JPH10152780A - 方向性けい素鋼板の絶縁被膜及びその形成方法。 - Google Patents

方向性けい素鋼板の絶縁被膜及びその形成方法。

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JPH10152780A
JPH10152780A JP31038496A JP31038496A JPH10152780A JP H10152780 A JPH10152780 A JP H10152780A JP 31038496 A JP31038496 A JP 31038496A JP 31038496 A JP31038496 A JP 31038496A JP H10152780 A JPH10152780 A JP H10152780A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 方向性けい素鋼板の絶縁被膜において、磁気
特性を損なうことなく良好な被膜を得る。 【解決手段】 被膜1が部分的に地鉄2内部に入り込み
アンカー部3を形成してなり、鋼板の曲げ試験により被
膜をはく離させたときに、地鉄表面における被膜の残留
部4が面積率で8 〜53%になる方向性けい素鋼板の絶縁
被膜。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、変圧器その他の
電気機器の鉄心等に用いられる方向性けい素鋼板の、表
面に被成される絶縁被膜及びその形成方法に関し、特に
密着性の良好な被膜をその有利な形成とともに提案しよ
うとするものである。
【0002】
【従来の技術】方向性けい素鋼板の製造工程では、鋼ス
ラブを熱間圧延後に冷間圧延を施し、次いで脱炭焼鈍を
施した後、二次再結晶のために最終仕上焼鈍を行うのが
一般的である。これらの工程のうち、最終仕上焼鈍中に
二次再結晶が起こり、圧延方向に磁化容易軸の揃った巨
大な結晶粒が生成する。また、仕上焼鈍の役割は、この
他にも焼鈍分離剤中のMgO と脱炭焼鈍に形成されるSiO2
を主体とする酸化層とが反応することによるフォルステ
ライト被膜の形成や、純化による不純物の除去など様々
なものがある。
【0003】ここで、フォルステライト被膜は、仕上焼
鈍中の高温時に形成されるため、常温まで冷却した後に
は被膜と地鉄の熱膨張率の差により鋼板には張力が付与
されることになる。張力が付与されると磁気弾性効果に
よりスピンが一定方向に揃えられ、静磁エネルギーが増
大する結果、磁区が細分化されて鉄損が低減される。ま
た、フォルステライト被膜の密着性が劣る場合や形成が
不十分な場合には仕上焼鈍後に塗布する絶縁コーティン
グが塗布し難くなったり、部分的に剥落したりするため
に絶縁性、防錆性が劣化したりする。したがって、フォ
ルステライト被膜の品質の良否は方向性けい素鋼の磁気
特性、被膜特性を左右する重要な要因となっている。
【0004】このため、フォルステライト被膜の品質改
善のための様々な方法が開示されている。例えば、特開
昭60−197883号公報では、仕上焼鈍雰囲気中の
露点を鋼中Mn、S、Se量により特定することより良好な
フォルステライト被膜を形成させる方法が開示されてい
る。また、特開平6−17261号公報では、二次再結
晶焼鈍時に形成させる被膜を、フォルステライト被膜と
Al,Siを含む酸化物とで構成させることにより張力効果
を高め、磁気特性を改善する方法が開示されている。更
に、特開昭53−5800号公報ではフォルステライト
絶縁被膜を形成するフォルステライト粒径を規定するこ
とより均一な被膜を形成する方法が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】これらの技術により、
ある程度被膜特性、磁気特性は向上してきたのものの、
十分な効果が得られているとはいい難い。特に、脱炭焼
鈍から仕上焼鈍にかけては工程条件の微妙な変動により
磁気特性、被膜特性に問題が生じ易いため、グラス被膜
を改良する必要性は高い。
【0006】この発明は、上記の事情に鑑みてなされた
ものであり、磁気特性を損なうことなく良好な被膜を得
る方法を提案しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】この発明は、仕上焼鈍後
に方向性けい素鋼板の地鉄表面に形成される被膜であっ
て、被膜が部分的に地鉄内部に入り込みアンカー部を形
成してなり、鋼板の曲げ試験により被膜をはく離させた
ときに、地鉄表面における被膜の残留部が面積率で8 〜
53%になることを特徴とする方向性けい素鋼板の絶縁被
膜、およびSiを2〜4wt%含有する鋼を熱間圧延し、1
回もしくは中間焼鈍を含む複数回の冷間圧延を施して最
終板厚に仕上げた後、一次再結晶焼鈍をし、その後MgO
を主成分とする焼鈍分離剤を塗布してから最終仕上焼鈍
を行って鋼板の地鉄表面に絶縁被膜を形成する方法にお
いて、一次再結晶焼鈍にて被成させる内部酸化層中のラ
メラ状シリカ富化層の厚みを0.2 μm 以上3.6 μm 以下
にするとともに、焼鈍分離剤としてスラリー化すること
により持ち込まれる水分量が1.0 〜3.9 %になるMgO を
用い、仕上焼鈍時の700 ℃以上1000℃未満での雰囲気酸
化性P(H2O)/P(H2)を1.5 ×10-4以上2.0 ×10-2以下とす
ることを特徴とする方向性けい素鋼板の絶縁被膜の形成
方法である。
【0008】
【発明の実施の形態】発明者らは、方向性けい素鋼の被
膜特性の更なる改善のために種々の実験を行った結果、
図1に方向性けい素鋼の表層部の模式図を示すように、
仕上焼鈍後に被成される被膜1が部分的に地鉄2内部に
入り込みアンカー部3を形成している状態になって、か
かる鋼板の曲げ試験により被膜をはく離させたときに、
地鉄2の表面における被膜の残留部(以下、「アンカー
ネック部」ともいう。)4の面積率が被膜密着性に大き
く寄与していることを新規に見出した。以下、この発明
を見出すに至った実験について述べる。
【0009】C:0.045 wt%(以下、単に%で示
す。)、Si:3.25%、Mn:0.07%及びSe:0.02%を含
み、残部は実質的にFeよりなるけい素鋼スラブを1380℃
で30分加熱後、熱間圧延して2.2 mmの板厚にしたのち、
1050℃で1分間での中間焼鈍を挟んで冷間圧延をし、最
終板厚0.23mmに仕上げた。この冷延鋼板を脱炭焼鈍後、
スラリー状にした焼鈍分離剤をロールコーターにより塗
布し、乾燥させて最終仕上焼鈍を行った。ここで、一次
再結晶焼鈍時の雰囲気の酸化性P(H2O)/P(H2)を0.1 〜0.
6 、温度を800 〜850 ℃の範囲の種々の値に制御するこ
とにより一次再結晶焼鈍後に被成される内部酸化層中の
ラメラ状シリカ層の厚みを0.1 μm 〜5.0 μm に調節し
た。ここで、ラメラ状シリカとは、図2で模式的に示す
ようにシリカが鋼板法線の直角方向にうねりながら延び
ているものをこの発明ではいう。また、焼鈍分離剤とし
てはMgO に2%のTiO2を添加し、これをスラリー化して
20℃60分攪拌することにより焼鈍分離剤中に1.2 %の水
分を持ち込ませた。また、仕上焼鈍中には、700 ℃以上
1000℃未満での雰囲気酸化性P(H2O)/P(H2)を2.5 ×10-3
に調節した。このようにして得られた仕上焼鈍後の方向
性けい素鋼の被膜を曲げはく離して被膜が剥落した部分
を表面から電子顕微鏡で観察し、更に仕上焼鈍後の鋼板
に絶縁コーティングを塗布、焼付けして歪取り焼鈍を行
った後、曲げ密着性を調査した。曲げ密着性は円筒を鋼
板に巻き付けて被膜がはく離しなかった最小の曲げ径で
評価した。代表例として一次再結晶焼鈍後の表面のラメ
ラ状シリカ層の厚みが0.1 μm のサンプルと2.0 μm の
サンプルでの仕上焼鈍後の被膜のアンカーネック部の模
式図を図3に示す。
【0010】この図から、ラメラ状シリカ層の厚みが2.
0 μm のサンプルではアンカーネック部の面積率が大き
く、また、曲げ密着性も良好であることがわかる。した
がって、このネック部が大きいほど曲げ密着性が良好で
あると考え、曲げ密着性とネック部との相関をとった。
得られた結果を図4に示す。この図から分かるようにネ
ック部の面積率と曲げ密着性との間には強い相関があ
り、ネック部面積率が8〜53%の範囲で曲げ密着性が良
好となることを新規に見いだし、この発明に至ったので
ある。
【0011】このようにアンカーネック部の面積率によ
り鋼板の被膜密着性が変化した理由は明らかではない
が、発明者らは次のように考える。鋼板を曲げたときに
は被膜の内側に関しては、アンカー部には引張応力、被
膜上部には圧縮応力が働くことになる。したがって、鋼
板を曲げて被膜を強制的にはく離させてもアンカー部分
は残留し、被膜上部のみが剥落する。このとき被膜上部
とアンカー部を接続するネック部はせん断応力が働き、
この部分が破壊されることにより被膜はく離する。した
がって、この部分のアンカーの面積率を制御することに
より、この部分の接着強度が高まり、被膜密着性が高ま
ると考えられる。
【0012】なお、特開平6−49654号公報に板厚
方向で表面から一定深さに入った部分の酸化物と地鉄部
との割合を規定する技術が開示されているが、この技術
はアンカー部分を適度な大きさにするとこにより磁区細
分化を高めることが目的であり、この発明のような被膜
密着性を改善する技術とは元来目的が異なる。また、実
際にはグラス被膜はうねっているため被膜密着性に影響
するのはこの発明のように強制的にはく離させたあとに
表面からとれ残った部分であり、この部分を特定するこ
の発明によって密着性に優れる被膜が得られる。さら
に、特開平6−49654号公報の方法は線分法による
一次元の測定であり、この発明の方法のような二次元の
測定方法とでは同一のサンプルを測定したとしても分布
が異なり、被膜はく離には、はく離面を二次元的に評価
する方法のほうがより良い指標となると考えられる。
【0013】上述したようなアンカーネック部の面積率
は、内部酸化層中のシリカ富化層の厚み、MgO 水和量、
仕上焼鈍中の雰囲気の酸化性で制御できる。このことに
関しては、次のように考える。MgO 水和量と仕上焼鈍中
の雰囲気酸化性は、ともに内部酸化層中のSiO2の解離浮
上、沈降に影響を与える。MgO 水和量や雰囲気の酸化性
が高いほどSiO2は被膜内部に沈降する結果、仕上焼鈍後
の被膜はアンカー部が良く発達し、MgO 水和量や雰囲気
の酸化性が低いほどSiO2は被膜表面に浮上してその結果
仕上焼鈍後の被膜はアンカー部の形成が未発達となる。
したがって、適度なアンカーネック部を持たせるために
はSiO2の解離浮上、沈降が良好な範囲内となるように制
御する必要がある。ラメラ状シリカはグラス被膜の内部
の形成に主に寄与するため、この厚みを特定することに
よりアンカーネック部を形成するフォルステライトの量
が制御できるのであろう。
【0014】次に、この発明の限定理由について述べ
る。この発明の絶縁被膜は、被膜が部分的に地鉄内部に
入り込みアンカー部を形成してなり、鋼板の曲げ試験に
より被膜をはく離させたときに、地鉄表面における被膜
の残留部が面積率で8 〜53%になることを特徴とする。
この残留部(アンカーネック部)の面積率がこの範囲を
外れると、いずれも良好な被膜密着性が得られない。
【0015】また、この発明の絶縁被膜の形成方法は、
一次再結晶焼鈍にて被成させる内部酸化層中のラメラ状
シリカ富化層の厚みを0.2 μm 以上3.6 μm 以下にする
とともに、焼鈍分離剤としてスラリー化することにより
持ち込まれる水分量が1.0 〜3.9 %になるMgO を用い、
仕上焼鈍時の700 ℃以上1000℃未満での雰囲気酸化性P
(H2O)/P(H2)を1.5 ×10-4以上2.0 ×10-2以下とするこ
とを特徴とする。
【0016】この発明の素材である含けい素鋼の好適成
分組成範囲としては、次のとおりである。まず、Cであ
るが、方向性けい素鋼の製造方法には、出鋼段階で低下
させて脱炭焼鈍を行わない方法とある程度の量を確保し
て組織の改善を図り、その後、脱炭焼鈍により除去する
方法がある。前者の方法ではCの悪影響を避けるために
は0.01%未満が好適であり、後者の方法では組織改善の
ための好適範囲は0.01%以上0.10%未満である。Siは2
〜4.5 %である。2%以下では鉄損の低減効果か弱ま
り、4.5 %以上では冷延性が損なわれる。C、Siの他に
インヒビター構成元素を添加する。インヒビターとして
はAlN 、MnS 、MnSe等が良く知られているが、これらの
いずれを用いてもよい。インヒビターにMnS 及び/又は
MnSeを用いる場合にはMn:0.03〜0.10%、S+Se:0.01
〜0.03%にする。AlN をインヒビターに用いる場合はA
l:0.01〜0.04%、N:50〜120 ppm とする。これらの
範囲よりも低いとインヒビターとして効果が働かず、高
いと二次再結晶が不安定になる。また、これらの他にC
u、Sn、Cr、Sb、Ge、Mo、Te、Bi、P、V等も使うこと
ができる。有効な濃度としてはトータルで0.01%以上0.
2 %以下である。これらの各インヒビターは単独使用、
複数使用いずれも可能である。
【0017】これらの素材を公知の方法で熱延を行った
後、1回又は中間焼鈍を挟む複数回の冷延を行って最終
板厚とする。また、必要に応じて熱延板の冷延前に焼鈍
を行うことも可能である。これらの処理の後、一次再結
晶焼鈍を行い、焼鈍分離剤を塗布した後、最終仕上焼鈍
を行う。かかる工程はこの発明では良好な被膜を形成さ
せるために厳重に管理する必要があり、まず、一次再結
晶焼鈍は雰囲気、温度、焼鈍時間を制御することにより
被成される内部酸化層中のラメラ状シリカ富化層の厚み
を0.2 μm 以上3.6 μm 以下にする。これはアンカーの
ネック部分を適度に形成させるために必要である。この
ようにするための雰囲気、温度、焼鈍時間は特に限定す
るものではないが、雰囲気は水蒸気、水素分圧比P(H2O)
/P(H2)で0.05以上0.68以下、温度は750 ℃以上900 ℃以
下、焼鈍時間は30秒以上180 秒以下が良好となる。な
お、脱炭焼鈍の加熱時の雰囲気と均熱時の雰囲気を別々
の制御して被膜特性を向上させる方法が知られている
が、この発明でもこの方法を用いることによりラメラ状
シリカ厚みを調節することができる。更に、AlN をイン
ヒビターとする場合に一次再結晶焼鈍の前、途中又は後
に窒化処理を行う方法が知られているが、この発明では
このような方法を同時に行っても差し支えない。一次再
結晶焼鈍後にはMgO を主体とする焼鈍分離剤を用いる。
このとき、MgO はスラリー化することにより持ち込まれ
る水分量を1.0 %以上3.9 %以下とする。これはMgO の
反応性の制御とともに仕上焼鈍時の雰囲気の持ち込み水
分量を調整するためである。この範囲を外れるといずれ
も期待した形状のグラス被膜が形成されない。更に、仕
上焼鈍時には700 ℃以上1000℃未満での雰囲気酸化性P
(H2O)/P(H2)を1.5 ×10-4以上2.0 ×10-2以下とする。
グラス被膜の形状に主に影響する温度行きは700 〜1000
℃の範囲であり、この時の雰囲気酸化性をこの範囲内に
することによりフォルステライト被膜の形状を制御する
ためこの範囲に規定する必要がある。以上の処理を行う
ことにより、ネック部分の面積率を8 〜53%以下にす
る。この範囲内に収めることにより優れた被膜密着性が
得られる。これら一連の処理の後、仕上焼鈍を行う。仕
上焼鈍は公知の方法で良い。この後、絶縁張力コートを
施してフラットニング焼鈍をして製品に仕上げる。かか
る処理工程によって優れた磁気特性を有する方向性けい
素鋼を得ることができる。
【0018】
【実施例】
(実施例1)C:0.06%、Si:3.28%、Al:0.02%、
N:50ppm 、Mn:0.07%、S:0.005%、Cu:0.06%を
含み、残部は実質的に鉄よりなるスラブを1400℃に加熱
し、2.2 mm厚に熱延し、1050℃,2分間の中間焼鈍をは
さんで0.35mmまで冷延し、最終板厚に仕上げた。これを
水蒸気分圧P(H2O)/P(H2)で0.03〜0.75、温度を700 ℃〜
950 ℃、焼鈍時間は20秒〜240 秒に変更することにより
内部酸化層中のラメラ状シリカの厚みを各種変更した。
その後、窒化処理を施したあと焼鈍分離剤としてスラリ
ー化することにより持ち込まれる水分量が2.0 %のMgO
に6%のTiO2を添加し、塗布、乾燥させた。仕上焼鈍と
して700 〜1000℃までを昇温速度20℃/h、雰囲気酸化性
P(H2O)/P(H2)を1.5 ×10-3で昇温し、引き続きドライH2
雰囲気で1150℃、5h の純化焼鈍を行った。このように
して得られた鋼板の磁気特性及び被膜密着性を調査した
結果を表1に示す。ラメラ状シリカ厚みがこの発明の範
囲内にあるときに被膜密着性は改善される。また、磁気
特性においてもこの発明の範囲内では良好な値をとる。
【0019】
【表1】
【0020】(実施例2)C:0.04%、Si:3.28%、M
n:0.07%、Se:0.02%、Sb:0.025 %を含み、残部は
実質的に鉄よりなるスラブを1400℃に加熱し、2.6 mm厚
に熱延し、1000℃、2分間の中間焼鈍を挟んで0.30mmま
で冷延し、最終板厚に仕上げた。これを表2の1,2の
条件で脱炭焼鈍することにより内部酸化層中のラメラ状
シリカの厚みを0.1 μm と1.3 μm に変更した。この
後、焼鈍分離剤として水和水分量のMgOと1.5 %のTiO2
を添加し、塗布、乾燥させた。その後、仕上焼鈍として
700 〜1000℃までを雰囲気酸化性P(H2O)/P(H2)が1.5 ×
10-3でかつ820 ℃で50h 保定した後ドライH2雰囲気で11
50℃, 5h の純化焼鈍を行った。このようにして得られ
た鋼板の磁気特性を調査した結果を表3に示す。水和水
分量が1.0 〜3.9 の範囲で良好な磁気特性と被膜特性が
得られる。
【0021】
【表2】
【0022】
【表3】
【0023】(実施例3)C:0.06%、Si:3.28%、M
n:0.07%、Al:0.025 %、N:80ppm 、Se:0.02%及
びSb:0.025 %を含み、残部は実質的に鉄よりなるスラ
ブを1400℃に加熱し、2.2 mm厚に熱延し、1050℃,2分
間の中間焼鈍を挟んで0.30mmまで冷延し、最終板厚に仕
上げた。これを表2の条件で脱炭焼鈍することにより、
内部酸化層中のラメラ状シリカの厚みを0.1 μm と1.3
μm とに変更した。この後、焼鈍分離剤として持ち込み
水分量2.0 %のMgO と1.5 %のTiO2を添加して塗布、乾
燥させた。その後、仕上焼鈍として700 〜1000℃までの
雰囲気酸化性P(H2O)/P(H2)を各種変更し、かつ820 ℃で
50h 保定した後ドライH2雰囲気で1150℃,5h の純化焼
鈍を行った。このようにして得られた鋼板の磁気特性を
調査した結果を表4に示す。仕上焼鈍の700 〜1000℃ま
での雰囲気酸化性P(H2O)/P(H2)が1.5 ×10-4以上2.0 ×
10-2以下の範囲において良好な磁気特性、被膜特性が得
られる。
【0024】
【表4】
【0025】
【発明の効果】この発明によれば、被膜が部分的に地鉄
内部に入り込みアンカー部を形成してなり、鋼板の曲げ
試験により被膜をはく離させたときに、地鉄表面におけ
る被膜の残留部が面積率で8 〜53%になる絶縁被膜にす
ること、そのために、一次再結晶焼鈍にて被成させる内
部酸化層中のラメラ状シリカ富化層の厚みを0.2 μm 以
上3.6 μm 以下にするとともに、焼鈍分離剤としてスラ
リー化することにより持ち込まれる水分量が1.0 〜3.9
%になるMgO を用い、仕上焼鈍時の700 ℃以上1000℃未
満での雰囲気酸化性P(H2O)/P(H2)を1.5 ×10-4以上2.0
×10-2以下とすることにより、磁気特性、被膜特性の良
好な方向性けい素鋼板を製造することが可能となり、品
質向上に大きく寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】方向性けい素鋼の表層部の模式図である。
【図2】ラメラ状シリカを説明する、一次再結晶焼鈍後
の鋼板表層部の模式図である。
【図3】アンカーネック部の模式図である。
【図4】曲げ密着性とアンカーネック部の面積率との関
係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 被膜 2 地鉄 3 アンカー部 4 アンカーネック部

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 仕上焼鈍後に方向性けい素鋼板の地鉄表
    面に形成される被膜であって、 被膜が部分的に地鉄内部に入り込みアンカー部を形成し
    てなり、鋼板の曲げ試験により被膜をはく離させたとき
    に、地鉄表面における被膜の残留部が面積率で8 〜53%
    になることを特徴とする方向性けい素鋼板の絶縁被膜。
  2. 【請求項2】 Siを2〜4wt%含有する鋼を熱間圧延
    し、1回もしくは中間焼鈍を含む複数回の冷間圧延を施
    して最終板厚に仕上げた後、一次再結晶焼鈍をし、その
    後MgO を主成分とする焼鈍分離剤を塗布してから最終仕
    上焼鈍を行って鋼板の地鉄表面に絶縁被膜を形成する方
    法において、 一次再結晶焼鈍にて被成させる内部酸化層中のラメラ状
    シリカ富化層の厚みを0.2 μm 以上3.6 μm 以下にする
    とともに、焼鈍分離剤としてスラリー化することにより
    持ち込まれる水分量が1.0 〜3.9 %になるMgO を用い、
    仕上焼鈍時の700 ℃以上1000℃未満での雰囲気酸化性P
    (H2O)/P(H2)を1.5 ×10-4以上2.0 ×10-2以下とするこ
    とを特徴とする方向性けい素鋼板の絶縁被膜の形成方
    法。
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