JPH10152530A - 延伸ブロー成形用ポリプロピレン系樹脂・組成物、それらの成形体及びその製造方法 - Google Patents

延伸ブロー成形用ポリプロピレン系樹脂・組成物、それらの成形体及びその製造方法

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JPH10152530A
JPH10152530A JP31396796A JP31396796A JPH10152530A JP H10152530 A JPH10152530 A JP H10152530A JP 31396796 A JP31396796 A JP 31396796A JP 31396796 A JP31396796 A JP 31396796A JP H10152530 A JPH10152530 A JP H10152530A
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melting point
polypropylene
stretch blow
blow molding
polypropylene resin
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JP31396796A
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Toshitomo Hino
利朋 日野
Hidenori Ono
秀則 小野
Hiroshi Eto
寛 衛藤
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Japan Polyolefins Co Ltd
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NIPPON PORIOREFUIN KK
Japan Polyolefins Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 結晶性のポリプロピレン系樹脂・組成物であ
って、透明性、剛性、耐衝撃性、座屈強度等の特性に優
れ、延伸時での温度のバラツキがあっても、それに対応
して延伸することができて肉厚分布が均一化された成形
体を成形できる加工可能温度幅の広いポリプロピレン系
樹脂・組成物、それらを用いた成形体およびその製造方
法。 【解決手段】 融点を2つ以上有するポリプロピレン系
樹脂であって、最低融点と最高融点の差が5〜50℃、
α−オレフィン含有量が0.5〜15モル%、メルトフ
ロレートが0.1〜100g/10分である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は透明性、耐衝撃性、
剛性、耐熱性を有し、成形加工性に優れる延伸ブロー成
形用ポリプロピレン系樹脂・組成物およびそれらを用い
た成形体並びにその成形方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリプロピレン樹脂は、結晶性が高く、
耐熱性に優れる上に、安価である等の理由により、広く
利用されており、押出成形、射出成形、吹込成形等の種
々の成形方法により、フイルム、シート、容器等に成形
されている。なかでも、各種の容器を製造するには、ブ
ロー成形法が用いられる。そして、ポリプロピレン樹脂
を用いたブロー成形においては、結晶性のポリプロピレ
ン樹脂を延伸することにより透明性、剛性、耐衝撃性等
の改良が図られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、非晶性
樹脂に比較して、結晶性のポリプロピレン樹脂を用いる
場合、延伸ブロー成形での加工可能温度幅が狭く、偏肉
のない良好な容器を製造することが難しいという問題点
を有している。例えば、特開昭59―41344号、特
開昭60―125627〜125629号、特開平1―
154723号各公報等においては、プロピレンとα―
オレフィンランダム共重合体またはこれらとポリエチレ
ン系樹脂とのブレンド物を用いて、透明性、衝撃強度等
の優れたブロー成形容器、あるいは二軸延伸容器等が提
案されているが、これらの容器の成形に使用されている
プロピレンとα―オレフィンランダム共重合体等は、加
工成形時、特に延伸時のプリフォームの可能温度幅が狭
く、プリフォームの各部の温度が不均一な状態で延伸を
行なうと均一に延伸されず、成形物の肉厚が不均一にな
ったり、また、プリフォームが所定の延伸倍率に到達す
る前に切れてしまい良好な成形体が得られないという問
題点を有している。本発明は前記課題を解決するために
なされたもので、結晶性のポリプロピレン系樹脂・組成
物であって、透明性、剛性、耐衝撃性、座屈強度等の特
性に優れ、なおかつ、従来延伸ブロー成形で問題となっ
ていた延伸時での温度変化によるバラツキがあっても、
それに対応して延伸することができて肉厚分布が均一化
された成形体を成形できる加工可能温度幅の広いポリプ
ロピレン系樹脂・組成物、それらを用いた成形体および
その製造方法を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明のポリプロピレン
系樹脂・組成物は、特に延伸ブロー成形に特有の課題を
解決したもので、融点を2つ以上有するポリプロピレン
系樹脂であって、最低融点と最高融点の差が5〜50
℃、α−オレフィン含有量が0.5〜15モル%、メル
トフロレートが0.1〜100g/10分である樹脂、また
は、プロピレン単独重合体、プロピレンとα−オレフイ
ンとのランダムもしくはブロック共重合体、あるいはこ
れらを熱減成してなるプロピレン重合体の群から選択さ
れる2種以上のプロピレン重合体からなり、最低融点と
最高融点の差が5〜50℃、α−オレフィン含有量が
0.5〜15モル%、メルトフロレートが0.1〜100
g/10分である樹脂組成物である。
【0005】また、これらのポリプロピレン系樹脂また
はポリプロピレン系樹脂組成物においては、その100
重量部に対して、結晶核剤が0.05〜5重量部添加さ
れていることが望ましい。また、本発明の成形体は、こ
れらの延伸ブロー成形用ポリプロピレン系樹脂・組成物
を用いて、縦延伸倍率1.5倍以上、横延伸倍率1.5倍
以上に二軸延伸してなるものである。また、本発明の成
形体の製造方法は、(a)これらの延伸ブロー成形用ポ
リプロピレン系樹脂・組成物を60℃以下の金型内に射
出温度150〜300℃で射出してプリフォームを成形
する工程と、(b)該プリフォームを用いてその融点以
下100℃以内で延伸ブロー成形する工程と、(c)該
延伸ブロー成形した成形体を60℃以下の金型内で冷却
する工程とを有するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明をさらに詳述する。
本発明のポリプロピレン系樹脂・組成物は、融点が2つ
以上あるものであり、2種類以上の樹脂からなる組成
物、または1種類であっても多段重合等による調製を行
なった樹脂である。本発明のポリプロピレン系樹脂また
は樹脂組成物(以下、これらを纏めて樹脂組成物と称す
る)は、そのような複数の融点をもつ樹脂組成物であっ
て、そのうちの最も低い温度における融点(「最低融
点」と称する)と、最も高い温度における融点(「最高
融点」と称する)の差(以下、「融点分布」という。)
が5〜50℃であることが必要である。融点分布はさら
には7〜45℃であることがより好ましく、さらには1
0〜40℃の範囲であることが望ましい。融点分布が5
℃未満では、成形温度の幅が狭く、延伸時のプリフォー
ムの温度のバラツキに追従できない。また、融点分布が
50℃を超えると透明性が悪化する。この融点分布は、
JIS K7121の示差走査熱量計(DSC)を用いることに
より簡単に求まる。例えば、図1に2種類のポリプロピ
レンからなる樹脂組成物のDSCチャートを示す。図示
例のものでは、融点分布は、最高融点(mp2:157.
6℃)と最低融点(mp1:130.5℃)の差として2
7.1℃と定まる。3成分以上からなるポリプロピレン
樹脂組成物などであって、融点が3つ以上観測される場
合には、最低融点と最高融点のみを対象とし、それらの
中間に位置する融点は考慮外とする。
【0007】本発明の樹脂組成物のメルトフロレート
(MFR:ASTM D 1238、230℃、2.16kg荷重)
は0.1〜100g/10分、好ましくは0.5〜70g/10
分、さらに好ましくは1.0〜50g/10分である。該メ
ルトフロレートが0.1g/10分未満の場合にはウエルド
マークが発生し、プリフォーム成形時の加工性が悪く、
100g/10分を超える場合には延伸工程前にてプリフォ
ームが垂れる現象が発生し、良好な肉厚分布成形体が得
られにくい。またさらに、例えば、ホットパリソン法で
の延伸ブロー成形用では上記MFRは0.5〜20g/10
分が最も望ましい。また、コールドパリソン法の場合に
は3〜40g/10分が最も望ましい。
【0008】本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、
そのα−オレフィン含有量は0.5〜15モル%、好ま
しくは0.7〜14モル%、さらに好ましくは0.8〜1
3モル%である。該α−オレフィン含有量が0.5モル
%未満では透明性が向上せず、15モル%を超えるもの
はプリフォーム成形時の冷却サイクルが長くなり、生産
性が悪化し、経済性に難点を有する。本発明の組成物の
分子量分布(Mw/Mn)は、広い方が延伸ブロー成形
が容易であり、Mw/Mnの値は2.0以上が望まし
い。Mw/Mnの値が2.0以下では流動性が悪くな
り、ウエルドやフローマークが発生し、プリフォーム成
形がしずらい。また、Mw/Mnが広くなり低分子量成
分が多くなるとプリフォーム成形時の離型性が悪くな
り、良好な形状をプリフォームが得にくくなる。
【0009】本発明においては、少なくとも2種のプロ
ピレン重合体からなるポリプロピレン系樹脂組成物で構
成されることが望ましく、そのブレンドの組み合わせと
してはMFRがなるべく近い方が押出機での練りむらが
なく良好な成形体が得られる。また、ドライブレンドで
もMFRが近い樹脂の場合は成形性および製品に悪影響
しない。分子量分布を広くし延伸ブロー成形を容易にす
る為にMFRに差がある樹脂をブレンドする場合には予
め押出機等で一度ペレタイズしておくことが好ましい。
しかし、複数種のポリプロピレン系樹脂を組み合わせて
調製する際にMFR差が大きいとペレタイズでの練りが
悪く、成形体にフィッシュアイが目立ちやすい。そこ
で、成形性を損なうことなく成形体の耐衝撃性、耐熱性
の物性を向上する為には、融点が低くMFRの高いポリ
プロピレン樹脂と、融点が高くMFRの低いポリプロピ
レン樹脂とを組み合わせてブレンドすることが望まし
い。
【0010】本発明で使用されるプロピレン重合体とし
ては、プロピレン単独重合体、プロピレンとα−オレフ
インとの2元または3元ランダム共重合体、ブロック共
重合体あるいはそれらプロピレン重合体に熱減成したプ
ロピレン重合体等が挙げられる。そのようなα−オレフ
インとしては、エチレン、1−ブテン、4−メチル−1
−ペンテン、1−ヘキセン等の炭素数2〜20、好まし
くは2〜12の範囲のα−オレフインが望ましく、混合
されていても良い。特にα−オレフインとしてはエチレ
ンが好ましく、少なくともエチレンを0.5〜20モル
%含有するものが好ましい。上記プロピレンとα−オレ
フインとの共重合体のα−オレフイン含有量は特に制限
されないが、一般的なα−オレフイン含有量は、0.5
〜15モル%の範囲である。本発明の熱減成してなるプ
ロピレン重合体とは、上述のプロピレン重合体をヘンシ
ェルミキサー、押出機等の混練機で、好ましくは有機過
酸化物の存在下で分子量を低下(メルトフローレートを
大きく)させたものである。ここで、上記有機過酸化物
としては、例えば、t−ブチルヒドロペルオキシド、ク
メンヒドロペルオキシド等のヒドロペルオキシド;ジ−
t−ブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、t−
ブチルクミルペルオキシド等のジアルキルペルオキシ
ド;アセチルペルオキシド、プロピオニルペルオキシド
等のジアシルペルオキシド;ジ−イソプロピルペルオキ
シジカルボナート、ジ(2−エチルヘキシル)ペルオキ
シジカルボナート等のペルオキシジカルボナート等を挙
げることができる。
【0011】また、本発明のポリプロピレン系樹脂・組
成物においては、結晶核剤を配合しておくことが望まし
い。結晶核剤を配合しておくことにより、結晶度を高め
られ、成形体の透明性を向上させることができる。その
ような結晶核剤の配合量は、ポリプロピレン系樹脂・組
成物を100重量部としたときに、0.05〜5重量部
となる量が好ましい。上記結晶核剤としては、ソルビト
ール化合物、カルボン酸の金属塩、芳香族リン酸エステ
ル系化合物、ポリビニルシクロヘキサンなどのビニル基
を含有するモノマーの重合体、無機化合物のシリカ、タ
ルクなどが挙げられる。ソルビトール化合物としては例
えば、ジベンジリデンソルビトール、1,3,2,4−ジ
−(メチルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4
−(エチルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4
−(メトキシベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,
4−(エトキシベンジリデン)ソルビトールなどが挙げ
られる。カルボン酸の金属塩としては、例えば、アジピ
ン酸ナトリウム、アジピン酸カリウム、アジピン酸アル
ミニウム、セバシン酸ナトリウム、セバシン酸カリウ
ム、セバシン酸アルミニウム、安息香酸ナトリウム、安
息香酸アルミニウム、ジ−パラ−t−ブチル安息香酸ア
ルミニウム、ジ−パラ−t−ブチル安息香酸チタン、ジ
−パラ−t−ブチル安息香酸クロム、ヒドロキシ−ジ−
t−ブチル安息香酸アルミニウムなどを挙げることがで
きる。芳香族リン酸エステル系化合物の市販されている
ものの代表例としては、「MARK NA-10」、「MARK NA-1
1」、「MARK NA-21」(いずれも旭電化工業(株)製)
などが挙げられ、これらは単独あるいは2種類以上混合
して用いられる。さらに、必要に応じて本発明の特性を
損なわない範囲で、抗酸化剤、滑剤、帯電防止剤、紫外
線吸収剤、顔料、染料等の添加剤を配合しても差し支え
ない。
【0012】本発明の成形体とは、飲料用容器、果汁容
器、ミネラルウオーター等の食品容器、シャンプー、リ
ンス、液体石鹸等のトイレタリー溶液や家庭洗剤等の容
器、液体化粧品用容器、アルコール、工業薬品等の薬品
容器、輸液ボトル、血液ボトル等の医療容器等の各種容
器が挙げられるる。これらは上記延伸ブロー成形用ポリ
プロピレン系樹脂組成物を縦延伸倍率1.5倍以上、好
ましくは2〜5倍の範囲、横延伸倍率1.5倍以上、好
ましくは2〜10倍位の範囲で2軸延伸しておくことが
望ましい。成形体の横もしくは縦の延伸倍率が1.5倍
未満では、透明性、座屈強度等が十分に満足するものに
ならない虞が生じるからである。また、横/縦の延伸比
は1〜5倍の範囲が望ましい。また、着色せず透明性が
必要な成形体のヘイズは、ホットパリソン法で20%以
下、コールドパリソン法で10%以下であることが望まし
い。また、成形体の落下強度は低温で落下しても破壊し
ないことがよく、雰囲気温度が5℃で、高さ1.2mか
ら繰り返し落としても割れないことが望ましい。成形体
の剛性は、その用途により異なり、輸液ボトルでは柔軟
性が求められるが、一般的な食品、化粧品等の容器では
座屈強度が15kg以上、より望ましくは25kg以上であ
ることが望ましい。
【0013】本発明の成形体の製造方法としては、押出
延伸ブロー成形法、射出延伸ブロー法等が挙げられ、コ
ールドパリソン法、ホットパリソン法等、特に制限され
るものではないが、好ましくは、コールドパリソン法で
製造することが望ましい。
【0014】上記コールドパリソン法での延伸ブロー成
形の場合、DSCにて測定した融点が164℃〜140℃でM
FRが0.5〜100g/10分のポリプロピレン樹脂(A)と、
融点が145〜130℃でMFRが0.1〜100g/10分のポリプロ
ピレン樹脂(B)であって、ポリプロピレン樹脂(A)
とポリプロピレン樹脂(B)の融点差が5〜50℃の範囲
のものをブレンドしてなるポリプロピレン系樹脂組成物
で延伸ブロー成形することが望ましい。このような2種
のポリプロピレン樹脂(A)とポリプロピレン樹脂
(B)をブレンドしたポリプロピレン系樹脂組成物であ
ると、成形可能温度幅、即ち、成形体が延伸時に破裂し
ない温度のばらつき範囲を広くすることができる。
【0015】また、ホットパリソン法においても、DS
Cにて測定した融点が164℃〜140℃でMFRが0.5〜100
g/10分のポリプロピレン樹脂(A)と、融点が145〜130
℃でMFRが0.1〜100g/10分のポリプロピレン樹脂
(B)とのブレンドであって、(A)と(B)の融点差
5〜50℃の範囲のポリプロピレン組成物で延伸ブロー成
形したものは、これと同量のα−オレフィン、特にエチ
レン含有量を有するランダム共重合体のみとを比較して
成形可能温度幅を大幅に拡張することができる。上記ホ
ットパリソン法においては、延伸ブロー成形の場合に、
予備延伸ブロー成形を行い、その後、再度延伸を行う方
法があるが、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物であ
ると、その予備延伸ブロー成形を省略して成形すること
が可能である。
【0016】本発明の成形体の製造方法として、下記
(a)〜(c)の工程を少なくとも含む方法が好まし
い。 (a)前記樹脂組成物を温度60℃以下の金型内に射出
温度150〜300℃の範囲で射出してプリフォームを
成形する工程。 (b)該プリフォームを組成物の融点以下100℃以内
の範囲で延伸ブローする工程。 (c)延伸ブローした成形体を60℃以下の金型内で冷
却し、その後、成形体を取り出す工程。
【0017】上記(a)プリフォームを成形する工程で
は、前記樹脂組成物を少なくともキャビティの表面が6
0℃以下、好ましくは20℃以下に冷媒等で冷却された
金型内に、射出温度150〜300℃、より好ましくは
170〜270℃、さらに好ましくは190〜250℃
の範囲で射出し、プリフォーム(有底のパリソン)を成形
するもので、成形されたプリフォームは金型内で急冷さ
れる。 (1)ここで、コールドパリソン法の場合は、透明なプ
リフォームを成形する為に、できるだけ速く急冷するこ
とが望ましい。そして、延伸ブロー工程においては、得
られた冷却されたプリフォームを再加熱し、融点以下1
00℃の温度範囲内、望ましくは、その結晶化温度以上
で延伸ブロー成形する。さらに望ましくは、融点より1
0〜30℃、さらには15〜25℃低い温度で延伸ブロ
ーを行う。 (2)また、ホットパリソン法の場合は、プリフォーム
の成形工程において、プリフォームの表面スキン層が形
成されて透明なプリフォームが成形された時点で、成形
サイクルのアップの点から離型によるプリフォームの変
形がない状態で直ちに射出金型から離型し、プリフォー
ムの内部結晶化が進まない間に、そのプリフォームを再
加熱または内部保有熱ならびに結晶化熱を利用して融点
以下100℃の温度で延伸ブロー成形することが望まし
い。この延伸温度はコールドパリソン法の場合と同様
に、結晶化温度以上が望ましく、好ましくは融点よりも
10〜30℃、より好ましくは15〜25℃低い温度で
延伸ブローを行うことが望ましい。ホットパリソン法の
場合には、プリフォームが完全に冷却されることなく延
伸ブロー成形するものであるが、成形されたプリフォー
ムの表面温度は低下するので、内部保有熱ならびに結晶
化熱では不足な熱量に関しては、上記適当な温度にする
為に、赤外線ヒーター、熱風加熱オーブン、誘導加熱、
超音波加熱等の一般的な加熱手段により、再加熱するこ
とが行なわれ得る。そして、上述したように、コールド
パリソン法またはホットパリソン法により延伸ブロー成
形した後は、60℃以下、より好ましくは40℃以下、
さらに好ましくは20℃以下にチラー等で冷却された金
型内で急冷却した後に、離型する。こうすることで良好
な透明性をもつ成形体とすることができる。尚、着色を
施したポリプロピレン樹脂の場合は、上記延伸温度より
2〜5℃位高めで延伸成形することが望ましい。
【0018】
【実施例】
[コールドパリソン法]表1,2に示すように、2種の
プロピレン重合体(一方を「PP A樹脂」とし、他方
を「PP B樹脂」とする)をブレンドしてなるポリプ
ロピレン系樹脂組成物(実施例1〜6、比較例7,8)
を用いて、コールドパリソン法による延伸ブロー成形を
行なって、角形容器(内容量:500ml)を成形した。
また、比較例1〜6においては、1種のプロピレン重合
体からなるポリプロピレン系樹脂を用いて、同様にコー
ルドパリソン法による延伸ブロー成形を行なった。プリ
フォームの成形においては、20℃の金型を用いて19
±0.5gのプリフォームを成形した。延伸ブロー成形
においては、予め成形したプリフォームを赤外線ヒータ
ーで、各樹脂組成物の融点から2〜50℃低い温度に加
熱し、ブロー圧力を15Kg/cm2で成形した。尚、延
伸倍率は、縦が2.5倍、横2.0倍、金型温度は15℃
とした。
【0019】成形した各容器について、成形可能温度
幅、透明性、座屈強度、耐熱性、衝撃強度を測定した。
成形可能温度幅とは、延伸直前のプリフォームの各部の
温度を測定し、最も低い温度の箇所と高い温度の箇所の
温度差であって、プリフォームが破裂しない場合の最も
広い温度差を表1,2中に示した。透明性は、JIS K712
1に準じてヘイズ(%)を測定した。座屈強度は、テン
シロン条件で、圧縮速度:20mm/min、23℃にて測
定した。耐熱性は、容器内に、85℃の湯を充填し、容
器の熱収縮による内容量の変化率を測定した。衝撃強度
は、5℃の雰囲気下、容器を自然落下し、容器が破損し
ない最高の高さを測定した。
【0020】
【表1】
【0021】
【表2】 表1,2中、各樹脂の融点は、JIS K7121に準じ、DS
C法(昇温速度:10℃/min)によって測定した。
【0022】表1,2から、融点の差が5〜50℃の範
囲にある本実施例のポリプロピレン系樹脂組成物である
と、1種のプロピレン重合体からなるポリプロピレン系
樹脂(比較例1〜5)に比較して、エチレン含有量が同
量でありながら、より成形可能温度幅が広がっているこ
とがわかる。すなわち、実施例1〜5であると、成形可
能温度幅が11〜25℃と広いのに対し、これらとそれ
ぞれ同量のエチレン含有量を有するランダム共重合体の
みで延伸ブロー成形した比較例1〜5の成形可能温度幅
は6〜20℃と狭い。尚、エチレン含有量が多い方が、
または、分子量分布が広い方が成形可能温度幅がより広
くなることもわかる。実施例6と比較例6からは、エチ
レン含有量が少なくとも、融点分布及び分子量分布を広
くすることにより成形可能温度幅を広げることができる
ことがわかる。また、2成分からなるポリプロピレン系
樹脂組成物であっても、融点分布の狭い比較例7では成
形可能温度幅が狭くなっており、融点分布の広い比較例
8では透明性が悪化している。
【0023】[ホットパリソン法]表3,4に示すよう
に、2種のプロピレン重合体(一方を「PP A樹脂」
とし、他方を「PP B樹脂」とする)をブレンドして
なるポリプロピレン系樹脂組成物(実施例11〜16、
比較例17,18)を用いて、ホットパリソン法による
延伸ブロー成形により、円筒形容器(内容量:300m
l)を成形した。また、比較例11〜16においては、
1種のプロピレン重合体からなるポリプロピレン系樹脂
を用いて、同様にホットパリソン法による延伸ブロー成
形を行なって、円筒形容器(内容量:300ml)を成形
した。プリフォームの成形においては、20℃の金型を
用いて射出成形(射出温度:220℃)によって23g
のプリフォームを成形した。延伸ブロー成形において
は、プリフォームを赤外線ヒーターで加熱し、ブロー圧
力を15Kg/cm2で成形した。尚、延伸倍率は、縦が
3.0倍、横2.0倍、金型温度は15℃であった。コー
ルドパリソン法によって成形した場合と同様に、成形し
た各容器について、成形可能温度幅、透明性、座屈強
度、耐熱性、衝撃強度を測定した。
【0024】
【表3】
【0025】
【表4】 表3,4中、各樹脂の融点は、JIS K7121に準じ、DS
C法(昇温速度:10℃/min)によって測定した。
【0026】表3,4からも、2種のプロピレン重合体
をブレンドしてなる融点分布が5〜50℃の本実施例の
ポリプロピレン系樹脂組成物であると、1種のプロピレ
ン重合体からなる比較例11〜15のポリプロピレン系
樹脂に比較して、エチレン含有量が同量でありながら、
より成形可能温度幅が広がっていることがわかる。すな
わち、ランダム共重合体のみで延伸ブロー成形した比較
例11〜15の成形可能温度幅は6〜8℃に対し、ブレ
ンドによる実施例11〜15のポリプロピレン系樹脂組
成物による成形可能温度幅は9〜15℃と大幅に拡張さ
れている。実施例16と比較例16からは、エチレン含
有量が少なくとも、融点分布及び分子量分布を広くする
ことにより成形可能温度幅を広げることができることが
わかる。また、2成分からなるポリプロピレン系樹脂組
成物であっても、融点分布の狭い比較例17では成形可
能温度幅が狭くなっており、融点分布の広い比較例18
では透明性が悪化している。
【0027】
【発明の効果】本発明のポリプロピレン系樹脂・組成物
は、特定の融点分布とα−オレフィン含量およびメルト
フローレートを有するもので、延伸ブロー成形で問題と
なる延伸工程での温度のバラツキがあっても、殆ど影響
されることなく、肉厚分布の均一化された成形体を容易
に成形することができる。そして、その結晶性のポリプ
ロピレン系樹脂・組成物を用いて延伸ブロー成形してな
る成形体は透明性、剛性、耐衝撃性、座屈強度等の特性
に優れる上、肉厚の均一なものとすることができ、洗剤
容器、化粧品容器、薬品容器、医療容器等の各種容器等
に好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 DSCチャートの一例である。
フロントページの続き (72)発明者 衛藤 寛 神奈川県川崎市川崎区夜光二丁目3番2号 日本ポリオレフィン株式会社川崎研究所 内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 融点を2つ以上有するポリプロピレン系
    樹脂であって、最低融点と最高融点の差が5〜50℃、
    α−オレフィン含有量が0.5〜15モル%、メルトフ
    ロレートが0.1〜100g/10分であることを特徴とす
    る延伸ブロー成形用ポリプロピレン系樹脂。
  2. 【請求項2】 プロピレン単独重合体、プロピレンとα
    −オレフインとのランダムもしくはブロック共重合体、
    あるいはこれらを熱減成してなるプロピレン重合体の群
    から選択される2種以上のプロピレン重合体からなり、
    最低融点と最高融点の差が5〜50℃、α−オレフィン
    含有量が0.5〜15モル%、メルトフロレートが0.1
    〜100g/10分であることを特徴とする延伸ブロー成形
    用ポリプロピレン系樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 前記ポリプロピレン系樹脂100重量部
    に対して、結晶核剤が0.05〜5重量部添加されてい
    ることを特徴とする請求項1記載の延伸ブロー成形用ポ
    リプロピレン系樹脂。
  4. 【請求項4】 前記ポリプロピレン系樹脂組成物100
    重量部に対して、結晶核剤が0.05〜5重量部添加さ
    れていることを特徴とする請求項2記載の延伸ブロー成
    形用ポリプロピレン系樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の延伸ブ
    ロー成形用ポリプロピレン系樹脂・組成物を縦延伸倍率
    1.5倍以上、横延伸倍率1.5倍以上に延伸してなるこ
    とを特徴とする2軸延伸ブロー成形体。
  6. 【請求項6】 (a)請求項1〜4のいずれかに記載の
    延伸ブロー成形用ポリプロピレン系樹脂・組成物を60
    ℃以下の金型内に射出温度150〜300℃で射出して
    プリフォームを成形する工程と、 (b)該プリフォームを用いてその融点以下100℃以
    内で延伸ブロー成形する工程と、 (c)該延伸ブロー成形した成形体を60℃以下の金型
    内で冷却する工程とを有することを特徴とする延伸ブロ
    ー成形体の製造方法。
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