JPH10163015A - 磁石合金粉末とその製造方法およびそれを用いた磁石 - Google Patents

磁石合金粉末とその製造方法およびそれを用いた磁石

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JPH10163015A
JPH10163015A JP8323203A JP32320396A JPH10163015A JP H10163015 A JPH10163015 A JP H10163015A JP 8323203 A JP8323203 A JP 8323203A JP 32320396 A JP32320396 A JP 32320396A JP H10163015 A JPH10163015 A JP H10163015A
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magnetic
magnet
alloy powder
magnetic field
phase
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JP8323203A
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Atsunori Kitazawa
淳憲 北澤
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Seiko Epson Corp
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    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01FMAGNETS; INDUCTANCES; TRANSFORMERS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR MAGNETIC PROPERTIES
    • H01F1/00Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties
    • H01F1/01Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials
    • H01F1/03Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity
    • H01F1/0302Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity characterised by unspecified or heterogeneous hardness or specially adapted for magnetic hardness transitions
    • H01F1/0306Metals or alloys, e.g. LAVES phase alloys of the MgCu2-type

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Abstract

(57)【要約】 【課題】角形性がよく磁石性能が高い磁石合金粉末とそ
の製造方法を提供すること。 【解決手段】本発明の磁石合金粉末は2種類の組成の異
なる磁性相を有しており、それぞれの磁性相の飽和磁化
と異方性磁場の大小関係が反対である。この磁石粉末の
製造方法は2種類の磁性相を各々別々に製造し、その粉
末を混合し、仮焼結を行い、さらに粉砕を行なう磁石合
金粉末の製造方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は磁石合金粉末及びそ
の製造方法ならびにそれを用いた磁石に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来の高性能な磁石はNd2Fe14B系
磁石に代表されるような単一組成の磁性相を有するもの
がほとんどであった。ところが、近年、IEEE Tr
ans. Mgn. MAG−27, 3588(19
91)に述べられているような硬質磁性相と軟質磁性相
を含んだいわゆる交換スプリング磁石や特開平8−31
626号公報に示されているように異種の磁石粉末を混
合して磁石粉末間に静磁気的な相互作用を働かせて磁石
の高性能化を実現していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような磁石には次のような課題を有していた。
【0004】まず、交換スプリング磁石は、硬質磁性相
と軟質磁性相を結晶学的に結合させて両相に交換相互作
用を働かせ、軟質磁性相の磁化反転を硬質磁性相が抑制
しているが、この抑制力にも限界があり、高磁場での磁
化反転が起こり易く、その結果、交換スプリング磁石現
在のところ角形性が悪い。また、この磁石の特徴である
磁化のスプリング挙動がモーターなどの応用製品に不向
きである。さらに、交換スプリング磁石は製造方法が限
定されるため、現在のところ等方性のものしか得られて
いない。
【0005】次に、異種の磁石粉末を混合した磁石は、
粉末間の静磁気的な相互作用を利用しているため、結晶
レベルの交換相互作用に比べ弱く、特性面に限界があ
る。
【0006】そこで、両者の利点を生かし、異種の磁性
相間に交換相互作用を働かせることを実現し、本発明に
至った。
【0007】すなわち、本発明の目的は2種類の硬質磁
性相に交換相互作用を働かせ、高性能な磁石合金粉末と
その製造方法を提供すること、及びその磁石合金粉末を
用いた磁石を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
の(1)〜(12)の本発明により達成される。
【0009】(1) 磁石合金粉末中に組成を異にする
2種類の磁性相が共存し、それぞれの磁性相を磁性相A
(飽和磁化:MA、異方性磁場:HA)及び磁性相B(飽
和磁化:MB、異方性磁場:HB)としたとき、それぞれ
の飽和磁化及び異方性磁場がMA>MBかつ20kOe≦
A<HBの関係を有することを特徴とする磁石合金粉
末。
【0010】(2) 磁性相A及び磁性相Bの異方性磁
場がHA=X・HBかつ0.1<X<1の関係を有するこ
とを特徴とする上記(1)記載の磁石合金粉末。
【0011】(3) 磁性相A及び磁性相Bの異方性磁
場がHA=X・HBかつ0.5<X<1の関係を有するこ
とを特徴とする上記(2)記載の磁石合金粉末。
【0012】(4) 磁性相A及び磁性相Bの飽和磁化
がMA=Y・MBかつ1<Y≦2の関係を有することを特
徴とする上記(1)記載の磁石合金粉末。
【0013】(5) 磁性相A及び磁性相Bの飽和磁化
がMA=Y・MBかつ1<Y≦1.5の関係を有すること
を特徴とする上記(4)記載の磁石合金粉末。
【0014】(6) 磁性相A及び磁性相Bの異方性磁
場及び飽和磁化がHA=X・HBかつ0.5<X<1かつ
A=Y・MBかつ1<Y≦1.5の関係を有することを
特徴とする上記(1)記載の磁石合金粉末。
【0015】(7) 上記(1)〜(6)いずれかに記
載の磁石合金粉末と樹脂とが混合されてなることを特徴
とする磁石。
【0016】(8) 上記(1)〜(6)いずれかに記
載の磁石合金粉末を焼結してなることを特徴とする磁
石。
【0017】(9) 上記(1)〜(6)いずれかに記
載の磁石合金粉末を製造する方法であって、磁性相A及
び磁性相Bのそれぞれ同一の組成を有する磁石合金粉末
を別々に製造し、各々の粉末を混合する工程と、仮焼結
を施す工程、さらに粉砕を行なう工程とを有することを
特徴とする磁石合金粉末の製造方法。
【0018】(10) 前記仮焼結を施す行程を磁場中
で行なうことを特徴とする上記(9)に記載の磁石合金
粉末の製造方法。
【0019】(11) 前記仮焼結を施す行程をプラズ
マ焼結法を用いて行なうことを特徴とする上記(9)ま
たは(10)に記載の磁石合金粉末の製造方法。
【0020】(12) 前記仮焼結を施す行程を主相で
ある磁性相A及び磁性相B以外の非磁性相を粒界相とし
て混合し焼結することを特徴とする上記(9)または
(10)に記載の磁石合金粉末の製造方法。
【0021】
【発明の実施の形態】以下に本発明の磁石合金粉末とそ
の製造方法について詳細に説明する。
【0022】まず、本発明の磁石合金粉末について説明
する。磁性材料を永久磁石として用いるには飽和磁化と
異方性磁場の大きさが重要となる。飽和磁化は材料中の
磁気モーメントが外部磁場の方向にすべて向き、これ以
上磁化の増加がない場合の磁化である。この飽和磁化が
高い程、磁石の強さは強くなる。しかし、厳密な意味で
の飽和磁化は無限の外部磁場が必要なため、正確な値を
求めるのは困難である。そこで、本発明に用いた飽和磁
化は磁性相の容易軸の方向と外部磁場の方向を揃えた状
態で、外部磁場4T(テスラ)を印加したときの磁化の
値とした。
【0023】次に異方性磁場は、外部磁場に対して、磁
気モーメントがどれだけ磁化反転に耐えることができる
かを示す指標である。軟磁性材料はこれが小さいため
に、容易に外部磁場の方向を向くことになる。本発明に
用いた異方性磁場は容易軸方向に磁場を印加したときの
磁化曲線と難易軸方向に磁場を印加したときの磁化曲線
の交差するときの磁場の値と決めた。測定磁場は4Tま
でとし、その値までに両磁化曲線が交差しない場合は2
つの曲線を外そうした交点での磁場を異方性磁場として
決定した。
【0024】本発明の磁石合金粉末中には、組成系の全
く違う2種類の結晶粒が共存している。2種類の組成系
はそれぞれ単独の組成で構成された成形体で十分、磁石
としての特性を有している。たとえば、磁性相としては
次のようなものを挙げることができるが、特にこれらに
限定されるわけではない。
【0025】(1)Smを主とする希土類元素と、Co
を主とする遷移金属とを基本成分とするもの(以下、S
m−Co系と言う)。
【0026】(2)R(ただし、Rはイットリウムを含
む希土類元素のうち少なくとも一種)と、Feを主とす
る遷移金属と、Bとを基本成分とするもの(以下、R−
Fe−B系と言う)。
【0027】(3)Smを主とする希土類元素と、Fe
を主とする遷移金属と、Nを主とする格子間元素とを基
本成分とするもの(以下、Sm−Fe−N系と言う)。
また、この系はNの他にCやHを用いることも可能であ
る。
【0028】Sm−Co系の代表的なものとしては、S
mCo5、Sm2TM17(ただし、TMは遷移金属)やS
mの一部を他の希土類元素で置換したものが挙げられ
る。
【0029】R−Fe−B系の代表的なものとしては、
Nd2Fe14B系があり、希土類元素の一部を他の希土
類元素で置換したものや、Feの一部をCo、Ni等の
他の遷移金属で置換したものが挙げられる。
【0030】Sm−Fe−N系の代表的なものとしては
Sm2Fe17X系(2≦X5)やNの代わりまたはNと
ともにCやHを用いたものなどが挙げられる。また、S
mの一部を他の希土類元素で置換したものやFeの一部
をCoなどで置換したものが挙げられる。
【0031】前記希土類元素としては、Y、La、C
e、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、D
y、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、ミッシュメタルが
挙げられる。前記遷移金属としては、Fe、Co、Ni
等が挙げられる。さらに、磁気特性などの向上を目的
に、必要に応じてB、Al、Mo、Cu、Ga、Si、
Ti、Ta、Zr、Hf、Ag、Znなどを添加するこ
ともできる。
【0032】以上のような組成を有する磁性相でしかも
2種類の磁性相からなりそれぞれの磁性相の飽和磁化お
よび異方性磁場が以下の関係を有している必要がある。
すなわち、飽和磁化の大小関係と異方性磁場の大小関係
が2種類の磁性相の間で反対であり、しかも異方性磁場
はともに10kOe以上である。
【0033】異方性磁場が10kOe未満では交換スプ
リング磁石のような軟磁性相に近い状態となり、磁化反
転が簡単に起こり、角形性が低下してしまう。また、交
換スプリング磁石において保磁力を得るために、結晶粒
径を数〜数十μmまで微細にすることが必要であり、異
方性磁場が10kOe未満でも同じオーダーの結晶粒に
する必要があり、このような合金粉末を作製するのは困
難である。
【0034】2種類の特性の違う磁性相を含むことによ
り、磁石合金粉末全体の飽和磁化は高い飽和磁化を有す
る磁性相が担い、磁石合金粉末全体の保磁力は高い異方
性磁場を有する磁性相が担う。前記のように、異方性磁
場が大きいと磁気モーメントの磁化反転が起こりにく
く、その結果、磁石の特性値の一つである保磁力も大き
くなる。
【0035】このように飽和磁化と異方性磁場をそれぞ
れ別々の磁性相に分担させることで、従来よりも極めて
高性能な磁石合金粉末を得ることができる。また、2種
類の磁石粉末を単に混合したような磁石に比べ、本発明
は結晶学的に2つの磁性相を結合しているので、両相に
交換相互作用が働き、角形性を向上させることができ
る。 結晶学的にコヒーレントに結合されていれば、異
組成の磁性相間に非磁性相が存在していても問題ない。
また、2種類の磁性相が常に隣接して結合している必要
はなく、結晶粒の配置には特に限定されない。
【0036】次に異方性磁場および飽和磁化の大きさに
ついて説明する。
【0037】まず、異方性磁場について説明する。異方
性磁場の大小関係は異方性磁場の小さい磁性相の異方性
磁場が別の磁性相の異方性磁場の10%以上であること
が好ましい。さらには50%以上であることが好まし
い。10%未満では2種類の磁性相に異方性磁場の差が
大きくなりすぎ、交換スプリング磁石のように、結晶粒
を細かくする必要がある。さらに、50%以上であれ
ば、両磁性相での磁化反転の抑制力が高くなり、角形性
が極めて向上する。
【0038】飽和磁化はその大きさが大きい磁性相が小
さい磁性相の200%以下であることが好ましい。20
0%を越える場合には2相が共存する磁石合金粉末の減
磁曲線が二段階になり、特性が急激に低下してしまう。
【0039】2種類の磁性相の組み合わせとして最も好
ましいのは異方性磁場の小さい磁性相の異方性磁場が異
方性磁場の大きい磁性相の異方性磁場の50%以上でそ
の磁性相の飽和磁化がもう一つの磁性相の150%以下
であることである。
【0040】以上のような磁石粉末を用いて磁石を製造
する。磁石の形態としては大きく分けて、ボンド磁石と
焼結磁石がある。
【0041】ボンド磁石の製造方法としては、圧縮成
形、射出成形、押出成形等がある。圧縮成形には室温で
行なうものや100〜300℃の高温中で行なうものが
ある。また、成形時の雰囲気は大気で行なうものや不活
性ガス中で行い酸化等を防ぐものなどがある。本発明は
これらの製造方法に限定されることはない。
【0042】樹脂としては大きく熱硬化性樹脂と熱可塑
性樹脂があり、さらには樹脂ではなくZnなどの融点の
低い金属を用いたものもあり、樹脂等の種類にも特に限
定されない。
【0043】焼結磁石は磁石合金粉末を圧粉体にして高
温で熱処理する方法や磁石合金粉末のほかに少量の粒界
相となる非磁性相を混合し、熱処理する液相焼結、さら
には火薬などにより爆発を利用して莫大な衝撃力で焼結
する方法、プラズマ焼結方法などがある。本発明は以上
のような方法のどれを用いても製造が可能である。
【0044】ボンド磁石および焼結磁石ともに磁場配向
させる場合と配向を全くさせない等方性があるが、本発
明は必要に応じて、どちらかを採用することができる。
【0045】次に、上記の2種類の磁性相が共存する磁
石合金粉末を製造する方法について説明する。粉末の製
造工程は以下の通りである。
【0046】 (1)2種類の磁性相と同じ組成の合金を各々別々に製
造する工程 (2)各々の合金を粉砕する工程 (3)2種類の合金粉末を混合する工程 (4)混合粉末を仮焼結する工程 (5)仮焼結体を粉砕する工程 まず、(1)の工程について説明する。本発明の磁石合
金粉末を構成している2種類の磁性相はそれぞれ単独で
すでに永久磁石として製造されているものが多い。本発
明ではそれぞれの磁性相を得るためにまず、その単独の
永久磁石と同様な製造方法によって、それぞれの磁性相
と同じ組成を有する合金を作製する。同じ組成といって
も、基本組成が同じで結晶構造が同じであれば、添加元
素の量や粒界相などは違っても本発明の効果に影響を及
ぼすことは全くない。合金の製造方法としては溶解・鋳
造法、超急冷法、MA法、アトマイズ法等、いずれでも
よい。
【0047】(2)の工程について説明する。(1)の
工程で作製した合金または薄帯または粗粉末を所望の粉
末粒径まで粉砕する。所望の粉末粒径は異方性磁場が小
さいほど粉末粒径を小さくする必要があり、合金組成に
よって異なる。特に、結晶構造が同じでも希土類の一部
や遷移金属の一部を置換していった場合などは異方性磁
場が大きく変化するので、粉末粒径の調整は重要であ
る。粒度分布もできるだけ所望の粒径に揃っていたほう
が好ましく、篩い分けなども必要に応じて行なうことも
重要であるが、特に限定しない。また、粉砕方法として
は、ボールミル、振動ミル、ライカイ式粉砕機、破砕
機、ジェットミル、ピンミル等を用いて行なうが粉末が
粉砕されれば特に粉砕方法には限定されない。また、粉
末の表面の欠陥等を防ぐために、粉砕時に渇剤等を用い
てもよい。
【0048】次に(3)の工程について説明する。各々
別々に製造した磁石合金粉末を所望の割合に秤量し、混
合する。所望の割合とは最終的に製造される磁石合金粉
末の特性に合わせた割合である。例えば、保磁力が比較
的低くで、残留磁束密度が高い特性が必要な場合は磁性
相Aの混合量を増加させる。
【0049】混合の方法は溶媒中で行なう湿式でも、大
気または不活性ガスなどの雰囲気中で行なう乾式のどち
らでもよい。混合装置は特に限定はなく、混合時に磁石
合金粉末がある程度粉砕されても問題はない。場合によ
って粉砕と混合を同時に行って混合の度合を向上させる
ことも効果的である。
【0050】(4)の工程について説明する。この工程
は(3)で十分に混合した2種類の磁石合金粉末の結晶
学的に結合させる工程である。具体的には2種類の磁石
合金粉末の表面を溶かし、接合する。または非磁性の融
点の低い粒界相を混合し、液相焼結を行い、粒界相を介
して結晶学的に結合させる。焼結させる方法はまず、混
合粉末を型に入れ加圧し圧粉体として高温で焼結させる
方法がある。加圧は一方向でも等方的(静水圧)でもど
ちらでもかまわない。
【0051】また、加圧する際に磁場配向を行うと異方
性の磁石合金粉末を得ることができる。さらに、磁場中
で加圧する前に、混合した磁石合金粉末に加圧成形時の
磁場よりも高い磁場で粉末を着磁することも効果的であ
る。さらには、加圧時の磁場の方向を複数回反転させる
と粉末の配向はさらに向上する。以上のような磁場配向
させる方法は以下に説明する全ての仮焼結方法に適用す
ることができる。
【0052】仮焼結の方法として効果的なものにプラズ
マ焼結がある。この方法は圧粉体に高い電圧を印加する
ことにより、粉末間で放電を起こし、粉末表面だけを溶
かし接合する技術である。この方法では粉末内の組織や
組成を全く変えることなく粉末を接合できるため、融点
の大きく違う2種類の磁石合金粉末の接合には有効であ
る。
【0053】最後に、(5)の工程について説明する。
この工程では(4)で製造した2種類の磁性相を有した
焼結体を粉砕し、磁石合金粉末を得る。粉砕の方法は
(2)に示した方法と同じである。但し、最終粉末粒径
や粒度分布はその後の磁石製造段階(ボンド磁石や焼結
磁石)を考慮して最適化する必要がある。
【0054】以下、本発明の具体的実施例について説明
する。
【0055】(実施例1)Sm=24.5、Co=45
−X、Fe=X、Cu=5.3、Zr=1.9重量%の
組成になるように(Xを10〜40重量%まで変え
た)、高周波溶解炉を用いアルゴンガス雰囲気中で溶解
・鋳造してインゴットを作製した。この組成系を組成系
A1とする。得られたインゴットを1130〜1180
℃×24時間の容体化処理を施した。その後、スタンプ
ミル、アトライターで粉砕し、平均粒径15μmの粉末
を得た。これを粉末A2とする。
【0056】組成系A1の飽和磁化と異方性磁場を求め
るために、この粉末をさらにボールミルを用いて平均粒
径5μmまで粉砕を行った。この粉末をパラフィン中2
5kOeの磁場で配向させた。このサンプルを試料振動
式磁力計を用いて飽和磁化並びに異方性磁場を測定し
た。飽和磁化は11.2〜13.8kGでXの増加とそ
もに単調増加していた。異方性磁場は図1に示したよう
に変化していた。
【0057】次に、Nd=29.5、Dy=3.7、F
e=56.6、Co=8.9、B=1.3重量%組成に
なるように、高周波溶解炉を用いアルゴンガス雰囲気中
で溶解・鋳造してインゴットを作製した。この組成を組
成B1とする。このインゴットをスタンプミル、振動ミ
ルを用いて粉砕し、平均粒径10μmの粉末を得た。0
これを粉末B2とする。
【0058】組成B1の飽和磁化と異方性磁場を求める
ために、この粉末をさらにボールミルを用いて平均粒径
3μmまで粉砕を行った。この粉末をパラフィン中25
kOeの磁場で配向させた。このサンプルを試料振動式
磁力計を用いて飽和磁化並びに異方性磁場を測定した。
そのぞれの大きさは飽和磁化が14.8kG、異方性磁
場が68kOeであった。
【0059】粉末A2(Feの含有量を変えた組成系の
粉末群)と粉末B2を重量比で1:1になるように混合
した.混合方法はヘンシェルミキサーを用いた。この混
合粉末を3ton/cm2の圧力、配向磁場20kOe
で磁場中成形を実施した。得られた圧粉体をアルゴンガ
ス雰囲気中で1100℃で1時間仮焼結を行った。この
仮焼結体に800℃で3時間の時効処理をさらに施し
た。この仮焼結体をEPMAを用いて観察したところ、
組成系A1と組成B1を有した磁性相が見られた。 次
に仮焼結体を破砕機、ライカイ式粉砕機を用いて、平均
粒径が25μmになるまで粉砕を施した。この粉末にエ
ポキシ樹脂を2重量%添加し、混合・混練を行った。そ
の後、20kOeの磁場中で10ton/cm2の成形
圧で圧縮成形し、150℃1時間のキュアを施し、ボン
ド磁石とした。
【0060】組成系A1の異方性磁場の大きさとボンド
磁石の最大エネルギー積の関係を図1に示した。組成B
1の飽和磁化が組成系A1よりも大きくかつ組成系A1
の異方性磁場が組成B1よりも大きいときに特性が高
く、しかも組成系A1の異方性磁場が組成B1の異方性
磁場の2倍より小さいとき非常に高性能な特性を有して
いた。
【0061】(実施例2)Sm=35−X、Ce=X、
Co=65重量%(Xは0から30重量%まで変えた)
の組成となるように、高周波溶解炉を用いアルゴンガス
雰囲気中で溶解鋳造した。このときの組成を組成系C1
とする。得られたインゴットをジョークラッシャー及び
振動ミルで粉砕した。このときの粉末粒径は5μmであ
った。この粉末を粉末C2とする。実施例1と同様な方
法で飽和磁化と異方性磁場を測定した。異方性磁場は2
00〜240kOeの値をとった。飽和磁化はCeをS
mに置換していくに従い、単調減少した。その時の飽和
磁化の範囲は図2に示した通りである。
【0062】粉末C2(Ceの含有量を変えた組成系の
粉末群)と粉末B2を重量比で1:1になるように混合
した.混合方法はヘンシェルミキサーを用いた。この混
合粉末を3ton/cm2の圧力、配向磁場20kOe
で磁場中成形を実施した。得られた圧粉体をアルゴンガ
ス雰囲気中で1100℃で1時間仮焼結を行った。この
仮焼結体に800℃で3時間の時効処理をさらに施し
た。
【0063】次に仮焼結体を破砕機、ライカイ式粉砕機
を用いて、平均粒径が15μmになるまで粉砕を施し
た。この粉末にエポキシ樹脂を2重量%添加し、混合・
混練を行った。その後、20kOeの磁場中で10to
n/cm2の成形圧で圧縮成形し、150℃1時間のキ
ュアを施し、ボンド磁石とした。粉末C1の飽和磁化の
大きさとボンド磁石の最大エネルギー積の関係を図1に
示した。組成B1の飽和磁化の大きさが組成系C1の飽
和磁化の2倍よりも小さいときに性能が高い。また、特
に1.5倍よりも小さい場合に極めて特性が高い。
【0064】(実施例3) Sm=24.5、Co=4
5.7、Fe=22.9、Cu=5.3、Zr=1.9
重量%の組成となるように、高周波溶解炉を用いアルゴ
ンガス雰囲気中で溶解・鋳造してインゴットを作製し
た。この組成を組成D1とする。得られたインゴットを
1150℃×24時間の容体化処理を施した。その後、
スタンプミル、アトライターで粉砕し、平均粒径15μ
mの粉末を得た。これを粉末D2とする。
【0065】組成D1の飽和磁化と異方性磁場を求める
ために、この粉末をさらにボールミルを用いて平均粒径
5μmまで粉砕を行った。この粉末をパラフィン中25
kOeの磁場で配向させた。このサンプルを試料振動式
磁力計を用いて飽和磁化並びに異方性磁場を測定した。
飽和磁化は12.4kG、異方性磁場98kOeであっ
た。
【0066】粉末D2と粉末B2を重量比で1:1にな
るように混合した.混合方法はヘンシェルミキサーを用
いた。この混合粉末を粉末Iとする。粉末Iを3ton
/cm2の圧力で成形した。得られた圧粉体をアルゴン
ガス雰囲気中で1100℃で1時間仮焼結を行った。こ
の仮焼結体に800℃で3時間の時効処理をさらに施し
た。
【0067】次に仮焼結体を破砕機、ライカイ式粉砕機
を用いて、平均粒径が25μmになるまで粉砕を施し
た。得られた粉末を粉末Hとする。この粉末にエポキシ
樹脂を2重量%添加し、混合・混練を行った。その後、
10ton/cm2の成形圧で圧縮成形し、150℃1
時間のキュアを施し、ボンド磁石とした。そのときの特
性はiHc=11.2kOe、Br=9.2kG、(B
H)max=17.5MGOeと等方性のボンド磁石と
しては非常に高い特性を有してした。
【0068】(実施例4)実施例3記載の粉末Iを5t
on/cm2の圧力、配向磁場20kOe中で、プラズ
マ焼結を行った。焼結は3000Aの電流を流し、焼結
温度1000℃で10分の条件であった。この仮焼結体
に800℃で3時間の時効処理をさらに施した。
【0069】次に仮焼結体を破砕機、ライカイ式粉砕機
を用いて、平均粒径が25μmになるまで粉砕を施し
た。この粉末にエポキシ樹脂を2重量%添加し、混合・
混練を行った。その後、20kOeの磁場中で10to
n/cm2の成形圧で圧縮成形し、150℃1時間のキ
ュアを施し、ボンド磁石とした。磁気特性はiHc=1
2.3kOe、Br=11.2kG、(BH)max=
24.3MGOeであった。
【0070】(実施例5)Nd=60.0、Fe=5
9.0、B=1.0重量%となるように高周波溶解炉を
用いアルゴンガス雰囲気中で溶解・鋳造してインゴット
を作製した。このインゴットを単ロール法を用いて急冷
薄帯を作製した。この薄帯と混合粉末Iを粉砕しながら
混合した。
【0071】この混合粉末を3ton/cm2の圧力、
配向磁場20kOeで磁場中成形を実施した。得られた
圧粉体をアルゴンガス雰囲気中で1000℃で1時間い
わゆる液相焼結を行った。この仮焼結体に800℃で3
時間の時効処理をさらに施した。
【0072】次に仮焼結体を破砕機、ライカイ式粉砕機
を用いて、平均粒径が21μmになるまで粉砕を施し
た。この粉末にエポキシ樹脂を2重量%添加し、混合・
混練を行った。その後、20kOeの磁場中で10to
n/cm2の成形圧で圧縮成形し、150℃1時間のキ
ュアを施し、ボンド磁石とした。いわゆる液相焼結を施
した。
【0073】次に仮焼結体を破砕機、ライカイ式粉砕機
を用いて、平均粒径が25μmになるまで粉砕を施し
た。この粉末にエポキシ樹脂を2重量%添加し、混合・
混練を行った。その後、20kOeの磁場中で10to
n/cm2の成形圧で圧縮成形し、150℃1時間のキ
ュアを施し、ボンド磁石とした。磁気特性はiHc=1
2.7kOe、Br=10.7kG、(BH)max=
24.0MGOeであった。
【0074】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、2
つの硬質磁性相間の交換相互作用を働かすことができる
ので、残留磁束密度が非常に高く、しかも、角形性のよ
い磁石合金粉末を得ることができる。また、この磁石合
金粉末はボンド磁石または焼結磁石としての加工が容易
であり、高性能な磁石を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】磁石合金粉末の異方性磁場とボンド磁石の最大
エネルギー積の関係を示す図。
【図2】磁石合金粉末の飽和磁化とボンド磁石の最大エ
ネルギー積の関係を示す図。

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁石合金粉末中に組成を異にする2種類
    の磁性相が共存し、それぞれの磁性相を磁性相A(飽和
    磁化:MA、異方性磁場:HA)及び磁性相B(飽和磁
    化:MB、異方性磁場:HB)としたとき、それぞれの飽
    和磁化及び異方性磁場がMA>MBかつ10kOe≦HA
    <HBの関係を有することを特徴とする磁石合金粉末。
  2. 【請求項2】 磁性相A及び磁性相Bの異方性磁場がH
    A=X・HBかつ0.1≦X<1の関係を有することを特
    徴とする請求項1記載の磁石合金粉末。
  3. 【請求項3】 磁性相A及び磁性相Bの異方性磁場がH
    A=X・HBかつ0.5≦X<1の関係を有することを特
    徴とする請求項2記載の磁石合金粉末。
  4. 【請求項4】 磁性相A及び磁性相Bの飽和磁化がMA
    =Y・MBかつ1<Y≦2の関係を有することを特徴と
    する請求項1記載の磁石合金粉末。
  5. 【請求項5】 磁性相A及び磁性相Bの飽和磁化がMA
    =Y・MBかつ1<Y≦1.5の関係を有することを特
    徴とする請求項4記載の磁石合金粉末。
  6. 【請求項6】 磁性相A及び磁性相Bの異方性磁場及び
    飽和磁化がHA=X・HBかつ0.5≦X<1かつMA
    Y・MBかつ1<Y≦1.5の関係を有することを特徴
    とする請求項1記載の磁石合金粉末。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6いずれか1項に記載の磁石
    合金粉末と樹脂とが混合されてなることを特徴とする磁
    石。
  8. 【請求項8】 請求項1〜6いずれか1項に記載の磁石
    合金粉末を焼結してなることを特徴とする磁石。
  9. 【請求項9】 請求項1〜6いずれか1項に記載の磁石
    合金粉末を製造する方法であって、磁性相A及び磁性相
    Bとそれぞれ同一の組成を有する磁石合金粉末を別々に
    製造し、各々の粉末を混合する工程と、仮焼結を施す工
    程と、さらに粉砕を行なう工程とを有することを特徴と
    する磁石合金粉末の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記仮焼結を施す工程を磁場中で行な
    うことを特徴とする請求項9に記載の磁石合金粉末の製
    造方法。
  11. 【請求項11】 前記仮焼結を施す工程をプラズマ焼結
    法により行なうことを特徴とする請求項9または10に
    記載の磁石合金粉末の製造方法。
  12. 【請求項12】 前記仮焼結を施す工程を主相である磁
    性相Aと磁性相B以外の非磁性相を粒界相として混合し
    焼結することを特徴とする請求項9または10に記載の
    磁石合金粉末の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2015159612A1 (ja) * 2014-04-15 2015-10-22 Tdk株式会社 希土類永久磁石
WO2019078148A1 (ja) * 2017-10-18 2019-04-25 住友電気工業株式会社 希土類磁石素材および希土類磁石

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