に供給される新鮮なメタノール29を
使用し、該容器に第二の工程から返送されるメタノール
も注入する。緩衝剤容器3からメタノール流31を触媒
反応のために、およびメタノール流30を洗浄メタノー
ルとして第二の工程のために取り出す。
【0036】従って、本発明の対象である第二の工程
は、物質流22(硫化水素循環気体)、27(生成物気
体混合物)、28(分離した洗浄メタノール)および3
0(新鮮な洗浄メタノール)を介して第一の工程と結合
している。
【0037】第一の工程を離れた生成物気体混合物27
は本発明の例においては以下の特徴を有する。
【0038】 メチルメルカプタン 39 重量% ジメチルスルフィド 1.6重量% ジメチルエーテル 2.7重量% 不活性気体 (H2、CO、CO2、N2) 2.5重量% 水 15 重量% 硫化水素 34 重量% メタノール 5 重量% 温度 130℃ 圧力 8バール 本発明の方法の具体的な構成を図2のフローシートによ
り説明する。
【0039】前記特徴を有する生成物気体混合物は2.
7t/tMM(MM=メチルメルカプタン)の物質流と
して生じ、二段階の部分凝縮器7に供給する。
【0040】第一の凝縮段階で大部分の高沸点成分、す
なわち水およびメタノールを60℃の温度で水性凝縮物
33として凝縮する。冷却のために標準温度調節した還
流冷却水を使用することができる。第二段階で、メチル
メルカプタンほぼ75重量%を含有する有機凝縮物34
を25℃で凝縮する。このために約5℃の冷却水を用い
て冷却しなければならない。ここで考慮される物質流に
おいては約180kW/tMMの冷却効率が必要であ
る。
【0041】凝縮されない残留気体流35は、主成分と
して硫化水素のほかに、なお凝縮の前に生成物気体流2
7中に含まれるメチルメルカプタン量約30%を含有す
る。メチルメルカプタンは残留気体流から多段階でメタ
ノールで洗浄することにより吸収する。これはメチルメ
ルカプタン吸収装置8(MM吸収装置)中で行われる。
かなりの凝縮熱および吸収熱のために、吸収を等温で、
有利には25℃の温度で実施できるために、カラムに沿
って熱交換器が配置されている。放出されるべき吸収熱
は48kW/tMMである。この方法でメチルメルカプ
タンを1容量%未満の量に取り除くことができる。冷却
媒体として5℃の温度を有する水を使用することができ
る。
【0042】メチルメルカプタンを吸収するために、残
留気体流を下からMM吸収装置8に供給し、洗浄液に対
して向流で上に流動する。吸収装置カラムの頭部に洗浄
液としてメタノールを15℃の温度を有して供給する。
【0043】吸収装置カラムを離れる残留気体流は約6
バールの圧力下に存在し、主成分として硫化水素のほか
に不活性気体((H2、CO、CO2、N2))10容量
%を有する。この残留気体流を循環気体流22と放出気
体流36に容積比7:1で配分する。循環気体流を第一
の工程に供給し、第二の圧縮段階の前に6バールの圧力
で硫化水素の新製気体に供給する。第一の工程に不活性
気体が蓄積することを回避するために、放出気体の分岐
が必要である。本発明の方法において、硫化水素の新製
気体とともに供給され、合成反応器中にメタノール分解
により形成される不活性気体の量を連続的に放出する場
合に、容積比7:1が保証される。
【0044】硫化水素の損失を回避するために、放出流
を硫化水素吸収装置カラム(H2S吸収装置)9中で新
たにメタノールで洗浄する。有利にはこの洗浄を等温で
25℃の温度で実施する。このために放出流をH2S吸
収装置9に下から導入し、洗浄液に対して向流で上に向
かって流動する。等温吸収を実施するために、H2S吸
収装置カラムに、約18kW/tMMの吸収熱を放出す
る冷却装置を装備する。H2S吸収装置を離れる浄化さ
れた放出流37はほとんど完全に硫化水素を含まず
(0.1容量%未満)、燃焼に導入することができる。
【0045】MM吸収装置中の第一のメタノール洗浄お
よびH2S吸収装置中の第二のメタノール洗浄のために
同じメタノール流を使用する。このためにメタノール
を、H2S吸収装置の頭部に供給する前に、緩衝剤容器
3から(第1図参照)物質流30として取り出し、冷却
器中で15℃に冷却する。H2S吸収装置中で硫化水素
を吸収した後に、洗浄メタノールは硫化水素約15重量
%を有する。15℃に再び冷却した後に洗浄メタノール
を、残留気体流からメチルメルカプタンを吸収するため
に、MM吸収装置の頭部に供給する。MM吸収装置中で
洗浄メタノールはメチルメルカプタン約30重量%を装
填している。硫化水素の予めの装填はメチルメルカプタ
ンの吸収に不利に作用しない。
【0046】部分凝縮器からの2つの凝縮物流33およ
び34および洗浄メタノール38は多くの量の溶解した
硫化水素(水性凝縮物33:約1重量%、有機凝縮物3
4:約20重量%、洗浄メタノール38:約19重量
%)を含有する。これらの物質流から硫化水素を除去す
るために、10個の理論的棚段を有する蒸留分離カラム
10を使用する。有機凝縮物および洗浄メタノールを一
緒にカラムの頭部に供給し、一方高沸点水性凝縮物を蒸
留分離カラムのほぼ半分の高さに導入する。8バールの
圧力で蒸留を実施する。この圧力において底部の沸騰温
度は約85℃である。
【0047】硫化水素は気体流39として頭部を介して
蒸留分離カラムを離れ、循環気体流22に供給する。気
体流39は硫化水素のほかになお低沸点成分メチルメル
カプタン、ジメチルエーテルおよびジメチルスルフィド
の部分を含有する。分離度を改良するために、蒸留分離
カラムの頭部に部分凝縮器を組み込むことができ、該凝
縮器は気体流39のメチルメルカプタン含量を選択され
た凝縮温度25℃で10容量%未満に制限する。
【0048】選択的に循環気体流22に供給するため
に、気体流39を残留気体流35と一緒にMM吸収装置
8に供給することができる(破線で示された結合を参
照)。これにより循環気体流のメチルメルカプタン含量
が減少する。気体流39を循環気体流に直接供給する場
合は、循環気体流はメチルメルカプタン約3容量%未満
を含有する。気体流39がMM吸収装置8を貫流する場
合は、循環気体流のメチルメルカプタン含量を1容量%
未満に低下することができる。
【0049】蒸留分離カラムの蒸留底部にいわゆる粗製
生成物が生じる。これは例えば以下の組成を有する。
【0050】 メチルメルカプタン: 43 重量%、 ジメチルスルフィド: 2 重量%、 ジメチルエーテル: 2 重量%、 メタノール: 34.7重量%、 水 18 重量%、 高級硫化物: 0.5重量%未満 約60℃に冷却した後に生成物を緩衝剤容器11に集め
る。ここから生成物を相当する温度水準で予備分離カラ
ム12に供給し、ここでメチルメルカプタンおよびジメ
チルスルフィドを含有する物質流に、およびメタノール
および水を含有する物質流に分離する。予備分離カラム
中で、粗製生成物中に存在する共沸混合物を分離するた
めに、抽出蒸留法を使用する。抽出剤として水を使用
し、水を予備分離カラムの頭部に供給する。予備分離カ
ラム中で作動圧6バールである。予備分離カラムの頭部
生成物は以下の成分を含有する。
【0051】 メチルメルカプタン: 約93 重量%、 ジメチルスルフィド: 約4.5重量%、 ジメチルエーテル: 約1.5重量%、 水: 約1 重量%、 メタノール: 微量 有利には生成物を中間凝縮せずに物質流42としてほか
の蒸留、いわゆる精製カラム13に供給する。蒸気状の
物質流42を精製カラムのほぼ中心に供給し、該カラム
は同様に作動圧6バールで作動する。精製カラム中でメ
チルメルカプタンおよびジメチルスルフィドの分離を実
施する。メチルメルカプタンは頭部生成物として生じ、
組み込まれた凝縮器中で、最初に沸騰温度で還流を形成
し、引き続き過冷却により生成物の取り出しを生じるこ
とにより、凝縮する。精製カラム13の頭部で放出され
る頭部凝縮物は更に20℃に冷却した後に水分離機14
中でメチルメルカプタンおよび水に分離する。圧力の変
動を補正するために、精製カラムに不活性気体48、有
利には窒素を6バールの圧力で覆う。
【0052】水分離機14からメチルメルカプタンを物
質流45として高純度で取り出す。これは以下の組成を
有する。
【0053】 メチルメルカプタン: 約98 重量%、 ジメチルスルフィド: 0.1 重量%、 ジメチルエーテル: 1.5 重量%、 水: 0.37重量%、 メタノール: 0.03重量% 硫化水素: 微量 分離した水を物質流47として予備分離カラム12に供
給する。
【0054】精製カラム13の底部生成物として生じる
ジメチルスルフィドは同様に高い純度を有し、商品化す
ることができる。物質流46(ジメチルスルフィド)は
物質流45(メチルメルカプタン)の約2重量%であ
る。
【0055】予備分離カラムの蒸留残渣は以下の組成を
有する。
【0056】 メタノール: 約43 重量%、 水: 約54.5重量%、 硫化物含有副生成物: 約1 重量%、 ジメチルエーテル: 約1 重量% メタノール部分は洗浄メタノール(物質流30)(約8
5重量%)および触媒合成の際に完全に反応しなかった
メタノールから構成される。水部分は抽出水(物質流4
1)および合成の際に生じる反応水に由来する。硫化物
含有副生成物、主としてジメチルスルフィドは同様に合
成の際に形成される。
【0057】価値の高いメタノールを回収するために、
予備分離カラム12からの蒸留残渣を、6バールから1
バールに放圧後、物質流43としてメタノール/水分離
カラム15に供給する。カラムの頭部でメタノールを取
り出す。反応水は底部生成物として生じ、わずかの量の
ポリスルフィドを含有する。
【0058】このメタノール/水分離カラム15中で頭
部生成物中の水濃度および底部生成物中のメタノール濃
度をそれぞれ0.2重量%に制限することができる。
【0059】カラムの頭部から放出されるメタノールを
物質流49もしくは28として緩衝剤容器3(図1参
照)に返送し、これにより洗浄メタノールおよび合成メ
タノールとして再び使用する。これはジメチルスルフィ
ド最高で0.5重量%を含有する。
【0060】メタノール/水分離カラムの底部生成物と
して生じる反応水は、合成の際に形成される反応水に相
当する部分を連続的に反応工程から放出しなければなら
ない。反応水の量のほぼ2/3に相当するほかの部分は
抽出水41として予備分離カラム12に供給する。一方
では抽出水中のポリスルフィドの蓄積を回避し、他方で
は放出される反応水の悪臭の負荷を回避するために、反
応水を蒸留分離カラム16の頭部に供給する。カラムの
底部で蒸気が生じ、向流で反応水に供給する。ポリスル
フィドのヘテロ共沸特性により、ポリスルフィドを水蒸
気と一緒に取り出す。ポリスルフィドを完全に取り出す
ために、蒸気量として反応水の約5%のみが必要であ
る。蒸留分離カラム16のポリスルフィドが蓄積した頭
部流は直接燃焼することができる。
【0061】底部生成物として蒸留分離カラム16を離
れる反応水はほとんど悪臭がない。
【図面の簡単な説明】
【図1】メチルメルカプタン製造の第一工程のフローシ
ートである。
【図2】メチルメルカプタン製造の第二工程のフローシ
ートである。
【符号の説明】
1 スクリュー圧縮機、 2 緩衝剤容器、 3 緩衝
剤容器、 5 反応器、 6 熱交換器、 7 部分凝
縮器、 8 メチルメルカプタン吸収装置、9 硫化水
素吸収装置、 10 蒸留分離カラム、 11 緩衝剤
容器、 12 予備分離カラム、 13 精製カラム、
14 水分離機、 15 メタノール/水分離カラ
ム、 16 蒸留分離カラム、 20 新製気体、 2
1 メタノール流、 22 硫化水素循環気体流、 2
3 圧縮した気体流、 24メタノール蒸気、 25
出発物質気体混合物、 26、27 生成物気体混合
物、 28、29、30、31 メタノール流、 33
水性凝縮物、 34有機凝縮物、 35 残留気体
流、 36 放出気体流、 39 気体流、 38 メ
タノール流、 41 抽出水
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 シュテファン ラウテンベルク ドイツ連邦共和国 ハーナウ グリューナ ウシュトラーセ 17 (72)発明者 イェルク ザウアー ドイツ連邦共和国 ローデンバッハ ズュ ートリング 64 (72)発明者 ディートリッヒ アルンツ アメリカ合衆国 アラバマ モービル ナ ンバー 322 レノックス ゲイツ ヒル クレスト ロード 1500 (72)発明者 ラルフ ゲーデッケ ドイツ連邦共和国 ローデンバッハ ウル メンシュトラーセ 18 (72)発明者 ヴォルフガング タウクナー ドイツ連邦共和国 アルテンシュタット リメスシュトラーセ 2アー (72)発明者 ライムント ゾンネンシャイン ドイツ連邦共和国 アルツェナウ シュヴ ェーデンシュトラーセ 5

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 100〜150℃の温度および6〜12
    バールの圧力で生じる、硫化水素およびメタノールから
    メチルメルカプタンを触媒合成することにより得られる
    生成物気体混合物を、メチルメルカプタン、ジメチルス
    ルフィド、ポリスルフィド、水、メタノール、硫化水素
    および不活性気体の成分に分離する方法において、 a)二段階の部分凝縮により、生成物気体流を、メタノ
    ールおよび水を含有する水性凝縮物に、硫化水素、メチ
    ルメルカプタンおよびジメチルスルフィドを含有する有
    機凝縮物に、および硫化水素およびメチルメルカプタン
    を含有する残留気体流に分離し、その際水性凝縮物を5
    5℃〜65℃の温度で、および有機凝縮物を15〜30
    ℃の温度で凝縮し、 b)メタノールを用いた第一の洗浄で残留気体流からメ
    チルメルカプタンおよびジメチルスルフィドを吸収し、
    洗浄した硫化水素の多い気体流を循環気体流および放出
    気体流に5:1〜20:1の容積比で分配し、 c)メタノールを用いた第二の洗浄で放出気体流から硫
    化水素を吸収し、工程から浄化した放出流を除去し、そ
    の際第二の洗浄のために新鮮なメタノールを使用し、該
    メタノールを、硫化水素を吸収した後に、洗浄剤として
    工程(b)の第一の洗浄のために使用し、 d)液体の粗製生成物として蒸留溜り物中に生じる生成
    物気体混合物の残留成分から気体状頭部生成物として硫
    化水素を分離するために、装填した洗浄メタノール、水
    性凝縮物および有機凝縮物を蒸留し、かつ分離した硫化
    水素気体を循環気体流または残留気体流に供給し、かつ e)粗製生成物を更に蒸留することにより、メチルメル
    カプタン、ジメチルスルフィド、ジメチルエーテル、ポ
    リスルフィド、メタノールおよび水の成分に分離する工
    程からなることを特徴とする、メチルメルカプタンの触
    媒合成の生成物気体混合物の分離法。
  2. 【請求項2】 等温で20〜30℃の範囲の温度でメタ
    ノールを用いて洗浄することにより硫化水素およびメチ
    ルメルカプタンの吸収を実施する請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 共沸混合物、メチルメルカプタン/メタ
    ノールおよびジメチルスルフィド/メタノールを含有す
    る粗製生成物を、抽出蒸留によりメチルメルカプタンお
    よびジメチルスルフィドを含有する物質流に、およびメ
    タノールおよび水を含有する物質流に分離し、その際抽
    出剤として水を使用し、頭部生成物としてメチルメルカ
    プタンおよびジメチルスルフィドおよび蒸留残留物とし
    てメタノールおよび水を生じる請求項1記載の方法。
  4. 【請求項4】 メチルメルカプタンおよびジメチルスル
    フィドを含有する物質流を蒸留によりメチルメルカプタ
    ンおよび水を含有する頭部凝縮物およびジメチルスルフ
    ィドを含有する溜り生成物に分離し、頭部凝縮物を液−
    液相分離により高い純度のメチルメルカプタンおよび水
    に分離する請求項3記載の方法。
  5. 【請求項5】 メタノールおよび水を含有する蒸留残留
    物を更なる蒸留に供給し、その際頭部でメタノールを凝
    縮し、洗浄メタノールとして使用するためにおよびメチ
    ルメルカプタン合成のために返送し、なお少量のポリス
    ルフィドを含有する水を溜り生成物として生じる請求項
    3または4記載の方法。
  6. 【請求項6】 分離した水中に含有されるポリスルフィ
    ドを蒸気により放出し、排ガス燃焼に供給する請求項5
    記載の方法。
  7. 【請求項7】 ポリスルフィドを浄化した水を、合成工
    程で形成される反応水に相当する部分を、工程から放出
    し、残りの部分を抽出水として抽出蒸留に供給する請求
    項6記載の方法。
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