JPH10131822A - 船舶用エンジンの燃料供給装置 - Google Patents

船舶用エンジンの燃料供給装置

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JPH10131822A
JPH10131822A JP8285139A JP28513996A JPH10131822A JP H10131822 A JPH10131822 A JP H10131822A JP 8285139 A JP8285139 A JP 8285139A JP 28513996 A JP28513996 A JP 28513996A JP H10131822 A JPH10131822 A JP H10131822A
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tank
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    • F02BINTERNAL-COMBUSTION PISTON ENGINES; COMBUSTION ENGINES IN GENERAL
    • F02B61/00Adaptations of engines for driving vehicles or for driving propellers; Combinations of engines with gearing
    • F02B61/04Adaptations of engines for driving vehicles or for driving propellers; Combinations of engines with gearing for driving propellers
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 スペースを充分に確保できないエンジン側に
水分離機能を持たせながら燃料中の水分を確実に分離排
出でき、燃料供給経路中の鉄系部品の内部腐食を防止で
きる船舶用エンジンの燃料供給装置を提供する。 【解決手段】 主燃料タンク21内の燃料をエンジン近
傍に配置された副燃料タンク22内にエンジンによる消
費量に応じた量だけ供給するようにした船舶用エンジン
の燃料供給装置において、上記副燃料タンク22内に、
燃料中の水分を分離し貯留する水分離貯留室32bを設
ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、船舶用エンジンの
燃料供給装置に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば船外機の燃料供給装置は、従来、
船体側に配置された主燃料タンク内の燃料を低圧燃料ポ
ンプにより船外機側に配置されたベーパセパレータタン
ク(副燃料タンク)に供給し、該ベーパセパレータタン
ク内の燃料を高圧燃料ポンプによりエンジンの燃料噴射
弁に供給するように構成したものが一般的である。ま
た、燃料噴射弁側に供給された燃料のうち噴射されずに
残った余剰分は上記ベーパセパレータタンク内に戻され
る。従って、上記主燃料タンクから上記ベーパセパレー
タタンクに供給されるのはエンジンでの消費量に対応し
た量の燃料となる。
【0003】ところで船外機の燃料供給装置の場合、水
上で使用するというその用途上燃料中に水が混入し易い
という問題がある。この水を分離排出するため、従来、
主燃料タンクからベーパセパレータタンクへの燃料補給
経路の途中に水分離装置、例えば水分離機能を付加した
燃料濾過用フィルタを介設するようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが上記従来の水
分離機能付き燃料フィルタを特にエンジン側に配設する
場合、燃料中の水分を完全に分離排出するのは困難であ
るという問題がある。これは、エンジン回りのスペース
が十分にないことから上記燃料フィルタの内部容積を充
分に確保することができず、燃料の流速が充分に低下せ
ず、水分の沈降する時間がとれないことによるものと考
えられる。
【0005】また、燃料噴射式エンジンの場合、高圧燃
料供給系に鉄系の部品、例えば高圧燃料ポンプ,燃料噴
射弁等を使用しているので、燃料中の水分の分離が不完
全な場合には、上記高圧燃料系部品の内部腐食が発生す
る懸念がある。
【0006】本発明は、上記従来の問題に鑑みてなされ
たもので、スペースを充分に確保できないエンジン側に
水分離機能を持たせながら燃料中の水分を確実に分離排
出でき、燃料供給経路中の鉄系部品の内部腐食を防止で
きる船舶用エンジンの燃料供給装置を提供することを課
題としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、主燃
料タンク内の燃料をエンジン近傍に配置された副燃料タ
ンク内にエンジンによる消費量に応じた量だけ供給する
ようにした船舶用エンジンの燃料供給装置において、上
記副燃料タンク内に、燃料中の水分を分離し貯留する水
分離貯留手段を設けたことを特徴としている。
【0008】請求項2の発明は、請求項1において、上
記副燃料タンクは、燃料中の気泡の分離機能を有するベ
ーパセパレータタンクであり、上記水分離貯留機能は、
ベーパセパレータタンクの底壁の最下部に水貯留室を下
方に膨出するよう設けることにより構成されていること
を特徴としている。
【0009】請求項3の発明は、請求項1において、上
記副燃料タンクは、燃料中の気泡の分離機能を有するベ
ーパセパレータタンクであり、上記水分離貯留機能は、
ベーパセパレータタンク内をエンジンからの戻り通路の
接続口側部分と上記主燃料タンクからの供給通路の接続
口側部分とに画成し、ベーパセパレータタンクの底壁の
上記供給通路接続口側部分に水貯留室を下方に膨出する
よう設けることにより構成されていることを特徴として
いる。
【0010】請求項4の発明は、請求項1ないし3の何
れかにおいて、上記主燃料タンクは船体に、上記副燃料
タンクは船内外に取付けられたエンジンに設けられてい
ることを特徴としている。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を添付
図面に基づいて説明する。図1〜図6は請求項1,2の
発明の第1実施形態による船舶用エンジンの燃料供給装
置を説明するための図であり、図1は船外機の側面図、
図2,図3は該船外機用エンジンの側面図,平面図、図
4はベーパセパレータタンクの断面側面図、図5はベー
パセパレータタンクのケース分割面の拡大図、図6はベ
ーパセパレータタンクの平面図である。なお、本実施形
態における左,右とは船体後方から前方を見た状態での
左,右である。
【0012】図において、1は本実施形態による船外機
であり、該船外機1は、アッパケーシング2の下面に、
プロペラ7への回転力伝達機構を内蔵するロアケーシン
グ8を取付け、上面にエンジン6を搭載し、該エンジン
6の周囲をカウリング1aにより囲んだ構成のものであ
る。そしてこの船外機1は、船体4の船尾板4aに、ア
ッパケーシング2に設けられたクランプ機構3を介して
チルト軸5の回りにチルト自在にかつ操舵自在に取付け
られている。
【0013】上記エンジン6は、水冷式2サイクルV型
6気筒エンジンであり、航走時にクランク軸9が略鉛直
をなすように船体4に搭載され、該クランク軸9の下端
に連結されたドライブ軸(図示せず)を介して上記プロ
ペラ7を回転駆動する。なお、図3中、符号10,11
はVバンクをなすように形成された左,右気筒部、12
はクランクケースである。
【0014】上記エンジン6の吸気系は、上記クランク
ケース12に各気筒毎に形成されたクランク室の前端に
吸気口を形成し、該各吸気口にリード弁13を介在させ
て一体形の吸気ニホールド14を接続し、該吸気マニホ
ールド14の上流側に共通の吸気サイレンサ15を接続
した構成になっている。
【0015】また上記吸気マニホールド14には、各気
筒毎にスロットル弁(図示せず),及び燃料噴射弁16
が上下方向に一列をなすように装着されており、該各燃
料噴射弁16の頭部には、上下方向に延びる棒状の燃料
供給レール17が装着されている。
【0016】上記エンジン6の燃料供給装置は、船体4
側に配置された主燃料タンク21内の燃料をエンジン6
側に配置された低圧燃料ポンプ23により主燃料ホース
25,燃料フィルタ23aを介してエンジン6の左側壁
に配置固定されたベーパセパレータタンク(副燃料タン
ク)22内に供給し、該タンク22内の燃料を該タンク
22に内蔵された高圧燃料ポンプ24により燃料吐出管
24b,及び高圧燃料ホース26を介して上記燃料供給
レール17の下端部に圧送するように構成されている。
【0017】そして上記燃料供給レール17に供給され
た燃料の一部は燃料噴射弁16により噴射され、残りの
余剰燃料は、燃料供給レール17の上端に接続された戻
りホース27により圧力調整用レギュレータ28を介し
て上記ベーパセパレータタンク22に戻される。なお、
28aはレギュレータ28に吸気負圧を導入する負圧ホ
ースであり、該レギュレータ28は上記燃料供給レール
17内の燃料圧力を吸気負圧に応じた値に制御する。
【0018】また上記ベーパセパレータタンク22に
は、燃料供給装置中の鉄系部品の防錆を図るために燃料
中に潤滑油を混合する潤滑油供給系が接続されている。
この潤滑油供給系は、船体4側に配置された主潤滑油タ
ンク41内の潤滑油を船体側潤滑油ポンプ43によりエ
ンジン6側に配置された副潤滑油タンク42に供給し、
該タンク42内の潤滑油をエンジン側潤滑油ポンプ45
により潤滑油ホース44,上記レギュレータ28を介し
て循環流量も多く、流速も大きい余剰燃料吐出流路より
上記ベーパセパレータタンク22内に供給するように構
成されている。
【0019】上記ベーパセパレータタンク22は、上面
部の前,後2箇所,及び下面部の前部1箇所に形成され
た取付けステー46を介してエンジン6の左側に位置す
るように上記吸気マニホールド14に取り付けられてい
る。なお、上記取付けステー46は、ゴム等の弾性体を
介在させることによりエンジン振動がベーパセパレータ
タンク22に伝達されるのを抑制するよう構成されてい
る。
【0020】上記ベーパセパレータタンク22は、樹脂
製で上方に向けて開口する箱状の本体29と、この本体
29の上部開口を閉塞する同じく樹脂製の蓋体30とか
らなる上下2分割構造のものである。ここで上記本体2
9,蓋体30の分割合面には図5に示すように、金属製
で概略T型断面を有する環状のシール部材47,48が
インサート成形により固着されている。このシール部材
47,48は、本体29,蓋体30を樹脂製としたこと
に起因して分割合面にうねりが生じシール性が低下する
のを回避するためのものである。金属製のシール部材4
7,48を固着したことにより上記うねりが抑えられ
る。また本体29側のシール部材47にはリング溝47
aが環状に形成されており、該リング溝47aにはオー
リング49が装着されている。
【0021】上記ベーパセパレータタンク22内は、隔
壁29aにより2室に画成されており、後側の室は燃料
を溜める燃料室31に、前側の室は高圧燃料ポンプ24
を内蔵するホンプ室32となっている。また上記燃料室
31の底壁31aは高圧燃料ポンプ24の吸引口側ほど
下方に位置するよう斜めに形成されている。
【0022】ここで、上記ポンプ室32は、後述するよ
うに略円柱状の高圧燃料ポンプ24を収容できるように
大略円筒状に形成されている。また上記隔壁29aは本
体29の図4向こう側の壁面から手前側中ほどまで延び
ており、該隔壁29aの手前側縁と本体29の手前側壁
面との間の空間a1により、上記燃料室31とポンプ室
32とが連通している。
【0023】上記ポンプ室32内には上記高圧燃料ポン
プ24が収容されている。この高圧燃料ポンプ24は、
軸線を上下方向に向けて配置され、上部に駆動モータ
(図示せず)を内蔵した電動式ウエスコ型ポンプであ
り、下端部に開口する燃料吸込口24aから吸入した燃
料を加圧して上端部の燃料吐出管24bに吐出するよう
構成されており、上記本体29と蓋体30とで挟持固定
されている。また上記吸込口24aの周囲にはこれを囲
むようにフィルタ33配置されている。なお、34は上
記駆動モータに給電するための電源端子である。
【0024】また上記ポンプ室32の底壁32aには水
貯留室32bが接続形成されている。この水貯留室32
bは、上記底壁32aの上記フィルタ33下方に形成さ
れた開口に有底筒体を嵌合接続してなり、該ベーパセパ
レータタンク22の底壁内面の一部を下方に大きく落ち
込ませた構造になっている。
【0025】燃料中の水分は、このベーパセパレータタ
ンク22の容積が大きく燃料の移動速度が低いことか
ら、その自重により燃料から確実に分離し、最底部に位
置する上記水貯留室32b内に溜まることとなる。即
ち、本実施形態では、ベーパセパレータ22の内部容積
が充分であり燃料流速が低い点、及び底壁の最下部に下
方に膨出する水貯留室32bを形成したことにより、燃
料中の水分を分離し貯留する水分離貯留機能が構成され
ている。なお、32cは上記水貯留室32b内に溜まっ
た水分を外部に排出するためのドレンボルトである。
【0026】上記蓋体30の後端縁には、燃料供給口3
0aが形成され、該供給口30aの上側開口には接続管
35を介して上記燃料供給ホース25が接続されてい
る。また上記燃料供給口30aの下側開口にはノズル3
6が挿入固着されており、該ノズル36内には弁体37
が該ノズル36のノズル孔36aを開閉可能に挿入配置
されている。
【0027】また、上記弁体37はフロート38のアー
ム38aにより支持されており、該フロート38は、上
記蓋体30に一体形成された左,右の支持ボス30b,
30b間に挿通された支持ピン39により上下揺動自在
に支持されており、該燃料室31内の液面に応じて揺動
する。上記フロート38は内部が空洞の直方体状のもの
で、その底壁には逃げ部38bが上方に凹むように形成
されている。上記弁体37は、フロート38が図4の実
線で示す位置にあるとき上記ノズル孔36aを全閉し、
該フロート38が一点鎖線,二点鎖線で示すように下方
に揺動するほど上記ノズル孔36aを大きく開く。
【0028】ここで上記蓋体30の上記隔壁29aの上
方部分にも燃料供給口30a′,及び支持ボス30b′
が、上記後端縁のものと同一形状に形成されている。但
し、この燃料供給口30a′は蓋部材51によって閉塞
されている。即ち、本実施形態では、燃料供給口30
a′,支持ボス部30b′を利用することによりフロー
ト38を図示と逆向きに取り付けることができる。
【0029】このようにフロート38を逆向きに取り付
けることにより、該ベーパセパレータ22をエンジン6
の右側に本実施形態と前後逆の向きに取り付けた場合で
も、フロート38の軸支点を船外機後側に位置させるこ
とができる。これにより、加速時のように燃料消費量が
大となる運転状態では、燃料がベーパセパレータタンク
22の後側に偏位し、そのためフロート38は確実に下
方に揺動し、弁体37がノズル孔36aを開き、燃料が
補給されるので、ポンプ室32側の液面が過剰に低下し
て燃料ポンプ24が空気を吸い込む問題を回避できる。
【0030】ちなみにフロート38の軸支点を船外機前
側に位置させた場合、加速により燃料がベーパセパレー
タタンク22の後側に偏位すると、フロート38の後端
側部分が後側に偏った燃料の浮力により上方に押されて
該フロート38が上方に回動し、弁体37がノズル孔3
6を閉じ、燃料消費量が多いにもかかわらず燃料が補給
されず、液面が過剰に下がり、燃料ポンプ24が空気を
吸引してしまう懸念がある。
【0031】そして、上記燃料室31の底壁31aには
該燃料室31を前後に区分けする仕切壁40が立設され
ている。この仕切り壁40は、上記全閉位置に位置する
上記フロート38の底面付近まで上方に延びている。ま
たこの仕切り壁40にはスリットa2が設けられてお
り、上記燃料室31の前,後室同士はこのスリットa2
により連通している。なお、上記スリットa2は、例え
ばベーパセパレータタンク22を図4右側(船外機後
側)を上にして傾斜させたとき燃料室31右側の燃料が
比較的ゆっくりと燃料室31の左側に移動する程度の狭
い寸法に設定されている。
【0032】また上記仕切り壁40は、上記フロート3
8が下方に揺動すると上記逃げ部38b内に挿入される
位置に形成されており、上記フロート38が二点鎖線で
示す所定角度に揺動すると逃げ部38aの上端部に当接
し、該フロート38の揺動角度を規制する。なお、47
は上記燃料室31の底壁31aに取り付けられた大気圧
センサである。
【0033】次に、本船外機における燃料供給装置の作
用効果について説明する。船外機1は通常の航走時に
は、図1に示すように水面に対して大略鉛直をなす正立
状態に保持される。この場合、エンジン6の運転により
燃料が消費され、ベーパセパレータタンク22内の燃料
の液面が低下するとフロート38が下方に揺動し、弁体
37がノズル孔36aを開き、主燃料タンク21側から
送られた燃料が補給される。燃料が図4に示す液面L1
まで上昇するとフロート38が実線の位置に回動し、弁
体37がノズル孔36aを全閉し、燃料の補給は停止又
は極少量となる。この場合、高速航走時ほど多量に燃料
が消費され、従って多量に補給され、上記流量センサ5
0による流量検出値が大となる。
【0034】本実施形態エンジン6の場合、上記正立状
態で例えば1000rpmでの定常運転を行うと、燃料
消費量は概ね7.2リットル/hr程度となり、流量セ
ンサ50による検出値はエンジンでの消費量と一致す
る。
【0035】一方、上記運転状態において、船外機1が
上方にトリムアップされると、本実施形態の特徴なす仕
切り壁40が無い場合には、ベーパセパレータタンク2
2内の燃料は直ちに例えば液面L2の状態になり、その
ためフロート38が下方に揺動して弁体37がノズル孔
36aを開き、比較的多量の燃料が補給され、その結果
流量センサ50による検出流量は、図8に示すように、
実際の燃料消費量より大きな値を示すこととなる。
【0036】本実施形態では、仕切り壁40を設けたの
で、ベーパセパレータタンク22内の液面は、図4に破
線の液面L3で示すように、仕切り壁40の右側部分が
高所に位置することとなり、そのためフロート38は仕
切り壁40より右側部分の燃料による浮力を受け、仕切
り壁40が存在しない場合よりも下降角度が小さくな
る。その結果、燃料の補給量が抑制され、燃料センサ5
0による検出流量と実際の消費量との差が抑制される。
【0037】船外機1をトリムアップして運転すると、
上記仕切り壁40が存在しない場合には、フロート38
が大きく下降した状態となるので、ベーパセパレータタ
ンク22内に多量の燃料が補給されることとなり、船外
機1を上記トリムアップ位置から正立位置にトリムダウ
ンさせると、液面は上記満杯時液面L1より高い液面L
1′となる。そのためフロート38は上記満杯のときよ
りも強く上方に押し上げられ、弁体37がノズル孔36
aをより確実に全閉し、流量センサ50の検出値は、実
際の消費量は7リットル/hr程度であるにもかかわら
ず、図9に示すように略零となる。
【0038】本実施形態では、仕切り壁40を設けたの
で、上記トリムアップ状態での燃料補給量が少なく、ベ
ーパセパレータタンク22内に貯留される燃料量は仕切
り壁を設けていない場合に比較して少なくなり、船外機
1を正立位置にトリムダウンした場合、フロート38に
よる弁体37の押し上げ力が弱く、流量センサ50の検
出値と実際の消費量との差が抑制される。
【0039】そして本実施形態では、上記ベーパセパレ
ータタンク22の内部容積がエンジン側での消費燃料量
に対して充分に大きいことから、該ベーパセパレータタ
ンク22内にエンジン側から戻った燃料,及び主燃料タ
ンク21側から補給された燃料の上記高圧燃料ポンプ2
4側に移動する際の燃料流速は極めて遅い。そのため燃
料中の水分が沈降するのに必要な時間が充分に得られ、
燃料中の水分は燃料から確実に分離して前側に傾斜した
底壁31aの内面に沿って水貯留室32b内に溜まるこ
ととなる。その結果、鉄系部品である高圧燃料ポンプ2
4,燃料噴射弁16等の水分による内部腐食が防止され
る。
【0040】また本実施形態では、ベーパセパレータタ
ンク22自体に水分離及び貯留機能を併せ持たせたの
で、別個独立の水分離装置を備える必要がなく、気泡分
離及び水分離の機能の集約により部品点数を削減でき、
コストを低減できる。なお、燃料フィルタ23aについ
ては、水分離機能を持たせる必要がなく、本来の燃料濾
過機能のみを考慮すればよいから、濾過機能を向上でき
る。
【0041】さらにまた本実施形態の水分離排出機能
は、ベーパセパレータタンクが元々備えている比較的大
きな容積を利用し、その底部に水貯留室を付加するだけ
の簡単な構造で実現でき、また特別な組立工数といった
ものも不要である。
【0042】ここで、上記実施形態では、ベーパセパレ
ータタンク22への燃料補給量を流量センサ50により
検出し、この検出値を燃料消費量として表示するように
したが、この流量センサ50に加えて、あるいは流量セ
ンサ50の代わりに、燃料噴射弁16の開時間を積算す
ることにより燃料消費量を求めるように構成しても良
い。
【0043】燃料センサ50に加えて噴射時間の積算値
から燃料消費量を求めるように構成した場合には、流量
センサ検出消費量と噴射時間積算消費量とを比較し、両
者の差が所定値以上である場合には何らかの異常が発生
しているとして処理することができる。
【0044】例えば、流量センサ検出消費量が大きい場
合には、上述のようなベーパセパレータタンク内の液面
変動による液面管理不良が発生している可能性があるこ
とを、また逆に噴射時間積算消費量が大きい場合には、
燃料噴射弁16側に詰まり等の異常が発生している可能
性があることを操船者に知らせることができる。
【0045】図7は請求項1,3の発明の一実施形態
(第2実施形態)による船外機用エンジンの燃料供給装
置を説明するための図であり、図中、図4と同一符号は
同一又は相当部分を示す。
【0046】本第2実施形態は、燃料室31内を仕切り
壁40によって、エンジンから燃料が戻される戻り室b
1と、主燃料タンク21から燃料が供給される供給室b
2とに画成し、底壁31aの供給室b2側部分に上記第
1実施形態と同様の水貯留室32bを接続した例であ
る。
【0047】主燃料タンク21からの燃料は、燃料供給
口30aを通って上記供給室b2内に供給され、ここで
燃料中の水分は燃料から分離して沈下し水貯留室32b
内に貯留する。そして定期点検時等において、ドレンプ
ラグ32cから外部に排出される。
【0048】本第2実施形態では、水分が混入している
可能性が比較的高い主燃料タンク21側からの燃料が流
入する供給室b2の底部に水貯留室32bを形成したの
で、より一層効率よく水分を分離でき、上記第1実施形
態と同様に、鉄系部品の腐食を防止でき、また機能集約
による部品点数の削減、ユニット化による組立工数の低
減によりコストを低減できる。
【0049】本発明は、主燃料タンクと副燃料タンクと
が個別に設けられたエンジンであれば船外機以外の船舶
用エンジンにも適用可能である。
【0050】
【発明の作用効果】以上のように、請求項1の発明に係
る船舶用エンジンの燃料供給装置によれば、エンジン側
に配置された副燃料タンクの容積がエンジン側で消費さ
れる燃料量に対して充分に大きく、従って該副燃料タン
ク内の燃料流速が充分に低いことを利用したので、該副
燃料タンク内に水分離貯留手段を構成することができ、
別個独立に水分離装置を設けることなく燃料中の水分を
分離でき、鉄系部品の腐食を防止できるとともに、部品
点数,組立工数の削減によりコストを低減できる効果が
ある。
【0051】そして請求項2の発明によれば、ベーパセ
パレータタンクの底壁の最下部に水貯留室を下方に膨出
するよう設けたので、また請求項3の発明によれば、ベ
ーパセパレータタンクの底壁の主燃料タンクからの供給
通路の接続口側部分に水貯留室を下方に膨出するよう設
けたので、ベーパセパレータタンクの容積が大きく燃料
流速が低いことを利用して水分を燃料から分離し水貯留
室に貯留する水分離貯留機能を構成することができ、別
個独立の水分離装置を設けることなく燃料中の水分を分
離でき、鉄系部品の腐食を防止できるとともに、部品点
数,組立工数の削減によりコストを低減できる効果があ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1,2の発明に係る一実施形態(第1実
施形態)による燃料供給装置を備えた船外機の側面図で
ある。
【図2】上記第1実施形態船外機のエンジン部分の側面
図である。
【図3】上記第1実施形態船外機の平面図である。
【図4】上記第1実施形態船外機のベーパセパレータタ
ンク部分の断面側面図である。
【図5】上記第1実施形態ベーパセパレータタンクの合
面部分の拡大図である。
【図6】上記第1実施形態ベーパセパレータタンクの平
面図である。
【図7】請求項1,3の発明に係る第2実施形態による
ベーパセパレータタンクの断面側面図である。
【符号の説明】
1 船外機 4 船体 6 エンジン 21 主燃料タンク 22 ベーパセパレータタンク(副燃料タンク) 31 燃料室 31a 底壁 32b 水貯留室 b1 戻り室(戻り通路の接続口側部分) b2 供給室(供給通路の接続口側部分)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B63H 20/00 F02M 37/20 Z F02M 37/20 B63H 21/26 K

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主燃料タンク内の燃料をエンジン近傍に
    配置された副燃料タンク内にエンジンによる消費量に応
    じた量だけ供給するようにした船舶用エンジンの燃料供
    給装置において、上記副燃料タンク内に、燃料中の水分
    を分離し貯留する水分離貯留手段を設けたことを特徴と
    する船舶用エンジンの燃料供給装置。
  2. 【請求項2】 請求項1において、上記副燃料タンク
    は、燃料中の気泡の分離機能を有するベーパセパレータ
    タンクであり、上記水分離貯留機能は、ベーパセパレー
    タタンクの底壁の最下部に水貯留室を下方に膨出するよ
    う設けることにより構成されていることを特徴とする船
    舶用エンジンの燃料供給装置。
  3. 【請求項3】 請求項1において、上記副燃料タンク
    は、燃料中の気泡の分離機能を有するベーパセパレータ
    タンクであり、上記水分離貯留機能は、ベーパセパレー
    タタンク内をエンジンからの戻り通路の接続口側部分と
    上記主燃料タンクからの供給通路の接続口側部分とに画
    成し、ベーパセパレータタンクの底壁の上記供給通路接
    続口側部分に水貯留室を下方に膨出するよう設けること
    により構成されていることを特徴とする船舶用エンジン
    の燃料供給装置。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3の何れかにおいて、上
    記主燃料タンクは船体に、上記副燃料タンクは船内外に
    取付けられたエンジンに設けられていることを特徴とす
    る船舶用エンジンの燃料供給装置。
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