JP3103219B2 - マグネットロールとその製造方法 - Google Patents

マグネットロールとその製造方法

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JP3103219B2 JP04286717A JP28671792A JP3103219B2 JP 3103219 B2 JP3103219 B2 JP 3103219B2 JP 04286717 A JP04286717 A JP 04286717A JP 28671792 A JP28671792 A JP 28671792A JP 3103219 B2 JP3103219 B2 JP 3103219B2
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哲 広沢
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、電子写真や静電記録
等に用いられるマグネットロールの改良にかかり、永久
磁石構成体にハードフェライト磁石では得られなかった
5kG以上の残留磁束密度Brを有し、かつ着磁特性にすぐ
れたFe-B-R系ボンド磁石を用い小型軽量化を図ったマグ
ネットロールとその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、電子写真や静電記録等におい
て、現像用やクリーニング用として用いられるマグネッ
トロールには、その永久磁石構成体を形成する永久磁石
材料としてフェライト磁石を使用したもの(実開昭48-27
51号等)がよく知られている。
【0003】また、昨今の電子部品の小型化、高性能化
に則したものとしては、永久磁石材として等方性のR-Fe
-B樹脂磁石を用いたものが提案されている(特開平2-220
415号)。上記の等方性R-Fe-B樹脂磁石は、希土類元素10
〜15原子%を含有し、液体急冷法により溶湯を急冷した
合金リボン(特開昭59-64739号等)を粉砕したものや、ア
トマイズ法によって溶湯を急冷した合金粉末等を樹脂と
結合させたものであるが、焼結法によって得られたR-Fe
-B系磁石(特開昭59-46008号)と異なり、着磁をするため
に大きな外部磁界を必要とすることが知られている。
【0004】昨今の乾式電子複写機の小型化、高性能化
にともなって、マグネットロール2に要求される発生磁
界のパターンは図2のAに示す如く、強磁界方向を特定し
た磁界パターン1や、図2のBに示す如く放射状に均等な
磁界パターン1を形成するなど、複雑をきわめており、
上述の等方性R-Fe-B系樹脂磁石では十分な磁界のパター
ンを得ることが困難であった。
【0005】また、乾式電子複写機の小型化、高性能化
とともに、複写階調の明瞭化や複写スピードの高速化を
実現するために、磁石の残留磁束密度の向上が要求され
ているが、マグネットロールの小型化と高残留磁束密度
化という相反する要求を満たすことができる磁石材料は
今だ見出されていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】一方、Nd-Fe-B系磁石
において、最近、Nd4Fe77B19(at%)近傍でFe3B型化合物
を主相とする磁石材料が提案(R.Coehoorn等、J.de Phy
s.、C8,1988,669〜670頁)されている。この磁石材料は
アモルファスリボンを熱処理することにより、Fe3BとNd
2Fe14Bの結晶集合組織を有する準安定構造であるが、iH
cが2〜3kOe程度と低く、またこのiHcを得るための熱処
理条件が狭く限定されているため、工業生産上実用的で
なく、マグネットロール用の磁石としては不適である。
【0007】すなわち、マグロールの磁気回路はモータ
やスピーカ等の閉磁路に近い磁気回路と比べて開いた磁
気回路であり、小さな保磁力では自己減磁界に打ち勝つ
ことができず、減磁を生じるため、低iHc磁石材料では
不適である。
【0008】また、上記のFe3B型化合物を主相とする磁
石材料に添加元素を加えて多成分化し、性能向上を図っ
た研究も発表されている。その一つは希土類元素にNdの
ほかにDyとTbを用いてiHcの向上を図るものであるが、
高価な元素を添加する問題のほか、添加希土類元素はそ
の磁気モーメントがNdやFeの磁気モーメントと反平行し
て結合するため磁化が減少する問題がある(R.Coehoor
n、J.Magn,Magn,Mat.、83(1990)228〜230頁)。
【0009】さらに、他の研究(Shen Bao-genら、J.Ma
gn,Magn,Mat.、89(1991)335〜340頁)として、Feの一部
をCoにて置換してキュリー温度を上昇させ、iHcの温度
係数を改善するものがあるが、Coの添加にともないBrを
低下させる問題がある。
【0010】いずれにしてもFe3B型Nd-Fe-B系磁石は、
超急冷法によりアモルファス化した後、熱処理してハー
ド磁石材料化できるが、iHcが低く、かつ前記熱処理条
件が狭いため、安定した工業生産ができず、特に十分な
磁界パターンを必要とするマグネットロール用の磁石と
しては不適である。また、さらに、Nd-Fe-B系合金をア
モルファス化するためには、超急冷時のロール周速度を
著しく速くする必要があり、製品の回収率や歩留りが低
下する問題があり、さらにFe基合金であることから、保
存時の腐食が進行し易く、長期間の保存により初期の磁
気特性が維持できずに劣化する問題もある。
【0011】この発明は、マグネットロールおよびNd-F
e-B系ボンド磁石のかかる現状に鑑み、ハードフェライ
ト磁石の代替えとして安価でかつ高性能なボンド磁石を
用いて小型軽量化を達成できるマグネットロールの提供
を目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、マグネッ
トロールの小型軽量化を達成できる安価でかつ高性能な
ボンド磁石を目的に種々検討した結果、Fe3B型Fe-B-R系
磁石(Rは希土類元素)に着目して、さらにFe3B型Fe-B-R
系ボンド磁石のiHcと(BH)maxを向上させ、5kG以上の残
留磁束密度Brを有し、すぐれた磁化特性(着磁特性)を有
し、安定した工業生産を可能にする組成を種々検討し
【0013】その結果、希土類元素の含有量が少ない、
特定組成の合金溶湯をロール法を用いて急冷し、熱処理
にてFe3B相を析出させるに際して、少量の添加Coによ
り、Fe3B相中の一部Coにて置換されて、完全にアモル
ファス相を得なくても、Fe3Bと同じ結晶構造、すなわ
ち、体心正方晶Fe3P型結晶構造を有する鉄を主成分とす
るホウ化物相が折出し、さらに急冷後、適当な熱処理に
よって、前記ホウ化物とNd2Fe14B型結晶構造の化合物相
が同一粉末粒子中に共存し、結晶化させる際に結晶粒径
を微細化して該化合物相が同一粉末粒子中に共存し、し
かもその平均結晶粒径が5nm〜100nmの範囲内のとき、実
用的に必要な2kOe以上の固有保磁力を発揮し、この合金
粉末を樹脂にて所要形状に成型固化することにより、室
温付近で準安定な結晶構造相が分解することなく、永久
磁石として利用可能になることを知見した。
【0014】また、熱処理温度範囲を拡大して減磁曲線
の角形性を改善のために、添加元素M(MはAl、Si、Cu、G
a、Ag、Auの1種または2種)を添加しても同様の作用効果
が得 られることを知見した。
【0015】さらに、上記の永久磁石がすぐれた着磁特
性を有し、工業的に容易に生産が可能であることから、
マグネットロールに要求される発生磁界パターンを十分
満足し、マグネットロール用磁石として最適であること
を確認した。
【0016】すなわち、この発明は、永久磁石構成体か
らなり円筒状スリーブ内に相対的に回転自在に内蔵され
る静電現像用のマグネットロールにおいて、永久磁石構
成体を形成する永久磁石の少なくとも一部が、体心正方
晶Fe3P型結晶構造を有する鉄を主成分とするホウ化物相
とNd2Fe14B型結晶構造の構成相とが同一粉末粒子中に共
存し、各構成相の平均結晶粒径が5nm〜100nmの微細結晶
集合体からなる平均粒径が0.1μm〜500μmである合金粉
末を樹脂にて結合したFe-B-R系ボンド磁石であることを
特徴とするマグネットロールである。
【0017】また、この発明は、上記の構成において、
永久磁石構成体の少なくとも一部に、組成式をFe
100-x-y-zCoxByRz (但しRはPrまたはNdの1種または2
種)と表し、組成範囲を限定する記号x、y、zが下記値を
満足する合金粉末を樹脂にて結合したFe-B-R系ボンド磁
石を用いたことを特徴とするマグネットロールである。 0.05≦x≦15at% 16≦y≦22at% 3≦z≦5.5at%
【0018】また、この発明は、Fe-B-R系合金に0.05〜
15at%のCoを含有させて合金溶湯を超急冷法にて実質的
に90%以上をアモルファス組織となした薄帯となし、500
℃からの昇温速度を1〜15℃/分で昇温して550〜730℃で
5分〜6時間保持する熱処理及び粉砕工程を経て得られた
体心正方晶Fe 3 P型結晶構造を有する鉄を主成分とするホ
ウ化物相とNd 2 Fe 14 B型結晶構造の構成相とが同一粉末粒
子中に共存し、各構成相の平均結晶粒径が5n m〜100nmの
微細結晶集合体からなる平均粒径が0.1μm〜500μmであ
る合金粉末を用い、この合金粉末を樹脂にて結合したボ
ンド磁石を、マグネットロールの永久磁石構成体を形成
する永久磁石の少なくとも一部に形成するマグネットロ
ールの製造方法である。
【0019】
【作用】この発明におけるボンド磁石は、希土類元素の
含有量が少ない特定組成の合金溶湯を超急冷法後、熱処
理して空間群I4の体心正方晶Fe3P型結晶構造を有する鉄
を主成分とするホウ化物相とNd2Fe14B型結晶相の準安定
混合組織となす際に、特定量のCoを含有するため、準安
定相である空間群I4の体心正方晶Fe3P型結晶構造を有す
る鉄を主成分とするホウ化物相が安定化し、完全にアモ
ルファス組織としなくても、空間群I4の該ホウ化物相を
主相とする平均結晶粒径が5〜100nmの微細結晶集合体と
なり、主相の体心正方晶Fe3P型結晶構造を有する鉄を主
成分とするホウ化物相のほか、Nd2Fe14B型結晶構造を有
する強磁性相が共存するボンド磁石用合金粉末が得ら
れ、樹脂との結合により、iHc≧3kOe、Br≧5kG、(BH)ma
x≧3MGOeの磁気特性を得ることができる。
【0020】この発明のマグネットロールに使用するFe
-B-R系ボンド磁石は、すぐれた着磁特性を有することか
ら、図2に示す磁界パターンをはじめとして、極めて複
雑な着磁特性の要求にも十分応えることができ、また、
種々の形状に成形できることから、あらゆる構成のマグ
ネットロールに適用することができる。
【0021】上述の如く、この発明によるFe-B-R系ボン
ド磁石は、従来から知られるフェライト磁石に比べても
著しく高い残留磁束密度を有するため、例えば、該Fe-B
-R系ボンド磁石をマグネットロールの主磁極のみに用い
て、他の永久磁石部をフェライトボンド磁石、フェライ
ト焼結磁石等で構成することもでき、マグネットロール
の低価格化及び小型化、高性能化が実現できる。
【0022】この発明において、Fe-B-R系ボンド磁石を
得る方法としては、例えば、 1) 組成式をFe100-x-y-zCoxByRz (但しRはPrまたはNd
の1種または2種)、あるいは組成式をFe100-x-y-zCoxByR
zMw (但しRはPrまたはNdの1種または2種、MはAl、Si、
Cu、Ga、Ag、Auの1種または2種以上)と表し、組成範囲
を限定する記号x、y、z、wが上述の値を満足する合金溶
湯を超急冷法にて実質的に90%以上をアモルファス組織
となした薄帯となす。 2) 該薄帯を平均粒径0.1μm〜500μmに粉砕する。 3) 該粉砕粉の熱処理に際し、500℃からの昇温速度を1
〜15℃/分で昇温して550〜730℃で5分〜6時間保持する
熱処理を施す。 4) Fe3B型化合物を主相とし、Nd2Fe14B型結晶構造を有
する強磁性相を有し、平均結晶粒径が5〜100nmの微細結
晶集合体を有する平均粒径が0.1〜500μmの粉末を樹脂
にて所要形状に成形固化する。
【0023】以上が本発明に係るFe-B-R系ボンド磁石の
製造方法であるが、粉砕工程、成形工程及び固化工程な
どは最適の条件を適宜選定することができ、特に粉砕工
程は、熱処理前に限らず、熱処理後に行なっても差し支
えない。また、組成や熱処理の条件などによっては、α
-Fe相が若干残留する場合もあるが、磁石特性を劣化さ
せるものではないことから、僅かなα-Fe相は本発明に
係るFe-B-R系ボンド磁石の構成相に許容される。
【0024】この発明によるボンド磁石を構成する合金
粉末は、1.6T(=Tesla)という高い飽和磁化を持つ体心正
方晶Fe3P型結晶構造を有する鉄を主成分とするホウ化物
相を主相とすることを特徴としている。このホウ化物相
はFe3Bまたはその中のFeの一部がCoで置換されている。
このホウ化物相は特定の範囲で準安定的に空間群P4/nmn
のNd2Fe14B型結晶構造を有するNd2(Fe,Co)14B強磁性相
と共存できる。
【0025】これらのホウ化物相と強磁性相が共存する
ことが高い磁束密度と十分なiHcを得るためには必須で
あり、同一組成であっても、例えば鋳造法などではその
製法に起因して、C16型結晶構造を有するFe2B相と体心
立方晶のα-Fe相とが主相となると、高い磁化が得られ
るが、iHcは1kOe以下に劣化してマグネットロール用磁
石として使用できなくなるため好ましくない。但し、α
-Fe相は、体心正方晶Fe3P型結晶構造を有する鉄を主成
分とするホウ化物相とNd2Fe14B型結晶構造を有する強磁
性相との共存下においては、第3相として若干量存在す
ることができる。
【0026】希土類元素RはPrまたはNdの1種また2種を
特定量含有のときのみ、高い磁気特性が得られ、他の希
土類、例えばCe、LaではiHcが2kOe以上の特性が得られ
ず、またSm以降の中希土類元素、重希土類元素は磁気特
性の劣化を招来するとともに磁石を高価格にするため好
ましくない。
【0027】Rは、3at%未満では2kOe以上のiHcが得られ
ず、また5.5at%を超えるとFe3B相及びNd 2 Fe 14 B相が生成
せず、硬磁性を示さない準安定相のR2Fe23B3相が折出し
iHcは著しく低下するので好ましくないため、3〜5.5at%
の範囲とする。
【0028】Bは、16at%未満および22at%を超えると2kO
e以上のiHcが得られないため、16〜22at%の範囲とす
る。
【0029】Coは、前記の粉砕粉の熱処理条件でアモル
ファス組織を結晶化したときには、iHc及び減磁曲線の
角形性の向上改善に有効であるが、0.05at%未満ではか
かる効果が得られず、15at%を超えるとiHcは著しく低下
し、2kOe以上のiHcが得られないため、0.05〜15at%の範
囲とする。
【0030】Al、Si、Cu、Ga、Ag、Auは熱処理温度範囲
を拡大して減磁曲線の角形性を改善し、磁気特性のBr、
(BH)maxを増大させる効果を有するが、3at%を超えると
かえって角形性を劣化させ、(BH)maxも低下するため、3
at%以下の範囲とする。
【0031】Feは、上述の元素の含有残余を占める。
【0032】この発明のボンド磁石を構成する合金粉末
中に共存する体心正方晶Fe3P型結晶構造を有する鉄を主
成分とするホウ化物相とNd2Fe14B型結晶相は、いずれも
強磁性相であるが、前者相は単独では磁気的に軟質であ
り、後者相が共存することがiHcを発現するのに不可欠
である。しかし、単に両相が共存するだけでは不十分で
あり、両者の平均結晶粒径が5〜100nmの範囲にないと、
減磁曲線の第2象限の角形性が悪化して、永久磁石とし
ては動作点が十分な磁束を取り出すことができないた
め、平均結晶粒径は5nm〜100nmに限定する。
【0033】複雑形状や薄肉形状の磁石が得られるボン
ド磁石としての特徴を生かし、高精度の成形を行なうに
は、粉末の粒径は十分小さいことが必要であるが、粉末
粒径を小さくしすぎると比表面積増大に伴い多量の樹脂
をバインダーとして使用する必要があり、充填密度が低
下して好ましくないため、粉末粒径を0.1μm〜500μmに
限定する。
【0034】この発明におけるボンド磁石は等方性磁石
であり、以下に示す圧縮成形、射出成形、押し出し成
形、圧延成形、樹脂含浸法など公知のいずれの製造方法
であってもよい。圧縮成形の場合は、磁性粉末に熱硬化
性樹脂、カップリング剤、滑剤等を添加混練したのち、
圧縮成形して加熱し樹脂を硬化して得られる。
【0035】射出成形、押し出し成形、圧延成形の場合
は、磁性粉末に熱可塑性樹脂、カップリング剤、滑剤等
を添加混練したのち、射出成形、押し出し成形、圧延成
形のいずれかの方法にて成形して得られる。
【0036】樹脂含浸法においては、磁性粉末を圧縮成
形後、必要に応じて熱処理した後、熱硬化性樹脂を含浸
させ、加熱して樹脂を硬化させて得る。また、磁性粉末
を圧縮成形後、必要に応じて熱処理した後、熱可塑性樹
脂を含浸させて得る。
【0037】この発明において、ボンド磁石中の磁性粉
末の充填率は、前記製法により異なるが、70〜99.5wt%
であり、残部0.5〜30wt%が樹脂その他である。圧縮成形
の場合、磁性粉末の充填率は95〜99.5wt%、射出成形の
場合、磁性粉末の充填率は90〜95wt%、樹脂含浸法の場
合、磁性粉末の充填率は96〜99.5wt%が好ましい。
【0038】バインダーとして用いる合成樹脂は、熱硬
化性、熱可塑性のいずれの性質を有するものも利用でき
るが、熱的に安定な樹脂が好ましく、例えば、ポリアミ
ド、ポリイミド、フェノール樹脂、弗素樹脂、けい素樹
脂、エポキシ樹脂などを適宜選定できる。
【0039】マグネットロールの形状は一般に円筒状で
あるが、直接に最終形状を得てもよいし、生産容易な形
状に予め成形した後、加工等を施すことによって最終形
状を得てもよく、射出成形等により芯材を含むマグネッ
トロール全体をボンド磁石で構成することもできる。ま
た、扇形や直方体、さらに複雑な異形状のブロックを予
め作製して、磁性または非磁性の芯材に接着等で固定す
ることもできる。
【0040】上記の構成において、この発明によるFe-B
-R系ボンド磁石を主磁極など高い残留磁束密度が要求さ
れる箇所に用いて、他の永久磁石部をフェライトボンド
磁石、フェライト焼結磁石等で構成することは、材料コ
ストの削減並びに小型化、高性能化が実現でき、有効で
ある。
【0041】なお、この発明は、Fe-B-R系ボンド磁石が
有するすぐれた着磁特性及び高残留磁束密度などの諸特
性を有効利用したマグネットロールに関するものである
が、このFe-B-R系ボンド磁石が有するすぐれた着磁特性
及び高残留磁束密度などの諸特性は、マグネットロール
のみならず、磁気スケールやモーター等の回転数測定装
置などの磁気センサーなど、その他多極永久磁気回路を
要求されるものに対して最適である。
【0042】
【実施例】実施例1 表1のNo.1〜11の組成となるように、純度99.5%以上のF
e、Co、B、Nd、Pr、Cu、Ga、Ag、Au、Al、Siの金属を用
いて、総量が30grとなるように秤量し、底部に直径0.8m
mのオリフィスを有する石英るつぼ内に投入し、圧力56c
mHgのAr雰囲気中で高周波加熱により溶解し、溶解温度
を1400℃にした後、湯面をArガスにより加圧して室温に
てロール周速度20m/秒にて高速回転するCu製ロールの外
周面に0.7mmの高さから溶湯を噴出させて、幅2〜3mm、
厚み30〜40μmの超急冷薄帯を作製した。得られた超急
冷薄帯をCuKαの特性X線と薄帯の断面のSEM写真によ
り、大部分(約90vol%以上)がアモルファスであることを
確認した。
【0043】この超急冷薄帯をArガス中で500℃まで急
速加熱した後、500℃以上を表1に示す昇温速度で昇温
し、表1に示す熱処理温度、時間で保持し、その後室温
まで冷却して薄帯を取り出した。
【0044】試料の組織は、正方晶のFe3B相が主相で、
Nd2Fe14B相とα-Fe相が混在する多相組織であり、平均
結晶粒径はいずれも100nm以下であった。なお、Coはこ
れらの各相でFeの一部を置換する。この薄帯を粉砕し
て、粒径が5〜120μmにわたって分布する平均粒径60μm
の粉末を得たのち、粉末98wt%に対してエポキシ樹脂を2
wt%の割合で混合したのち、6ton/cm2の圧力で圧縮成形
し、150℃で硬化処理してボンド磁石を得た。このボン
ド磁石の密度は5.6gr/cm3であり、磁石特性を表2に示
す。
【0045】比較例1 実施例1と同条件で得られた実施例1の組成No.5の超急冷
薄帯をArガス中で500℃まで急速加熱した後、500℃以上
21℃/分で昇温し、680℃で15分間保持する熱処理を施
し、冷却後に実施例1と同条件で試料化(比較例No.12)し
て磁気特性を測定した。測定結果を表2に示す。
【0046】実施例1と同条件で得られた実施例1の組成
No.2の超急冷薄帯をArガス中で500℃まで急速加熱した
後、比較例No.13は500℃で10分間保持する熱処理を施
し、比較例No.14は500℃以上を4℃/分で昇温し、750℃
で10分間保持する熱処理を施し、冷却後に実施例1と同
条件で試料化して磁気特性を測定した。測定結果を表2
に示す。
【0047】上記の実施例1及び比較例1にて得られた試
料No.1〜14のボンド磁石を、図3のAに示す如く、回転軸
4に4本の断面扇形の棒状磁石3を配置して円筒状永久磁
石構成体に形成するマグネットロールに適用したとこ
ろ、試料No.1〜11の本発明におけるボンド磁石を用いた
マグネットロールは、磁気特性が高く、かつ着磁特性に
すぐれることから、十分な磁界パターンを有するマグネ
ットロールを得ることができた。これに対して、試料N
o.12〜14の比較例1によるボンド磁石を用いたマグネッ
トロールは、磁気特性および着磁特性が低く、マグネッ
トロールとして必要な磁界パターンを得ることができな
かった。
【0048】なお、実施例においては、この発明による
ボンド磁石を図3のAに示す構成のマグネットロールに適
用させたが、この発明のマグネットロールは、本実施例
に限定されるものではなく、例えば図3のBに示す如く、
回転軸4に異形断面からなる棒状磁石3と支持部材を組み
合せて円筒状永久磁石構成体に形成したり、図3のC示す
如く、表面の軸方向に溝を設けた円柱の支持部材5の外
溝部に棒状磁石3を着設した構成のほか、あらゆる形態
の永久磁石構成体を有するマグネットロールに適用でき
る。
【0049】実施例2 実施例1と同条件で得られたNd4.5Fe73Co3Ga1B18.5組成
の大部分(約90vol%以上)がアモルファスからなる超急冷
薄帯を、Arガス中で500℃まで急速加熱した後、500°C
以上を10°C/分で昇温し、650°Cで10分間保持する熱処
理を施し、その後冷却して薄帯を取り出した。 試料の
組織は、正方晶のFe3B相が主相で、Nd2Fe14B相とα-Fe
相が混在する多相組織であり、平均結晶粒径はいずれも
100nm以下であった。なお、Coはこれらの各相でFeの一
部を置換する。この薄帯を実施例1と同条件で試料化し
て、ボンド磁石を得た。得られたボンド磁石の着磁特性
の測定結果を図1に、磁気特性を表3に示す。尚、着磁特
性の測定はパーミアンス係数=1で行なった。
【0050】比較例2 組成がNd26.8Pr0.4Fe66.2Co4.93B0.91(wt%)からなり、
体心正方晶Fe3P型結晶構造を有する鉄を主成分とするホ
ウ化物相を含まない、Nd2Fe14B相を主相とする超急冷薄
帯を、所要最適条件で熱処理、粉砕した粉末(ゼネラル
モーターズ社製、MQP-B)を、粉末98wt%に対して熱硬化
性エポキシ樹脂を2wt%の割合で混合したのち、6ton/cm2
の圧力で圧縮成形し、150℃で硬化処理してボンド磁石
を得た。比較例2にて得られたボンド磁石の着磁特性を
測定結果を図1に、飽和磁気特性を表3に示す。尚、測定
はパーミアンス係数=1で行なった。
【0051】図1及び表3から、飽和磁気特性は比較例2
のボンド磁石に劣るものの、同着磁磁界で着磁した時の
着磁特性は、本発明のボンド磁石が圧倒的に優れている
ことがわかる。例えば、10Am/kOeの着磁磁界で着磁した
場合、本発明のボンド磁石の着磁率は約90%に達する
が、比較例2のボンド磁石では約35%の着磁率しか示さな
い。上記の結果より、この発明のボンド磁石が着磁特性
にすぐれ、マグネットロール用磁石として最適なことが
わかる。
【0052】実施例3 実施例1と同条件で得られたNd4.5Fe73Co3Ga1B18.5組成
の大部分(約90vol%以上)がアモルファスからなる超急冷
薄帯を、Arガス中で500℃まで急速加熱した後、500°C
以上を10°C/分で昇温し、650°Cで10分間保持する熱処
理を施し、その後冷却して薄帯を取り出した。試料の組
織は、正方晶のFe3B相が主相で、Nd2Fe14B相とα-Fe相
が混在する多相組織であり、平均結晶粒径はいずれも10
0nm以下であった。なお、Coはこれらの各相でFeの一部
を置換する。
【0053】この薄帯を粉砕し、バインダーと混練した
のち射出成形を行ない、さらに硬化処理を施して、略扇
形形状のこの発明によるボンド磁石を得た。上記略扇形
形状のこの発明によるボンド磁石を、図4に示すマグネ
ットロールの斜線で示す部分に主磁極として用い、斜線
部以外の永久磁石部に一体物のフェライトボンド磁石を
用いて、図5に示すこの発明のマグネットロールを得
た。
【0054】上記のマグネットロールを一般的な乾式電
子複写機に適用させたところ、本発明のマグネットロー
ルは、主磁極の残留磁束密度分布にすぐれ、かつ十分な
磁界パターンを有することから、複写階調が明瞭にな
り、複写スピードの高速化にも十分対応できた。
【0055】
【表1】
【0056】
【表1】
【0057】
【表3】
【0058】
【発明の効果】この発明は、希土類元素の含有量が少な
いCo含有の特定組成の合金溶湯を超急冷後、特定条件に
熱処理し、完全にアモルファス組織としなくても、体
心正方晶Fe3P型結晶構造を有する鉄を主成分とするホウ
化物相を主相とする平均結晶粒径が5〜100nmの微細結晶
集合体となり、該ホウ化物相のほか、Nd2Fe14B型結晶構
造を有する強磁性相が共存するボンド磁石用合金粉末が
得られることを利用して、樹脂との結合により、例えば
iHc≧2kOe、Br≧5kG、(BH)max≧3MGOeの磁気特性を有す
る着磁特性にすぐれたボンド磁石を得ることができる。
【0059】マグネットロールを構成する永久磁石部の
少なくとも一部に用いることにより、わずかな着磁磁界
にて、複雑な磁界パターンにも十分対応できるマグネッ
トロールを得ることができるほか、マグロールの軽量化
及びコンパクト化が可能となり、さらに、工業生産が容
易に行なえるため、複写階調が明瞭でかつ複写スピード
の高速化にも十分対応できる高性能なマグネットロール
を安価に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明によるボンド磁石と比較例によるボン
ド磁石の着磁特性及び磁気特性を示すグラフである。
【図2】A,Bは従来のマグネットロール磁界パターンを
示す図である。
【図3】A,B,Cはこの発明によるマグネットロールの構
成の一実施例を示す断面説明図である。
【図4】この発明によるマグネットロールの他の構成示
す断面説明図である。
【図5】図4のマグネットロールの斜視説明図である。
【符号の説明】
1 磁界パターン 2 マグネットロール 3 棒状磁石 4 回転軸 5 支持部材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01F 7/02 H01F 1/04

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 永久磁石構成体からなり円筒状スリーブ
    内に相対的に回転自在に内蔵される静電現像用のマグネ
    ットロールにおいて、永久磁石構成体を形成する永久磁
    石の少なくとも一部が、体心正方晶Fe3P型結晶構造を有
    する鉄を主成分とするホウ化物相とNd2Fe14B型結晶構造
    の構成相とが同一粉末粒子中に共存し、各構成相の平均
    結晶粒径が5nm〜100nmの微細結晶集合体からなる平均粒
    径が0.1μm〜500μmである合金粉末を樹脂にて結合した
    Fe-B-R系ボンド磁石であることを特徴とするマグネット
    ロール。
  2. 【請求項2】 永久磁石構成体の少なくとも一部に、組
    成式をFe100-x-y-zCoxByRz (但しRはPrまたはNdの1種
    または2種)と表し、組成範囲を限定する記号x、y、zが
    下記値を満足する合金粉末を樹脂にて結合したFe-B-R系
    ボンド磁石を用いたことを特徴とする請求項1記載のマ
    グネットロール。 0.05≦x≦15at% 16≦y≦22at% 3≦z≦5.5at%
  3. 【請求項3】 Fe-B-R系合金に0.05〜15at%のCoを含有
    させて合金溶湯を超急冷法にて実質的に90%以上をアモ
    ルファス組織となした薄帯となし、熱処理及び粉砕工程
    を経て得られた体心正方晶Fe 3 P型結晶構造を有する鉄を
    主成分とするホウ化物相とNd 2 Fe 14 B型結晶構造の構成相
    とが同一粉末粒子中に共存し、各構成相の平均結晶粒径
    が5nm〜100nmの微細結晶集合体からなる平均粒径が0.1
    μm〜500μmである合金粉末を用い、この合金粉末を樹
    脂にて結合したボンド磁石を、マグネットロールの永久
    磁石構成体を形成する永久磁石の少なくとも一部に形成
    するマグネットロールの製造方法。
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