JP2653636B2 - 高磁束密度方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents
高磁束密度方向性電磁鋼板の製造方法Info
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Description
電気機器等の鉄心として利用される{110}〈00
1〉もしくは{100}〈001〉方位集積を高度に発
達させたいわゆる方向性電磁鋼板(一方向性、二方向
性)の製造方法に関するものである。
0}〈001〉もしくは{100}〈001〉方位に集
積した結晶粒から構成された、Siを0.8〜6.8%
(通常は約3%)含有する鋼板である。この鋼板はその
磁気特性として励磁特性と鉄損特性が優れていることが
要求される。その要求特性を満たすためには、結晶粒の
方位を高度に揃えることが重要で、通常はその集積度を
800A/mの磁場で励磁した場合の磁束密度(B
8 値)で示している。この{110}〈001〉もしく
は{100}〈001〉方位への結晶方位制御は二次再
結晶と呼ばれるカタストロフィックな粒成長現象を利用
して達成される。二次再結晶を制御するためには二次再
結晶前の一次再結晶組織の調整とインヒビターと呼ばれ
る微細析出物もしくは粒界偏析型の元素の調整が必須の
ものである。
& D. Turnbull: Trans. Met. Soc.AIME212(1958) p76
9)、AlN(田口,坂倉:特公昭40−15644号
公報)、(Al,Si)N(小松等:特公昭62−45
285号公報)等が有効であることが提示されている。
粒界偏析型の元素としては、斎藤はPb,Sb,Nb,
Ag,Te等が有効であることを提示(日本金属学会誌
27(1963) p186, p191)しているが、工業的には析出物型
インヒビターの補助的なものとして使用されているにす
ぎない。このインヒビターは一次再結晶組織の中で{1
10}〈001〉もしくは{100}〈001〉方位粒
以外の結晶粒の成長を抑制し、これらの方位を優先的に
成長させる機能を持つ。
能を発揮するうえで必要な条件は次のように考えられ
る。(1)二次再結晶前に一次再結晶粒の粒成長を抑制
するのに充分な量の微細析出物となること。(2)二次
再結晶焼鈍時に急激な熱的変化を起こさないこと。現
在、代表的な一方向性電磁鋼板の製造方法としては4種
類ある。第1の技術は、M.F.Littmann等に
より特公昭30−3651号公報に開示されたMnSを
用いた二回冷延法によるもの、第2の技術は田口,坂倉
により特公昭40−15644号公報に開示されたAl
N+MnSを用いる一回冷延法によるもの、第3の技術
は今中等により特公昭51−13469号公報に開示さ
れたMnS(またはMnSe)+Sbを用いた二回冷延
法によるもの、そして第4の技術は小松等により特公昭
62−45285号公報に開示された(Al,Si)N
を用いた一回冷延法のものである。
法としては2種類ある。第1の技術は特公昭35−26
57号公報に開示されたAlN+MnSを用いるクロス
冷延法によるもの、第2の方法は特開平2−14153
1号公報に開示された(Al,Si)Nを用いたクロス
冷延法によるものである。これらの技術は、インヒビタ
ーの観点からは(1)熱延工程での高温スラブ加熱及び
(2)窒化処理による析出物作り込みを基本技術にする
ものに分類される。
の方法で形成した微細析出物は、実際の仕上げ焼鈍中の
二次再結晶発現までにコイルの部位によっては大きく変
化してしまい、二次再結晶不良あるいは磁性不良を完全
に解消するに至っていない。本発明の目的は、かかる問
題を回避し、工業的に安定して磁気特性の優れた方向性
電磁鋼板の製造方法を提供することである。
を解決するための検討を行い、仕上げ焼鈍におけるイン
ヒビターの変質を抑制することが重要であるとの結論を
得た。この結果を基に実験を行い、具体的な条件として
インヒビターとして窒化物を用い、その窒化物を仕上げ
焼鈍時の雰囲気ガスの窒素分圧を1気圧以上に高めるこ
とによりインヒビターひいては二次再結晶を安定化させ
ることができることを見出した。
3.3%、Mn:0.14%、C:0.05%、S:
0.007%、酸可溶性Al:0.028%、N:0.
008%の珪素鋼スラブを1150℃で加熱した後、板
厚1.6mmに熱延した。この熱延板を1100℃で2分
間焼鈍した後最終板厚0.15mmに冷延した。この冷延
板を湿潤ガス中で脱炭を兼ね830℃で70秒焼鈍し一
次再結晶させた。その後、アンモニア窒化により窒素量
を0.02%まで高めインヒビターを強化した。この脱
炭焼鈍板に焼鈍分離剤を塗布した後、仕上げ焼鈍を施し
た。
昇温し、1100℃で15時間保持して二次再結晶させ
た。この二次再結晶焼鈍の雰囲気ガスは(1)N2 +H
2 混合ガス、1気圧中でN2 :0〜100%または、
(2)N2 ガス:1〜2気圧で行い、窒素分圧の影響を
調べた。その後、H2 :100%に切り替え1200℃
で20時間純化焼鈍を行った。これらの試料の磁気特性
を図1に示す。
とすることにより磁束密度(B8 )のばらつきが低減
し、高磁束密度の製品が安定して製造できることがわか
る。これは、窒素分圧が低い場合には窒化物は基本的に
は分解し、界面の酸化物皮膜のばらつきにより窒素の透
過能に差が生じ、窒化物の安定性が異なるためであると
考えられる。このような仕上げ焼鈍時のインヒビター量
のばらつきが、二次再結晶を不安定にしていると考えら
れる。
法としては、一方向性電磁鋼板としては、例えば特公昭
40−15644号公報、また二方向性電磁鋼板として
は例えば特公昭62−45285号公報を適用すればよ
い。Siは電気抵抗を高め、鉄損を下げる上で重要な元
素である。含有量が4.8%を超えると、冷間圧延時に
材料が割れ易くなり温間圧延を行う必要が生じる。磁気
特性改善効果が急激に薄れてしまう6.8%を上限とす
る。一方、Si量を下げると仕上げ焼鈍時にα→γ変態
を生じ、結晶の方向性が損なわれるので、実質的に結晶
の方向性に影響を及ぼさない0.8%を下限とする。
Nb,Zr,Ta,Crが有効である。これらの元素を
2種または複数複合添加しても有効である。特にAlは
Nと結合してAlNまたは(Al,Si)Nとしてイン
ヒビターとして機能する有効な元素である。Nは製鋼時
に0.01%以上添加するとブリスターと呼ばれる鋼板
中の空孔を生じるので0.01%を上限とする。インヒ
ビターとして一次再結晶粒成長を抑制するためには、一
次再結晶後に窒化させ0.01%以上としておく必要が
ある。インヒビター構成元素として、粒界偏析元素であ
るSn,Sb,Bi,Se,Pb,S等を補助的に添加
することもできる。
板とされるか、もしくは溶鋼を連続鋳造して薄帯とす
る。前記熱延板または連続鋳造薄帯はただちに、もしく
は短時間焼鈍を経て冷間圧延される。上記焼鈍は750
〜1200℃の温度域で30秒〜30分間行われ、この
焼鈍は製品の磁気特性を高めるために有効である。望む
製品の特性レベルとコストを勘案して採否を決めるとよ
い。
最終冷延圧化率80%以上、二方向性電磁鋼板に対して
は40〜80%及び30〜70%のクロス冷延を施せば
よい。冷間圧延後の材料は、鋼中に含まれる炭素除去を
合わせた750〜900℃の温度域での一次再結晶焼鈍
を行う。この一次再結晶焼鈍板にインヒビターとして窒
化物を形成させるために窒化処理を施す。この窒化処理
の方法は特に限定するものではなく、アンモニア等の窒
化能のある雰囲気ガス中で焼鈍する方法、または仕上げ
焼鈍中に行う方法等がある。量的には0.005%以
上、望ましくは全窒素量として鋼中の窒化物当量以上窒
化すればよい。
塗布し、仕上げ焼鈍を施す。仕上げ焼鈍において一方向
性電磁鋼板に対しては特開平2−258929号公報、
また二方向性電磁鋼板に対しては特開平2−14153
1号公報に開示されるように二次再結晶温度を制御する
ことは有効である。この際、インヒビターである窒化物
を雰囲気ガスの窒素分圧により安定化させることが本発
明のポイントである。この雰囲気ガスとしては、窒素単
体もしくは水素及びアルゴン等の不活性ガスの混合ガス
を使用すればよい。この窒素分圧制御は窒化物の変化が
起こる温度域で行えばよい。二次再結晶完了後、窒化物
の純化を行うために100%水素で1100℃以上の温
度で焼鈍する。仕上げ焼鈍後、張力コーティング処理を
行い、必要に応じてレーザー照射等の磁区細分化処理を
施せばよい。
05%、S:0.007%、酸可溶性Al:0.028
%、N:0.008%の珪素鋼スラブを1150℃で加
熱した後、板厚1.6mmに熱延した。この熱延板を11
00℃で2分間焼鈍した後最終板厚0.15mmに冷延し
た。この冷延板を湿潤ガス中で脱炭を兼ね830℃で7
0秒焼鈍し一次再結晶させた。その後、アンモニア窒化
により窒素量を0.016〜0.039%まで高めイン
ヒビターを強化した。
後、仕上げ焼鈍を施した。仕上げ焼鈍は1000℃まで
50℃/hrで昇温し、1000〜1100℃まで5℃/
hrで徐加熱し二次再結晶させた。雰囲気ガスはN2 :
1.5気圧である。その後、雰囲気ガスをH2 に切り替
え1200℃で20時間純化焼鈍を行った。得られた製
品の磁気特性を表1に示す。窒化量0.016〜0.0
39%の広い範囲で磁束密度B8 は高位安定である。
5%、S:0.007%、酸可溶性Al:0.03%、
N:0.008%、Sn:0.05%の板厚1.8mm珪
素鋼熱延板を酸洗後1.4mmに冷延した。次いで、11
00℃で2分間焼鈍した後最終板厚0.14mmに冷延し
た。この冷延板を湿潤雰囲気ガス中で脱炭を兼ね820
℃で焼鈍し一次再結晶させた。その後、アンモニア窒化
により窒素量を0.025%まで高めインヒビターを強
化した。
仕上げ焼鈍を施した。仕上げ焼鈍は1050℃までは
(1)N2 :2気圧及び(2)N2 :15%+H2 :8
5%の雰囲気ガス中で昇温し、1050℃で20時間保
持し二次再結晶させた。その後、雰囲気ガスをH2 に切
り替え1200℃で20時間焼鈍を行った。これらの試
料を張力コーティング処理を施した後、レーザー照射し
て磁区細分化した。得られた製品の磁気特性を表2に示
す。二次再結晶時の窒素分圧を高めることにより、高磁
束密度低鉄損の製品を製造することができた。
分間焼鈍した後最終板厚0.23mmに冷延した。この冷
延板を湿潤雰囲気ガス中で830℃で焼鈍し一次再結晶
させた。その後、アンモニア窒化により窒素量を0.0
2〜0.04%まで高めインヒビターを強化した。本試
料に焼鈍分離剤を塗布し、仕上げ焼鈍を施した。仕上げ
焼鈍は1200℃まで1.3気圧の窒素ガス中で15℃
/hrの昇温速度で昇温し二次再結晶させた。その後、1
気圧の水素ガスに切り替え1200℃で20時間純化焼
鈍を行った。得られた製品の磁気特性を表4に示す。窒
化物形成元素であるTi,Vを添加することにより二次
再結晶が安定し、磁束密度B8 が高くなることがわか
る。
05%、S:0.007%、酸可溶性Al:0.028
%、N:0.008%の珪素鋼スラブを1150℃で加
熱した後、板厚2.0mmに熱延した。この熱延板を11
00℃で2分間焼鈍した後、熱延方向に圧下率50%、
次いで直交方向に圧下率50%のクロス冷延を施し最終
板厚0.25mmに冷延した。この冷延板を湿潤ガス中で
脱炭を兼ね810℃で90秒焼鈍し一次再結晶させた。
その後、アンモニア窒化により窒素量を0.018%ま
で高めインヒビターを強化した。
後、仕上げ焼鈍を施した。仕上げ焼鈍は1050℃まで
昇温し、1050℃で20時間焼鈍し二次再結晶させ
た。雰囲気ガスはN2 :1.5気圧である。その後、雰
囲気ガスをH2 に切り替え1200℃で20時間純化焼
鈍を行った。得られた製品の磁気特性を表5に示す。二
方向性電磁鋼板においても、本発明法により磁束密度の
高い製品が得られた。
ターを安定化させ工業的規模で高磁束密度の方向性電磁
鋼板を安定して製造することができる。
品の磁気特性(磁束密度:B8)の関係を示す図表であ
る。
Claims (3)
- 【請求項1】 重量でSi:0.8〜6.8%を含有
し、インヒビターとして窒化物を用いる方向性珪素鋼板
の製造方法において、仕上げ焼鈍における二次再結晶焼
鈍と純化焼鈍の各段階の雰囲気ガスを (1)二次再結晶焼鈍では、窒素分圧を1気圧以上とす
ること (2)純化焼鈍では、100%水素ガスとすること を特徴とする高磁束密度方向性電磁鋼板の製造方法。 - 【請求項2】 窒化物形成元素として、Al,Ti,
V,Nb,Zr,Ta,Crの1種または2種以上を用
いる請求項1記載の方法。 - 【請求項3】 一次再結晶焼鈍後に窒化処理を施す請求
項1または2記載の方法。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP6067059A JP2653636B2 (ja) | 1994-04-05 | 1994-04-05 | 高磁束密度方向性電磁鋼板の製造方法 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JPH07278674A JPH07278674A (ja) | 1995-10-24 |
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP6067059A Expired - Fee Related JP2653636B2 (ja) | 1994-04-05 | 1994-04-05 | 高磁束密度方向性電磁鋼板の製造方法 |
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