JP4170468B2 - 永久磁石 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は新規な永久磁石およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、高性能永久磁石としてはSm−Co磁石、Nd−Fe−B磁石などが知られており、VCM、スピンドルモータなどの各種モータ、計測器、スピーカーまた医療用MRI他、各種電気機器のキー部品として使用されている。
【0003】
これらの磁石は、多量のFeまたはCoと希土類元素が含まれている。Fe,Coは飽和磁束密度の増大に寄与し、一方希土類元素は結晶場中の4f電子の挙動に由来する非常に大きな磁気異方性をもたらすため、保磁力の増大に寄与し、良好な磁石特性を実現している。
【0004】
近年、電気機器の小型化、省エネ化の要求が高まってきており、これら機器のキー部品材料である永久磁石にも一層の最大磁気エネルギー積の改善が望まれている。
【0005】
近年、各種電気機器の小形化、省エネルギー化の要求が高まり、これら機器のキー部品材料である永久磁石にも一層の高最大エネルギー積[(BH)max]化と温度特性の改善が求められている。
【0006】
これに対し、様々な観点から新しい磁石材料の検討が進められている。例えば、特開昭60−144909号公報および特開昭60−254707号公報にはR1−αーβーγFeαMβXγ(R;希土類元素から選ばれる少なくとも1つの元素、M;Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Cr,MoおよびWから選ばれる少なくとも1つの元素、X;B,C,N,SiおよびPから選ばれる少なくとも1つの元素、α、β、γはそれぞれ0.6≦α≦0.85,0.01≦β≦0.1,γ<0.15)にてあらわされる永久磁石およびその製造方法が開示されている。
【0007】
一方、Sm2 Fe17を基本とする金属間化合物へのNあるいはCの導入はキュリー温度の上昇、磁気異方性の改善などの効果を生じ、新規磁石材料として注目されているが、熱的安定性に課題があり、700℃付近で希土類窒化物、あるいは炭化物とFeに分解してしまうため、焼結磁石の実現は困難であった。また、一層の磁石特性の改善が必要であり、特に高い飽和磁化と高い保磁力が求められている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように、電気機器、電子機器の小型化、高効率化に対しては一層の高保磁力、高飽和磁化(高残留磁化)をもつ磁石の出現が望まれており、特に使用環境温度における高保磁力と高飽和磁化(高残留磁化)が要求されている。これに対して、NdFeB磁石では保磁力の温度特性が劣り、使用温度範囲が規制される。また、特開昭60−144906号公報等に開示された焼結磁石材料または焼結磁石は保磁力が約10kOeと良好であるものの、残留磁束密度が略12kGと比較的低いため磁石として特性的に不十分であった。
【0009】
例えば、TbCu7 相が得られるSmFe合金系は通常、液体急冷法あるいはメカニカルアロイングといったいわゆる非平衡相を創出する方法で得られたものを活用するにとどまっていた。従って、N,Cなどの元素を格子間位置に導入した場合、比較的優れた磁気特性は得られても熱安定性が十分ではない。
【0010】
一方、ThMn12結晶構造を有する磁性材料は、3元系のSmFe10Si2 、SmFe10Mo2 、SmFe10V2 、SmFe10V2 、SmFe10Cr2 、SmFe10W2 、SmFe11Ti1 等が知られているが、いづれも飽和磁化が低いことが課題であり、保磁力も小さく、実用化には至っていない。これらの合金系ではThMn12相を安定化させるための非磁性元素置換量の割合が多く、飽和磁化を下げる要因になっている。
【0011】
また、2相分離した磁石として特開平1―298704が開示されているが、更なる保磁力の改善、温度特性の改善が高温での使用に対しては必要であった。本発明は、これらの点に鑑み鋭意研究を重ねた結果、Ti,Nbを希土類元素に対して置換することで、高温相であるTbCu7 相を安定的に作製でき、その後時効処理を行うことにより、高飽和磁化で高い最大エネルギー積、および優れた保磁力の温度特性を有する永久磁石およびその製造方法を提供しようとするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る永久磁石は、一般式
(R 1-u M u )(Fe 1-v-w-y Co v Cu w T y ) x X z …( II )
式中のR,M,TおよびXは、それぞれ
R:Yを含む希土類元素から選ばれる少なくとも1つの元素、
M:Ti,Nbから選ばれる少なくとも1つの元素、
T:Ni、Sn,V、Ta,Cr,Mo.W,Mnから選ばれる少なくとも1つの元素、
X:C、N、O、B、S、Pから選ばれる少なくとも1種以上、
であり、
u,v,w,x,y,zは、それぞれ
0.1≦u≦0.7、
0≦v≦0.8、
0.001≦w≦0.1、
8≦x≦10、
0≦y≦0.1、
0<z≦3、
である、
にて表わされ、主たる硬磁性相がTh 2 Ni 17 相とThMn 12 相の2相分離組織からなることを特徴とするものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る2つの永久磁石を詳細に説明する。
(永久磁石1)
この永久磁石は、一般式
(R1-u Mu )(Fe1-v-w Cov Cuw )x Xz …(I)
式中のR,MおよびXは、それぞれ
R:Yを含む希土類元素から選ばれる少なくとも1つの元素、
M:Ti,Nbから選ばれる少なくとも1つの元素、
X:C、N、O、B、S、Pから選ばれる少なくとも1種以上、
であり、
u,v,w,x,zは、それぞれ
0.1≦u≦0.7、
0≦v≦0.8、
0.001≦w≦0.1、
5≦x≦12、
0<z≦3、
である、
にて表わされ、主たる硬磁性相が2相分離組織からなる。
【0018】
ここで「主たる硬磁性相が2相分離組織」とは、Th2 Ni17相とThMn12相の2相の磁性相からなることを示し、ThMn12相が粒界でのピンニング相として保磁力発生機構を担い、高保磁力化に寄与するものである。なお、主相の粒径は10〜500nmの範囲が好ましい。
【0019】
次に、前記一般式(I)の永久磁石材料を構成する各成分の働きおよび各成分の量を規定した理由について詳細に説明する。
(1)R元素
R元素は磁石にとって必要な磁気異方性を発現する元素であり、La,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu,Yが挙げられ、これらは1種または2種以上の混合物の形態で用いることができる。特に磁気異方性を考慮するとSm,Nd,Prを50%以上含有する希土類元素から選択されることが好ましい。また、保磁力の温度特性改善にはRの一部をGd,Dy,ErTbから選ばれる元素が少なくとも1種含有されることが好ましい。
(2)M元素
M元素であるNb,Tiは前記R元素を置換することによりThMn12相、Th2 Ni17相の高温相であるTbCu7 相が鋳造法で安定的に得られる。
【0020】
M元素の量(u)を0.1 未満にするとTbCu7 相が得られない、あるいは得られたとしても主相としては得られない。一方、0.7を超えると十分な保磁力を有する永久磁石を得るのが困難になる。好ましくは0.12≦u≦0.6であり、さらに好ましくは0.15 ≦u≦0.5である。
(3)Co
Coは、Feとの置換によりキュリー温度の改善、飽和磁化の改善を図ることが出来る。Coの置換量が0.8を超えると高い磁気異方性と飽和磁化を得ることが困難となる。好ましい範囲は0.7以下であり、さらに好ましくは0.6以下である。
(4)Cu
Cuは上記した2相分離組織を得るのを促進する元素であり、また結晶粒の調整をする働きも持つ。このため室温での保磁力改善、温度特性改善に極めて有効な元素である。Cu量が0.001未満では上記効果は得られず、一方0.1を超えると飽和磁化の低減をもたらす。好ましくは0.005〜0.08である。
【0021】
前記一般式(I)の中のxは(R1-u Mu )(Fe1-v-w Cov Cuw )の比であり、飽和磁化、磁気異方性などの全ての磁石特性を左右する点で最も重要な値であり、5〜12の範囲にすることが必要である。xを5未満にすると飽和磁化が低下し、強い磁石が得られにくくなる。一方、xの値が12を超えるとFe(Co)の析出量は極めて多くなり、磁石特性を阻害する恐れがある。より好ましい範囲は5.5≦x≦11である。
(5)X元素
X元素は、C,N,O,B,S,Pから選ばれる少なくとも1つの元素であり、これらのX元素は各相の格子間位置に存在して、キュリー温度、磁気異方性を改善するのに有効な元素である。好ましい範囲はzが3以下であり、これを超えるとFe(Co)の析出が著しくなり、磁石特性の低下を招く。好ましい範囲は0.2≦z≦2.5である。
【0022】
前記一般式(I)で表わされる永久磁石材料において、CuKα線を用いたX線回折法により測定した主相とFeCoを主体とするbcc相のそれぞれの主回折線の回折強度をI(main),I(bcc )とした場合、回折強度比I(bcc )/I(main)が0.3以下にすることが好ましい。この回折強度比が0.3を超えるとbcc相が本来持つ軟磁気特性によって磁石特性が阻害されてしまう恐れがある。より好ましい前記回折強度比は0.2以下である。
【0023】
(永久磁石2)
この永久磁石は、一般式
(R1-u Mu )(Fe1-v-w-y Cov Cuw Ty )x Xz …(II)
式中のR,M,TおよびXは、それぞれ
R:Yを含む希土類元素から選ばれる少なくとも1つの元素、
M:Ti,Nbから選ばれる少なくとも1つの元素、
T:Ni、Cu,Sn,V、Ta,Cr,Mo.W,Mnから選ばれる少なくとも1つの元素、
X:C、N、O、B、S、Pから選ばれる少なくとも1種以上、
であり、
u,v,w,x,y,zは、それぞれ
0.1≦u≦0.7、
0≦v≦0.8、
0.001≦w≦0.1、
5≦x≦12、
0≦y≦0.1、
0<z≦3、
である、
にて表わされ、主たる硬磁性相が2相分離組織からなる。
【0024】
ここで「主たる硬磁性相が2相分離組織」とは、Th2 Ni17相とThMn12相の2相の磁性相からなることを示し、ThMn12相が粒界でのピンニング相として保磁力発生機構を担い、高保磁力化に寄与するものである。なお、主相の粒径は10〜500nmの範囲が好ましい。
【0025】
次に、前記一般式(II)の永久磁石材料を構成する各成分の働きおよび各成分の量を規定した理由について詳細に説明する。ただし、R元素、M元素、Fe,Co,CuおよびX元素の作用およびそれら元素の量規定は前記永久磁石1と同様である。
【0026】
T元素は、Ni,Cu,Sn,V,Ta,Cr,Mo,W、Mnから選ばれる少なくとも1つの元素であり保磁力の温度特性改善に有効である。T元素の量(y)が0.1を超えると永久磁石材料の飽和磁化が低下する恐れがある。より好ましい上限値は0.08である。
【0027】
前記一般式(II)で表わされる永久磁石において、CuKα線を用いたX線回折法により測定した主相とFeCoを主体とするbcc相のそれぞれの主回折線の回折強度をI(main),I(bcc )とした場合、回折強度比I(bcc )/I(main)が0.3以下にすることが好ましい。この回折強度比が0.3を超えるとbcc相が本来持つ軟磁気特性によって磁石特性が阻害されてしまう恐れがある。より好ましい前記回折強度比は0.2以下である。
【0028】
なお、本発明の磁石材料は、酸化物、窒化物、炭化物などX元素に基づく化合物の含有も許容するものである。
次に、本発明に係る永久磁石の製造方法を説明する。
【0029】
まず、所定の組成になるように、R、M、Fe,Co,Si他を調製し、高周波溶解炉、あるいはアーク溶解炉で母合金を作製する。なお、XとしてC、P,S、Bを選択した場合には、素材そのものあるいはFeC,FeP、FeB、FeSなどの化合物を用いて同時に溶解することができる。得られた合金はそのまま粉砕して、焼結することができる。
【0030】
また、得られた合金を900℃から融点直下の範囲で0.1〜100時間、不活性雰囲気中あるいは真空中で熱処理したのち、急冷あるいは徐冷することにより、一般式(I)、(II)で表わされる永久磁石の母合金を製造することもできる。いずれの場合でもTbCu7 相を得ることが好ましい。その冷却速度は特に限定しないが、好ましくは20〜500℃/時間である。熱処理後、合金をジョークラッシャーなどで粗粉砕後、ボールミル、ハンマーミル、ジェットミル等で平均粒径1μm〜数100μmに微粉砕する。この微粉末を磁場中でプレス成形し、焼結することにより、永久磁石を製造する。この後、焼結温度以下400℃までの温度範囲で0.1〜1000時間時効処理を行うことにより、永久磁石を製造する。この時効処理は1段でも多段でもよく、また高温から低温に時効温度を下げていっても、逆に時効温度を上げていってもいいが、特に高温側から下げていくことが好ましい。前記焼結工程において、硬磁性相の融点よりも低い、例えばRAl,RGa,RCu(Rは希土類元素)のような希土類元素化合物を焼結助剤として添加してもよい。
【0031】
なお、X元素として窒素、または炭素をガス雰囲気中から合金に導入する場合には次のような方法が採用される。窒化処理の場合には窒素を用いて、炭化処理の場合にはメタンガス、エタンガスなどを用いて、粉砕した試料をガスを用いて、それぞれ0.001〜100気圧の範囲の圧力下とし、200℃から1000℃の範囲で、前述した方法で調製したX元素を含まない母合金粉末を0.1〜300時間熱処理するとX元素を格子間位置に導入された母合金を導入することが出来、磁気異方性の改善、キュリー温度の向上を達成できる。なお、窒化、炭化の場合はキャリアーガスとしてアンモニアガスを用いて窒素ガス、メタンガスなどと混合したガスとして使用してもX元素の導入を図ることができる。
【0032】
本発明の合金は溶融状態の合金を移動する冷却体上に射出することにより、同様のTbCu7 型結晶構造を得ることもできる。この方法は単ロール法、双ロール法、ストリップキャスト法など特に限定されない。この場合、作製条件は特に限定しないが、焼結タイプの永久磁石用にはロールの周速は0.1〜10m/sが好ましく、また作製時の雰囲気はAr、Heなど不活性雰囲気中が好ましい。ロール材質はCu基、Fe基合金のいずれでもよいが、特に冷却能を考慮すると高硬度のCu基合金(例えばTiCu,CrCu、BeCuなど)が好ましい。得られる試料はフレーク状、あるいは薄帯状であるが、その板厚は50μm〜1mmであり、好ましくは70μmから0.8mm、さらに好ましくは100μm〜500μmである。
【0033】
少量のbcc―FeCo相を含む永久磁石材料において、FeCoは前記冷却法によって主相、あるいは硬磁性相に取り込むことができ、高飽和磁化、高保磁力が得られやすくなる。
【0034】
以上説明した本発明に係る永久磁石材料は、一般式(R1-u Mu )(Fe1-v-w Cov Cuw )x Xz …(I)または(R1-u Mu )(Fe1-v-w-y Cov Cuw Ty )x Xz …(II)で表わされ、主たる硬磁性相がThMn12相とTh2 Ni17相からなる2相分離組織を有するため、高飽和磁化、高残留磁束密度で高い最大エネルギー積を有し、さらに保磁力の温度依存性(温度に対する保磁力の低下)が改善される。
【0035】
すなわち、一般式(R1-u Mu )(Fe1-v-w Cov Cuw )x Xz …(I)または(R1-u Mu )(Fe1-v-w-y Cov Cuw Ty )x Xz …(II)で表わされるようなRである希土類元素の一部をM元素であるTiおよびNbから選ばれる少なくとも1つの元素で置換し、かつその置換量(u)を0.1≦u≦0.7の範囲に特定することによって、一旦TbCu7 相を形成した後、時効処理により2相分離組織とすることができる。その結果、高飽和磁化、高残留磁束密度で高い最大エネルギー積を有する永久磁石を得ることが出来る。
【0036】
また、前記一般式(I)(II)で表わされる永久磁石材料においてCuKα線を用いたX線回折法により測定した主相とFeCoを主体とするbcc相のそれぞれの主回折線の回折強度をI(main),I(bcc )とした場合、回折強度比I(bcc )/I(main)が0.3以下にすることによって、磁石特性をより一層向上することができる。
【0037】
本発明に係わる永久磁石の製造方法は、一般式(R1-u Mu )(Fe1-v-w Cov Cuw )x Xz …(I)または(R1-u Mu )(Fe1-v-w-y Cov Cuw Ty )x Xz …(II)で表わされ、主相がTbCu7 相である永久磁石用合金を粉砕した後、これを磁場中配向、成形、焼結、時効処理することにより、高飽和磁化、高残留磁束密度で高い最大エネルギー積を有し、さらに保磁力の温度依存性が改善される。
【0038】
特に、CuKα線を用いたX線回折法により測定した主相とFeCoを主体としたbcc相のそれぞれの主回折線の回折強度をI(main),I(bcc )とした場合、回折強度比I(bcc )/I(main)が0.3以下にすることによって、磁石特性をより一層向上することができる。
【0039】
【実施例】
以下、本発明の実施例を詳細に説明する。
(実施例1〜1 3、参考例1および比較例1〜4)
下記表1および下記表3に示した合金組成につき所定量計り取り、Ar雰囲気中で高周波溶解炉を用いて母合金を溶解し、鋳型に鋳込んだ。これらの合金を1200℃、5時間Ar雰囲気中で熱処理し、約100℃/時の冷却速度で冷却した後、合金をAr雰囲気中でジョークラッシャーにて粗粉砕し、次いでAr雰囲気中でハンマーミルにて平均粒径3μmになるように粉砕した。
【0040】
得られた実施例1〜1 3、参考例1および比較例1〜4の粉末(永久磁石材料)について、CuKα線を用いたX線回折測定を行った。その結果、実施例1〜14および比較例2、3の合金粉末はいずれも主たる硬磁性相がTbCu7型結晶構造であることを確認した。これに対して、比較例1は主相がNd2Fe14B1型結晶構造、比較例4は主相がTh2Zn17型結晶構造であった。
【0041】
実施例1〜5についてはSmAl、SmCu、SmGaなどの低融点合金を焼結助剤として3〜5wt%添加し、焼結した。また、実施例1〜14は焼結後、800℃で10時間時効処理を行い、さらに実施例10〜12については550℃で20時間の多段時効を行った。
【0042】
実施例の試料はX線回折、SEMの結果から主相はTh2 Ni17相であり、その他にThMn12相が得られた。
得られた試料の磁気特性をデジタルBHトレーサーで評価した。
【0043】
保磁力の温度係数を下記の式にしたがって求めた。
保磁力の温度係数={[( iHc(150℃)―iHc(20℃)/130) /iHc(20℃)]}×100
ここで、iHc(20℃)は20℃の保磁力、iHc(150℃)は150℃での保磁力を表わす。
【0044】
これらの結果を下記表2および表4に示す。
主相とFeCoを主体とするbcc相の主回折線の回折強度をそれぞれI(main),I(bcc )とした場合、回折強度比I(bcc )/I(main)を下記表2および表4に示す。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】
【表3】
【0048】
【表4】
【0049】
前記表1〜表4から明らかなように実施例1〜13の永久磁石は、高飽和磁化と高保磁力で優れた磁石特性および優れた保磁力の温度特性を有することがわかる。
【0050】
これに対して比較例1は主たる硬磁性相がNd2 Fe14B1 型結晶構造であり、保磁力の温度特性が悪くなる。比較例2ではThMn12相とTh2 Zn17相からなる組織になっているため、保磁力が比較的小さく、温度特性も十分ではない。比較例3では磁気異方性が小さくなり、結果として保磁力が小さくなる。
比較例4の永久磁石材料は主たる硬磁性相がTh2 Zn17型結晶構造であり、前記X線回折強度比が大きく、保磁力が大幅に低下する。
【0051】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明に係わる永久磁石は従来の永久磁石に比べて飽和磁化と保磁力が向上され、さらに保磁力の温度特性が改善される。その結果、本発明に係る永久磁石は従来の永久磁石の応用分野において機器の小型化,省エネルギー化を図ることができるなど顕著な効果を奏する。
Claims (1)
- 一般式
(R1-uMu)(Fe1-v-w-yCovCuwTy)xXz …(II)
式中のR,M,TおよびXは、それぞれ
R:Yを含む希土類元素から選ばれる少なくとも1つの元素、
M:Ti,Nbから選ばれる少なくとも1つの元素、
T:Ni、Sn,V、Ta,Cr,Mo.W,Mnから選ばれる少なくとも1つの元素、
X:C、N、O、B、S、Pから選ばれる少なくとも1種以上、
であり、
u,v,w,x,y,zは、それぞれ
0.1≦u≦0.7、
0≦v≦0.8、
0.001≦w≦0.1、
8≦x≦10、
0≦y≦0.1、
0<z≦3、
である、
にて表わされ、主たる硬磁性相がTh 2 Ni 17 相とThMn 12 相の2相分離組織からなることを特徴とする永久磁石。
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