JP4427225B2 - 方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主として変圧器その他の電気機器等の鉄心として利用される一方向性珪素鋼板の製造方法に関するものである。特に、その表面を効果的に仕上げることにより、鉄損特性の向上を図ろうとするものである。
【0002】
【従来の技術】
方向性珪素鋼板は、磁気鉄心として多くの電気機器に用いられている。方向性珪素鋼板は、Siを0.8〜4.8%含有し、製品の結晶粒の方位を{110}<001>方位に高度に集積させた鋼板である。その磁気特性として磁束密度が高く(B8 値で代表される)、鉄損が低い(W17/50 値で代表される)ことが要求される。特に、最近では省エネルギーの見地から電力損失の低減に対する要求が高まっている。
【0003】
この要求にこたえ、方向性珪素鋼板の鉄損を低減させる手段として、磁区を細分化する技術が開発された。
積み鉄心の場合、仕上げ焼鈍後の鋼板にレーザービームを照射して局部的な微少歪を与えることにより磁区を細分化して鉄損を低減させる方法が、例えば特開昭58−26405号公報に開示されている。
しかしながら、これらの磁区の動きを観察すると、鋼板表面のグラス皮膜の凹凸によりピン止めされ、動かない磁区も存在していることが分かった。従って、方向性電磁鋼板の鉄損値を更に低減させるためには、磁区細分化と合わせて磁区の動きを阻害する鋼板表面のグラス皮膜の凹凸によるピン止め効果をなくすことが重要であると考えられる。
【0004】
そのためには、磁区の動きを阻害する鋼板表面のグラス被膜を形成させない事が有効である。その手段として、焼鈍分離剤として粗大高純アルミナを用いることによりグラス被膜を形成させない方法が、例えばU.S.Patent3785882号に開示されている。しかしながら、この方法では表面直下の介在物をなくすことができず、鉄損の向上代はW15/60 で高々2%に過ぎない。
【0005】
この表面直下の介在物を制御し、かつ表面の鏡面化を達成する方法として、仕上げ焼鈍後に化学研磨或いは電解研磨を行う方法が、例えば特開昭64−83620号公報に開示されている。しかしながら、化学研磨・電解研磨等の方法は、研究室レベルでの少試料の材料を加工することは可能であるが、工業的規模で行うには薬液の濃度管理、温度管理、公害設備の付与等の点で大きな問題があり、いまだ実用化されるに至っていない。
【0006】
一方、鉄損を向上させるためには結晶粒の方位集積度を高めることが有効であり、その方法として田口・坂倉(特公昭40−15644号公報)、小松等(特公昭62−45285号公報)等により、インヒビターとしてAlの窒化物を使用する方法が開示されている。しかしながら、アルミナを焼鈍分離剤とするU.S.Patent3785882号の方法をAlの窒化物をインヒビターとするこれらの方法に適用した場合、二次再結晶が不安定になってしまい、鉄損の向上を達成できない。
【0007】
本発明者らは、これらの問題点すなわち、(1)田口・坂倉(特公昭40−15644号公報)、小松等(特公昭62−45285号公報)等の、Alの窒化物をインヒビターとして使用する高磁束密度材の二次再結晶が不安定であること、及び(2)表面下の介在物が存在することを解決する方策の検討を行った。
その結果、グラス被膜を形成させない場合では、仕上げ焼鈍中においてAlの窒化物インヒビターが急激に弱体化することが、二次再結晶が不安定になる原因であることをつきとめた。
【0008】
その対処方策を鋭意検討し、脱炭焼鈍の露点を制御し、脱炭焼鈍時に形成される酸化層においてFe系酸化物(Fe2 SiO4 ,FeO等)を形成させないこと、このような酸化層を形成させた脱炭焼鈍板を、アルミナを主成分とする焼鈍分離剤を水スラリー状で塗布、もしくは静電塗布法等によりドライ・コートすることにより、二次再結晶を安定化させると共に、仕上げ焼鈍後の表面を鏡面状に仕上げて鉄損を大きく低下させることができることを見いだした(特開平7−118750号公報)。
また、鋼中に界面偏析元素を添加して、二次再結晶前にこれらの元素を表面に濃化させることが、インヒビターを制御して二次再結晶挙動を安定化することに有効であることを見いだした(特開平6−256850号公報)。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は更に、アルミナを主成分とする焼鈍分離剤の添加物を調整することにより、二次再結晶による結晶方位の集積度を高めると共に表面の鏡面状態を向上させ、製品の鉄損の向上を達成する方法を開示するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の要旨とするところは下記のとおりである。
(1)質量で、
Si:0.8〜4.8%、 C :0.003〜0.1%、
酸可溶性Al:0.012〜0.05%、
N ≦0.01% Sn:0.03〜0.15%
を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる珪素鋼帯を冷延・脱炭焼鈍後、焼鈍分離剤を塗布し仕上げ焼鈍を施す方向性珪素鋼板の製造方法において、脱炭焼鈍をFe系酸化物の形成しない酸化度の雰囲気ガス中で行い、前記脱炭焼鈍における雰囲気ガスの酸化度が(P H2O /P H2 ):0.01〜0.15であり、鋼板表面にシリカを主成分とする酸化層を形成させた後に、アルミナを主成分とする焼鈍分離剤を塗布すること、及びこの焼鈍分離剤中にFe,Mn,Cr,Siの窒化物の一種もしくは複数種を1〜20%添加することを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法。
鋼中に質量%で、
Mn:0.03〜0.15%、 S :0.01〜0.05%
を含有することを特徴とする前記(1)記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
)SnまたはSb及びそれらの化合物の一種もしくは複数種を焼鈍分離剤に添加することを特徴とする前記(1)または(2)に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
(4)焼鈍分離剤の仕上げ焼鈍時の持ち込み水分を1.5%以下とすることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
鋼中に質量%で、
Cr:0.03〜0.2%
を含有することを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
質量で、Si:3.3%、Mn:0.1%、C:0.06%、S:0.007%、酸可溶性Al:0.028%、N:0.008%の珪素鋼スラブを1150℃で加熱した後、板厚2.0mmに熱延した。この熱延板を1120℃で2分間焼鈍した後、最終板厚0.22mmに冷延した。この冷延板を雰囲気ガスの酸化度(PH2O /PH2):0.1の湿潤ガス中で830℃で脱炭焼鈍を施した。その後、アンモニア窒化により窒素量が0.02%になるように窒化処理を施した。
【0012】
これらの試料に、以下のアルミナを主成分とする焼鈍分離剤を水スラリー状で塗布・乾燥した。
(A)アルミナ、(B)アルミナ+5%(Fe,Mn)N、(C)アルミナ+5%(Fe,Cr)N。
【0013】
仕上げ焼鈍は、酸化度(PH2O /PH2):0.00016の窒素−水素混合ガス雰囲気中で、10℃/hrで1200℃まで加熱し、酸化度(PH2O /PH2):0.000039の水素ガスに切り替え、1200℃で5時間焼鈍した。
これらの試料について、張力コーテイング処理とレーザー照射による磁区細分化処理を行った後の製品の磁気特性を図1に示す。
【0014】
図1より、(Fe,Mn)N、(Fe,Cr)Nを添加することにより、製品の磁束密度(B8 )が向上すると共に、鉄損(W17/50 )が低下していることがわかる。二次再結晶に影響を及ぼす(Al,Si)Nインヒビターの焼鈍中の変化挙動を調査したところ、これらの金属窒化物を添加することにより、二次再結晶温度域である1000〜1100℃の領域でのインヒビターの分解が抑制されていることが確認された。
これは、これらの金属窒化物が分解することにより、板間の窒素分圧が高まり脱窒素を抑制すると共に、金属が焼鈍分離剤中の水分や板間酸素と反応して酸化物となることにより、鋼板からの脱Alを抑制するため、(Al,Si)Nの分解が抑制すると推測される。
【0015】
また、鉄損に関しては、金属窒化物が分解されて鋼板表面に存在する金属が酸化することにより、鋼板直上の酸素ポテンシャルが低下するために、表面直下の酸化物系の介在物がなくなることにより、鏡面度が向上して鉄損が低減するものと推定される。
【0016】
次に、上記の脱炭・窒化板を用いて焼鈍分離剤の持ち込み水分の影響を調査した。各種アルミナを0〜50℃の水に混入して撹拌し、スラリー状にして試料に塗布乾燥した。塗布乾燥したアルミナの一部を採取して1100℃まで加熱し、その質量減量から仕上げ焼鈍への持ち込み水分量を測定した。
これらのスラリーの一部に(Fe,Mn)Nを5%添加し、金属窒化物の影響を調べた。仕上げ焼鈍は酸化度(PH2O /PH2):0.00016の窒素−水素混合ガス雰囲気中で、10℃/hrで1200℃まで加熱し、酸化度(PH2O /PH2):0.000039の水素ガスに切り替え、1200℃で5時間焼鈍した。
【0017】
焼鈍後の磁束密度(B8 )を図2に示す。図2から、(Fe,Mn)Nが無添加の場合には、塗布乾燥後の水分量が1.5%を超えた場合には二次再結晶が不安定になり、焼鈍後の試料の磁束密度(B8 )が低下していることが分かる。
これは、塗布乾燥後の水分量が多い場合には、この水分が焼鈍中に放出され、AlNや(Al,Si)N等のインヒビターの分解がAlの酸化により促進されることが原因であると推定される。
【0018】
一方、(Fe,Mn)Nを添加した場合には、二次再結晶が安定化して磁束密度(B8 )が向上すると共に、高磁束密度となる塗布乾燥後の水分量の上限値が1.9%まで拡大していることが分かる。これは、先に述べたように金属窒化物の金属が焼鈍分離剤の水分を酸化反応により実質的に低下させたことによる効果であると考えられる。
従って、焼鈍分離剤の塗布乾燥後の水分量としては、1.5%以下とすることが磁気特性向上に有効な方策であること、また金属窒化物を添加することにより、この水分量の上限値が拡大することが分かる。
【0019】
次に実施形態を述べる。
本発明における基本的な製造法としては、磁束密度(B8 )が高い製品を製造できる、小松等による(Al,Si)Nを主インヒビターとして用いる低温スラブ加熱に基づく製造法(例えば特公昭62−45285号公報)、または田口・坂倉等によるAlNとMnSを主インヒビターとして用いる高温スラブ加熱に基づく製造法(例えば特公昭40−15644号公報)を適用すれば良い。
【0020】
以下に、本発明における鋼成分の限定理由を述べる。成分含有量は質量%である。
Siは電気抵抗を高め、鉄損を下げるうえで重要な元素である。含有量が4.8%を超えると冷間圧延時に材料が割れ易くなり、圧延が不可能となる。一方、Si量を下げると仕上げ焼鈍時にα→γ変態を生じ、結晶の方向性が損なわれるので、実質的に結晶の方向性に影響を及ぼさない0.8%を下限とする。
【0021】
Cは、残留すると製品特性(鉄損)の低下を引き起こすので、0.003%以下に抑えることが必要である。しかしながら、製鋼段階でC量を低くすると熱延板の結晶組織に粗大な{100}伸長粒が存在し、二次再結晶に悪影響を及ぼす。また、析出物や一次再結晶集合組織制御の観点からも、Cはある程度製鋼段階で添加することが必要である。従って、製鋼段階では0.003%以上、好ましくはα/γ変態が生じる0.02%以上添加することが望ましい。一方、0.1%より多く添加しても、上述の結晶組織、析出物等への影響はほぼ飽和し、脱炭に必要な時間が長くなるので、0.1%を上限とする。
【0022】
酸可溶性Alは、Nと結合してAlNまたは(Al,Si)Nとしてインヒビターとして機能するために必須の元素である。磁束密度が高くなる0.012〜0.05%を限定範囲とする。
【0023】
Nは、製鋼時に0.01%超添加すると、ブリスターとよばれる鋼板中の空孔を生じるので、0.01%を上限とする。
【0024】
Mn,Sは、田口・坂倉等による高温スラブ加熱に基づく製造法では、MnSとしてインヒビター機能をさせるために必須の元素である。磁束密度が高くなる、Mn:0.03〜0.15%、S:0.01〜0.05%を限定範囲とする。
また、Sは小松等による(Al,Si)Nを主インヒビターとして用いる低温スラブ加熱に基づく製造法では、磁気特性に悪影響を及ぼすので、0.015%以下とすることが望ましい。
【0025】
Snは、鋼板表面に偏析して仕上げ焼鈍中のインヒビターの分解を抑制し、磁束密度の高い製品を安定して製造することに有効な元素である。Snを0.03〜0.15%添加することが望ましい。この下限値未満ではインヒビターの分解抑制効果が少なく、実質的な磁束密度向上効果が得られない。またこの上限値を超えると、インヒビターの分解抑制効果が飽和すると共に、小松等による(Al,Si)Nを主インヒビターとして用いる低温スラブ加熱に基づく製造法においては鋼板中への窒化処理が難しくなり、二次再結晶が不安定になる場合が生じる。
【0026】
Crは脱炭焼鈍の酸化層の改善に有効な元素である。0.03〜0.2%添加することが望ましい。
【0027】
その他、微量のB,Bi,Cu,Se,Pb,Ti,Mo等を鋼中に含有することは、本発明の主旨を損なうものではない。
【0028】
上記成分の溶鋼は、通常の工程により熱延板とされるか、もしくは溶鋼を連続鋳造して薄帯とする。
前記熱延板または連続鋳造薄帯はただちに、もしくは短時間焼鈍を経て冷間圧延される。上記焼鈍は750〜1200℃の温度域で30秒〜30分間行われ、この焼鈍は製品の磁気特性を高めるために有効である。望む製品の特性レベルとコストを勘案して採否を決めるとよい。
冷間圧延は、一回もしくは中間焼鈍を施す複数の冷間圧延により所定の最終板厚とする。製品の磁束密度(B8 )を高めるためには、基本的には特公昭40−15644号公報に開示されているように、最終冷延圧下率80%以上とすれば良い。
【0029】
冷間圧延後の材料は、鋼中に含まれる炭素を除去するために、湿水素雰囲気中で脱炭焼鈍を行う。
この脱炭焼鈍において、Fe系の酸化物(Fe2 SiO4 ,FeO等の低級酸化物)を形成させない低い酸化度で焼鈍を行うことが、表面の鏡面化を達成する上で必須の要件である。
例えば、通常脱炭焼鈍が行われる800〜850℃の温度域においては、雰囲気ガスの酸化度(PH2O /PH2):0.15以下に調整することにより、Fe系酸化物の生成を抑制することができる。但し、あまりに酸化度を下げると脱炭速度が遅くなってしまう。この両者を勘案すると、この温度域においては雰囲気ガスの酸化度(PH2O /PH2):0.01〜0.15の範囲が好ましい。
【0030】
この脱炭焼鈍板に、(Al,Si)Nを主インヒビターとして用いる製造法 (例えば特公昭62−45285号公報)においては、窒化処理を施す。この窒化処理の方法は特に限定するものではなく、アンモニア等の窒化能のある雰囲気ガス中で行う方法等がある。量的には0.005%以上、望ましくはN/酸可溶性Alの比率が2/3以上となる窒化をすれば良い。
【0031】
これらの脱炭焼鈍板を、アルミナを主成分とする焼鈍分離剤を水スラリーで塗布、もしくは静電塗布法等によりドライ・コートし、コイル状に巻きとる。その際に、アルミナを主成分とする焼鈍分離剤の持ち込み水分を1.5%以下とすることが、二次再結晶の安定化及び表面の鏡面化を達成する上で有効である。水スラリーで塗布・乾燥する際に、焼鈍分離剤の塗布乾燥後の持ち込み水分を制御するためには、アルミナのBET値、粒径等と共に、水スラリーにする際の水温、撹拌時間等を管理すれば良い。
【0032】
焼鈍分離剤としては、特願2001−220228号に開示されているように、BET比表面積を制御したアルミナとマグネシアを一定比率範囲で混合した粉体を焼鈍分離剤として用いることは、表面の鏡面化を促進するうえで有効な方法である。また、鋼板との密着性不足が懸念されたり、あるいはスラリー状態での沈降に問題が生じるようであれば、必要に応じて増粘剤などを添加しても良い。
【0033】
この焼鈍分離剤中に、Fe,Mn,Cr,Siの窒化物の一種もしくは複数種を添加することが、本発明の要件である。これらの添加物を添加することにより、二次再結晶が安定化して磁束密度(B8 )が向上すると共に、表面の鏡面化が促進されて鉄損が低下する。これらの金属窒化物はMnN,CrN,Si3 4 等の単体もしくはフェロ窒化マンガン( (Fe,Mn) N)、フェロ窒化クロム( (Fe,Cr) N)等の混合体及びこれらの複数種を添加して使用すればよい。金属窒化物の添加量としては1〜20%が好ましい。1%未満だとその効果が発現されず、また20%超添加するとその効果ほぼ飽和してしまう。
【0034】
更に、SnまたはSb及びそれらの化合物の一種もしくは複数種を焼鈍分離剤に添加することも有効な方策である。Sn,及びSbが表面に偏析すると脱窒素のバリアーになり、AlN,(Al,Si)N等のAlの窒化物インヒビターが二次再結晶温度域まで安定化するためであると考えられる。
【0035】
この脱炭焼鈍板を積層して仕上げ焼鈍を施し、二次再結晶と窒化物の純化を行う。二次再結晶を特開平2−258929号公報に開示される様に一定の温度で保持する。または加熱速度を制御する等の手段により、二次再結晶を所定の温度域で行わせることは、製品の磁束密度(B8 )を高めるうえで有効である。
【0036】
二次再結晶完了後、窒化物等の純化と表面酸化膜の還元を行うために、100%水素で1100℃以上の温度で焼鈍する。この場合、雰囲気ガスの露点は低い方が好ましい。
仕上げ焼鈍後、表面に張力コーテイング処理を行い、必要に応じてレーザー照射等の磁区細分化処理を施す。
【0037】
【実施例】
(実施例1)
質量で、Si:3.3%、C:0.06%、酸可溶性Al:0.026%、N:0.008%、Mn:0.1%、S:0.007%、Cr:0.1%、Sn:0.07%、を含有する珪素鋼スラブを1150℃で加熱した後、板厚2.0mmに熱延した。この熱延板を1100℃で2分間焼鈍した後、最終板厚0.22mmに冷延した。この冷延板を酸化度(PH2O /PH2):0.1の湿潤ガス中で、脱炭を兼ね840℃で90秒焼鈍し一次再結晶させた。次いでアンモニア雰囲気中で焼鈍することにより、窒素量を0.02%に増加して、インヒビターの強化を行った。
【0038】
この鋼板に、以下の焼鈍分離剤を水スラリー状で塗布・乾燥した。
(A)Al2 3 、(B)Al2 3 +10%Si3 4 、(C)Al2 3 +10%(Fe,Mn)N、(D)Al2 3 +5%(Fe,Mn)N+5% (Fe,Cr)N、(E)Al2 3 +20%(Fe,Mn)N、(F)Al2 3 +5%(Fe,Cr)N+2%Sn、(G)Al2 3 +5%(Fe,Cr)N+1%Sb2 (SO4 3 、(H)Al2 3 +10%TiN。
【0039】
これらの試料を積層して仕上げ焼鈍を施した。その後、張力コーテイング処理を施した後、レーザー照射して磁区細分化した。得られた製品の磁気特性を表1に示す。
表1から、Fe,Mn,Cr,Siの窒化物の一種もしくは複数種を添加することにより、二次再結晶が安定的に発達して磁束密度(B8 )が向上し、また鉄損(W17/50 )が低減することがわかる。また、更にSnまたはSb及びそれらの化合物の一種もしくは複数種を焼鈍分離剤に添加することも有効な方策であることが分かる。
【0040】
【表1】
Figure 0004427225
【0041】
(実施例2)
実施例1で用いた脱炭・窒化板に、以下の焼鈍分離剤を静電塗布によりコーテイングした。(A)Al2 3 、(B)Al2 3 +5%(Fe,Mn)N、 (C)Al2 3 +5%(Fe,Cr)N。
これらの試料を積層して仕上げ焼鈍を施した。その後、張力コーテイング処理を施した後、レーザー照射して磁区細分化した。得られた製品の磁気特性を表2に示す。
表2から、Fe,Mn,Crの窒化物を添加することにより、二次再結晶が安定的に発達して磁束密度(B8 )が向上し、また鉄損(W17/50 )が低減することがわかる。
【0042】
【表2】
Figure 0004427225
【0043】
(実施例3)
質量で、Si:3.2%、C:0.08%、酸可溶性Al:0.025%、N:0.009%、Mn:0.08%、Cu:0.09%、S:0.025%、Sn:0.1%、を含有する珪素鋼スラブを1350℃で加熱した後、板厚2.0mmに熱延した。この熱延板を1120℃で焼鈍した後、0.22mm厚に冷延した。この冷延板を酸化度(PH2O /PH2):0.13の湿潤ガス中で、脱炭を兼ね850℃で90秒焼鈍し、一次再結晶させた。
【0044】
この鋼板に、以下の焼鈍分離剤を水スラリー状で塗布・乾燥した。
(A)Al2 3 、(B)Al2 3 +10%Si3 4 、(C)Al2 3 +10%(Fe,Mn)N、(D)Al2 3 +5%(Fe,Mn)N+5% (Fe,Cr)N、(E)Al2 3 +20%(Fe,Mn)N、(F)Al2 3 +5%(Fe,Cr)N+2%Sn、(G)Al2 3 +5%(Fe,Cr)N+1%Sb2 (SO4 3
【0045】
これらの試料を積層して仕上げ焼鈍を施した。その後、張力コーテイング処理を施した後、レーザー照射して磁区細分化した。得られた製品の磁気特性を表3に示す。
表3から、Fe,Mn,Cr,Siの窒化物の一種もしくは複数種を添加することにより、二次再結晶が安定的に発達して磁束密度(B8 )が向上し、また鉄損(W17/50 )が低減することがわかる。また、更にSnまたはSb及びそれらの化合物の一種もしくは複数種を焼鈍分離剤の添加することも有効な方策であることが分かる。
【0046】
【表3】
Figure 0004427225
【0047】
【発明の効果】
本発明により、二次再結晶による結晶方位の集積度を高めると共に、表面の鏡面状態を向上させることにより、磁気特性の良い一方向性珪素鋼板を低コストで製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】各試料の磁気特性(鉄損(W17/50 )と磁束密度(B8 )を示す図である。
【図2】焼鈍分離剤の塗布乾燥後の持ち込み水分量と製品の磁束密度(B8 )の関係を示す図である。

Claims (5)

  1. 質量で、
    Si:0.8〜4.8%、
    C :0.003〜0.1%、
    酸可溶性Al:0.012〜0.05%、
    N ≦0.01%
    Sn:0.03〜0.15%
    を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる珪素鋼帯を冷延・脱炭焼鈍後、焼鈍分離剤を塗布し仕上げ焼鈍を施す方向性珪素鋼板の製造方法において、脱炭焼鈍をFe系酸化物の形成しない酸化度の雰囲気ガス中で行い、前記脱炭焼鈍における雰囲気ガスの酸化度が(P H2O /P H2 ):0.01〜0.15であり、鋼板表面にシリカを主成分とする酸化層を形成させた後に、アルミナを主成分とする焼鈍分離剤を塗布すること、及びこの焼鈍分離剤中にFe,Mn,Cr,Siの窒化物の一種もしくは複数種を1〜20%添加することを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法。
  2. 鋼中に質量%で、
    Mn:0.03〜0.15%、
    S :0.01〜0.05%
    を含有することを特徴とする請求項1記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
  3. SnまたはSb及びそれらの化合物の一種もしくは複数種を焼鈍分離剤に添加することを特徴とする請求項1または2に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
  4. 焼鈍分離剤の仕上げ焼鈍時の持ち込み水分を1.5%以下とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
  5. 鋼中に質量%で、
    Cr:0.03〜0.2%
    を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
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