JPH0831626A - 希土類磁性粉末、その永久磁石及びこれらの製造方法 - Google Patents

希土類磁性粉末、その永久磁石及びこれらの製造方法

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JPH0831626A
JPH0831626A JP6277885A JP27788594A JPH0831626A JP H0831626 A JPH0831626 A JP H0831626A JP 6277885 A JP6277885 A JP 6277885A JP 27788594 A JP27788594 A JP 27788594A JP H0831626 A JPH0831626 A JP H0831626A
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magnetic powder
powder
magnetic
mixed
koe
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JP6277885A
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Atsumasa Kitazawa
澤 淳 憲 北
Toshiyuki Ishibashi
橋 利 之 石
Koji Akioka
岡 宏 治 秋
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Seiko Epson Corp
Original Assignee
Seiko Epson Corp
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Publication date
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    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01FMAGNETS; INDUCTANCES; TRANSFORMERS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR MAGNETIC PROPERTIES
    • H01F1/00Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties
    • H01F1/01Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials
    • H01F1/03Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity
    • H01F1/0302Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity characterised by unspecified or heterogeneous hardness or specially adapted for magnetic hardness transitions
    • H01F1/0306Metals or alloys, e.g. LAVES phase alloys of the MgCu2-type

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Abstract

(57)【要約】 【目的】 磁気的相互作用を利用して磁気特性を高めた
磁性粉末および永久磁石を提供する。 【構成】 磁性粉末A(残留磁束密度BrA 、保磁力H
A )および磁性粉末B(残留磁束密度BrB 、保磁力
HcB )を含む2種類以上の混合粉末からなり、各残留
磁束密度および保持力がBrA >BrB 、HcA <Hc
B の関係を有する磁性粉末、この磁性粉末から製造され
るボンド磁石または燒結磁石、および混合磁性粉末の製
造方法または磁石の製造方法が開示される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は磁気的相互作用を利用し
て磁気特性を高めた磁性粉末、永久磁石およびこれらの
製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、永久磁性材料において飽和磁化
(もしくは残留磁束密度)を向上させると保磁力が得に
くい傾向がある。具体的には以下のような傾向がある。
【0003】そもそも高飽和磁化をもつものには軟磁性
材料が上げられる。例えばパーメンジュールなどは24
kGという高い飽和磁化を有している。しかし、保磁力
は殆どない。
【0004】一方、硬磁性材料は高い保磁力が得られる
ものの飽和磁化は軟磁性材料にははるか及ばない。硬磁
性材料のなかでも、比較的飽和磁化の大きいものにR2
Fe14B系、R2 Fe17Nx系やR2 TM17系がある。
【0005】R2 Fe14B系では飽和磁化を高くするに
は粒界相を減らし、主相であるR2Fe14B相をできる
だけ多くする必要がある。しかし、粒界相が少ないと主
相のセパレーションが十分に行えず、高い保磁力が得ら
れない。また、RがNdの場合に高い飽和磁化が得られ
るが、高保磁力を得るにはNdの一部をDyなどで置換
することが一般になされるが、Dy置換により飽和磁化
が低下する。
【0006】R2 Fe17Nx系(特にR=Sm)は飽和
磁化がNd2 Fe14Bと同程度の大きさをもつが、保磁
力を得るには粉末粒径を数μmにしなければならず、ま
たそのときの保持力も数kOeと小さい。また、微粉末
のためボンド磁石などにした場合、充填率が低くなる。
また、VやMnなどを添加することにより比較的粗大な
粉末粒径で保磁力を得ているが、このような添加は飽和
磁化を低下させる。
【0007】R2 TM17系(特にR=Sm)ボンド磁石
に関しては、特公平1−22696号公報、特公平1−
25819号公報、特公平1−40483号公報やその
引用特許公報または論文などに多く報告されている。な
かでも、この系の高性能化の一手段としてTM中のFe
含有量を増やすことが試みられている。これに関しては
Proc. 10th Int. Workshop on Rare Earth Magnets and
Their Applications,265 (1989) Figure 2 に記載さ
れているように、あるFe含有量で最大エネルギー積
(BH)max がピークをもっている。これはProc. of 1
1th Rare Earth Research Cont., 476 (1974) に示され
ているようにFeを増やすことにより、飽和磁化は増加
するが、異方性磁場が低下していくことに起因してい
る。高FeのSm2 Co17系ボンド磁石に関しては、Pr
oc. of ICF6, (1992) p1050 〜1051に示されているよう
に、合金の組織を微細化することにより、保磁力及び角
形性の低下(Fe含有量を増加させることによる)を防
ぎ、高性能化を図っている。また、特開昭60−218
445号公報などや論文などで報告されているように、
RとしてSm単独ではなく、他のRで置換させ高性能化
を図っているものもある。RのなかでもPr、Nd置換
系はIEEE Trans. Mag. MAG-20, 1593 (1984) Fig.1,IE
EE Trans. Mag. MAG-15, 1762 (1979) Table 1、などに
示されているように、置換量を増加させるにしたがい飽
和磁化は増加し、異方性磁場は減少する。この組成系の
ボンド磁石に関しては、日本応用磁気学会誌11,24
3(1987)、粉体および粉末冶金35,584(1
988)などに記載されている。
【0008】2種類の希土類磁性粉末を混合したボンド
磁石に関しては、特開平5−144621や特開平5−
152116などに示されている。前者は(株)トーキ
ンから出願されたR2 Fe17N系粉末とR2 Co17系粉
末を混合したボンド磁石に関する発明であり、後者は同
社から出願されたR2 Fe17N系粉末とR2 Fe14B系
粉末を混合したボンド磁石に関する発明である。これら
には、混合した粉末の保磁力に関する情報や粉末粒子間
の磁気的相互作用による磁気特性の向上については全く
記載されておらず、混合による磁気特性の向上の効果は
すべて磁粉体積充填率の向上のみに依っている(特開平
5−144621はP2の右24行目、特開平5−15
2116はP2の右34行からP3の左9行目)。ま
た、特願平4−36613には粒径及び保磁力の違う粉
末を混合することが記載されている(保磁力の大きさ、
粒径の大きさの限定は全くない)が、磁気的相互作用に
よる角形性の向上に関しては全く述べられていない。
【0009】また、最近、交換スプリング磁石と呼ばれ
る磁性材料が報告されている。これは軟磁性相と硬磁性
相からなり、軟磁性相の大きさを磁壁幅よりも小さくす
ることにより軟磁性相の磁化反転を抑制し、保磁力を得
ることができる。具体的にはαFeとNd2 Fe14B、
Fe3 BとNd2 Fe14BやαFeとSm2 Fe17Nx
などの材料が報告されている。しかし、このような交換
スプリング磁石は結晶学的に2相が結合している必要が
あり、そのためには2相を生成(析出)させる必要があ
る。製造方法としては超急冷薄帯法やメカニカルアロイ
ングなどがある。このような製造方法がゆえに軟磁性相
と硬磁性相の組合せには制約がある。また、その構造
上、非常に角形性が低い。さらに、現時点では等方性し
か得られておらず、異方性については全く報告されてい
ない。
【0010】従って、従来の永久磁石は以下のような問
題点を有していた。
【0011】(1)飽和磁化を増加させると保持力が低
下していまい、結局最大エネルギー積(BH)max が低
下してしまう。
【0012】(2)保持力を増加させると飽和磁化が減
少してしまう。
【0013】(3)2種類の特性を異にする粉末の混合
では磁気特性の向上は両者の和の形でしか現れず、それ
以上の特性は得られない (4)2相からなる磁性粉末(スプリング磁石)では異
方性を得ることが困難である。
【0014】
【発明の概要】本発明は上記の問題点を解決するため、
磁性粉末A(残留磁束密度BrA 、保磁力HcA )およ
び磁性粉末B(残留磁束密度BrB 、保磁力HcB )を
含む2種類以上の混合粉末からなり、各残留磁束密度お
よび保持力がBrA >BrB 、HcA <HcB の関係を
有することを特徴とする磁性粉末を提供するものであ
る。
【0015】また、本発明はこの磁性粉末からなる混合
粉末の製造方法およびこの混合粉末から製造されるボン
ド磁石または燒結磁石の製造方法を提供するものであ
る。
【0016】2種類の高Br低iHc磁性粉末と低Br
高iHc磁性粉末とを混合することにより、該混合粉末
には磁気的相互作用が働き、単に2種類の磁性粉末を足
し合わせた磁気特性よりも高性能な磁気特性を持つ磁性
粉末が得られる。磁気的相互作用は図2の実施例Aに示
されるように角形性の向上に大きく寄与する。ここで、
高性能化に必要不可欠な異種の磁性粒子間に働く磁気的
相互作用とは、低保磁力の粒子の磁化反転を高保磁力の
粒子が形成する一種の平均場のような磁場により抑制す
る作用を意味する。
【0017】この効果を大きくするには、混合される各
磁性粉末の保持力がHcA =y・HcB (0.1<y)
の関係を満足することが好ましい。yが0.1未満では
高保磁力の磁性粉末による磁化反転抑制の力が弱くな
り、減磁曲線にエグレが生じ、角形性が低下する。ここ
で、エグレとは、第2象限(第4象限)の磁化曲線に変
曲点が存在しているものを意味する。具体的には図2に
示した比較例1−1のような減磁曲線である。磁性粉末
の残留磁束密度(もしくは飽和磁化)の大きさも磁気的
相互作用に大きく関与する。この効果を大きくするに
は、BrA =x・BrB (1<x≦2)の関係を有する
ことが望ましい。xが1以下では角形性はよいものの全
体のBrが低下してしまい、結局磁気特性は低下する。
xが2よりも大きいと大きなエグレが生じ、この場合も
特性が低下してしまう。
【0018】磁気的相互作用は異種の磁性粉末間に働く
ものが最も重要であり、この効果は両者の磁性粉末がで
きるだけ緊密に接し、しかも材料全体で均一に分散して
いることにより、その効果が大きくなる。この効果を大
きくするにはi/j=a(i′/j′)(0.5≦a≦
1.5)の関係を有することが好ましい。aが0.5以
下または1.5以上ではどちらかの磁性粉末が集合して
存在することになり、磁気的相互作用が十分働かない。
またさらに望ましくは0.9≦a≦1.1である。これ
により異種の磁性粉末が均一に分散する。
【0019】磁気的相互作用をミクロに観察した場合、
異種の磁性粉末がそれぞれ接していることが重要であ
る。したがって両者の接触点の数が、rA <rB の場合
には{2(rA +rB 2 /rA 2 }<n、また、rA
>rB の場合には{2(rA +rB 2 /rB 2 }<n
であることが望ましい。nが2(rA +rB 2 /rA
2 において、半径が大きい粉末の表面上に約半分の異種
の粉末が接触していることになる。これ以下では同種の
粉末同士が集合してしまう。
【0020】磁気的相互作用は平均場のようなものであ
るので、その相互作用が及ぶ範囲距離は限界がある。し
たがって、2種の粉末の距離が近ければ近いほどその効
果は大きくなる。これは2種類の混合粉末を磁石化した
場合、その充填率が大きければ大きいほど、相互作用は
強くなる。特にボンド磁石の場合は充填率が50%以
上、焼結磁石では95%以上でこの相互作用が強くな
る。
【0021】また、rA <rB にすることにより、高保
磁力の粉末粒子表面でR−TM−N(C,H)系微粉末
が配向し、磁気的相互作用に加え、さらに、配向の効果
が現われる。また、粒子間の充填率が向上することによ
り、磁気的相互作用がより大きく働く。この効果を働か
せるには、0.1μm≦rA ≦10μm、かつ10μm
≦rB ≦100μmにすることが好ましい。rA が0.
1μm未満では回転トルクが得られず、さらに、充填率
も低下してしまう。rA が10μmよりも大きい場合は
保磁力を充分得ることができず磁気的相互作用が働かな
い。rB が10μm未満では高保磁力の磁性粉末の作る
磁場が弱くなる。また、rB が100μmより大きい場
合、充填率が低下してしまい粒子間の相互作用が弱くな
ってしまう。この相互作用をさらに大きくするには1μ
m≦rA ≦5μm、かつ20μm≦rB ≦30μmにす
ることが望ましい。この範囲では、磁気的相互作用が非
常に大きく働き、高い磁気特性が得られる。
【0022】また、2種類の磁性材料のうちどちらか一
方が熱安定性が悪くても磁気的相互作用により熱安定性
が改善される。
【0023】一方、本発明における磁気的相互作用は、
後述する実施例A等において具体的に示されるように、
2つの特性値のピークのずれ量が所定値以上のときに著
しく発現することが確かめられている。すなわち、上述
したような関係を有する混合粉末において磁気的相互作
用が高められるのは、磁粉体積充填率の最大値(ピー
ク)と最大エネルギー積(BH)max の最大値(ピー
ク)が所定量のずれを有している場合である。磁気的相
互作用を高めるには、磁粉体積充填率の最大値(ピー
ク)と最大エネルギー積(BH)max の最大値(ピー
ク)にそれぞれ対応する混合粉末中いずれか1の粉末、
例えば、粉末Aの重量%を比較するとき、5重量%以上
の差が存在することが望ましい。5重量%以上の範囲で
あれば、混合される粉末間に一定の磁気的相互作用が働
くため、減磁曲線にエグレが生じて角形性が低下するこ
とがない。
【0024】磁性粉末の混合方法において、2種類以上
の粉末をまず混合させることにより、異種の粉末の分散
性(混ざり具合い)を向上させることができ、その結
果、磁気的相互作用をより効果的に働かせることができ
る。
【0025】さらに、2種類以上の磁性粉末の粉砕と混
合を同時に行なうことにより、粉砕により現われる新鮮
な粉末表面同士が接触しあい、磁気的相互作用が強化さ
れる。
【0026】ボンド磁石作製において、混合粉末を着磁
し成形することにより、粒子間の磁気的相互作用が向上
し、角形性、配向性の向上を可能にする。
【0027】焼結磁石作製において、プラズマ焼結を行
うことにより粉末の劣化を極力抑え、磁気的相互作用を
強くすることができる。
【0028】
【実施例】以下に実施例に基づき本発明をさらに詳細に
説明する。 (実施例1)Sm=24.5、Fe=75.5重量%の
組成になるように、高周波溶解炉を用いアルゴンガス雰
囲気中で溶解・鋳造したインゴットを作製した。このイ
ンゴットに1100℃で24時間の均質化処理を施し、
スタンプミルで平均粒径100μmまで粗粉砕した。こ
の粉末を水素+アンモニア混合ガス中で450℃で1時
間窒化処理を施した。得られた粉末をジェットミルで微
粉砕し、平均粒径で2.0μmの微粉末を得た。この微
粉末をA1とする。この粉末の保磁力を測定したところ
7.9kOeであった。
【0029】次に、Sm=24.2、Co=45.7、
Fe=22.9、Cu=5.3、Zr=1.9重量%の
組成となるように、高周波溶解炉を用いアルゴンガス雰
囲気中で溶解・鋳造し、インゴットを作製した。このイ
ンゴットにアルゴン雰囲気中で1150℃で24時間の
溶体化処理を、次に800℃で12時間保持したあと
0.5℃/minで400℃まで連続冷却させる時効処
理を施した。その後、スタンプミル、アトライターで粉
砕し、平均粒径が21μmの粉末を得た。この粉末をB
1とする。この粉末の保磁力は12.8kOeであっ
た。
【0030】上記二種類の粉末を(a)A1+(100
−a)B1となるように混合した。ここで、aは重量%
で0、5、10、15、20、25、30、35、40
である。得られた混合粉末にエポキシ樹脂1.6重量%
を混合・混練し、15kOeの磁場中で7ton/cm
2 の成形圧で圧縮成形し、窒素ガス雰囲気中150℃で
1時間のキュアを施し、ボンド磁石とした。ボンド磁石
の磁気特性を図1に示す。図1において磁粉体積充填率
のピークはa=10重量%にあるのに対して、最大エネ
ルギー積(BH)max のピークはa=25重量%にあ
り、充填率ピークが磁気特性のピークに一致していな
い。このことから、磁気特性の向上の効果は磁粉体積充
填率のみに起因するものではないことが理解できる。こ
こで、a=25重量%のときのボンド磁石を実施例Aと
する。
【0031】次に、A1粉末とB1粉末それぞれ独立に
ボンド磁石(樹脂量1.6重量%)を作製した。得られ
たボンド磁石をA1の粉末が25重量%になるように接
着した。これを比較例1−1とする。
【0032】図2に実施例Aと比較例1−1の磁化曲線
(減磁曲線)を示した。磁気特性の向上が磁粉体積充填
率の増加にのみ起因するのであれば両者の曲線は重なる
はずだが、実施例Aの方がどの磁場のときでも比較例1
−1よりも高い磁化を示している。これは配向が単独の
場合よりも向上していることを示している。しかも、比
較例1−1の磁化曲線には8〜11kOeの領域にエグ
レがあるのに対し、実施例Aには全くエグレが見られな
い。これは、実施例Aでは異種の粒子間に磁気的相互作
用が働いているためである。
【0033】この磁気的相互作用が2種の保磁力の違い
から生じていることは、次に示す比較例1−2及び1−
3の結果から理解できる。Sm=24.2、Co=4
5.7、Fe=22.9、Cu=5.3、Zr=1.9
重量%の組成となるように、高周波溶解炉を用いアルゴ
ンガス雰囲気中で溶解・鋳造し、インゴットを作製し
た。このインゴットにアルゴン雰囲気中で1150で2
4時間の溶体化処理を、800℃で6時間保持した後
0.5℃/minで400℃まで連続冷却させる時効処
理を施した。その後、スタンプミル、アトライターで粉
砕し、平均粒径が21μmの粉末を得た。この粉末の保
磁力は7.9kOeであった。この粉末にA1を25重
量%混合し、エポキシ樹脂1.6重量%と混合・混練
し、15kOe磁場中で7ton/cm2 の成形圧で圧
縮成形し、窒素ガス雰囲気中150℃で1時間のキュア
を施し、ボンド磁石とした。これを比較例1−2とす
る。比較例1−2で用いた2つの粉末についてもそれぞ
れ独立のボンド磁石を作製し接着した。これを比較例1
−3とする。両者の磁化曲線を図3に示す。比較例1−
2と比較例1−3の磁化曲線はほぼ一致していることが
わかる。このことから、保磁力の違う2種類の磁性粉末
を混合することにより、初めて磁気的相互作用が働き、
高い磁気特性が得られることが理解できる。 (実施例2)実施例1のA1粉末とB1粉末を重量比
1:3の割合で、V型混合機を用いて混合し、その後エ
ポキシ樹脂1.6重量%と混合・混練し、15kOeの
磁場中で7ton/cm2 の成形圧で圧縮成形し、窒素
ガス雰囲気中150℃で1時間のキュアを施し、ボンド
磁石とした。これを実施例Bとする。
【0034】次に、A1粉末とB1粉末それぞれ独立に
エポキシ樹脂1.6重量を混合・混練した。混練の終了
したコンパウンドを重量比でA1:B1が1:3になる
ように再び混合・混練した。その後、15kOeの磁場
中で7ton/cm2 の成形圧で圧縮成形し、窒素ガス
雰囲気中150℃で1時間のキュアを施し、ボンド磁石
とした。これを比較例2とする。以下に、実施例Bと比
較例2の磁気特性を示す。
【0035】 Br(kG) iHc(kOe) (BH)max (MGOe) 実施例B 10.5 11.9 24.6 比較例2 9.4 11.4 18.9 実施例Bは高い磁気特性が得られているのに対し、比較
例2は角形性の低下が原因で磁気特性が低い。したがっ
て、粉末の混合を十分に行なってからボンド磁石とする
ことにより異種の粒子間に磁気的相互作用を強く働かせ
ることが可能となり、その結果、高性能なボンド磁石が
得られることが理解できる。 (実施例3)実施例B、比較例1−2、比較例2及びA
1粉末にエポキシ樹脂4重量%を含んだボンド磁石(比
較例3)を直径10mm、高さ7mmの円柱状に加工
し、150℃×1000時間の経時変化試験を行なっ
た。以下に各ボンド磁石の減磁率を示す。
【0036】 実施例B 比較例1−2 比較例2 比較例3 減磁率(%) 4.8 10.2 7.3 46.3 実施例Bが他に比較して熱安定性があることがわかる。 (実施例4)Sm=24.2、Co=45.7、Fe=
22.9、Cu=5.3、Zr=1.9重量%の組成と
なるように、高周波溶解炉を用いアルゴンガス雰囲気中
で溶解・鋳造し、インゴットを作製した。このインゴッ
トにアルゴン雰囲気中で1150℃で24時間の溶体化
処理を行い、次に、800℃で12時間保持したあと
0.5℃/minで400℃まで連続冷却させる時効処
理を施した。その後、スタンプミルで平均粒径200μ
mまで粗粉砕した。この粉末をB2とする。
【0037】重量比でB2:A1=3:1となるように
し、ボールミルで粉砕・混合を同時に行なった。得られ
た混合粉末をエポキシ樹脂1.6重量%と混合・混練
し、15kOeの磁場中で7ton/cm2 の成形圧で
圧縮成形し、窒素ガス雰囲気中150℃で1時間のキュ
アを施し、ボンド磁石とした。これを実施例Cとする。
以下に磁気特性を示す。
【0038】Br=10.9kG iHc=12.3kOe (BH)max =25.4MGOe 実施例Cが強い磁気的相互作用により実施例Aよりもさ
らに高い磁気特性が得られていることがわかる。
【0039】実施例Cと実施例Aの減磁曲線を図4
(A)に示した。両者はほぼ一致しているが厳密に両者
の差をとると図4(B)のようになり、粉砕と混合を同
時に行った方が角形性が向上していることがわかる。こ
れより、粉末の粉砕と混合を同時に行なうと粒子間の磁
気的相互作用が向上(新鮮な表面同士が接触するため)
し、高い磁気特性が得られることが理解できる。
【0040】また、実施例Cと実施例Aを大気中150
℃で100時間保持したところ、それぞれの減磁曲線は
図4(C)のようになり、明らかに実施例Cのほうが特
性を維持していることが理解できる。 (実施例5)Sm=24.5、Fe=75.5重量%の
組成になるように、高周波溶解炉を用いアルゴンガス雰
囲気中で溶解・鋳造したインゴットを作製した。このイ
ンゴットに1100℃で24時間の均質化処理を施し、
スタンプミルで平均粒径100μmまで粗粉砕した。こ
の粉末を水素+アンモニア混合ガス中で450℃で1時
間窒化処理を施した。得られた粉末をジェットミルで微
粉砕した。粉砕時間を変えることで保磁力を変えた。こ
れらの粉末をXと総称する。
【0041】次に、Sm=24.2、Co=45.7、
Fe=22.9、Cu=5.3、Zr=1.9重量%の
組成となるように、高周波溶解炉を用いアルゴンガス雰
囲気中で溶解・鋳造し、インゴットを作製した。このイ
ンゴットにアルゴン雰囲気中で1150℃で24時間の
溶体化処理を、次に800℃で1〜24時間保持したあ
と0.5℃/minで400℃まで連続冷却させる時効
処理を施した。時効処理時間を変えることで保磁力の大
きさを変えた。その後、スタンプミル、アトライターで
粉砕した。これらの粉末をYと総称する。
【0042】粉末Xが全体の25重量%になるように粉
末Xと粉末Yとを混合し、混合粉末にエポキシ樹脂1.
6重量%を混合・混練し、15kOeの磁場中で7to
n/cm2 の成形圧で圧縮成形し、窒素ガス雰囲気中1
50℃で1時間のキュアを施し、ボンド磁石とした。そ
のときの磁気特性を評価した。その結果を図5に示す。
【0043】Xの保磁力が(Yの保磁力)/10未満で
は高保磁力の磁性粉末による磁化反転を抑制することが
困難になり、減磁曲線にエグレが生じ、また角形性が低
下し磁気特性が低下している。また、Xの保磁力がYの
保磁力以上では、十分な回転トルクが得られず磁気特性
が低下している。
【0044】これらから、磁気的相互作用を強く働か
せ、磁気特性を向上させるには、(Yの保磁力)/10
≦(Xの保磁力)≦(Yの保磁力)にすることが望まし
いことが理解できる。
【0045】なお、この傾向は用いた混合粉末には関係
なく、すべての磁性粉末で同様の結果を示す。 (実施例6)Sm=24.5、Fe=75.5重量%の
組成になるように、高周波溶解炉を用いアルゴンガス雰
囲気中で溶解・鋳造したインゴットを作製した。このイ
ンゴットに1100℃で24時間の均質化処理を施し、
スタンプミルで平均粒径100μmになるまで粗粉砕し
た。この粉末を水素+アンモニア混合ガス中で450℃
で1時間窒化処理を施した。得られた粉末をジェットミ
ルで微粉砕した。粉砕時間を変えることで平均粉末粒径
を変えた。これらの粉末をX2と総称する。平均粉末粒
径の大きさは表1の通りである。
【0046】次に、Sm=24.2、Co=45.7、
Fe=22.9、Cu=5.3、Zr=1.9重量%の
組成となるように、高周波溶解炉を用いアルゴンガス雰
囲気中で溶解・鋳造し、インゴットを作製した。このイ
ンゴットにアルゴン雰囲気中で1150℃で24時間の
溶体化処理を、次に800℃で12時間保持したあと
0.5℃/minで400℃まで連続冷却させる時効処
理を施した。その後、スタンプミル、アトライターで粉
砕した。この平均粉末粒径を表1に示す。これらの粉末
をY2と総称する。
【0047】粉末X2が25重量%となるように粉末X
2と粉末Y2を混合し、混合粉末にエポキシ樹脂1.6
重量%を混合・混練し、15kOeの磁場中で7ton
/cm2 の成形圧で圧縮成形し、窒素ガス雰囲気中15
0℃で1時間のキュアを施し、ボンド磁石とした。それ
ぞれの磁気特性を測定した。その結果を表1に示す。
【0048】 〔表1〕 ---------------------------------------------------------------------- X2の粒径(μm) Y2の粒径(μm) (BH)max(MGOe) ---------------------------------------------------------------------- 比較例 0.03 5.1 15.1 比較例 〃 10.3 16.4 比較例 〃 21.0 17.1 比較例 〃 28.6 18.1 比較例 〃 90.2 16.9 比較例 〃 134.5 16.0 比較例 0.1 5.1 18.4 実施例 〃 10.3 22.9 実施例 〃 21.0 23.2 実施例 〃 28.6 23.3 実施例 〃 90.2 22.9 比較例 〃 134.5 19.6 比較例 1.2 5.1 18.6 実施例 〃 10.3 23.2 実施例 〃 21.0 24.6 実施例 〃 28.6 23.8 実施例 〃 90.2 22.8 比較例 〃 134.5 19.3 比較例 4.9 5.1 17.3 実施例 〃 10.3 22.7 実施例 〃 21.0 23.9 実施例 〃 28.6 24.0 実施例 〃 90.2 23.6 比較例 〃 134.5 19.5 比較例 9.1 5.1 17.1 実施例 〃 10.3 23.1 実施例 〃 21.0 23.3 実施例 〃 28.6 23.6 実施例 〃 90.2 23.0 比較例 〃 134.5 19.8 比較例 15.1 5.1 19.1 比較例 〃 10.3 19.1 比較例 〃 21.0 19.3 比較例 〃 28.6 19.6 比較例 〃 90.2 19.3 比較例 〃 134.5 19.0 ---------------------------------------------------------------------- X2の粉末粒径が0.1μm未満では十分な回転トルク
が得られず、さらに、充填率も低下し粒子間の磁気的相
互作用の低下を招き、磁気特性が低下している。X2の
粉末粒径が10μmよりも大きい場合は保磁力が弱く磁
気的相互作用が働かず、磁気特性が低下している。一
方、Y2の粉末粒径が10μm未満ではX2への磁場の
影響が弱まり、また、粉末粒径が100μmよりも大き
い場合は、充填率の低下や磁気的相互作用の低下によ
り、磁気特性が低くなっている。以上のことから、磁気
特性の向上には0.1μm≦(X2の粉末粒径)≦10
μm、かつ10μm≦(Y2粉末粒径)≦100μmに
することが望ましいことが理解できる。また、1μm≦
(X2の粉末粒径)≦5μm、20μm≦(Yの保磁
力)≦30μmの範囲で、特に磁気的相互作用が強く働
き、非常に高い磁気特性が得られる。 (実施例7)磁性粉末A1と磁性粉末B1とを重量比で
A1:B1=3:1となるように混合し、その混合時間
を変えることにより、異種粉末間の分散度合を変化させ
た。分散度合は請求項4のaの値で見積った。全体の総
量が100gであったので、その任意の一部1gを取り
出しA1とB1の混合比を測定し、aの値を計算した。
その結果を図6に示す。
【0049】0.5≦a≦1.5では磁気特性が高いの
に対し、それ以外では特性が急激に低下しており、異種
の粉末が分散していることが磁気的相互作用を向上さ
せ、その結果、磁気特性を向上させていることがわか
る。また、0.9≦a≦1.1で特に特性が高く、この
範囲にすることがさらに望ましい。 (実施例8)Nd=12.4、Fe=65.9、Co=
15.9、B=5.8重量%の組成となるように、高周
波溶解炉を用いアルゴン雰囲気中で溶解・鋳造し、単ロ
ールで急冷薄帯を作製・解砕し、型に入れ、アルゴンガ
ス中で700〜800℃の温度で短時間のうちに、2t
on/cm2 の圧力で高温圧縮成形し、さらに最初の圧
縮方向と垂直方向に高温圧縮成形を施した。この異方性
バルク体を粉砕して得た粉末をB3とする。
【0050】実施例1と同様に、A1とB3を混合量を
変えて磁気特性を評価したところ、充填率のピークは1
5重量%であったのに対し、(BH)max のピークは3
0重量%であった。これを実施例Dとする。そのときの
磁気特性は以下の通りである。また、比較例4としてB
3粉末単独の場合のボンド磁石の性能も示した。
【0051】 Br(kG) iHc(kOe) (BH)max (MGOe) 実施例D 10.2 12.5 21.2 比較例4 9.1 14.1 17.4 比較例4に比べ実施例Dでは磁気的相互作用が働き、非
常に高い磁気特性を示していることが理解できる。 (実施例9)Sm=6.7、Ce=2.3、Pr=6.
8、Nd=6.9、Co=51.2、Fe=15.9、
Cu=6.8、Zr=3.4重量%の組成となるよう
に、高周波溶解炉を用いアルゴンガス雰囲気中で溶解・
鋳造し、インゴットを作製した。このインゴットにアル
ゴン雰囲気中で1145℃で24時間の溶体化処理をし
た後、780℃で12時間保持したあと0.5℃/mi
nで400℃まで連続冷却させる時効処理を施した。そ
の後、スタンプミル、アトライターで粉砕し、平均粒径
が20μmの粉末を得た。この粉末をB4とする。この
粉末の保磁力は10.5kOeであった。
【0052】次に、Sm=22.5、Pr=2.3、F
e=70.1、Co=5.1重量%の組成になるよう
に、高周波溶解炉を用いアルゴンガス雰囲気中で溶解・
鋳造したインゴットを作製した。このインゴットに11
00℃で24時間の均質化処理を施し、スタンプミルで
平均粒径100μmまで粗粉砕した。この粉末を水素+
アンモニア混合ガス中で450℃で2時間窒化処理を施
した。得られた粉末をジェットミルで微粉砕し、平均粒
径で2.2μmの微粉末を得た。この微粉末をA2とす
る。この粉末の保磁力を測定したところ6.5kOeで
あった。
【0053】重量比でA2:B4=1:3で混合・混練
した。その後、15kOeの磁場中で7ton/cm2
の成形圧で圧縮成形し、窒素ガス雰囲気中150℃で1
時間のキュアを施し、ボンド磁石とした。これを実施例
Eとする。このときの磁気特性を以下に示す。
【0054】Br=10.2kG iHc= 9.1kOe (BH)max =23.5MGOe 実施例Eは実施例AよりもSmの量が少ないのにも拘ら
ず、充分高い磁気特性が得られていることが理解でき
る。 (実施例10)実施例1のA1とB1を重量比で1:3
に混合し、エポキシ樹脂1.6重量%を添加し、混合・
混練した。得られたコンパウンドを40kOeの磁場で
着磁し、その後15kOe磁場中で7ton/cm2
成形圧で圧縮成形し、窒素ガス雰囲気中150℃で1時
間キュアを施しボンド磁石とした。これを実施例Fとす
る。このときの磁気特性を以下に示す。
【0055】Br=10.9kG iHc=12.1kOe (BH)max =25.6MGOe 以上のように、実施例Fは、粉末(コンパウンド)状態
で着磁することにより、実施例AよりもBrが向上して
いることが理解できる。 (実施例11)純度99.9%のSmおよび純度99.
9%のFeを用いた原子百分比がSm10.5%および
Fe89.5%からなる合金をAr雰囲気中で高周波溶
解し、得られたインゴットをAr雰囲気中1100℃で
24時間で均質化処理を施した。その後、粉末粒径10
0μm程度まで粗粉砕し、アセチレンガス中で450℃
で1時間炭化処理を施した。得られた粉末を平均粒径5
μmまで微粉砕した。この粉末をA3とする。
【0056】B1の粉末にA3を20重量%加え、ボー
ルミルで粉砕・混合を同時に行なった。得られた混合粉
末をエポキシ樹脂1.6重量%と混合・混練し、15k
Oeの磁場中で7ton/cm2 の成形圧で圧縮成形
し、窒素ガス雰囲気中150℃で1時間のキュアを施
し、ボンド磁石とした。以下に磁気特性を示す。
【0057】Br=10.1kG iHc=10.1kOe (BH)max =22.4MGOe 以上のように、R2 Fe17Nx系にも拘わらず、炭化系
においても十分高い磁気特性が得られており、磁気的相
互作用による磁気特性の向上は組成には限定されないこ
とが理解できる。 (実施例12)Sm=24.2、Co=45.7、Fe
=22.9、Cu=5.3、Zr=1.9重量%の組成
になるように、高周波溶解炉を用いアルゴンガス雰囲気
中で溶解・鋳造し、インゴットを作製した。このインゴ
ットにアルゴン雰囲気中で1150℃で24時間の溶体
化処理を行い、次に800℃で12時間保持したあと
0.5℃/minで400℃まで連続冷却させる時効処
理を施した。その後、スタンプミル、アトライターで粉
砕し、平均粒径が21μmの粉末を得た。この粉末をA
2とする。A2の粉末にエポキシ樹脂1.6重量%を添
加し、混合・混練を施した。その後、15kOeの磁場
中で7ton/cm2 の成形圧で圧縮成形し、150℃
1時間のキュアを施し、ボンド磁石とした。これを比較
例5とする。
【0058】次に、Sm=25.8、Co=44.9、
Fe=24.8、Cu=3.2、Zr=1.3重量%の
組成となるように溶解・鋳造し、インゴットを作製し
た。このインゴットにアルゴン雰囲気中で1120℃で
48時間の溶体化処理を、次に800℃で15時間保持
したあと0.5℃/minで400℃まで連続冷却させ
る時効処理を施した。その後、スタンプミル、アトライ
ターで粉砕し、平均粒径が23μmの粉末を得た。この
粉末をB4とする。B4の粉末にエポキシ樹脂1.6重
量%を添加し、混合・混練を施した。その後、15kO
eの磁場中で7ton/cm2 の成形圧で圧縮成形し、
150℃1時間のキュアを施し、ボンド磁石とした。こ
れを比較例6とする。
【0059】上記二種類の粉末を{(a)×A2}+
{(100−a)×B4}となるように混合した。ここ
で、aは重量%で0(比較例6)、20、40、60、
80、100(比較例5)である。得られた混合粉末に
エポキシ樹脂1.6重量%を混合・混練し、15kOe
の磁場中で7ton/cm2 の成形圧で圧縮成形し、1
50℃で1時間のキュアを施し、ボンド磁石とした。ボ
ンド磁石の磁気特性を図7に示す。a=40重量%で最
大エネルギー積がピークをもち、それぞれA1、B1単
独のボンド磁石よりも高性能となっている。a=40重
量%のときのボンド磁石を実施例Gとする。実施例G、
比較例5及び比較例6の磁気特性は次の通りである。
【0060】 Br(kG) iHc(kOe) (BH)max (MGOe) 実施例G 9.6 9.5 21.2 比較例5 9.2 12.5 18.5 比較例6 10.2 7.2 18.8 次にA2粉末とB4粉末それぞれ独立にボンド磁石にし
た。得られた2種類のボンド磁石をA2の粉末が40重
量%になるように接着した。これを比較例7とする。図
8に実施例Gと比較例7の磁化曲線(減磁曲線)を示し
た。比較例7の減磁曲線には5〜9kOeの領域にエグ
レがあるのに対し、実施例Gには全くエグレは見られな
い。これは実施例Gでは異種の粒子間に磁気的相互作用
が働いているためである。 (実施例13)Sm=10.0、Pr=14.0、Co
=46.3、Fe=21.6、Cu=6.2、Zr=
1.9重量%の組成になるように、高周波溶解炉を用い
アルゴンガス雰囲気中で溶解・鋳造し、インゴットを作
製した。このインゴットにアルゴン雰囲気中で1130
℃で48時間の溶体化処理を、次に800℃で12時間
保持したあと0.5℃/minで400℃まで連続冷却
させる時効処理を施した。その後、スタンプミル、アト
ライターで粉砕し、平均粒径が20μmの粉末を得た。
この粉末をC1とする。C1の粉末にエポキシ樹脂1.
6重量%を添加し、混合・混練を施した。その後、15
kOeの磁場中で7ton/cm2 の成形圧で圧縮成形
し、150℃1時間のキュアを施し、ボンド磁石とし
た。これを比較例7とする。
【0061】C1とA2を13:7に混合し、得られた
混合粉末にエポキシ樹脂1.6重量%を混合・混練し、
15kOeの磁場中で7ton/cm2 の成形圧で圧縮
成形し、150℃で1時間のキュアを施し、ボンド磁石
とした。これを実施例Hとする。C1粉末のみを用いて
同様にボンド磁石を作製した。これを比較例8とする。
以下に、実施例Hと比較例8の磁気特性を示す。
【0062】 Br(kG) iHc(kOe) (BH)max (MGOe) 比較例7 9.1 11.5 19.2 実施例H 9.8 10.8 22.1 比較例8 10.5 7.1 17.8 実施例Hは高い磁気特性が得られているのに対し、比較
例8は保磁力が小さいために性能が低下している。 (実施例14)Sm=12.4、Nd=11.9、Co
=46.2、Fe=21.5、Cu=6.1、Zr=
1.9重量%の組成になるように、高周波溶解炉を用い
アルゴンガス雰囲気中で溶解・鋳造し、インゴットを作
製した。このインゴットにアルゴン雰囲気中で1140
℃で48時間の溶体化処理を、次に800℃で12時間
保持したあと0.5℃/minで400℃まで連続冷却
させる時効処理を施した。その後、スタンプミル、アト
ライターで粉砕し、平均粒径が22μmの粉末を得た。
この粉末をD1とする。D1の粉末にエポキシ樹脂1.
6重量%を添加し、混合・混練を施した。その後、15
kOeの磁場中で7ton/cm2 の成形圧で圧縮成形
し、150℃1時間のキュアを施し、ボンド磁石とし
た。これを比較例9とする。
【0063】D1とA1を3:2に混合し、得られた混
合粉末にエポキシ樹脂1.6重量%を混合・混練し、1
5kOeの磁場中で7ton/cm2 の成形圧で圧縮成
形し、150℃で1時間のキュアを施し、ボンド磁石と
した。これを実施例Iとする。C1粉末のみを用いて同
様にボンド磁石を作製した。これを比較例10とする。
以下に、実施例Iと比較例10の磁気特性を示す。
【0064】 Br(kG) iHc(kOe) (BH)max (MGOe) 比較例9 9.3 10.6 19.6 実施例I 10.1 9.8 21.1 比較例10 10.9 6.7 17.3 実施例Iでは高い磁気特性が得られているのに対し、比
較例10は保磁力が小さいために充分な性能が得られて
いない。 (実施例15)Sm=24.2、Co=44.9、Fe
=26.5、Cu=3.2、Zr=1.2重量%の組成
になるように、高周波溶解炉を用いアルゴンガス雰囲気
中で溶解・鋳造し、インゴットを作製した。このインゴ
ットにアルゴン雰囲気中で1120℃で48時間の溶体
化処理を、次に800℃で任意の時間保持したあと0.
5℃/minで400℃まで連続冷却させる時効処理を
施した。時効時間を変えることにより(1〜24時
間)、保磁力を変化させた。これをX2粉末とする。次
にSm=24.2、Co=45.7、Fe=22.9、
Cu=5.3、Zr=1.9重量%の組成になるように
溶解・鋳造し、インゴットを作製した。このインゴット
にアルゴン雰囲気中で1150℃で24時間の溶体化処
理を施した。次に800℃で任意の時間保持(1〜16
時間)した後0.5℃/minで400℃まで連続冷却
させる時効処理を施した。これにより保磁力の違う粉末
Y2を得た。その後、スタンプミル、アトライターで粉
砕し、平均粒径が20μm前後の粉末を得た。得られた
粉末X2と粉末Y2を3:2の割合で混合した。混合粉
末にエポキシ樹脂1.6重量%を添加し、混合・混練を
施した。その後、15kOeの磁場中で7ton/cm
2 の成形圧で圧縮成形し、150℃で1時間のキュアを
施し、ボンド磁石とした。保磁力と磁気特性の関係を図
9に示す。
【0065】Xの保磁力が(Yの保磁力)/10以上、
Yの保磁力以下で磁気特性が向上していることがわか
る。 (実施例16)A2、B4、C1及びD1の粉末を作製
した際のインゴットをそれぞれA3、B5、C2及びD
2とする。それぞれのインゴットを平均粒径200μm
前後まで粗粉砕した。粗粉砕した粉末をそれぞれ以下の
ように混ぜ合わした。
【0066】AB2……A3:B5=2:3 AC2……A3:C2=7:13 AD2……A3:D2=2:3 この粉末をボールミルで粉砕しながら混合した。得られ
た混合粉末をエポキシ樹脂1.6重量%と混合・混練
し、15kOeの磁場中で7ton/cm2 の成形圧で
圧縮成形し、150℃で1時間のキュアを施し、ボンド
磁石とした。これを実施例J(AB2)、実施例K(A
C2)、実施例L(AD2)とする。以下に磁気特性を
示す。
【0067】 Br(kG) iHc(kOe) (BH)max (MGOe) 実施例J 10.2 9.7 22.4 実施例K 10.7 11.0 23.5 実施例L 11.0 10.1 22.7 実施例J、K、Lは、強い磁気的相互作用により実施例
G、H、Iよりもさらに高い磁気特性が得られている。
これにより、粉末の粉砕と混合を同時に行なうことによ
り、粒子間の磁気的相互作用が向上(新鮮な表面同士が
接触するため)し高い磁気特性が得られていることが理
解できる。 (実施例17)実施例16で得られたコンパウンドをそ
れぞれ40kOeの磁場で着磁し、その後15kOe磁
場中で7ton/cm2 の成形圧で圧縮成形し、150
℃で1時間のキュアを施しボンド磁石とした。これを実
施例M、N、Oとする。このときの磁気特性を以下に示
す。
【0068】 Br(kG) iHc(kOe) (BH)max (MGOe) 実施例M 10.6 10.2 23.4 実施例N 11.2 11.5 24.1 実施例O 11.2 10.7 23.0 以上のように、実施例M、N、Oでは、粉末状態で着磁
することにより実施例J、K、Lよりも高い性能が得ら
れている。 (実施例18)A1粉末とB1粉末を重量比1:3で混
合・粉砕し、エポキシ樹脂1.6重量%と混合混練し
た。これを15kOe磁場中で成形した。ここで、成形
圧を変えることにより、磁粉体積充填率を変化させた。
磁気的相互作用の大きさを実測の磁化曲線と相互作用を
全く含まない場合を計算により求めた磁化曲線の差のピ
ークの大きさで評価した。計算した磁化曲線が相互作用
のない場合の実測の磁化曲線と非常によく一致すること
はすでに実施例1で示している。実測値と計算値の差を
表した典型的なものを図10に示す。
【0069】磁粉体積充填率とピーク値の関係を図11
に示す。図から明らかなように充填率が増加するに従い
ピーク値の大きさも大きくなっており、角形性が向上し
ていることが理解できる。特に磁粉体積充填率が50%
以下で減少しており、磁気的相互作用を効果的に働かせ
るには充填率がポイントであることがわかる。 (実施例19)A1粉末とB1粉末を重量比1:3で混
合・粉砕し、混合粉末を得た。5ton/cm2 で加圧
し2000Aの電流をパルスで流し、焼結温度400℃
×5分でプラズマ焼結を行なった。この時の焼結磁石を
実施例Pとする。比較例11としてA1粉末とB1粉末
を実施例Pと同じ割合で2相になるように(一種の傾斜
材料のように)プラズマ焼結を行なった。
【0070】それぞれの磁気特性は以下の通り。
【0071】 Br(kG) iHc(kOe) (BH)max (MGOe) 実施例P 12.7 10.2 37.5 比較例11 12.0 11.0 29.1 比較例11ではエグレにより磁気特性が低下しているの
に対し、実施例Pでは角形性が非常によく、その結果磁
気特性が向上している。 (実施例20)Sm=24.2、Co=45.7、Fe
=22.9、Cu=5.3、Zr=1.9重量%の組成
となるように、高周波溶解炉を用いアルゴンガス雰囲気
中で溶解・鋳造し、インゴットを作製した。このインゴ
ットにアルゴン雰囲気中で1150℃で12時間の溶体
化処理を施した。これをK1とする。
【0072】次に、Sm=10.0、Pr=14.0、
Co=46.4、Fe=21.6、Cu=6.2、Zr
=1.9重量%の組成になるように溶解・鋳造し、イン
ゴットを作製した。このインゴットにアルゴン雰囲気中
で1130℃で24時間の溶体化処理を施した。これを
K2とする。
【0073】K1とK2が13:7になるようにし、こ
の混合インゴットをジェットミルで微粉砕を行なった
(粉砕と混合が同時に行なわれている)。この混合粉末
を15kOe磁場中で成形し、得られた成形体を120
0℃で焼結した。その後1130℃で24時間再び溶体
化処理を施し、次に800℃で12時間保持したあと
0.5℃/minで400℃まで連続冷却させる時効処
理を施した。得られた焼結磁石の性能は以下の通り。
【0074】Br=13.1kG iHc=11.5kOe (BH)max =38.1MGOe (実施例21)実施例20の混合粉末を15kOe磁場
中で成形圧を変えて成形した。得られた成形体を実施例
20と同様の方法で焼結磁石を作製した。成形圧力を変
えることにより磁粉体積充填率を変えた。この体積充填
率と実施例18で行なった磁気的相互作用の評価である
差のピーク値との関係を図12に示す。図から明らかな
ように充填率が増加するに従いピーク値の大きさも大き
くなっており、角形性が向上していることが理解でき
る。特に磁粉体積充填率が95%以上でピークが急激に
増加しており、磁気的相互作用を効果的に働かせるには
充填率がポイントであることがわかる。 (実施例22)Nd=28.1、Fe=60.2、Co
=10.6、B=1.0、Zr=0.1重量%の組成に
なるように溶解・鋳造した。その後均質化処理を施し、
水素ガス中、850℃×3時間の水素処理を行い、10
-3Torrまで真空引きし、室温まで急冷し、いわゆるHD
DR処理を施した。得られたインゴットを平均粒径20
0μmまで粗粉砕した。この粉末L1とする。
【0075】L1とB1を3:2に混合し、エポキシ樹
脂1.6重量%を混合・混練し、15kOe磁場中で成
形した。その後150℃×1時間のキュア処理を施し、
ボンド磁石化した。このときの磁気特性を以下に示す。
【0076】Br=10.5kG iHc=12.4kOe (BH)max =21.5MGOe (実施例23)Fe65Co35となるように溶解・鋳造し
た。得られたインゴットを粉砕した。これをM1とす
る。M1とK1を1:9の比で混合した。得られた混合
粉末をジェットミルで微粉砕を行なった。この混合粉末
を15kOe磁場中で成形し、得られた成形体を120
0℃で焼結した。その後1130℃で24時間再び溶体
化処理を施し、次に800℃で12時間保持したあと
0.5℃/minで400℃まで連続冷却させる時効処
理を施した。得られた焼結磁石の性能は以下の通り。
【0077】Br=15.4kG iHc= 8.1kOe (BH)max =50.1MGOe (実施例24)M1とA1を2:8の比で混合した。得
られた混合粉末をジェットミルで微粉砕を行なった。得
られた混合粉末を、エポキシ樹脂1.6重量%と混合・
混練し、15kOe磁場中で成形した。その後150℃
×1時間のキュア処理を施し、ボンド磁石化した。この
ときの磁気特性を以下に示す。
【0078】Br=13.7kG iHc= 6.2kOe (BH)max =25.4MGOe (実施例25)Feのアトマイズ粉(2μm)P1とL
1を1:9で混合し、得られた混合粉末を、エポキシ樹
脂1.6重量%と混合・混練し、15kOe磁場中で成
形した。その後150℃×1時間のキュア処理を施し、
ボンド磁石化した。このときの磁気特性を以下に示す。
【0079】Br=13.7kG iHc=10.2kOe (BH)max =26.2MGOe (実施例26)Sm=35、Co=65重量%の組成に
なるように溶解・鋳造した。得られたインゴットをジョ
ークラッシャー及び振動ボールミルで粗粉砕した。得ら
れた粉末をQ1とする。Q1とM1を7:3の割合で混
合した。混合粉末をジェットミルを用いて微粉砕し、1
5kOe磁場中で成形し、得られた成形体を1220℃
で焼結した。その後850℃で5時間の熱処理を施し
た。得られた焼結磁石の性能は以下の通り。
【0080】Br=14.3kG iHc=12.5kOe (BH)max =42.1MGOe (実施例27)α−Fe2 3 及びSrCO3 粉末を配
合比Fe2 3 /SrOが5.9になるように秤量し、
ボールミルで混合し、1250℃×4時間で仮焼結を
し、再びボールミルで粉砕を行なった。この粉末をR1
とする。R1とK1が2:8になるようにし、この混合
インゴットをジェットミルで微粉砕を行なった。この混
合粉末を15kOe磁場中で成形し、得られた成形体を
1200℃で焼結した。その後1130℃で24時間、
熱処理を施し、次に800℃で12時間保持したあと
0.5℃/minで400℃まで連続冷却させた。得ら
れた焼結磁石の性能は以下の通り。
【0081】Br=13.5kG iHc=10.2kOe (BH)max =39.2MGOe (実施例28)R1とA1を3:7に混合し、ジェット
ミルで微粉砕を行なった。得られた混合粉末を、エポキ
シ樹脂4重量%と混合・混練し、15kOe磁場中で成
形した。その後150℃×1時間のキュア処理を施し、
ボンド磁石化した。このときの磁気特性を以下に示す。
【0082】Br=11.6kG iHc= 5.3kOe (BH)max =22.3MGOe (実施例29)R1とL1を1:9に混合し、得られた
混合粉末を、エポキシ樹脂1.6重量%と混合・混練
し、15kOe磁場中で成形した。その後150℃×1
時間のキュア処理を施し、ボンド磁石化した。このとき
の磁気特性を以下に示す。
【0083】Br=10.6kG iHc=12.1kOe (BH)max =21.5MGOe (実施例30)R1とM1を7:3の割合で混合した。
混合粉末をジェットミルを用いて微粉砕し、15kOe
磁場中で成形し、得られた成形体を1250℃で焼結し
た。その後850℃で5時間の熱処理を施した。得られ
た焼結磁石の性能は以下の通り。
【0084】Br=15.2kG iHc= 3.2kOe (BH)max =19.6MGOe (実施例31)アンモニアガス雰囲気中でFeを700
℃で窒化し、常温に急冷した。得られた窒化鉄をさらに
窒素温度まで急冷した。その後100℃で熱処理を施
し、Fe162 を得た。得られた合金を粗粉砕した。こ
の粉末をS1とする。S1とB1を1:9の比で混合
し、得られた混合粉末を、エポキシ樹脂1.6重量と混
合・混練し、15kOe磁場中で成形した。その後15
0℃×1時間のキュア処理を施し、ボンド磁石化した。
このときの磁気特性を以下に示す。
【0085】Br=11.6kG iHc= 6.2kOe (BH)max =20.9MGOe (実施例32)S1とA1を2:8で混合し、得られた
混合粉末を、エポキシ樹脂1.6重量%と混合・混練
し、15kOe磁場中で成形した。その後150℃×1
時間のキュア処理を施し、ボンド磁石化した。このとき
の磁気特性を以下に示す。
【0086】Br=10.7kG iHc=10.6kOe (BH)max =22.3MGOe (実施例33)S1とL1を3:17で混合し、得られ
た混合粉末を、エポキシ樹脂1.6重量%と混合・混練
し、15kOe磁場中で成形した。その後150℃×1
時間のキュア処理を施し、ボンド磁石化した。このとき
の磁気特性を以下に示す。
【0087】Br=10.7kG iHc=10.6kOe (BH)max =22.3MGOe (実施例34)S1とQ1を3:7で混合し、得られた
混合粉末を、エポキシ樹脂1.6重量%と混合・混練
し、15kOe磁場中で成形した。その後150℃×1
時間のキュア処理を施し、ボンド磁石化した。このとき
の磁気特性を以下に示す。
【0088】Br=11.1kG iHc= 4.7kOe (BH)max =17.1MGOe (実施例35)A1とB1を1:3に混合し、混合粉末
にナイロン12を2.5重量%加え、250℃で混練を
行った。この混合物を粉砕機でペレット化し、10kO
e磁場中250℃で成形し、ボンド磁石化した。なお、
このときの成形圧力は1ton/cm2 である。このと
きの磁気特性は以下の通りである。
【0089】Br=10.5kG iHc=10.3kOe (BH)max =22.4MGOe このように比較的高温で成形するため、配向磁場も低
く、また、成形圧も低くても、十分に高配向で高充填率
のボンド磁石が作製できることがわかる。 (実施例36)A1とB1を1:3に混合し、混合粉末
にナイロン12を10重量%加え、280℃で混練し、
280℃で射出圧力1ton/cm2 で15kOe磁場
中で射出成形した。このときの磁場特性は以下の通りで
ある。
【0090】Br= 8.5kG iHc= 9.8kOe (BH)max =15.7MGOe (実施例37)A1とB1を1:3に混合し、混合粉末
にナイロン12、酸化防止剤、シリコンオイルをそれぞ
れ3.2重量%混合し、2軸混練機で230℃で混練を
行い、同時にペレット化も行った。この混合物を押出成
形機により、15kOe磁場中で押し出した。このとき
の磁気特性は以下の通りである。
【0091】Br=10.5kG iHc=10.0kOe (BH)max =21.0MGOe (実施例38)粉末A1と粉末B1が重量比で1:3に
なるように混合した。なお、粉末A1およびB1の平均
粒径は2.0μm(rA )および21.0μm(rB
であった。混合はV型混合機を用い、混合時間を変え
た。この混合粉末にエポキシ樹脂を1.6重量%加え混
合・混練し、15kOe磁場中で成形した。その後15
0℃×1時間のキュア処理を施し、ボンド磁石化した。
また、ボンド磁石の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)
で観察し、A1とB1の接触している数(10カ所の平
均)を測定した。接触の数と磁気特性(最大エネルギー
積)の関係を図13に示す。この図より接触数が2(r
A +rB 2 /rA 2 以下で急激に磁気特性が劣化し
ていることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】A1粉末の混合量と磁気特性の関係を示すグラ
フである。
【図2】混合ボンド磁石の減磁曲線(実施例Aおよび比
較例1−1)を示すグラフである。
【図3】混合ボンド磁石の減磁曲線(比較例1−2およ
び比較例1−3)を示すグラフである。
【図4】(A)実施例Cおよび実施例Aの減磁曲線を示
すグラフである。(B)実施例Cおよび実施例Aの減磁
曲線の差を示すグラフである。(C)大気中150℃、
100時間保持した場合の減磁曲線(実施例Cおよび実
施例A)を示すグラフである。
【図5】2種類の粉末の保持力の差と磁気特性との関係
を示すグラフである。
【図6】粉末の分散係数と磁気特性の関係を示すグラフ
である。
【図7】B4粉末の混合量と磁気特性との関係を示すグ
ラフである。
【図8】混合ボンド磁石の減磁曲線(実施例Gおよび比
較例7)を示すグラフである。
【図9】2種類の粉末の保持力の差と磁気特性との関係
を示すグラフである。
【図10】実測と計算の磁化の差と磁場との関係を示す
グラフである。
【図11】ボンド磁石における磁化の差のピークと磁粉
体積充填率との関係を示すグラフである。
【図12】燒結磁石における磁化の差のピークと磁粉体
積充填率との関係を示すグラフである。
【図13】2種類の磁性粉末の接触数と磁気特性との関
係を示すグラフである。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01F 7/02 A

Claims (40)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】磁性粉末A(残留磁束密度BrA 、保磁力
    HcA )および磁性粉末B(残留磁束密度BrB 、保磁
    力HcB )を含む2種類以上の混合粉末からなり、各残
    留磁束密度および保持力がBrA >BrB 、HcA <H
    B の関係を有することを特徴とする磁性粉末。
  2. 【請求項2】各保持力がHcA =y・HcB (0.1<
    y)の関係を有することを特徴とする請求項1に記載の
    磁性粉末。
  3. 【請求項3】各残留磁束密度がBrA =x・BrB (1
    <x≦2、0.5≦y<1)の関係を有することを特徴
    とする請求項2に記載の磁性粉末。
  4. 【請求項4】前記磁性粉末A(ただし、粉末Aと粉末B
    の重量比がi:jである)において、この混合粉末の総
    量の1%を任意に取り出しその混合粉末中の粉末Aと粉
    末Bの重量比がi′:j′であるとき、各重量比がi/
    j=a(i′/j′)(0.5≦a≦1.5)の関係を
    有することを特徴とする請求項1に記載の磁性粉末。
  5. 【請求項5】前記aが0.9≦a≦1.1であることを
    特徴とする請求項4に記載の磁性粉末。
  6. 【請求項6】前記混合磁性粉末において磁性粉末A(平
    均粉末粒径:rA )と磁性粉末B(平均粉末粒径:
    B )の接触点の数nが、rA <rB の場合には、
    {2(rA+rB 2 /rA 2 }<n、また、rA >r
    B の場合には、{2(rA +rB2 /rB 2 }<n
    であることを特徴とする請求項1に記載の磁性粉末。
  7. 【請求項7】請求項1から6のいずれかに記載の磁性粉
    末から製造されることを特徴とするボンド磁石。
  8. 【請求項8】磁粉体積充填率が50%以上であることを
    特徴とする請求項7に記載のボンド磁石。
  9. 【請求項9】請求項1〜6のいずれかに記載の磁性粉末
    から製造されることを特徴とする焼結磁石。
  10. 【請求項10】磁粉体積充填率が95%以上であること
    を特徴とする請求項9に記載の焼結磁石。
  11. 【請求項11】磁性粉末Aが希土類金属(Yを含む希土
    類元素のうち1種または2種以上であり、以下Rと略
    す)、遷移金属(主としてFe及び/またはCoからな
    り、以下TMと略す)ならびに窒素、炭素及び/または
    水素からなるいわゆるR2 TM17(NCH)x 系からな
    り、磁性粉末BがR及びCoからなり必要に応じてF
    e、Cu、Zrなどを含むいわゆるR2 TM17系からな
    ることを特徴とする請求項1に記載の磁性粉末。
  12. 【請求項12】請求項11に記載の磁性粉末から製造さ
    れることを特徴とするボンド磁石。
  13. 【請求項13】磁粉体積充填率の最大値および最大エネ
    ルギー積((BH)max )の最大値にそれぞれ対応する
    混合粉末中1つの粉末の重量%を比較するとき、それぞ
    れの混合量(重量%)に5重量%以上の差が存在するこ
    とを特徴とする請求項12に記載のボンド磁石。
  14. 【請求項14】各粉末の平均粒径がrA <rB の関係を
    有することを特徴とする請求項11に記載の磁性粉末。
  15. 【請求項15】各粉末の平均粒径が0.1μm≦rA
    10μm、10μm≦rB ≦100μmおよびrA <r
    B の関係を有することを特徴とする請求項11に記載の
    磁性粉末。
  16. 【請求項16】磁性粉末AがR2 TM17(NCH)x か
    らなり、磁性粉末BがR、TMおよびBからなるいわゆ
    るR2 TM14B系であることを特徴とする請求項1に記
    載の磁性粉末。
  17. 【請求項17】磁性粉末AがR2 17系からなり、磁性
    粉末Bが磁性粉末Aとは組成を異にするR2 TM14系か
    らなることを特徴とする請求項1に記載の磁性粉末。
  18. 【請求項18】磁性粉末AがR2 TM14B系からなり、
    磁性粉末BがR2 TM17系からなることを特徴とする請
    求項1に記載の磁性粉末。
  19. 【請求項19】磁性粉末AがTM(主にFe)からな
    り、磁性粉末BがR2 TM17系からなることを特徴とす
    る請求項1に記載の磁性粉末。
  20. 【請求項20】磁性粉末AがTM(主にFe)からな
    り、磁性粉末BがR2 TM17Nx 系からなることを特徴
    とする請求項1に記載の磁性粉末。
  21. 【請求項21】磁性粉末AがTM(主にFe)からな
    り、磁性粉末BがR2 TM14B系からなることを特徴と
    する請求項1に記載の磁性粉末。
  22. 【請求項22】磁性粉末AがTM(主にFe)からな
    り、磁性粉末BがRTM5 系からなることを特徴とする
    請求項1に記載の磁性粉末。
  23. 【請求項23】磁性粉末AがTMおよび窒素からなり、
    磁性粉末BがR2 TM17系からなることを特徴とする請
    求項1に記載の磁性粉末。
  24. 【請求項24】磁性粉末AがTMおよび窒素からなり、
    磁性粉末BがR2 TM17Nx 系からなることを特徴とす
    る請求項1に記載の磁性粉末。
  25. 【請求項25】磁性粉末AがTMおよび窒素からなり、
    磁性粉末BがR2 TM14B系からなることを特徴とする
    請求項1に記載の磁性粉末。
  26. 【請求項26】磁性粉末AがTMおよび窒素からなり、
    磁性粉末BがRTM5 系からなることを特徴とする請求
    項1に記載の磁性粉末。
  27. 【請求項27】磁性粉末Aがいわゆるフェライトからな
    り、磁性粉末BがR2 TM17系からなることを特徴とす
    る請求項1に記載の磁性粉末。
  28. 【請求項28】磁性粉末Aがフェライトからなり、磁性
    粉末BがR2 TM17Nx 系からなることを特徴とする請
    求項1に記載の磁性粉末。
  29. 【請求項29】磁性粉末Aがフェライトからなり、磁性
    粉末BがR2 TM14B系からなることを特徴とする請求
    項1に記載の磁性粉末。
  30. 【請求項30】磁性粉末Aがフェライトからなり、磁性
    粉末BがRTM5 系からなることを特徴とする請求項1
    に記載の磁性粉末。
  31. 【請求項31】磁性粉末AがRTM5 系からなり、磁性
    粉末BがR2 TM17系からなることを特徴とする請求項
    1に記載の磁性粉末。
  32. 【請求項32】磁性粉末AがRTM5 系からなり、磁性
    粉末BがR2 Fe14B系からなることを特徴とする請求
    項1に記載の磁性粉末。
  33. 【請求項33】磁性粉末AがRTM5 系からなり、磁性
    粉末BがR2 TM17Nx 系からなることを特徴とする請
    求項1に記載の磁性粉末。
  34. 【請求項34】請求項11〜33に記載(ただし、請求
    項12、13を除く)の磁性粉末を用いることを特徴と
    するボンド磁石。
  35. 【請求項35】請求項14〜33のいずれかに記載の磁
    性粉末から製造されることを特徴とする燒結磁石。
  36. 【請求項36】磁性粉末Aと磁性粉末Bをそれぞれ別々
    に粉砕し、その後、磁性粉末Aと磁性粉末Bを混合する
    ことを特徴とする混合粉末の製造方法。
  37. 【請求項37】磁性粉末Aもしくは磁性粉末Bのいずれ
    かを粉砕し、その後残りの磁性粉末を粉砕する際、混合
    も同時に行うことを特徴とする混合粉末の製造方法。
  38. 【請求項38】磁性粉末Aと磁性粉末Bの粉砕と混合を
    同時に行うことを特徴とする混合粉末の製造方法。
  39. 【請求項39】請求項36〜38のいずれかに記載の方
    法により得られた混合粉末にバインダーなどを混合・混
    練し、その粉末を着磁後、成形することを特徴とするボ
    ンド磁石の製造方法。
  40. 【請求項40】請求項36〜38のいずれかに記載の方
    法により得られた混合粉末をプラズマ焼結することを特
    徴とする焼結磁石の製造方法。
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