JP2003192627A - メタクロレインの製造方法 - Google Patents
メタクロレインの製造方法Info
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Abstract
連続的に製造しながら、同時に、農薬や医薬品等の貴重
な出発原料となり得る高品質のメタクロレイン液を製造
できるメタクロレインの製造方法を提供する。 【解決手段】 本発明は、イソブチレンおよび/または
tert-ブチルアルコールを気相接触酸化する工程、反応
ガスをメタクリル酸および酢酸含有水相と接触させてメ
タクリル酸と水を凝縮させる工程、メタクリル酸と水を
除去した後に残るガスをメタクリル酸および酢酸含有水
相(吸収水)と接触させて吸収水にメタクロレインを吸
収させる工程、メタクロレインを吸収させた吸収水を蒸
留塔に送り、メタクロレインと水を含有する蒸気を塔頂
から留出させてメタクロレインを得る工程、メタクロレ
インを吸収させた後に残るガスを酢酸含有水相と接触さ
せて酢酸含有水相にメタクリル酸を吸収させる工程を含
むものである。
Description
製造方法、より詳しくは、イソブチレンおよび/または
tert-ブチルアルコールの接触気相酸化反応によるメタ
クリル酸の製造方法において、工業上有利にメタクロレ
インを回収し、酸化反応系に循環して再利用するととも
に、液状のメタクロレインの品質を制御しながら取得
し、誘導体の原料としても活用することのできるメタク
ロレインの製造方法に関する。
コール、または、それらの混合物を第1段酸化工程にて
分子状酸素含有ガスと接触酸化し、その反応生成ガスを
第2段酸化工程に供給し、再び分子状酸素含有ガスと接
触酸化してメタクリル酸を得るメタクリル酸の製造方法
に関して数々の工業用触媒の開発が行われている。しか
し、開発されている工業用触媒の性能は必ずしも十分で
はなく、これらの工業用触媒を長期間、効率的に使用し
てメタクリル酸を製造するために様々なプロセスが提案
されている。
使うために、第1段酸化反応においてはその転化率を9
0〜97%程度に抑えて運転し、第2段酸化反応におい
てはその転化率を50〜80%程度に抑えて運転する。
その結果、第1段酸化反応では未反応のイソブチレンや
tert-ブチルアルコールが、第2段酸化反応では未反応
のメタクロレインが発生するので、通常、これらを効率
的に利用するために、それぞれの未反応物質を含むガス
を循環して再利用することや、未反応物質を回収するこ
とが行われている。
クリル酸の製造方法としては、例えば、特公平6−84
326号公報や特開昭56−108735号公報に開示
されているように、以下のようなものがある。
チレン等を接触気相酸化し、メタクロレイン並びに少量
のメタクリル酸をガス状で得る。そして、得られた反応
生成ガスをそのまま第2段酸化反応工程に供給し、接触
酸化してメタクリル酸を含むガスを得る。次いで、この
ガスをメタクリル酸凝縮塔に送り、そこで水等と接触さ
せてメタクリル酸水溶液を得る。そして、メタクリル酸
凝縮塔から出てくる未反応のメタクロレインを含むガス
をメタクロレイン吸収塔に送り、そこでさらに水等と接
触させ、メタクロレインを吸収させて回収する。得られ
たメタクロレイン水溶液は、メタクロレイン放散塔にて
第2酸化工程供給ガスと接触させて気化し、第2段酸化
反応工程に原料ガスとして供給する。
医薬品等の貴重な出発原料として重要なものとなってい
る。しかしながら、農薬や医薬品等の出発原料として品
質や純度を要求される場合、従来のメタクロレインを放
散塔にて気化させるプロセスでは、新しい工程を追加す
ることなく効果的にメタクロレインを取得することが困
難である。
の費用は大きな割合を占めており、その削減のためには
触媒の寿命の延長が効果的である。しかしながら、上記
のような第1段酸化反応後のガスを第2段酸化反応に直
接供給するようなプロセスでは、第2段酸化反応触媒の
性能悪化を防ぐためには第1段酸化反応での転化率を高
く保つ必要があり、第1段酸化反応を触媒の劣化に結び
つきやすい高い反応温度で運転しなければならない。こ
れは第1段酸化反応触媒の寿命の延長の点からはあまり
好ましくない。
化率で推移させることを考えて作られたプロセスでは、
両酸化反応の出ガス中の有用成分(メタクリル酸、メタ
クロレイン)の大部分を回収し、回収後の残余ガスを燃
焼反応器に導いてガス中の有用成分(イソブチレンや、
未回収のメタクロレイン、メタクリル酸等)を燃焼させ
た後に反応工程に循環し、反応器入口ガスの組成を制御
する方法を採っているものが多い。しかし、このような
プロセスでは、第1段酸化反応の未反応物であるガス状
のイソブチレンを回収、循環することができず、第1段
酸化反応の転化率を低くして運転することは工業上不利
になる。
利な条件でメタクリル酸水溶液を連続的に製造しなが
ら、同時に、農薬や医薬品等の貴重な出発原料となり得
る高品質のメタクロレイン液を製造できるメタクロレイ
ンの製造方法を提供することを目的とする。さらには、
第1段酸化反応の転化率を比較的広い範囲で管理して運
転することができ、触媒寿命の延長を可能とするメタク
ロレインの製造方法を提供することを目的とする。
の本発明により達成できる。 (1)原料のイソブチレンおよび/またはtert-ブチル
アルコールを分子状酸素含有ガスと接触酸化してメタク
ロレインおよびメタクリル酸を含む反応ガスを得る反応
工程(A)と、反応工程(A)で得られた反応ガスをメ
タクリル酸および酢酸含有水相と接触させ、反応ガス中
のメタクリル酸と水とを凝縮させてメタクリル酸水溶液
を得るメタクリル酸凝縮工程(B)と、メタクリル酸凝
縮工程(B)においてメタクリル酸と水とを凝縮により
除去した後に残るメタクロレインおよびメタクリル酸含
有ガスをメタクリル酸および酢酸含有水相と接触させ、
ガス中のメタクロレインをメタクリル酸および酢酸含有
水相に吸収させるメタクロレイン吸収工程(C)と、メ
タクロレイン吸収工程(C)においてメタクロレインを
吸収させたメタクリル酸および酢酸含有水相を蒸留塔に
送り、メタクロレインと水とを含有する蒸気を塔頂から
留出させ、蒸留塔の塔底からメタクリル酸、酢酸および
水を含有する缶出液を取出すことによりメタクロレイン
を分離してメタクロレインを得るメタクロレイン蒸留工
程(D)と、メタクロレイン吸収工程(C)においてメ
タクロレインを除去した後に残るメタクリル酸含有ガス
を酢酸含有水相と接触させ、ガス中のメタクリル酸を酢
酸含有水相に吸収させて回収するメタクリル酸回収工程
(E)とを含むメタクロレインの製造方法。 (2)メタクロレイン吸収工程(C)において用いるメ
タクリル酸および酢酸含有水相中のメタクリル酸濃度が
15質量%以上である前記(1)のメタクロレインの製
造方法。 (3)メタクリル酸凝縮工程(B)においてメタクリル
酸と水とを凝縮により除去した後に残るメタクロレイン
およびメタクリル酸含有ガス中のメタクリル酸濃度が
0.8容積%以上である前記(1)または(2)のメタ
クロレインの製造方法。 (4)メタクリル酸回収工程(E)において用いる酢酸
含有水相中の酢酸濃度が8質量%以上である前記(1)
〜(3)のいずれかのメタクロレインの製造方法。 (5)メタクロレイン吸収工程(C)において用いるメ
タクリル酸および酢酸含有水相が、メタクロレイン蒸留
工程(D)において蒸留塔の塔底から取出されるメタク
リル酸、酢酸および水を含有する缶出液である前記
(1)〜(4)のいずれかのメタクロレインの製造方
法。 (6)メタクリル酸凝縮工程(B)において用いるメタ
クリル酸および酢酸含有水相が、メタクリル酸回収工程
(E)においてメタクリル酸を吸収させた酢酸含有水相
である前記(1)〜(5)のいずれかのメタクロレイン
の製造方法。 (7)メタクロレイン回収工程(E)においてメタクリ
ル酸を回収した後に残るイソブチレン含有ガスの一部を
反応工程(A)に戻し、反応工程(A)において、イソ
ブチレン含有ガスの一部と原料のイソブチレンおよび/
またはtert-ブチルアルコールとを混合したガスを分子
状酸素含有ガスと接触酸化する前記(1)〜(6)のい
ずれかのメタクロレインの製造方法。 (8)メタクロレイン蒸留工程(D)において蒸留塔の
塔頂から蒸発させたメタクロレインと水とを含有する蒸
気を凝縮させ、この凝縮液をデカンターに送り、デカン
ターでメタクロレイン相と水相に分離する前記(1)〜
(7)のいずれかのメタクロレインの製造方法。 (9)デカンターでメタクロレイン相と分離させた水相
をメタクロレイン蒸留工程(D)に送るメタクロレイン
を吸収させたメタクリル酸および酢酸含有水相と混合
し、この混合溶液をメタクロレイン蒸留工程(D)に送
る前記(8)のメタクロレインの製造方法。 (10)前記デカンターの運転温度を下げることによ
り、メタクロレイン相中に含まれる水分濃度を制御する
ことが可能である前記(8)または(9)のメタクロレ
インの製造方法。
法は、上記のような反応工程(A)とメタクリル酸凝縮
工程(B)とメタクロレイン吸収工程(C)とメタクロ
レイン蒸留工程(D)とメタクリル酸回収工程(E)と
を含むものであり、工業的に有利な条件でメタクリル酸
水溶液を連続的に製造しながら、同時に、農薬や医薬品
等の貴重な出発原料となり得る高品質のメタクロレイン
液を製造できる。さらには、第1段酸化反応の転化率を
比較的広い範囲で管理して運転することができ、触媒寿
命の延長が可能となる。
いるメタクリル酸および酢酸含有水相中のメタクリル酸
濃度は、十分高いメタクロレイン吸収能力が得られるの
で、15質量%以上であることが好ましい。メタクロレ
イン吸収効率を向上させることにより、メタクロレイン
の排ガスへの漏洩を減らすことができる。また、メタク
ロレイン吸収工程(C)において用いるメタクリル酸お
よび酢酸含有水相中のメタクリル酸濃度をこの範囲に保
つために、メタクロレイン吸収工程(C)に導入するメ
タクロレインおよびメタクリル酸含有ガス(メタクリル
酸凝縮工程(B)においてメタクリル酸と水とを凝縮に
より除去した後に残るガス)中のメタクリル酸濃度は
0.8容積%以上であることが好ましい。
る酢酸含有水相中の酢酸濃度は、十分高いメタクリル酸
吸収能力が得られるので、8質量%以上であることが好
ましい。メタクリル酸回収工程(E)にメタクロレイン
吸収工程(C)からの出ガスを導き、実質的にメタクリ
ル酸を除去することで、メタクリル酸の排ガスへの漏洩
を減らすことができる。
いるメタクリル酸および酢酸含有水相には、メタクロレ
イン蒸留工程(D)において蒸留塔の塔底から取出され
るメタクリル酸、酢酸および水を含有する缶出液を用い
ることが好ましい。これにより、多量に必要であるメタ
クロレイン吸収工程(C)において用いるメタクリル酸
および酢酸含有水相を、排水を出すことなく、賄うこと
ができる。
るメタクリル酸および酢酸含有水相には、メタクリル酸
回収工程(E)においてメタクリル酸を吸収させた酢酸
含有水相を用いることが好ましい。これにより、メタク
リル酸を回収できる上、メタクリル酸凝縮工程(B)に
おいて用いるメタクリル酸および酢酸含有水相を、排水
を出すことなく、賄うことができる。
タクリル酸を回収した後に残るガスであるイソブチレン
含有ガスの一部を反応工程(A)に戻し、原料のイソブ
チレンおよび/またはtert-ブチルアルコールと混合
し、この混合ガスを分子状酸素含有ガスと接触酸化する
ことが好ましい。メタクロレイン回収工程(E)からの
実質的にメタクロレインとメタクリル酸とを除去したイ
ソブチレン含有ガスの一部を、燃焼することなく、直接
反応工程(A)へ送り、原料ガスに混合してリサイクル
することにより、反応工程(A)入口でのガス(原料ガ
ス)を第1段酸化触媒に最適な組成へ調整するととも
に、イソブチレンの利用率を下げることなく運転するこ
とができる。この方法は、特に反応工程(A)でのイソ
ブチレン転化率が低い運転条件において有効である。
では、通常、メタクロレイン蒸留工程(D)において蒸
留塔の塔頂から留出させたメタクロレインと水とを含有
する蒸気を凝縮させ、この凝縮液をデカンターに送り、
デカンターでメタクロレイン相と水相とに分離する。デ
カンター運転温度をメタクロレインと水とが分離する温
度以下にすれば、メタクロレイン相と水相とに良好に分
離することができる。
た水相はメタクロレイン蒸留工程(D)において蒸留塔
に送るメタクロレインを吸収させたメタクリル酸および
酢酸含有水相と混合し、この混合溶液を蒸留塔に送るこ
とが好ましい。デカンターでメタクロレイン相と分離さ
せた水相をメタクロレイン蒸留工程(D)の供給液に混
ぜて再度蒸留することにより、メタクロレインを少量含
む排水を出すことなく運転することができる。
により、メタクロレイン相中に含まれる水分濃度を制御
することが可能である。これにより、特に、農薬や医薬
品の原料として有用な高純度のメタクロレインを製造す
ることができる。
法の一例のフローシートを示す。なお、本発明は図1に
示すものに限定されるものではない。
/またはtert-ブチルアルコールと分子状酸素含有ガス
とを含む原料ガスを触媒の存在下で酸化反応させ、メタ
クロレインおよびメタクリル酸を含む反応ガス(反応工
程出ガス)を得る。原料ガスには、後述するメタクリル
酸回収工程(E)においてメタクリル酸を回収した後の
イソブチレンを含有するガス(メタクリル酸回収工程出
ガス)の一部を混合している。
アルコールの接触酸化反応は、公知の方法に従って行な
えばよい。
ソブチレンおよび/またはtert-ブチルアルコールを、
空気等の分子状酸素含有ガス、並びに、原料ガス中のイ
ソブチレン、tert-ブチルアルコール、酸素の濃度を調
整する目的で加えられる不活性ガス(窒素、二酸化炭素
等)と混合したものが用いられる。原料ガスには、その
他、水、少量の炭化水素等が含まれていてもよい。
は、経済性の点から空気を用いることが好ましいが、一
部純酸素を用いることも可能である。
公知のもの等を用いることができる。このような触媒と
しては、例えば、モリブデン−ビスマス−鉄系複合酸化
物触媒等が挙げられる。
tert-ブチルアルコールの濃度は広い範囲で変えること
ができるが、通常1〜20容量%であり、3〜10容量
%が好ましい。イソブチレンおよび/またはtert-ブチ
ルアルコールに対する酸素の使用量は、通常、0.5〜
20モル倍、特に2〜5モル倍程度が好ましい。
300℃以上が好ましく、触媒寿命の点で450℃以下
が好ましい。反応圧力は常圧ないし数気圧まで用いられ
る。
rt-ブチルアルコールの転化率は、イソブチレンの回収
とプロセスの経済性を考慮して、80%以上であること
が好ましく、特に90%以上が好ましい。また、イソブ
チレンおよび/またはtert-ブチルアルコールの転化率
は、触媒の寿命の延長を図る上で、99%以下が好まし
く、特に97%以下が好ましい。
ことを避け、かつ、触媒の性能を十分に発現させるため
に、メタクリル酸回収工程(E)からメタクリル酸を回
収した後に残るガス(メタクリル酸回収工程出ガス)を
循環させている。本発明では、メタクリル酸回収工程出
ガス中に少量含まれる有機物成分はあえて燃焼等の手段
により除去する必要はない。
程(A)で得られた反応工程出ガスをメタクリル酸およ
び酢酸含有水相と接触させ、反応工程出ガス中のメタク
リル酸と水とを凝縮させてメタクリル酸水溶液を得る。
図1では、メタクリル酸および酢酸含有水相は、後述す
るメタクリル酸回収工程(E)においてメタクリル酸を
吸収させた酢酸含有水相を用いている。メタクリル酸お
よび酢酸含有水相中のメタクリル酸濃度、酢酸濃度は、
特に限定されないが、以降の工程における抽出効率を考
慮すると高い方がよい。
工程(A)で得られた反応工程出ガスの温度を下げ、第
1段酸化反応の副生物であるメタクリル酸と水とを凝縮
させるものである。
クリル酸と水とを凝縮により除去した後に残るガス(メ
タクリル酸凝縮工程出ガス)は、主にメタクロレインを
含み、さらに、凝縮により除去されなかったメタクリル
酸を少量含むものである。このメタクロレインおよびメ
タクリル酸含有ガス(メタクリル酸凝縮工程出ガス)中
のメタクリル酸濃度は0.8容積%以上であることが好
ましい。
ル酸濃度を上記の範囲にするために、メタクリル酸凝縮
工程(B)の管理温度は、例えば圧力0.35kgf/
cm 2―Gの場合、50℃以上であることが好ましい。
メタクリル酸回収工程(E)においてメタクリル酸を吸
収させた酢酸含有水相を多量に循環し、効果的にメタク
リル酸と水とを凝縮させることが好ましい。
て、反応工程出ガスをメタクリル酸および酢酸含有水相
と接触させる方法には、例えば、スプレー塔、充填塔、
段塔等の吸収装置を使用する方法があり、その運転条件
は、反応工程出ガス中のメタクリル酸と水とを凝縮させ
てメタクリル酸水溶液を得ることができれば特に限定さ
れないが、メタクリル酸と水とを凝縮により除去した後
に残るメタクロレインおよびメタクリル酸含有ガス中の
メタクリル酸濃度が0.8容積%以上となるような運転
条件が好ましい。
クリル酸凝縮工程(B)においてメタクリル酸と水とを
凝縮により除去した後に残るメタクロレインおよびメタ
クリル酸含有ガス(メタクリル酸凝縮工程出ガス)をメ
タクリル酸および酢酸含有水相(吸収水)と接触させ、
メタクリル酸凝縮工程出ガス中のメタクロレインをメタ
クリル酸および酢酸含有水相に吸収させる。これによ
り、メタクリル酸凝縮工程出ガス中に含まれる反応工程
(A)で生成されたメタクロレインのほとんどが吸収水
に吸収される。図1では、メタクリル酸および酢酸含有
水相は、後述するメタクロレイン蒸留工程(D)におい
て蒸留塔の塔底から取出されるメタクリル酸、酢酸およ
び水を含有する缶出液を循環させて用いている。
いるメタクリル酸および酢酸含有水相(吸収水)中のメ
タクリル酸濃度は、十分高いメタクロレイン吸収性能が
得られるので、15質量%以上に保つことが好ましい。
さらに吸収水中のメタクリル酸濃度を高くすると、吸収
水の供給温度を比較的高くしても吸収性能の大幅な低下
が見られないため、使用用役を削減することができる。
例えば、塔頂圧力(吸収塔の塔頂圧力)0.3kgf/
cm2−Gにおいては5〜25℃(吸収水の温度)の範
囲で運転することができる。
濃度は、特に限定されない。
のトレイを用いた吸収塔や各種充填材を用いた吸収塔を
使用することができるが、各種充填材を用いた吸収塔を
使用することが好ましい。一般的に、各種充填材を用い
た吸収塔は、同程度の吸収性能を有する段数をもつトレ
イを用いた吸収塔に比べて圧力損失が低い。圧力損失が
低いと、反応工程(A)からメタクリル酸回収工程
(E)までを通して流れるガスの圧力損失を減らすこと
ができるので、メタクリル酸回収工程(E)においてメ
タクリル酸を回収した後に残るガス(メタクリル酸回収
工程出ガス)を昇圧して反応工程(A)に供給するため
に使用されるガス圧縮機の用役の低減に効果がある。
においてメタクロレインを吸収させたメタクリル酸およ
び酢酸含有水相(吸収液)は、後続のメタクロレイン蒸
留工程(D)に導かれる。一方、後述するメタクロレイ
ン蒸留工程(D)において蒸留塔の塔底から取出される
メタクリル酸および酢酸を含有する缶出液は、メタクロ
レイン吸収工程(C)に戻され、吸収水として利用され
る。このようにメタクロレイン吸収工程(C)とメタク
ロレイン蒸留工程(D)との間で吸収水を循環使用する
ことにより、排水を多量に出すことなく、多量に必要と
なる吸収水を賄うことができる。
ロレイン蒸留工程(D)で蒸留分離されるメタクロレイ
ン以外のメタクリル酸や水も吸収されるため、循環使用
される吸収水量は漸増する。このため、どちらかの工程
から漸増分を抜き出す必要があり、抜き出し先として
は、メタクリル酸凝縮工程(B)へ導く方法と、他の工
程へ導く方法とがあるが、これに関しては供給先の工程
液の更新の必要性の大小によって選択することができ
る。
メタクロレイン蒸留工程(D)へ供給される水相と、メ
タクロレイン蒸留工程(D)からメタクロレイン吸収工
程(C)へ供給される水相とはともに多量に循環させる
ので、それぞれの工程に最適の供給温度に調整するため
には、互いの熱を交換するような液液熱交換器を使用す
ることが使用用役の削減の点から好ましい。
いて、吸収塔の運転条件は、メタクリル酸凝縮工程出ガ
ス中のメタクロレインを吸収水に吸収させることができ
れば特に限定されず、適宜決めればよい。例えば、塔頂
圧力(吸収塔の塔頂圧力)0.3kgf/cm2−Gに
おいては5〜25℃(吸収水の温度)の範囲で運転する
ことができる。
クロレイン吸収工程(C)においてメタクロレインを吸
収させたメタクリル酸および酢酸含有水相(吸収液)を
蒸留塔に送り、メタクロレインと水とを含有する蒸気を
塔頂から留出させ、蒸留塔の塔底からメタクリル酸、酢
酸および水を含有する缶出液を取出すことによりメタク
ロレインを蒸留分離し、液状で精製メタクロレインを得
る。この精製メタクロレインは、通常、純度90質量%
以上である。
のトレイを用いた蒸留塔や各種充填材を用いた蒸留塔を
使用することができる。特に、供給段より下の部分は、
吸収水中のメタクリル酸濃度を上げたことによるメタク
ロレイン分離効率の低下が見られることがあるので、十
分な段数が必要になることがあり、蒸留塔差圧が許容範
囲内であることの必要性から、各種充填材を用いた蒸留
塔が好ましい。
共沸組成蒸気が留出し、蒸留塔の塔底からは実質的にメ
タクロレインが蒸留分離されたメタクリル酸と酢酸を含
む水相が缶出液として取出される。この缶出液は、メタ
クロレイン吸収工程(C)に戻され、メタクリル酸およ
び酢酸含有水相(吸収水)として用いられる。
量含まれている。缶出液中のメタクロレインは、循環使
用されるメタクロレイン吸収工程(C)の吸収性能に大
きく影響するため、低いほど好ましい。工業的には、1
50ppm以下になるように塔底温度を90〜110℃
の間で管理することが好ましい。
含有する蒸気は、塔頂温度によって組成が変化し、塔頂
温度が高くなると水が多くなる傾向がある。また、塔頂
温度が高くなると、塔頂から留出する蒸気中に少量含ま
れるメタクリル酸濃度が上がる傾向がある。
リル酸は、メタクロレイン蒸留工程(D)から得られる
メタクロレイン液中に含まれることになる。得られるメ
タクロレイン液を第2段酸化工程の原料とする場合、メ
タクロレイン中のメタクリル酸は第2段酸化工程で酸化
されてしまうことがあり、第1段、第2段の酸化工程の
総合収率を低下させることもある。そのため、メタクロ
レイン液中のメタクリル酸濃度、塔頂から留出する蒸気
中のメタクリル酸濃度はなるべく低くすることが好まし
い。工業的には、使用される用役負荷との関係から、メ
タクロレイン中のメタクリル酸濃度をコントロールする
ようにメタクロレイン液(後述のデカンターで水相と分
離されたメタクロレイン相)の蒸留塔塔頂への還流量を
制御することが好ましい。
から留出させる蒸気の組成を適当なものになるように適
宜決めればよい。
ンと水とを含有する蒸気は、コンデンサーに導かれ、凝
縮される。凝縮温度は、後続のデカンター運転温度に影
響するため、メタクロレインに含まれる水分をどのよう
に管理するかによって適宜選択される。凝縮温度は、通
常、デカンターへ導かれる凝縮液の液温度が4〜10℃
になるように選ばれることが好ましい。
の凝縮液は、デカンターに送られ、デカンターでメタク
ロレイン相と水相とに分離する。デカンター運転温度は
メタクロレインと水とが分離する温度以下で適宜決めれ
ばよい。また、原料のイソブチレンやtert-ブチルアル
コール中の不純物の一部はメタクロレインに含まれる水
分濃度に影響するため、デカンター運転温度はこれらの
影響も考慮することが必要である。デカンターでの滞在
時間は、所望の程度の分離が達成できる範囲で適宜決め
ればよい。
た水相は、デカンター運転温度での溶解度相当のメタク
ロレインやメタクリル酸を含む。そのため、デカンター
で分離された水相は、排水としてもよいが、環境面と総
合収率の向上の面から、メタクロレイン吸収工程(C)
とメタクロレイン蒸留工程(D)との間で循環される多
量の吸収水の中に含めて再度メタクロレイン蒸留工程
(D)で蒸留分離し、当該水相中のメタクロレインを回
収することが好ましい。特に、デカンターで分離された
水相は、メタクロレイン吸収工程(C)からメタクロレ
イン蒸留工程(D)へ送る吸収液(メタクロレインを吸
収させたメタクリル酸および酢酸含有水相)中に投入
し、蒸留塔に送って再度蒸留することが好ましい。その
他、メタクリル酸凝縮工程(B)で用いるメタクリル酸
および酢酸含有水相の更新の程度によっては、デカンタ
ーで分離された水相をメタクリル酸凝縮工程(B)で用
いるメタクリル酸および酢酸含有水相へ投入し、当該水
相中のメタクロレインを揮発させてメタクロレイン吸収
工程(C)へ供給することもできる。
ロレイン吸収工程(C)においてメタクロレインを除去
した後に残るガスであるメタクリル酸含有ガスを酢酸含
有水相(吸収水)と接触させ、ガス中のメタクリル酸を
酢酸含有水相に吸収させて回収し、実質的にメタクロレ
インとメタクリル酸を除去したガスを得る。
レイン吸収工程(C)で用いる吸収水(メタクリル酸お
よび酢酸含有水相)中のメタクリル酸濃度が好ましくは
15質量%以上と高いため、メタクロレイン吸収工程
(C)から出るガス(メタクリル酸含有ガス)中に含ま
れるメタクリル酸は比較的多く、これを回収し、総合収
率の低下を抑えることを目的として行なわれる。メタク
リル酸含有ガス中のメタクリル酸を回収せずにそのまま
反応工程(A)に送り、原料ガスとして用いた場合、メ
タクリル酸は反応工程(A)で再度酸化され、目的物で
あるメタクロレインやメタクリル酸以外のものに変化し
てしまうことがある。このため、収率の低下を防ぐため
にも、メタクリル酸回収工程(E)を行なうことが好ま
しい。
メタクロレイン吸収工程(C)と同様に通常のトレイを
用いた吸収塔や各種充填材を用いた吸収塔を使用するこ
とができるが、圧力損失を抑えるために各種充填材を用
いた吸収塔を使用することが好ましい。また、メタクリ
ル酸回収工程(E)は、メタクロレイン吸収工程(C)
と一体化した塔の上部に設けることも可能である。
る酢酸含有水相中の酢酸濃度は8質量%以上であること
が好ましい。また、この酢酸含有水相は、実質的にメタ
クリル酸を含まないものを用いることが好ましいが、排
水が削減できるので、メタクリル酸凝縮工程(B)で反
応工程出ガス中のメタクリル酸と水とを凝縮させて得ら
れたメタクリル酸水溶液からメタクリル酸を実質的に抽
出除去した水相を用いることも好ましい。
おいてメタクリル酸を吸収させた酢酸含有水相は、メタ
クリル酸凝縮工程(B)に送り、メタクリル酸および酢
酸含有水相として用いている。これにより、酢酸含有水
相に吸収させたメタクリル酸は、メタクリル酸水溶液と
して取出し、回収することができる。
は、低いほど好ましいが、工業的には好ましくは5〜2
0℃の間で適宜選択される。
て、メタクリル酸含有ガスを酢酸含有水相(吸収水)と
接触させる方法には、例えば、スプレー塔、充填塔、段
塔等の吸収装置を使用する方法があり、その運転条件
は、ガス中のメタクリル酸を酢酸含有水相に吸収させて
回収し、実質的にメタクロレインとメタクリル酸を除去
できれば特に限定されず、適宜決めればよい。
ら出る実質的にメタクリル酸とメタクロレインとを除去
したガス(メタクリル酸回収工程出ガス)は、一部はガ
ス圧縮機にて昇圧し、反応工程(A)へ供給され、反応
工程(A)において原料ガスに混合してこれを接触酸化
する。残りのメタクリル酸回収工程出ガスは、後続の工
程で燃焼されて無害化され、排出される。
ービンやモーターが使われるが、そのエネルギー源とし
て反応工程(A)で発生する酸化熱を有効に利用するこ
とが好ましい。
体的に説明する。
たがってメタクロレインを製造した。
ソブチレンの回収のために循環ガス圧縮機230によっ
て昇圧してライン3から導かれる循環ガスと、反応器2
10の入り口での酸素濃度、原料イソブチレン濃度の調
整のためにライン2から供給される空気とを混合し、そ
れにライン1から供給されるイソブチレンガスを混合し
て反応器210の入り口ガス(原料ガス)とした。原料
ガス中のイソブチレン濃度は6容量%、酸素濃度は14
容量%であった。
鉄系複合酸化物触媒を充填してあり、イソブチレンを接
触気相酸化してメタクロレインを得た。イソブチレンの
転化率は約95%であった。
出ガス(反応器出ガス)は、ライン4からメタクリル酸
凝縮塔220に供給した。そして、メタクリル酸凝縮塔
220で、多量の循環液を高温の反応器出ガスに噴霧し
て急冷し、同時に、反応器出ガスに含まれる副生成物で
あるメタクリル酸や水を凝縮してメタクリル酸水溶液を
得た。メタクリル酸凝縮塔220の圧力は0.35kgf/
cm2−G、ガス温度(管理温度)は約55℃であった。
ここで、循環液は、ライン9から供給されるメタクリル
酸回収塔242においてメタクリル酸を吸収した酢酸水
溶液と、ライン12から供給されるメタクロレイン蒸留
塔250の缶出液の一部とを用いた。この循環液は、メ
タクリル酸濃度30質量%、酢酸濃度6質量%のメタク
リル酸および酢酸含有水相であった。急冷に必要な熱負
荷はメタクリル酸凝縮塔冷却器221で冷水と熱交換す
ることによって賄った。
タクリル酸水溶液は、ライン17から後の工程に導き、
メタクリル酸を抽出除去して回収した。また、メタクリ
ル酸を抽出除去した残りの酢酸を含む液の一部は、ライ
ン8からメタクリル酸回収塔242に供給した。
(メタクリル酸凝縮塔出ガス)は、メタクロレインおよ
び少量のメタクリル酸を含有していた。メタクリル酸凝
縮塔出ガス中のメタクリル酸濃度は1容積%であった。
らメタクロレイン吸収塔240に供給した。メタクロレ
イン吸収塔240には、吸収水として、メタクロレイン
蒸留塔250の塔底から取出された缶出液が吸収液液液
熱交換器244、冷水を冷媒として用いる吸収液冷却器
243により約15℃に調温され、ライン10から供給
されている。吸収水中のメタクリル酸濃度は19.6質
量%であった。そして、メタクロレイン吸収塔240
(充填塔)で、メタクリル酸凝縮塔出ガスを塔下部から
供給し、多量の吸収水(メタクリル酸および酢酸含有水
相)を塔頂から供給して向流接触させ、ガス中のメタク
ロレインを吸収水に吸収させた。
部に規則充填物が充填されており、十分な理論段を備え
るとともに、液飛沫の同伴を防ぐようになっているもの
を用いた。
(メタクロレイン吸収塔出ガス)は、ライン6からメタ
クリル酸回収塔242(充填塔)に供給した。そして、
メタクリル酸回収塔242で、メタクロレイン吸収塔出
ガスをライン8から供給される酢酸水溶液と接触させ、
ガス中のメタクリル酸を酢酸水溶液に吸収させて回収し
た。ここで、ライン8から供給される酢酸水溶液は、メ
タクリル酸凝縮塔220において得られたメタクリル酸
水溶液からメタクリル酸を実質的に抽出除去した残りの
酢酸を含む液の一部を循環使用したものである。この酢
酸水溶液の酢酸濃度は8質量%であった。
に規則充填物が充填されており、十分な理論段を備える
とともに、液飛沫の同伴を防ぐようになっているものを
用いた。メタクリル酸回収塔242の出ガスの温度(運
転温度)は約17℃であった。
イン9を通ってメタクリル酸凝縮塔220の循環液に加
えられ、最終的にはライン17から後の工程(メタクリ
ル酸の抽出)へ導いた。
インとが除去されたメタクリル酸回収塔242からの出
ガスは、一部は、未反応イソブチレンの回収や原料ガス
中の酸素濃度および原料イソブチレン濃度の調整などの
ために、循環ガス圧縮機230によって昇圧してライン
3から原料ガスと混合して反応器210に供給し、残り
はライン7から系外へ排出した。排出したガスは、燃焼
炉等により燃焼して無害化した。
出液(メタクロレイン吸収塔出液)は、前述の吸収液液
液熱交換器244によってメタクロレイン蒸留塔250
の塔底から取出された缶出液と液液熱交換し、メタクロ
レイン蒸留塔250の供給温度としてふさわしい温度
(85℃)にした。そして、メタクロレイン吸収塔出液
をライン11からメタクロレイン蒸留塔250に供給
し、メタクロレインと水とを含有する蒸気を塔頂から留
出させ、蒸留塔の塔底からメタクリル酸、酢酸および水
を含有する缶出液を取出した。なお、蒸留塔の運転条件
は、塔頂圧力0.033kgf/cm2−G、塔頂温度
65℃、塔底圧力0.068kgf/cm2−G、塔底
温度102℃であった。また、メタクロレイン蒸留塔2
50の塔底から取出した缶出液中のメタクロレイン濃度
は約100質量ppmであった。
出した缶出液は、大部分がライン10からメタクロレイ
ン吸収塔240に循環して吸収液として使用し、一部は
余剰の液を排出するためにライン12からメタクリル酸
凝縮塔220へ供給した。
出させた蒸気は、ライン13からメタクロレイン蒸留塔
コンデンサー252に送り、凝縮し、さらに約6℃まで
冷却した。そして、メタクロレイン蒸留塔250の塔頂
から留出させた蒸気の凝縮液は、メタクロレイン蒸留塔
デカンター254に送り、メタクロレイン相と水相とに
分離した。メタクロレイン蒸留塔デカンター254の運
転温度は約6℃とした。
分離したメタクロレイン相の一部は、ライン14からメ
タクロレイン蒸留塔250の塔頂へ還流し、塔頂温度の
調節に使用した。分離したメタクロレイン相の残りは、
ライン15から留出し、製品メタクロレインとした。得
られた製品メタクロレインは純度97質量%であり、メ
タクロレイン中の水の濃度は2.3質量%であった。
54で分離した水相は、メタクロレイン蒸留塔デカンタ
ー254の下部から抜き出し、ライン16からメタクロ
レイン蒸留塔250の供給段へ戻した。
位はkg/Hである。
を連続運転したところ、約300日間の運転はきわめて
安定しており、工業的に問題のないプロセスであった。
されるプロセスのうち、メタクリル酸回収塔242を削
除し、メタクロレイン吸収塔出ガス6はライン7の排出
ガスとリサイクルガス3に分岐させて運転を行った。そ
の結果、時間あたり約0.05kgのメタクリル酸が漏
洩し、メタクリル酸とメタクロレインの総合収率が低下
した。また、約100日間の運転後、汚れ成分濃度の上
昇によってメタクリル酸凝縮塔冷却器221の汚れが進
行し、運転継続が不可能となった。
されるプロセスのうち、メタクリル酸蒸留塔デカンター
254の温度を約20℃まで上げて運転を行った。その
結果、デカンターで分離したメタクロレイン相中の水の
濃度が約3質量%に増加した。
メタクリル酸水溶液を連続的に製造しながら、同時に、
農薬や医薬品等の貴重な出発原料となり得る高品質のメ
タクロレイン液を製造できるメタクロレインの製造方法
を提供することができる。さらには、第1段酸化反応の
転化率を比較的広い範囲で管理して運転することがで
き、触媒寿命の延長が可能である。
ーシートである。
ローシートである。
Claims (10)
- 【請求項1】 原料のイソブチレンおよび/またはtert
-ブチルアルコールを分子状酸素含有ガスと接触酸化し
てメタクロレインおよびメタクリル酸を含む反応ガスを
得る反応工程(A)と、反応工程(A)で得られた反応
ガスをメタクリル酸および酢酸含有水相と接触させ、反
応ガス中のメタクリル酸と水とを凝縮させてメタクリル
酸水溶液を得るメタクリル酸凝縮工程(B)と、メタク
リル酸凝縮工程(B)においてメタクリル酸と水とを凝
縮により除去した後に残るメタクロレインおよびメタク
リル酸含有ガスをメタクリル酸および酢酸含有水相と接
触させ、ガス中のメタクロレインをメタクリル酸および
酢酸含有水相に吸収させるメタクロレイン吸収工程
(C)と、メタクロレイン吸収工程(C)においてメタ
クロレインを吸収させたメタクリル酸および酢酸含有水
相を蒸留塔に送り、メタクロレインと水とを含有する蒸
気を塔頂から留出させ、蒸留塔の塔底からメタクリル
酸、酢酸および水を含有する缶出液を取出すことにより
メタクロレインを分離してメタクロレインを得るメタク
ロレイン蒸留工程(D)と、メタクロレイン吸収工程
(C)においてメタクロレインを除去した後に残るメタ
クリル酸含有ガスを酢酸含有水相と接触させ、ガス中の
メタクリル酸を酢酸含有水相に吸収させて回収するメタ
クリル酸回収工程(E)とを含むメタクロレインの製造
方法。 - 【請求項2】 メタクロレイン吸収工程(C)において
用いるメタクリル酸および酢酸含有水相中のメタクリル
酸濃度が15質量%以上である請求項1に記載のメタク
ロレインの製造方法。 - 【請求項3】 メタクリル酸凝縮工程(B)においてメ
タクリル酸と水とを凝縮により除去した後に残るメタク
ロレインおよびメタクリル酸含有ガス中のメタクリル酸
濃度が0.8容積%以上である請求項1または2に記載
のメタクロレインの製造方法。 - 【請求項4】 メタクリル酸回収工程(E)において用
いる酢酸含有水相中の酢酸濃度が8質量%以上である請
求項1〜3のいずれかに記載のメタクロレインの製造方
法。 - 【請求項5】 メタクロレイン吸収工程(C)において
用いるメタクリル酸および酢酸含有水相が、メタクロレ
イン蒸留工程(D)において蒸留塔の塔底から取出され
るメタクリル酸、酢酸および水を含有する缶出液である
請求項1〜4のいずれかに記載のメタクロレインの製造
方法。 - 【請求項6】 メタクリル酸凝縮工程(B)において用
いるメタクリル酸および酢酸含有水相が、メタクリル酸
回収工程(E)においてメタクリル酸を吸収させた酢酸
含有水相である請求項1〜5のいずれかに記載のメタク
ロレインの製造方法。 - 【請求項7】 メタクロレイン回収工程(E)において
メタクリル酸を回収した後に残るイソブチレン含有ガス
の一部を反応工程(A)に戻し、反応工程(A)におい
て、イソブチレン含有ガスの一部と原料のイソブチレン
および/またはtert-ブチルアルコールとを混合したガ
スを分子状酸素含有ガスと接触酸化する請求項1〜6の
いずれかに記載のメタクロレインの製造方法。 - 【請求項8】 メタクロレイン蒸留工程(D)において
蒸留塔の塔頂から蒸発させたメタクロレインと水とを含
有する蒸気を凝縮させ、この凝縮液をデカンターに送
り、デカンターでメタクロレイン相と水相に分離する請
求項1〜7のいずれかに記載のメタクロレインの製造方
法。 - 【請求項9】 デカンターでメタクロレイン相と分離さ
せた水相をメタクロレイン蒸留工程(D)に送るメタク
ロレインを吸収させたメタクリル酸および酢酸含有水相
と混合し、この混合溶液をメタクロレイン蒸留工程
(D)に送る請求項8に記載のメタクロレインの製造方
法。 - 【請求項10】 前記デカンターの運転温度を下げるこ
とにより、メタクロレイン相中に含まれる水分濃度を制
御することが可能である請求項8または9に記載のメタ
クロレインの製造方法。
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-
2001
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