JP3182666B2 - 超低鉄損一方向性珪素鋼板の製造方法 - Google Patents
超低鉄損一方向性珪素鋼板の製造方法Info
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Description
の電気機器等の鉄心として利用される超低鉄損一方向性
珪素鋼板の製造方法に関するものである。特に、その表
面を効果的に仕上げることにより、鉄損特性の向上を図
ろうとするものである。
くの電気機器に用いられている。一方向性珪素鋼板は、
製品の結晶粒の方位を{110}<001>方位に高度
に集積させたものであり、磁気特性として磁束密度が高
く(B8 値で代表される)、鉄損が低い(W17/50 値で
代表される)ことが要求される。特に、最近では省エネ
ルギーの見地から電力損失の低減に対する要求が高まっ
ている。
損を低減させる手段として、磁区を細分化する技術が開
発された。仕上焼鈍後の鋼板にレーザービームを照射し
て局部的な微少歪を与えることにより磁区を細分化して
鉄損を低減させる方法が、例えば特開昭58−2640
5号公報に開示されている。また、巻き鉄心の場合、鉄
心に加工した後、歪取焼鈍(応力除去焼鈍)を施しても
磁区細分化効果の消失しない方法も、例えば特開昭62
−8617号公報に開示されている。これらの技術的手
段を用いて、磁区を細分化することにより鉄損は大きく
低減されるようになってきている。
すると動かない磁区も存在していることがわかり、一方
向性珪素鋼板の鉄損値をさらに低減させるためには、磁
区細分化と合わせて磁区の動きを阻害する鋼板表面のグ
ラス被膜からのピン止め効果をなくすことが重要である
ことが分かった。そのための手段として、仕上焼鈍後の
材料の表面を化学研磨あるいは電解研磨により平滑化す
る方法が、例えば特開昭64−83620号公報に開示
されている。
方法は、研究室レベルでの少試料の材料を加工すること
は可能であるが、工業的規模で行うには薬液の濃度管
理、温度管理、公害設備の付与等の点で大きな問題があ
る。本発明者等の一部は、この問題を解決すべく特願平
2−409378号において、製品のグラス被膜を除去
し、地鉄を露出させた鋼板を、水素を含有するガスを含
む雰囲気ガス中で1000℃以上の温度で焼鈍すること
により、表面を平滑化させる方法を提案している。
一旦仕上焼鈍で生成させたグラス被膜を仕上焼鈍後に除
去する工程と、平滑化処理する工程を新たに設ける必要
がある。従って、工程的にコストアップとなり、工業的
に採用するには問題がある。本発明の目的とするところ
は、仕上焼鈍中に、(1)二次再結晶による方位の制御
と(2)表面の平滑化を同時に達成することのできる超
低鉄損一方向性電磁鋼板の製造方法を提供するにある。
関して種々検討した結果、表面の平滑化を阻害するもの
は、一次再結晶板のシリカを主成分とする表面酸化層お
よび仕上焼鈍時の表面直上の水分であることを解明し
た。そこで、表面平滑化の達成手段を検討した結果、一
次再結晶板を積層する際、一次再結晶板の表面酸化層を
除去することが表面の平滑化に有効であることを見出し
た。
にグラス被膜(フォルステライト)が厚く形成されない
ので、界面を介して脱窒素を抑制することができず、イ
ンヒビターが早く弱まってしまい、二次再結晶による方
位制御が充分に行われにくいことが分かった。そこで、
本発明者等は種々の検討を行い、このような場合に温度
勾配下で焼鈍すると、二次再結晶が安定化し、例えば従
来製造されていない0.125mm厚の薄い材料までも
二次再結晶させることが可能であることを見出した。
常の一方向性珪素鋼板の場合は、一次再結晶焼鈍後にマ
グネシアを主成分とする焼鈍分離剤をスラリー状で塗布
し、仕上焼鈍を行っている。この製造法では、一次再結
晶焼鈍後の鋼板表面に存在するシリカ(SiO2 )を主
成分とする酸化層と焼鈍分離剤としてスラリー状で塗布
したMgOとが反応して、グラス(フォルステライト)
被膜を形成したり、インヒビター構成元素として鋼中に
存在するアルミニウムがマグネシアにより持ち込まれた
水分と反応して鋼中に介在物を形成することにより、表
面が平滑にならない。すなわち、これらのグラス被膜や
介在物が磁区のピン止めサイトとなることが分かった。
ために、一次再結晶板の表面酸化層を除去することが重
要である。そこで、一次再結晶板の表面酸化層を除去し
て仕上焼鈍を行ったところ、界面の平滑化は達成できる
が、脱窒素が早く、二次再結晶が不安定になることが分
かった。特に、磁気特性の良い(鉄損の低い)材料の製
造をめざして板厚の薄い材料とした場合、界面の影響が
強いので二次再結晶を発現させることが困難であった。
このような場合に温度勾配下で焼鈍すると、二次再結晶
が安定化し、例えば従来製造されていない0.125m
m厚の薄い材料までも二次再結晶させることが可能であ
ることを見出した。重量で、Si:3.3%、Mn:
0.14%、C:0.05%、S:0.007%、酸可
溶性Al:0.028%、N:0.008%を含み、残
部はFeおよび不可避的不純物からなる珪素鋼スラブを
1150℃で加熱した後、板厚1.6mmに熱延した。
この熱延板を1100℃で2分間焼鈍した後最終板厚
0.125mmに冷延した。この冷延板を湿潤ガス中
で、脱炭を兼ねて850℃で70秒間焼鈍し、一次再結
晶させた。
剤を静電塗布した後、仕上焼鈍を施した。仕上焼鈍は、
1200℃まではN2 :50%+H2 50%の雰囲気ガ
ス中で15℃/hrの昇温速度で行い、一部は(A)温
度勾配なし、一部は(B)温度勾配2℃/cmを付与し
た。その後、1200℃でH2 :100%に切りかえ、
20時間純化焼鈍を行った。
処理とレーザー照射による磁区細分化処理を行った後の
磁気特性を表1に示す。
次再結晶が不完全になることが分かる。また、温度勾配
下で焼鈍することにより磁束密度が高く、従来にない低
鉄損値が得られることが分かる。このように温度勾配下
で焼鈍することにより二次再結晶が安定するのは、本発
明のように一次再結晶の酸化層を除去した場合、従来の
ように表面に厚いフォルステライト被膜が形成されない
ので、図1に示すように温度勾配下で焼鈍すると二次再
結晶が発現する温度が低下して、実質的にインヒビター
の強い状態で二次再結晶が行われるからであると考えら
れる。
再結晶温度を低下させ、インヒビターの強い状態で二次
再結晶を行わせるために、従来にない板厚の薄い材料ま
でも二次再結晶が安定化するわけである。図1にインヒ
ビター(窒素量で示す)の仕上焼鈍中の変化挙動および
各試料の二次再結晶温度を示す。温度勾配焼鈍を施すこ
とは、二次再結晶温度を低下させ、インヒビターの強い
状態で二次再結晶を行わせることに相当することが分か
る。
成分としては、重量でSi:0.8〜4.8%、酸可溶
性Al:0.012〜0.050%、N≦0.01%、
残部Feおよび不可避的不純物であり、これらを必須成
分として、それ以外は特に限定しない。Siは電気抵抗
を高め、鉄損を下げる上で重要な元素である。含有量が
4.8%を超えると、冷間圧延時に材料が割れ易くな
り、圧延不可能となる。一方、Si量を下げると仕上焼
鈍時にα→γ変態を生じ、結晶の方向性が損なわれるの
で、実質的に結晶の方向性に影響を及ぼさない0.8%
を下限とする。
(Al、Si)Nとしてインヒビターとして機能するた
めに必須の元素である。磁束密度が高くなる0.012
〜0.050%を限定範囲とする。Nは製鋼時に0.0
1%を超えて添加するとブリスターとよばれる鋼板中の
空孔を生じるので0.01%を上限とする。
S、Se、B、Bi、Pb、Sn、Ti等を添加するこ
ともできる。上記成分の溶鋼は、通常の工程により熱延
板とされるか、もしくは溶鋼を連続鋳造して薄帯とす
る。前記熱延板または連続鋳造薄帯は、直ちに、もしく
は短時間焼鈍を経て冷間圧延される。
30秒〜30分間行われ、この焼鈍は製品の磁気特性を
高めるために有効である。望む製品の特性レベルとコス
トを勘案して採否を決めるとよい。冷間圧延は、基本的
には特公昭40−15644号公報に開示されているよ
うに、最終冷延圧化率80%以上とすれば良い。
炭素を除去するために、必要に応じて湿水素雰囲気中
で、750〜900℃の温度域で一次再結晶焼鈍させ
る。この一次再結晶板の表面酸化層を除去することが本
発明の1つの構成要件である。この一次酸化層を除去す
る方法はどのような方法でも良く、酸洗によるもの、機
械的研磨によるもの等が考えられる。
層するための焼鈍分離剤として、MgOをスラリー状で
塗布するか、あるいは望ましくは静電塗布する。この焼
鈍分離剤を塗布するに先だって、必要に応じて窒化処理
を行いインヒビターを強くすることも、二次再結晶を安
定に行わせる上で有効である。窒化処理の方法について
は特に限定するものではなく、アンモニア等の窒化能の
ある雰囲気ガス中で行う方法等がある。量的には0.0
05%以上、望ましくは鋼中のAl当量以上窒化すれば
良い。
晶と窒化物の純化を行う。その際に二次再結晶が行われ
る900〜1100℃の温度域で温度勾配を付与し、二
次再結晶が発現する温度を下げ、二次再結晶を安定的に
行わせることが本発明のもう一つの特徴である。二次再
結晶完了後、窒化物の純化と表面の平滑化を行うために
100%水素で1100℃以上の温度で焼鈍する。
ので、張力コーティング処理を行い、必要に応じてレー
ザー照射等の磁区細分化処理を施せば良い。
07%、S:0.025%、酸可溶性Al:0.028
%、N:0.008%を含み、残部はFeおよび不可避
的不純物からなる珪素鋼スラブを板厚2.0mmに熱延
した。この熱延板を1100℃で2分間焼鈍した後、冷
延して最終板厚0.23mmとした。この冷延板を湿潤
ガス中で、脱炭を兼ねて850℃で120秒間焼鈍し一
次再結晶させた。
除去した後、マグネシアをスラリー状で塗布し、積層し
た後、仕上焼鈍を施した。仕上焼鈍はN2 :100%の
雰囲気ガス中で、温度勾配5℃/cm、昇温速度15℃
/hrで1200℃まで昇温し、1200℃でH2 :1
00%に切りかえ10時間純化焼鈍を行った。
した後、レーザー照射して磁区細分化した。得られた製
品の磁気特性を表2に示す。
05%、S:0.007%、酸可溶性Al:0.028
%、N:0.008%を含み、残部はFeおよび不可避
的不純物からなる珪素鋼スラブを板厚1.6mmに熱延
した。この熱延板を1100℃で2分間焼鈍した後、冷
延して最終板厚0.125mmとした。この冷延板を湿
潤ガス中で、脱炭を兼ねて850℃で120秒間焼鈍
し、一次再結晶させた。
去し、(1)一部はMgOをスラリー状で塗布し、
(2)一部は静電塗布して積層した。仕上焼鈍はN2 :
100%の雰囲気ガス中で、(A)温度勾配5℃/c
m、昇温速度15℃/hr、(B)温度勾配なし、昇温
速度15℃/hrで1200℃まで昇温し、1200℃
でH2 :100%に切りかえ、10時間純化焼鈍を行っ
た。
した後、レーザー照射して磁区細分化した。得られた製
品の磁気特性を表3に示す。
性を劣化させる要因である鋼板表面の凸凹を平滑化し、
同時に二次再結晶による方位制御を充分に達成すること
により、従来にない鉄損の低い一方向性珪素鋼板を製造
することができる。
晶温度を示すものである。
Claims (2)
- 【請求項1】 重量で、Si:0.8〜4.8%、酸可
溶性Al:0.012〜0.050%、N≦0.01
%、残部Feおよび不可避的不純物からなる珪素鋼の熱
延板または連続鋳造薄帯をそのまま、あるいは焼鈍した
後、一回もしくは中間焼鈍をはさむ二回以上の冷間圧延
により所定の板厚とし、一次再結晶焼鈍・仕上焼鈍を行
う一方向性珪素鋼板の製造方法において、仕上焼鈍前の
一次再結晶板を積層する際に、一次再結晶板の表面酸化
層を除去し、ついでMgOを主体とする焼鈍分離剤を水
スラリーで塗布し、仕上焼鈍において少なくとも900
〜1100℃の温度域で2℃/cm以上の温度勾配を与
えることにより、表面を平滑化することを特徴とする高
い磁束密度が安定して得られる超低鉄損一方向性珪素鋼
板の製造方法。 - 【請求項2】 重量で、Si:0.8〜4.8%、酸可
溶性Al:0.012〜0.050%、N≦0.01
%、残部Feおよび不可避的不純物からなる珪素鋼の熱
延板または連続鋳造薄帯をそのまま、あるいは焼鈍した
後、一回もしくは中間焼鈍をはさむ二回以上の冷間圧延
により所定の板厚とし、一次再結晶焼鈍・仕上焼鈍を行
う一方向性珪素鋼板の製造方法において、仕上焼鈍前の
一次再結晶板を積層する際に、一次再結晶板の表面酸化
層を除去し、ついでMgOを主体とする焼鈍分離剤を静
電塗布し、仕上焼鈍において少なくとも900〜110
0℃の温度域で2℃/cm以上の温度勾配を与えること
により、表面を平滑化することを特徴とする高い磁束密
度が安定して得られる超低鉄損一方向性珪素鋼板の製造
方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP11779492A JP3182666B2 (ja) | 1992-05-11 | 1992-05-11 | 超低鉄損一方向性珪素鋼板の製造方法 |
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Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH05311242A JPH05311242A (ja) | 1993-11-22 |
JP3182666B2 true JP3182666B2 (ja) | 2001-07-03 |
Family
ID=14720459
Family Applications (1)
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JP11779492A Expired - Lifetime JP3182666B2 (ja) | 1992-05-11 | 1992-05-11 | 超低鉄損一方向性珪素鋼板の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP3182666B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR102682022B1 (ko) * | 2018-08-07 | 2024-07-08 | 가부시키가이샤 니토무즈 | 청소구 |
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WO2024154774A1 (ja) * | 2023-01-18 | 2024-07-25 | 日本製鉄株式会社 | 方向性電磁鋼板の製造方法 |
WO2024154772A1 (ja) * | 2023-01-18 | 2024-07-25 | 日本製鉄株式会社 | 方向性電磁鋼板の製造方法 |
-
1992
- 1992-05-11 JP JP11779492A patent/JP3182666B2/ja not_active Expired - Lifetime
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