JP2009293009A - 植物由来の生分解性天然素材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】
コウリャンデンプンを培養原料とし、該原料にバチルス属に属する微生物を添加・培養し、高分子粘着性の物質を採取することにより、石油由来の高分子化合物には存在しない水酸基を有するセルロース様の性質を持ち、しかも、ポリプロピレン様の構造を有する天然高分子物質を得る。該天然高分子物質をバインダーとして、これにデンプン及び/又は貝殻粉末を混合することにより、セルロースに匹敵する生分解性を有し、しかもポリプロピレンの特性を備えた機械的強度の生分解性素材を得ることができる。この生分解性素材を用いて製造したフィルム又は容器は、優れた生分解性と機械的強度の両面の性質を備える。
【選択図】図1
Description
デンプンを培養原料とし、該原料にバチルス属に属する微生物を添加・培養し、採取することで得られ、粘着性を有する高分子物質に着目した。
特に、貝殻粉末やサンゴの化石粉末が、入手の容易性、価格、機能の点から、特に好ましい。
また、従来のポロプロピレンを構成要件とするもの又は方法において、前記ポロプロピレンを、この発明の高分子物質で代替することができる。また、ポロプロピレンを原料とするものを構成要件とするもの又は方法において、前記ポロプロピレンを、この発明の高分子物質で代替することができる。
本発明において、生分解性フィルムを製造する場合には、生分解性素材全重量に対して、デンプンを5〜10重量%、貝殻粉末を5〜10重量%、及び、本発明のバインダーを80〜90重量%の範囲で混合して、成形することが好ましい。また、生分解性容器を製造する場合には、生分解性素材全重量に対して、デンプンを50〜60重量%、貝殻粉末を10〜20重量%、及び、請求項7記載のバインダーを30〜40重量%の範囲の割合で混合して、成形するのが好ましい。
したがって、上記いずれかのバインダーを用いて種々の生分解性天然素材が成形される。また、デンプンに、上記いずれかのバインダーを混合し、成形し生分解性天然素材が得られる。
例えば、上記植物由来の生分解性天然素材を、真空成型手段を用いてトレイ状物品を成形することができる。また、上記生分解性天然素材を、真空圧成型手段を用いてカップ状物品を成形することができる。
また、上記高分子物質、バインダー、又は、植物由来の生分解性天然素材を成形して、家具、家電品等の外装材を得ることができる。
インクカートリッジ容器、アルミ蒸着袋、ボトル、当該ボトルにおいて、そのボトル素材の表面、裏面、又は中間面のうちの少なくとも一部にガスバリア性素材を配置又は積層してなるボトル、そして、更に、当該ボトルにおいて、ガスバリア性素材が、生分解性天然素材からなるボトルを得ることができる。
また、上記ボトルの製造方法は、上記生分解性天然素材を、射出成形し、続いて、延伸・ブロー成形する単一の成形機で加工するHot Parison法を採用してもよい。
なお、以下の実施形態において、コウリャンデンプンを培養原料とし、該原料にバチルス属に属する微生物を添加・培養し、高分子粘着性の物質を採取することにより生分解性素材形成用に用いられる天然高分子物質を製造する方法よりなる。該天然高分子物質をバインダーとして、デンプン及び/又は貝殻粉末を混合して、成形することにより生分解性天然素材を調製し、該生分解性天然素材を、成形することにより、天然素材からなる生分解性フィルム又は容器を製造する。
本発明において、培養原料としては、コウリャンデンプンを用いる。本発明においては、該コウリャンデンプンに、とうもろこしデンプン、いもデンプン等、他のデンプンを適宜配合することができる。
本発明において、コウリャンデンプンを培養原料とて、天然高分子物質を製造するために用いる微生物としては、バチルス属に属する微生物を用いるが、該微生物としては、バチルス・ズブチリス、バチルス・プミルス、及びバチルス・チューリンゲンシスから選択された少なくとも2種以上の混合微生物を用いることが好ましい。特に、好ましくは、バチルス・ズブチリス、バチルス・プミルス及びバチルス・チューリンゲンシスから選択された3種の混合微生物(以下、「イヴリ菌」という。なお、「イヴリ」は、本出願人の登録商標)を用いるのが好ましい。これらの3種の混合微生物の混合割合を適宜調製することにより、製造される天然高分子物質の特性を調整することができる。これらのバチルス属に属する微生物は、従来、堆肥や、汚泥等における分解処理のための微生物として使用されている微生物であり(特開2003−190993号公報、特開2003−342092号公報、特開2004−65190号公報)、第三者が容易に入手することができるものである。
本発明において、天然高分子物質を製造するには、コウリャンデンプンを培養原料とし、該原料にバチルス属に属する微生物を添加・培養し、高分子粘着性の物質を採取することにより行なわれる。該培養に用いられる条件は、基本的には、通常、バチルス属に属する微生物を培養する条件を採用することができる。
本発明は、バチルス属に属する微生物を培養することにより天然高分子物質を生産し、採取するものであるが、該バチルス属に属する微生物による天然高分子物質の生産は、該微生物の培養における胞子形成期に高生産されることから、胞子形成が促進される条件で培養するのが好ましい。その条件として、培養工程において、培養液に、珪酸又は珪酸マグネシウム(珊瑚の化石粉又は貝殻)を添加する。微生物の胞子形成には、珪酸が必要であり、マグネシウムは、微生物の増殖速度を促進する。したがって、これらの成分を添加することにより、胞子形成を促進することができる。
本発明の製造方法によって製造される天然高分子物質は、赤外吸収スペクトル分析(IR)による図1の吸収スペクトルを示す。該吸収スペクトルは、石油由来の合成高分子物質には含まれない、セルロース様の水酸基の存在による吸収が示される。また、ポリプロピレン基の存在を示す吸収が示される。これらの特徴により、本発明で製造される天然高分子物質は、セルロースに匹敵する生分解性を有天然高分子物質を用いて製造した生分解性天然素材は、セルロースに似た通気性を具備させることができる。本発明で取得される天然高分子物質は、該物質を主要成分とする生分解性天然素材の製造用のバインダーとして用いることができる。本発明の天然高分子物質の構造は、構成単位分子式が、(C11H16O7)nで表され、式(1)で示される化合物と推定され、前記の通りである。
このバインダーは、着色しない限り、無色透明であり、乳酸またはポリ乳酸を含まない。
本発明においては、本発明のバインダーに、デンプン及び/又は貝殻粉末を混合して、成形し、天然生分解性フィルム又は容器製造用の生分解性天然素材として、調製される。
該成形は、通常、ペレット状に成形されるが、粒状、或いは、粉状であっても差し支えない。該生分解性天然素材の調製に混合されるデンプンとしては、とうもろこしデンプンやジャガイモデンプン等適宜のデンプンを用いることができるが、該デンプンの分子構造を変化させ、ネット状分子構造を持つように加工(改質)した化工デンプンを用いるのが好ましい。
該加工デンプンとしては、酸化デンプン、エステル化デンプン、エーテル化デンプン、及び、架橋デンプン等を挙げることができる(なお、以下の説明において、単に「デンプン」と称する。)。
貝殻粉末の添加は、貝殻の主成分である炭酸カルシウムと珪酸カルシウムを添加することにより、成形品の強度と質感を向上させる効果を有する。
本発明において、生分解性フィルム及び容器の製造は、本発明の生分解性素材を用いて、公知の成形手段により、フィルム或いは容器に成形し、実施することができる。本発明においては、特に、限定されないが、生分解性素材は、好ましくはペレットの状態で調製される。該生分解性素材のペレットや、生分解性フィルムの製造においては、生分解性素材の粉末を、加熱・加圧して成形するため、原料を伸ばして成形することが特徴であり、該成形方法を用いることにより、良好な物性の成形調製品を得ることができる。本発明で用いられる成形方法としては、フィルム類の成形においては、例えば、インフレーション成型による方法を、容器類の成型においては、例えば、真空成型(トレイ類の成型)、真空圧空成型(カップ類の成型)による方法を用いることができる。
本発明において製造される生分解性フィルム及び容器は、セルロースに匹敵する生分解性を有し、しかもポリプロピレンの特性を備えた機械的強度の特性を備えた、天然素材からなる生分解性フィルム又は容器を提供する。また、本発明において製造される生分解性フィルム及び容器は、植物材料に由来するため、石油由来の合成プラスチックにはない通気性の製品を得ることができる。この通気性は、例えば、本発明のフィルム又は容器を、果物や野菜の包装や容器に用いた場合には、その通気性によって、内部のエチレンガス等を効率よく排出することができ、また、フィルムや容器が曇りにくいという効果も期待できる。したがって、このようなフィルムや容器を用いることにより、商品の流通現場で、商品の賞味期限を延ばすことができたり、或いはその通気性により防曇り加工を施す必要がない等の実用上の効果を得ることができる。
使用素材としては、特願2006−324458号の発明で得られる素材を用いる。
また、請求項21の発明に関連して、例えば、特表2004−528951号公報記載の「乳房カップ」の製造に当たって、原料のポリプロピレンに代えて、本発明の生分解性天然素材を用いて成形することができる。
Claims (31)
- 図1に示されるIRスペクトルを示す構造で、図2に示す生分解曲線を示すことを特徴とする高分子物質。
- 請求項1記載の高分子物質で、透明な性状を有することを特徴とする高分子物質。
- 請求項1記載の高分子物質で、培養段階で珪酸又は珪酸マグネシウムが添加されていることを特徴とする高分子物質。
- 既存のポロプロピレンを構成要件とするもの又は方法において、前記ポロプロピレンの少なくとも1部を、請求項1,2又は3記載のいずれかの高分子物質で代替することを特徴とするもの又は方法。
- 原料の少なくとも1つがポロプロピレンであるもの又は方法において、前記ポロプロピレンの少なくとも1部を、請求項1,2又は3記載のいずれかの高分子物質で代替することを特徴とするもの又は方法。
- 請求項1,2又は3記載のいずれかの高分子物質の少なくとも1つを成分とすることを特徴とするバインダー。
- 請求項6記載のバインダーを用いて成形されていることを特徴とする植物由来の生分解性天然素材。
- デンプンに、請求項1,2又は3記載のいずれかの高分子物質を混合し、成形されていることを特徴とする植物由来の生分解性天然素材。
- 請求項1−8記載の、高分子物質、もの、バインダー、又は、植物由来の生分解性天然素材、の少なくともいずれか1つを成形して得られることを特徴とする、生鮮食品のトレイ、即席食品容器、ファーストフード容器、弁当箱等を含むいずれか1つの食品包装用のフィルム又は容器、或いは、食品用包装フィルム、飲料用パックの内部コーティング等を含むいずれか1つの食品包装資材。
- 請求項1−8記載の、高分子物質、もの、バインダー、又は、植物由来の生分解性天然素材、の少なくともいずれか1つを成形して得られることを特徴とする、インクカートリッジ容器、アルミ蒸着袋、又は、ボトル。
- 請求項1−8記載の、高分子物質、もの、バインダー、又は、植物由来の生分解性天然素材、の少なくともいずれか1つを成形して得られることを特徴とする、車両用部品、又は、車両内装材。
- 請求項1−8記載の、高分子物質、もの、バインダー、又は、植物由来の生分解性天然素材、の少なくともいずれか1つを成形して得られることを特徴とする、玩具。
- 請求項1−8記載の、高分子物質、もの、バインダー、又は、植物由来の生分解性天然素材、の少なくともいずれか1つを成形して得られることを特徴とする、マルチフィルム、移植用苗ポット、釣り糸、魚網、肥料等を含むいずれか1つの農林水産用資材。
- 請求項1−8記載の、高分子物質、もの、バインダー、又は、植物由来の生分解性天然素材、の少なくともいずれか1つを成形して得られることを特徴とする、断熱材、山間・海中等回収困難な土木工事の型枠、土留め等荒地・砂漠の緑化用、工事等の保水シート、土嚢、植生ネット等を含むいずれか1つの土木・建築資材。
- 請求項1−8記載の、高分子物質、もの、バインダー、又は、植物由来の生分解性天然素材、の少なくともいずれか1つを成形して得られることを特徴とする、ゴルフのティー、疑似餌等等を含むいずれか1つの野外レジャー用品。
- 請求項1−8記載の、高分子物質、もの、バインダー、又は、植物由来の生分解性天然素材、の少なくともいずれか1つを成形して得られることを特徴とする、電子機器枠体、又は、家具、家電品等の外装材。
- 請求項1−8記載の、高分子物質、もの、バインダー、又は、植物由来の生分解性天然素材、の少なくともいずれか1つを成形して得られることを特徴とする、紙オムツ、生理用品等を含むいずれか1つの衛生用品。
- 請求項1−8記載の、高分子物質、もの、バインダー、又は、植物由来の生分解性天然素材、の少なくともいずれか1つを成形して得られることを特徴とする、ペンケース、芯ケース、髭剃り、歯ブラシ、コップ、ごみ袋、水切り、クッション材、衣服等を含むいずれか1つの事務用品又は衣料。
- 請求項1−8記載の、高分子物質、もの、バインダー、又は、植物由来の生分解性天然素材、の少なくともいずれか1つを成形して得られることを特徴とする、医薬品・農薬・肥料・種子等の被覆材等を含むいずれか1つの除放性を利用した被覆材。
- 請求項1−8記載の、高分子物質、もの、バインダー、又は、生分解性天然素材、の少なくともいずれか1つを成形して得られることを特徴とする、砂漠・荒れ地等での植林用素材、コンポスト化の水分調整材等を含むいずれか1つの保水性・吸水性資材。
- 請求項1−8記載の、高分子物質、もの、バインダー、又は、生分解性天然素材、の少なくともいずれか1つを成形して得られることを特徴とする、手術用縫合糸、骨折固定材、医用フィルム、医用不織布等を含むいずれか1つの医療関連資材。
- 請求項1−9記載の、高分子物質、もの、バインダー、又は、生分解性天然素材、の少なくともいずれか1つを成形して得られることを特徴とする、積層フィルム。
- 請求項10に係るボトルにおいて、そのボトル素材の表面、裏面、又は中間面のうちの少なくとも一部にガスバリア性素材を配置又は積層してなることを特徴とするボトル。
- 請求項10に係るボトルにおいて、ガスバリア性素材が、生分解性天然素材からなることを特徴とするボトル。
- 請求項7又は請求項8記載のいずれかの生分解性天然素材を、真空成型手段を用いて成形したことを特徴とするトレイ状物品。
- 請求項7又は請求項8記載のいずれかの生分解性天然素材を、真空圧成型手段を用いて成形したことを特徴とするカップ状物品。
- 請求項7又は請求項8記載のいずれかの生分解性天然素材を、射出成形して中間物品を得、更に、該中間物品を延伸・ブロー成形して加工するCold Parison法を用いることを特徴とするボトルの製造方法。
- 請求項7又は請求項8記載のいずれかの生分解性天然素材を、射出成形し、続いて、延伸・ブロー成形する単一の成形機で加工するHot Parison法を用いることを特徴とするボトルの製造方法。
- 請求項6記載のバインダーを、その素材の一部としてなることを特徴とする包装・製本・製袋の際に用いる接着剤。
- 請求項7又は請求項8記載のいずれかの生分解性天然素材を成形する方法において、その素材を粉末状態において加熱及び加圧することを特徴とする生分解性天然素材の成形方法。
- 請求項7又は請求項8記載のいずれかの生分解性天然素材を成形する方法において、その素材を、金型内で、粉末状態において加熱し、延ばしながら加圧することを特徴とする生分解性天然素材の成形方法。
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