JP2716916B2 - 方向性珪素鋼板の製造方法 - Google Patents

方向性珪素鋼板の製造方法

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JP2716916B2
JP2716916B2 JP4287405A JP28740592A JP2716916B2 JP 2716916 B2 JP2716916 B2 JP 2716916B2 JP 4287405 A JP4287405 A JP 4287405A JP 28740592 A JP28740592 A JP 28740592A JP 2716916 B2 JP2716916 B2 JP 2716916B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁束密度が高く鉄損が
極めて低い方向性珪素鋼板(以下方向性電磁鋼板と云
う)に関するものである。特に、二次再結晶工程(仕上
げ焼鈍工程)で、その鋼板表面にフォルステライト被膜
(以下、グラスと云う)を形成させないかあるいは、サ
ーマルエッチングにより鋼板表面を鏡面とした状態で同
工程を完了させ、その後、磁区細分化、張力コーティン
グ等の処理を行い、鉄損特性の改善を図ろうとするもの
である。
【0002】
【従来の技術】方向性電磁鋼板は、電気機器の磁気鉄芯
として多用され、エネルギーロスを少なくすべく、改善
が繰り返されてきた。方向性電磁鋼板の鉄損を低減する
手段として、仕上げ焼鈍後の材料表面にレーザービーム
を照射し、局部歪を与え、それによって磁区を細分化し
て鉄損を低下させる方法が、例えば特開昭58−264
05号公報に開示されている。また局部歪は、通常行わ
れる加工後の応力除去焼鈍(歪取り焼鈍)によって除去
されるので、磁区細分化効果が消失する。
【0003】この改善策、すなわち応力除去焼鈍しても
磁区細分化効果が消失しない手段が、例えば特開昭62
−8617号公報に開示されている。さらに鉄損値の低
減を図るためには、鋼板表面近傍の磁区の動きを阻害す
る地鉄表面の凹凸を取り除くこと(平滑化)が重要であ
る。平滑化の最も高いレベルが鏡面である。表面を平滑
化するためには、従来の工程で鋼板表面に形成されてい
るグラス被膜を形成させないことが好適であることが知
られており、その手段として焼鈍分離剤をMgOに代え
てアルミナを用いることが、例えば米国特許第3,78
5,882号公報に開示されている。しかしながら、上
記米国特許公報に開示の方法でグラス被膜の形成は抑制
されるものの、鋼板表面直下の介在物等を十分に除去す
ることはできず平滑化は不十分であり、鉄損の向上代は
高々2%程度に過ぎない。 また、この方法を田口、坂倉
(特公昭62−15644号公報)や小松ら(特公昭6
2−45285号公報)に開示されたAlの窒化物をイ
ンヒビターとして用いる高磁束密度方向性電磁鋼板の製
造方法に適用した場合に、二次再結晶が不安定になるこ
とが判明した。 さらに、仕上げ焼鈍後の材料表面を平滑
化(鏡面化)する方法としては、特開昭64−8362
0号公報に開示されている化学研磨、電解研磨等があ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来、鋼板表面を鏡面
化(平滑化)する方法としては、前記化学研磨、電解研
磨の他にブラシ研磨、サンドペーパー研磨、研削等の化
学的あるいは物理的方法がある。しかしながら、これら
の方法は、小試片、少量の試料を作るには適するが、工
業的に多量生産される金属ストリップ等の表面鏡面化
(平滑化)のためには、諸々の困難を伴う。
【0005】最も平滑化できるとされる化学的方法、す
なわち、化学研磨においては、薬剤濃度管理、排水処理
等の環境問題、また物理的方法においては、工業的に大
きな面積を持つ表面を同一基準で平滑化(鏡面化)する
ことは、極めて困難である。本発明は、これらの問題を
排して、工業的生産規模で磁気特性の優れた方向性電磁
鋼板の表面を鏡面化あるいは平滑化する方法を提供する
ことを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明においては、仕上
げ焼鈍工程で同時に目的を達成しようとするものであ
る。すなわち、二次再結晶の方位を制御し、極度に高い
磁束密度を得、かつ鏡面あるいは平滑表面を得ようとす
るものである。
【0007】本発明の特徴とするところは、前記するよ
うに仕上げ焼鈍時に鏡面あるいは平滑表面を得るところ
にある。すなわち、通常行われているMgOを主体とす
る焼鈍分離剤を用いずに、Al2 3 を主体とするSi
2 と反応しにくい物質を焼鈍分離剤として用いて、仕
上げ焼鈍し、高い磁束密度の方向性電磁鋼板を得ると同
時に鋼板の表面にグラス(フォルステライト)被膜を形
成させずに、金属表面を露出させた状態で二次再結晶さ
せ、同時に、サーマルエッチングにより金属表面を鏡面
あるいは平滑化することを特徴とする。
【0008】その手段は、珪素熱延鋼帯を、焼鈍した
後、あるいは焼鈍を行わずに、1回または中間焼鈍を挟
む2回以上の冷間圧延を行い、所定の板厚とし、次いで
一次再結晶焼鈍を行った後焼鈍分離剤を塗布し、仕上げ
焼鈍を施す方向性珪素鋼板の製造方法において、一次再
結晶焼鈍後、Al2 3 (アルミナ)を主成分とし、防
錆剤を含む焼鈍分離剤を塗布し、中性あるいは還元性雰
囲気で仕上げ焼鈍することである。
【0009】さらに一次再結晶焼鈍後、該焼鈍工程で生
ずる鋼板表面の酸化膜を除去し、Al2 3 (アルミ
ナ)を主成分とし、防錆剤を含む焼鈍分離剤を塗布し、
中性あるいは還元性雰囲気で仕上げ焼鈍することであ
る。
【0010】さらに一次再結晶焼鈍後、アンモニアによ
る窒化処理を行い、インヒビターを強化して、しかる
後、Al2 3 (アルミナ)を主成分とし、防錆剤を含
む焼鈍分離剤を塗布し、中性あるいは還元性雰囲気で仕
上げ焼鈍することである。
【0011】さらに一次再結晶焼鈍後、アンモニアによ
る窒化処理を行い、しかる後、一次再結晶焼鈍工程で生
じる鋼板表面の酸化膜を除去し、Al2 3 (アルミ
ナ)を主成分とし、防錆剤を含む焼鈍分離剤を塗布し、
中性あるいは還元性雰囲気で仕上げ焼鈍することであ
る。
【0012】さらに珪素熱延鋼帯の成分をSi:2.0
〜4.8重量%、酸可溶性Al:0.008〜0.05
重量%、N≦0.010重量%、残部Fe及び不可避的
不純物とすることは極めて有効である。
【0013】また鋼板表面の酸化膜を除去する方法を酸
洗とし、特にフッ酸を混入した酸で酸洗することも有効
である。Al2 3 (アルミナ)を主成分とし、水溶性
防錆剤を含む焼鈍分離剤は、通常のMgOを主体とする
水スラリーと同様に、水スラリー塗布とすることができ
る。
【0014】なお、一次再結晶焼鈍後のアンモニアによ
るインヒビター強化及び仕上げ焼鈍雰囲気の窒素分圧操
作は、冷延鋼板に酸可溶性Alを含む時極めて有効であ
るが、酸可溶性Alを含まない時は、その効果は小さ
い。しかし、不可避的に存在する窒化物形成元素に窒素
が作用し析出物量を増し、インヒビターを強化する。
【0015】なお、サーマルエッチングとは、中性ある
いは還元性雰囲気中で、金属を高温に晒した時、表面の
金属原子が熱運動により移動し、表面が平滑化する現象
をいう。
【0016】以下、本発明について詳細に説明する。本
発明者等は、仕上げ焼鈍中のインヒビター劣化の律速過
程を詳しく調査したところ、熱延鋼板成分にAlを含む
場合には鋼板界面におけるAlの酸化過程が最大の因子
であり、一次再結晶焼鈍時生ずる鋼板表面の酸化層がイ
ンヒビターの劣化に大きく関与していることを見出し
た。
【0017】一方、熱延鋼板成分にAlを含まず、イン
ヒビターとして、MnS,MnSe,MnSb等を含む
場合は、温度上昇による析出物の溶解、あるいは析出物
の粗大化いわゆるオストワルド成長によりインヒビター
強度の劣化することが分かった。従って、二次再結晶に
対する鋼板表面(界面)の影響はあまり大きくなく、一
次再結晶焼鈍時生ずる鋼板表面の酸化層を除去しても、
しなくても大きな影響がない。
【0018】まず、熱延鋼帯成分にAlを含む場合につ
いて述べる。本発明者等は、仕上げ焼鈍中のインヒビタ
ー劣化の律速過程を詳しく調査したところ、鋼板界面に
おけるAlの酸化過程が最大の因子であり、一次再結晶
焼鈍時生ずる鋼板表面の酸化層がインヒビターの劣化に
大きく関与していることを見出した。
【0019】Si:3.3重量%、酸可溶性Al:0.
028重量%、N:0.008重量%、Mn:0.14
重量%、S:0.007重量%、C:0.05重量%、
残部Fe及び不可避的不純物からなる珪素熱延鋼帯を1
100℃で2分間焼鈍した後、冷間圧延し、0.23mm
厚とした。
【0020】これらの冷延板を、脱炭を兼ねるために湿
水雰囲気とした焼鈍炉で800℃で2分間焼鈍し、一次
再結晶させた。次に二次再結晶を安定化させるためにア
ンモニア雰囲気中で窒化処理を行い、全窒素量を180
ppm とし、インヒビターを強化した。
【0021】その後、そのまま、及び0.5%フッ
酸−5%硫酸混合溶液で酸洗した2種の材料にAl2
3 を静電塗布し、100%H2 雰囲気で、15℃/Hrの
昇温速度を保ちながら仕上げ焼鈍を行った。仕上げ焼鈍
中のインヒビター(AlN,(Al,Si)N等)を調
べたところ、図1に示すように、一次再結晶焼鈍時鋼板
表面に生ずる酸化層を有するの材料は、酸化層のない
の材料に比べて、インヒビター強度が早く劣化するこ
とが分かった。
【0022】すなわち、一次再結晶焼鈍時鋼板表面に生
ずる酸化層を除去すれば、高温まで強いインヒビター強
度が保持できるのである。鋼板中の酸可溶性Alは、仕
上げ焼鈍中でSiO2 を主体とする酸化層から酸素をと
りAl2 3 等となって酸化層中に析出する。従って鋼
板中の酸可溶性Alは、減少していく。
【0023】なお、図1では、インヒビター強度として
鋼中酸可溶性Al濃度を示したが、Alは、AlN,
(Al,Si)N等の化合物(析出物)を形成して、イ
ンヒビターとなっているので、酸可溶性Al量がインヒ
ビター強度を示す指標と考えてよい。
【0024】さらに、本発明者等は、インヒビター劣化
の律速過程を詳しく調査したところ、前記の鋼板界面に
おけるAlの酸化以外に鋼中窒素及び焼鈍雰囲気中の窒
素量にも影響されることが分かった。なお、焼鈍雰囲気
中の窒素量は鋼板界面を通して鋼中の窒素量を増加させ
ているものであり、その効果は、当初から鋼中に入って
いる窒素と同じである。
【0025】鋼中窒素及び焼鈍雰囲気中の窒素は、Al
N等の析出物を増加させてAlを固定しAlの鋼板界面
への移動を少なくするために、Alの酸化が抑制される
のである。
【0026】従って、仕上げ焼鈍中の鋼中酸可溶性Al
量は、窒素分圧の高い方が、減少は少なく、高温までイ
ンヒビターは強い。
【0027】本発明の主旨とするところの一つである高
い磁束密度を得るためには、インヒビターは、強い方が
よいのであるが、強く一定に維持されることが望まし
い。これは、二次再結晶開始から終了まで方位のよい結
晶(GOSS粒)のみを成長させるためであり、二次再
結晶開始から終了までにインヒビターが弱体化すると方
位の悪い粒まで成長し、製品鋼板の磁束密度が下がる。
【0028】インヒビターであるAlNの溶解度は、当
然ながら鋼板温度の上昇と共に大きくなり、必然的にイ
ンヒビターは劣化する。この方策として、温度が上昇す
るに従い窒素の分圧を上げて鋼板中の窒素量を増やし析
出物としてのAlNを一定に維持することが望ましい。
しかしながら本発明の主旨とするところの一つである鏡
面を得るには、窒素分圧があまり高くなり過ぎてはいけ
ない。
【0029】インヒビターを一定の強さで二次再結晶さ
せるという点でAlNの溶解度が変化しない、すなわち
インヒビター強度が変わらない一定温度での二次再結晶
は、極めて有効である。前記するように、AlNの溶解
度は、一定温度に保持すれば変わらないが、酸可溶性A
lは雰囲気中の酸素あるいは、鋼板表面のAlより酸素
親和性の小さい元素の酸化物より酸素をとり、Al2
3 となって減少していき、インヒビターは劣化する。従
って、この場合も窒素分圧を上げてAlNの溶解を抑
え、酸可溶性Alの減少を抑制しなければならない。
【0030】次に、熱延鋼板成分にAlを含まない場合
について述べる。前記するように熱延鋼板成分にAlを
含まないような珪素鋼板では、インヒビターとしては
S,Se,Te,Sb等を添加して、MnS,MnS
e,MnTe,MnSb等を析出させ、インヒビターと
して用いるのが普通である。
【0031】これらの析出物はAlのように鋼板界面か
らの脱離によってインヒビターが劣化することはなく、
鋼板温度の上昇による溶解度の上昇で析出物の減少、あ
るいは析出物のオストワルド成長による析出物平均粒径
の粗大化で、インヒビター効果強度は劣化する。従っ
て、一次再結晶焼鈍後に、該焼鈍で生成する鋼板表面の
酸化膜の存在に関わらずインヒビターの挙動はほぼ一定
である。
【0032】Si:3.2重量%、N:0.008重量
%、Mn:0.08重量%、S:0.027重量%、
C:0.05重量%、残部Fe及び不可避的不純物から
なる珪素熱延鋼帯を0.23mmまで冷間圧延し、前記同
様、脱炭を兼ねるために湿水雰囲気とした焼鈍炉で80
0℃で2分間焼鈍し、一次再結晶させた。
【0033】その後、そのまま、及び0.5%フッ
酸−5%硫酸混合溶液で酸洗した2種の材料にAl2
3 を静電塗布し、100%H2 雰囲気で、15℃/Hrの
昇温速度を保ちながら仕上げ焼鈍を行った。仕上げ焼鈍
中のSを分析し、図2を得た。
【0034】酸洗の有り無しに関わらず、比較的高温ま
でSが減少しないことが分かる。しかし、これはインヒ
ビター強度が共に高温まで強いことを意味しない。その
理由は前記の通り、析出物の溶解、及び析出物のオスト
ワルド成長による粗大化にある。
【0035】本発明における鋼成分は、Si:2.0〜
4.8重量%、インヒビター構成元素として、酸可溶性
Al,Mn,S,Se,Sb,P,B,Sn,Bi,N
b,Ti,Mo,Cu等の1種あるいは2種以上が添加
される。
【0036】Siは、電気抵抗を高め鉄損を下げるうえ
で重要であるが、4.8%超では、冷間圧延時に割れ易
くなる。一方、2.0%未満では、電気抵抗が低く鉄損
を下げるうえで問題がある。
【0037】次にインヒビター構成元素について述べ
る。酸可溶性Alは、インヒビター構成元素として重要
であり、窒素、珪素等と化合して、AlN,(Al,S
i)N等の析出物を作りインヒビターの役割を果たす。
インヒビター強度の面、すなわち、磁束密度が高くなる
範囲として、0.008〜0.05重量%である。
【0038】窒素は、0.010重量%超では、ブリス
ターと呼ばれる空孔を鋼板中に生ずるので、この範囲が
最適である。その他インヒビター成分としてはMn:
0.03〜0.40重量%、S:0.01〜0.05重
量%、Se:0.01〜0.10重量%、Sb:0.0
1〜0.10重量%の範囲で1種あるいは2種以上が添
加される。さらにSn,Bi,Nb,Ti,P,Mo,
Cu等がインヒビター構成あるいは、補助元素として用
いられる。なお、炭素は0.085重量%以下が望まし
い。
【0039】発明者等は焼鈍分離剤塗布から仕上げ焼鈍
の昇温開始までの鋼板表面状態と、仕上げ焼鈍完了後の
鋼板表面状態との関係を詳しく調べ次の結果を見出し
た。すなわち、焼鈍分離剤塗布から仕上げ焼鈍の昇温開
始までの鋼板表面に錆が発生すると、仕上げ焼鈍後の鋼
板の平滑(鏡面)度が悪くなることである。この錆は一
般にいわゆる赤錆であり、三価の水酸化鉄で、赤みを帯
びている。特に、水スラリー塗布の場合現れ易い。
【0040】この鋼板表面上の錆が仕上げ焼鈍工程中、
鋼板表面で還元され、鋼板表面上に点状に散在し、通常
の仕上げ焼鈍時間では平滑化が不十分で、製品(仕上げ
焼鈍後)の表面平滑度が悪くなると推定される。
【0041】図3は、仕上げ焼鈍前に鋼板表面に錆が
発生した鋼板及び錆の発生のない鋼板を仕上げ焼鈍
し、焼鈍後鋼板表面を光触針式粗度計で測定した結果で
ある。仕上げ焼鈍前に錆の発生のない鋼板は極めて平滑
である。この平滑度の向上は前記するように磁気特性、
すなわち鉄損特性の向上となる。
【0042】発明者等は錆の焼鈍分離剤塗布から仕上げ
焼鈍の昇温開始までに鋼板表面に錆が発生しない方法に
ついて検討し、Al2 3 (アルミナ)を主体とする焼
鈍分離剤に、防錆剤を添加することが有効であることを
見出した。さらに、水スラリー塗布の場合は水溶性防錆
剤を添加することが極めて有効であることを見出した。
【0043】粉体塗布、例えば、静電塗布は仕上げ焼鈍
炉内に水分を持ち込まない方法として優れているが、通
常用いられているMgOを主体とする焼鈍分離剤の塗布
方法に比べて、塗布装置の煩雑さ、設備費、粉末飛散に
よる作業環境の悪化等の不都合がある。発明者等は、M
gOを主体とする焼鈍分離剤の塗布方法と同じ方法、す
なわち水スラリーで塗布することを検討した。この時、
錆が発生し易いが水溶性防錆剤を用いることにより、錆
発生を防止することができた。
【0044】防錆剤には防錆油、水溶性防錆剤、気化性
防錆剤があるが、防錆油は、油すなわち炭素が多く、仕
上げ焼鈍時浸炭の危険があり、あまり適当でない。水溶
性防錆剤には、無機系と有機系があり、前者にはクロム
酸、クロム酸塩、亜硝酸塩、珪酸塩等があり、後者には
各種のアミン類、キレート剤等がある。
【0045】気化性防錆剤としては、亜硝酸ジシクロヘ
キシルアンモニウム、亜硝酸の有機エステル、モノエタ
ノールアミン炭酸塩等がある。焼鈍分離剤を粉体塗布、
例えば、静電塗布する場合は、気化性防錆剤を用い、水
スラリー塗布の場合は、水溶性防錆剤を用いる方がよ
い。
【0046】その添加量は0.001%位から効果を示
し、好ましくは0.01%以上が必要である。また、そ
の上限は添加物元素による不都合、例えば、Naによる
アルミナの焼結促進等が生じない範囲:10%以下がよ
い。なお、アルミナを主成分とする焼鈍分離剤に若干の
CaO等のシリカと反応しにくい物質等を添加しても差
し障りない。
【0047】以下、実施条件について述べる。一次再結
晶焼鈍時、鋼板表面にできる酸化層は、仕上げ焼鈍時に
次の二つに影響する。すなわち、前記するようにイン
ヒビター強度を弱め、十分な磁束密度が得られない、
製品の表面の平滑度が不十分で、磁気特性に悪影響を与
え、極限の磁気特性が出にくい。従って、究極の磁気特
性を得るためには、一次再結晶焼鈍時、鋼板表面にでき
る酸化層を除去することが望ましい。
【0048】除去する方法としては、機械研磨、例え
ば、ブラシ研磨、サンドペーパー研磨、研削等があり、
本目的には有効であるが、工業上種々の困難を伴いあま
り実用的でない。
【0049】本発明者等は、酸洗による方法が極めて有
効であることに気付いた。これは、熱延鋼帯あるいは鋼
板等の連続酸洗ラインが既に実用化されているからであ
る。また、酸洗液(酸洗溶液)としては、塩酸、硫酸、
硝酸等の鉱酸が有効であるが、鋼板表面にできる酸化層
は、主にSiO2 を主体とした酸化物であるために塩
酸、硫酸、硝酸等の鉱酸だけでは酸洗しにくい。これら
の酸にフッ酸を混合すると極めて効率的、すなわち、高
速で酸化層を除去することができる。
【0050】また、窒化物をインヒビターとする場合
は、一次再結晶焼鈍後から仕上げ焼鈍前にアンモニアに
より窒化処理を行い、インヒビターを強化することは有
効である。これは、一次再結晶完了時のインヒビター強
度では、二次再結晶のためには不十分で、また仕上げ焼
鈍中の窒素分圧を上げてインヒビターを強化あるいは劣
化防止しても二次再結晶時に十二分なインヒビターを確
保できない。このため一般にアンモニア処理によるイン
ヒビター強化が、磁気特性を向上させる。
【0051】二次再結晶進行時に必要なインヒビターを
確保するために昇温時に焼鈍雰囲気中に窒素ガスを5%
以上95%以下入れるのが望ましいが、水素ガス100
%でもよい。なお、窒素ガス5%未満では、インヒビタ
ーの強化あるいは劣化防止には効果が薄い。窒化物をイ
ンヒビターとしない場合は、窒素分圧の効果は薄い。な
お、中性あるいは還元性雰囲気とは、窒素、酸素、水
分、水素、アルゴン等の不活性ガスの内から1種あるい
は2種以上のガスの混合物で珪素の酸化還元に対して中
性あるいは還元性であるガス組成をいう。
【0052】一般に電磁鋼板の仕上げ焼鈍では、窒素及
び水素ガスが用いられるので、この両ガスの0%から1
00%までの組み合わせである。
【0053】窒素分圧を調整するために、この両ガスの
組み合わせにアルゴン、ヘリウム等の不活性ガスを混合
しても何等支障はない。中性あるいは還元性雰囲気とす
るのは、鋼中Alの減少防止及び、鋼中の珪素を酸化さ
せて表面にSiO2 を造らない、あるいは増加させない
ためである。なお、二次再結晶完了後、純化及び鋼板表
面の鏡面化を完全にするために水素濃度を上げ、120
0℃付近で数時間保持することは、極めて有効である。
【0054】仕上げ焼鈍における二次再結晶可能な温度
までの昇温速度は、高速であればあるほどインヒビター
の劣化が少なく好都合であった。昇温速度15℃/Hr未
満では、インヒビターの劣化が著しく二次再結晶時に必
要なインヒビターが十分確保されず、十分な二次再結晶
が得られなかった。本発明の主旨の一つである高い磁束
密度を得るという点では、50℃/Hr以上の昇温速度が
望ましい。
【0055】以下、本発明の実施態様を述べる。 Si:2.0〜4.8重量%、インヒビター構成元素と
して、酸可溶性Al,Mn,S,Se,Sb,P,B,
Sn,Bi,Nb,Ti,Mo,Cu等の1種あるいは
2種以上が添加された溶鋼を、通常の工程で、もしくは
連続鋳造して熱延鋼板あるいは熱延鋼帯とする。この熱
延鋼板あるいは熱延鋼帯は、750〜1200℃の温度
域で、30秒〜30分間磁束密度向上のための焼鈍が行
われる。続いて、これらの熱延鋼板あるいは熱延鋼帯は
冷間圧延される。
【0056】冷間圧延は、特公昭40−15644号公
報に開示されているように最終冷間圧延率80%以上と
する。冷間圧延後の材料は、通常鋼中の炭素を除去する
ために湿水雰囲気中で、750℃〜900℃の温度域で
一次再結晶焼鈍される。この時、脱炭、一次再結晶と共
に、鋼板表面には酸化層が形成される。この酸化層は、
湿水雰囲気すなわち水分の入った雰囲気の水分量の程度
(通常、露点で表す)によるが、いわゆる内部酸化層を
形成し鋼板表面から0.1〜6.0μmの厚さになり、
ここには酸化物として主にSiO2 が存在する。なお、
一次再結晶焼鈍時形成される酸化物の酸素量の80〜9
0%以上は、SiO2 の形態をとっている。
【0057】一次再結晶後の鋼板、あるいは鋼帯は、極
限の磁気特性を追求する時は表面の酸化層が除去され
る。前記するように若干磁気特性が悪くてもよい場合
は、この工程は省かれる。この選択は費用と特性の観点
からなされる。酸化膜除去方法は、前記の通り物理的及
び化学的方法があるが、一般に酸洗によって行われる。
【0058】窒化物のインヒビターを使用する場合は、
鋼板表面の酸化層除去に先だってインヒビター強化のた
めアンモニアによる窒化処理を行うことは磁束密度向上
に極めて有効である。表面の酸化層が除去された一次再
結晶板は、アルミナを主成分とし防錆剤を含む焼鈍分離
剤が塗布されて仕上げ焼鈍炉に入る。
【0059】仕上げ焼鈍の昇温時の雰囲気は中性あるい
は還元性で、窒素分圧調整のためアルゴン、ヘリウム等
の不活性ガスを混合することは何等差し障りない。二次
再結晶完了後、純化のため100%水素で高温(約12
00℃)保持される。仕上げ焼鈍終了後、レーザービー
ム照射等の磁区細分化処理を行い、さらに張力コーティ
ング処理を行う。
【0060】
【実施例】
実施例1 Si:3.3重量%、酸可溶性Al:0.025重量
%、N:0.009重量%、Mn:0.07重量%、
S:0.015重量%、C:0.08重量%、Se:
0.015重量%、Sn:0.13重量%、Cu:0.
07重量%、残部Fe及び不可避的不純物からなる珪素
熱延鋼帯を1120℃で2分間焼鈍した後、冷間圧延
し、0.20mm厚とした。これらの冷延板を脱炭を兼ね
るために湿水雰囲気(露点:65℃)とした焼鈍炉で8
50℃で2分間焼鈍し、一次再結晶させた。その後、
0.5%フッ酸−5%硫酸混合溶液で酸洗した。
【0061】該材料にAl2 3 (アルミナ)に0.
1%の亜硝酸ナトリウムを添加した焼鈍分離剤を水スラ
リー状態で塗布した。また比較のためAl2 3 (ア
ルミナ):100%の焼鈍分離剤を水スラリー状態で塗
布した。
【0062】これら2種の材料を、1200℃まで、2
5%N2 −75%H2 雰囲気で、15℃/Hrの昇温速度
を保ちながら昇温し、1200℃到達後100%水素と
し、該温度で20時間保持した。仕上げ焼鈍終了後レー
ザービームを照射し、リン酸−クロム酸系の張力コーテ
ィング処理を行った。得られた製品の特性は、表1の通
りである。本発明による製品の表面は平滑度が向上し鉄
損が低くなった。
【0063】
【表1】
【0064】なお、比較例の仕上げ焼鈍後の表面状態
を平滑面(鏡面)と表中に記したが、表面は金属色を示
しているが鈍い光沢で、いわゆるダルと称される表面で
あった。
【0065】実施例2 Si:3.2重量%、酸可溶性Al:0.029重量
%、N:0.008重量%、Mn:0.13重量%、
S:0.007重量%、C:0.05重量%、残部Fe
及び不可避的不純物からなる珪素熱延鋼帯を1100℃
で2分間焼鈍した後冷間圧延し、0.18mm厚とした。
これらの冷延板を脱炭を兼ねるために湿水雰囲気とした
焼鈍炉で820℃で2分間焼鈍し、一次再結晶させた。
次に二次再結晶を安定化させるためにアンモニア雰囲気
中で窒化処理を行い、全窒素量を190ppm としインヒ
ビターを強化した。
【0066】その後、フッ酸の混合した硫酸で鋼板表
面に生成している酸化層を除去し、Al2 3 (アルミ
ナ)に、トリエタノールアミンを0.10%添加した焼
鈍分離剤を水スラリー状態で塗布した、そのまま、A
2 3 (アルミナ)にトリエタノールアミンを0.1
0%添加した焼鈍分離剤を水スラリー状態で塗布した、
そのまま、Al2 3 (アルミナ):100%の焼鈍
分離剤を水スラリー状態で塗布した。これら3種の材料
を、1200℃まで、25%N2 −75%H2雰囲気
で、30℃/Hrの昇温速度を保ちながら昇温し、120
0℃到達後100%水素とし、該温度で20時間保持し
た。
【0067】仕上げ焼鈍終了後レーザービームを照射
し、リン酸−クロム酸系の張力コーティング処理を行っ
た。得られた製品の特性は、表2の通りである。
【0068】
【表2】
【0069】なお、比較例の仕上げ焼鈍後の表面状態
を平滑面(鏡面)と表中に記したが、表面は金属色を示
しているが鈍い光沢で、いわゆるダルと称される表面で
あった。
【0070】実施例3 実施例2における一次再結晶板を二次再結晶を安定化さ
せるために、アンモニア雰囲気中で窒化処理を行い、全
窒素量を210ppm としインヒビターを強化した。
【0071】その後、塩酸で鋼板表面に生成している酸
化層を除去し、Al2 3 (アルミナ)に亜硝酸ジシ
クロヘキシルアンモニウムを0.09%添加した焼鈍分
離剤を静電塗布し、1200℃まで、100%H2 雰囲
気で、Al2 3 (アルミナ)に亜硝酸ジシクロヘキ
シルアンモニウムを0.09%添加した焼鈍分離剤を静
電塗布し、1200℃まで、5%N2 −95%H2 雰囲
気で、Al2 3 (アルミナ)に亜硝酸ジシクロヘキ
シルアンモニウムを0.09%添加した焼鈍分離剤を静
電塗布し、1200℃で、75%N2 −25%H2 雰囲
気で、さらに比較のためAl2 3 (アルミナ):1
00%の焼鈍分離剤を静電塗布し、1200℃まで、5
%N2 −95%H2 雰囲気で、30℃/Hrの昇温速度を
保ちながら昇温し、1200℃到達後100%水素と
し、該温度で20時間保持した。
【0072】仕上げ焼鈍終了後レーザービームを照射
し、リン酸−クロム酸系の張力コーティング処理を行っ
た。得られた製品の特性は、表3の通りである。
【0073】
【表3】
【0074】なお、比較例の仕上げ焼鈍後の表面状態
を平滑面(鏡面)と表中に記したが、表面は金属色を示
しているが鈍い光沢で、いわゆるダルと称される表面で
あった。
【0075】実施例4 Si:3.2重量%、酸可溶性Al:0.030重量
%、N:0.007重量%、Mn:0.14重量%、
S:0.007重量%、C:0.05重量%、残部Fe
及び不可避的不純物からなる珪素熱延鋼帯を1100℃
で2分間焼鈍した後冷間圧延し、0.15mm厚とした。
これらの冷延板を脱炭を兼ねるために湿水雰囲気とした
焼鈍炉で850℃で2分間焼鈍し、一次再結晶させた。
次に二次再結晶を安定化させるためにアンモニア雰囲気
中で窒化処理を行い、全窒素量を200ppm とし、イン
ヒビターを強化した。
【0076】その後、フッ酸の混合した硫酸で鋼板表面
に生成している酸化層を除去し、Al2 3 (アルミ
ナ)にトリエタノールアミン0.00%、0.01
%、0.10%、0.5%、1.0%、2.0
%添加した焼鈍分離剤を水スラリー状態で塗布した。こ
れらの材料を、1200℃まで、75%N2 −25%H
2 雰囲気で、30℃/Hrの昇温速度を保ちながら昇温
し、1200℃到達後100%水素とし、該温度で20
時間保持した。
【0077】仕上げ焼鈍終了後、レーザービームを照射
し、リン酸−クロム酸系の張力コーティング処理を行っ
た。得られた製品の特性は、表4の通りである。
【0078】
【表4】
【0079】なお、比較例の仕上げ焼鈍後の表面状態
を平滑面(鏡面)と表中に記したが、表面は金属色を示
しているが鈍い光沢で、いわゆるダルと称される表面で
あった。
【0080】
【発明の効果】本発明により、磁束密度が高く、磁気特
性を阻害する要因である鋼板表面の凹凸の小さい(鏡面
である)方向性電磁鋼板が容易に得られ、レーザービー
ム照射処理等の磁区細分化、張力コーティング処理によ
り極めて低鉄損の磁気材料が提供された。この方向性電
磁鋼板の製造に当たっては鋼板の鏡面化処理が通常の仕
上げ焼鈍炉中で行われるため、極めて容易であり、工業
上の価値は絶大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】仕上げ焼鈍中の鋼板のインヒビター(酸可溶性
Al)の変化を示す図表である。
【図2】酸可溶性Alを含有せずSを含有する鋼板の仕
上げ焼鈍中の鋼板のSの変化を示す図表である。
【図3】(a)及び(b)は鋼板表面の光触針式粗度計
の測定図である。

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 珪素熱延鋼帯を焼鈍した後、あるいは
    焼鈍を行わずに、1回または中間焼鈍を挟む2回以上の
    冷間圧延を行い、所定の板厚とし、次いで一次再結晶焼
    鈍を行った後焼鈍分離剤を塗布し、仕上げ焼鈍を施す方
    向性珪素鋼板の製造方法において、一次再結晶焼鈍後、
    Al2 3 (アルミナ)を主成分とし、防錆剤を含む焼
    鈍分離剤を塗布し、中性あるいは還元性雰囲気で仕上げ
    焼鈍することを特徴とする方向性珪素鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】 珪素熱延鋼帯を焼鈍した後、あるいは
    焼鈍を行わずに、1回または中間焼鈍を挟む2回以上の
    冷間圧延を行い、所定の板厚とし、次いで一次再結晶焼
    鈍を行った後焼鈍分離剤を塗布し、仕上げ焼鈍を施す方
    向性珪素鋼板の製造方法において、一次再結晶焼鈍後、
    該焼鈍工程で生ずる鋼板表面の酸化膜を除去し、Al2
    3 (アルミナ)を主成分とし、防錆剤を含む焼鈍分離
    剤を塗布し、中性あるいは還元性雰囲気で仕上げ焼鈍す
    ることを特徴とする方向性珪素鋼板の製造方法。
  3. 【請求項3】 Si:2.0〜4.8重量%、 酸可溶性Al:0.008〜0.05重量%、 N≦0.010重量%、 残部Fe及び不可避的不純物からなる珪素熱延鋼帯を
    焼鈍した後、あるいは焼鈍を行わずに、1回または中間
    焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延を行い、所定の板厚と
    し、次いで一次再結晶焼鈍を行った後焼鈍分離剤を塗布
    し、仕上げ焼鈍を施す方向性珪素鋼板の製造方法におい
    て、一次再結晶焼鈍後、Al2 3 (アルミナ)を主成
    分とし、防錆剤を含む焼鈍分離剤を塗布し、中性あるい
    は還元性雰囲気で仕上げ焼鈍することを特徴とする方向
    性珪素鋼板の製造方法。
  4. 【請求項4】 Si:2.0〜4.8重量%、 酸可溶性Al:0.008〜0.05重量%、 N≦0.010重量%、 残部Fe及び不可避的不純物からなる珪素熱延鋼帯を
    焼鈍した後、あるいは焼鈍を行わずに、1回または中間
    焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延を行い、所定の板厚と
    し、次いで一次再結晶焼鈍を行った後焼鈍分離剤を塗布
    し、仕上げ焼鈍を施す方向性珪素鋼板の製造方法におい
    て、一次再結晶焼鈍後、同焼鈍工程で生じる鋼板表面の
    酸化膜を除去し、Al2 3 (アルミナ)を主成分と
    し、防錆剤を含む焼鈍分離剤を塗布し、中性あるいは還
    元性雰囲気で仕上げ焼鈍することを特徴とする方向性珪
    素鋼板の製造方法。
  5. 【請求項5】 珪素熱延鋼帯を焼鈍した後、あるいは
    焼鈍を行わずに、1回または中間焼鈍を挟む2回以上の
    冷間圧延を行い、所定の板厚とし、次いで一次再結晶焼
    鈍を行った後焼鈍分離剤を塗布し、仕上げ焼鈍を施す方
    向性珪素鋼板の製造方法において、一次再結晶焼鈍後、
    アンモニアによる窒化処理を行い、しかる後、Al2
    3 (アルミナ)を主成分とし、防錆剤を含む焼鈍分離剤
    を塗布し、中性あるいは還元性雰囲気で仕上げ焼鈍する
    ことを特徴とする方向性珪素鋼板の製造方法。
  6. 【請求項6】 珪素熱延鋼帯を焼鈍した後、あるいは
    焼鈍を行わずに、1回または中間焼鈍を挟む2回以上の
    冷間圧延を行い、所定の板厚とし、次いで一次再結晶焼
    鈍を行った後焼鈍分離剤を塗布し、仕上げ焼鈍を施す方
    向性珪素鋼板の製造方法において、一次再結晶焼鈍後、
    アンモニアによる窒化処理を行い、しかる後、一次再結
    晶焼鈍工程で生じる鋼板表面の酸化膜を除去し、Al2
    3 (アルミナ)を主成分とし、防錆剤を含む焼鈍分離
    剤を塗布し、中性あるいは還元性雰囲気で仕上げ焼鈍す
    ることを特徴とする方向性珪素鋼板の製造方法。
  7. 【請求項7】 Si:2.0〜4.8重量%、 酸可溶性Al:0.008〜0.05重量%、 N≦0.010重量%、 残部Fe及び不可避的不純物からなる珪素熱延鋼帯を
    焼鈍した後、あるいは焼鈍を行わずに、1回または中間
    焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延を行い、所定の板厚と
    し、次いで一次再結晶焼鈍を行った後焼鈍分離剤を塗布
    し、仕上げ焼鈍を施す方向性珪素鋼板の製造方法におい
    て、一次再結晶焼鈍後、アンモニアによる窒化処理を行
    い、しかる後、Al2 3 (アルミナ)を主成分とし、
    防錆剤を含む焼鈍分離剤を塗布し、中性あるいは還元性
    雰囲気で仕上げ焼鈍することを特徴とする方向性珪素鋼
    板の製造方法。
  8. 【請求項8】 Si:2.0〜4.8重量%、 酸可溶性Al:0.008〜0.05重量%、 N≦0.010重量%、 残部Fe及び不可避的不純物からなる珪素熱延鋼帯を
    焼鈍した後、あるいは焼鈍を行わずに、1回または中間
    焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延を行い、所定の板厚と
    し、次いで一次再結晶焼鈍を行った後焼鈍分離剤を塗布
    し、仕上げ焼鈍を施す方向性珪素鋼板の製造方法におい
    て、一次再結晶焼鈍後、アンモニアによる窒化処理を行
    い、しかる後、一次再結晶焼鈍工程で生じる鋼板表面の
    酸化膜を除去し、Al2 3 (アルミナ)を主成分と
    し、防錆剤を含む焼鈍分離剤を塗布し、中性あるいは還
    元性雰囲気で仕上げ焼鈍することを特徴とする方向性珪
    素鋼板の製造方法。
  9. 【請求項9】 鋼板表面の酸化膜を除去する方法を酸洗
    とすることを特徴とする請求項2,4,6または8記載
    の方向性珪素鋼板の製造方法。
  10. 【請求項10】 鋼板表面の酸化膜を除去する方法をフ
    ッ酸を混入した酸で酸洗することを特徴とする請求項
    2,4,6または8記載の方向性珪素鋼板の製造方法。
  11. 【請求項11】 防錆剤を水溶性防錆剤とし、焼鈍分離
    剤の塗布を水スラリー塗布とすることを特徴とする請求
    項1〜10のいずれか1項に記載の方向性珪素鋼板の製
    造方法。
  12. 【請求項12】 昇温時の雰囲気中N2 を5%以上とす
    ることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に
    載の方向性珪素鋼板の製造方法。
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