JPH07245206A - 希土類永久磁石用粉末及びその製造方法 - Google Patents

希土類永久磁石用粉末及びその製造方法

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JPH07245206A
JPH07245206A JP6034361A JP3436194A JPH07245206A JP H07245206 A JPH07245206 A JP H07245206A JP 6034361 A JP6034361 A JP 6034361A JP 3436194 A JP3436194 A JP 3436194A JP H07245206 A JPH07245206 A JP H07245206A
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alloy
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Yoichi Ito
洋一 伊藤
Tsutomu Otsuka
努 大塚
Yoichi Mamiya
洋一 間宮
Etsuo Otsuki
悦夫 大槻
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Tokin Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 比較的低い焼結温度で優れた磁気特性を具備
する希土類永久磁石を製造し得る希土類永久磁石用粉末
の製造方法を提供すること。 【構成】 希土類永久磁石用粉末の製造方法として、水
素吸蔵工程を施すことによって得られたRに富む粉末,
即ち、Ndに富むNd32〜95[wt%]粉末と、主
相となるR2 14B相粉末とを粉末混合工程にて混合し
た混合粉末を用いて磁石形成工程により粉砕,成形,焼
結して製造した31Nd−1.0B−残部Fe[wt
%]の組成の焼結体(希土類永久磁石)は、何れも水素
吸蔵工程及び粉末混合工程を施さずに製造した31Nd
−1.0B−残部Fe[wt%]の組成の焼結体(希土
類永久磁石)よりも磁気特性が大幅に向上している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、主成分としてYを含む
希土類元素R,遷移金属Tを含むR−T系希土類磁石用
粉末及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、R2 14B系金属間化合物磁石の
代表的なものにはNd−Fe−B系磁石が挙げられ、そ
の製造方法としては特開昭59−46008号公報に開
示された粉末冶金法によるものが知られている。この粉
末冶金法は、溶解で得られた合金インゴットを粉砕した
微粉末を圧縮成形し、これによって得られる圧粉体を焼
結するものである。
【0003】一般に、粉末冶金法による製造工程は、溶
解,粉砕,磁場プレス,焼結,熱処理の順に工程が進め
られる。溶解工程はアーク高周波等の真空中又は不活性
雰囲気中で行われ、R2 14B系インゴットを作製す
る。粉砕工程では粗粉砕と微粉砕とを行い、粗粉砕はジ
ョークラッシャーロールミル,ディスクミル等で行い、
微粉砕はボールミル,振動ミル,ジェットミル等で行
う。磁場プレス工程では磁場中配向や圧縮成形を行う
が、これらの工程は通常,金型を用いて所定の磁場中で
行われる。焼結工程は温度条件1000〜1150
[℃]の範囲で不活性雰囲気中又は真空中で行われる。
熱処理工程は必要に応じて焼結処理の温度条件よりもや
や低い温度条件300〜900[℃]程度の範囲で行わ
れる。
【0004】一方、近年ではR−T−B系合金粉末を用
いて圧縮成形,射出成形を要して得られるボンド磁石の
開発が進み、様々なユーザーに使用されている。例えば
ボンド磁石用Nd−Fe−B系合金粉末(高分子複合型
希土類磁石用粉末)の製造方法では、合金インゴットを
水素中にて加熱することによって合金インゴットに水素
を吸蔵させる水素吸蔵工程と、この水素を吸蔵するNd
−Fe−B系合金インゴットから強制的に水素成分を離
脱する脱水素工程とを施した後の合金インゴットを粉砕
することによってNd−Fe−B系合金粉末を得てい
る。このNd−Fe−B系合金粉末は大きな保磁力を持
つため、非常に注目を集めている。
【0005】この製造方法の場合、Nd2 Fe14B系化
合物を水素中にて加熱処理する際、Nd2 Fe14B系化
合物が水素を吸蔵して温度条件650℃以上でNd
2 ,α−Fe,及びFe2 Bに分解する。これらの分
解生成物を温度条件下800〜900[℃]の範囲で強
制排気処理して脱水素を行うと、Nd2 Fe14B系化合
物が再結晶する。こうして生成されたNd2 Fe14B系
化合物は、約0.3μm以下の極めて微細な結晶粒を有
すると共に、大きな保磁力を有する。
【0006】一般に、ボンド磁石用Nd−Fe−B系合
金粉末は、溶解インゴットを粉砕,圧縮成形,焼結した
後、再粉砕という工程を経て微細結晶粒を有する合金粉
末が得られるが、上述した水素吸蔵工程と脱水素工程と
を含む製造方法によれば、大きな保磁力を有する微細結
晶粒粉末が比較的簡単に得られるので、全工程の簡略化
や経費の削減を図る上で有益な面が多い。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上述した粉末冶金法に
よる希土類永久磁石の製造方法の場合、磁石用粉末から
成る合金インゴット中に存在する焼結時の液相の核とな
るR−Fe固溶体相が他の相に比べて存在量がずっと少
なく、その上、他の相に比べて延性が高いため、被粉砕
性が極めて劣るという欠点がある。このため、粉砕後の
粉末は粒径分布が広くなり、これによって主相を構成す
るためのR2 Fe14B合金粉末との均一混合が困難とな
る。結果として、焼結時での液相の分布が不均一とな
り、最終的に焼結体中のR−Fe固溶体相の分散が不均
一となって、磁気特性(磁石特性)の劣化を招いてしま
う。
【0008】そこで、このような問題の対策として、粉
末成形体中のR−Fe固溶体相量,即ち,液相の核の量
比を増加させることにより、焼結時の液相の分散性を向
上させる方法が提案されているが、この方法の場合、焼
結体中に存在するR−Fe固溶体相量,即ち、非磁性相
量が増加しているため、残留磁束密度Jrや最大エネル
ギー積(BH)maxの減少を伴うという欠点を有す
る。
【0009】又、液相の分散性を向上させることによ
り、焼結温度を上昇させる方法も提案されているが、こ
の方法の場合、磁性相粒子の粒成長により角型比や保磁
力HCJの低下が生ずるという問題がある他、焼結時の液
相量の増加によって冷却過程で磁場配向により配向した
固相とは異なった結晶方位を持つ磁性相粒子が液相から
晶出する割合が増加し、配向度の低下による磁気特性の
劣化が懸念される。
【0010】要するに、上述した粉末冶金法による希土
類永久磁石の製造方法の場合、磁石特性を改善するため
の対策が不十分であるので、製造工程で用いる磁石用材
料(磁石用粉末)自体からの見直しが要求されている。
【0011】一方、ボンド磁石用Nd−Fe−B系合金
粉末(高分子複合型希土類磁石用粉末)の製造方法の場
合、水素吸蔵工程及び脱水素工程を経て得られる合金粉
末は、微細な結晶粒が磁気的にはランダムに配列した多
結晶体であるため、磁気的に等方性を有して残留磁束密
度Jrや最大エネルギー積(BH)maxが低くなるた
め、これを使用して得られたボンド磁石も優れた磁気特
性が得られないという問題がある。そこで、このような
問題を解決するため、種々の添加物元素を加えることに
より、異方性粉末を得る方法が検討されているが、これ
ら異種元素の添加することは合金粉末の磁化を低減させ
るため、本質的に好ましくない。
【0012】本発明は、かかる問題点を解決すべくなさ
れたもので、その技術的課題は、比較的低い焼結温度で
優れた磁気特性を具備する希土類永久磁石を簡単に製造
し得る希土類永久磁石用粉末の製造方法を提供すること
にある。
【0013】又、本発明の他の技術的課題は、磁化を低
減させることなく優れた磁気特性を示す異方性のボンド
磁石を製造し得る高分子複合型希土類磁石用粉末の製造
方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、R−T
−B合金粉末に水素を吸蔵させる水素吸蔵工程と、水素
吸蔵を施したR−T−B合金粉末とR2 14B金属間化
合物相を主相とする合金粉末とを混合して混合粉末を得
る粉末混合工程とを含む希土類永久磁石用粉末の製造方
法や、R−T合金粉末に水素を吸蔵させる水素吸蔵工程
と、水素吸蔵を施したR−T合金粉末とR2 14B金属
間化合物相を主相とする合金粉末とを混合して混合粉末
を得る粉末混合工程とを含む希土類永久磁石用粉末の製
造方法が得られる。
【0015】又、本発明によれば、上記何れかの希土類
永久磁石用粉末の製造方法において、R−T−B合金粉
末又はR−T合金粉末におけるR組成値は32wt%以
上である希土類永久磁石用粉末の製造方法が得られる。
【0016】更に、本発明によれば、上記希土類永久磁
石用粉末の製造方法における水素吸蔵工程及び粉末混合
工程と、混合粉末を粉砕,成形,焼結して永久磁石を成
す磁石形成工程とを含む希土類永久磁石の製造方法や、
この製造方法によって得られる希土類永久磁石が得られ
る。
【0017】加えて、本発明によれば、Nd,Fe,B
を主成分として含有するNd−Fe−B系合金インゴッ
トを水素中で熱処理して該合金インゴットに該水素を吸
蔵させる水素吸蔵工程と、水素を吸蔵させた後のNd−
Fe−B系合金インゴットから水素成分を離脱する脱水
素工程とを含む高分子複合型希土類磁石用粉末の製造方
法において、水素吸蔵工程及び脱水素工程では、Nd−
Fe−B系合金インゴットを少なくとも100[Oe]
以上の一方向磁界中で処理する高分子複合型希土類磁石
用粉末の製造方法が得られる。
【0018】
【作用】本発明では、比較的低い焼結温度で高い角型比
及び保磁力を具備した希土類永久磁石が得られるよう
に、焼結時に液相となる核を磁性相粒子間に均一に分散
させる方法を検討し、希土類永久磁石用粉末の製造方法
を見直している。そこで、希土類永久磁石用粉末の製造
方法では、金属が水素吸蔵により脆化されることに着目
し、初期的に水素吸蔵工程でR−T−B合金粉末又はR
−T合金粉末に水素を吸蔵させて被粉砕性を向上させ、
粒径が微細で均一な合金粉末を得ている。ここで得られ
た合金粉末は、更に粉末混合工程でR2 14B金属間化
合物相を主相とする合金粉末の粒子間に均一に分散さ
れ、その結果、主相粒子間に非磁性相が均一に分散され
た状態の混合粉末が得られる。
【0019】又、本発明では、異方性を有するボンド磁
石が得られるように、高分子複合型希土類磁石用粉末の
製造方法として、R−T−B系合金粉末から成るNd−
Fe−B系合金インゴットを水素吸蔵工程及び脱水素工
程で100[Oe]以上の一方向磁界中で処理してい
る。水素吸蔵工程においてNd−Fe−B系合金インゴ
ットを一方向磁場中で水素中で加熱すると、温度条件が
650℃付近でNd2 Fe14BがNdH2 ,α−Fe,
及びFe2 Bに分解する際、特にα−Feの磁化容易方
向が印加磁場とは平行な方向に優先的に生成・成長する
ので、合金中の結晶粒は磁気的に一方向に配列した状態
となる。脱水素工程では、Nd2 Fe14Bの再結晶時に
Nd2 Fe14Bがα−Feの結晶粒に添って再結晶する
ため、合金インゴットは磁気的に一方向に配列した多結
晶体となる。
【0020】
【実施例】以下に実施例を挙げ、本発明の希土類永久磁
石用粉末の製造方法について、図面を参照して詳細に説
明する。
【0021】最初に本発明の希土類永久磁石用粉末の製
造方法の概要を簡単に説明すると、この製造方法は、希
土類永久磁石を製造するためのものと、ボンド磁石(高
分子複合型希土類磁石)を製造するためのものとに大別
される。
【0022】希土類永久磁石用粉末の製造方法は、R−
T−B合金粉末に水素を吸蔵させる水素吸蔵工程と、水
素吸蔵を施したR−T−B合金粉末又はR−T合金粉末
とR2 14B金属間化合物相を主相とする合金粉末とを
混合して混合粉末を得る粉末混合工程とを含む。
【0023】但し、ここでは、R−T−B合金粉末又は
R−T合金粉末におけるR組成値を32wt%以上とす
る。これらのR−T−B合金粉末やR−T合金粉末にお
けるR組成値を32wt%以上とした理由は、これより
低いR組成では焼結温度までの昇温過程において、合金
より析出する固相量が増大して焼結性を阻害し、更に未
配向の磁性相の析出量が増大して磁気特性の劣化を招く
ためである。
【0024】この製造方法の場合、水素吸蔵工程で得ら
れる水素吸蔵を施したR−T−B合金粉末やR−T合金
粉末は非常に被粉砕性に優れ、しかも粉砕粒径分布が狭
くて粒径が微細となる。又、これらのR−T−B合金粉
末やR−T合金粉末は、粉末混合工程においてR2 14
B金属間化合物相を主相とする合金粉末の主相粒子間に
均一に分散され、この結果、主相粒子間に非磁性相が均
一に分散された状態の混合粉末が得られる。
【0025】因みに、希土類永久磁石の製造方法では、
これらの水素吸蔵工程及び粉末混合工程に引き続いて磁
石形成工程を行う。磁石形成工程では、混合粉末を粉
砕,成形,焼結して希土類永久磁石を成す。このように
して得られた希土類永久磁石は、上述したように主相粒
子間に非磁性相が均一に分散された状態の混合粉末を用
いているので、磁気特性が向上する。
【0026】一方、高分子複合型希土類磁石用粉末の製
造方法は、Nd,Fe,Bを主成分として含有するNd
−Fe−B系合金インゴットを水素中で熱処理して合金
インゴットに水素を吸蔵させる水素吸蔵工程と、水素を
吸蔵させた後のNd−Fe−B系合金インゴットから水
素成分を離脱する脱水素工程とを含むもので、本発明で
は水素吸蔵工程及び脱水素工程でNd−Fe−B系合金
インゴットを少なくとも100[Oe]以上の一方向磁
界中で処理する。ここで、合金インゴットに対する水素
吸蔵工程及び脱水素工程を少なくとも100[Oe]以
上の一方向磁界中で行うようにした理由は、100[O
e]未満の印加磁場中で水素吸蔵工程及び脱水素工程を
行っても、粉末の磁気特性が無磁場条件下で水素吸蔵工
程及び脱水素工程を行った場合と著しい差異が見られな
いためである。
【0027】この水素吸蔵工程において、Nd−Fe−
B系合金インゴットを一方向磁場中で水素中で加熱する
と、温度条件が650℃付近でNd2 Fe14BがNdH
2 ,α−Fe,及びFe2 Bに分解する際、α−Feの
磁化容易方向が印加磁場とは平行な方向に優先的に生成
・成長する。この結果、合金中の結晶粒は磁気的に一方
向に配列した状態となる。又、脱水素工程において、N
2 Fe14Bの再結晶時にNd2 Fe14Bがα−Feの
結晶粒に添って再結晶するため、合金インゴットは磁気
的に一方向に配列した多結晶体となる。
【0028】以下は、具体的な実施例を挙げ、本発明の
希土類永久磁石用粉末の製造方法と高分子複合型希土類
磁石用粉末の製造方法とを更に詳細に説明する。
【0029】[実施例1]実施例1では、先ずそれぞれ
純度99.9wt%以上のNd,Fe,Bを用いて、ア
ルゴンガス雰囲気中にて高周波加熱により、Ndの組成
がそれぞれ23,25,27,29,31[wt%]、
Bの組成が1.0,1.2[wt%]、残部Feから成
る8種類のR2 14B相を主相とする合金インゴットを
得た。引き続き、これらの合金インゴットに熱処理を施
した後、ディスクミルを用いて粗粉砕し、それぞれ8種
類の第1の粉末を得た。
【0030】次に、上述したものと同じ純度のNd,F
e,Bを用いて、アルゴンガス雰囲気中にて高周波加熱
により、Nd,Bの組成がそれぞれ32Nb−1.0
B,40Nb−1.0B,54Nd−0.8B,65N
d−0.6B,74Nd−0.6B,80Nd−0.3
B,87Nd−0.2B,95Nd−0.1B(但し、
何れも残部Feであると共に、組成比をwt%とする)
の8種類の合金インゴットを得た。引き続き、水素吸蔵
工程として、これらの合金インゴットを水素ガス雰囲気
中で約20℃(常温)〜300℃にて水素吸蔵を施した
後、ディスクミルを用いて粗粉砕し、8種類の第2の粉
末を得た。
【0031】更に、粉末混合工程として、第1の粉末と
第2の粉末とを31Nd−1.0B−残部Fe[wt
%]の組成となるように混合し、多種類の混合粗粉末を
得た。又、これらの混合粗粉末をボールミルを用いて微
粉砕し、多種類の微粉末を得た。因みに、これらの微粉
末の粒径を気体透過法によって測定したところ、何れも
平均粒径は2〜5[μm]であった。
【0032】ところで、比較例として上述したものと同
じ純度のNd,Fe,Bを用いて、31Nd−1.0B
−残部Fe[wt%]の組成から成る合金インゴットを
作製し、この合金インゴットを水素吸蔵工程及び粉末混
合工程を施さずに上述した手順と同様にディスクミル,
ボールミルを用いて粗粉砕,微粉砕することによって微
粉末を得た。
【0033】そこで、上述した工程で得られた全部の微
粉末を20kOeの磁界中で1.5[ton/cm2
の成形圧条件下で圧縮成形し、この結果、得られた圧粉
体をアルゴン雰囲気中にて1000〜1100[℃]の
温度条件下で2時間熱処理して焼結した。その後、時効
処理として400〜700[℃]の温度条件下で加熱し
た後に急冷した。
【0034】図1は、これらの水素吸蔵工程及び粉末混
合工程を施した合金微粉末を用いてNdの組成の変化に
応じた温度で焼結して得られた焼結体と、比較例である
水素吸蔵工程及び粉末混合工程を施さない合金微粉末を
用いて焼結して得られた焼結体との磁気特性[残留磁束
密度Jr,最大エネルギー積(BH)max,保磁力H
CJ]を測定した比較結果を示したものである。但し、水
素吸蔵工程及び粉末混合工程を施した焼結体は、その中
で最も高い磁気特性の値を白丸印で示し、比較例の水素
吸蔵工程及び粉末混合工程を施さない焼結体の磁気特性
の値は黒丸印で示している。
【0035】図1からは、水素吸蔵工程を施したRに富
む粉末,即ち、Ndに富むNd32〜95[wt%]粗
粉末(第2の粉末)と、主相となるR2 14B相粗粉末
(第1の粉末)とを粉末混合工程にて混合した混合粗粉
末を用いて得られた焼結体(希土類永久磁石)は、何れ
も水素吸蔵工程及び粉末混合工程を施さずに得られた焼
結体(希土類永久磁石)よりも磁気特性が大幅に向上し
ていることが判明する。
【0036】具体的に云えば、残留磁束密度Jrにおい
て、比較例では1.38T(テスラ)であるのに対し、
本発明では1.40〜1.49[T]となっている。
又、最大エネルギー積(BH)maxにおいて、比較例
では263[KJ/m3 ]であるのに対し、本発明では
420[KJ/m3 ]以上が得られている。更に、保磁
力HCJにおいて、比較例では最大420[KA/m]で
あるのに対し、本発明では620〜785[KA/m]
と大幅に向上している。
【0037】因みに、第2の粉末として、水素吸蔵工程
を施したNdを含む粗粉末を用いた場合でも、Nd含有
率が32[wt%]以上であれば良好な磁気特性が得ら
れるが、これ以下では残留磁束密度Jrの改善は見られ
なかった。
【0038】尚、実施例1では、31Nd−1.0B−
残部Fe[wt%]の組成の合金インゴットを用いた場
合についてのみ説明したが、Nd,Fe,Bを主成分と
して含有する合金系であれば、その他の組成比であった
り、或いは少量の多元素を含む同一組成系合金であれ
ば、同様の効果が期待できるので、本発明は実施例1に
限定されない。
【0039】[実施例2]実施例2では、先ずそれぞれ
純度95%以上のNd,電解Fe,フェロボロンを用い
て、アルゴン雰囲気中にて高周波溶解により、30Nd
−1.0B−残部Fe[wt%]の組成を有する合金イ
ンゴットを得た。
【0040】次に、この合金インゴットをそれぞれ別々
に10,50,100,500,1000,2000,
3000,4000,5000[Oe]の直流磁界を印
加した管状心内にて、最初は水素吸蔵工程として、大気
圧水素下で約20℃(室温)〜850℃で加熱して2時
間保持した後、次に脱水素工程として、炉内を真空ポン
プで10-6torrまで排気して2時間保持した後、真
空中で室温まで急冷してそれぞれ8種の合金インゴット
を得た。
【0041】更に、各合金インゴットを粒径50μm以
下に粉砕し、それぞれの合金粉末を30[KOe]の直
流磁場中で配向させてパラフィンで固定した後、振動型
磁力計(VSM)を使用して各合金粉末の磁気特性を測
定したところ、図2に示すような結果となった。但し、
図2中において、直流磁場強度[Oe]に対する残留磁
束密度Jr[T]及び最大エネルギー積(BH)max
[KJ/m3 ]の値は各合金粉末試料の密度をそれぞれ
100%に換算した値であり、各合金粉末の保磁力HCJ
は処理条件の相違による著しい差は見られず、何れも約
10[KA/m]であった。
【0042】図2から明らかなように、合金インゴット
に対して水素吸蔵工程及び脱水素工程を100[Oe]
以上の直流磁界中で行うと、何れの合金粉末の場合も残
留磁束密度Jr及び最大エネルギー積(BH)maxが
著しく向上していることが判る。
【0043】ところで、各合金粉末の保磁力HCJには、
磁場印加の有無による顕著な差が見られなかったため、
磁気特性としては主に粉末の磁気的な配向度が向上した
ためと推察される。従って、実施例2では磁気的に異方
性を有するボンド磁石(高分子複合型希土類磁石)用の
Nd−Fe−B系合金粉末が得られたものと判断するこ
とができる。
【0044】尚、実施例2では、30Nd−1.0B−
残部Fe[wt%]の組成の合金インゴットを用いた場
合についてのみ説明したが、Nd,Fe,Bを主成分と
して含有する合金系であれば、その他の組成比であった
り、或いは少量の多元素を含む同一組成系合金であれ
ば、同様の効果が期待できるので、本発明は実施例2に
限定されない。
【0045】
【発明の効果】以上に述べた通り、本発明の希土類永久
磁石用粉末の製造方法によれば、水素吸蔵工程としてR
−T−B合金粉末又はR−T合金粉末に水素を吸蔵させ
て被粉砕性を向上させることにより、これらの合金粉末
を粒径が微細で均一となるようにした上で、更に、これ
らの合金粉末の何れかを粉末混合工程でR2 14B金属
間化合物相を主相とする合金粉末と混合して混合粉末を
得ているので、この混合粉末は主相粒子間に非磁性相が
均一に分散された状態となる。従って、この混合粉末を
用いれば、比較的低い焼結温度で優れた磁気特性を有す
る希土類永久磁石が製造できるため、工業上極めて有益
となる。
【0046】又、高分子複合型希土類磁石用粉末の製造
方法として、水素吸蔵工程及び脱水素工程でNd−Fe
−B系合金インゴットを少なくとも100[Oe]以上
の一方向磁界中で処理して異方性が確保されるようにし
ているので、従来に無く磁気特性の優れたボンド磁石が
得られるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1に係る水素吸蔵工程及び粉末混合工程
を施した31Nd−1.0B−残部Fe[wt%]の組
成の合金微粉末を用いてNdの組成の変化に応じた温度
で焼結して得られた焼結体(希土類永久磁石)と、比較
例である水素吸蔵工程及び粉末混合工程を施さない31
Nd−1.0B−残部Fe[wt%]の組成の合金微粉
末を用いて焼結して得られた焼結体(希土類永久磁石)
との磁気特性を測定した比較結果を示したものである。
【図2】実施例2に係る30Nd−1.0B−残部Fe
[wt%]の組成を有する合金インゴットをそれぞれ別
々な直流印加磁界条件下で水素吸蔵工程及び脱水素工程
を行った場合の直流磁場強度[Oe]に対する残留磁束
密度Jr[T]及び最大エネルギー積(BH)max
[KJ/m3 ]の関係を示したものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C22C 33/02 J H01F 1/053 (72)発明者 大槻 悦夫 宮城県仙台市太白区郡山六丁目7番1号 株式会社トーキン内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 R−T−B合金粉末(但し、Tは遷移金
    属であり、RはYを含む希土類元素とする)に水素を吸
    蔵させる水素吸蔵工程と、前記水素吸蔵を施したR−T
    −B合金粉末とR2 14B金属間化合物相を主相とする
    合金粉末とを混合して混合粉末を得る粉末混合工程とを
    含むことを特徴とする希土類永久磁石用粉末の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 R−T合金粉末(但し、Tは遷移金属で
    あり、RはYを含む希土類元素とする)に水素を吸蔵さ
    せる水素吸蔵工程と、前記水素吸蔵を施したR−T合金
    粉末とR2 14B金属間化合物相を主相とする合金粉末
    とを混合して混合粉末を得る粉末混合工程とを含むこと
    を特徴とする希土類永久磁石用粉末の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載の希土類永久磁石用
    粉末の製造方法において、前記R−T−B合金粉末又は
    前記R−T合金粉末におけるR組成値は32wt%以上
    であることを特徴とする希土類永久磁石用粉末の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 請求項1,2,又は3記載の希土類永久
    磁石用粉末の製造方法における水素吸蔵工程及び粉末混
    合工程と、前記混合粉末を粉砕,成形,焼結して永久磁
    石を成す磁石形成工程とを含むことを特徴とする希土類
    永久磁石の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の希土類永久磁石の製造方
    法により得られたことを特徴とする希土類永久磁石。
  6. 【請求項6】 Nd,Fe,Bを主成分として含有する
    Nd−Fe−B系合金インゴットを水素中で熱処理して
    該合金インゴットに該水素を吸蔵させる水素吸蔵工程
    と、前記水素を吸蔵させた後のNd−Fe−B系合金イ
    ンゴットから水素成分を離脱する脱水素工程とを含む高
    分子複合型希土類磁石用粉末の製造方法において、前記
    水素吸蔵工程及び前記脱水素工程では、前記Nd−Fe
    −B系合金インゴットを少なくとも100[Oe]以上
    の一方向磁界中で処理することを特徴とする高分子複合
    型希土類磁石用粉末の製造方法。
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