JP2689193B2 - 鏡面方向性珪素鋼帯の製造方法 - Google Patents

鏡面方向性珪素鋼帯の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は鉄損が極めて低い方向性
珪素鋼帯(以下方向性電磁鋼帯と云う)の製造方法に関
するものである。特に、二次再結晶工程(仕上焼鈍工
程)で、その鋼帯表面にフォルステライト(以下、グラ
スと云う)被膜を形成させず、同時にサーマルエッチン
グにより鋼帯表面を鏡面とした状態で同工程を完了さ
せ、その後、磁区細分化、張力コーティング等の処理を
行い、鉄損特性の改善を図ろうとするものである。
【0002】
【従来の技術】方向性電磁鋼帯は電気機器の磁気鉄心と
して多用され、エネルギーロスを少なくすべく、改善が
繰り返されてきた。方向性電磁鋼帯の鉄損を低減する手
段として、仕上焼鈍後の材料表面にレーザービームを照
射し、局部歪を与え、それによって磁区を細分化して鉄
損を低下させる方法が、例えば特開昭58−26405
号公報に開示されている。また局部歪は、通常行われる
加工後の応力除去焼鈍(歪取焼鈍)によって除去される
ので、磁区細分化効果が消失する。この改善策、すなわ
ち応力除去焼鈍しても磁区細分化効果が消失しない手段
が、例えば特開昭62−8617号公報に開示されてい
る。さらに鉄損値の低減を図かるためには、鋼板表面近
傍の磁区の動きを阻害する地鉄表面の凹凸を取り除くこ
と(平滑化)が重要である。平滑化の最も高いレベルが
鏡面化である。仕上焼鈍後の材料表面を平滑化(鏡面
化)する方法としては、特開昭64−83620号公報
に開示されている化学研磨、電解研磨等がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来、鋼板表面を鏡面
化(平滑化)する方法としては、前記化学研磨、電解研
磨の他にブラシ研磨、サンドペーパー研磨、研削等の化
学的あるいは物理的方法がある。しかしながら、これら
の方法は小試片、少量の試料を作るには適するが、工業
的に多量生産される金属ストリップ(鋼帯)等の表面鏡
面化(平滑化)のためには、諸々の困難を伴う。最も平
滑化できるとされる化学的方法、すなわち化学研磨にお
いては、薬剤濃度管理や排水処理等の環境問題があり、
他方物理的方法においては、工業的に大きな面積を持つ
表面を同一基準で平滑化(鏡面化)することが極めて困
難である。
【0004】本発明は、これらの問題点を排除して、工
業的生産規模で方向性電磁鋼帯の表面を鏡面化(平滑
化)する方法を提供することを目的とする。当然なが
ら、鏡面化(平滑化)のために磁気特性が失われてはな
らない。本発明においては、仕上焼鈍工程で同時に前記
目的を達成しようとするものである。すなわち、本発明
は二次再結晶の方位を制御しつつ、かつ鏡面(平滑表
面)を得ようとするものであり、これを鋼帯コイルの形
態で工業的に実施するための技術を提供しようとするも
のである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の特徴とするとこ
ろは、前記するように鋼帯コイルで仕上焼鈍時に鏡面
(平滑表面)を得るところにある。すなわち、本発明は
通常行われているMgOを主体とする焼鈍分離剤を用い
ずに、仕上焼鈍し、方向性電磁鋼帯の表面にグラス(フ
ォルステライト)被膜を形成させずに、金属表面を露出
させた状態で二次再結晶させ、同時にサーマルエッチン
グにより金属表面を鏡面化(平滑化)することを骨子と
する。
【0006】本発明の要旨とするところは、Si:2.
0〜4.8重量%、酸可溶性Al:0.008〜0.0
5重量%、N≦0.010重量%、残部Fe及び不可避
的不純物からなる珪素熱延鋼帯を、焼鈍した後、あるい
は焼鈍を行わずに、1回または中間焼鈍をはさむ2回以
上の冷間圧延を行い、所定の板厚とし、次いで一次再結
晶焼鈍を行った後、仕上焼鈍を施す方向性珪素鋼帯の製
造において、一次再結晶焼鈍後の鋼帯に、焼鈍分離剤と
してAl2 3 (アルミナ)を塗布し、鋼帯コイルとな
し、低温部及び高温部からなる炉構造で、それぞれに巻
き取りリールを有する仕上焼鈍炉の低温部に前記鋼帯コ
イルを入れ、920℃以上1150℃以下に保持した高
温部のリールに鋼帯の昇温速度が50℃/Hr以上にな
るように巻き取り、雰囲気を中性あるいは還元性とし、
5時間以上保持することを特徴とする鏡面方向性珪素鋼
帯の製造方法にある。
【0007】本発明の実施にあたり、インヒビター強化
のため、一次再結晶焼鈍後から仕上焼鈍炉に入る前にア
ンモニアによる窒化処理を行うこと及び仕上焼鈍時の雰
囲気を二次再結晶終了時までN2 :5%以上とすること
が有効である。また、焼鈍分離剤としては、Al2 3
(アルミナ)のほかにアルカリ土金属の酸化物の粉末を
用いることができる。塗布方法としては、静電塗布が極
めて効果的である。
【0008】以下、本発明について詳細に説明する。本
発明者等は、仕上焼鈍中のインヒビター劣化の律速過程
を詳しく調査したところ、鋼板界面におけるAlの酸化
過程が最大の因子であり、一次再結晶焼鈍時生じる鋼板
表面の酸化層がインヒビターの劣化に大きく関与してい
ることを見出した。調査は以下の如くして行われた。
【0009】Si:3.3重量%、酸可溶性Al:0.
028重量%、N:0.008重量%、Mn:0.14
重量%、S:0.007重量%、C:0.05重量%、
残部Fe及び不可避的不純物からなる珪素熱延鋼帯を1
100℃で2分間焼鈍した後、冷間圧延し、0.23m
m厚とした。これらの冷延板を、脱炭を兼ねるために湿
水雰囲気とした焼鈍炉で800℃で2分間焼鈍し、一次
再結晶させた。次に二次再結晶を安定化させるためにア
ンモニア雰囲気中で窒化処理を行い、全窒素量を180
ppmとし、インヒビターを強化した。その後、100
%H2 雰囲気で、15℃/Hr、150℃/Hrの
昇温速度を保ちながら仕上焼鈍を行った。
【0010】仕上焼鈍中のインヒビター(AlN、(A
l、Si)N等)を調べたところ、図1に示すように、
昇温速度の遅い(小さい)の材料は、昇温速度の早い
(大きい)の材料に比べて、インヒビター強度が早く
劣化することが分かった。すなわち、昇温速度を大きく
とれば、高温まで強いインヒビター強度が保持できるの
である。鋼帯中の酸可溶性Alは仕上焼鈍中にSiO2
を主体とする酸化層から酸素を取り、Al2 3 等とな
って酸化層中に析出する。従って鋼帯中の酸可溶性Al
は減少していく。なお、図1では、インヒビター強度と
して鋼中酸可溶性Al濃度を示したが、AlはAlN、
(Al、Si)N等の化合物(析出物)を形成して、イ
ンヒビターとなっているので、酸可溶性Al量がインヒ
ビター強度を示す指標と考えてよい。
【0011】また、本発明者等はインヒビター劣化の律
速過程を詳しく調査したところ、前記の鋼帯界面におけ
るAlの酸化以外に鋼中窒素及び焼鈍雰囲気中の窒素量
にも影響されることが分かった。なお、焼鈍雰囲気中の
窒素は鋼帯界面を通して鋼中に入り、鋼中の窒素量を増
加させているものであり、その効果は、当初から鋼中に
入っている窒素と同じである。鋼中窒素及び焼鈍雰囲気
中の窒素は、AlN等の析出物を増加させてAlを固定
し、Alの鋼帯界面への移動を少なくするため、Alの
酸化が抑制されるのである。
【0012】従って、仕上焼鈍中の鋼中酸可溶性Alは
窒素分圧の高い方が酸化が抑制されるので、インヒビタ
ー強度の劣化は少なく、高温までインヒビターは強い。
しかしながら本発明の主旨とするところの一つである鏡
面を得るには、窒素分圧があまり高くなり過ぎてはいけ
ない。大きい昇温速度を通常工業的に生産される鋼帯コ
イルのような数トンに及ぶ鋼帯コイルの各部位で実現す
ることは極めてむずかしい。これは、物理的には鋼材及
び焼鈍分離剤の熱伝導率と熱容量の問題である。そこで
本発明者等は高温に保持された炉中で鋼帯コイルを巻き
取る方法を見出した。以下、図2に基づいて説明する。
【0013】焼鈍分離剤としてAl2 3 (アルミナ)
を静電塗布して巻き取った鋼帯コイルを、リールをそれ
ぞれに有する低温部3及び高温部4からなる仕上焼鈍炉
5の低温部3のリールに装着する。雰囲気を前記のよう
にして低温部3及び高温部4を所定の温度にして低温部
3にある鋼帯コイル1を高温部のリール2に巻き取る。
この時、焼鈍分離剤は鋼帯(板)とよく密着していない
ので、鋼帯下側の焼鈍分離剤は剥がれ落ちてしまう。片
面(上面)の焼鈍分離剤だけでも焼鈍分離の役割は十分
果たせる。鋼帯(板)上面の焼鈍分離剤を確保する方法
としては図2に示すような巻き取り方法が有効である。
高温部のリールに巻き取る時の昇温速度は極めて大きく
とれる。本発明者等が用いた仕上焼鈍炉5では、200
℃/minに達することもできた。高温部4の温度を9
20℃以上とし、鋼帯(板)は5時間以上保持されて、
二次再結晶が完了する。さらに、方向性電磁鋼帯(板)
は、純化及びさらなる表面平滑化(鏡面化)のため12
00℃付近まで昇温され、5時間以上、100%水素中
で保持される。
【0014】以下、実施条件について述べる。一次再結
晶焼鈍後から仕上焼鈍前にアンモニアにより窒化処理を
行い、インヒビターを強化することは有効である。この
窒化処理を行うのは、一次再結晶完了時のインヒビター
強度では二次再結晶のためには不十分であり、また仕上
焼鈍中の窒素分圧を上げてインヒビターを強化するか、
あるいは劣化防止をしても、二次再結晶時に十二分なイ
ンヒビターを確保できないからである。このアンモニア
を用いる窒化処理によるインヒビターの強化で、磁気特
性を向上することができる。
【0015】雰囲気は、二次再結晶完了時まで中性ある
いは還元性とするが、二次再結晶進行時に必要なインヒ
ビターを確保するために、昇温及び保持時に焼鈍雰囲気
中に窒素ガスを5%以上入れるのが望ましい。窒素ガス
が5%未満ではインヒビターの強化あるいは劣化防止に
は効果が薄い。なお、中性あるいは還元性雰囲気とは、
窒素、酸素、水分、水素、アルゴン等の不活性ガスの内
から1種あるいは2種以上のガスの混合物で珪素の酸化
還元に対して中性あるいは還元性であるガス組成をい
う。一般に電磁鋼板の仕上焼鈍では、窒素及び水素ガス
が用いられるので、この両ガスの0%から100%まで
の組み合わせが用いられる。窒素分圧を調整するため
に、この両ガスの組み合わせにアルゴン、ヘリウム等の
不活性ガスを混合しても何等支障はない。中性あるいは
還元性雰囲気とするのは、鋼中Alの減少防止のため及
び鋼中の珪素を酸化させて表面にSiO2 を造らせない
か、増加させないためである。
【0016】仕上焼鈍炉の低温部の温度は鋼中酸可溶性
Alや窒素が減少しない温度とすべきであり、このため
に650℃未満とする必要がある。低温部から高温部へ
の鋼帯の移動、すなわち昇温は移動する鋼帯が高温部の
リールに巻き取られる前に高温部の温度になればよい
が、鋼帯の昇温速度が50℃/Hr未満になるような極
端に遅い巻き取り速度ではインヒビターが劣化して磁束
密度が低下する。
【0017】二次再結晶させるために一定の温度で保持
することは有効である。この保持により、インヒビター
の劣化を防止して適度なインヒビター強度で二次再結晶
させることができる。この保持温度が920℃未満では
二次再結晶完了までの時間が長くなり過ぎて実用的でな
くなる。また1150℃超ではインヒビター劣化が著し
くなり過ぎて二次再結晶完了まで必要なインヒビターを
確保できない。二次再結晶させるための保持時間は5時
間以上必要で、これより短い時間では保持時間内に二次
再結晶は完了しない。なお、二次再結晶完了後、純化及
び鋼帯表面の鏡面化を完全にするために、1200℃付
近で数時間保持することは極めて有効である。
【0018】焼鈍分離剤としては、SiO2 と反応しに
くい物質であればよく、Al2 3 (アルミナ)が最も
適している。またアルミナは水分の持ち込み防止に対し
ても極めて有効である。SiO2 と反応しにくいという
点ではアルカリ土金属の酸化物粉末を用いることもでき
る。これらは、鋼板(帯)表面に存在するSiO2 と反
応しにくい。水分の持ち込み防止という面で、静電塗布
は極めて有効である。
【0019】本発明における鋼組成は、Si:2.0〜
4.8重量%、酸可溶性Al:0.008〜0.05重
量%、N≦0.010重量%、残部Fe及び不可避的不
純物からなり、それ以外の元素は特に限定しない。Si
は、電気抵抗を高め鉄損を下げるうえで重要であるが、
その含有量が4.8%超では冷間圧延時に割れ易くな
る。一方、2.0%未満では電気抵抗が低く、鉄損を下
げるうえで問題がある。
【0020】酸可溶性Alはインヒビター構成元素とし
て重要であり、窒素、珪素等と化合してAlN、(A
l、Si)N等の析出物を作り、インヒビターの役割を
果たす。インヒビター強度の面、すなわち高い磁束密度
が得られる含有量の範囲は0.008〜0.05重量%
である。窒素は、その含有量が0.010重量%超では
ブリスターと呼ばれる空孔を鋼板中に生じるので、0.
010重量%以下とする。
【0021】また、インヒビター構成元素としてMn、
S、Se、Sn、B、Bi、Nb、Ti、P等を添加す
ることができる。以下、本発明の実施態様を述べる。S
i:2.0〜4.8重量%、酸可溶性Al:0.008
〜0.05重量%、N≦0.010重量%、残部Fe及
び不可避的不純物からなる溶鋼を、通常の工程で、もし
くは連続鋳造を経て、熱延鋼帯とする。この熱延鋼帯
に、750〜1200℃の温度域で、30秒〜30分間
磁束密度向上のための焼鈍が施される。続いて、これら
の熱延鋼帯は冷間圧延される。冷間圧延は、特公昭40
−15644号公報に開示されているように最終冷間圧
延率80%以上とする。
【0022】冷間圧延後の材料は、通常鋼中の炭素を除
去するために湿水雰囲気中で、750〜900℃の温度
域で一次再結晶焼鈍される。この時、脱炭、一次再結晶
と共に、鋼帯(板)表面には酸化層が形成される。この
酸化層は、湿水雰囲気、すなわち水分の入った雰囲気、
の水分量の程度(通常、露点で表す)によるが、いわゆ
る内部酸化層を形成し、鋼帯(板)表面から0.1〜
6.0μmの厚さになり、ここには酸化物として主にS
iO2 が存在する。なお、一次再結晶焼鈍時形成される
酸化物の酸素量の80〜90%以上はSiO2の形態を
とっている。インヒビター強化のためアンモニアによる
窒化処理を行うことは磁束密度向上に極めて有効であ
る。
【0023】一次再結晶焼鈍後、Al2 3 (アルミ
ナ)が静電塗布され、巻き取られて鋼帯コイルとされ
る。低温部及び高温部からなる炉構造で、それぞれに巻
き取りリールを有する仕上焼鈍炉の低温部に前記鋼帯コ
イルを入れ、920℃以上1150℃以下に保持した高
温部のリールに巻き取り、雰囲気を中性あるいは還元性
とし、5時間以上保持する。その後、1200℃付近、
水素:100%雰囲気中でさらなる鏡面化及び純化を行
う。仕上焼鈍終了後、レーザービーム照射等の磁区細分
化処理を行い、さらに張力コーティング処理を行う。
【0024】
【実施例】
実施例1 Si:3.2重量%、酸可溶性Al:0.027重量
%、N:0.008重量%、Mn:0.13重量%、
S:0.007重量%、C:0.05重量%、残部Fe
及び不可避的不純物からなる珪素熱延鋼帯を1100℃
で2分間焼鈍した後、冷間圧延し、0.23mm厚とし
た。これらの冷延板を、脱炭を兼ねるために湿水雰囲気
とした焼鈍炉で830℃で2分間焼鈍し、一次再結晶さ
せた。次に二次再結晶を安定化させるために、アンモニ
ア雰囲気中で窒化処理を行い、全窒素量を190ppm
とし、インヒビターを強化した。その後、一次再結晶鋼
帯にはAl2 3 (アルミナ)が静電塗布され、巻き取
られて鋼帯コイルされた。
【0025】この鋼帯コイルを、図2に示すような仕上
焼鈍炉の低温部に装着し、650℃に昇温し、この温度
で保持し、一方高温部を1100℃に昇温した。低温部
の鋼帯コイル及び高温部の温度が定常状態になった段階
で低温部のリールにある鋼帯コイルから高温部のリール
に巻き替えた。この時の鋼帯の昇温速度は150℃/m
inであった。1100℃で鋼帯コイルは、5時間保持
されて、二次再結晶が完了した。ここまでの雰囲気は、
10%窒素−90%水素とし、二次再結晶完了後100
%水素に切り換えて、さらに高温部の炉温を1200℃
まで昇温し、10時間保定した。仕上焼鈍終了後、レー
ザービームを照射し、リン酸−クロム酸系の張力コーテ
ィング処理を行った。得られた製品の特性は表1の通り
である。
【0026】以上は、本発明の例であり、比較例として
通常の仕上焼鈍を行った。すなわち前記一次再結晶が完
了した鋼帯をアンモニア雰囲気中で窒化処理し、全窒素
量を180ppmとし、インヒビターを強化した。その
後、MgOを主体とした焼鈍分離剤を水スラリー状で塗
布し、乾燥後、巻き取って鋼帯コイルとした。この鋼帯
コイルを通常の仕上焼鈍炉で、窒素:25%−水素:7
5%の雰囲気、15℃/Hrの昇温速度で1200℃ま
で昇温し、この温度で雰囲気を水素:100%とし、2
0時間保持した。仕上焼鈍終了後、レーザービームを照
射し、リン酸−クロム酸系の張力コーティング処理を行
った。得られた製品の特性は表1の通りである。
【0027】
【表1】
【0028】実施例2 実施例1における一次再結晶後のアンモニア雰囲気によ
る窒化処理で鋼中の窒素量を200ppmとして実施例
1と同様な処理を行った。得られた製品の特性は表2の
通りである。
【0029】
【表2】
【0030】
【発明の効果】本発明により、磁気特性を阻害する要因
である鋼板表面の凹凸の小さい(鏡面である)方向性電
磁鋼板が容易に得られ、この方向性電磁鋼板にレーザー
ビーム照射処理等の磁区細分化処理、張力コーティング
処理を施すことにより極めて低鉄損の磁気材料が提供さ
れる。この方向性電磁鋼帯の製造に当たっては、鋼帯の
鏡面化処理が鋼帯コイル状態で行われるため極めて容易
であり、工業上の価値は絶大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】仕上焼鈍中の鋼板のインヒビター(酸可溶性A
l)の変化を示す図であり、は昇温速度が15℃/H
rの材料、は昇温速度が150℃/Hrの材料につい
てのものである。
【図2】本発明を実施するための仕上焼鈍炉を示す模式
図である。
【符号の説明】
1 鋼帯コイル 2 高温部のリール 3 低温部 4 高温部 5 仕上焼鈍炉
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤井 浩康 福岡県北九州市八幡東区枝光1−1−1 新日本製鐵株式会社 技術開発本部内 (72)発明者 八ケ代 健一 福岡県北九州市戸畑区飛幡町1番1号 新日本製鐵株式会社 八幡製鐵所内 (72)発明者 近藤 泰光 福岡県北九州市戸畑区飛幡町1番1号 新日本製鐵株式会社 八幡製鐵所内

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Si:2.0〜4.8重量%、酸可溶性
    Al:0.008〜0.05重量%、N≦0.010重
    量%、残部Fe及び不可避的不純物からなる珪素熱延鋼
    帯を、焼鈍した後、あるいは焼鈍を行わずに、1回また
    は中間焼鈍をはさむ2回以上の冷間圧延を行い、所定の
    板厚とし、次いで一次再結晶焼鈍を行った後、仕上焼鈍
    を施す方向性珪素鋼帯の製造において、一次再結晶焼鈍
    後の鋼帯に、焼鈍分離剤としてAl2 3 (アルミナ)
    を塗布し、鋼帯コイルとなし、低温部及び高温部からな
    る炉構造で、それぞれに巻き取りリールを有する仕上焼
    鈍炉の低温部に前記鋼帯コイルを入れ、920℃以上1
    150℃以下に保持した高温部のリールに鋼帯の昇温速
    度が50℃/Hr以上になるように巻き取り、雰囲気を
    中性あるいは還元性とし、5時間以上保持することを特
    徴とする鏡面方向性珪素鋼帯の製造方法。
  2. 【請求項2】 一次再結晶焼鈍後から仕上焼鈍炉に入る
    前にアンモニアによる窒化処理を行うことを特徴とする
    請求項1記載の鏡面方向性珪素鋼帯の製造方法。
  3. 【請求項3】 仕上焼鈍時の雰囲気を二次再結晶終了時
    までN2 :5%以上とすることを特徴とする請求項1記
    載の鏡面方向性珪素鋼帯の製造方法。
  4. 【請求項4】 焼鈍分離剤として、MgO以外のアルカ
    リ土金属の酸化物粉末を用いることを特徴とする請求項
    1記載の鏡面方向性珪素鋼帯の製造方法。
  5. 【請求項5】 焼鈍分離剤の塗布を静電塗布とすること
    を特徴とする請求項1記載の鏡面方向性珪素鋼帯の製造
    方法。
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