JP2010523699A - 蒸留の間の重質副生成物の形成を低減する方法および装置 - Google Patents

蒸留の間の重質副生成物の形成を低減する方法および装置 Download PDF

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Abstract

ジクロロヒドリンを、ジクロロヒドリンと、水と、ジクロロヒドリンのエステル,モノクロロヒドリンおよび/またはそのエステルならびに多ヒドロキシル化脂肪族炭化水素化合物および/またはそのエステルから選択される1種以上の化合物と、任意に塩素化剤、触媒ならびに/または触媒のエステルを含む1種以上の物質と、を含む混合物から回収するための方法ならびに装置であって、重質物の形成を最小化する方法ならびに装置を開示する。

Description

発明の背景
本発明は、ジクロロヒドリンを、これを含む混合物,例えば1種もしくは複数種の多ヒドロキシル化脂肪族炭化水素化合物および/またはその1種もしくは複数種のエステルをクロロヒドリンに変換するプロセスにより発生する流出物から、例えば蒸留により回収する方法および装置に関する。
蒸留は、混合物の成分をこれらの相対的な揮発性に従って分離するための周知の方法である。液体混合物は、少なくとも分離すべき1種または複数種の成分を蒸発させるのに十分な温度に加熱し、蒸発した1種または複数種の成分を、液体混合物とは別の場所(通常は上)で凝縮させ、そして凝縮させた1種または複数種の成分を蒸留プロセスから取出す。
蒸留は、ジクロロヒドリンを、これを含む反応混合物から回収するために用いることができる。ジクロロヒドリンは、エポキシド,例えばエピクロロヒドリンの調製において有用である。エピクロロヒドリンは、エポキシレジンへの広く使用される前駆体である。エピクロロヒドリンは、パラビスフェノールAのアルキル化のために一般的に使用されるモノマーである。得られるジエポキシド(フリーのモノマーまたはオリゴマー性ジエポキシドのいずれとしても)は、高分子量レジン(これは例えば電気ラミネート、缶コーティング、自動車トップコートおよびクリアコートにおいて使用される)に進むことができる。
グリセリンは低コストで再生可能な原料と考えられており、これは燃料を製造するためのバイオディーゼルプロセスの共生成物である。他の再生可能な原料,例えばフルクトース、グルコースおよびソルビトールを水素化分解して隣接ジオールおよびトリオール,例えばグリセリン、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール等の混合物を生成できることが公知である。グリセリンまたは混合グリコールに富み低コストで、経済的に魅力的な、上記プロセスによって生成される流出物からジクロロヒドリンを回収するためのプロセスが望ましい。
グリセロール(本明細書で「グリセリン」ともいう)をジクロロプロパノールの混合物、化合物IおよびII(下記スキーム1に示すもの)に変換するための方法が公知である。反応は、無水HClおよび酢酸(HOAc)触媒の存在下で水を除去しながら行なう。化合物IおよびIIは、次いで、エピクロロヒドリンに、苛性物または石灰での処理を介して変換される。
Figure 2010523699
スキーム1における上記の化学物質を使用する種々の方法が先行技術において報告されてきた。例えば、エピクロロヒドリンは、ジクロロプロパノール,例えば2,3−ジクロロ−1−プロパノールまたは1,3−ジクロロ−2−プロパノールを塩基と反応させることにより調製できる。ジクロロプロパノールは、次には、大気圧でグリセロール、無水塩酸、および酸触媒から調製できる。大過剰の塩化水素(HCl)が、反応の過程の間に形成される水の共沸除去の促進のために推奨された。
WO2006/020234Al号は、グリセロールもしくはそのエステルまたはそれらの混合物をクロロヒドリンに変換する方法であって、多ヒドロキシル化脂肪族炭化水素化合物、多ヒドロキシル化脂肪族炭化水素のエステル、またはこれらの混合物を超大気分圧の塩化水素源と接触させて、クロロヒドリン、クロロヒドリンのエステルまたはこれらの混合物を有機酸触媒存在下で生成するステップを含む方法を記載する。この方法はまた、本明細書で「ドライプロセス」ともいう。大過剰の塩化水素を介したドライプロセスにおける水の共沸除去は、高いクロロヒドリン収率を得るためには要求されない。反応混合物からの生成物流の分離は、好適な分離容器,例えば1つ以上の蒸留カラムその他で行なうことができる。WO2006/020234Al号は、具体的な蒸留方法および重質副生成物の形成を最小化する方法を記載していない。
WO2005/021476Al号は、大気分圧の塩化水素、酢酸を触媒として、およびループのカスケード,好ましくは3つのループで、各ループが反応器および蒸留カラムからなり、この中で反応の水、残存塩化水素およびジクロロプロパノールが反応流出物から除去されるもの、を用いる方法を記載する。蒸留のためのこの方法は、反応器/蒸留ループのカスケードを必要とし、極めて高価である。該方法は幾つかの反応器/カラムをプロセスにおいて必要とするからである。更に、有益な酢酸は留分とともに失われ、蒸留における触媒損失を補うために更に酢酸を添加することが必要である。
WO2005/021476Al号は、低減された圧力下で蒸留して反応の水を分離するために、蒸留のための任意の装置,例えば種々の種類の蒸発器または蒸留系を、種々の内部,例えばトレイ、充填物等で使用できることを更に記載する。WO2005/021476Al号は、種々の種類の内部(蒸留において使用できる)に関して、または1種類の内部 対 別の種類の内部の利点を区別せず、すなわち、カラム内部の全てが同じように扱われる。
WO2005/054167Al号は、第16頁で、蒸留または蒸発によるグリセロール塩化水素化反応流出物からのジクロロプロパノールの回収を記載する。WO2005/054167Al号は、蒸留条件,例えば温度および圧力または減圧を記載する。
EP1 752 435 Al号は、多ヒドロキシル化脂肪族炭化水素および/またはそのエステルと水性塩化水素とを反応させてクロロヒドリン、クロロヒドリンのエステルまたはこれらの混合物を、雰囲気条件(ここで反応器底部からのパージがストリッパーに供給される)下で生成することによる、クロロヒドリンを製造する別の方法を開示する。ストリッパーにおいては、塩化水素、水性塩化水素反応物質からの水および反応の過程の間に形成される水(本明細書で「反応の水」ともいう)(反応混合物からのものである)の殆どの部分ストリッピングを行ない、蒸留またはストリッピングのカラムにストリッパーから液相を供給する。ストリッパーからの気相は、未反応塩化水素、水性塩化水素反応物質からの過剰の水および反応混合物からの反応副生成物水の殆どを含み、反応器により生成する蒸気が供給される蒸留カラムに導くか;または直接反応器に再循環させる。
ジクロロプロパノールの主な画分は、蒸留またはストリッピングのカラムの頂部から収集する。カラム残渣は反応器に再循環させる。このプロセス(本明細書で「湿潤プロセス」ともいう)は、水を水性塩化水素反応物質を介してプロセス中に添加するのみでなく、プロセスにおける反応の水も生成する。湿潤プロセスにおける、ストリッパーを介する大過剰の水の除去は、エネルギー効率がより小さく、そしてドライプロセスでは不要である。ストリッパーのより良好な利用は、ジクロロプロパノールの回収においてなされる。この湿潤プロセスはまた、重質副生成物の形成を最小化する具体的な方法を記載していない。
CN101007751A号は、湿潤と乾燥とのプロセスを順次の2つの反応(ここで、管型反応器を第1の反応器として用い、そして発泡タンク(foaming-tank)反応器を第2の反応器として用いる)で組合せる別の方法を記載する。水性塩化水素を管型反応器に供給し、そしてガス状塩化水素を発泡タンク反応器に供給する。発泡タンク反応器内の反応混合物からの水のストリッピングの効率を改善するために、不活性不純物を塩化水素に添加する。CN第101007751A号はまた、重質副生成物の形成を最小化する具体的な方法を記載しない。
本発明者は、上記のプロセスに従って蒸留カラムに供給される反応混合物の1種以上の成分が、蒸留の間に重質副生成物を形成し、連続再循環プロセスにおいて重質副生成物の蓄積(ビルドアップ)を防止するためにプロセスからのパージを必要とすることを見出した。WO2005/021476Al号は、不所望生成物の混合物を含有する残渣を加工することを記載するが、WO2005/021476Al号は、蒸留の間の不所望のより高沸点の廃生成物の形成をどのように最小化するかは記載していない。重質副生成物およびパージは、再循環プロセスにおける1種もしくは複数種のジクロロヒドリンの回収を低下させ、そして、利用可能でない副生成物の廃棄物処理/変換に関連するコストを増大させる。このような蒸留プロセスを更に改善して副生成物の形成を低減する機会は残されている。
従って、生成物ジクロロヒドリンを、多ヒドロキシル化脂肪族炭化水素化合物の塩化水素化の反応流出物から分離するための、改善された方法および装置を提供することが所望される。
重質副生成物,例えば多ヒドロキシル化脂肪族炭化水素化合物、クロロヒドリン、およびさらにより高分子量の物質,例えば塩素化オリゴマー、の種々のエーテルの形成を最小化するような方法および装置を提供することもまた所望される。
発明の要約
本発明の一側面は、1種もしくは複数種のジクロロヒドリンを含有する反応性混合物からの該1種もしくは複数種のジクロロヒドリンの回収中の重質副生成物の形成を低減させる方法であって:
(a)(1)1種または複数種のジクロロヒドリンと、(2)(a’)1種もしくは複数種のクロロヒドリンの1種以上のエステルおよび/または1種もしくは複数種の多ヒドロキシル化脂肪族炭化水素化合物ならびに/または(b’)1種以上のモノクロロヒドリンおよび/または1種もしくは複数種の多ヒドロキシル化脂肪族炭化水素化合物を、1種もしくは複数種のクロロヒドリンの1種以上のエステル、1種もしくは複数種の多ヒドロキシル化脂肪族炭化水素化合物の1種もしくは複数種のエステル、1種もしくは複数種の触媒、および/または1種もしくは複数種の触媒の1種もしくは複数種のエステルの存在下で含む1種以上の反応性成分と、(3)任意に、水、1種もしくは複数種の塩素化剤,1種もしくは複数種の触媒,1種もしくは複数種の触媒の1種もしくは複数種のエステル,ならびに/または重質副生成物を含む1種以上の物質と、を含む混合物を調製すること;ならびに
(b)ステップ(a)の混合物を、全部で少なくとも3つの理論段階を有し、そして理論段階当たりの平均圧力降下が1.3kPa以下である、1つ以上の液体−蒸気接触装置内で蒸留して、1種または複数種のジクロロヒドリンを含む少なくとも1種の留分をステップ(a)において調製される混合物から分離すること;
を含む、方法である。
本発明の一態様は、上記方法を包含し、該方法において、液体−蒸気接触装置の第1の理論段階と最後の理論段階との間での圧力差が7kPa以下である。
本発明の別の側面は、1種もしくは複数種のジクロロヒドリンを製造する方法であって、ステップ(a)において調製される混合物が、1種もしくは複数種のモノクロロヒドリンおよび/またはその1種もしくは複数種のエステルおよび/または1種もしくは複数種の多ヒドロキシル化脂肪族炭化水素化合物および/またはその1種もしくは複数種のエステル、の塩化水素化によって生成するかまたはこれに由来する、方法である。
本発明の更に別の側面は、1種もしくは複数種のジクロロヒドリンを、1種もしくは複数種の多ヒドロキシル化脂肪族炭化水素化合物および/またはその1種もしくは複数種のエステルから製造するために好適な装置であって:
(1)少なくとも1つの反応器;
(2)全部で少なくとも3つの理論段階を有し、液体−蒸気接触装置の最も高い理論段階での圧力が13kPaまたはそれ未満である場合の理論段階当たりの平均圧力降下が1.3kPa以下である、1つ以上の液体−蒸気接触装置を含む少なくとも1つの分離装置;および
(3)少なくとも1つの分離装置(2)の少なくとも1つの液体−蒸気接触装置に減圧を適用するための手段であって、液体−蒸気接触装置内の圧力を、液体−蒸気接触装置の最も高い理論段階で測定される13kPaまたはそれ未満に低減可能な手段;
を含み、
少なくとも1つの反応器(1)が、少なくとも1つの分離装置(2)に、反応器流出物流を少なくとも1つの反応器(1)から少なくとも1つの分離装置(2)の少なくとも1つの液体−蒸気接触装置に蒸留のために導くために、直接的または間接的に接続されている、装置である。
本発明の一態様は、上記の装置を包含し、該装置において、液体−蒸気接触装置の第1の理論段階と最後の理論段階との間での圧力差が7kPa以下である。
発明の詳細な説明
定義:
本明細書で用いる用語「多ヒドロキシル化脂肪族炭化水素化合物」(以後「MAHC」と略す)は、2つの別個の隣接炭素原子に共有結合する少なくとも2つのヒドロキシル基を含有し、エーテル結合性基を含有しない化合物を意味する。これらは、各々がOH基を有する少なくとも2つのsp3混成炭素を含有する。MAHCとしては、炭化水素(高次の近接(contiguous)または隣接(vicinal)の繰返し単位を包含する)を含有する任意の隣接−ジオール(1,2−ジオール)またはトリオール(1,2,3−トリオール)が挙げられる。MAHCの定義はまた、例えば1種以上の1,3−、1,4−、1,5−および1,6−ジオール官能基を同様に包含する。例えばジェミナルジオールはこの分類のMAHCから排除される。
MAHCは、少なくとも2個、好ましくは少なくとも3個、約60個以下、好ましくは20個以下、より好ましくは10個以下、さらにより好ましくは4個以下、およびさらにより好ましくは3個以下の炭素原子を含有し、脂肪族炭化水素に加え、芳香族部分またはヘテロ原子(例えば、ハライド、硫黄、リン、窒素、酸素、ケイ素、およびホウ素のヘテロ原子;ならびにこれらの混合物等が挙げられる)を含有できる。MAHCはまた、ポリマー(例えばポリビニルアルコール)であってもよい。
用語「グリセリン(glycerin)」「グリセロール」および「グリセリン(glycerine)」ならびにこれらのエステルは、1,2,3−トリヒドロキシプロパンおよびそのエステルの化合物についての同義語として使用できる。
本明細書で用いる用語「クロロヒドリン」は、2つの別個の隣接脂肪族炭素原子に共有結合している少なくとも1つのヒドロキシル基および少なくとも1つの塩素原子を含有し、エーテル結合性基を有さない化合物を意味する。クロロヒドリンは、MAHCの1つ以上のヒドロキシル基を、共有結合した塩素原子で塩化水素化を介して置換することにより得ることができる。クロロヒドリンは、少なくとも2個、および好ましくは少なくとも3個、約60個以下、好ましくは20個以下、より好ましくは10個以下、さらにより好ましくは4個以下、およびさらにより好ましくは3個以下の炭素原子を含有し、そして、脂肪族炭化水素に加え、芳香族部分またはヘテロ原子(例えば、ハライド、硫黄、リン、窒素、酸素、ケイ素、およびホウ素のヘテロ原子;ならびにこれらの混合物等が挙げられる)を含有できる。少なくとも2つのヒドロキシル基を含有するクロロヒドリンはMAHCでもある。
本明細書で用いる用語「モノクロロヒドリン」は、1個の塩素原子および少なくとも2つのヒドロキシル基を有するクロロヒドリンを意味し、塩素原子および少なくとも1つのヒドロキシル基は、2つの別個の隣接脂肪族炭素原子に共有結合している(以後、「MCH」と略す)。グリセリンまたはグリセリンエステルの塩化水素化によって生成するMCHとしては、例えば、3−クロロ−1,2−プロパンジオールおよび2−クロロ−1,3−プロパンジオールが挙げられる。
本明細書で用いる用語「ジクロロヒドリン」は、2個の塩素原子および少なくとも1つのヒドロキシル基を有するクロロヒドリンを意味し、ここで少なくとも1個の塩素原子および少なくとも1つのヒドロキシル基は、2つの別個の隣接脂肪族炭素原子に共有結合している(以後、「DCH」と略す)。グリセリンまたはグリセリンエステルの塩化水素化により生成するジクロロヒドリンとしては、1,3−ジクロロ−2−プロパノールおよび2,3−ジクロロ−1−プロパノールが挙げられる。
本明細書で用いる表現「塩化水素化条件下」は、混合物中および/または供給物流中に存在するMAHC、MCH、ならびにMAHCおよびMCHのエステルの少なくとも1wt%、好ましくは少なくとも5wt%、より好ましくは少なくとも10wt%を、1種もしくは複数種のDCHおよび/またはその1種もしくは複数種のエステルに変換できる条件を意味する。
本明細書で用いる用語「1種または複数種の副生成物」は、1種もしくは複数種のクロロヒドリンおよび/もしくはその1種もしくは複数種のエステルならびに/または1種もしくは複数種の塩素化剤ではなく、そして、本発明に従って選択される塩化水素化条件下で、1種もしくは複数種のクロロヒドリンならびに/またはその1種もしくは複数種のエステルを形成しない、1種または複数種の化合物を意味する。
表現「1種または複数種の重質副生成物」は、混合物(a)成分のオリゴマー,例えば、MAHCおよび/またはそのエステルのオリゴマーならびにクロロヒドリンおよび/またはそのエステルのオリゴマー、ならびにこのようなオリゴマーの誘導体,例えばこれらのエステル、塩素化オリゴマー、および/またはその塩素化エステル(数平均分子量がオリゴマーの数平均分子量以上のもの)、例えば塩素化オリゴマーを意味する。用語、1種または複数種のクロロヒドリン、1種または複数種のMCH、および1種または複数種のDCH、ならびにこれらの1種または複数種のエステルは、重質副生成物を包含することを意図しない。
用語「エポキシド」は、炭素−炭素結合上に少なくとも1つの酸素橋を含有する化合物を意味する。一般的に、炭素−炭素結合の炭素原子は、近接し、そして化合物は炭素原子および酸素原子以外の原子,例えば水素およびハロゲン等を包含できる。好ましいエポキシドは、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、グリシドールおよびエピクロロヒドリンである。
本明細書で用いる表現「液相」は、気相と固相との間の連続中間相を意味し、これは少量の気体および/または固体の1つまたは複数の不連続相を任意に含んでもよい。液相は、1つ以上の非混和性の液相を含んでもよく、そして1種以上の溶解した固体,例えば1種以上の酸、塩基または塩を含有してもよい。
本明細書で用いる表現「蒸気相」は、連続の気相を意味し、これは任意に少量の液体および/または固体の1つまたは複数の不連続相(例えばエアロゾル)を含んでもよい。蒸気相は、単一種の気体または混合物,例えば2種以上の気体、2種以上の液体の不連続相、および/または2種以上の固体の不連続相の混合物であることができる。
表現「より低沸点の画分」は、ステップ(a)において調製される混合物に由来する画分を意味し、ここで、より低沸点の画分成分の総量の半分超は、混合物または該混合物に由来する成分であって、単位操作の条件下で、ステップ(a)において調製される同じ混合物に由来する、同じ単位操作においてより高沸点の画分の成分よりも揮発性であるものである。
表現「より高沸点の画分」は、ステップ(a)において調製される混合物に由来する画分を意味し、ここで、より高沸点の画分成分の総量の半分超は、混合物または該混合物に由来する成分であって、単位操作の条件下で、ステップ(a)において調製される同じ混合物に由来する、同じ単位操作においてより低沸点の画分の成分よりも揮発性が低いものである。
本明細書で用いる表現「液体−蒸気接触装置」は、装置内の液体と蒸気との少なくとも1つの界面表面の接触および展開を与えるのに働く装置を意味する。液体−蒸気接触装置の例としては、プレートカラム(棚板塔)、充填カラム(充填塔)、濡れ壁(流下膜)カラム、スプレーカラム(スプレー塔)、熱交換器またはこれらの任意の組合せが挙げられる。プレートカラムおよび充填カラムを含む装置の例としては、蒸留カラム、分画カラム、およびストリッピングカラムが挙げられる。
本明細書で用いる用語「凝縮器(コンデンサー)」は、プロセス流体から物理的に分離された第2の流体を介してプロセス流体から熱を取出すための非断熱系を意味する。プロセス流体および第2の流体は、各々、蒸気、液体、または液体と蒸気との組合せであることができる。凝縮器は、一般的に、蒸留または分画液体−蒸気接触装置の区画と関連する。これは、蒸留カラムの外側の単位操作であることができ、または、これは蒸留カラムの内側の単位操作であることができる。物理的な分離は、チューブの形状であることができ、そして凝縮は、チューブの内側または外側で実施できる。凝縮器は、トレイを分画する蒸留カラムのデッキ上の冷却要素、または蒸留カラム充填床の間の冷却要素の形をとることができる。
混合物(a):
混合物(a)は、当該分野で周知の任意の塩化水素化プロセスから直接的または間接的に得ることができる。例えば、ドイツ国特許第197308号は、無水塩化水素を用いたグリセリンの触媒的塩化水素化によりクロロヒドリンを製造する方法を教示する。WO2005/021476号は、グリセリンおよび/またはモノクロロプロパンジオールの、ガス状塩化水素での、カルボン酸の触媒による塩化水素化によって、ジクロロプロパノールを製造する連続方法を開示する。WO2006/020234A1号は、グリセロールまたはそのエステルもしくは混合物をクロロヒドリンに変換するための方法を記載し、該方法は、MAHC、MAHCのエステル、またはこれらの混合物を、超大気分圧の塩化水素源と接触させてクロロヒドリン、クロロヒドリンのエステルまたはこれらの混合物を、有機酸触媒の存在下で、実質的に水の除去なしで生成するステップを含む。よって上記文献は上記開示に関し参照により本明細書に組入れる。
例示の塩化水素化プロセスにおいて、MAHCおよび塩化水素化触媒を塩化水素化反応器に充填する。次いで、塩素化剤,例えば塩化水素を反応器に添加する。反応気圧を所望圧力に調整し、そして反応器内容物を所望温度に所望の長さの時間加熱する。塩化水素化反応の完了後、または塩化水素化反応を実施している間に、反応流出物流としての反応器内容物を反応器から取出して、直接的または間接的に、別の反応器または他の中間ステップを介して、本発明に従ったDCH回収系を含み、そして任意に他の分離系または設備,例えばフラッシュ容器および/または再沸騰器を包含する分離系に供給する。
上記の塩化水素化反応は、1つ以上の塩化水素化反応器容器,例えば単独もしくは複数の連続撹拌タンク反応器(以後、「CSTR」と略記する)、単独もしくは複数の管型反応器、栓流反応器(以後、「PFR」と略記する)またはこれらの組合せの中で実施できる。塩化水素化反応器は、例えば、1つの反応器または互いに直列もしくは並列に接続される複数の反応器であることができ、例えば、1つ以上のCSTR,1つ以上の管型反応器、1つ以上のPFR、1つ以上の気泡塔反応器、およびこれらの組合せが挙げられる。
好ましい態様において、塩化水素化流出物流の一部または全部は、PFRまたは反応器の系(これは共に栓流特性を想定する)からの供給物流である。「栓流」(プラグフロー)は、容器内または容器系内のフローパターンであって、流体の全要素が容器または容器系を通じて同じ速度で移動し、よって全流体要素が容器または容器系内で同じ滞留時間を有するものを意味する。PFRはまた、スラグ流、ピストン流、理想管型および非混合流の反応器とよばれる。横(ラテラル)方向の流体の混合が栓流容器内に存在する場合があるが、流路に沿った混合または拡散が存在しないのがよい。実際には、通常、幾らかかの逆混合および拡散が流れの方向において流れ要素間に存在し、理想的な栓流からの逸脱をもたらすが、これは理想的な栓流パターンに極めて近づく。これは、混合反応器、逆混合反応器または撹拌タンク反応器とよばれ、また連続撹拌タンク反応器(CSTR)とよばれる別の種類の反応器とは異なり、ここで容器内容物は容器または反応器全体でよく撹拌されて均一であり、よって後ろからの出口流は反応器内の流体と同じ組成を有する。
PFRはまた、反応器系において組成プロファイルを有する。PFR内に供給される反応物質の濃度は、入口から出口へ、PFRの流路に沿って低下し、そして生成物の濃度は、入口から出口へ、PFRの流路に沿って増大する。グリセロールの塩化水素化の場合、HClおよびグリセロールの濃度は、PFRの入口からPFRの出口へ低下し、一方、1,3−ジクロロ−2−プロパノールおよび2,3−ジクロロ−1−プロパノールの総濃度は、PFRの入口からPFRの出口へと増大する。
塩化水素化反応を行なうのに有用な設備は、任意の当該分野で周知の設備であることができ、そして塩化水素化の条件で反応混合物を収容可能であるのがよい。好適な設備は、プロセス成分に耐食性の物質で製造でき、そして例えば、金属,例えばタンタル、好適な金属合金(特に、ニッケル−モリブデン合金,例えばハスタロイC(c))、またはガラスライニングされた設備を挙げることができる。
1種または複数種のDCHに加え、未反応の1種もしくは複数のMAHCおよび/または1種もしくは複数種の塩素化剤、反応中間体,例えば1種もしくは複数のMCH、1種もしくは複数のMCHエステル、および/または1種もしくは複数種のDCHエステル、1種もしくは複数種の触媒、1種もしくは複数種の触媒の1種もしくは複数種のエステル、水、および/または1種もしくは複数種の重質副生成物、のうち1種以上が、混合物(a)中に存在できる。再循環プロセスは好ましく、ここで、未反応の1種もしくは複数のMAHC、1種もしくは複数のMAHCの1種もしくは複数のエステル、および/または1種もしくは複数種の塩素化剤、反応中間体,例えば1種もしくは複数のMCH、1種もしくは複数のMCHエステル、1種もしくは複数種のDCHエステル、ならびに他の物質,例えば1種もしくは複数種の触媒、1種もしくは複数種の触媒の1種もしくは複数種のエステル、および水のうち1種以上を、プロセスにおける前のステップに,例えば少なくとも1つの塩化水素化反応器に更なる塩化水素化のために、好ましく再循環させる。特に、1種もしくは複数種のMAHC、1種もしくは複数種のMCH、1種もしくは複数種の触媒,ならびに/または、1種もしくは複数種のMAHC、1種もしくは複数種のMCH、1種もしくは複数種のDCH、および/または1種もしくは複数種の触媒の1種以上の1種もしくは複数種のエステル、ならびに好ましくはこれらの2種以上の組合せ、の1種以上を含有する、蒸留または分画のステップの残渣を含む液体のより高沸点の画分は、塩化水素化ステップに、例えばより高沸点の画分を1つ以上の反応器に再循環させることにより、再循環させる。このような1つまたは複数の再循環プロセスは、好ましくは連続である。この様式においては、原料効率が最大化され、および/または触媒が再利用される。
触媒をこのようなプロセススキームにおいて再利用する場合、触媒を、これらが単独パスプロセスで使用されるよりも高濃度で使用するのが望ましい場合がある。これは、より速い反応、またはより小さいプロセス設備をもたらし、これは用いる設備のより低い資源コストをもたらす。
連続再循環プロセスにおいて、不所望不純物および/または反応副生成物がプロセスにおいて蓄積する場合がある。よって、このような不純物をプロセスから、例えば1つ以上のパージ出口を介して、または分離ステップによって、除去する手段を提供することが望ましい。更に、パージ流を更に処理して、パージ流の有用な部分を回収してもよい。
混合物中に任意に存在できる、本発明に従って処理される塩素化剤は、好ましくは塩化水素または塩化水素源であり、そして気体、液体もしくは溶液中、またはこれらの混合物であることができる。塩化水素は、好ましくはガス状状態で導入し、そして、塩化水素化反応混合物が液相中にある場合、塩化水素ガスの少なくとも幾らかかは、好ましくは液体反応混合物中に溶解される。しかし、塩化水素は、溶媒中,例えばアルコール(例えばメタノール)中、またはキャリアガス(例えば窒素)中で、所望の場合希釈できる。
本発明の塩化水素化ステップは、超大気圧条件下で行なうことが好ましい。本明細書で「超大気圧」は、塩化水素(HCl)分圧が大気圧超,すなわち15psia(103kPa)以上であることを意味する。一般的に、塩化水素化プロセスにおいて採用される塩化水素分圧は、少なくとも約15psia(103kPa)以上である。好ましくは、塩化水素化プロセスにおいて採用される塩化水素分圧は、約25psia(172kPa)以上、より好ましくは約35psia(241kPa)以上、および最も好ましくは約55psia(379kPa)以上であり;そして好ましくは約1000psia(6.9MPa)以下、より好ましくは約600psia(4.1MPa)以下、および最も好ましくは約150psia(1.0MPa)以下である。
塩化水素ステップを、塩化水素化に十分な温度で実施することも好ましく、これはまた、ステップ(b)および(c)における回収のために反応混合物の液相中で塩化水素化の間に生成および変換される1種もしくは複数種のクロロヒドリンを維持するために、塩化水素化ステップの間に与えられる圧力条件で最も低い沸点を有する反応混合物中の1種もしくは複数種のクロロヒドリンの沸点よりも低い。この好ましい温度範囲の上限は、圧力条件を調整することにより調整できる。塩化水素化の間のより高い圧力を選択して、反応混合物中の1種もしくは複数種のクロロヒドリンの沸点温度を増大させることができ、よって液相中の1種もしくは複数種のDCHを維持するための好ましい温度範囲は、圧力条件を増大させることによって増大させることができる。
好ましくは、塩化水素化流出物中に存在するDCHの50パーセント未満、より好ましくは10パーセント未満、更により好ましくは5パーセント未満、および更により好ましくは1パーセント未満が、ステップ(b)の前に塩化水素化流出物から除去される。
塩化水素化流出物は、1種以上のDCH、1種もしくは複数種のDCHの1種もしくは複数種のエステル、1種もしくは複数種のMCHおよび/またはその1種もしくは複数種のエステル、ならびに1種もしくは複数種のMAHCおよび/またはその1種もしくは複数種のエステル、ならびに任意に水、1種もしくは複数種の塩素化剤、1種もしくは複数種の触媒および/または1種もしくは複数種の触媒の1種もしくは複数種のエステルを含む1種以上の物質、を含む1種以上の化合物を含む。追加的な任意の成分もまた、本発明に従った、出発物質、反応条件、および塩化水素化反応とDCHの回収との間に介在する任意のプロセスステップに応じて流出物中に存在できる。塩化水素化流出物は、好ましくは、塩化水素化流出物が塩化水素化ステップおよび/または反応器から取出されるに従って液相中にあり、ステップ(a)において調製される混合物は、塩化水素化ステップの液相流出物の少なくとも一部を含む。
好ましい態様において、少なくとも1種のMAHCおよび/またはそのエステルが、ステップ(a)において調製される混合物中に存在する。1種もしくは複数種のMAHCおよび/またはその1種もしくは複数種のエステルが、ステップ(a)において調製される混合物中に存在する場合、同じ1種もしくは複数種のMAHCおよび/またはその1種もしくは複数種のエステルもまた、ステップ(b)の高沸点画分中に存在できる。
本発明に従って処理される流出物中に見出されるMAHCとしては、例えば、1,2−エタンジオール;1,2−プロパンジオール;1,3−プロパンジオール;3−クロロ−1,2−プロパンジオール;2−クロロ−1,3−プロパンジオール;1,4−ブタンジオール;1,5−ペンタンジオール;シクロヘキサンジオール;1,2−ブタンジオール;1,2−シクロヘキサンジメタノール;1,2,3−プロパントリオール(「グリセリン("glycerin", "glycerine")」または「グリセロール」としても公知であり、本明細書で互換的に用いる)ならびにこれらの混合物を挙げることができる。好ましくは、本発明に従って処理される流出物中のMAHCとしては、例えば、1,2−エタンジオール;1,2−プロパンジオール;1,3−プロパンジオール;および1,2,3−プロパントリオールが挙げられ;1,2,3−プロパントリオールが最も好ましい。
本発明に従って処理される流出物中に見出されるMAHCのエステルの例としては、例えば、エチレングリコールモノアセテート、プロパンジオールモノアセテート、グリセリンモノアセテート、グリセリンモノステアレート、グリセリンジアセテート、およびこれらの混合物が挙げられる。一態様において、このようなエステルは、MAHCと完全にエステル化されたMAHCとの混合物、例えばグリセロールトリアセテートとグリセロールとの混合物から形成できる。
同じまたは別の好ましい態様において、少なくとも1種のMCHおよび/またはそのエステルが、ステップ(a)において調製される混合物中に存在する。1種もしくは複数種のMCHおよび/またはその1種もしくは複数種のエステルが、ステップ(a)において調製される混合物中に存在する場合、同じ1種もしくは複数種のMCHおよび/またはその1種もしくは複数種のエステルもまた、ステップ(b)の高沸点画分中に存在できる。
MCHは、一般的に、塩化水素化MAHCに対応し、ここで2つの別個の隣接炭素原子に共有結合している1対のヒドロキシル基の1つが、共有結合した塩素原子で置換される。MCHの1種もしくは複数種のエステルは、1種もしくは複数種のMAHCエステルの塩化水素化、または例えば酸触媒との反応の結果であることができる。
DCHは、一般的に、塩化水素化MAHCに対応し、ここで2つの別個の炭素原子に共有結合している2つのヒドロキシル基の、少なくとも1つが、ヒドロキシル基を有する第3の炭素原子に隣接しており、各々が共有結合した塩素原子によって置換される。1種もしくは複数種のDCHの1種もしくは複数種のエステルは、1種もしくは複数種のMAHCエステル、1種もしくは複数種のMCHエステルの塩化水素化、または例えば1種もしくは複数種の触媒との1つもしくは複数の反応の結果であることができる。
1種もしくは複数種のMAHCが、プロセスに供給される出発物質である、本発明のある態様において、出発物質としての1種もしくは複数種のMAHCの1種もしくは複数種のエステルまたは1種もしくは複数種のMAHCとその1種もしくは複数種のエステルとの混合物とは逆に、クロロヒドリンの形成が1種以上の触媒および/またはその1種もしくは複数種のエステルの存在によって促進されることが一般的に好ましい。1種もしくは複数種の触媒 および/またはその1種もしくは複数種のエステルもまた存在でき、ここで、1種もしくは複数種のMATCの1種もしくは複数種のエステル、または1種もしくは複数種のMAHCとその1種もしくは複数種のエステルとの混合物は、塩化水素化反応を更に加速する出発物質である。
カルボン酸、RCOOHは、MAHCのクロロヒドリンへの塩化水素化を触媒する。選択される具体的なカルボン酸触媒は、多くの要因,例えばその触媒としての効率、そのコスト、その反応条件への安定性、およびその物理特性等に基づく場合がある。特定のプロセス、および触媒を使用すべきプロセススキームもまた、特定触媒の選択における要因となる場合がある。カルボン酸の「R」基は、水素またはヒドロカルビル基,例えばアルキル、アリール、アラルキルおよびアルカリルから独立に選択できる。ヒドロカルビル基は、直鎖、分岐鎖または環状であることができ、そして置換または非置換であることができる。許容される置換基としては、触媒の性能に有害に影響しない任意の官能基が挙げられ、そしてヘテロ原子を含んでもよい。許容される官能基の限定しない例としては、クロリド、ブロミド、イオジド、ヒドロキシル、フェニル、エーテル、アミド、1級アミン、2級アミン、3級アミン、4級アンモニウム、スルホネート、スルホン酸、ホスホネート、およびホスホン酸が挙げられる。
塩化水素化触媒として有用なカルボン酸は、モノ塩基,例えば酢酸、ギ酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、ヘキサン酸、4−メチル吉草酸、ヘプタン酸、オレイン酸、もしくはステリン酸;または多塩基,例えばコハク酸、アジピン酸、もしくはテレフタル酸であることができる。アラルキルカルボン酸の例としては、フェニル酢酸および4−アミノフェニル酢酸が挙げられる。置換カルボン酸の例としては、4−アミノ酪酸、4−ジメチルアミノ酪酸、6−アミノカプロン酸、6−ヒドロキシへキサン酸、6−クロロヘキサン酸、6−アミノヘキサン酸、4−アミノフェニル酢酸、4−ヒドロキシフェニル酢酸、乳酸、グリコール酸、4−ジメチルアミノ酪酸、および4−トリメチルアンモニウム酪酸が挙げられる。加えて、反応条件下でカルボン酸に変換できる物質,例えばカルボン酸ハライド,例えばアセチルクロリド、6−クロロヘキサノイルクロリド、6−ヒドロキシヘキサノイルクロリド、6−ヒドロキシヘキサン酸、および4−トリメチルアンモニウム酪酸クロリド;カルボン酸無水物,例えば無水酢酸および無水マレイン酸;カルボン酸エステル,例えば酢酸メチル、プロピオン酸メチル、メチルピバレート、メチルブチレート、エチレングリコールモノアセテート、エチレングリコールジアセテート、プロパンジオールモノアセテート、プロパンジオールジアセテート、グリセリンモノアセテート、グリセリンジアセテート、グリセリントリアセテート、およびカルボン酸のグリセリンエステル(グリセリンのモノ−、ジ−、およびトリ−エステル等);MAHCアセテート,例えばグリセロール1,2−ジアセテート;カルボン酸アミド,例えばε−カプロラクタムおよびγ−ブチロラクタム;ならびにカルボン酸ラクトン,例えばγ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトンおよびε−カプロラクトンもまた、本発明において使用できる。酢酸亜鉛は、金属有機化合物の例である。前記の触媒および触媒前駆体の混合物もまた使用できる。
触媒を超大気圧プロセスで使用する場合、触媒は、例えばカルボン酸;無水物;酸クロリド;エステル;ラクトン;ラクタム;アミド;金属有機化合物,例えば酢酸ナトリウム;またはこれらの組合せであることができる。カルボン酸または官能基化カルボン酸に、塩化水素化反応条件下で変換可能な任意の化合物もまた使用できる。超大気圧プロセスのために好ましいカルボン酸は、ハロゲン、アミン、アルコール、アルキル化アミン、スルフヒドリル、アリール基もしくはアルキル基またはこれらの組合せからなる官能基を有する酸であり、この部分は、カルボン酸基の立体障害とならない。
特定の触媒はまた、特に、水が反応混合物から連続的または周期的に除去されて所望のより高レベルへの変換を推進する状況で、本発明に係る1種もしくは複数種のDCHを回収する場合には、超大気圧、大気圧、または大気圧未満で有利に使用できる。例えば、1種もしくは複数種のMAHCの反応の塩化水素化は、塩化水素ガスに1種もしくは複数種のMAHCと1種もしくは複数種の触媒との混合物との接触を導入することによって、例えば塩化水素ガスを液相反応混合物に亘り散布することによって実施できる。このようなプロセスにおいて、より揮発性が小さい触媒,例えば6−ヒドロキシヘキサン酸、4−アミノ酪酸;ジメチル4−アミノ酪酸;6−クロロヘキサン酸;カプロラクトン;カルボン酸アミド,例えばε−カプロラクタムおよびγ−ブチロラクタム;カルボン酸ラクトン,例えばγ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトンおよびε−カプロラクトン;カプロラクタム;4−ヒドロキシフェニル酢酸;6−アミノ−カプロン酸;4−アミノフェニル酢酸;乳酸;グリコール酸;4−ジメチルアミノ酪酸;4−トリメチルアンモニウム酪酸;およびこれらの組合せ;等の使用が好ましい場合がある。触媒を、これらの大気条件または大気圧未満条件の下で、すなわち生成および回収される1種もしくは複数種のDCHよりも小さい揮発性で使用することが最も望ましい。
本発明において使用される好ましい触媒としては、カルボン酸、カルボン酸のエステル、およびこれらの組合せ、特に、沸点が所望の最高沸点のDCH(反応混合物中に形成されるもの)よりも高いエステルおよび酸(すなわち、1種もしくは複数種の触媒は、好ましくは、混合物中の1種もしくは複数種のDCHよりも低揮発性)が挙げられ、よって、1種もしくは複数種のDCHは、触媒の除去なしで取出せる。この定義に合致し、そして本発明において有用である触媒としては、例えば、ポリアクリル酸、カルボン酸のグリセリンエステル(グリセリンのモノ−、ジ−、およびトリ−エステル等)、アクリル酸でグラフトされたポリエチレン、ジビニルベンゼン/メタクリル酸コポリマー、6−クロロヘキサン酸、4−クロロブタン酸、カプロラクトン、ヘプタン酸、4−ヒドロキシフェニル酢酸、4−アミノフェニル酢酸、6−ヒドロキシヘキサン酸、4−アミノ酪酸、4−ジメチルアミノ酪酸、4−トリメチル−アンモニウム酪酸クロリド、ステアリン酸、5−クロロ吉草酸、6−ヒドロキシへキサン酸、4−アミノフェニル酢酸、およびこれらの混合物が挙げられる。カルボン酸基の周りが立体的に邪魔されないカルボン酸が一般的に好ましい。
更に、1種もしくは複数種の触媒は、好ましくは、使用される1種もしくは複数種のMAHCと混和性である。この理由で、1種もしくは複数種の触媒は、極性ヘテロ原子置換基,例えばヒドロキシル、アミノもしくは置換アミノ、またはハライド基を含有でき、これは触媒を反応混合物中の1種もしくは複数種のMAHC,例えばグリセロールと混和性にする。
存在できる1種もしくは複数種の触媒の一態様は、一般的に、以下の式(a)で表され、式中、官能基「R’」は、アミン、アルコール、ハロゲン、スルフヒドリル、エーテルを含む官能基;または、前記の官能基を含有する、1〜約20炭素原子の、アルキル基、アリール基もしくはアラルキル基;またはこれらの組合せを包含し;そして式中、官能基「R」は、水素、アルカリ、アルカリ土類もしくは遷移金属または炭化水素の官能基を包含できる。
Figure 2010523699
触媒は再循環して繰返し使用し、このような再循環された触媒は、約0.1モル%、好ましくは約1モル%、より好ましくは約5モル%から、約99.9モル%以下、好ましくは70モル%以下、およびより好ましくは50モル%以下の量(存在するMAHCのモル単位の量基準)で存在できる。より高い触媒濃度を望ましく使用して、反応時間を低減し、そしてプロセス設備のサイズを最小化できる。
好ましい態様において、混合物(a)は、水,例えば塩化水素化反応の副生成物として生成される水、塩化水素化反応のための出発物質中に存在する水、および/またはストリッピング剤として導入される水を含む。混合物(a)は、少なくとも1質量パーセント、または少なくとも5質量パーセントの水、90質量パーセント以下、より好ましくは50質量パーセント以下、更により好ましくは20質量パーセント以下、および最も好ましくは10質量パーセント以下の水を含有できる。
ステップ(a)の混合物は、液相または液相と蒸気相との組合せであることができる。一態様において、ステップ(a)の混合物は、ステップ(b)の前に塩化水素化反応流出物流を蒸気相流出物流と液相流出物流とに分離して液相流出物流または蒸気相流出物流と液相流出物流との両者を、別個にまたは組合せでステップ(b)に導入することによって、ステップ(b)に供される。反応流出物流の分離は、例えば、液体−蒸気接触装置(および任意に、ステップ(b)における液体−蒸気接触装置と別個のまたはこれと一体化されたフラッシュ容器)を含む分離系内で実施できる。
混合物(a)からのDCHの回収
混合物からの1種もしくは複数種のDCHの回収は、還流条件下で混合物を蒸留または分画して、上記の1種もしくは複数種のDCHならびに、1種もしくは複数種のDCHの沸点以上の第1の温度を有する水、および第1の蒸気相流出物の圧力で混合物中に存在する水、のうち1種以上を含む第1の蒸気相流出物流を、第1の蒸気相流出物の圧力で混合物から分離することを含む。1種もしくは複数種のDCHは、好ましくは、1,3−ジクロロ−2−プロパノールおよび/もしくは2,3−ジクロロ−1−プロパノール、ならびにその1種もしくは複数種のエステルを含む。
第1の蒸気相流出物流は、1種以上の以上で規定した1種もしくは複数種のMCH,例えば2−クロロ−1,3−プロパンジオールおよび/もしくは3−クロロ−1,2−プロパンジオールならびにその1種もしくは複数種のエステル;1種以上の以上で規定した1種もしくは複数種のMHAC;ならびに/または、1種以上の以上で規定した1種もしくは複数種の塩素化剤、1種もしくは複数種の触媒、および/または1種もしくは複数種の触媒の1種もしくは複数種のエステルを含む物質を含有できる。蒸留または分画のステップ(a)は、第1の蒸気相流出物流中の1種もしくは複数種のDCHの濃度を、蒸留または分画のステップに供給される混合物に対して富化する。
蒸留または分画のステップ(b)は、好ましくは、蒸留底部において測定される温度の少なくとも25℃、より好ましくは少なくとも50℃、更により好ましくは少なくとも80℃、更により好ましくは少なくとも100℃、および更により好ましくは少なくとも110℃、160℃以下、好ましくは150℃以下、更により好ましくは140℃以下、更により好ましくは130℃以下、および最も好ましくは120℃以下で実施する。
より穏やかな分離条件は、蒸留底部の温度を低減して、ステップ(b)の間の重質副生成物形成の速度を低減することを含むことができる。プロセスの安全性および効率は、蒸留カラムがより低い底部温度で操作される場合に改善される。より低い底部温度はまた、プロセスの乱れ,例えば減圧の損失またはプラントへの出力の損失、の場合の暴走反応の恐れを低減する。
カラムの底部における低温を実現する1つの方法は、カラムを減圧条件下で操作することであり、これによりカラムの頂部の圧力が100kPa未満、好ましくは50kPa未満、より好ましくは10kPa未満、更により好ましくは5kPa未満、および最も好ましくは2kPa未満、ならびに、0.1kPa超、好ましくは0.5kPa超、および最も好ましくは1kPa超に維持される。カラム内のより低い圧力は、カラムの底部におけるより低温の実現を助けるが、これは、より低圧で必要な、増大したカラムサイズ、更には増大した操作コストと、バランスをとるのがよい。増大したカラムサイズは、カラムおよびカラム内部の増大した資源コストをもたらす。
ステップ(b)は、好ましくは蒸留カラム,例えば分画蒸留カラム内で行なう。好適な蒸留カラムの例としては、プレート(棚板)またはトレイのカラム、気泡キャップカラム、充填カラム等が挙げられる。
少なくとも1つの液体−蒸気接触装置は、好ましくは充填蒸留カラムである。気体−液体接触のために内部に充填要素を有するカラムは、充填カラムとよばれる。充填カラムには、通常、ランダムに向いた充填物質が、充填要素をカラム内に投入してこれらにランダム配列の充填(充填床を形成する)を形成させることにより充填される。多くの種類のランダム充填物が市販で入手可能であり、そして幾つかの種類は一般的に使用されている。市販で入手可能なランダム充填物のうち幾つかは、ラシヒリング、バールサドル、テレレット(tellerette)、パールリング(pall ring)、インタロックスサドル、IMTP等である。代替として、より大きい区画の剛直または配列した充填材料(構造化充填物(structured packing)とよばれる)を、カラム内に注意深く挿入できる。ランダム充填物は通常、より安価である。構造化(秩序、配列、またはスタック)充填物は、例えば編ワイヤ、波形および穿孔されたシートで形成できる。市販で入手可能な構造化充填物の幾つかは、Koch Flexipac,Sulzer Mellapak,Koch BX等である。本発明の方法および装置において使用される充填物または内部物は、好ましくは適切な物質の構造で形成されて耐腐食性が与えられ、そして良好な液体濡れ性が与えられる。
カラムの底部における低温を実現する別の側面は、1つまたは複数のカラム内の圧力降下を最小化することである。カラム,例えば蒸留カラムの中の圧力降下は、カラム内で使用する内部物の種類に左右される。カラム内で使用される内部物の種類は、これらが必要とする理論平衡段階当たりの圧力降下が最小限であるようなものがよい。充填カラムは、プレートまたはトレイのカラムよりも低い、理論段階当たり圧力降下を有する。1つまたは複数の充填カラムのために選択される充填物は、可能な理論段階当たりの最低圧力降下の1つを有するのがよい。構造化充填物は、ランダム充填物よりも低い理論段階当たり圧力降下を有する。従って、構造化充填物は、本発明の1つの好ましい任意の態様である。
ステップ(b)の間の第1の理論段階と最後の理論段階との間での平均圧力降下は、理論段階当たり、1.3kPa以下、好ましくは1kPa以下、より好ましくは0.7kPa以下、および更により好ましくは0.4kPa以下である。
理論平衡段階(よりしばしば理論段階とよばれる)は、化学工学分野において、より特別には蒸留の分野において、よく定着した法則である。Perry’s Chemical Engineers’ Handbook,7th edition,第13−4頁は、理論平衡段階を規定する。必要な理論平衡段階の数は、次に、同数の実際の接触トレイまたは充填物の高さに変換される。トレイを有するカラムにおいて、実際のトレイ効率は、通常100%未満であり、理論段階よりも多くのトレイが必要になる。
必要な数を超えるカラム内の段階を導入せずにカラム内の総圧力降下(すなわちカラムの第1の理論段階と最後の理論段階との間の差)を最小化することもまた重要である。充填カラム内の充填物高さを最小化することは、カラム内の圧力降下を最小化する。カラム内の総圧力降下は、7kPa以下がよく、好ましくは5kPa以下、およびより好ましくは3kPa以下である。
必要な理論平衡段階の数は、分離すべき成分、これらの相対的な揮発性、そしてまた軽質および重質の鍵となる成分間の所望の分離程度に左右される。本発明の好ましい態様において、1-MCHは重質の鍵、言い換えれば留分中の重要な鍵となる重質成分であり、一方、1,3−DCHは、カラム底部における重要な鍵となる軽質成分であり、これを軽質の鍵とする。本発明の好ましい態様において、留分中の所望の1-MCHの濃度は、1wt%未満、好ましくは0.1wt%未満、より好ましくは500wtppm未満、および最も好ましくは100wtppm未満である。カラムの底部の極めて低い濃度のDCH(1,3−DCHおよび2,3−DCHの両者を含む)を実現することは、連続再循環プロセスよりも臨界的ではない。全ての再循環されるDCHの収率は、これに顕著には影響されないからである。無論、DCHの濃度を、カラム底部において可能な限り低く有して、設備サイズを最小化することが望ましいが、そうすることは底部における温度の増大をもたらし、これは底部におけるより大きい程度の重質副生成物形成をもたらす。この重質副生成物形成程度は、カラムの底部における温度を最小化することによって最小化することが望ましい。
従って、本発明の方法の別の態様は、カラム底部内のDCHの十分な濃度を維持して、選択される圧力でのカラム底部内の所望の温度を実現することである。カラム底部における総DCH濃度は、少なくとも1質量パーセントであるのがよく、好ましくは少なくとも5質量パーセント、より好ましくは少なくとも10質量パーセント、更により好ましくは少なくとも15質量パーセントであり;そして、30質量パーセント以下、および好ましくは25質量パーセント未満である。
本発明の別の態様において、所望の分離(これはカラムをより高圧で操作する一方プロセス物質を比較的低温に維持することを可能にする)のためにスチームストリップを採用できる。より高圧条件のプロセスは、省エネルギー化および減圧装置のより広い選択を可能にする。より経済的なスチームジェットエジェクターまたは減圧ポンプを使用でき、これは固定の資源コストおよび操作コストを低減する。操作信頼性もまた、スチームジェットエジェクターの使用により改善される。スチームジェットエジェクターは動く部品を有さず、一方、低圧、高減圧の操作は一般的にオイルシール回転減圧ポンプまたは多段階のスチームジェットエジェクターの使用を必要とするからである。より高い蒸留カラム圧力の操作もまたカラムサイズを低減し、これにより償却すべき資源投資を低減する。
ステップ(b)に導入する混合物から回収される1種もしくは複数種のDCHのパーセントは、一般的に、選択される温度および圧力の条件の組合せに左右される。ステップ(b)において所定のDCH回収を得るために、温度の低減は一般的に操作圧力の低減を必要とし、逆に操作圧力の増大は一般的に操作温度の増大を必要とする。選択される具体的な温度および圧力の条件は、低温およびより高圧の操作に関するそれぞれの利点の実現が所望される範囲に左右される。
ステップ(b)は、好ましくは、ステップ(b)の高沸点画分における重質副生成物の量が、ステップ(a)において得られる混合物中の重質副生成物の量の120パーセントを超えない、より好ましくは110パーセントを超えない、更により好ましくは105パーセントを超えない、最も好ましくは102パーセントを超えないような条件下で実施する。重質および不所望の副生成物の形成をプロセスにおいて最小化することは、連続再循環プロセスとしてプロセスを操作する際のプロセスにおける重質副生成物の蓄積を防止するのに必要なプロセスパージの低減を可能にする。パージ流は、プロセスにおける有用成分,例えばジクロロヒドリン、モノクロロヒドリン、MAHC、触媒、および/またはこれらのエステルを含有できる。従って、パージを最小化することは、ジクロロヒドリンの収率の増大をもたらす。
ステップ(a)において得られる混合物は、混合物を蒸留および/または分画する(例えば、フラッシュ容器の介在により)前に圧力レットダウンステップに通して、蒸留または分画の間の混合物の圧力およびフラッシュ傾向を低減できる。フラッシュ容器はまた、サージ容器または緩衝容器として作用して、蒸留および/または分画のステップより上流の流れの変動またはサージの影響を低減でき、そして蒸留および/または分画のステップへの混合物の流れの管理を助けることができる。
一態様において、追加の1種もしくは複数種のMAHCおよび/またはその1種もしくは複数種のエステルを、反応性の蒸留/分画のためにステップ(b)に導入できる。追加の1種もしくは複数種のMAHCおよび/またはその1種もしくは複数種のエステルは、塩素化剤と反応して追加の1種もしくは複数種のMCHおよび/またはその1種もしくは複数種のエステルを生成できる。追加の1種もしくは複数種のMAHCはまた、1種もしくは複数種のDCHおよび1種もしくは複数種のMCHの1種もしくは複数種のエステルと反応して、これらを1種もしくは複数種の非エステルに変換して1種もしくは複数種のDCHの回収を促進できる。追加の1種もしくは複数種のMAHCおよび/またはその1種もしくは複数種のエステルは、好ましくは液相として還流中に導入する。
上記プロセスステップは、独立にまたは互いに同時に実施できる。好ましい態様において、上記プロセスステップのうち1つ以上を互いに同時に実施する。
上記プロセスステップのうち1つ以上は、連続または不連続で実施できる。上記プロセスステップのうち1つ以上は、好ましくは連続で(すなわち中断なく)少なくとも1時間の間実施する。好ましくは、全ての上記プロセスステップは、少なくとも1時間の間連続的に実施する。
ステップ(b)において処理される、より高沸点の画分の少なくとも幾つかは、好ましくは塩化水素化ステップに再循環させる。より好ましい態様において、ステップ(b)において処理される、実質的に全てのより高沸点の画分を、塩化水素化ステップに再循環させる。塩化水素化ステップは、混合物(a)の成分を含有する塩化水素化流出物を生成するために用いる塩化水素化プロセスにおいて好ましくは第1のステップである。
処理されたより高沸点の画分を再循環させることは、1種もしくは複数種のMAHCおよび/またはその1種もしくは複数種のエステル、ならびに/または1種もしくは複数種のMCHおよび/またはその1種もしくは複数種のエステルを更に反応させて追加のDCHを形成することを可能にし、これは一般的に、全塩化水素化変換および回収の程度を増大させる。その場合、本発明に係る方法は、ステップ(d)における塩化水素化の間に生成する1種もしくは複数種のDCHの少なくとも80パーセント、より好ましくは少なくとも90パーセント、更により好ましくは少なくとも95パーセント、更により好ましくは少なくとも99パーセント、および更により好ましくは少なくとも99.9パーセントを回収できる。
少なくとも1つの分離装置(2)は、好ましくは、少なくとも1つの分離装置(2)の少なくとも1つの液体−蒸気接触装置からの蒸留残渣流出物流を、蒸留残渣を再循環させるために少なくとも1つの反応器(1)に導くために、少なくとも1つの反応器(1)に接続する。
少なくとも1つの分離装置は、好ましくは、少なくとも1つの反応器(1)と少なくとも1つの液体−蒸気接触装置との間に接続されたフラッシュ容器を、反応器流出物流を蒸気相反応器流出物流および液相反応器流出物流に分離するため、そして液相流出物および蒸気相流出物の両者を少なくとも1つの液体−蒸気接触装置に導くために含む。
以下の例は、例示の目的のみのためであり、そして、本発明の範囲の限定を意図しない。
例において使用する設備
蒸留は、6mmセラミックIntaloxサドルが充填されたガラス蒸留カラム(2つの充填床区画を含有する)を用いて行なう。カラムへの供給物は、2つの充填床区画の間に位置させる。カラムは、ガラス再沸騰器および直列の2つの部分凝縮器を備え、またガラスで形成されている(カラムを出る蒸気流を冷却するため)。第1の凝縮器を、冷却グリコールで冷却する。第1の凝縮器からの凝縮物の一部を、還流としてカラムに戻し、そして凝縮物の残りを生成物として収集する。
第1の凝縮器からの凝縮されていない蒸気を、より低温で操作する第2の凝縮器内で凝縮して、冷却グリコールで冷却する。第2の凝縮器を出る、凝縮されていない蒸気を、減圧ポンプ(系全体に減圧を与える)に入る前に一連の低温トラップに通す。第2の凝縮器からの第2の凝縮された液相流出物を生成物として収集する。
実施例1
この実施例では、DCH回収プロセスを、本発明に従って、下記表1に示す供給物組成および条件に基づき実施する:
Figure 2010523699
蒸留データを表2に示す:
Figure 2010523699
上記表2は、ジクロロヒドリンを含む流れが、主にジクロロヒドリンを含む頂部生成物流と、供給物流中の重質成分,例えばモノクロロヒドリン、グリセロールおよび他の成分(触媒およびそのエステル、エーテルおよびより高分子量の化合物等)を含む底部生成物流とに、重質物の測定可能な形成なしで分離されたことを示す。上記表2で与えられる測定は、当業者に許容できる実験測定(相対)誤差約+/−5パーセントの範囲内である。
連続再循環プロセス全体での副生成物形成の程度(表2では示さず)は、プロセスにおいて生成するDCHの量の2パーセント未満であった。
実施例2〜4および比較例A〜C
以下に示す更なる例は、蒸留カラムのプロセスシミュレーションに基づく。蒸留プロセスモデルの結果を実験データと十分に比較した。このプロセスモデルを用いて、カラム内の圧力降下の効果およびカラムの底部での温度に対するその効果をシミュレートした。カラムの底部での温度は、カラムの頂部での圧力、カラム内の圧力降下、更にカラムの底部でのプロセス物質の組成に左右される(以下の例で示す通り)。実施例3は、カラム底部での増大した温度(ジクロロヒドリン濃度の低減の結果として)の効果を、実施例2と比較した場合で示す。実施例4は、カラム底部での増大した温度の効果(カラム内の増大した圧力降下の結果として)を、実施例2と比較した場合で示す。比較例A〜Cは、カラム内の圧力降下の更なる増大の効果を、カラム種を充填からプレートに変えた場合で示す。結果は、カラムの底部における温度の増大である。カラムの底部におけるこのより高い温度は、プロセスにおいて高分子量物質のより大きい程度の形成(これはプロセスに対する収率損失である)をもたらし、そしてまたより多い廃棄コスト(プロセスにおける重質物の蓄積を制御するためのプロセスからのパージの程度の増大により)を招来する。
コンピュータシミュレーションにより、表3に示す蒸留データを得た:
Figure 2010523699

Claims (32)

  1. 1種または複数種のジクロロヒドリンを含有する反応性混合物からの該1種または複数種のジクロロヒドリンの回収中の重質副生成物の形成を低減させる方法であって:
    (a)(1)1種または複数種のジクロロヒドリンと、(2)(a’)1種もしくは複数種のクロロヒドリンの1種以上のエステルおよび/または1種もしくは複数種の多ヒドロキシル化脂肪族炭化水素化合物ならびに/または(b’)1種以上のモノクロロヒドリンおよび/または1種もしくは複数種の多ヒドロキシル化脂肪族炭化水素化合物を、1種もしくは複数種のクロロヒドリンの1種以上のエステル、1種もしくは複数種の多ヒドロキシル化脂肪族炭化水素化合物の1種もしくは複数種のエステル、1種もしくは複数種の触媒、および/または1種もしくは複数種の触媒の1種もしくは複数種のエステルの存在下で含む1種以上の反応性成分と、(3)任意に、水、1種もしくは複数種の塩素化剤,1種もしくは複数種の触媒,1種もしくは複数種の触媒の1種もしくは複数種のエステル,ならびに/または重質副生成物を含む1種以上の物質と、を含む混合物を調製すること;ならびに
    (b)ステップ(a)の混合物を、少なくとも3つの理論段階を有し、そして理論段階当たりの圧力降下が1.3kPa以下である液体−蒸気接触装置内で蒸留して、1種または複数種のジクロロヒドリンを含む少なくとも1種の留分をステップ(a)において調製される混合物から分離すること;
    を含む、方法。
  2. 液体−蒸気接触装置の第1の理論段階と最後の理論段階との間での圧力差が7kPa以下である、請求項1に記載の方法。
  3. 液体−蒸気接触装置の第1の理論段階と最後の理論段階との間での圧力差が5kPa以下である、請求項1に記載の方法。
  4. 液体−蒸気接触装置の第1の理論段階と最後の理論段階との間での圧力差が3kPa以下である、請求項1に記載の方法。
  5. ステップ(b)の間のカラム底部の温度が150℃以下である、請求項1または2に記載の方法。
  6. ステップ(b)の間の第1の理論段階と最後の理論段階との間での平均圧力降下が、理論段階当たり1kPa以下である、前掲の請求項のいずれかに記載の方法。
  7. ステップ(b)の間の第1の理論段階と最後の理論段階との間での平均圧力降下が、理論段階当たり0.5kPa以下である、前掲の請求項のいずれかに記載の方法。
  8. 液体−蒸気接触装置が充填カラムである、前掲の請求項のいずれかに記載の方法。
  9. 液体−蒸気接触装置を、ランダムまたは構造化された充填物で充填する、前掲の請求項のいずれかに記載の方法。
  10. 液体−蒸気接触装置を、還流条件下で操作する、前掲の請求項のいずれかに記載の方法。
  11. ステップ(a)の混合物が、1種もしくは複数種の触媒および/またはそのエステルを含む、前掲の請求項のいずれかに記載の方法。
  12. 触媒が、少なくとも1種のカルボン酸、少なくとも1種のカルボン酸の少なくとも1種のエステルまたはこれらの組合せであり、ステップ(b)の条件下で最も高沸点であるジクロロヒドリンの沸点よりも高い沸点をステップ(b)の条件下で有する、請求項8に記載の方法。
  13. 触媒が、(i)2〜約20個の炭素原子を有し、かつアミン、アルコール、ハロゲン、スルフヒドリル、エーテル、エステルもしくはこれらの組合せを含む群から選択される少なくとも1つの官能基を含有するカルボキシレート誘導体であり、該官能基がアルファ炭素よりも近くなく酸官能基に付いているか;またはその前駆体が;(ii)1種もしくは複数種のジクロロヒドリンよりも揮発性が低く;そして(iii)ヘテロ原子置換基を含有する、請求項7または8に記載の方法。
  14. ステップ(b)の蒸留残渣中の1種もしくは複数種の重質副生成物の量が、ステップ(a)において調製される混合物中の重質副生成物の量の120パーセントを超えない、前掲の請求項のいずれかに記載の方法。
  15. ステップ(b)の蒸留残渣中の1種もしくは複数種の重質副生成物の量が、ステップ(a)において調製される混合物中の重質副生成物の量の110パーセントを超えない、前掲の請求項のいずれかに記載の方法。
  16. ステップ(b)の蒸留残渣中の1種もしくは複数種の重質副生成物の量が、ステップ(a)において調製される混合物中の重質副生成物の量の105パーセントを超えない、前掲の請求項のいずれかに記載の方法。
  17. 1種もしくは複数種のジクロロヒドリンを、ステップ(b)の留分から回収する、前掲の請求項のいずれかに記載の方法。
  18. ステップ(b)において生成する留分をエポキシ化に供して、留分の追加の精製なしでエピクロロヒドリンを形成する、前掲の請求項のいずれかに記載の方法。
  19. 1種もしくは複数種のジクロロヒドリンを含有する反応性混合物からの該1種もしくは複数種のジクロロヒドリンの回収中の重質副生成物の形成を低減させる方法であって:
    (a)(1)1種または複数種のジクロロヒドリンと、(2)(a’)1種もしくは複数種のクロロヒドリンの1種以上のエステルおよび/または1種もしくは複数種の多ヒドロキシル化脂肪族炭化水素化合物ならびに/または(b’)1種以上のモノクロロヒドリンおよび/または1種もしくは複数種の多ヒドロキシル化脂肪族炭化水素化合物を、1種もしくは複数種のクロロヒドリンの1種以上のエステル、1種もしくは複数種の多ヒドロキシル化脂肪族炭化水素化合物の1種もしくは複数種のエステル、1種もしくは複数種の触媒、および/または1種もしくは複数種の触媒の1種もしくは複数種のエステルの存在下で含む1種以上の反応性成分と、(3)任意に、水、1種もしくは複数種の塩素化剤,1種もしくは複数種の触媒,1種もしくは複数種の触媒の1種もしくは複数種のエステル,ならびに/または重質副生成物を含む1種以上の物質と、を含む混合物を調製すること;ならびに
    (b)ステップ(a)の混合物を充填カラム内で蒸留すること;
    を含む、方法。
  20. 1種もしくは複数種のジクロロヒドリンを製造する方法であって、前掲の請求項のいずれかに記載の方法を含み、ステップ(a)において調製される混合物が、1種もしくは複数種のモノクロロヒドリンおよび/またはその1種もしくは複数種のエステルおよび/または1種もしくは複数種の多ヒドロキシル化脂肪族炭化水素化合物および/またはその1種もしくは複数種のエステル、の塩化水素化によって生成するかまたはこれに由来する、方法。
  21. 塩化水素化ステップを液相中で行ない、そしてステップ(a)において調製される混合物が塩化水素化ステップの液相を含む、請求項20に記載の方法。
  22. 塩化水素化を、1種もしくは複数種のモノクロロヒドリンおよび/またはその1種もしくは複数種のエステルおよび/または1種もしくは複数種の多ヒドロキシル化脂肪族炭化水素化合物および/またはその1種もしくは複数種のエステルを塩化水素化するための触媒の存在下で行なう、請求項20または21に記載の方法。
  23. 塩化水素化を、塩化水素ガスを塩化水素化剤として用いて行なう、請求項20〜22のいずれかに記載の方法。
  24. 塩化水素化を、超大気分圧の塩化水素源を塩化水素化剤として用いて行なう、請求項20〜23のいずれかに記載の方法。
  25. 方法のステップの全てを互いに同時に行ない、そして該方法を少なくとも1時間の間連続的に行なう、請求項20〜24のいずれかに記載の方法。
  26. ステップ(b)の蒸留残渣を、塩化水素化ステップに再循環させる、請求項20〜25のいずれかに記載の方法。
  27. 塩化水素化中に生成する1種もしくは複数種のジクロロヒドリンの回収パーセントが少なくとも95パーセントである、請求項26に記載の方法。
  28. 1種もしくは複数種のジクロロヒドリンを、1種もしくは複数種の多ヒドロキシル化脂肪族炭化水素化合物および/またはその1種もしくは複数種のエステルから製造するために好適な装置であって:
    (1)少なくとも1つの反応器;
    (2)全部で少なくとも3つの理論段階を有し、液体−蒸気接触装置の最も高い理論段階での圧力が13kPaまたはそれ未満である場合の理論段階当たりの平均圧力降下が1.3kPa以下である、1つ以上の液体−蒸気接触装置を含む少なくとも1つの分離装置;および
    (3)少なくとも1つの分離装置(2)の少なくとも1つの液体−蒸気接触装置に減圧を適用するための手段であって、液体−蒸気接触装置内の圧力を、液体−蒸気接触装置の最も高い理論段階で測定される13kPaまたはそれ未満に低減可能な手段;
    を含み、
    少なくとも1つの反応器(1)が、少なくとも1つの分離装置(2)に、反応器流出物流を少なくとも1つの反応器(1)から少なくとも1つの分離装置(2)の少なくとも1つの液体−蒸気接触装置に蒸留のために導くために接続されている、装置。
  29. 少なくとも1つの液体−蒸気接触装置が充填蒸留カラムである、請求項28に記載の装置。
  30. 少なくとも1つの分離装置(2)が、少なくとも1つの反応器(1)に、蒸留残渣流出物流を少なくとも1つの分離装置(2)の少なくとも1つの液体−蒸気接触装置から少なくとも1つの反応器(1)に蒸留残渣の再循環のために導くために接続されている、請求項28または29に記載の装置。
  31. 少なくとも1つの分離装置が、少なくとも1つの反応器(1)と少なくとも1つの液体−蒸気接触装置との間に、反応器流出物流を蒸気相反応器流出物流と液相反応器流出物流とに分離するため、および液相反応器流出物を少なくとも1つの液体−蒸気接触装置に導くために接続されたフラッシュ容器を含む、請求項28〜30のいずれかに記載の装置。
  32. 1種もしくは複数種のジクロロヒドリンを、1種もしくは複数種の多ヒドロキシル化脂肪族炭化水素化合物および/またはその1種もしくは複数種のエステルから製造するために好適な装置であって:
    (1)少なくとも1つの反応器;
    (2)1つ以上の充填蒸留カラムを含む少なくとも1つの分離装置;および
    (3)少なくとも1つの分離装置(2)の少なくとも1つの充填蒸留カラムに減圧を適用するための手段であって、充填蒸留カラム内の圧力を、充填蒸留カラムの最も高い理論段階で測定される13kPaまたはそれ未満に低減可能な手段;
    を含み、
    少なくとも1つの反応器(1)が、少なくとも1つの分離装置(2)に、反応器流出物流を少なくとも1つの反応器(1)から少なくとも1つの分離装置(2)の少なくとも1つの充填蒸留カラムに蒸留のために導くために接続されている、装置。
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