JP2704745B2 - 永久磁石の製造方法 - Google Patents

永久磁石の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、永久磁石の製造方法に関するものであり、
更に詳しく述べるならばNd−Fe−B系焼結磁石の製造方
法に関するものである。
(従来の技術) Nd−Fe−B系磁石には超急冷磁石と焼結磁石がある。
超急冷磁石は焼結磁石よりも高保磁力であり、また前者
の保磁力の温度係数は0.3〜0.4%/℃であり、後者の保
磁力の温度係数は0.5%/℃以上であるため、超急冷磁
石の保磁力の温度係数は小さい。しかし、超急冷磁石は
本質的に等方性であり、異方性化は工業的に困難である
ため、まだ量産されていない。
焼結磁石の保磁力の温度係数は、測定温度範囲によっ
て変化し、低温ほど大になる。保磁力の温度係数(β)
は下記式により定めることができる。
ΔiHc:20℃から120℃の温度変化における固有保磁力(i
Hc)の差(kOe) iHc :20℃における固有保磁力(kOe) ΔT :温度差(100℃) 20から120℃の固有保磁力(iHc)の温度係数の測定区
間としたのは、100℃の温度区間とするためである。
Nd−Fe−B系焼結磁石は本発明者等により開発された
ものであって、最大エネルギ積密度(BH)maxが実験室
規模では50MGOe、量産規模でも40MGOeに達する優れた磁
気特性を発揮し、また主成分がFe,Bなどの安価な元素で
ありまた希土類元素としては産出量が多いNd(ネオジウ
ム)およびPr(プラセオジウム)を使用するため原料コ
ストが希土類コバルト磁石より格段に安いなどの優れた
特徴を有する。このNd−Fe−B系焼結磁石の代表的特許
には、特開昭59−89401号、59−46008号、(特公昭61−
34232号、特許第1431671号)、特開昭59−217003号、米
国特許第4597938号および欧州特許第EP−A−0101552、
EP−A−0106948号あり、学術文献にはM.Sagawa et al
“New Material for permanent magnets on a base of
Nd and Fe(invited),"J.Appl.Phys.,55,No.6,Part I
I,p2083/2087(March,1984)があり、また一般的な背景
技術からNd−Fe−B系焼結磁石の開発経緯および社会的
評価を説明した書籍としては「磁石材料の新展開」一ノ
瀬昇、日口章編著、工業調査会、昭和63年3月10日発行
(特に第121〜140頁、第230〜239頁参照)がある。
Nd−Fe−B磁石は大別して2種類の方法で製造され
る。その一つである超急冷法では、合金溶湯をノズルか
ら吹出し、高速回転するノズルに当て急冷する。この方
法では、ロール回転数の調整あるいは急冷後の熱処理条
件の調整により高保磁力が得られる。
超急冷磁石は結晶粒が0.1μm以下で微細なため、つ
ぎに述べる焼結磁石と同一組成でも焼結磁石よりも高保
磁力が得られるという特長がある。また、保磁力のメカ
ニズムがピンニング型であり、焼結磁石のニュークリエ
ーション型と異なるため、焼結磁石の温度係数は0.5%
/℃以上と高いのに対し、超急冷磁石の保磁力の温度係
数が0.4%/℃以下と小さい特長もある。反面、超急冷
磁石は保磁力以外の性質には問題がある。すなわち超急
冷磁石はそのままでは等方性であって、異方性化には特
別の技術が必要である。等方性磁石は異方性磁石に比べ
てBrは約1/2、 (BH)maxは約1/4になり高性能は得られない。異方性化
するためにホットプレス後ダイアプセットにより加工変
形して結晶方位をそろえる。これにより高性能が得られ
るが、工程数が多く、煩雑なため、超急冷磁石はまだ工
業的に多量に生産されていない。
一方、焼結磁石の製法例の概略は以下のとおりであ
る。
(イ)溶解 :狙いの組成の合金インゴットあるい
は何種類かの組成の合金インゴットを得る。
(ロ)粗粉砕 :ジョークラッシャーおよびディスク
ミル等で35〜100メッシュ以下の粗粉を得る。
(ハ)微粉砕 :ジェットミル等で平均粒径が3μm
の微粉を得る。
(ニ)磁気プレス:例えば10kOeの磁場中において1.5t/
cm2の圧力で圧縮する。
(ホ)焼結 :真空またはAr中1000〜1160℃、1h〜
5hで焼結する。
(ヘ)熱処理 :例えば600℃、1hで熱処理する。
上記した如き方法により製造されるNd−Fe−B焼結磁
石は既に多量に工業生産され、MRI、各種モーター、ア
クチュエーター(VCM)、プリンターヘッド駆動部など
のOA、FA関係機器に使用されている。
Nd−Fe−B焼結磁石(以下単にNd−Fe−B磁石とい
う)の焼結工程では圧粉体の高密度化が計られる。すな
わち、良く調整された粉末中には融点が主相Nd2Fe14Bよ
りずっと低いNdリッチ合金粉末が均一に分散され、Ndリ
ッチ合金の働きにより、液相焼結が行われ、主相粉末の
表面にNdリッチ合金の液相が行き渡る。液相焼結は比較
的低温で高密度化を可能にし、結晶粒成長をあまり起こ
させずに焼結体の高密度化を達成できる。
Ndリッチ合金のもう一つ重要な役割は、粉砕工程中に
生成した主相粉末表面の欠陥の補修である。主相粉末表
面の最大の欠陥は、Ndの優先的な酸化により生成するNd
不足層で、Ndリッチ合金の液相から、この層にNdが供給
され、主相粉末の欠陥が補修され、高保磁力化が達成さ
れる。
上述した液相焼結により、比較的低温で焼結体の高密
度化が達成されるが、理論密度に近い高密度を得るた
め、また、Ndリッチ合金による欠陥補修効果を完全なも
のにするため、焼結温度は主相の融点に近い高温とし、
長時間の焼結を行うのが望ましい。
しかし、従来の焼結法では、高温かつ/または長時間
での焼結を行なうと、3μmの原料粉使用の場合は主相
結晶粒が15μm以上に粗大化し、その結果、Nd−Fe−B
磁石の保磁力が低下してしまう。Nd−Fe−B磁石では、
これまでの通常の焼結法によって主相結晶粒を粗大化さ
せず、15μm以下の大きさに成長を抑制して得られる保
磁力は12〜13kOe程度であった。
高保磁力化を達成するために実用的に成功した唯一の
方法は、Dyの添加による主相Nd2Fe14B相の磁気異方性定
数増大の方法であった。Nd−Fe−B磁石の高保磁力化は
磁石の利用範囲をさらに拡大するために非常に重要であ
る。
永久磁石は着磁後様々な原因による逆磁界に晒され
る。強い逆磁界に晒されても付加逆な減磁が起こらない
ためには永久磁石は大きな保磁力をもたなければならな
い。最近、機器の小型化と高効率化に伴い、永久磁石に
かかる逆磁界はますます大きくなっている。例えばモー
ターでは永久磁石を着磁後ヨークを取り付けるまでに強
い自己減磁界に晒され、組立て後の動作状態では磁気回
路のパーミアンスに対応した減磁界とコイルからの逆磁
界に晒される。コイルからの逆磁界はスタート時に最大
となる。過大な負荷がかかってモーターが停止した後す
ぐにスイッチが投入されモーターが再スタートするとき
永久磁石には最も厳しい負担がかかる。これに耐え、不
可逆減磁界を最小限に抑制するために永久磁石はできる
だけ大きい保磁力をもっていなければならない。
最近の機器の進歩は永久磁石に過去には思いもよらな
かった過酷な負担を要求する。アンジュレーターと呼ば
れる、加速器に取り付け、強い放射光を取り出す装置で
は、完全に着磁した永久磁石の板で交互にN極どうし、
S極どうしが向かい合うように接着される設計例もあ
る。このような用途には、大きい保磁力をもつ永久磁石
が必要なことは勿論である。今後ますますこの種の永久
磁石の使い方は増える傾向にある。
保磁力はまた永久磁石の安定性とも関連している。永
久磁石を着磁後放置しておくと、少しづつ不可逆な減磁
が起こる。これは経年変化と呼ばれる。経年変化を少な
くするためには、保磁力は使用状態の逆磁界よりできる
限り大きい方がよい。このように永久磁石の保磁力はま
すます大きいものが求められるようになった。
加えて、永久磁石が高温に晒される場合は高温での保
持力特性が重要になる。
Nd−Fe−B磁石の固有保磁力(iHc)の温度係数は0.5
%/℃以上と非常に高いため、高温では固有保持力(iH
c)が低くなり使用できなくなる。具体的には、パーミ
アンス係数=1の場合Nd−Fe−B系焼結磁石の使用限界
は約80℃である。このため使用温度が120〜130℃に上昇
する自動車部品用や、高出力モーター用などにNd−Fe−
B磁石を使用することはできなかった。
Nd−Fe−B系焼結磁石では、高保磁力化のために様々
の工夫がなされてきた。標準的組成のNd15Fe77B8では焼
結磁石の固有保磁力(iHc)は約6kOeとなる。この磁石
の残留磁束密度Brが12kOeを越えることを考慮すると、
固有保磁力(iHc)=6kOeは低すぎて用途がごく狭い範
囲に限定されてしまう。高保磁力化に最も成功した方法
の一つは、Nd15Fe77B8焼結磁石を焼結後に600℃で熱処
理する方法であり、固有保磁力(iHc)は約12kOeに増大
した(M.Sagawa etal.J.Appl.Phys.vol.55,No.6,15,Mar
ch 1984)。これは大きな成果であったがより大きい保
磁力が必要とされる。
一方、添加元素を必要とする高保磁力化の方法も探索
され、周期表のほとんどの元素がテストされた。その中
で最も成功したのが前述のDyなどの重希土類元素の添加
であった。例えば、Nd15Fe77B8のNdの10%をDyで置換し
たNd13.5Dy1.5Fe77B8では固有保磁力(iHc)は17kOeに
達する。Dyの添加による高保磁力化の効果の発見により
Nd−Fe−B系焼結磁石は現在広範囲の用途に使用されつ
つある。
特開昭61−295355号公報は、BN,ZrB2,CrB,MoB2,TaB2,
NaB2などのホウ物相を含むNd−Fe−B系焼結磁石を開示
している。この公報の説明によると、焼結体の結晶粒を
極力小さくすることが高い保磁力を得るために有効であ
り、主原料中に添加されたホウ化物粒子は焼結中の粒成
長を抑制し、これにより固有保磁力(iHc)が1〜2kOe
上昇する。また、同公報によるとR2Fe14B相が、その粒
界に沿ってRリッチ相とBリッチ相により囲まれている
ことがすぐれた磁気特性の永久磁石を得るために不可欠
である。又、特開昭62−23960号公報も、TiB2,BN,ZrB2,
HfB2,VB2,NbN,NbB2,TaB,TaB2,CrB2,MoB,MoB2,Mo2,WB,WB
2などのホウ化物を用いて粒成長を抑制することを開示
する。しかしながら、これらのホウ化物添加による結晶
粒成長抑制技術による保磁力向上は僅かである。また、
BNなど多くのホウ化物はその添加により、焼結を阻害し
たり、磁気特性上有害なNd2Fe17相の発生を招くのでそ
の添加量は比較的少量に抑えられている。
(発明が解決しようとする課題) ホウ化物を利用すれば焼結中の粒成長を抑制し、固有
保磁力(iHc)を高めることができる。前掲特開昭61−2
95355号が教示するところによれば、粒成長抑制により
向上する固有保磁力(iHc)は最大2kOeであるから、600
℃で熱処理されたNd15Fe77B8(前述のとおりiHc=12kO
e)に粒成長抑制技術を適用すれば14kOeの固有保磁力
(iHc)が得られると推察される。しかし、この値は不
充分である。よって、ホウ化物粒子による粒成長抑制効
果に他の効果を加えてより高い固有保磁力(iHc)を得
る方法を見出す必要がある。
ホウ化物による粒成長抑制を教示する前述の特開昭61
−295355号によると、14.8kOeの固有保磁力(iHc)をも
つ永久磁石(Nd15B8Fe77)に対して0.3at%のMoB2を添
加することによって15.2kOeの固有保磁力(iHc)が得ら
れている。この固有保磁力(iHc)は非常に高いが、MoB
2無添加で14.8kOeの非常に高い固有保磁力(iHc)に対
する保持力向上は僅か0.4kOeである。また、14.8kOeの
ような非常に高い固有保磁力(iHc)を得るためには、
希土類含有粉末を極力酵素と接触させないよう、また粒
度分布を極力鋭くし、焼結条件も厳密に管理するなどの
種々の厳しい注意が必要である。かかる高固有保磁力を
得るようにプロセス条件を定めかつ調節することは実際
的ではない。
したがって、本発明は供給量が多い元素を使用して、
室温での固有保磁力(iHc)を、工業的生産が容易な方
法で従来以上高めることができるNd−Fe−B系焼結磁石
の製造方法を提供することを一つの目的とする。具体的
には、本発明は焼結後熱処理されたNd−Fe−B系焼結磁
石の固有保磁力(iHc)を、Dy以外の元素の添加によ
り、工業生産容易な条件で作製して少なくとも3kOe高め
ることを目的とする。
(課題を解決するための手段) 本発明は、Nd−Fe−B系焼結磁石の製造方法におい
て、R2Fe14B化合物相(但し、RはNd、Pr、を主成分と
する希土類元素である)の粒子に、焼結体中においてV
が2〜6at%になる量だけV−T−B化合物相(但し、
TはFe、あるいはFeを主成分とする遷位元素、以下同
じ)の微粒子(以下、V−T−B化合物粒子またはV−
Fe−B化合物粒子という)を均一かつ微細に分散させ
て、液相焼結を行ない、R2Fe14B化合物の化学量論組成
より過剰のBが実質的にRFe4B4相を形成していないNd−
Fe−B系焼結磁石を製造する方法にある。
一般に、Nd−Fe−B系焼結磁石の主相は、強い磁気異
方性を有するR2Fe14B相であり、二次相はR=85〜97at
%、残部、Fe(但し、焼結体中にNd以外の希土類も含ま
れている場合はそれらも含む)の組成を有するNdリッチ
相およびBリッチ相である。Ndリッチ相は焼結性向上と
保磁力増大に重要な役割を果たしている。Bリッチ相は
Nd1Fe4B4を基本組成とし、格子定数がa=0.712nm,c=
0.399nmの正方晶の非磁性(但し、極低温では強磁性)
化合物相である。従来のNd−Fe−B系焼結磁石ではR2Fe
14Bの化学量論組成より過剰のBはR2Fe14B相を形成す
る。標準組成のNd−Fe−B焼結磁石では状態図上Bリッ
チ相の生成量は約5%である。
本発明の方法によってV−T−B化合物相の粒子を均
一かつ微細に分散させて液相焼結を行なうと、このV−
T−B化合物相が焼結体中に含まれる各種二次相の分
布、量、存在(非存在)に強く影響する。その結果、B
リッチ相が全く存在しないかあるいは僅かにだけ存在
し、V−T−B化合物相が存在する組織の焼結磁石が得
られる。V−T−B相の量が多なるとBリッチ相の量は
少なくなり、ついにゼロになる。
本発明者はV−T−B化合物相の存在が、焼結体中に
含まれる各種二次相の分布、量、存在(非存在)などに
強く影響することを発見し、その効果が十分に強化され
る必要条件を研究して、本発明を完成したものである。
T=Feの場合のV−Fe−B化合物は、V+Fe対Bの原
子数の間におよその整数比の関係が成立した金属間化合
物である必要がある。
本発明の磁石中のV−Fe−B化合物相をEPMAで測定し
たところ、V29.5at%,Fe24.5at%,B46at%,Nd微量の組
成を有していた。また、V−Fe−B化合物相は、電子線
回折で測定したところ、格子定数a=5.6Å,c=3.1Åの
正方晶構造をユニットセルとしていることが分かった。
この結晶構造は、同定すべく既知の化合物構造と対比を
行なったが現在のところは、正方晶V3B2が確からしく、
この相のVの一部がFeで置換されているものと推定され
る。
本発明において焼結中に存在させるV−Fe−B化合物
はV3B2,V3B2,V5B6,V3B4,V2B3,VB2などのVを化合物全体
に対して好ましくは5at%以上のFeで置換したホウ化物
であってよい。
V+T対Bの原子間比率は厳密な整数比からずれるこ
とがあり、また、2種以上の化合物の混合体からなるV
−Fe−B化合物は全体としては整数比にならないが、個
々のV−T−B化合物の構成原子がおよその整数比を有
していれば、本発明において使用される。TはFe単独、
Fe+Coなどであってもよい。またV+FeおよびBの一部
は、もとの化合物の化学量論比を変えない範囲で他の元
素によって置換が可能である。また、Bの一部は少量の
Cによって置換することができる。
焼結前に添加するV−Fe−B化合物粒子は微細である
必要がある。この粒子が主相粒子よりも著しく粗粒であ
ると粉末中に良く分散せず、その結果、焼結中に他の相
との反応が不充分になって、V−Fe−B化合物の粒子に
よる各種二次相への影響が弱められる。よってこの粒子
は主相とほぼ同等あるいはそれ以上に微粒である必要が
ある。またV−Fe−B化合物粒子が充分均一に粉末全体
に分散していることが肝要である。V−Fe−B化合物粒
子の少なくとも1個が1個の主相焼結粒子と接している
ような分散とすると粒界改質効果が著しく発揮される。
V−Fe−B化合物粒子の添加量は、焼結後の焼結体中
にVが原子比で2%以上6%以下含まれているように調
整する必要がある。添加量がこの範囲以下ではV−Fe−
B相がRFe4B4相を置換する効果が十分に得られず、一
方、この範囲より多いと、残留磁化が低下し、磁気特性
を劣化させる有害なNd2Fe17相が出現する。
以下、上記したV−Fe−B化合物粒子を分散した焼結
用粉末を得る方法について説明する。
V−Fe−B化合物の粉末を得る方法として2通りあ
る。
(1)V−Fe−B化合物のインゴットを粉砕する。
(2)Nd−Fe−V−B合金インゴット中に生成している
V−Fe−B化合物を合金粉砕のときに同時に粉砕して、
他の相との混合粉として得る。
V−Fe−B化合物粒子が均一かつ微細に分散した粉末
を得るためにはいろいろな工夫が可能である。まずV−
Fe−B化合物はR2Fe14B相よりも硬くて粉砕されにくい
ので、R2Fe14Bが所定寸法の微粒子に粉砕された時点で
もV−Fe−B化合物は十分に微細にならない。よってV
−Fe−B化合物粒子を得るにはR2Fe14Bよりも長時間粉
砕が必要である。各相が所定の平均粒径になっている粉
末を十分長時間混合し、各粒子の均一な分散を図る。こ
のように各合金相を別々の粒子に粉砕するため、硬さに
応じて粉砕時間を変え、所定の平均粒径に達した各相の
粉末を十分均一に混合することにより、本発明の焼結出
発原料となる。
粉砕の精度により、V−Fe−B化合物粒子とR2Fe14B
の微粒子が分離されずに付着している複合粒子が得られ
るもこともあるが、このような複合粒子であっても本発
明の焼結出発原料となる。
使用する合金または合金の組合わせとしてつぎのよう
な種類が考えられる。
(1)R2Fe14BよりもRプアーの合金、同Rリッチの合
金、V−Fe−B化合物 (2)R2Fe14BよりもRリッチの合金、V−Fe−B化合
物 (3)R2Fe14BよりもRリッチの合金、R−Fe−B−V
合金 (4)組成の異なる2種以上のR−Fe−B−V合金 (5)1種類のR−Fe−B−V合金 これ以外の組合わせも可能であるが合金の組合わせが
複雑となるので望ましくない。
(1)のRプアー合金では、組成に応じて、R2Fe14B、R
2Fe17、αFe及びFe2Bのうち三相が構成相となる。
(2)のリッチ合金ではR2Fe14B、Rリッチ相及びR1Fe4
B4が構成相となる。
一般に、粉砕のされ易さが異なる何種類かの相を同時
にアトライターなどで粉砕すると粒度分布が広い劣悪な
粉末になる。
(1)、(2)、(3)は各合金を別々に粉砕でき、
後で混合できるので(4)や(5)より優れている。し
かし、生産性を考慮すると(4)や(5)がまさってい
ることもある。(4)及び(5)の鋳造合金は大きさが
数100μmのR2Fe14B、Rリッチ相、V−Fe−B相の粒子
で形成されている。1〜5μmのR2Fe14B相および微細
なV−Fe−B相の粒子を粉末全体に均一に分散するため
には、アトライターのように分級効果を持たず、どの相
も同じ時間、同じ程度に粉砕する方式はV−T−B相の
微粒子が均一かつ微細に分散した粉末を得難いため、理
想的でない。
(4)、(5)の合金の粗粉を窒素ガスによるジェッ
トミルで粉砕すると、粉砕された所定の平均粒径に達し
た粒子はつぎつぎにサイクロンに取付けた容器に補修さ
れる。そのため各相の硬さやねばさに応じて粉砕時間が
自動的に調整される。したがって混相を有する(4)ま
たは(5)の合金でも平均粒径が1〜5μmと本発明に
適合した各相の粉末が生成される。ジェットミルで粉砕
された上記(4)または(5)の合金の粉末は、そのま
までは望ましくない。すなわち、各相の粉砕性の違いに
より、捕集された粉末は相ごとに分離する傾向があるの
で、このような粉末から焼結されたNd−Fe−B磁石では
Bリッチ相がかなり残る。
(4)及び(5)の合金では、インゴット中でV−Fe
−B相の結晶粒が微細であることが望ましい。すなわち
V−Fe−B化合物粒子は粉砕され難いため、インゴット
中で微細粒子であることが望ましい。そのため、合金を
溶解後鋳造するとき、インゴットを小さくするか、水冷
鋳型を用いるなどにより凝固中の溶湯を急冷することが
望ましい。以上のような粉末調整により得られるR2Fe14
B相の平均粒径が1〜5μmの粉末に、V−Fe−B化合
物粒子が分散した粉末が得られる。ここでR2Fe14B相の
粉末の平均粒径が1μm未満であると、化学的に活性す
ぎて取り扱いが困難であり、5μmを越えると凝結後の
保磁力を大きくすることが困難である。粉末の平均粒径
の測定はFisherのサブシーブサイザーを使用した。高保
磁力を得るためにはRリッチ相も粉末中に微細で均一に
分散していることが必要である。
続いて焼結を行なう。焼結は、リッチ液相によるR2Fe
14B相の補修効果を得るために液相焼結で行なわなけれ
ばならない。焼結の温度、時間および雰囲気等は公知の
ものでよい。
本発明合金の最大エネルギ積(BH)maxは20〜35MGOe
であり、従来のNd−Fe−B系焼結磁石とあまり変わらな
い。
本発明は、Nd−Fe−B系組成においてR2Fe14B化合物
の化学量論組成より過剰のBが存在する組成であれば、
その他の組成に関係なく上記した焼結が実施できる。た
だし、液相焼結のためにR含有量は最終合金組成におい
て10at%以上であることが好ましい。B含有量は焼結体
全体として、高い保磁力を得るために6at%以上必要で
ある。Ndの一部はPrやDyで置換可能であり、またLa、Ce
などの他の希土類元素も希土類全体に対して20%程度は
許容できる。RおよびBの上限は一般にそれぞれ18at%
および13%である。またV含有量は上述の理由により2
〜6at%でなければならない。
上記以外は希土類元素の不純物や、ほう素の原料とし
て使用するフェロボロン中の不純物(アルミニウムな
ど)である。また磁石製造工程においては酸素や炭素な
どが不純物として混入してくる。炭素CはBと性質が似
ているので、R2Fe14B相やV−T−B相のいずれのBに
も一部置換できる。
合金成分としては、Coはキュリー温度を上げるためFe
に対して20at%程度許容できる。それ以上になると保磁
力が低下してしまう。その他の元素も、焼結後の焼結体
を構成する相がR2Fe14B、V−T−B相、Rリッチ相の
3相を主要相として保持される範囲で許容できる。
B過剰の合金ではさらに少量のBリッチ相が認められ
る。すなわち、Bリッチ相はV−T−B化合物相により
置換されるので、V量に対してBが著しく過剰になると
少量のBリッチ相が残る。
Coを含む合金ではLaves相と呼ばれるCoリッチ相が含
まれる。
上記他の元素は、Nb、Al、Zr、Ti、W、Mo、Ni、Cr、
Cu、Ga、Hf,Mn,Siなどである。これらの元素は、例えば
上記した粉末の何れか1種以上に原料粉末に添加される
か、あるいは、単独元素、フェロアロイもしくはAl−Ti
などの相互の合金として原料粉末に添加され、添加の方
法は何ら制限がない。
Vの一部をCr,Mo,Wの一種以上で置換してもV−Fe−
B化合物の効果が達成されることが分かった。
Nb等の添加量は磁気特性が劣化しないよう次のように
制限される。従来の知見によると各添加量(焼結体中の
原子%)は次のとおりである:Ti≦2at%;Nb≦2at%;Cr
≦3at%;Mn≦2at%;Zr≦2at%;Ta≦2at%;Mo≦3at%;Ni
≦1at%;Hf≦2at%;W≦3at%;Cu≦0.5at%;Al≦3at%;S
i≦1at%;Ga≦2at%, (作用) 標準的組成であるNd15Fe77B5のFeを3.5at%のVで置
換した場合の固有保磁力(iHc)は15kOe以上になる。こ
の値は上記標準組成の固有保磁力(iHc)=約12kOe(熱
処理ありの場合)と比較して3kOe高い。また、後述の実
施例1では固有保磁力(iHc)=18kOeが得られており、
同様の比較をすると6kOeの極めて大なる保磁力向上が達
成されている。
このような本発明法による磁気特性向上は次の4つの
観点から説明される。
(1)Rの有効利用 例えば、約11at%のNdを含むBリッチがNdをほとんど
固溶しないV−Fe−B相に置換されると、その差分のNd
は主相と液相焼結に不可欠なNdリッチ相の構成成分とな
るために、Ndが磁気性向上に有効に利用される。すなわ
ち、R2Fe14B化学量論組成よりBが過剰で組成が同じNd
−Fe−B磁石と比較して、Bリッチ相を実質的に含まな
い本発明の磁石は、従来のものよりも固有保磁力(iH
c)が高くなる。R2Fe14B化学量論組成よりBが過剰とは
(1/17)*100at%=5.8at%より余剰のB量を意味す
る。
(2)粒径制御 粒径制御の具体例を挙げると、R2Fe14B相(但し、R
はNd、Prを主成分とする希土類元素)の平均粒径が1〜
5μmの粉末を、平均粒径が5〜15μmの範囲内となる
まで液相焼結し、これにより15kOe以上の固有保磁力(i
Hc)を有するNd−Fe−B系焼結磁石を得る。本発明の永
久磁石の固有保磁力(iHc)の値については、製造条
件、特に製造プロセスにおける酸素と被処理物の接触条
件(例えばジェットミル粉砕の時の窒素ガス中における
酸素濃度、プレス工程での雰囲気、焼結雰囲気中の酸素
含有量は通常のものであって、標準組成であるNd15Fe77
B8が最適の熱処理後固有保磁力(iHc)=12kOeを有する
ような製造条件で得られる値である。
第1図は、後述の実施例1の組成についてV−Fe−B
化合物を6wt%添加した本発明の場合と無添加の場合
(比較例)について、焼結温度と固有保磁力(iHc)、R
2Fe14B相の平均粒径との関係を示すグラフである。なお
焼結時間は4時間であった。このグラフより、V−Fe−
B化合物粒子無添加の場合、本発明の平均粒径範囲5〜
15μmが得られる焼結温度では固有保磁力(iHc)は13k
Oe以下であるが、一方本発明の場合は高温焼結において
も粒抑制効果がありiHc>15kOeの高い固有保磁力が得ら
れていることが分かる。
(3)焼結温度制御 焼結温度制御の具体例は、(ΔT)で10℃以上抑制し
た、下記温度(T2)で焼結を行なうことである。
但し、温度換算値(ΔT)とは、 (イ)V−T−B化合物が存在しない場合に得られる結
晶の平均粒径(d1)とその時の焼結温度(T1)、 (ロ)V−T−B化合物が存在する場合に得られる結晶
の平均粒径(d2)とその時の焼結温度(T2)と表わし、
d1=d2を前提とし、ΔT=T2−T1により定められる。
次に、温度換算による結晶粒成長抑制効果を示す。
このように、平均粒径(d1,d2)をd1=d2としつつ焼
結温度(T2)を40℃以上(ΔT≧40℃)も高くすること
ができる。
Dyを使わずにこれだけ大きい固有保磁力(iHc)を持
つNd−Fe−B焼結磁石はまだ報告されたことがない。
(4)粒界の改質 Nd−Fe−B磁石では保磁力は結晶粒界のミクロな組織
と密接に関連することが知られている。本発明の磁石で
はV−Fe−B化合物の働きによって結晶粒界が改質され
ていることが推察される。また、Nd−Fe−V−Bのかわ
りにNd−Fe−Mo−BやNd−Fe−Cr−Bでは決して良い結
果が得られないことからも、V−Fe−B化合物の粒成長
抑制以外の効果が重要であることが分かる。従来のNd−
Fe−B焼結磁石と本発明の磁石との大きな違いである二
次相(前者はRFe4B4相を含み、後者はRFe4B4相を実質的
に含まず、かわりにV−Fe−B化合物相が形成される)
の形態を考察すると、R2Fe14B相(主相)の周囲に存在
する相としてはRFe4B4よりもV−Fe−Bの方が高保磁力
を得るのに適していると推察される。
(1)〜(4)の関連 高密度化と液相による粒子表面補修効果増大のために
は高温かつ/または長時間の焼結が望ましく、粒成長を
起こさせないためには低い温度の焼結が望ましい。この
相反する要請を同時に満たすことは困難であったが、本
発明者は、Nd−Fe−B合金の焼結工程において、V−Fe
−B化合物が結晶粒成長を抑制する顕著な効果を見出
し、この化合物の結晶粒成長抑制作用を利用する焼結法
を考案した。この焼結過程で、より高温かつ/または長
時間の焼結でも粒成長があまり起こらず、上記二律相反
を解決できる。
結晶粒成長抑制作用を温度で表わすと10℃以上とな
る。その結果、従来法と同一粒径を保ちつつ、10℃以上
の高温焼結が可能となるため、高密度でかつ高保磁力を
持つNd−Fe−B磁石が高価なDyなどを使用しなくても生
産できるようになった。焼結過程において、V−Fe−B
化合物微粒子が存在すると、粉末の平均粒径が1〜5μ
mのR2Fe14B主相をNdリッチ液相によるR2Fe14B粒子表面
の欠陥補修に十分な高温長時間の焼結をした後において
も平均粒径が5〜15μmであるように、きわめて効果的
に粒成長を抑制することができる。
粒の成長を抑制しようとする粉末に混ぜるホウ化物と
して高融点をもつ物質が効果的である。特開昭61−2953
55号公報の実施例に挙げられているTiB2,BN,ZrB2,CrB,M
o2B,TaB2,MoB2などはいずれも高融点物質である。した
がって、粒成長抑制の観点からは本発明のV−Fe−B化
合物よりも優れた物質は多いと言える。上記特開昭にお
ける粒成長抑制の具体例をみると、0.5%のMoB2の添加
により焼結体の粒径は4.7μmに抑えられている。この
具体例の固有保磁力(iHc)向上は0.4kOeである。本発
明では、結晶粒径がもっと大きく(例えば6μm)と
も、V−Fe−B化合物を含有せず、多量のRFe4B4を含む
磁石に比較した固有保磁力(iHc)向上は少なくとも3kO
e、好ましい組成では5kOeである。これらの点からV−F
e−B化合物の効果が粒成長抑制と温度制御効果だけで
はないことが明らかである。
従来例との作用比較 従来Bリッチのホウ化物であるVB2(Feを含まない)
などを使用してNd−Fe−B磁石の結晶粒成長を試みた報
告が発表されている。このVB2化合物はV−Fe−B化合
物のような著しい保磁力向上効果が見出されていない。
すなわち、Feを含有するV−Fe−B化合物を使用するこ
とにより初めてDyを使わずにiHc≧3kOeの保磁力向上が
可能になる。
上記標準組成のFeを1at%および5at%のVで置換した
Nd−Fe−B焼結磁石の固有保磁力(iHc)の値として8.1
〜8.3kOeの値が発表されているが(特開昭59−89401
号)、この値と比較して本発明の値は著しく高い。この
公報の原料調製法だけは上記した(5)すなわち、1種
類のR−Fe−B−V合金を調製する方法に相当するが、
特性は本発明より劣るため、インゴットを作製する点だ
けが本発明の条件に合致していると考えられる。
以下本発明の実施例を説明するが、磁石の組成はNd16
Fe72V4B8または(Nd0.9Dy0.116Fe72V4である。
実施例 1 A:Nd10Fe86B4、B:Nd30Fe66B4C:(V0.6Fe0.43B2
高周波溶解し、インゴットを作製した。それぞれのイン
ゴットをジョークラッシャーとディスクミルで35メッシ
ュスルーまで粉砕し、ジェットミルにより、AとBは平
均粒径3μmまで、Cはボールミルで1μmまで粉砕し
た。このとき、A粉末はNd2Fe14B Fe2B、およびα−Fe
の粒子からなりBはNd2Fe14B、Nd2Fe17、およびNdリッ
チ相の粒子からなり、Cは(V0.6Fe0.43B2単相粉末
がほとんどであった。A、B、Cの粉末を51:43:6(重
量比)に配合して、ロッキングミキサーで3時間混合し
た。この粉末を12kOeの磁界中で1t/cm2の圧力で圧粉
し、10-2torのAr中で1100℃、4時間焼結した。焼結
後、急冷し、670℃で1時間熱処理した。磁石特性はBr
=11.6kG、iHc=18.4kOe、(BH)max=31.3MGOeであっ
た。
この焼結体の平均粒径は5.9μmであった。焼結体をE
PMAで測定したところBリッチ相は認められなかった。
実施例 2 A:Nd18Fe77B4と B:(V0.6Fe0.43B2を実施例1と同様の方法にてそ
れぞれ3.7μmと1.5μmに粉砕した。この時Aの粉末は
Nd2Fe14B,Ndリッチ相およびNd2Fe17相、Bの粉末は(V
0.6Fe0.43B2単相の粒子からなっていた。A:B=94:6
(重量比)になるようにロッキングミキサーで1時間混
合し、実施例1と同じ条件で焼結磁石を作製した。磁石
の特性は下記のとおりであった。
Br=11.7kG iHc=17.9kOe (BH)max=31.7MGOe この結晶体の平均粒径は6.1μmであった。焼結体をE
PMAで測定したところBリッチ相は認められなかった。
実施例3 Nd16Fe72V4B8合金を窒素ガスによるジェットミルで2.
5μmに粉砕した。この時粉末はNd2Fe14B,Ndリッチ相お
よびV−Fe−B化合物相のそれぞれの単相粒子から主と
してなっていたが、V−Fe−B化合物粒子の分散状態は
均一ではなかった。そこで、粉砕後、ロッキングミキサ
ーで2時間混合し、実施例1と同じ条件で焼結磁石を作
製した。磁石の特性は下記のとおりであった。
Br=11.6kG iHc=17.3kOe (BH)max=31.7MGOe この結晶体の平均粒径は6.8μmであった。
焼結体をEPMAで測定したところBリッチ相は認められ
なかった。
実施例4 A:Nd16Fe80B4 B:Nd16Fe70V5B9 AおよびBをそれぞれジェットミルおよびボールミル
にてそれぞれ2.8μmと1.9μmに粉砕した。この時Aの
粉末はNd2Fe14B,Ndリッチ相およびNd2Fe17相の各粒子か
らなり、またBはNd2Fe14B,Ndリッチ相,V−Fe−B化合
物およびNd2Fe17相の各粒子からなっていた。
A:B=94:6(重量比)になるように混合し、さらにロ
ッキングミキサーで2時間混合し、その後実施例1と同
じ条件で焼結磁石を作製した。磁石の特性は下記のとお
りであった。
Br=11.5kG iHc=17.6kOe (BH)max=31.5MGOe この結晶体の平均粒径は6.3μmであった。焼結体をE
PMAで測定したところBリッチ相は認められなかった。
実施例5 A:Nd16.4Dy1.8Fe79.52.3 B:V33Fe22B45 AおよびBをそれぞれジェットミルおよびボールミル
にてそれぞれ2.6μmと1.5μmに粉砕した。この時Aの
粉末はR2Fe14B,Rリッチ相およびR2Fe17相の各粒子から
なり、Bは(V0.6Fe0.43B2と(V0.6Fe0.43Bの各
粒子からなっていた。A:B=94:6(重量比)になるよう
に混合し、さらにロッキングミキサーで2時間混合し、
その後実施例1と同じ条件で焼結磁石を作製した。磁石
の特性は下記のとおりであった。
Br=11.0kG iHc=21kOe以上 (BH)max=28.5MGOe この結晶体の平均粒径は6.0μmであった。焼結体をE
PMAで測定したところBリッチ相は認められなかった。
比較例1 実施例3のロッキングキミサー混合を省略したほかは
同じ方法を行なって焼結磁石を作製した。磁石の特性は
下記のとおりであった。
Br=11.5kG iHc=12.8kOe以上 (BH)max=30.7MGOe この結晶体の平均粒径は試料により最小10.3μmから
最大17μmまで大きくばらついていた。焼結体をEPMAで
測定したところBリッチ相が局部的に観察され、焼結体
全体で3%存在していた。
(発明の効果) 以上説明したようにV−T−B(V−Fe−B)化合物
を利用する本発明の製法によると、従来同一組成系のNd
−Fe−B系焼結磁石では達成されていなかった固有保磁
力(iHc)特性が地殻中に豊富に存在する元素、すなわ
ちV(VはNiよりクラーク数が多い)だけにより得られ
る。また少量のDy添加と併せて、21kOe以上という極め
て高い保磁力も得られる。このため本発明の焼結磁石
は、高性能磁石として、従来磁石では使用できなかった
用途に使用可能となり、従来磁石と同等用途に使用した
場合でも経年変化が少なく安定した磁石特性が得られ
る。従来、本発明のように高い固有保磁力(iHc)を得
るためには希土類資源のバランスを大きく越えて多量の
Dyを添加することが必要であったが、本発明は希土類資
源のバランスを崩さないで上記磁気特性を達成すること
ができる。
また、上記した効果に加えて、使用時の温度が上昇す
る機器にもNd−Fe−B系焼結磁石を使用することができ
るようになる。このため本発明製法による焼結磁石は、
高性能磁石として、従来磁石では使用できなかった用途
に使用可能となり、従来磁石と同等用途に使用した場合
でも経年変化が少なく安定した磁石特性が得られる。
本発明の方法により、その最初の発明の当初から指摘
されていたNd−Fe−B磁石の重大な課題が解決された。
本発明により、Nd−Fe−B磁石に当初期待されたが実現
できなかった高性能磁石を多量に使用する用途にNd−Fe
−B磁石を適用することができるようになったため、本
発明の工業的価値は非常に大きい。
【図面の簡単な説明】
第1図は焼結温度と固有保磁力(iHc)と平均結晶粒径
の関係を示すグラフである。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Nd−Fe−B系焼結磁石の製造方法におい
    て、R2Fe14B化合物相(但し、RはNd、Prを主成分とす
    る希土類元素である)の粒子に、焼結体中においてVが
    2〜6at%になる量だけV−T−B化合物相(但し、T
    はFe、あるいはFeを主成分とする遷位元素)の微粒子を
    均一かつ微細に分散させて、液相焼結を行ない、R2Fe14
    B化合物の化学量論組成より過剰のBがRFe4B4相を実質
    的に形成していないNd−Fe−B系焼結磁石を製造するこ
    とを特徴とする永久磁石の製造方法。
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