JP2706020B2 - 方向性珪素鋼板の製造方法 - Google Patents

方向性珪素鋼板の製造方法

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JP2706020B2
JP2706020B2 JP4209221A JP20922192A JP2706020B2 JP 2706020 B2 JP2706020 B2 JP 2706020B2 JP 4209221 A JP4209221 A JP 4209221A JP 20922192 A JP20922192 A JP 20922192A JP 2706020 B2 JP2706020 B2 JP 2706020B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁束密度が高く鉄損が
極めて低い方向性珪素鋼板(以下方向性電磁鋼板と云
う)の製造方法に関するものである。特に、二次再結晶
工程(仕上げ焼鈍工程)で、その鋼板表面にフォルステ
ライト(以下、グラスと云う)被膜を形成させないかあ
るいは、サーマルエッチングにより鋼板表面を鏡面とし
た状態で同工程を完了させ、その後、磁区細分化、張力
コーティング等の処理を行い、鉄損特性の改善を図ろう
とするものである。
【0002】
【従来の技術】方向性電磁鋼板は、電気機器の磁気鉄芯
として多用され、エネルギーロスを少なくすべく、改善
が繰り返されてきた。方向性電磁鋼板の鉄損を低減する
手段として、仕上げ焼鈍後の材料表面にレーザービーム
を照射し、局部歪を与え、それによって磁区を細分化し
て鉄損を低下させる方法が、例えば特開昭58−264
05号公報に開示されている。
【0003】また局部歪は、通常行われる加工後の応力
除去焼鈍(歪取り焼鈍)によって除去されるので、磁区
細分化効果が消失する。この改善策、即ち応力除去焼鈍
しても磁区細分化効果が消失しない手段が、例えば、特
開昭62−8617号公報に開示されている。
【0004】さらに鉄損値の低減を図るためには、鋼板
表面近傍の磁区の動きを阻害する地鉄表面の凹凸を取り
除くこと(平滑化)が重要である。平滑化の最も高いレ
ベルが鏡面である。仕上げ焼鈍後の材料表面を平滑化
(鏡面化)する方法としては、特開昭64−83620
号公報に開示されている化学研磨、電解研磨等がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来、鋼板表面を鏡面
化(平滑化)する方法としては、化学研磨、電解研磨の
他にブラシ研磨、サンドペーパー研磨、研削等の化学的
あるいは物理的方法がある。しかしながら、これらの方
法は、小試片、少量の試料を作るには適するが、工業的
に多量生産される金属ストリップ等の表面鏡面化(平滑
化)のためには、諸々の困難を伴う。
【0006】最も平滑化できるとされる化学的方法、即
ち、化学研磨においては、薬剤濃度管理、排水処理等の
環境問題、また物理的方法においては、工業的に大きな
面積を持つ表面を同一基準で平滑化(鏡面化)すること
は、極めて困難である。
【0007】本発明は、これらの問題を排して、工業的
生産規模で方向性電磁鋼板の表面を鏡面化あるいは平滑
化する方法を提供することを目的とする。当然ながら鏡
面化あるいは平滑化のために、磁気特性が失われてはな
らない。本発明においては、仕上げ焼鈍工程で同時に目
的を達成しようとするものである。即ち、二次再結晶の
方位を制御し、極度に高い磁束密度を得、かつ鏡面ある
いは平滑表面を得ようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の特徴とするとこ
ろは、仕上げ焼鈍時に鏡面あるいは平滑表面を得るとこ
ろにある。即ち、通常行われているMgOを主体とする
焼鈍分離剤を用いずに、Al2 3 を主体とするSiO
2 と反応しにくい物質を焼鈍分離剤として用いて、仕上
げ焼鈍し、高い磁束密度の方向性電磁鋼板を得ると同時
に鋼板の表面にグラス(フォルステライト)被膜を形成
させずに、金属表面を露出させた状態で二次再結晶さ
せ、同時に、サーマルエッチングにより金属表面を鏡面
あるいは平滑化することを特徴とする。
【0009】ここで、サーマルエッチングとは、鋼板の
地鉄を露出させ、鋼板(地鉄)表面に地鉄と反応するも
のが存在しない状態にしておいて還元性雰囲気中、二次
再結晶が発現する温度以上の温度に鋼板を加熱し鋼板表
面を鏡面とする処理をいう。本発明は、Si:2.0〜
4.8重量%、酸可溶性Al:0.008〜0.05重
量%、N≦0.010重量%、残部Feおよび不可避的
不純物からなる珪素熱延鋼帯を必要に応じて焼鈍した
後、1回または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延を行
い、所定の板厚とし、次いで一次再結晶焼鈍を行った後
焼鈍分離剤を塗布し、仕上げ焼鈍を施す方向性珪素鋼板
の製造において、一次再結晶焼鈍後、平均粒径が0.5
〜10.0μmからなるAl2 3 (アルミナ)を主成
分とする焼鈍分離剤を塗布し、仕上げ焼鈍雰囲気を中性
あるいは、還元性雰囲気とし、昇温速度を50℃/Hr以
上で920〜1150℃まで昇温し、該温度で5時間以
上保持することである。
【0010】ここで、一次再結晶焼鈍後、該焼鈍工程で
生ずる鋼板表面の酸化膜を除去し、次いで平均粒径が
0.5〜10.0μmからなるAl2 3 (アルミナ)
を主成分とする焼鈍分離剤を塗布し、仕上げ焼鈍雰囲気
を中性あるいは、還元性雰囲気とし、昇温速度を50℃
/Hr以上で920〜1150℃まで昇温し、該温度で5
時間以上保持するものである。
【0011】さらに本発明は一次再結晶焼鈍後、アンモ
ニアによる窒化処理を行い、インヒビターを強化して、
しかる後、平均粒径が0.5〜10.0μmからなるA
23 (アルミナ)を主成分とする焼鈍分離剤を塗布
し、仕上げ焼鈍雰囲気を中性あるいは還元性雰囲気と
し、昇温速度を50℃/Hr以上で920〜1150℃ま
で昇温し、該温度で5時間以上保持するものである。
【0012】さらに本発明は一次再結晶焼鈍後、アンモ
ニアによる窒化処理を行い、しかる後、一次再結晶焼鈍
工程で生じる鋼板表面の酸化膜を除去し、平均粒径が
0.5〜10.0μmからなるAl2 3 (アルミナ)
を主成分とする焼鈍分離剤を塗布し、仕上げ焼鈍雰囲気
を中性あるいは、還元性雰囲気とし、昇温速度を50℃
/Hr以上で920〜1150℃まで昇温し、該温度で5
時間以上保持することができる。
【0013】また鋼板表面の酸化膜を除去する方法を酸
洗とし、特にフッ酸を混入した酸で酸洗すること、また
焼鈍分離剤の塗布はアルミナの平均粒径を0.5〜1
0.0μmとすることで、通常のMgOを主体とする水
スラリーと同様に、水スラリー塗布とすることができ
る。
【0014】さらに高磁束密度を狙う場合には、920
℃〜1150℃の保持完了まで仕上げ焼鈍雰囲気を窒
素:5%以上とすること、仕上げ焼鈍雰囲気を中性ある
いは、還元性雰囲気とし、昇温速度を50℃/Hr以上で
920〜1150℃まで昇温し、昇温中あるいは該温度
に到達時、雰囲気のN2 %を以前のN2 %より高くし
て、該温度で5時間以上保持することができる。
【0015】以下、本発明について詳細に説明する。本
発明者等は、仕上げ焼鈍中のインヒビター劣化の律速過
程を詳しく調査したところ、熱延鋼板成分にAlを含む
場合には鋼板界面におけるAlの酸化過程が最大の因子
であり、一次再結晶焼鈍時生ずる鋼板表面の酸化層がイ
ンヒビターの劣化に大きく関与していることを見出し
た。
【0016】Si:3.3重量%、酸可溶性Al:0.
028重量%、N:0.008重量%、Mn:0.14
重量%、S:0.007重量%、C:0.05重量%、
残部Feおよび不可避的不純物からなる珪素熱延鋼帯を
1100℃で2分間焼鈍した後、冷間圧延し、0.23
mm厚とした。これらの冷延板を、脱炭を兼ねるために湿
水雰囲気とした焼鈍炉で800℃で2分間焼鈍し、一次
再結晶させた。
【0017】次に二次再結晶を安定化させるためにアン
モニア雰囲気中で窒化処理を行い、全窒素量を180pp
m とし、インヒビターを強化した。
【0018】その後、そのまま、および0.5%フ
ッ酸−5%硫酸混合溶液で酸洗した2種の材料にAl2
3 を静電塗布し、100%H2 雰囲気で、15℃/Hr
の昇温速度を保ちながら仕上げ焼鈍を行った。
【0019】仕上げ焼鈍中のインヒビター(AlN,
(Al,Si)N等)を調べたところ、図1に示すよう
に、一次再結晶焼鈍時鋼板表面に生ずる酸化層を有する
の材料は、酸化層のないの材料に比べて、インヒビ
ター強度が早く劣化することが分かった。
【0020】即ち、一次再結晶焼鈍時鋼板表面に生ずる
酸化層を除去すれば、高温まで強いインヒビター強度が
保持できるのである。
【0021】鋼板中の酸可溶性Alは、仕上げ焼鈍中で
SiO2 を主体とする酸化層から酸素を取りAl2 3
等となって酸化層中に析出する。従って鋼板中の酸可溶
性Alは、減少していく。
【0022】なお、図1では、インヒビター強度として
鋼中酸可溶性Al濃度を示したが、Alは、AlN,
(Al,Si)N等の化合物(析出物)を形成して、イ
ンヒビターとなっているので、酸可溶性Al量がインヒ
ビター強度を示す指標と考えてよい。
【0023】さらに、本発明者等は、インヒビター劣化
の律速過程を詳しく調査したところ、前記の鋼板界面に
おけるAlの酸化以外に鋼中窒素および焼鈍雰囲気中の
窒素量にも影響されることが分かった。なお、焼鈍雰囲
気中の窒素量は鋼板界面を通して鋼中の窒素量を増加さ
せているものであり、その効果は、当初から鋼中に入っ
ている窒素と同じである。
【0024】鋼中窒素および焼鈍雰囲気中の窒素は、A
lN等の析出物を増加させてAlを固定しAlの鋼板界
面への移動を少なくするために、Alの酸化が抑制され
るのである。従って、仕上げ焼鈍中の鋼中酸可溶性Al
量は、窒素分圧の高い方が、劣化は少なく、高温までイ
ンヒビターは強い。
【0025】本発明の主旨とするところの一つである高
い磁束密度を得るためには、インヒビターは、強い方が
よいのであるが、強く一定に維持されることが望まし
い。これは、二次再結晶開始から終了まで方位のよい結
晶(GOSS粒)のみを成長させるためであり、二次再
結晶開始から終了までにインヒビターが弱体化すると方
位の悪い粒まで成長し、製品鋼板の磁束密度が下がる。
【0026】インヒビターであるAlNの溶解度は、当
然ながら鋼板温度の上昇と共に大きくなり、必然的にイ
ンヒビターは劣化する。この方策として、温度が上昇す
るに従い窒素の分圧を上げて鋼板中の窒素量を増やし、
析出物としてのAlNを一定に維持することが望まし
い。
【0027】しかしながら本発明の主旨とするところの
一つである鏡面を得るには、窒素分圧があまり高くなり
過ぎてはいけない。インヒビターを一定の強さで二次再
結晶させるという観点からすると、AlNの溶解度が変
化しない、即ちインヒビター強度が変わらない一定温度
での二次再結晶は、極めて有効である。
【0028】前記するように、AlNの溶解度は、一定
温度に保持すれば変わらないが、酸可溶性Alは雰囲気
中の酸素あるいは、鋼板表面のAlより酸素親和性の小
さい元素の酸化物より酸素をとり、Al2 3 となって
減少してゆき、インヒビターは劣化する。従って、この
場合も、窒素分圧を上げてAlNの溶解を抑え、酸可溶
性Alの減少を抑制しなければならない。
【0029】仕上げ焼鈍における二次再結晶可能な温度
までの昇温速度は、高速であればあるほどインヒビター
の劣化が少なく好都合であった。昇温速度15℃/Hr未
満では、インヒビターの劣化が著しく二次再結晶時に必
要なインヒビターが確保されず、十分な二次再結晶が得
られず鋼板の磁束密度(B8 )は、低目であった。本発
明の主旨の一つである高い磁束密度を得るという点で
は、50℃/Hr以上の昇温速度が必要であった。
【0030】二次再結晶させるために一定の温度で保持
することは、高い磁束密度を得るためには有効である。
これは、インヒビターの劣化を防止して適度なインヒビ
ター強度で二次再結晶させるものである。この温度は、
920℃未満では、二次再結晶完了までの時間が長くな
り過ぎて実用的でなくなる。また、1150℃超では、
インヒビター劣化が著しくなり過ぎて、二次再結晶完了
まで必要なインヒビターを確保できない。
【0031】二次再結晶させるための保持時間は5時間
以上必要で、これより短い時間では保持時間内に完了し
ない。該保持温度に到達したとき、あるいは、温度の上
昇に伴い、前記するようにインヒビターの劣化を抑え、
インヒビター強度を一定にするために窒素分圧を昇温時
より高くする。ただし、窒素分圧は、高くすれば、高い
ほどよいというものではない。
【0032】あまり高くするとインヒビターが強くなり
過ぎて二次再結晶完了までに時間がかかり過ぎること
や、二次再結晶しない等の不都合を生ずる。昇温時の窒
素分圧にリンクして、該温度保持時の窒素分圧を上げな
ければならない。なお、二次再結晶完了後、純化および
鋼板表面の鏡面化を完全にするために水素濃度を上げ、
1200℃付近で数時間保持することは、極めて有効で
ある。
【0033】本発明における鋼成分は、Si:2.0〜
4.8重量%、酸可溶性Al:0.008〜0.05重
量%、N≦0.010重量%、残部Feおよび不可避的
不純物からなる。その他インヒビター構成元素として、
Mn,S,Se,Sb,P,B,Sn,Bi,Nb,T
i,Mo,Cu等の1種あるいは2種以上が添加しても
差し障りない。
【0034】Siは、電気抵抗を高め鉄損を下げるうえ
で重要であるが、4.8%超では、冷間圧延時に割れ易
くなる。一方、2.0%未満では、電気抵抗が低く鉄損
を下げるうえで問題がある。
【0035】次にインヒビター構成元素について述べ
る。酸可溶性Alは、インヒビター構成元素として重要
であり、窒素、珪素等と化合して、AlN,(Al,S
i)N等の析出物を作りインヒビターの役割を果たす。
インヒビター強度の面、即ち、磁束密度が高くなる範囲
として、0.008〜0.05重量%である。
【0036】窒素は、0.010重量%超では、ブリス
ターと呼ばれる空孔を鋼板中に生ずるので、この範囲が
最適である。
【0037】その他インヒビター成分としてはMn:
0.03〜0.40重量%、S:0.01〜0.05重
量%、Se:0.01〜0.10重量%、Sb:0.0
1〜0.10重量%の範囲で添加してもよい。
【0038】さらにSn,Bi,Nb,Ti,P,M
o,Cu等がインヒビター構成あるいは、補助元素とし
て用いられる。なお、炭素は0.085重量%以下が望
ましい。
【0039】発明者等は焼鈍分離剤としてのアルミナ
(Al2 3 )の塗布方法について検討した。静電塗布
は仕上げ焼鈍炉内に水分を持ち込まない方法として優れ
ているが、通常用いられているMgOを主体とする焼鈍
分離剤の塗布方法に比べて、塗布装置の煩雑さ、設備
費、粉末飛散による作業環境の悪化等の不都合がある。
【0040】発明者等は、MgOを主体とする焼鈍分離
剤の塗布方法と同じ方法、即ち水スラリーで塗布するこ
とを検討し、アルミナの平均粒径がある範囲で、それが
可能であることを見いだした。
【0041】即ち、アルミナの平均粒径が0.5〜1
0.0μmの時に良好な結果が得られることが分かっ
た。0.5μm未満の粉末では、水スラリーとして有効
に塗布できるが、アルミナ自体が平均粒径が小さくなっ
ているため活性化しているので焼結して被膜を形成して
しまい、金属面を現さなくなる。
【0042】また、10.0μm超では、水スラリー
が不安定で、撹拌が止まると直ちに沈澱してしまい塗布
しにくい、粒子が粗いため鋼板表面にくい込んで、平
滑面が得られないだけでなく、磁気特性が劣化するとい
う問題を生じた。
【0043】この現象は水スラリーの場合だけでなく、
粉体塗布、例えば、前記する静電塗布の場合でも同じこ
とが起こる。
【0044】即ち、アルミナの平均粒径が小さい時は、
塗布し易いが、前記同様平均粒径0.5μm未満では、
焼結して被膜を形成してしまい、金属面を現さなくな
り、また、平均粒径10.0μm超では、塗布装置へ
の粉体の供給が難しく、塗布しにくいばかりでなく、粒
子の質量と帯電量の関係で付着しにくく、付着してもす
ぐに脱着してしまう、粒子が粗いため鋼板表面にくい
込んで、平滑面が得られないだけでなく、磁気特性が劣
化するという問題を生じた。
【0045】水スラリー塗布以外の塗布方法の場合もア
ルミナ(Al2 3 )の平均粒径は0.5〜10.0μ
mがよい。平均粒径と称しているのは、重量%が50%
通過する時の粒径である。なお、アルミナを主成分とす
る焼鈍分離剤に若干のCaO等のシリカと反応しにくい
物質、防錆剤等を添加しても差し障りない。
【0046】以下、実施条件について述べる。一次再結
晶焼鈍時、鋼板表面にできる酸化層は、仕上げ焼鈍時に
次の2つに影響する。即ち、前記するようにインヒビ
ター強度を弱め、十分な磁束密度が得られない、製品
の表面の平滑度が不十分で、磁気特性に悪影響を与え、
極限の磁気特性が出にくい。従って、究極の磁気特性を
得るためには、一次再結晶焼鈍時、鋼板表面にできる酸
化層を除去することが望ましい。
【0047】除去する方法としては、機械研磨、例え
ば、ブラシ研磨、サンドペーパー研磨、研削等があり、
本目的には有効であるが、工業上種々の困難を伴い、あ
まり実用的でない。本発明者等は、酸洗による方法が極
めて有効であることに気付いた。これは、熱延鋼帯ある
いは、鋼板等の連続酸洗ラインが既に実用化されている
からである。
【0048】また、酸洗液(酸洗溶液)としては、塩
酸、硫酸、硝酸等の鉱酸が有効であるが、鋼板表面にで
きる酸化層は、主にSiO2 を主体とした酸化物で有る
ために塩酸、硫酸、硝酸等の鉱酸だけでは酸洗しにく
い。これらの酸にフッ酸を混合すると極めて効率的、即
ち、高速で酸化層を除去することができる。
【0049】また、窒化物をインヒビターとする場合
は、一次再結晶焼鈍後から仕上げ焼鈍前にアンモニアに
より窒化処理を行い、インヒビターを強化することは有
効である。これは一次再結晶完了時のインヒビター強度
では、二次再結晶のためには不十分で、また仕上げ焼鈍
中の窒素分圧を上げてインヒビターを強化あるいは、劣
化防止しても二次再結晶時に十二分なインヒビターを確
保できない。
【0050】このため一般にアンモニア処理によるイン
ヒビター強化が、磁気特性を向上させる。二次再結晶進
行時に必要なインヒビターを確保するために、昇温時に
焼鈍雰囲気中に窒素ガスを5%以上95%以下入れるの
が望ましいが、水素ガス100%でもよい。
【0051】なお、窒素ガス5%未満では、インヒビタ
ーの強化あるいは、劣化防止には効果が薄い。窒化物を
インヒビターとしない場合は、窒素分圧の効果は薄い。
【0052】なお、中性あるいは還元性雰囲気とは、窒
素、酸素、水分、水素、アルゴン等の不活性ガスの内か
ら1種あるいは2種以上のガス混合物で、珪素の酸化還
元に対して中性あるいは還元性であるガス組成をいう。
一般に電磁鋼板の仕上げ焼鈍では、窒素および水素ガス
が用いられるので、この両ガスの0%から100%まで
の組み合わせである。
【0053】窒素分圧を調整するために、この両ガスの
組み合わせにアルゴン、ヘリウム等の不活性ガスを混合
しても何等支障はない。中性あるいは還元性雰囲気とす
るのは、鋼中Alの減少防止および鋼中の珪素を酸化さ
せて表面にSiO2 を造らない。あるいは、増加させな
いためである。
【0054】なお、二次再結晶完了後、純化および鋼板
表面の鏡面化を完全にするために水素濃度を上げ、12
00℃付近で数時間保持することは、極めて有効であ
る。
【0055】仕上げ焼鈍における二次再結晶可能な温度
までの昇温速度は、高速であればあるほどインヒビター
の劣化が少なく好都合であった。昇温速度15℃/Hr未
満では、インヒビターの劣化が著しく二次再結晶時に必
要なインヒビターが十分確保されず、十分な二次再結晶
が得られなかった。本発明の主旨の一つである高い磁束
密度を得るという点では、50℃/Hr以上の昇温速度が
望ましい。
【0056】以下、本発明の実施態様を述べる。 Si:2.0〜4.8重量%、酸可溶性Al:0.00
8〜0.05重量%、N≦0.010重量%、残部Fe
および不可避的不純物からなる溶鋼を、通常の工程で、
もしくは、連続鋳造して熱延鋼板あるいは、熱延鋼帯と
する。
【0057】この熱延鋼板あるいは、熱延鋼帯は、75
0℃〜1200℃の温度域で、30秒〜30分間磁束密
度向上のための焼鈍が行われる。続いて、これらの熱延
鋼板あるいは、熱延鋼帯は、冷間圧延される。
【0058】冷間圧延は、特公昭40−15644号公
報に開示されているように最終冷間圧延率80%以上と
する。冷間圧延後の材料は、通常鋼中の炭素を除去する
ために湿水雰囲気中で、750℃〜900℃の温度域で
一次再結晶焼鈍される。
【0059】この時、脱炭、一次再結晶と共に、鋼板表
面には、酸化層が形成される。この酸化層は、湿水雰囲
気即ち水分の入った雰囲気の水分量の程度(通常、露点
で表す)によるが、いわゆる内部酸化層を形成し鋼板表
面から0.1〜6.0μmの厚さになり、ここには、酸
化物として、主にSiO2 が存在する。なお一次再結晶
焼鈍時形成される酸化物の酸素量の80〜90%以上
は、SiO2 の形態を取っている。
【0060】一次再結晶後の鋼板、あるいは、鋼帯は、
極限の磁気特性を追求する時は表面の酸化層が除去され
る。前記するように若干磁気特性が悪くてもよい場合
は、この工程は省かれる。この選択は費用と特性の観点
からなされる。
【0061】酸化膜除去方法は、前記の通り物理的およ
び化学的方法があるが、一般に酸洗によって行われる。
鋼板表面の酸化層除去に先だってインヒビター強化のた
めアンモニアによる窒化処理を行うことは磁束密度向上
に極めて有効である。
【0062】次に一次再結晶板は、アルミナを主体とす
る焼鈍分離剤を水スラリーとして塗布されて仕上げ焼鈍
炉に入る。焼鈍雰囲気を中性あるいは還元性として15
℃/Hr以上の昇温速度で1200℃まで加熱し、該温度
で、純化および鏡面化のために100%水素に切り替え
られて、約20時間保持される。
【0063】また極限の磁束密度を得るために、次の方
策をとることができる。仕上げ焼鈍の昇温速度を、イン
ヒビター劣化防止の観点から、なるべく大きく望ましく
は、50℃/Hr以上とし、昇温時の雰囲気を中性あるい
は還元性とし、昇温中あるいは920℃〜1150℃に
到達した時、窒素分圧を昇温時のそれより高くして該温
度で5時間以上保持する。
【0064】なお、窒素分圧調整のためアルゴン、ヘリ
ウム等の不活性ガスを混合することは何等差し障りな
い。二次再結晶完了後、純化のため100%水素で高温
(約1200℃)保持される。仕上げ焼鈍終了後、レー
ザービーム照射等の磁区細分化処理を行い、さらに張力
コーティング処理を行う。
【0065】
【実施例】
実施例1 Si:3.2重量%、酸可溶性Al:0.028重量
%、N:0.008重量%、Mn:0.13重量%、
S:0.008重量%、C:0.05重量%、残部Fe
および不可避的不純物からなる珪素熱延鋼帯を1100
℃で2分間焼鈍した後、冷間圧延し、0.18mm厚とし
た。これらの冷延板を脱炭を兼ねるために湿水雰囲気と
した焼鈍炉で820℃で2分間焼鈍し、一次再結晶させ
た。
【0066】次に二次再結晶を安定化させるために、ア
ンモニア雰囲気中で窒化処理を行い、全窒素量を190
ppm とし、インヒビターを強化した。
【0067】その後、フッ酸の混合した硫酸で鋼板表
面に生成している酸化層を除去し、平均粒径2.0μm
のAl2 3 を水スラリー状態で焼鈍分離剤として塗布
した、そのまま、平均粒径2.0μmのAl2 3
水スラリー状態で焼鈍分離剤として塗布した、そのま
ま、MgOを主体とする焼鈍分離剤を水スラリー状態で
塗布した。
【0068】これら3種の材料を、1200℃まで、2
5%N2 −75%H2 雰囲気で、50℃/Hrの昇温速度
を保ちながら昇温し、1050℃まで昇温し、該温度
で、10時間保持し、さらに、50℃/Hrの昇温速度で
1200℃まで昇温した。1200℃到達後、100%
水素とし、該温度で20時間保持した。
【0069】仕上げ焼鈍終了後、レーザービームを照射
し、リン酸−クロム酸系の張力コーティング処理を行っ
た。得られた製品の特性は、表1の通りである。
【0070】
【表1】
【0071】実施例2 Si:3.2重量%、酸可溶性Al:0.027重量
%、N:0.008重量%、Mn:0.13重量%、
S:0.007重量%、C:0.05重量%、残部Fe
および不可避的不純物からなる珪素熱延鋼帯を1100
℃で2分間焼鈍した後、冷間圧延し、0.15mm厚とし
た。
【0072】これらの冷延板を脱炭を兼ねるために湿水
雰囲気とした焼鈍炉で820℃で2分間焼鈍し、一次再
結晶させた。次に二次再結晶を安定化させるために、ア
ンモニア雰囲気中で窒化処理を行い、全窒素量を170
ppm とし、インヒビターを強化した。
【0073】その後、フッ酸の混合した硫酸で鋼板表面
に生成している酸化層を除去し、平均粒径2.0μm
のAl2 3 を水スラリー状態で焼鈍分離剤とし、12
00℃まで、100%H2 雰囲気で、平均粒径2.0
μmのAl2 3 を水スラリー状態で焼鈍分離剤とし、
1200℃まで、5%N2 −95%H2 雰囲気で、平
均粒径2.0μmのAl2 3 を水スラリー状態で焼鈍
分離剤とし、1200℃まで、75%N2 −25%H2
雰囲気で、さらに比較のためMgOを水スラリー状態
で焼鈍分離剤とし、1200℃まで、5%N2 −95%
2 雰囲気で、50℃/Hrの昇温速度を保ちながら昇温
し、1050℃まで昇温し、該温度で、10時間保持
し、さらに、50℃/Hrの昇温速度で1200℃まで昇
温した。
【0074】1200℃到達後、100%水素とし、該
温度で20時間保持した。仕上げ焼鈍終了後、レーザー
ビームを照射し、リン酸−クロム酸系の張力コーティン
グ処理を行った。得られた製品の特性は、表2の通りで
ある。
【0075】
【表2】 MgOの水スラリーを焼鈍分離剤とした材料は、表面に
少量のグラス被膜が生成していた。このため平滑化が不
十分で磁気特性が劣った。
【0076】実施例3 Si:3.2重量%、酸可溶性Al:0.030重量
%、N:0.007重量%、Mn:0.16重量%、
S:0.008重量%、C:0.05重量%、残部Fe
および不可避的不純物からなる珪素熱延鋼帯を1100
℃で2分間焼鈍した後、冷間圧延し、0.15mm厚とし
た。
【0077】これらの冷延板を脱炭を兼ねるために湿水
雰囲気とした焼鈍炉で850℃で2分間焼鈍し、一次再
結晶させた。次に二次再結晶を安定化させるために、ア
ンモニア雰囲気中で窒化処理を行い、全窒素量を200
ppm とし、インヒビターを強化した。
【0078】その後、フッ酸の混合した硫酸で鋼板表面
に生成している酸化層を除去し、平均粒径0.3μm
のアルミナ(Al2 3 )、平均粒径0.5μmのア
ルミナ(Al2 3 )、平均粒径3.0μmのアルミ
ナ(Al2 3 )、平均粒径10.0μmのアルミナ
(Al2 3 )、平均粒径14.9μmのアルミナ
(Al2 3 )、平均粒径35μmのアルミナ(Al
2 3 )を水スラリー状態で焼鈍分離剤として塗布し
た。
【0079】この材料を、75%N2 −25%H2 雰囲
気で、50℃/Hrの昇温速度を保ちながら昇温し、10
50℃まで昇温し、該温度で、10時間保持し、さら
に、50℃/Hrの昇温速度で1200℃まで昇温した。
1200℃到達後、100%水素とし、該温度で20時
間保持した。仕上げ焼鈍終了後、レーザービームを照射
し、リン酸−クロム酸系の張力コーティング処理を行っ
た。得られた製品の特性は、表3の通りである。
【0080】
【表3】 平均粒径0.5μm未満のアルミナを焼鈍分離剤とした
場合、鋼板表面にアルミナの焼結体が付着していた。ま
た、平均粒径10.0μm超のアルミナを焼鈍分離剤と
した場合は、アルミナ粒子が鋼板に食い込んで、その粗
度は大きく指で確認できるほどであり、電子顕微鏡で鋼
板表面のアルミナを確認できた。
【0081】実施例4 実施例3における一次再結晶板を、二次再結晶を安定化
させるために、アンモニア雰囲気中で窒化処理を行い、
全窒素量を210ppm とし、インヒビターを強化した。
【0082】その後、フッ酸の混合した硫酸で鋼板表面
に生成している酸化層を除去し、焼鈍分離剤として、
平均粒径2.0μmのアルミナ(Al2 3 )を静電塗
布し、100%H2 雰囲気で、焼鈍分離剤として、平
均粒径2.0μmのアルミナ(Al2 3 )を静電塗布
し、5%N2 −95%H2 雰囲気で、焼鈍分離剤とし
て、平均粒径2.0μmのアルミナ(Al2 3 )を静
電塗布し、75%N2−25%H2 雰囲気で、さらに比
較のためMgOを水スラリー状態で焼鈍分離剤とし
て、75%N2 −25%H2 雰囲気で、50℃/Hrの昇
温速度を保ちながら昇温し、1050℃まで昇温し、該
温度で、10時間保持し、さらに、50℃/Hrの昇温速
度で1200℃まで昇温した。
【0083】1200℃到達後、100%水素とし、該
温度で20時間保持した。仕上げ焼鈍終了後、レーザー
ビームを照射し、リン酸−クロム酸系の張力コーティン
グ処理を行った。得られた製品の特性は、表4の通りで
ある。
【0084】
【表4】 MgOの水スラリーを焼鈍分離剤とした材料は、表面に
少量のグラス被膜が生成していた。このため平滑化が不
十分で磁気特性が劣った。
【0085】実施例5 Si:3.2重量%、酸可溶性Al:0.031重量
%、N:0.008重量%、Mn:0.14重量%、
S:0.008重量%、C:0.05重量%、残部Fe
および不可避的不純物からなる珪素熱延鋼帯を1100
℃で2分間焼鈍した後、冷間圧延し、0.15mm厚とし
た。
【0086】これらの冷延板を脱炭を兼ねるために湿水
雰囲気とした焼鈍炉で820℃で2分間焼鈍し、一次再
結晶させた。次に二次再結晶を安定化させるために、ア
ンモニア雰囲気中で窒化処理を行い、全窒素量を160
ppm とし、インヒビターを強化した。
【0087】その後、フッ酸の混合した硫酸で鋼板表面
に生成している酸化層を除去し、この材料に、平均粒
径2.0μmのAl2 3 を水スラリー状態で焼鈍分離
剤として塗布し、25%N2 −75%H2 雰囲気中、3
0℃/Hrの昇温速度で1200℃まで加熱し、1200
℃到達後、100%水素とし、該温度で20時間保持し
た。平均粒径2.0μmのAl2 3 を水スラリー状
態で焼鈍分離剤として塗布し、25%N2 −75%H2
雰囲気中、50℃/Hrの昇温速度で1075℃まで昇温
し、該温度で10時間保持し、さらに、50℃/Hrの昇
温速度で1200℃まで加熱し、1200℃到達後、1
00%水素とし、該温度で20時間保持した。
【0088】平均粒径2.0μmのAl2 3 を水ス
ラリー状態で焼鈍分離剤として塗布し、25%N2 −7
5%H2 雰囲気中、50℃/Hrの昇温速度で1075℃
まで昇温し、該温度到達時、焼鈍雰囲気を75%N2
25%H2 とし、該温度で10時間保持し、さらに50
℃/Hrの昇温速度で1200℃まで加熱、1200℃到
達後、100%水素とし、該温度で20時間保持した。
さらに比較のためMgOを水スラリー状態で焼鈍分離
剤として塗布し、25%N2 −75%H2 雰囲気中、5
0℃/Hrの昇温速度で1075℃まで昇温し、該温度到
達時、焼鈍雰囲気を75%N2 −25%H2 とし、該温
度で10時間保持し、さらに50℃/Hrの昇温速度で1
200℃まで加熱、1200℃到達後、100%水素と
し、該温度で20時間保持した。
【0089】仕上げ焼鈍終了後、4つの仕上げ焼鈍方法
で作成した製品にレーザービームを照射し、リン酸−ク
ロム酸系の張力コーティング処理を行った。得られた製
品の特性は、表5の通りである。
【0090】
【表5】 1075℃で10時間保持することにより、磁束密度、
鉄損がさら向上することが分かる。なお、MgOの水ス
ラリーを焼鈍分離剤とした材料は、表面に少量のグラス
被膜が生成していた。このため平滑化が不十分で磁気特
性が劣った。
【0091】
【発明の効果】本発明により、磁束密度が高く、磁気特
性を阻害する要因である鋼板表面の凹凸の小さい(鏡面
である)方向性電磁鋼板が容易に得られ、レーザービー
ム照射処理等の磁区細分化、張力コーティング処理によ
り極めて低鉄損の磁気材料が提供された。この方向性電
磁鋼板の製造に当たっては鋼板の鏡面化処理が通常の仕
上げ焼鈍炉中で行われるため、極めて容易であり、工業
上の価値は絶大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】仕上げ焼鈍中の鋼板のインヒビター(酸可溶性
Al)の変化を示す酸可溶性Al−仕上げ焼鈍温度の図
表で、一次再結晶焼鈍後、はそのまま、は表面酸化
層を取り除いたものである。

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量比で、 Si:2.0〜4.8%、 酸可溶性Al:0.008〜0.05%、 N ≦0.010%、 残部:Feおよび不可避的不純物からなる熱延鋼帯を、
    1回または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延によって
    最終板厚とし、次いで、一次再結晶焼鈍を施した後焼鈍
    分離剤を塗布し、仕上げ焼鈍を施す方向性珪素鋼板の製
    造プロセスにおいて、一次再結晶焼鈍後、平均粒径が
    0.5〜10.0μmのAl2 3 を主成分とする焼鈍
    分離剤を塗布した後、中性あるいは還元性雰囲気中、5
    0℃/Hr以上の昇温速度で920〜1150℃まで加熱
    し、その温度で5時間以上保持する過程を有する仕上げ
    焼鈍を施すことを特徴とする方向性珪素鋼板の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 一次再結晶焼鈍後、該焼鈍工程で生成し
    た鋼板表面の酸化膜を除去し、次いで、平均粒径が0.
    5〜10.0μmのAl2 3 を主成分とする焼鈍分離
    剤を塗布した後、中性あるいは還元性雰囲気中、50℃
    /Hr以上の昇温速度で920〜1150℃まで加熱し、
    その温度で5時間以上保持する過程を有する仕上げ焼鈍
    を施すことを特徴とする請求項1記載の方向性珪素鋼板
    の製造方法。
  3. 【請求項3】 一次再結晶焼鈍後、アンモニアガスを含
    む雰囲気中で鋼板を窒化処理し、次いで、平均粒径が
    0.5〜10.0μmのAl2 3 を主成分とする焼鈍
    分離剤を塗布した後、中性あるいは還元性雰囲気中、5
    0℃/Hr以上の昇温速度で920〜1150℃まで加熱
    し、その温度で5時間以上保持する過程を有する仕上げ
    焼鈍を施すことを特徴とする請求項1記載の方向性珪素
    鋼板の製造方法。
  4. 【請求項4】 一次再結晶焼鈍後、アンモニアガスを含
    む雰囲気中で鋼板を窒化処理し、次いで、前記焼鈍工程
    で生成した鋼板表面の酸化膜を除去した後、平均粒径が
    0.5〜10.0μmのAl2 3 を主成分とする焼鈍
    分離剤を塗布した後、中性あるいは還元性雰囲気中、5
    0℃/Hr以上の昇温速度で920〜1150℃まで加熱
    し、その温度で5時間以上保持する過程を有する仕上げ
    焼鈍を施すことを特徴とする方向性珪素鋼板の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 一次再結晶焼鈍工程で生成した鋼板表面
    の酸化膜を除去する手段が、鋼板を酸洗することを特徴
    とする請求項2または4に記載の方向性珪素鋼板の製造
    方法。
  6. 【請求項6】 一次再結晶焼鈍工程で生成した鋼板表面
    の酸化膜を除去する手段が、鋼板をフッ酸を含む酸洗溶
    液によって酸洗することを特徴とする請求項2または4
    に記載の方向性珪素鋼板の製造方法。
  7. 【請求項7】 0.5〜10.0μmのAl2 3 を主
    成分とする焼鈍分離剤の水スラリーを塗布することを特
    徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の方向性珪素鋼
    板の製造方法。
  8. 【請求項8】 仕上げ焼鈍工程において50℃/Hr以上
    の昇温速度で920〜1150℃まで鋼板を加熱する過
    程が、N2 を5%以上含有する雰囲気中で遂行されるこ
    とを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載の方向性
    珪素鋼板の製造方法。
  9. 【請求項9】 仕上げ焼鈍工程における雰囲気を中性あ
    るいは還元性雰囲気とし、50℃/Hr以上の昇温速度で
    920〜1150℃まで鋼板を加熱し、該昇温中あるい
    は920〜1150℃の温度域に到達時に、雰囲気のN
    2 含有量をそれ以前のN2 含有量よりも多くして、到達
    温度に5時間以上保持することを特徴とする請求項1乃
    至8の何れかに記載の方向性珪素鋼板の製造方法。
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