JP3496067B2 - 鏡面一方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents

鏡面一方向性電磁鋼板の製造方法

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JP3496067B2
JP3496067B2 JP28493296A JP28493296A JP3496067B2 JP 3496067 B2 JP3496067 B2 JP 3496067B2 JP 28493296 A JP28493296 A JP 28493296A JP 28493296 A JP28493296 A JP 28493296A JP 3496067 B2 JP3496067 B2 JP 3496067B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は主として変圧器その
他の電気機器等の鉄心として利用される方向性電磁鋼板
の製造方法に関するものである。特に、{110}〈0
01〉方位すなわちゴス方位を高度に発達させたBi添
加高磁束密度一方向性電磁鋼板の製造方法とその表面の
鏡面化手段、及び磁区細分化手段を効果的に導入するこ
とにより、鉄損特性の向上を工業的に低コストで達成す
る製造方法を開示するものである。
【0002】
【従来の技術】一方向性電磁鋼板は、軟磁性材料として
主にトランスその他の電気機器の鉄心材料に使用されて
いるもので、磁気特性としては励磁特性と鉄損特性が良
好でなくてはならない。この励磁特性を表す指標とし
て、通常は磁束密度B8 (磁場の強さ800A/mにお
ける磁束密度)が用いられ、鉄損特性を表す指標とし
て、W17/50 (50Hzで1.7Tまで磁化させたときの
単位重量あたりの鉄損)が用いられる。
【0003】一方向性電磁鋼板は、Siを0.8〜4.
8%含有し、製造工程の最終段階の900℃以上の温度
での仕上焼鈍工程で二次再結晶を起こさせ、鋼板面に
{110}面、圧延方向に〈001〉軸をもったいわゆ
るゴス組織を発達させることによって得られている。そ
のなかでも、磁束密度B8 が1.88T以上の優れた励
磁特性をもつものは高磁束密度一方向性電磁鋼板とよば
れている。高磁束密度電磁鋼板の代表的製造方法として
は、特公昭40−15644号公報、特公昭51−13
469号公報等があげられる。現在世界的規模で生産さ
れている高磁束密度一方向性電磁鋼板は、上記2特許を
基本として生産されていると云える。しかし上記特許に
基ずく製品の磁束密度B8 は1.88Tから高々1.9
5T程度であり、例えば3%Si鋼の飽和磁束密度2.
03Tの95%程度の値を示しているに過ぎない。そし
て、近年省エネルギー、省資源への社会的要求は益々厳
しくなり、一方向性電磁鋼板の鉄損低減、磁化特性改善
への要求も熾烈になってきている。
【0004】ところで、一般に磁束密度B8 が高くなる
とともに製品の結晶粒が大きくなる傾向があり、高磁束
密度電磁鋼板によりB8 を高くしても180°磁区巾が
大きくなるために渦電流損が増大し、冶金学的にはこれ
以上の鉄損改善の期待が望まれない。この観点から技術
的な鉄損低減化の手法としてレーザー照射等を用いた磁
区制御技術が特公昭57−2252号公報、特公昭58
−5968号公報、特開昭58−26405号公報等に
より確立された。また、該方法による鉄損の低減はレー
ザー照射によって導入された歪に起因するので、トラン
スに成形したのちに歪取り焼鈍を必要とする巻鉄心トラ
ンス用としては使用することができないため、例えば特
公昭62−53579号公報、特公昭63−44804
号公報、特公平04−48847号公報等において、仕
上焼鈍後に歯車型ロールにより溝を導入すると共に、加
工歪を加え微細粒を形成させて磁区細分化する方法が開
示されている。しかし、歯車型ロール等の機械加工によ
って鋼板表面に溝を形成する方法は、方向性電磁鋼板の
一次皮膜(グラス皮膜)と呼ばれる表面セラミックス層
を破砕する必要があるために歯車ロール等の摩耗が大き
く、製造コストに問題を生じる。
【0005】一方、これら磁区細分化処理を施した鋼板
の磁区の動きを詳細に観察すると、静的には細分化した
磁区のなかには動かない磁区も存在していることが分か
った。方向性電磁鋼板の鉄損値を更に低減させるために
は、上記方法による磁区細分化技術と合わせて磁区の動
きを阻害する要因を排除する技術(磁区の活性化技術)
を導入する必要がある。すなわち、磁区の動きを阻害す
る大きな要因である鋼板表面の一次被膜等を除去し表面
を鏡面化する方法が有効である。その手段として、仕上
げ焼鈍後に一次被膜を酸洗等により除去した後、化学研
磨或いは電解研磨を行い表面を鏡面化させる方法が、例
えば特開昭64−83620号公報に開示されている。
しかしながら、化学研磨・電解研磨等の方法は、研究室
レベルでの少試料の材料を加工することは可能である
が、工業的規模で行うには薬液の濃度管理、温度管理、
公害設備の付与等の点で大きな問題があり、更にこのよ
うな工程を付加することにより製造コストが高くなって
しまうために、いまだ実用化されるに至っていない。
【0006】これに対して本出願人は、工業的規模で安
価に鋼板表面を鏡面化する方法を開発した(例えば特開
平6−346247号公報、特開平7−18333号公
報、特開平7−54155号公報)。これらは、脱炭焼
鈍後の鋼板表面にBiの塩化物を含有した焼鈍分離剤を
塗布し二次再結晶仕上焼鈍を行うことにより二次再結晶
に悪影響を及ぼさない約900℃以上で発生するCl2
ガスの気相エッチングにより一次皮膜を剥離し、その後
の高温焼鈍で表面をサーマルエッチングし表面化する方
法である。すなわち、鋼板表面の鏡面化と高磁束密度の
二次再結晶形成を両立させるものである。これらの技術
は、磁区細分化処理のために鋼板表面に機械加工を加え
る際に歯車ロール等の磨耗が少ないため、主に巻鉄心ト
ランス用の磁区制御材製造の低コスト化に適している。
【0007】しかるに、これら磁区制御、鏡面化等の周
辺技術の成熟に伴い、高磁束密度電磁鋼板を用いた低鉄
損化が容易となるとともに、超低鉄損電磁鋼板を狙うに
は更なる高磁束密度を有する素材が必須条件として期待
されてきている。これに対して本発明者らは、一方向性
電磁鋼板の溶鋼中にBiを含有させることにより、工業
的手段により磁束密度を従来の高磁束密度一方向性電磁
鋼板レベルから超高磁束密度一方向性電磁鋼板レベルま
で高める方法を特開平6−8814号公報、特開平6−
88173号公報等で提案した。この方法により初めて
磁束密度B8 が1.96Tを越える超高磁束密度一方向
性電磁鋼板が工場規模で生産できるようになったが、従
来の一次皮膜を形成する条件のなかで工場実験を繰り返
した結果、コイルの全域に渡って安定に超高磁束密度を
得ることは困難であった。一般に一次皮膜形成条件が磁
気特性に大きな影響を及ぼすことは知られているが、B
i添加材の場合はその影響が顕著であることが想定され
た。そこで、このBi添加による超磁束密度化と一次皮
膜を形成しない鏡面化技術を効果的に組み合わせること
により、超磁束密度一方向性電磁鋼板を工場規模でより
安定的に製造し、さらに磁区制御技術を組み合わせるこ
とにより従来にない超低鉄損一方向電磁鋼板を製造する
ことが、本発明の狙いである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来のBi
添加技術と鏡面化技術とを有機的に組み合わせることに
より極めて磁束密度の高い高磁束密度一方向性鏡面電磁
鋼板素材を工場的規模で安定に製造することを可能と
し、さらに磁区制御技術を組み合わせることにより極め
て鉄損の低い超低鉄損一鏡面方向性電磁鋼板を低コスト
で製造することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の特徴とする処
は、以下のとおりである。 (1)重量%で、C:0.02〜0.1%、Si:2.
0〜4.8%、酸可溶性Al:0.012〜0.050
%、N:0.0030〜0.0150%、Bi:0.0
005〜0.03%を基本成分とし、残部はFeおよび
不可避的不純物をからなる溶鋼を鋳造し、熱間圧延し、
65〜95%の最終強冷延を含む1回あるいは中間焼鈍
を介入する2回以上の冷間圧延により最終板厚とし、一
次再結晶を兼ねた脱炭焼鈍を施し、二次再結晶仕上焼鈍
を行う工程からなる一方向性電磁鋼板の製造方法におい
て、鋼板表面に、焼鈍分離剤100重量部に対してBi
の塩化物が塩素重量部で0.2〜15重量部含有する焼
鈍分離剤を塗布後、コイル巻きし、二次再結晶仕上焼鈍
することを特徴とする鏡面一方向性電磁鋼板の製造方
【0010】 (2)焼鈍分離剤が、MgO,Al2
3 ,SiO2 ,ZrO,BaO,CaO,SrOの1種
あるいは2種以上の混合物であることを特徴とする
(1)記載の鏡面一方向性電磁鋼板の製造方法。 (3)(1)記載の鋼板に局部的な歪みを導入すること
により、磁区細分化処理を施すことを特徴とする鏡面一
方向性電磁鋼板の製造方法
【0011】 (4)(1)記載の鋼板にコーティング
処理による張力皮膜を形成した後、局部的な歪みを導入
することにより、磁区細分化処理を施すことを特徴とす
鏡面一方向性電磁鋼板の製造方法。 (5)(1)記載の鋼板に圧延方向に対して直角もしく
は直角から45度の範囲内で間隔2〜10mmで幅10〜
300μm、深さ5〜50μmの範囲で連続的、不連続
または点状の溝あるいは局部的な溝を形成し、併せてコ
ーティング処理による張力皮膜を形成することにより磁
区細分化させることを特徴とする鏡面一方向性電磁鋼板
の製造方法(6)脱炭焼鈍から二次再結晶仕上焼鈍の工程間で窒化
処理を行うことを特徴とする(1)〜(5)のいずれか
に記載の鏡面一方向性電磁鋼板の製造方法。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明者らは、特開平6−8814号公報、特開平6−
88173公報等に示しているとおり、実験室での実験
により、窒化アルミニウムを主インヒビターとする一方
向性電磁鋼板用の素材に、Biを添加含有せしめること
により、現在市販されている高磁束密度電磁鋼板のB8
=1.93T程度をはるかに超える1.95T以上、2
Tにおよび超高磁束密度一方向性電磁鋼板を得た。超高
磁束密度を得る機構はまだ明らかではないが、Biは鋼
中の拡散定数が極めて小さいため、熱的に安定なインヒ
ビター強化元素として機能していると推定している。す
なわち、超高磁束密度を実現するためには一定量以上の
鋼中Bi含有量が必要である一方、二次再結晶の進行中
に適度にインヒビター強度を弱める必要があり、鋼中B
iを鋼板表面から徐々に気化させて除去する必要があ
る。これに関して、実験室規模の板状の小試験片の場合
は板間のガス通気性が良好であるため、二次再結晶仕上
焼鈍中にBiを除去することは容易である。しかし、工
場的規模で製造する場合、コイル状に巻いた鋼板を箱形
焼鈍炉で焼鈍することが前提となるので、特にコイル内
部においてはガスの通気性が悪いため、Bi蒸気が鋼板
間に滞在し鋼中Biの除去が困難となる。そのため超高
磁束密度が得られ難く、またBiが一次皮膜と地鉄の界
面で濃化しBiCl3 等を形成し一次皮膜がエッチング
剥離されることも推定される。逆にコイル端部では比較
的ガスの通気性が良好なのでBi蒸気も濃化せず、超高
磁束密度が得られ易いと推定される。すなわち、工場的
規模におけるコイルフォームでの焼鈍では、特にコイル
中心部とエッジにおけるガス通気性の制御が困難であ
り、コイル全域で安定して超高磁束密度が得られにくい
可能性があった。そこで、本発明者らは、Bi添加によ
る二次再結晶仕上焼鈍中における板間のガス通気性の影
響を定量的に把握するため次の実験を行った。
【0013】C:0.05%、Si:3.25%、M
n:0.10%、S:0.007%、P:0.025
%、酸可溶性Al:0.029%、N:0.007%、
Cr:0.12%を含有する珪素鋼を溶製し、Bi含有
量を0,0.007%、0.013%、0.025%と
し、それぞれ鋳片に分注鋳造後、1150℃に加熱し、
抽出後直ちに2.3mm板厚まで熱延し、熱延後水冷し5
50℃で保定した。その後熱延板を1120℃の温度で
30秒、引き続き900℃で90秒焼鈍し、750℃ま
で空冷後80℃の水中に焼き入れた。次いで酸洗し0.
23mmまで途中で250℃での時効処理を5回はさんで
冷延した。引き続き、窒素と水素の混合ガスにおいて酸
化度が0.40(PH2 O/PH2 )になるように導入
水蒸気を調整し、脱炭・一次再結晶焼鈍を行い、引き続
いてNH3 雰囲気でN含有量が200ppmになるよう
窒化焼鈍を行った。通常のMgOを主成分とする焼鈍分
離剤を塗布後、二次再結晶仕上焼鈍を行った。板間のガ
ス通気性の影響をみるため、100mm×500mmの鋼板
を約50枚積層した試料を鉄薄膜で梱包し炉内に挿入し
たのち、窒素分圧が25%の湿水素雰囲気のガスを導入
し、その流量を1,5,10,15Nm3 /分としながら
1200℃まで15℃/hrで中で昇温し、引き続いて乾
水素雰囲気中で1200℃で20時間の純化焼鈍を行っ
た。このときの焼鈍炉の炉内容積は0.06m3 であっ
た。炉内導入ガス流量と得られた鋼板の酸素量および磁
束密度B8 との関係を図1に示す。鋼板の酸素量は一義
的には一次皮膜の生成量を示し、酸素量が低いものは一
次皮膜の剥離または弱体化が観察された。
【0014】その結果、Biを添加した超高磁束密度一
方向性電磁鋼板は、従来の窒化アルミニウムを主インヒ
ビターとする高磁束密度一方向性電磁鋼板に比較して、
二次再結晶仕上焼鈍中のガスの通気性が悪い場合は磁束
密度がばらつき、安定して高磁束密度が得られ難いとい
う上述の仮定を示唆する結論が得られた。この工場生産
上の問題を解決するためには、例えば工場の焼鈍炉の導
入ガス流量を増加せしめればよいが、工場規模の箱形焼
鈍設備の炉内容積は通常約30m3 であり、単純に計算
しても蒸気の実験室焼鈍炉の導入ガス流量の500倍の
導入ガスが必要である。これは設備費を圧迫し、原単位
等のコストの観点からも困難であるため、Bi添加によ
り超高磁束密度一方向性電磁鋼板を工業規模で安定して
製造するためには、一次皮膜形成に頼らない鏡面化技術
の適用が有効である可能性を見出した。
【0015】以下に本発明に至った実験結果について説
明する。本発明者らは、Bi添加技術に鏡面化技術を適
用した場合について、二次再結晶仕上焼鈍中の炉内導入
ガス流量が磁束密度B8 と鏡面状態におよぼす影響を定
量的に把握するため、次の実験を行った。すなわち、上
述の実験と同じ成分の素材を窒化焼鈍まで同一の工程条
件で処理を行ったのち、MgO100重量部に対しBi
OClを5重量部を添加した焼鈍分離剤を塗布後、二次
再結晶仕上焼鈍を行った。そして上記の実験と同様に、
100mm×500mmの鋼板を約50枚積層した試料を鉄
薄膜で梱包し炉内に挿入したのち、窒素分圧が25%の
湿水素雰囲気のガスを導入し、その流量を1,5,1
0,15Nm3 /分としながら11200℃まで15℃/
hrで昇温し、引き続いて1200℃で20時間の純化焼
鈍を行った。炉内導入ガス流量と得られた鋼板の酸素量
および磁束密度B8 の関係を図2に示す。鋼板の酸素量
はすべて200ppm 以下であり、一次皮膜が無い良好な
鏡面状態を呈していた。
【0016】図2で明らかなように、鏡面化技術を適用
することにより、磁束密度は二次再結晶仕上焼鈍中のガ
ス流量に影響されず、Bi添加による磁束密度向上の効
果が安定して得られた。このように二次再結晶仕上焼鈍
中のガス流量に影響されないことは、コイル内位置にお
けるガス通気性のバラツキに二次再結晶過程が影響され
にくいことから、工場規模のコイルフォームでの二次再
結晶仕上焼鈍による製造に有利であることを示してい
る。また、図2でBi添加量とともに鏡面化鋼板表面に
微量に付着した酸素が減少していることから、Bi添加
は鏡面化を促進させる作用があることが期待される。
【0017】さらに本発明者らは、図2で得られた試料
を850℃の温度で2時間の歪み取り焼鈍を行ったの
ち、圧延方向と直角方向に5mm間隔でレーザー照射処理
を行い、磁区制御を試みた。得られた試料についての素
材(磁区制御前)に磁束密度B 8 と1.0kgf /mm2
張力下で測定した磁区制御後の鉄損W17/50 の関係を図
3に示す。
【0018】図3から次のことが判る。まず、Bi添加
を行い0.007%から0.025%にBi含有量を調
整すれば、磁束密度B8 が1.96T以上の超高磁束密
度一方向性電磁鋼板が発現し、また磁区制御との組み合
わせで超抵鉄損電磁鋼板が得られる。また、B8 とW
17/50 の関係を示す直線はBi添加とともに下がってお
り、Bi添加材の鉄損は磁束密度の向上から期待される
鉄損よりも更に改善されていることがわかる。これは、
図2で説明したように、Bi添加は鏡面化を促進させる
作用のためであると推定される。本発明は従来のBi添
加法とによる超高磁束密度一方向性電磁鋼板製造方法と
鏡面化技術による低鉄損一方向性電磁鋼板製造法の単な
る組み合わせでなく、前者の工業化における欠点と後者
の安定促進化を極めて効果的に解決する方法を提供する
ものである。
【0019】次に、本発明に必要な構成要素とその限定
理由について述べる。本発明において、素材が含有する
成分は、重量%で、C:0.02〜0.1%、Si:
2.0〜4.8%、酸可溶性Al:0.012〜0.0
50%、N:0.0030〜0.0150%、Bi:
0.0005〜0.03%、残部Fe及び不可避的不純
物であり、これらを必須成分としてそれ以外は限定しな
い。
【0020】基本的な製造法としては、小松等による
(Al,Si)Nを主インヒビターとして用いる製造法
(例えば特公昭62−45285号公報)、または田口
・坂倉等によるAlNとMnSを主インヒビターとして
用いる製造法(例えば特公昭40−15644号公報)
を適用すれば良い。Cはγ域開放型元素であり、熱間圧
延から脱炭焼鈍の工程でα→γ変態、または固溶Cの存
在により二次再結晶に有利な集合組織を形成する重要な
元素である。Cが0.02%以下ではα→γ変態が生じ
ないので好ましくない。また、0.1%を超えると脱炭
焼鈍工程に負荷がかかり、コストアップとなるため好ま
しくない。
【0021】Siは電気抵抗を高め、鉄損を下げる上で
重要な元素である。含有量が4.8%を超えると、冷間
圧延時に材料が割れ易くなり、圧延不可能となる。一
方、2.0%未満では製品の渦電流損が増大するととも
に、仕上げ焼鈍時にα→γ変態を生じ、結晶の方向性が
損なわれる。酸可溶性AlはNと結合してAlNを形成
し、高磁束密度一方向性電磁鋼板製造のための主インヒ
ビター構成元素である。0.012%未満では量的に不
足し、インヒビター強度が不足する。一方、0.050
%超ではAlNが粗大化し、結果としてインヒビター強
度を低下させるので二次再結晶が起こらなくなる。
【0022】素材に含有するNはSi,Al等の窒化物
を形成し、低温スラブ加熱を前提とする場合は特に1次
再結晶のインヒビターとして影響する。N含有量は一次
再結晶粒径を制御する観点から工程の熱履歴や必要な一
次再結晶焼鈍温度から決定される。一方、高温スラブ加
熱により前段階でAlNを微細分散させる場合は二次再
結晶焼鈍の雰囲気条件等を考慮する必要がある。0.0
030%未満では脱窒のため溶製段階のコストアップと
なり、0.0150%超ではブリスターと呼ばれる欠陥
が発生するので0.0030〜0.0150%の範囲と
した。
【0023】その他のインヒビター構成元素として、M
n,S,Se,V,N,B,Nb,Sn,Cu,Ti,
Zr,Ta,Mo,Sn等を複合して添加することがで
きる。Biは超高速密度を得るための必須元素であり、
添加含有量は、0.0005〜0.03%の範囲が有効
である。0.0005%未満では効果がわずかであり、
また0.03%超では磁束密度向上の効果が飽和すると
ともに熱延板の端部に割れが発生するので上限を0.0
3%に限定する。
【0024】次に、製造プロセス条件について説明す
る。上記のごとく成分を調整した超高磁束密度一方向性
電磁鋼板用素材は通常の如何なる溶解法、造塊法を用い
た場合でも本願発明の素材とすることが出来る。次いで
この電磁鋼板用素材は通常の熱間圧延により熱延コイル
に圧延される。小松等による(Al,Si)Nを主イン
ヒビターとして用いる製造法(例えば特公昭62−45
285号公報)では、熱間圧延時の温度確保の観点より
1100℃以上、またAlNの完全容体化しない128
0℃以下の温度で加熱を行った後に熱間圧延を行う。ま
た、田口・坂倉等によるAlNとMnSを主インヒビタ
ーとして用いる製造法(例えば特公昭40−15644
号公報)では完全容体化する1300℃以上の温度で加
熱した後に熱延を行えば良い。
【0025】引き続いて1ステージの冷間圧延または中
間焼鈍を含む複数ステージの冷間圧延によって最終板厚
とするが、磁束密度が高い一方向性電磁鋼板を得ること
から最終冷延の圧延率(1ステージの冷間圧延の場合は
その圧延率)は65〜95%の強圧下が好ましい。最終
圧延以外のステージの圧延率は特に規定しなくてもよ
い。また、AlNを強化するため、最終冷延前に焼鈍お
よび冷却を行ってもよい。焼鈍は750〜1200℃の
温度域で30秒〜30分間行われ、この焼鈍は製品の磁
気特性を高めるために有効である。望む製品の特性レベ
ルとコストを勘案して採否を決めるとよい。
【0026】最終製品厚に圧延した冷延板は、一次再結
晶焼鈍と鋼中に含まれる炭素を除去する目的で湿潤な水
素または水素と窒素の混合雰囲気中で、750〜900
℃の温度範囲で30秒〜30分間脱炭焼鈍を行う。この
脱炭焼鈍は良好な一次皮膜を形成するための公知技術を
適用することができる。また、使用する焼鈍分離剤に応
じて適正な条件を適用する必要がある。たとえばMgO
を焼鈍分離剤とする場合、過度なFe系の酸化物(Fe
2 SiO4 ,FeO等)は追加酸化や窒素透過が促進し
やすくAlN等のインヒビターを熱的に不安定にするの
で、過度なFe系酸化物を形成させない酸化度で焼鈍を
行うことが望ましい。通常脱炭焼鈍が行われる800〜
900℃の温度域においては、雰囲気ガスの酸化度を調
整することにより、Fe系酸化物の生成を抑制すること
ができる。また、Al2 3 を焼鈍分離剤とする場合は
FeOがないSiO2 のみの酸化物の方がAl2 3
鋼板への焼き付きが少ないので低い酸化度の雰囲気で焼
鈍することが望ましい。一方、脱炭焼鈍温度は主に最適
な一次再結晶粒径を得る観点から決定される。
【0027】この脱炭焼鈍板の(Al,Si)Nインヒ
ビターを強化する必要がある場合、または(Al,S
i)Nを主インヒビターとして用いる製造法(例えば特
公昭62−45285号公報)においては、脱炭焼鈍か
ら二次再結晶仕上焼鈍の工程間で窒化処理を施す。この
窒化処理の方法は特に限定するものではなく、アンモニ
ア等の窒化能のある雰囲気ガス中で行う方法等がある。
量的には0.005%以上、望ましくは全窒素量として
鋼中のAl当量以上窒化すれば良い。
【0028】これらの脱炭焼鈍板をコイルフォームに巻
く直前に、焼鈍分離剤にBiの塩化物を含有した水スラ
リーを鋼板表面に塗布し、二次再結晶を確保しながら鋼
板表面を鏡面化させることが本発明のポイントである。
二次再結晶と表面の鏡面化の機構はまだ明らかでない
が、コイルを二次再結晶仕上焼鈍する過程で1000℃
までは一次皮膜が形成し、二次再結晶に必要なAlN等
のインヒビターの変質を抑制する。そして、焼鈍分離剤
に含有するBiとClは焼鈍中に水と反応しBiOCl
となり、更に昇温中にBiCl3 の蒸気を生成しつつ分
解する。BiCl 3 は平衡解離塩素分圧が非常に高いの
で、他の塩化物に比較してコイル板間でClガスを発生
させやすい。発生したClガスは鋼板表面の酸化層を拡
散し、地鉄に達するとFe+2Cl→FeCl2 の反応
に従ってFeCl2 の気体を発生する。酸化膜と地鉄の
界面である程度のFeCl2 ガスが生成されると地鉄表
面は酸化層と分離するため、表面Fe原子の移動が容易
になり1000℃以上の高温で鏡面状態になるものと推
定される。このように二次再結晶仕上焼鈍の高温域で鏡
面化することは、上述したように工場規模でコールフォ
ームによりBi添加超高磁束密度一方向性電磁鋼板製造
方法する欠点を補うため極めて有効である。また、図2
でBi添加量とともに鏡面化鋼板表面に微量に付着した
酸素が減少しているように、Bi添加は鏡面化を促進さ
せる作用があることが期待される。この原因については
まだ明らかではないが、製鋼段階で添加した鋼中のBi
が鋼板表面から気化されるときに、一次皮膜の剥離やそ
の後のサーマルエッチングに対し有利に作用しているも
のと推定している。すなわち、本発明は従来のBi添加
法とによる超高磁束密度化と鏡面化技術による低鉄損化
を極めて効果的に組み合わせたものである。
【0029】焼鈍分離剤としては、コイル板間に塗布さ
れて1200℃程度の温度でも板間の焼き付きを生じさ
せない公知の高融点化合物、たとえばMgO,Al2
3 ,SiO2 ,ZrO,BaO,CaO,SrOが有効
でその一種あるいは2種以上の混合物を用いる。これら
の酸化物にBi塩化物を添加すると、いずれにおいても
二次再結晶形成と鏡面化が満足できる。
【0030】焼鈍分離剤中にBi塩化物を形成させるた
めには、BiCl,BiOCl,BiCl2 として添加
することが適切である。また、特開平7−54155号
公報に記載されるように、Biの単位あるいはBiの化
合物と金属の塩素化合物を複合添加する場合でも同等の
効果が得られる。焼鈍分離剤に含有されるBi塩化物が
焼鈍分離剤100重量部に対し塩素重量部で0.2部よ
り少ない場合には、エッチング効果が不足しコイル幅方
向全域に渡って酸化膜を除去することができない。一方
添加量を多くしても板間に存在し得るClガスの体積は
一定であるので、余分に添加されたBi塩化物はコイル
板間より流出し、効果を持たない。また、二次再結晶焼
鈍中に鋼板の焼き付きが発生しないためには、Bi塩化
物が蒸発した後に分離剤が残存していることも必要であ
る。従って、Bi塩化物の添加量上限は、塩素重量部と
して15部とした。
【0031】二次再結晶仕上焼鈍条件については、特開
平7−18333号公報に開示されるように昇温中の窒
素分圧を制御して(Al,Si)Nインヒビターを安定
化する方法や、特開平2−258929号公報に開示さ
れる様に一定の温度で保持したり昇温速度を制御する手
段により二次再結晶を所定の温度域で行うことは磁束密
度を上げるうえで有効である。そして二次再結晶完了後
は、窒化物等の不純物の純化とサーマルエッチングによ
り表面の平滑化をおこなうために100%水素で110
0以上の温度で焼鈍する。
【0032】二次再結晶仕上焼鈍後引き続き余分の焼鈍
分離剤を除去後、コイル巻きぐせ等を矯正するための連
続張力焼鈍を行い、同時に絶縁皮膜コーティングを塗
布、焼き付けする。このとき必要に応じて、該鋼板にレ
ーザー照射、機械的溝形成、張力被膜コーティング等の
磁区細分化処理を施す。本発明はBi添加により超高磁
束密度化を行うと同時に二次再結晶粒径を大きくするも
のであるため、鉄損特性を改善する意味から磁区細分化
処理は有効である。磁区細分化の方法は特に限定する必
要はない。
【0033】局部的な歪みを導入することで磁区細分化
を行う場合、例えば特公昭57−2252号公報等に記
載されるレーザー光照射を行う方法や、特開昭62−1
51511号公報、特公平6−45824号公報等に記
載されるプラズマ炎照射を行う方法等を用いれば良い。
局部的な溝を形成することで磁区細分化を行う場合、歯
車ロール法(例えば特公平4−48847号公報)や金
型プレス法(例えば特公平6−63037号公報)等の
機械的な塑性加工による方法、フォトエッチング法(例
えば特公平5−69284号公報)やレジストインキエ
ッチング法(特公平2−46673号公報、特公平3−
69968号公報)等の化学エッチングや電解エッチン
グを用いる方法などを採用すればよい。鋼板に形成する
溝は圧延方向に対して直角もしくは直角から45度の範
囲内でその間隔は2〜10mmが鉄損低下の観点から好ま
しい。溝の形状は連続的、不連続または点状のいずれで
も良い。溝の幅、及び深さはそれぞれ10〜300μ
m,5〜50μmの範囲が鉄損低下の観点から好まし
い。溝の幅を狭くすると曲率半径の小さな曲げ加工を施
す際に折れの起点となりやすい。また溝の幅を広くする
と磁束密度が低下してしまう。溝の深さも同様にあまり
深くすると磁束密度が低下してしまう。また、このよう
な局部的な溝を形成する工程は、冷延以降の工程であれ
ばいずれの工程でも良い。
【0034】張力コーティングとしては、例えば特開昭
48−39338号公報によるコロイド状シリカとリン
酸アルミニウムを主体とするコーティング液、特開昭5
0−79442号公報によるコロイド状シリカとリン酸
マグネシウムを主体とするコーティング液、または特願
平4−222849号公報によるアルミナ・ゾルとホウ
酸を主成分とするコーティング液を焼き付ける方法等を
採用すればよい。
【0035】
【実施例】
(実施例1)重量%で、C:0.05%、Si:3.3
%、Mn:0.1%、S:0.01%、酸可溶性Al:
0.03%、N:0.008%、を基本成分とし、
(A:Bi添加)Bi:0.01%と(B:従来法)B
i:0%の2水準の珪素鋼を溶製し、それぞれ鋳片に分
注鋳造後、1200℃に加熱し、抽出後直ちに2.3mm
板厚まで熱間圧延した。その後、酸洗し0.23mmまで
冷延した。この冷延板を窒素と水素の混合ガス中におい
て酸化度0.1(C)および0.4(D)で830℃の
温度で100秒焼鈍し一次再結晶させた。次いでアンモ
ニア雰囲気中で焼鈍することにより、窒素量を0.02
%に増加して、インヒビターの強化を行った。
【0036】これらの鋼板をその後、(C:鏡面化)A
2 3 +BiOCl(5重量部)、及び(D:従来
法)MgOの水スラリーを塗布した後鋼板を積層し、窒
素分圧が25%の湿水素雰囲気で低いガス流量のもとで
二次再結晶仕上焼鈍を施した。これらの試料に歯車ロー
ルで圧延方向と直角方向から10度の方向で、幅50μ
m、深さ50μmの溝を形成した後、コロイド状シリカ
とリン酸塩を主成分とするコーティング液を塗布して8
50℃で2分間焼き付けた。これらの試料の磁気特性を
測定した後、更に800℃で4時間の歪取り焼鈍を行っ
た。得られた製品の磁気特性を表1に示す。
【0037】
【表1】
【0038】(実施例2)重量%で、Si:3.3%、
Mn:0.1%、C:0.05%、S:0.007%、
酸可溶性Al:0.03%、N:0.008%,Sn:
0.05%を基本成分とし、(A:Bi添加)Bi:
0.01%と(B:従来法)Bi:0%の2水準の珪素
鋼を溶製し、それぞれ鋳片に分注鋳造後、1200℃に
加熱し、抽出後直ちに2.3mm板厚まで熱間圧延した。
酸洗し1.4mmまで冷延した冷延板を1120℃の温度
で30秒900℃で90秒焼鈍し後、750℃まで空冷
後80℃の水中に急冷し、最終板厚0.15mmに冷延し
た。この冷延板を窒素と水素の混合ガス中において酸化
度0.3で830℃の温度で70秒焼鈍し一次再結晶さ
せた。次いでアンモニア雰囲気中で焼鈍することによ
り、窒素量を0.025%に増加して、インヒビターの
強化を行った。
【0039】これらの鋼板をその後、(C:鏡面化)Z
rO+BiCl(10重量部)、及び(D:従来法)M
gOの水スラリーを塗布した後鋼板を積層し、窒素分圧
が25%の湿水素雰囲気で低いガス流量のもとで二次再
結晶仕上焼鈍を施した。これら仕上焼鈍後の試料に圧延
方向と直角方向に、幅30μm、深さ10μmの溝をフ
ォトエッチング法で形成した後、アルミナ・ゾルとホウ
酸を主成分とするコーティング液を塗布して870℃で
2分間焼き付けた。これらの試料の磁気特性を測定した
後、更に800℃で4時間の歪取り焼鈍を行った。得ら
れた製品の磁気特性を表2に示す。
【0040】
【表2】
【0041】(実施例3)重量%で、Si:3.3%、
Mn:0.07%、C:0.07%、Se:0.025
%、酸可溶性Al:0.028%、N:0.008%、
Sb:0.1%を基本成分とし、(A:Bi添加)B
i:0.01%と(B:従来法)Bi:0%の2水準の
珪素鋼を溶製し、それぞれ鋳片に分注鋳造後、1350
℃で加熱し、抽出後直ちに2.3mm板厚まで熱間圧延
し、直ちに室温まで水冷した。この熱延板を1100℃
で2分間焼鈍した後酸洗し、最終板厚0.27mmまで途
中で250℃での時効処理を5回挟んで冷延した。この
冷延板を窒素と水素の混合ガス中において酸化度0.4
8で850℃の温度で120秒焼鈍し一次再結晶させ
た。
【0042】これらの鋼板をその後、(C:鏡面化)M
gO+BiCl3 、及び(D:従来法)MgOの水スラ
リーを塗布した後、鋼板を積層し厚み方向に20kg/mm
2 で加圧した後、窒素分圧が25%の湿水素雰囲気で低
いガス流量のもとで二次再結晶仕上焼鈍を施した。これ
らの試料に、コロイド状シリカとリン酸塩を主成分とす
るコーティング液を塗布して850℃で2分間焼き付け
た。その後、鋼板表面に圧延方向と直角方向に5mm間隔
でレーザー照射を行った。得られた製品の磁気特性を表
3に示す。
【0043】
【表3】
【0044】(実施例4)容量%で、C:0.05%、
Si:3.25%、Mn:0.10%、S:0.007
%、P:0.025%、酸可溶性Al:0.029%、
N:0.007%Bi:0.007%、Cr:0.12
%を含有する珪素鋼を溶製し、スラブに鋳造後、115
0℃に加熱し、抽出後直ちに2.3mm板厚まで熱延し、
熱延後水冷し550℃で巻き取った。その後熱延板を1
120℃の温度で30秒900℃で90秒焼鈍し、75
0℃まで空冷後80℃の水中に急冷した。次いで酸洗
後、0.23mmまで5パスの圧延を行い、途中200℃
以上で5分以上の時効処理を行った。引き続き脱炭・一
次再結晶焼鈍を窒素と、水素の混合ガス中において酸化
度0.49の雰囲気とし、850℃の温度で100秒行
い、引き続いてNH3 雰囲気でN含有量が200ppm
になるよう窒化焼鈍を行った。MgOを主成分とする焼
鈍分離剤にMgO100重量部に対しBiOClを7.
5重量部添加した水スラリーを鋼板表面に塗布後して巻
いた5Tのコイルを、ボックスタイプの焼鈍炉で2次再
結晶仕上焼鈍を行った。炉内に窒素50%の窒素と水素
の混合ガスを流しながら1200℃まで15℃/hrで昇
温し、引き続いて水素を流しながら1200℃で75時
間の純化焼鈍を行った。その後、コイルを連続焼鈍ライ
ンで展開しながら、圧延方向からと直角方向から10度
傾いた、幅50μm、深さ11μmの溝を形成した歯型
の金型をプレスで溝を形成した後、コロイド状シリカと
リン酸塩を主成分とするコーティング液を塗布して86
0℃で2分間焼き付けた。得られたコイルの5箇所でサ
ンプリングし、測定した800℃で2時間焼鈍後のエプ
スタイン値は、磁区制御前の磁束密度B8 で平均1.9
7T、鉄損W17 /50 で0.68W/kgであった。
【0045】
【発明の効果】本発明は、従来のBi添加法とによる超
高磁束密度化とBi塩化物を含有する焼鈍分離剤を塗布
する鏡面化技術による低鉄損化を極めて効果的に組み合
わせることにより、工業生産において極めて安定的に安
価な超磁束密度低一方向性電磁鋼板が得られるととも
に、磁区細分化処理後の鉄損特性も極めて優れており、
工業的に非常に価値が高いものと云える。
【図面の簡単な説明】
【図1】一次皮膜形成法(従来のマグネシア焼鈍分離剤
剤)における、各Bi含有量での仕上げ焼鈍中のガス導
入量と磁束密度B8 および鋼板酸素量の関係を示す図
で、〔A〕は各Bi含有量での仕上げ焼鈍中のガス導入
量と磁束密度B8 の関係を示す図で、〔B〕は各Bi含
有量での仕上げ焼鈍中のガス導入量と鋼板酸素量の関係
を示す図。
【図2】鏡面化法(ビスマス塩化物を含有するマグネシ
ア焼鈍分離剤)における、各Bi含有量での仕上げ焼鈍
中のガス導入量と磁束密度B8 および鋼板酸素量の関係
を示す図で、〔A〕は各Bi含有量での仕上げ焼鈍中の
ガス導入量と磁束密度B 8 の関係を示す図で、〔B〕は
各Bi含有量での仕上げ焼鈍中のガス導入量と鋼板の酸
素量の関係を示す図。
【図3】図2で得られた試料をレーザー照射により磁区
細分化処理を行ったときの素材の磁束密度(磁区細分化
前)B8 と磁区細分化後の鉄損W17/50 の関係を示す
図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−346247(JP,A) 特開 平7−18333(JP,A) 特開 平7−54155(JP,A) 特開 平6−8814(JP,A) 特開 平6−88173(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C21D 8/12 C21D 9/46 501 C22C 38/00 303 C22C 38/06 H01F 1/16

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、C:0.02〜0.1%、S
    i:2.0〜4.8%、酸可溶性Al:0.012〜
    0.050%、N:0.0030〜0.0150%、B
    i:0.0005〜0.03%を基本成分とし、残部は
    Feおよび不可避的不純物をからなる溶鋼を鋳造し、熱
    間圧延し、65〜95%の最終強冷延を含む1回あるい
    は中間焼鈍を介入する2回以上の冷間圧延により最終板
    厚とし、一次再結晶を兼ねた脱炭焼鈍を施し、二次再結
    晶仕上焼鈍を行う工程からなる一方向性電磁鋼板の製造
    方法において、鋼板表面に、焼鈍分離剤100重量部に
    対してBiの塩化物が塩素重量部で0.2〜15重量部
    含有する焼鈍分離剤を塗布後、二次再結晶仕上焼鈍する
    ことを特徴とする鏡面一方向性電磁鋼板の製造方法
  2. 【請求項2】 焼鈍分離剤が、MgO,Al23 ,S
    iO2 ,ZrO,BaO,CaO,SrOの1種あるい
    は2種以上の混合物であることを特徴とする請求項1記
    載の鏡面一方向性電磁鋼板の製造方法
  3. 【請求項3】 請求項1記載の鋼板に局部的な歪みを導
    入することにより、磁区細分化処理を施すことを特徴と
    する鏡面一方向性電磁鋼板の製造方法
  4. 【請求項4】 請求項1記載の鋼板にコーティング処理
    による張力皮膜を形成した後、局部的な歪みを導入する
    ことにより、磁区細分化処理を施すことを特徴とする
    面一方向性電磁鋼板の製造方法
  5. 【請求項5】 請求項1記載の鋼板に圧延方向に対して
    直角もしくは直角から45度の範囲内で間隔2〜10mm
    で幅10〜300μm、深さ5〜50μmの範囲で連続
    的、不連続または点状の溝あるいは局部的な溝を形成
    し、併せてコーティング処理による張力皮膜を形成する
    ことにより磁区細分化させることを特徴とする鏡面一方
    向性電磁鋼板の製造方法
  6. 【請求項6】 脱炭焼鈍から二次再結晶仕上焼鈍の工程
    間で窒化処理を行うことを特徴とする請求項1ないし5
    のいずれかに記載の鏡面一方向性電磁鋼板の製造方法。
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