JP2684467B2 - 鏡面方向性珪素鋼板の製造方法 - Google Patents

鏡面方向性珪素鋼板の製造方法

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JP2684467B2
JP2684467B2 JP3186677A JP18667791A JP2684467B2 JP 2684467 B2 JP2684467 B2 JP 2684467B2 JP 3186677 A JP3186677 A JP 3186677A JP 18667791 A JP18667791 A JP 18667791A JP 2684467 B2 JP2684467 B2 JP 2684467B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は鉄損が極めて低い方向性
珪素鋼板(以下方向性電磁鋼板と云う)の製造方法に関
するものである。特に、二次再結晶工程(仕上焼鈍工
程)で、その鋼板表面にフォルステライト(以下、グラ
スと云う)被膜を形成させず、同時にサーマルエッチン
グにより鋼板表面を鏡面とした状態で同工程を完了さ
せ、その後、磁区細分化、張力コーティング等の処理を
行い、鉄損特性の改善を図ろうとするものである。
【0002】
【従来の技術】方向性電磁鋼板は電気機器の磁気鉄心と
して多用され、エネルギーロスを少なくすべく、改善が
繰り返されてきた。方向性電磁鋼板の鉄損を低減する手
段として、仕上焼鈍後の材料表面にレーザービームを照
射し、局部歪を与え、それによって磁区を細分化して鉄
損を低下させる方法が、例えば特開昭58−26405
号公報に開示されている。また局部歪は、通常行われる
加工後の応力除去焼鈍(歪取焼鈍)によって除去される
ので、磁区細分化効果が消失する。この改善策、すなわ
ち応力除去焼鈍しても磁区細分化効果が消失しない手段
が、例えば特開昭62−8617号公報に開示されてい
る。さらに鉄損値の低減を図かるためには、鋼板表面近
傍の磁区の動きを阻害する地鉄表面の凹凸を取り除くこ
と(平滑化)が重要である。平滑化の最も高いレベルが
鏡面化である。仕上焼鈍後の材料表面を平滑化(鏡面
化)する方法としては、特開昭64−83620号公報
に開示されている化学研磨、電解研磨等がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来、鋼板表面を鏡面
化(平滑化)する方法としては、前記化学研磨、電解研
磨の他にブラシ研磨、サンドペーパー研磨、研削等の化
学的あるいは物理的方法がある。しかしながら、これら
の方法は小試片、小量の試料を作るには適するが、工業
的に多量生産される金属ストリップ等の表面鏡面化(平
滑化)のためには諸々の困難を伴う。最も平滑化できる
とされる化学的方法、すなわち化学研磨においては、薬
剤濃度管理や排水処理等の環境問題があり、他方物理的
方法においては、工業的に大きな面積を持つ表面を同一
基準で平滑化(鏡面化)することは極めて困難である。
【0004】本発明はこれらの問題点を排除して、工業
的生産規模で方向性電磁鋼板の表面を鏡面化(平滑化)
する方法を提供することを目的とする。当然ながら、鏡
面化(平滑化)のために磁気特性が失われてはならな
い。本発明は仕上焼鈍工程で同時に前記目的を達成しよ
うとするものであり、二次再結晶の方位を制御してより
高い磁束密度(B8)を得つつ、かつ鏡面(平滑表面)
を得ようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の特徴とするとこ
ろは、前記するように仕上焼鈍時に高い磁束密度
(B 8)を得つつ、鏡面(平滑表面)を得るところにあ
る。すなわち本発明は、通常行われているMgOを主体
とする焼鈍分離剤を用いずに、珪素より酸素親和性の強
い金属粉末を含み、かつAl2 3 等の如くSiO2
反応しないか、あるいは反応しにくい物質を主成分する
焼鈍分離剤を用いて仕上焼鈍し、方向性電磁鋼板の表面
にグラス(フォルステライト)被膜を形成させずに、金
属表面を露出させた状態で二次再結晶させ、同時にサー
マルエッチングにより金属表面を鏡面化(平滑化)する
ことを骨子とする。
【0006】この仕上焼鈍に際して、後述するように鋼
板中のインヒビター(AlN)は、残存する鋼板表面の
SiO2 あるいは雰囲気中の酸素と作用してAl2 3
(アルミナ)として除去されて弱まっていくので、製品
の磁束密度が十分高いとは言えない。この対策として、
本発明では酸素源となる前記する鋼板表面のSiO2
るいは雰囲気中の酸素(あるいは水分)を除去する物質
を焼鈍分離剤中に含ませて鋼中インヒビターの劣化を遅
くさせながら、すなわちインヒビター強度を強く保ちな
がら二次再結晶させて高い磁束密度を得るように配慮す
るものである。
【0007】本発明の要旨とするところは、Si:2.
0〜4.8重量%、酸可溶性Al:0.008〜0.0
5重量%、N≦0.010重量%、残部Fe及び不可避
的不純物からなる珪素熱延鋼帯を、焼鈍した後、あるい
は焼鈍を行わずに、1回または中間焼鈍をはさむ2回以
上の冷間圧延を行い、所定の板厚とし、次いで一次再結
晶焼鈍を行った後、同焼鈍工程で生じる鋼板表面の酸化
膜を除去し、焼鈍分離剤を塗布し、仕上焼鈍を行う方向
性珪素鋼板の製造において、珪素より酸素親和性の強い
金属粉末を含み、かつSiO 2 と反応しないかあるいは
反応しにくい物質を主成分とする焼鈍分離剤を用い、窒
素5%以上を含む中性あるいは還元性雰囲気で仕上焼鈍
を行うことを特徴とする鏡面方向性珪素鋼板の製造方法
にある。
【0008】本発明の実施にあたり、珪素より酸素親和
性の強い金属粉末として、アルミニウム(Al)、チタ
ン(Ti)及びバナジウム(V)の金属粉末を単独ある
いは2種以上混合して用いることができる。焼鈍分離剤
の主成分としてAl2 3 (アルミナ)を用いることが
最も有効であるが、MgO以外のアルカリ土金属の酸化
物を用いることもできる。また、焼鈍分離剤の塗布時の
水分持ち込みをより少なくするために静電塗布を用いる
ことは極めて有効である。
【0009】以下、本発明について詳細に説明する。本
発明者等は、仕上焼鈍中のインヒビター劣化の律速過程
を詳しく調査したところ、鋼板界面におけるAlの酸化
過程が最大の因子であり、一次再結晶焼鈍時生ずる鋼板
表面の酸化層がインヒビターの劣化に大きく関与してい
ることを見出した。調査は以下の如くして行われた。
【0010】Si:3.3重量%、酸可溶性Al:0.
028重量%、N:0.008重量%、Mn:0.14
重量%、S:0.007重量%、C:0.05重量%、
残部Fe及び不可避的不純物からなる珪素熱延鋼帯を1
100℃で2分間焼鈍した後、冷間圧延し、0.23m
m厚とした。
【0011】これらの冷延板を、脱炭を兼ねるために湿
水雰囲気とした焼鈍炉で800℃で2分間焼鈍し、一次
再結晶させた。次に二次再結晶を安定化させるためにア
ンモニア雰囲気中で窒化処理を行い、全窒素量を180
ppmとし、インヒビターを強化した。その後、その
まま、及び0.5%フッ酸−5%硫酸混合溶液で酸洗
した二種の材料にAl2 3 を静電塗布し、100%H
2 雰囲気で、15℃/Hrの昇温速度を保ちながら仕上
焼鈍を行った。
【0012】仕上焼鈍中のインヒビター(AlN、(A
l、Si)N等)を調べたところ、図1に示すように、
一次再結晶焼鈍時鋼板表面に生ずる酸化層を有するの
材料は、酸化層のないの材料に比べて、インヒビター
強度が早く劣化することが分かった。すなわち、一次再
結晶焼鈍時鋼板表面に生じる酸化層を除去すれば、高温
まで強いインヒビター強度が保持できるのである。鋼板
中の酸可溶性Alは、仕上焼鈍中にSiO2 を主体とす
る酸化層から酸素を取り、Al2 3 等となって酸化層
中に析出する。従って鋼板中の酸可溶性Alは減少して
いく。
【0013】なお、図1では、インヒビター強度として
鋼中酸可溶性Al濃度を示したが、Alは、AlN、
(Al、Si)N等の化合物(析出物)を形成してイン
ヒビターとなっているので、酸可溶性Al量がインヒビ
ター強度を示す指標と考えてよい。さらに、本発明者等
はインヒビター劣化の律速過程を詳しく調査したとこ
ろ、前記の鋼板界面における酸化層以外に焼鈍雰囲気中
の酸素にも影響されることが分かった。酸素源を減少さ
せることにより、さらにインヒビターの劣化を少なくす
ること、及び本発明の主目的とするところの酸素を取る
物質を鋼板界面に存在させることにより、さらにインヒ
ビターの劣化を少なくすることが可能であることが分か
った。酸素源を減少させることにより、さらにインヒビ
ターの劣化を少なくする方法としては、焼鈍分離剤の塗
布を通常行われる水スラリーによる塗布より静電塗布に
よる水を用いない塗布方法の方が有利である。酸素を取
る物質を鋼板界面に存在させることによりインヒビター
の劣化を少なくする方法としては、金属Al粉末等の酸
素親和性の高い物質を焼鈍分離剤中に入れる方法を用い
るのが有利である。金属Al粉末等の酸素親和性の高い
物質は、雰囲気中の酸素や水分中酸素を除去するばかり
でなく、鋼板中に残存するSiO2 等の鋼板中Al酸化
の酸素源からも酸素を奪い取る。従って、鋼板中Alの
酸化は遅れ、インヒビターは強い状態が保持される。
【0014】図2に、一次再結晶焼鈍時鋼板表面に生じ
る酸化層を除去した鋼板を用いて、金属Al粉末を0.
1%含有したアルミナ焼鈍分離剤を用いた場合の仕上焼
鈍における鋼中酸可溶性Alの変化を、金属Al粉末を
含有しないアルミナ焼鈍分離剤を用いた場合のそれと対
比して示す。明らかに金属Al粉末を0.1%含有した
アルミナ焼鈍分離剤を用いた場合の酸可溶性Alの減少
は少ない。
【0015】なお、鋼中酸可溶性Alの変化は、窒素量
にも影響されることが分かった。焼鈍雰囲気中の窒素
は、鋼板界面を通して鋼中に入り、鋼中の窒素量を増加
させているものであり、その効果は、当初から鋼中に入
っている窒素と同じである。鋼中窒素及び焼鈍雰囲気中
の窒素はAlN等の析出物を増加させてAlを固定し、
Alの鋼板界面への移動を少なくするため、Alの酸化
が抑制されるのである。
【0016】従って、仕上焼鈍中の鋼中酸可溶性Alは
窒素分圧の高い方が酸化が抑制されるので、インヒビタ
ー劣化は少なく、高温までインヒビターは強い。しかし
ながら本発明の目的とするところの一つである鏡面を得
るには、窒素分圧があまり高くなり過ぎてはいけない。
以下、実施条件について述べる。
【0017】一次再結晶焼鈍時、鋼板表面にできる酸化
層を除去する方法としては、機械研磨、例えばブラシ研
磨、サンドペーパー研磨、研削等があり、酸化層除去の
目的には有効であるが、工業上種々の困難を伴い、あま
り実用的でない。本発明者等は、酸洗による方法が極め
て有効であることに気付いた。これは、熱延鋼帯あるい
は鋼板等の連続酸洗ラインが既に実用化されているから
である。また、酸洗液(酸洗溶液)としては、塩酸、硫
酸、硝酸等の鉱酸が有効であるが、鋼板表面にできる酸
化層は主にSiO2 を主体とした酸化物であるために塩
酸、硫酸、硝酸等の鉱酸だけでは酸洗しにくい。これら
の酸にフッ酸を混合すると極めて効率的に、すなわち高
速で酸化層を除去することができる。
【0018】また、一次再結晶焼鈍後から仕上焼鈍前に
アンモニアにより窒化処理を行い、インヒビターを強化
することは有効である。この窒化処理を行うのは、一次
再結晶完了時のインヒビター強度では、二次再結晶のた
めには不十分であり、また仕上焼鈍中の窒素分圧を上げ
てインヒビターを強化するかあるいは劣化防止をしたと
しても、二次再結晶時に十二分なインヒビター強度を確
保できないからで、このアンモニアを用いる窒化処理に
よるインヒビター強化で、磁気特性を向上させることが
できる。
【0019】二次再結晶進行時に必要なインヒビターを
確保するために昇温時あるいは二次再結晶のための保持
時に焼鈍雰囲気中に窒素ガスを5%以上入れるのがよ
い。窒素ガスが5%未満では、インヒビターの強化ある
いは劣化防止には効果が薄い。なお、中性あるいは還元
性雰囲気とは、窒素、酸素、水分、水素、アルゴン等の
不活性ガスの内から選ばれる1種あるいは2種以上のガ
スの混合物で、珪素の酸化、還元に対して中性あるいは
還元性であるガス組成をいう。一般に電磁鋼板の仕上焼
鈍では窒素及び水素ガスが用いられるので、この両ガス
の0%から100%までの組み合わせが用いられる。窒
素分圧を調整するために、この両ガスの組み合わせにア
ルゴン、ヘリウム等の不活性ガスを混合しても何等支障
はない。中性あるいは還元性雰囲気とするのは、鋼中A
lの減少防止のため及び鋼中の珪素を酸化させて表面に
SiO2 を造らせないか、増加させないためである。
【0020】本発明においては、一次再結晶焼鈍後、鋼
板表面の酸化層を除去するので、仕上焼鈍前の鋼板表面
にSiO2 は存在しないが、仕上焼鈍炉中の僅かな酸素
あるいは水分によって仕上焼鈍中に小量のSiO2 が生
成する。ここにMgOが存在するとフォルステライト被
膜(グラス被膜)を形成するので、焼鈍分離剤の主成分
としては、SiO2 と反応しないか、または反応しにく
い物質が必要である。この目的に合致するものとして
は、Al2 3 (アルミナ)が最もよい。鏡面を得ると
いう観点からは、BaO、CaO、SrO等のアルカリ
土金属の酸化物粉末が有効である。また鋼板表面に被膜
を作らないためには、反応性の小さい物質状態、例えば
粉末の粒度を大きくするとか、水和物を作ることなく鋼
板表面に塗布する方法が有効である。
【0021】この焼鈍分離剤の主成分に、本発明に従い
珪素より酸素親和性の強い金属粉末を0.01%から1
0.0%添加する。このような金属粉末としてはAl、
V、Ti等があるが、V、Tiは、V2 5 、TiO2
となり、一時雰囲気中あるいは鋼板表面のSiO2 から
酸素を奪うが、Alと出会うと酸素を放出するので効果
が小さい。最も効果的なのはAlである。Alは一時雰
囲気中あるいは鋼板表面のSiO2 から酸素を奪ってA
2 3 となるが、Alと出会っても酸素を放出しな
い。
【0022】さらに本発明の主旨とするところの酸素源
を絶つという観点から鋼板表面に焼鈍分離剤を塗布する
方法として静電塗布は極めて有効である。仕上焼鈍にお
ける二次再結晶可能な温度までの昇温速度は、高速であ
ればあるほどインヒビターの劣化が少なく好都合であ
る。昇温速度が15℃/Hr未満ではインヒビターの劣
化が著しく、二次再結晶時に必要なインヒビターが確保
されないので、十分な二次再結晶が得られず鋼板の磁束
密度(B8)は低い。
【0023】二次再結晶させるために一定の温度で保持
することは有効である。このようにすれば、インヒビタ
ーの劣化を防止して適度なインヒビター強度で二次再結
晶させることができる。この保持温度が920℃未満で
は、二次再結晶完了までの時間が長くなり過ぎて実用的
でなくなる。また、1150℃超では、インヒビター劣
化が著しくなり過ぎて二次再結晶完了まで必要なインヒ
ビターを確保できない。二次再結晶させるための保持時
間は5時間以上が必要で、これより短い時間では保持時
間内に二次再結晶は完了しない。しかしながら、本発明
においては、一次再結晶焼鈍時に生成する鋼板表面酸化
層を除去し、さらに鋼中Al酸化の酸素源を減少させる
方策をとっているのでインヒビター劣化は遅く、一定温
度での保持は必ずしも必要でない。なお、二次再結晶完
了後、純化及び鋼板表面の鏡面化を完全にするために1
200℃付近、100%水素雰囲気中で、数時間保持す
ることは極めて有効である。
【0024】本発明における鋼組成は、Si:2.0〜
4.8重量%、酸可溶性Al:0.008〜0.05重
量%、N≦0.010重量%、残部Fe及び不可避的不
純物からなり、それ以外の元素は特に限定しない。Si
は、電気抵抗を高め鉄損を下げるうえで重要であるが、
含有量が4.8%超では冷間圧延時に割れ易くなる。一
方、2.0%未満では電気抵抗が低く、鉄損を下げるう
えで問題がある。
【0025】酸可溶性Alはインヒビター構成元素とし
て重要であり、窒素、珪素等と化合して、AlN、(A
l、Si)N等の析出物を作り、インヒビターの役割を
果たす。インヒビター強度の面、すなわち高い磁束密度
が得られる含有量の範囲は0.008〜0.05重量%
である。窒素は、含有量が0.010重量%超ではブリ
スターと呼ばれる空孔を鋼板中に生ずるので、0.01
0重量%以下とする。
【0026】またインヒビター構成元素として、Mn、
S、Se、Sn、B、Bi、Nb、Ti、P等を添加す
ることができる。以下、本発明の実施態様を述べる。S
i:2.0〜4.8重量%、酸可溶性Al:0.008
〜0.05重量%、N≦0.010重量%、残部Fe及
び不可避的不純物からなる溶鋼を、通常の工程で、もし
くは連続鋳造を経て、熱延鋼板あるいは熱延鋼帯とす
る。この熱延鋼板あるいは熱延鋼帯に、750〜120
0℃の温度域で、30秒〜30分間磁束密度向上のため
の焼鈍が施される。続いて、これらの熱延鋼板あるいは
熱延鋼帯は冷間圧延される。冷間圧延は、特公昭40−
15644号公報に開示されているように最終冷間圧延
率80%以上とする。
【0027】冷間圧延後の材料は、通常鋼中の炭素を除
去するために湿水雰囲気中で、750〜900℃の温度
域で一次再結晶焼鈍される。この時、脱炭、一次再結晶
と共に、鋼板表面には酸化層が形成される。この酸化層
は、湿水雰囲気、すなわち水分の入った雰囲気の水分量
の程度(通常、露点で表す)によるが、いわゆる内部酸
化層を形成し、鋼板表面から0.1〜6.0μmの厚さ
になり、ここには酸化物として主にSiO2 が存在す
る。なお、一次再結晶焼鈍時形成される酸化物の酸素量
の80〜90%以上はSiO2 の形態をとっている。
【0028】一次再結晶後の鋼板あるいは鋼帯は、表面
の酸化層が除去される。この酸化層除去方法には、前記
の通り物理的及び化学的方法があるが、一般に酸洗によ
って行われる。鋼板表面の酸化層除去に先だってインヒ
ビター強化のためアンモニアによる窒化処理を行うこと
は磁束密度向上に極めて有効である。かくして表面の酸
化層が除去された一次再結晶板は、珪素より酸素親和性
の強い金属粉末を含む焼鈍分離剤が塗布されて仕上焼鈍
炉に入れられる。仕上焼鈍の昇温速度は、インヒビター
劣化を防止するために、なるべく大きく、望ましくは1
5℃/Hr以上とする。仕上焼鈍の雰囲気は、通常二次
再結晶完了までは窒素5%以上を含む中性あるいは還元
性雰囲気とし、二次再結晶完了後は純化のため100%
水素雰囲気中で高温(約1200℃)保持される。な
お、通常用いられる焼鈍分離剤(MgOを主体とする)
と異なり、焼鈍分離剤に水分あるいは水和水分を持ち込
まないようにできるので、仕上焼鈍中、水分あるいは水
和水分除去のための工程が要らず、その分仕上焼鈍を短
くすることができる。
【0029】仕上焼鈍終了後、レーザービーム照射等の
磁区細分化処理を行い、さらに張力コーティング処理を
行う。
【0030】
【実施例】 実施例1 Si:3.2重量%、酸可溶性Al:0.027重量
%、N:0.008重量%、Mn:0.13重量%、
S:0.007重量%、C:0.05重量%、残部Fe
及び不可避的不純物からなる珪素熱延鋼帯を1100℃
で2分間焼鈍した後、冷間圧延し、0.23mm厚とし
た。これらの冷延板を、脱炭を兼ねるために湿水雰囲気
とした焼鈍炉で830℃で2分間焼鈍し、一次再結晶さ
せた。次に二次再結晶を安定化させるために、アンモニ
ア雰囲気中で窒化処理を行い、全窒素量を200ppm
とし、インヒビターを強化した。その後、0.5%フッ
酸−5%硫酸混合溶液で酸洗した。この材料に、Al
2 3 :100%からなる焼鈍分離剤、Al2 3
99.9%及び金属Al粉末:0.1%からなる焼鈍分
離剤を静電塗布し、1200℃まで、25%N2 −75
%H2 雰囲気で、30℃/Hrの昇温速度を保ちながら
昇温し、1200℃到達後、その温度で10時間保持し
た。仕上焼鈍終了後、レーザービームを照射し、リン酸
−クロム酸系の張力コーティング処理を行った。得られ
た製品の特性は表1の通りである。
【0031】
【表1】
【0032】実施例2 Si:3.2重量%、酸可溶性Al:0.027重量
%、N:0.008重量%、Mn:0.13重量%、
S:0.007重量%、C:0.05重量%、残部Fe
及び不可避的不純物からなる珪素熱延鋼帯を1100℃
で2分間焼鈍した後、冷間圧延し、0.23mm厚とし
た。これらの冷延板を、脱炭を兼ねるために湿水雰囲気
とした焼鈍炉で830℃で2分間焼鈍し、一次再結晶さ
せた。次に二次再結晶を安定化させるために、アンモニ
ア雰囲気中で窒化処理を行い、全窒素量を180ppm
とし、インヒビターを強化した。その後、0.5%フッ
酸−5%硫酸混合溶液で酸洗した。この材料に、Al
2 3 :100%からなる焼鈍分離剤、Al2 3
99.9%及び金属Al粉末:0.1%からなる焼鈍分
離剤を静電塗布し、1100℃まで、窒素5%−水素9
5%雰囲気で、150℃/Hrの昇温速度を保ちながら
昇温し、1100℃到達後その温度で10時間保持し
た。さらに雰囲気を水素100%とし、150℃/Hr
の昇温速度で、1200℃まで昇温し、この温度で10
時間保持した。仕上焼鈍終了後、レーザービームを照射
し、リン酸−クロム酸系の張力コーティング処理を行っ
た。得られた製品の特性は表2の通りである。
【0033】
【表2】
【0034】
【発明の効果】本発明により、磁気特性を阻害する要因
である鋼板表面の凹凸の小さい(鏡面である)方向性電
磁鋼板が容易に得られ、この方向性電磁鋼板にレーザー
ビーム照射処理等の磁区細分化、張力コーティング処理
を施すことにより極めて低鉄損の磁気材料が提供され
る。この方向性電磁鋼板の製造に当たっては、鋼板の鏡
面化処理が通常の仕上焼鈍炉中で行われるため極めて容
易であり、工業上の価値は絶大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】仕上焼鈍中の鋼板のインヒビター(酸可溶性A
l)の変化を示す図であり、一次再結晶焼鈍後、は焼
鈍ままの材料、は表面酸化層を取り除いた材料につい
てのものである。
【図2】仕上焼鈍中の鋼板のインヒビター(酸可溶性A
l)の変化を示す図であり、一次再結晶焼鈍後、表面酸
化層を取り除いた材料に、Al2 3 :100%から
なる焼鈍分離剤、Al2 3 :99.9%及び金属A
l粉末:0.1%からなる焼鈍分離剤を静電塗布した材
料についてのものである。

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Si:2.0〜4.8重量%、酸可溶性
    Al:0.008〜0.05重量%、N≦0.010重
    量%、残部Fe及び不可避的不純物からなる珪素熱延鋼
    帯を、焼鈍した後、あるいは焼鈍を行わずに、1回また
    は中間焼鈍をはさむ2回以上の冷間圧延を行い、所定の
    板厚とし、次いで一次再結晶焼鈍を行った後、同焼鈍工
    程で生じる鋼板表面の酸化膜を除去し、焼鈍分離剤を塗
    布し、仕上焼鈍を行う方向性珪素鋼板の製造において、
    珪素より酸素親和性の強い金属粉末を含み、かつSiO
    2 と反応しないかあるいは反応しにくい物質を主成分と
    する焼鈍分離剤を用い、窒素5%以上を含む中性あるい
    は還元性雰囲気で仕上焼鈍を行うことを特徴とする鏡面
    方向性珪素鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】 珪素より酸素親和性の強い金属粉末とし
    て、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)及びバナジ
    ウム(V)の金属粉末を単独あるいは2種以上混合して
    用いることを特徴とする請求項1記載の鏡面方向性珪素
    鋼板の製造方法。
  3. 【請求項3】 焼鈍分離剤としてAl2 3 (アルミ
    ナ)を主成分とすることを特徴とする請求項1記載の鏡
    面方向性珪素鋼板の製造方法。
  4. 【請求項4】 焼鈍分離剤としてMgO以外のアルカリ
    土金属の酸化物を主成分とすることを特徴とする請求項
    1記載の鏡面方向性珪素鋼板の製造方法。
  5. 【請求項5】 焼鈍分離剤の塗布を静電塗布とすること
    を特徴とする請求項1記載の鏡面方向性珪素鋼板の製造
    方法。
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