JPH10147U - 繊維性ウェブから流動体を除去する装置 - Google Patents
繊維性ウェブから流動体を除去する装置Info
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- JPH10147U JPH10147U JP011506U JP1150697U JPH10147U JP H10147 U JPH10147 U JP H10147U JP 011506 U JP011506 U JP 011506U JP 1150697 U JP1150697 U JP 1150697U JP H10147 U JPH10147 U JP H10147U
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- D—TEXTILES; PAPER
- D21—PAPER-MAKING; PRODUCTION OF CELLULOSE
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- D21F3/00—Press section of machines for making continuous webs of paper
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- D21—PAPER-MAKING; PRODUCTION OF CELLULOSE
- D21F—PAPER-MAKING MACHINES; METHODS OF PRODUCING PAPER THEREON
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 繊維性ウェブに剥離を生じさせることなく高
い熱効率にて高い水分除去率まで水分を除去する。 【解決手段】 プレスロールとプレスロールの凸面に倣
った凹面を呈する押圧シューとの間に繊維性ウェブとブ
ランケットの重合体をブランケットが押圧シューに接す
る側に来るように通し、ウェブとブランケットの重合体
がプレスローラと押圧シューとの間に形成された円弧状
通路を通過する間にウェブに対し連続して加熱と加圧を
施す。
い熱効率にて高い水分除去率まで水分を除去する。 【解決手段】 プレスロールとプレスロールの凸面に倣
った凹面を呈する押圧シューとの間に繊維性ウェブとブ
ランケットの重合体をブランケットが押圧シューに接す
る側に来るように通し、ウェブとブランケットの重合体
がプレスローラと押圧シューとの間に形成された円弧状
通路を通過する間にウェブに対し連続して加熱と加圧を
施す。
Description
【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
本考案は、繊維性ウェブから流動体を除去するためのプレス装置に関する。よ
り詳しくは、本考案は、繊維性ウェブから水を絞り出すためのプレス装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術及び考案が解決しようとする課題】
木材パルプを紙に変える技術に於ては長年に亙り多くの改善が図られてきた。
本質的には、製紙技術は、移動するスクリーンの上へ繊維性パルプ即ち原料の層
を載せることと、比較的薄い繊維性シートを形成するためスクリーンの上面にて
その繊維性原料から過剰な水を排除することとを含む。繊維性シートもしくはウ
ェブの固有の強度を増大させるため、ウェブはスクリーンから離され、ウェブに
残留している水の量を減らすため多様なプレスロールの間を通される。製紙機の
プレス部を通過した後、増大させられた密度を有するウェブは、ウェブがプレス
部を通過した後もウェブ中に残留する過剰な水が除去されるようにして多くの加
熱されたドラム即ちドライヤの周りへと誘導される。
【0003】
現代の製紙機に於ては、各々のドラムが1.5m の直径と6m の長さとを有す
る80台以上もの乾燥ドラムをその乾燥部に有することも珍しくはない。これら
の乾燥ドラムの必要性は、形成部とプレス部との据え付けのためにも床面積が必
要とされるのに、度を過ごした極めて莫大な床面積を塞ぐことになる。その上、
増大する燃料コストに関連して、もしプレス部に於て一層多くの水が除去され得
るならば乾燥部に必要とされる蒸気が少なくて済むことは明白である。それ故、
プレス部を通過している間に繊維性ウェブから一層多量の水を除去し、それによ
って、必要とされる乾燥ドラムの数とウェブ中に残っている幾らかの水分を追い
出すために必要とされる蒸気の量とを減少させる試みが多くの研究所によりこれ
までになされてきた。
【0004】
プレス部の設計に於ける革新は、プレスされた後のウェブの中に残留している
水の量を好成績にもほぼ50%減少させた、以下の文中に於てはENPとして参
照される所謂延伸挾持プレスの導入により1980年に商業化された。従来のプ
レス技術に比較してのENPの主な特徴は以下の通りである。従来のプレスに於
ては互いに逆方向に回転するロールにより郭定される挾持部をウェブが通過する
のに対して、ENPに於てはロールの一方は凹面のシューによって置き換えられ
る。そのシューの凹面は、ウェブがプレスロールとシューとの間で或る延長され
た期間の間適度の圧力を以てプレスされるよう、細長いもしくは延長されたプレ
ス部を両者の間に郭定すべくプレスロールの外面と協力する。従来のプレスに於
ては、互いに逆回転するロールにより郭定される狭い挾持部をウェブが通過する
のでウェブは短い期間内に高い圧力を速やかに受ける。しかしながら延伸挾持プ
レスに於ては、繊維性ウェブに供給される圧力は、一層ゆっくりと増大し、凹面
とそれに協力するプレスロールとにより郭定される延長されたプレス部をウェブ
が通過するので一層長い期間に亙って加えられる。延長された期間に亙ってのこ
の一層ゆっくりした圧力の増加は、シューの形状の設計により精密に制御され得
る。シューの窪みは、協力するプレスロールの曲率半径よりもこのシューの曲率
半径の方が大きめであってよい。延伸挾持部をウェブが通過することを可能にす
るため、凹面とウェブとの間に移動可能なブランケットが配置されており、それ
故ウェブはプレス部を通過する間ブランケットとプレスロールとの間にプレスさ
れる。
【0005】
1980年に於けるその導入以来、延伸挾持プレスは多くの成功をもたらし、
乾燥部に必要とされるドライヤの数を大幅に減少させ、それにより機械の資本コ
ストのみでなく床面積及び燃料消費量をも減少させた。
【0006】
理想的な状況に於ては、プレス部から抜け出てくるウェブは、乾燥部に於てそ
れ以上の何らの処理をも必要としないような希望通りの密度と水の含有量とを有
するであろう。そのような理想的な状況は、経費のかかる乾燥部を排除するばか
りでなく、極めて簡潔にまとまった形状の製紙機を与えるであろう。本考案は、
この理想に近いプレス部へと向けられている。本考案の多様な実施例(以下に延
べられている)の詳細を正しく認識するためには、延長された期間に亙っての圧
力の増大とプレス部を通過しているウェブの温度の増加との効果に関係を有する
基本的概念を理解することが必要である。
【0007】
一般に設計されている延伸挾持プレスに於ては、ウェブは延長された期間に亙
って増大された圧力を加えられる。その上、温度の上昇はウェブからの水分の除
去を助長するから、ウェブは延伸挾持部を通過するに先立って加熱される。典型
的な延伸挾持プレスに於ては、シューによってウェブに加えられる圧力は43ba
r の水準であり、その圧力は、長さがほぼ25cmであってよいプレス部をウェブ
が通過するとき比較的均一にウェブに加えられる。プレス部を通過する間にウェ
ブの中の水分は繊維性ウェブから素早く絞り取られ、ウェブから取り去られた水
はプレス部を一緒に通過する1枚もしくはそれ以上のフェルトにより吸収される
。必要とされる如何なる圧力分布も、ENPのシューの形状を変えることにより
実現され得る。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本考案は、ウェブがプレス部を通過しているときウェブに高温を適用すること
による繊維性ウェブからの均等且一層多量の水の除去に関する。プレス部を通過
している間にウェブの温度は100℃以上に達するので、温度と圧力と時間との
複合効果が繊維性ウェブの内部に水蒸気を素早く発生させることが明らかである
。この水蒸気は残留している液相の水を繊維性ウェブから押し出し、それにより
、希望に応じた所要密度ばかりでなく、プレス処理の間にウェブから100%ま
での水が除去され得る要望通りの乾燥度をも繊維性ウェブにもたらす。
【0009】
本考案によれば、プレス部を通過する間にウェブは流動体除去の多様な様相を
経験することが解る。第一の様相は、熱的に増大させられる湿潤なプレス相であ
る。この第一の様相に引き続いて、ウェブ中に残留している液体の大部分がプレ
ス部の内部に発生させられる水蒸気により置換される第二相がもたらされる。第
三の様相は圧力下での急速な蒸発による乾燥を含み、第四の様相は、ウェブがプ
レス部から抜け出るので加圧されていない蒸発による乾燥を含む。
【0010】
本考案は、希望通りの特性を有する繊維性ウェブを製造するための革命的製法
を与えるのみでなく、必要とされる圧力を高温の適用により減少させることが可
能となり、それにより、圧力が中位であるから、従来通りのシューへの注油が水
を利用した水圧潤滑に置換され得る。圧力が中程度であるときに油を使用すると
、油の粒子による繊維性ウェブの汚染を避けるために、水潤滑システムよりも多
くの工程が予め必要となる。
【0011】
その上、従来通りのENPに於ては、プレス部を通るブランケットの通路を潤
滑するためシューの凹面とブランケットとの間に油が供給された。しかしながら
、本考案による操作温度の増大と必要とされる圧力の減少とにより、ブランケッ
トとシューとの間の潤滑媒体として使用された油の代わりに潤滑剤として水を使
用することが可能となり、汚染に関する様々な問題点を回避することが可能とな
った。
【0012】
【考案の概要】
以上に述べたところから、増大された温度をウェブに供給するという基本的概
念の多くの変形が本考案により意図されていることが明白である。従って本考案
の主な目的は、従来技術による装置の欠陥を克服し製紙技術に有意義な貢献をす
る装置を与えるプレス装置を提供することである。
【0013】
本考案のもう一つの目的は、繊維性ウェブから一層多くの水を除去するため、
延長された期間の間高い圧力と高い温度とをウェブが受けるようにしたプレス装
置を提供することである。
【0014】
本考案のもう一つの目的は、プレスを通って延びているウェブから流動体を除
去するためにENPのシューの凹面に協力する凸面を郭定するプレス部材を有す
るプレス装置を提供することである。
【0015】
本考案のもう一つの目的は、ウェブがプレス部を通過している間にプレス部の
内部に発生させられた水蒸気が液体及び/又は蒸気相の流動体をウェブから押し
出すよう、ウェブがプレス部を通過するとき或る延長された期間の間ウェブが増
大された圧力と温度とを加えられるようにしてウェブを加熱するために、プレス
ロールに近接して配置されている加熱手段を含むプレス装置を提供することであ
る。
【0016】
本考案のもう一つの目的は、効果的に熱をウェブへ伝達することが可能であり
、プレス部をウェブが通過している間の第一の層を抜けての熱の流れが抑制され
得るよう、第一の層の周りに延びている第二の層が第一の層の熱伝導率よりも大
きい熱伝導率を有するようにされた第一及び第二の同軸の層を有するプレスロー
ルを含むプレス装置を提供することである。
【0017】
本考案のもう一つの目的は、加熱手段からウェブへ熱エネルギを移送するため
プレスロールと第二ロールとの周りに延びている熱移送手段と前記の第二ロール
とを有するプレス装置を提供することである。
【0018】
本考案のもう一つの目的は、プレス部を通過しているウェブへ熱が効果的に移
送され得るようにすべく熱移送手段を加熱するための第二加熱手段が第二ロール
に近接して配置されており、その熱移送手段は前記の第二加熱手段を抜けて延び
ているようにされたプレス装置を提供することである。
【0019】
本考案のもう一つの目的は、ウェブからの最初の流動体の除去を生じさせるた
めプレス部を通る前にウェブがプレス挾持部を通って案内されるよう補助ロール
とプレスロールとがその両者の間に前記のプレス挾持部を郭定するようにして、
共にプレスロールに近接して配置されている補助プレスロールと移送ロールとを
含むプレス装置を提供することである。
【0020】
本考案のもう一つの目的は、ウェブが熱移送手段に伴なわれその熱移送手段と
プレスロールとの間に挾まれて補助プレスロールから移送ロールまでの間を移動
させられるようにして、補助プレスロール及び移送ロールの周りに延びている熱
移送手段と補助プレスロールと移送ロールとを含むプレス装置を提供することで
ある。
【0021】
本考案のもう一つの目的は、補助プレスロールと、移送ロールと、前記補助プ
レスロールの周囲並びに前記補助プレスロールとプレスロールとの間に延びてい
るブランケット手段とを含むプレス装置を提供することである。補助プレスロー
ルと移送ロールとの相手方向へ向けての互いの移動が、ブランケット手段とプレ
スロールとの間に配置されているウェブに対してブランケット手段により加えら
れている圧力の増加をもたらすようにして、プレスロールの周囲及びプレスロー
ルと移送ロールとの間にブランケット手段が延びている。或る延長された期間に
亙り供給される温度上昇に関連を有するこのような圧力の増加が、プレス部内で
発生させられる水蒸気にウェブの外へと流動体を追い出させる。
【0022】
本考案のもう一つの目的は、ブランケット手段が凹面に沿って移動するときブ
ランケット手段とプレスロールとがその両者の間にウェブをプレスするようにさ
れている前記プレスロールに協力する凹面を郭定する第一のシューを提供するこ
とである。
【0023】
本考案のもう一つの目的は、プレスロールに近接して配置されている少なくも
一つの誘導加熱ヒータを含む加熱手段が設けられているプレス装置を提供するこ
とである。
【0024】
本考案の他の目的と利益とは、添付図面に関連して述べられている詳細な説明
を考察することにより、並びに本考案の範疇を定義している添付された特許請求
の範囲を考察することにより、当業者には明白となるであろう。
【0025】
本考案は、繊維性ウェブから流動体を絞り出すためのプレス装置に関する。そ
の上、本考案はそのような方法により製造されるウェブを含む。このプレス装置
は、プレス部を通過する間にプレス部材とブランケット手段との間にウェブがプ
レスされるよう、両者の間に延伸プレス部を郭定するためのプレス部材と該プレ
ス部材に協力するブランケット手段とを含む。この装置は、ウェブがプレス部を
通過するときにウェブから流動体が除去されるようブランケットをプレス部材に
向けて押し付けるための延伸手段を含む。ウェブがプレス部を通過する間にプレ
ス部内に発生させられる水蒸気が液相の流動体をウェブから押し出すよう、ウェ
ブがプレス部を通過するときに或る延長された期間に亙ってウェブが増大された
圧力と温度とを加えられるようにして、ウェブに熱を移送するための加熱手段が
プレス部材に近接して配置されている。
【0026】
本考案の一つの好適な実施例に於ては、プレス部材は、ENPの凹面に協力す
る凸面を郭定する。
【0027】
本考案のもう一つの実施例に於ては、プレスロールは、平滑で円筒形のプレス
面を郭定する。もう一つの実施例に於ては、プレスロールの表面は多孔性である
。本考案の交替可能な多様な実施例に於て、円筒状のプレス面は孔を開けられる
かもしくは溝を付けられている。他の実施例に於ては、プレスロール面は金属製
である。
【0028】
本考案のもう一つの実施例に於ては、第一の同軸層と該第一の層の周りに延び
ている第二の同軸層とをプレスロールが含んでおり、第二の層は第一の層の熱伝
導率よりも大きい熱伝導率を有している。第一の層は低い熱伝導率を有する材料
であり、第二の層は金属である。この実施例の修正に於ては、第一の層はセラミ
ックであり第二の層は金属である。この実施例のもう一つの修正に於ては、第一
の層は第二の層の厚さより大きい厚さを有している。
【0029】
本考案のもう一つの実施例に於ては、プレス装置は、第二ロールと、加熱手段
からウェブへと熱エネルギを移送するためにプレスロールと第二ロールとの周り
に延びている熱移送手段とを含む。第二ロールの熱伝導率は、何れも、熱移送手
段の熱伝導率より小さい。
【0030】
本考案のもう一つの実施例に於ては、プレスロールと第二ロールとはそれぞれ
、熱移送手段の熱容量より大きい熱容量を有する。
【0031】
本考案のもう一つの実施例に於ては、熱移送手段と第二ロールとは、その両者
の間に、第二加熱部を郭定する。この装置は、その上、熱移送装置が第二加熱部
を通過する間に該熱移送装置を加熱するために第二ロールに近接して配置されて
いる第二加熱手段を含む。
【0032】
本考案の一層詳しい実施例に於ては、第二加熱手段はその上、熱移送手段を直
接的に加熱するためにフードの内部に配置されている一体構造のヒータを伴なっ
て第二加熱部に沿って延びているフードを含み、加熱された熱移送手段がプレス
ロールの周りを回転するときその熱移送手段からウェブへ熱が移送されるように
なされている。
【0033】
本考案のもう一つの実施例に於ては、プレス装置は、ブランケット手段とプレ
ス面とがその両者の間に配置されているウェブの有する方向及び速度に等しい方
向及び速度を以てプレス部に沿って移動するようにして、延伸手段に沿って移動
するブランケット手段を含む。この実施例の多様な修正に於ては、ブランケット
手段は平滑又は孔開きもしくは溝付きであってよい。
【0034】
本考案のもう一つの実施例に於ては、プレス装置は、補助プレスロールとプレ
スロールとがその両者の間にプレス挾持部を郭定するようにしてプレスロールに
近接して配置されている補助プレスロールを含む。ウェブからの最初の水の除去
を生じさせるために、ウェブはプレス部を通過する前にプレス挾持部を通して案
内される。この実施例の一つの修正に於ては、ブランケット手段は、プレス挾持
部とプレス部とを通って延びている。更にその上の修正に於ては、プレス装置は
、プレスロールに近接し且プレス部から見て下流に設置されている移送ロールを
含み、ブランケット手段は第一挾持部を通り、プレス部を通り更に移送ロールと
プレスロールとの間を通って延びている。
【0035】
本考案のもう一つの実施例に於ては、プレス装置は、プレスロールに近接して
配置されている補助プレスロールを含む。この装置は、その上に、補助プレスロ
ールと移送ロールとの間にプレス部が配置されるようにしてプレスロールに近接
して配置されている移送ロールを含む。熱移送手段は補助プレスロールと移送ロ
ールとの周りに延びており、ウェブは、熱移送手段と共に、補助プレスロールと
移送ロールとの間に配置されているプレスロールと熱移送手段との間を移動させ
られる。この実施例のその上の修正に於ては、加熱手段により熱移送手段へ供給
された熱がウェブへ速やかに移送されるよう該熱移送手段は金属製である。この
実施例の更にその上の修正に於ては、熱移送手段に供給された熱がブランケット
手段へよりも寧ろウェブへと移送されるよう、熱移送手段はブランケット手段よ
り大きい熱伝導率を有する。その上の修正に於ては、ウェブが破損した場合には
熱移送手段に供給された熱が速やかに放散するよう、熱移送手段はプレスロール
の熱容量より小さい熱容量を有する。
【0036】
本考案のもう一つの実施例に於ては、プレス装置は、補助プレスロールの周囲
及び該補助プレスロールとプレスロールとの間に亙って延びているブランケット
手段及び共にプレスロールに近接して配置されている補助プレスロールと移送ロ
ールとを含む。補助プレスロールと移送ロールとの相手方へ向けての互いの移動
が、結果的に、ブランケット手段とプレスロールとの間に配置されているウェブ
へ向けてのブランケット手段による増大された圧力の発揮をもたらすようにして
、該ブランケット手段がプレスロールの周囲並びにプレスロールと移送ロールと
の間に亙って延びている。延長された期間に亙り供給される温度上昇に関連を有
する圧力のこうした増大は、プレス部内に発生させられた水蒸気に、液相及び/
又は気相の流動体をウェブの外へと追い出させる。
【0037】
本考案のもう一つの実施例に於ては、プレス装置は、ブランケット手段とウェ
ブとの間に配置されているフェルトを含む。
【0038】
本考案の一層特定的な実施例に於ては、ブランケット手段をプレスロールへと
向けて推し進めるための手段に凹面を郭定する第一のシューを含む。ブランケッ
ト手段が凹面に沿って移動するとき該ブランケット手段とプレスロールとがその
両者の間にウェブをプレスするようにして、該凹面は該プレスロールと協力する
。
【0039】
本考案のもう一つの実施例に於てプレス装置は、第二のシューと、第一のシュ
ーと第二のシューとの間に配置されている第一案内手段とを含んでおり、該第一
案内手段はプレスロールから見て遠方に配置されている。ブランケット手段は第
一のシューと第二のシューとの間に於てブランケット手段がウェブから離される
ようにして第一案内手段の周りに延びている。この実施例の一つの修正に於ては
、フェルトはウェブとブランケット手段との間に配置されており、第二案内手段
は第一のシューと第二のシューとの間に配置されており且つ該第二案内手段はプ
レスロールから見て遠方に配置されている。その上、フェルトは、ウェブを湿ら
せることを禁止するため該フェルトがウェブから引き離されるようにして第二案
内手段の周りに延びている。
【0040】
本考案のもう一つの実施例に於ては、該加熱手段は第一の誘導加熱ヒータであ
る。或いはまた、該加熱手段は、赤外線ヒータ又はマイクロ波ヒータ又はレーザ
・ヒータもしくは抵抗加熱ヒータであってもよい。或いはまた、該加熱手段は、
加熱された油をプレスロールを通して循環させる手段を含んでいてもよい。
【0041】
一層特定的には、第一誘導加熱ヒータは、ウェブに接触するに先立ってプレス
ロールが加熱されるようにして、プレスロールに近接し且プレス部から離して設
置されている。この実施例の一つの修正に於ては、増大された圧力を適用される
直前にウェブが加熱されるようにして、プレス部から見て上流に且プレス部に近
接して第二誘導加熱ヒータが配置されている。
【0042】
本考案のもう一つの実施例に於ては、プレス装置は多くのシューを含み、その
各々はブランケット手段と協力する凹面を郭定する。その上、プレス装置は、多
くの補助誘導加熱ヒータを含み、各々の補助ヒータはこの多くのシューの中の隣
接するシューの間に配置されている。
【0043】
本考案のもう一つの実施例に於ては、プレス装置は、ウェブがプレスロールの
周りに延伸するに先立ってウェブを加熱するための予熱手段を含む。この予熱手
段は、上記のウェブの中へ蒸気を引き入れるための蒸気ボックスと真空吸引口と
を含む。
【0044】
本考案は、以上に述べられ且詳細な説明の中で以下に述べられる多様な実施例
に限定されるものではない。これらの様々な実施例は、本考案の概念を実現する
ための多様な要領を示すため、例示の目的で述べられているに過ぎない。添付さ
れた特許請求の範囲により定義される本考案の精神と範疇とから逸脱することな
く本考案の多くの変化が実行され得ることが当業者には明白であろう。本考案は
特に紙及びボール紙を製造するための繊維性ウェブのプレスへの適用に関連して
述べられているけれども、繊維性ウェブからの流動体の除去を必要とされる如何
なるプロセスに対しても本考案が等しく適用され得ることが当業者には明白であ
ろう。
【0045】
【考案の実施の形態】
図1は、本考案の第一実施例のプレス装置の側面図である。符号10にて全体
的に示されているプレス装置は、プレス部材12とブランケット手段14とを含
む。プレス部材12とブランケット手段14との間にもう一つのブランケット手
段16が配置されている。プレス部20を通過する間に熱移送手段18とブラン
ケット手段14との間にウェブWがプレスされるよう、熱移送手段18とブラン
ケット手段14とがその両者の間に延伸プレス部20を郭定するようにして、二
つのブランケット14、16の間に熱移送手段18が配置される。ブランケット
14とウェブWと熱移送手段18ともう一つのブランケット16とが二つの面2
4、26の間を通るときウェブからの流動体除去のためウェブがプレスされるよ
う、延伸手段即ちシュー22はブランケット14をプレス部材12の方へと押し
付け、更にシュー22は、プレス部材12により郭定される凸面26と協力する
凹面24を郭定する。加熱手段28は、ウェブWへ熱を転送するためプレス部材
12に近接して配置されている。加熱手段28は熱移送手段18へと熱を移動さ
せ、この熱は、ウェブWと熱移送手段18とがプレス部20を通過している間に
ウェブWへと移動させられる。
【0046】
図2は、本考案の第二実施例による、符号10Aで全体的に示されているプレ
ス装置の側面図である。プレス装置10Aは回転可能なプレスロール12Aと、
延伸プレス部20Aをその両者の間に郭定するためプレスロール12Aと協力す
るブランケット手段14Aとを含み、ウェブWAは、プレス部20Aを通過する
間中ロール12Aとブランケット手段14Aとの間にてプレスされる。ウェブW
Aがプレス部20Aを通過する間にウェブWA内の流動体がウェブWAから絞り
出されるようにして、プレス装置10Aは、ブランケット手段14Aをロール1
2Aの方へと押し付けるための延伸手段22Aを含む。その上プレス装置10A
は、ウェブWAがプレス部20Aを通過する間にプレス部20A内に発生させら
れる水蒸気が液相の流動体をウェブWAから追い出すよう、ウェブWAがプレス
部20Aを通過するとき或る延長された期間に亙ってウェブWAが増加された圧
力と温度とを受けるようにして、ウェブWAへと熱を移動させるためプレスロー
ル12Aに近接して配置されている加熱手段28Aを含む。
【0047】
図2に示されているようにウェブWAがプレス部20Aを通過する間にウェブ
WAから絞り出された流動体を運び去るためブランケット手段14AとウェブW
Aとの間にフェルト30Aが配置されている。その上図2に示されているように
、ウェブは、符号32Aにより全体的に示されている予熱手段により予熱される
。その上プレスロール12Aは平滑な円筒状プレス面34Aを郭定する。
【0048】
図3は本考案の第三実施例を示しており、そこに符号10Bにて全体的に示さ
れているプレス装置は、第一の同軸層36Bと該第一の層36Bの周りに延びて
いる第二の同軸層38Bとを有するプレスロール12Bを含んでおり、該第二層
38Bは第一の層36Bの熱伝導率より大きい熱伝導率を有している。第一の層
36Bは低い熱伝導率を有する材料であり、第二の層38Bは金属製であってよ
い。或いはまた、第二の層38Bが金属製である一方で第一の層36Bはセラミ
ックであってもよい。図3に示されているように、ウェブWBを加熱するため加
熱手段28Bにより第二の層38Bへ供給された熱がウェブWBへと転送され、
プレスロール12Bの回転軸へ向けての熱の消散を第一の層36Bが抑制するよ
う、第一の層36Bは第二の層38Bの厚さT2より大きい厚さT1を有してお
り、第二の層38Bは0.0127cmから0.127cmの範囲の厚さTを有する
のが望ましい。
【0049】
図4には本考案の第四実施例が示されており、その中にて、プレス装置10C
はプレスロール12Cと第二ロール40Cとを含む。熱移送手段18Cは、加熱
手段28CからウェブWCへと熱エネルギを移送するためプレスロール12Cと
第二ロール40Cとの周りに延びている。プレスロール12Cの熱伝導率と第二
ロール40Cの熱伝導率とは何れも、熱移送手段18Cの熱伝導率より小さい。
その上、プレスロール12Cと第二ロール40Cとは何れも、熱移送手段18C
の熱容量より大きい熱容量を有する。熱移送手段18Cは、0.0127cmから
0.508cmの範囲内の厚さT3を有する。熱移送手段18Cは金属製であるの
が望ましく、熱移送手段18Cと第二ロール40Cとはその両者の間に第二加熱
部42Cを郭定する。符号44Cにて全体的に示されている第二加熱手段は、熱
移送手段18Cが第二加熱部42Cを通過する間にその熱移送手段18Cを加熱
するため第二ロール40Cに近接して配置されている。より一層特定的には、第
二加熱手段44Cは、第二加熱部42Cに沿って延びているフード46Cを含む
。一体構造のヒータ48Cは、熱移送手段18Cを直接的に加熱するためフード
46Cの内部に配置され、熱移送手段18Cがプレスロール12Cの周りを回転
するとき熱移送手段18CからウェブWCへと熱が転送される。
【0050】
図5は、第二加熱部42Dを通過する間に熱移送手段18Dの内面を一体構造
のヒータ48Dが加熱するようにして、二つのロール12D、40Dの間にフー
ド46Dが配置されていることを除いては図4に示されている実施例と同様の本
考案の第五実施例が示されている。
【0051】
図6は、プレスロール12Eとブランケット手段14Eとを有するプレス装置
10Eを含む本考案の第六実施例を示す。ブランケット手段14Eとプレスロー
ル12Eのプレス面34Eとがその両者の間に配置されているウェブWEの有す
る方向と速度とに等しい方向と速度とを以てプレス部20Eに沿って移動するよ
うにして、ブランケット手段14Eが延伸手段22Eに沿って移動する。図6に
示されているように、プレス装置10Eはその上、ウェブWEからの流動体の最
初の除去を行わせるためプレス部20Eを通過する前にウェブWEがプレス挾持
部52Eを通って案内されるよう補助プレスロール50Eとプレスロール12E
とがその両者の間に符号52Eにて全体的に示されているプレス挾持部を郭定す
るようにしてプレスロール12Eに近接して配置されている補助プレスロール5
0Eを含む。
【0052】
図7に示されているように、本考案の第七実施例に於ては、ブランケット手段
14Fは単にプレス部20Fを通って延びているだけであり、補助ロール50F
はプレスロール12Fとの間に挾持部を郭定していない。
【0053】
図8には本考案の第八実施例が示されており、その中で、プレス装置10Gは
、プレスロール12Gと、プレス部20Gから見て下流側に且プレスロール12
Gに近接して配置されている移送ロール54Gとを含む。図8に示されているよ
うに、ブランケット手段14Gは、補助プレスロール50Gとプレスロール12
Gとにより郭定されているプレス挾持部42Gを通って延びている。ブランケッ
ト手段14Gは、プレス部20Gを通り且移送ロール54Gとプレスロール12
Gとの間を通って延びている。図8に示されているように、プレス装置10Gは
その上に、補助プレスロール50Gと移送ロール54Gとの周りに延びている熱
移送手段18Gを含み、熱移送手段18Gはブランケット手段14Gの通路と同
じ通路に従い、補助プレスロール50Gと移送ロール54Gとの間に於てはウェ
ブWGは熱移送手段18Gとプレスロール12Gとの間に挾まれて熱移送手段1
8Gと手を携えて移動させられる。加熱手段28Gによって熱移送手段18Gに
加えられた熱がウェブWGへと素早く移動させられるよう熱移送手段18Gは金
属製であるのが好ましい。熱移送手段18Gに加えられた熱がブランケット手段
14Gへ向けてよりウェブWGへ向けて伝達される傾向を有するよう、熱移送手
段18Gはブランケット手段14Gより大きい熱伝導率を有するのが好ましい。
ウェブWGが破損した場合には熱移送手段18Gに加えられた熱が速やかに消散
するよう、熱移送手段18Gはプレスロール12Gの熱容量より小さい熱容量を
有するのが好ましい。
【0054】
図8に示されているものに於ては、プレスロール12Gのプレス面34Gは多
孔質である。しかしながら、ウェブWGから除去されフェルト30Gにより吸い
上げられる流動体が少なくも部分的にはプレスロール12Gを通って除去される
よう、プレスロールは孔を開けられもしくは溝を付けられていてもよく、また、
金属製であってもよい。
【0055】
図9には本考案の第九実施例が示されており、その中に符号10Hにて全体的
に示されているプレス装置は、プレスロール12Hと該プレスロール12Hに近
接して配置されている補助プレスロール50Hとを含む。補助プレスロール50
Hと移送ロール54Hとの間にプレス部20Hが配置されるようにして、移送ロ
ール54Hがプレスロール12Hに近接して配置されている。プレス装置10H
は、その上、補助プレスロール50Hの周り及び補助プレスロール50Hとプレ
スロール12Hとの間に延びているブランケット手段14Hを含む。矢印Aによ
り示されている如く互いに相手方へ向けての補助プレスロール50Hと移送ロー
ル54Hとの移動がブランケット手段14Hとプレスロール12Hとの間に配置
されているウェブWHへ向けてブランケット手段14Hにより加えられる圧力の
増大をもたらすようにして、プレスロール12Hの周り及びプレスロール12H
と移送ロール54Hとの間に亙ってブランケット手段14Hが延びている。この
圧力の増大が、延長された期間に亙り加熱手段28Hにより与えられる温度上昇
とも関連して、プレス部20H内に発生させられる水蒸気に液相の流動体をウェ
ブWHの外へと追い出させる。
【0056】
図10には本考案の第十実施例が示されており、その中で、プレス装置10I
は補助プレスロール50Iを含み、ウェブWIはフェルト30Iとプレスロール
12Iとの間に配置されている。フェルト30IとウェブWIとはプレス挾持部
52Iを通って延びている。複数の細長いシュー22Iが、プレス部20Iに沿
って配置されている。複数の加熱手段28Iが延伸手段即ちシュー22Iの間に
設けられており、ブランケット手段14Iは延伸手段22Iとフェルト30Iと
の間に配置されている。移送ロール54Iはプレスロール12Iに近接して配置
されており、もう一つの加熱手段28Iはプレス部20Iから見て上流方向に且
プレスロール12Iに近接して配置されている。
【0057】
図11には本考案の第十一実施例が示されており、この中で、ブランケット手
段14Jをプレスロール12Jへ向けて押し付けるための符号22Jにて全体的
に示されている延伸手段は凹面24Jを郭定する第一のシュー56Jを含み、該
凹面24Jはブランケット手段14Jが凹面24Jに沿って移動するときブラン
ケット手段14Jとプレスロール12Jとがその両者の間にウェブWJをプレス
するようにしてプレスロール12Jと協力する。図11に示されているように、
プレス装置10Jはその上、第二のシュー58Jと、第一及び第二のシュー56
J、58Jの間に配置されている第一案内手段60Jとを含み、該第一案内手段
60Jはプレスロール12Jから離して配置されている。
【0058】
ブランケット手段14Jは、第一及び第二のシュー56J、58Jの間にてブ
ランケット手段14JがウェブWJから離されるようにして第一案内手段60J
の周りに延びている。
【0059】
その上、図11には、ウェブWJとブランケット手段14Jとの間に配置され
ているフェルト30Jが示されている。第二案内手段62Jは、該第二案内手段
62Jがプレスロール12Jから離して配置されるようにして第一及び第二のシ
ュー56J、58Jの間に配置されている。フェルト30Jは、該フェルト30
JがウェブWJから引き離されそれによりウェブWJが再び湿ることを妨げるよ
うにして第二案内手段62Jの周りに延びている。
【0060】
本考案の前記十一の実施例の何れに於ても、加熱手段28、28(A−J)は
誘導加熱ヒータを含む。しかしながら何れの実施例に於ても、加熱手段は、赤外
線ヒータ又はマイクロ波ヒータ又は一体構造型ヒータ又は抵抗加熱ヒータ又はレ
ーザ・ヒータもしくはそれらの類似品を含んでもよい。
【0061】
或いはまた、図12に示されているように、符号28にて全体的に示されてい
る加熱手段は、加熱された油をプレスロール12Kの全体に亙って循環させるた
めプレスロール12Kの中に複数の孔64Kを含んでいてもよい。
【0062】
図1から図11までに示されている各実施例に於て、ウェブに接触するに先立
ってプレスロール又は熱移送手段が加熱され得るようにして、プレス部から離れ
且プレスロールに近接して加熱手段が配置されてよい。
【0063】
図1から図11までに示されている実施例に於て、加熱手段は、その上、圧力
を加えられている間にウェブが加熱されるようにして、プレス部に近接して配置
されている一つもしくはそれ以上のヒータを含んでよい。
【0064】
図1から図12までに示されている各実施例に於て、ウェブがプレス部を通過
するに先立って100℃までの温度にウェブを予熱すべく予熱器32がウェブに
近接して配置されてよい。図2に全体的に示されている予熱器32Aは、蒸気を
ウェブWAの中へ引き入れるため蒸気ボックス66A及び真空吸引口68Aを含
む。
【0065】
図13、図14及び図15はそれぞれ、図8に示されている実施例の斜視図で
ある。図13に於て、プレスロール12Lは平滑なロールである。
【0066】
図14は図13と同様であるが、しかしながら、プレスロール12Mには孔を
開けられている。
【0067】
図15は図13と同様であるが、しかしながら、プレスロール12Nには溝が
付けられている。
【0068】
図1から図15までに示されている実施例のうち補助ロールもしくは移送ロー
ルが使用されている何れの実施例に於ても、そうしたロールは選択的に平滑であ
っても、孔を開けられていてももしくは溝を付けられていてもよい。
【0069】
以上に開示されているように、プレスロールの直ぐ近くへの誘導加熱ヒータの
設置によりウェブへの熱伝達の増大が得られ、それにより、延長された期間に亙
る温度上昇と加圧とによってプレス部内に発生させられる水蒸気が液相の水をウ
ェブの外へと追い出す。このような誘導加熱ヒータはプレス部内の紙の温度を6
49℃に等しいほどまで上昇させることが可能であり、ウェブに伝達されたこう
した高温は液相の水をウェブの外へ素早く追い出す。こうした高温のお陰で、延
伸挾持プレスに一般に採用されている高い圧力が減少させられ得ることが見出さ
れた。加熱されたENPの所要圧力に於けるそうした総体的な減少は、ブランケ
ットとシューの凹面との間の潤滑剤としての油に代えて水に置換することを可能
にする。潤滑媒体としての水の適用により、ウェブの汚染に伴う諸問題は解決さ
れ、加熱されたENPの総体的構成の細目は大幅に単純化される。その上、非常
に高い温度の適用とそれに相応する所要圧力の総体的な減少により、油に代えて
圧力媒体として水を使用しそれによって油によるウェブの汚染の可能性を一層抑
制するようにした水圧機構を含むシューの負荷機構をも本考案は想い描いている
。
【0070】
以上に述べられた一般的概念に加えて、本考案は、製品ウェブの正確な厚さが
得られるよう機械横断方向に配置されている複数の誘導加熱ヒータの設置等、他
の選択可能な実施例及びそれに関連する利益をも想い描いている。そのような構
成に於ては、プレス部内に存在する期間とその間に加えられる圧力とは機械横断
方向に対して一定に保たれるのに対して、温度因子は機械横断方向に対し変化し
得る。そのような温度の変化により、ウェブ形成の不揃いは補償されることが可
能であり、従って得られる製品ウェブは機械横断方向に希望通りの均一さを与え
られ得る。
【0071】
以上に開示されているように、本考案の概念は、円筒状プレスロールとプレス
用凹面を郭定するシューとを設ける代わりに、第一のシューの凹面と協力するた
めの凸面を郭定する第二のシューによりプレスロールが置換されてよい一つの実
施例をも想い描いている。ウェブがその両者の間に挾まれるようにされた2枚の
互いに協力し合うブランケットを設けることにより、本考案の概念は、ウェブの
両側に均一な表面特性を有する製品ウェブを供給すべく実行されてよい。
【0072】
同様に、希望通りの両面即ち表面特性の均一性を有する製品ウェブを提供する
ため、ウェブの反対側の面に希望通りの同じ表面特性を与えるべく第一プレス部
から見て下流側に第二の加熱された延伸挾持プレスが設けられてよい。
【0073】
本考案の更にもう一つの実施例に於ては、形成部から従来通りの延伸挾持プレ
スを抜けての最初の水除去のためのウェブの通過と、それに引き続く、それ以上
の乾燥を最早必要としないかもしくは少ししか必要としないような要望通りの密
度と水分含有量とを兼備えたウェブの両面を与えるための前述した様式の第一及
び第二の加熱された延伸挾持プレスを抜けてのプレスされたウェブの通過とが勧
められてよい。
【0074】
本考案の装置により、最終製品に要求される諸特性を生じさせるため、時間と
圧力と温度との変化が操作される。従来の製造技術に於ては、強度等の固有のシ
ート特性は、その紙を製造するに使用される繊維の混合物により前以て制御され
る。しかしながら、必要とされる諸特性を獲得するため、特別な費用のかかる処
理によりパルプ化された繊維がしばしば使用された。この特別な費用のかかるパ
ルプの使用は、紙製造の経費を推し上げるばかりでなく高価な型のパルプの一層
の需要不足へと導く。従来技術に於ては、前述の問題点はシートの諸特性を希望
通りに増強するためのパルプ中への化学薬品の添加へと向けて托されてきたけれ
ども、そうした解決法は紙製造の経費の増加に加えて環境問題と製紙機械の腐食
へと導いた。
【0075】
本考案によれば、製品の均一性及び水除去効率等の諸特性は機械の設計及び制
御へ向けて託される。以上に述べられたように、ウェブの予熱温度が100℃に
近付くようにして蒸気又は赤外線装置の使用によりウェブは予熱されてよい。本
考案の装置によれば、延長された期間に亙り適切な温度と圧力とを適用すること
により、強度及び密度及び平滑さ等の諸特性の多様性が達成され得る。前述の利
点に加えて、本考案は、必要とされる乾燥部の減少に関連して、規格外の製品を
作ることなく安い原料及び器具の使用を可能にする。その上、本考案の装置によ
り製造されるウェブは、パルプ中に添加剤を使用する従来の技術により達成可能
な特性より以上の特性を獲得する。
【0076】
本考案による装置の運転に関しては、ウェブは延伸挾持プレスに入る前に82
℃から100℃までの範囲内に予熱されてよい。こうした予熱は、図2に示され
ているように蒸気ボックス66及び真空吸引要素68の利用により実行されよう
。或いはまた、必要とされるエネルギ入力をウェブへ供給すべく赤外線加熱手段
又はマイクロ波ヒータが設けられてもよい。図1に示されているように、プレス
部20へ入る前に熱移送手段18の温度を上昇させるべく誘導加熱ヒータ28が
使用されている。プレス部材が直接的に熱移送手段18に接触し、ウェブの温度
を一層上昇させるべく熱がウェブへと伝達される。ウェブは継続的に熱移送手段
18に接触しているので、ウェブの高い温度はこの処理を通じて保たれ得る。図
10に示されている特別な実施例に於て、複数の誘導加熱ヒータが各シューの間
に配置されている。本考案によれば、107bar までの圧力と649℃のロール
温度が達成され得る。
【0077】
本考案の多様な実施例によれば、温度と圧力とが変化され得るのみでなく、シ
ューの長さと数とを選ぶことによりプレス部内へのウェブの滞在時間もまた変化
させられ得る。このように、要望される結果を得るため与えられた機器の上に如
何なる特性的な条件が必要とされるかが一度決定されると、設計は十分柔軟にそ
れらの条件に適用させ得る。
【0078】
図11の実施例は、フェルトとの長引いた接触に起因してウェブが再び湿らさ
れることを防ぎ、フェルトに与えられる十分長い走行は延伸挾持部の間にて良好
な状態とされることをフェルトに許容する。この特別な構成のもう一つの利点は
、この配置がENPのシューに沿うフェルトに対しプレスロールから引き離され
ることを可能にすることである。
【0079】
本考案による加熱される延伸挾持プレスに伴う過度の温度及び圧力の可能性の
ため、安全の見地から或る設計上の配慮がなされねばならない。このプレス装置
により加えられる圧力は、相当な壁の厚さをプレスロールに要求する。その材料
は、本明細書中に開示されている材料のように鋼又は鉄等の金属製の導電性材料
であることを誘導加熱ヒータが必要とする。鉄製もしくは鋼製のロールの熱容量
は生憎相当に大きく、それ故例えば371℃のプレスロール温度にて紙が破れた
場合や修理のために機械の運転が停止された時ですらも相当大きな危険をもたら
すであろう。これらの危険のため、そうした引き上げられた運転温度に於けるプ
レスロールの熱容量の大きさは最小にされねばならず、それにより、安全上の問
題を予防するに十分な素早い冷却をロールに許容する。
【0080】
本考案によれば、プレスロールには、高い熱伝導率及び高い導電率を有する外
側の層38Bに覆われており、且つ低い熱容量と低い熱伝導率とを有する、強度
を与えるための基質36Bを含む。導電性であることが望まれるこの外側の層は
、第一義的にはこの製法に要求される熱を考慮して決定される。必要とされる熱
移送量が大きいため、外側の層は厚くなければならない。この特別な構成の熱容
量は同じ大きさの全金属製ロールより遥かに小さいので、図8に示されているよ
うに、ウェブを離れた湿潤なフェルトのロール上の走行は受け入れ可能な水準ま
で装置を素早く冷却するであろう。
【0081】
図4及び図5の実施例は、金属ベルト18C、18Dの使用により二層プレス
ロールの必要性を解決する。
【0082】
図8に示されている実施例の運転に関しては、加熱されるベルト18G即ち熱
移送手段は大きな主プレス12Gとは接触しない。従ってプレスロール12Gは
紙の温度以上にはならないであろう。図8に示されている特定的な実施例に於て
は、ロール50Gとロール54Gとその周りに熱移送手段18Gが延びている残
された二つのロールとは、共に比較的小さな熱容量を有しており、それ故、安全
上の重大な懸念はもたらさない。
【0083】
以上に述べらてれいるように、プレスロールの表面が多孔性である場合には、
もし多孔性ではなくてフェルトのみが使用されるならば発生するであろう水処理
上の諸問題の幾つかが軽減される。その上、水の除去を一層増強し処理を十分完
璧なものとするため、ロールの表面と連絡を保ってロールの内部に真空が適用さ
れてよい。
【0084】
交替可能な実施例の一つに於て、多孔性の面を有するプレスロールの代わりに
、孔を開けられたロールと共にフェルトが使用されてよい。この、孔を開けられ
たプレスロールは、フェルト中の過剰な水に逃げ場を与える。この構成は、孔を
開けられていないプレスロールが使用された場合よりフェルト設計による影響が
少ないことが見出された。
【0085】
図9に示されている実施例の運転に関しては、延伸挾持プレスのシューは除去
されており、ロール50H、54Hの互いに相手方へ向けての移動によりウェブ
に圧力が加えられる。この手段によれば、ウェブに供給される圧力を制御すべく
ブランケットの張力が使用される。滞在時間は、プレスロール12Hの周りへの
巻き付きの大きさにより制御される。温度入力もしくは熱入力は、多様な誘導加
熱ヒータ28Hの能力水準と数とにより制御され、その一つは図9に示されてい
る。図9に示されている実施例は、必要とされる圧力が低くしかも滞在時間が長
いという利点のあることが見出された。この独特な形状設計により、ヒータ・ユ
ニット28Hの配置の柔軟性が得られ、正確な温度分布が保たれ得る。
【0086】
機械横断方向に配置された誘導加熱ユニットの各部分を制御するため、希望通
りのパラメータから外れていることが一度感知されるとその希望通りのパラメー
タを保つため熱と圧力とが制御され得るようにしてこれらの誘導加熱ヒータが閉
ループ制御システムに接続されている。この手段により、希望通りの含水量もし
くは必要とされる他の如何なる特性をも入手するための制御が温度の制御により
可能である。
【0087】
本考案は、乾燥ドラムと補助装置の設置のため従来必要とされた資金を減少さ
せるのみでなく、そうした乾燥部を収容する床面積を用意するための経費をも減
少させるプレス装置並びに方法を与える。その上、そうした加熱された延伸挾持
プレス装置に必要とされる熱入力は、乾燥部に従来必要とされた蒸気供給用の燃
料消費に於けるそれ以上の減少により十分に補償される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の第一実施例の側面図である。
【図2】本考案の第二実施例の側面図である。
【図3】本考案の第三実施例の側面図である。
【図4】本考案の第四実施例の側面図である。
【図5】本考案の第五実施例の側面図である
【図6】本考案の第六実施例の側面図である。
【図7】本考案の第七実施例の側面図である。
【図8】本考案の第八実施例の側面図である。
【図9】本考案の第九実施例の側面図である。
【図10】本考案の第十実施例の側面図である。
【図11】本考案の第十一実施例の側面図である。
【図12】本考案の第十二実施例の側面図である。
【図13】図8に示されている実施例の平滑なロールを
示す斜視図である。 【図14】図8に示されている実施例の孔を開けられた
ロールを示す斜視図である。 【図15】図8に示されている実施例の溝を付されたロ
ールを示す斜視図である。本考案の多様な実施例を通じ
て類似の参照番号は類似の部品を指し示す。 【符号の説明】 10…プレス装置 12…プレス・ロール 14、16…ブランケット手段 18…熱移送手段 20…延伸プレス部 22…シュー即ち延伸手段 24…凹面 26…凸面 28…加熱手段 30…フェルト 32…予熱手段 34…円筒状プレス面 36…第一の同軸層 38…第二の同軸層 40…第二ロール 42…第二加熱部 44…第二加熱手段 46…フード 48…一体構造のヒータ 50…補助ロール 52…プレス挾持部 54…移送ロール 56…第一のシュー 58…第二のシュー 60…第一案内手段 62…第二案内手段 64…孔 66…蒸気ボックス 68…真空吸引要素 A…補助ロール50と移送ロール54との移動方向 T1…第一同軸層36の厚さ T2…第二同軸層38の厚さ T3…熱移送手段18の厚さ W…ウェブ
示す斜視図である。 【図14】図8に示されている実施例の孔を開けられた
ロールを示す斜視図である。 【図15】図8に示されている実施例の溝を付されたロ
ールを示す斜視図である。本考案の多様な実施例を通じ
て類似の参照番号は類似の部品を指し示す。 【符号の説明】 10…プレス装置 12…プレス・ロール 14、16…ブランケット手段 18…熱移送手段 20…延伸プレス部 22…シュー即ち延伸手段 24…凹面 26…凸面 28…加熱手段 30…フェルト 32…予熱手段 34…円筒状プレス面 36…第一の同軸層 38…第二の同軸層 40…第二ロール 42…第二加熱部 44…第二加熱手段 46…フード 48…一体構造のヒータ 50…補助ロール 52…プレス挾持部 54…移送ロール 56…第一のシュー 58…第二のシュー 60…第一案内手段 62…第二案内手段 64…孔 66…蒸気ボックス 68…真空吸引要素 A…補助ロール50と移送ロール54との移動方向 T1…第一同軸層36の厚さ T2…第二同軸層38の厚さ T3…熱移送手段18の厚さ W…ウェブ
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(72)考案者 デヴィッド・ヴイ・ランジ
アメリカ合衆国ウイスコンシン州、ベロイ
ト、ハケット・ストリート 1150
(72)考案者 エリザベス・マクレム
アメリカ合衆国ウイスコンシン州、ベロイ
ト、リッチャー 1526
(72)考案者 ジェフリー・エイチ・パルコースキー
アメリカ合衆国ウイスコンシン州、ベロイ
ト、ナインス・ストリート 1330
Claims (1)
- 【実用新案登録請求の範囲】 製紙機のプレス部を通る間に繊維性ウェブ(W,WA〜
WN)より流動体を除去する装置にして、 プレスロール(12,12A〜12N)と、 前記プレスロールと共働して該プレスロールとの間に延
伸されたプレス部(20,20A〜20K)を郭定し、
前記ウェブが該プレス部を通る間に該ウェブに対し押圧
作用を及ぼすブランケット(14,14A〜14N)
と、 前記ブランケット(14,14A〜14N)を前記プレ
スロール(12,12A〜12N)へ向けて押し付ける
延伸された押圧シュー(22,22A〜22K)とを有
し、 前記延伸された押圧シュー(22,22A〜22K)は
前記プレスロール(12,12A〜12N)の凸面と共
働する凹面を有し、前記ブランケット(14,14A〜
14N)と前記ウェブとが前記プレス部(20,20A
〜20K)を通過するとき該ウェブより流動体を除去す
るようになっており、 更に前記ウェブが前記プレス部を通過するに先立って該
ウェブを加熱すべく該ウェブに隣り合って配置された予
熱手段(32A,32B)を有し、 更に特徴となる構成として、 前記プレス部(20,20A〜20K)を通過中の前記
ウェブに熱エネルギを伝えるべく前記プレスロール(1
2,12A〜12N)に隣り合って配置された加熱手段
(28,28A〜28K)を有し、 前記熱エネルギは前記プレスロール(12A,12B,
12E,12F,12I,12J,12K)によるか前
記プレス部を郭定すべく前記ブランケット(14,14
A〜14N)と共働する熱搬送手段(18,18C,1
8D,18G,18L,18M,18N)により前記ウ
ェブに伝えられるようになっており、 前記ウェブ(W,WA〜WN)が前記延伸された押圧シ
ュー(22,22A〜22N)と前記プレスロール(1
2,12A〜12N)との間の前記プレス部を通ると
き、該ウェブは長期間に亙って圧縮と加熱に曝され、そ
れによって該ウェブが前記プレス部(20,20A〜2
0K)を通るとき該プレス部内にて該ウェブが含む流動
体が蒸発して該ウェブより流動体の相が取り去られるよ
うになっている装置。
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
US895885 | 1986-08-12 | ||
US06/895,885 US4738752A (en) | 1986-08-12 | 1986-08-12 | Heated extended nip press apparatus |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10147U true JPH10147U (ja) | 1998-07-21 |
JP2590170Y2 JP2590170Y2 (ja) | 1999-02-10 |
Family
ID=25405222
Family Applications (2)
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