JPH10131823A - 船舶用エンジンの燃料供給装置 - Google Patents

船舶用エンジンの燃料供給装置

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JPH10131823A
JPH10131823A JP28632196A JP28632196A JPH10131823A JP H10131823 A JPH10131823 A JP H10131823A JP 28632196 A JP28632196 A JP 28632196A JP 28632196 A JP28632196 A JP 28632196A JP H10131823 A JPH10131823 A JP H10131823A
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JP
Japan
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fuel
engine
fuel supply
tank
float
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JP28632196A
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Inventor
Masahiko Kato
雅彦 加藤
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Yamaha Marine Co Ltd
Original Assignee
Sanshin Kogyo KK
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Publication date
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  • Cooling, Air Intake And Gas Exhaust, And Fuel Tank Arrangements In Propulsion Units (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ベーパセパレータタンク等の副燃料タンクを
エンジンに搭載する際の方向性の制約を無くすことがで
き、エンジンの右舷側,左舷側の何れにも搭載でき、ま
た樹脂製とした場合でもシール性を確保できる船舶用エ
ンジンの燃料供給装置を提供する。 【解決手段】 主燃料タンク21内の燃料をエンジン側
に配置された副燃料タンク22内にフロート式開閉弁3
7により燃料供給口30a,30a´を開閉することに
よりエンジンによる消費量に応じた量だけ供給するよう
にした船舶用エンジンの燃料供給装置において、上記フ
ロート式開閉弁37の軸支部を、上記副燃料タンク22
をエンジンの右舷側,左舷側の何れに取り付けた場合で
も船体4前後方向後側に位置させる取付け方向性回避手
段を設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、船外機等の船舶用
エンジンの燃料供給装置に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば船外機の燃料供給装置は、従来、
船体側に配置された主燃料タンク内の燃料を低圧燃料ポ
ンプにより船外機側に配置されたベーパセパレータタン
ク(副燃料タンク)に供給し、該ベーパセパレータタン
ク内の燃料を高圧燃料ポンプによりエンジンの燃料噴射
弁に供給するように構成したものが一般的である。ま
た、燃料噴射弁側に供給された燃料のうち噴射されずに
残った余剰分は上記ベーパセパレータタンク内に戻され
る。従って、上記主燃料タンクから上記ベーパセパレー
タタンクに供給されるのはエンジンでの消費量に対応し
た量の燃料となる。
【0003】ところで上記ベーパセパレータタンク内に
エンジンでの消費量に応じた燃料を供給する機構として
は、フロート式開閉弁により燃料供給口を開閉する機構
が一般に採用されており、フロートの上下揺動により燃
料の供給量が調整され、該ベーパセパレータタンク内の
液面が一定に保たれるようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが上記フロート
式開閉弁により内部の液面を管理する機構の場合、該フ
ロートの軸支点を船体前後方向後側に位置させる必要が
ある。これは加速時のような燃料消費量が多くかつ燃料
がベーパセパレータタンクの後側に偏位する運転状態で
は、常にフロートを下方に揺動させて燃料供給口を開い
て燃料を補給できるようにするためである。
【0005】ちなみにフロートの軸支点を船体前側に位
置させた場合、加速により燃料がベーパセパレータタン
クの後側に偏位するとフロートの後端側部分(反軸支点
側部分)が後側に偏った燃料の浮力により上方に押され
て該フロートが上方に回動して燃料供給口を閉じてしま
い、燃料消費量が多いにもかかわらず燃料が補給され
ず、液面が過剰に下がり、ベーパセパレータタンク内の
高圧燃料ポンプが空気を吸引してしまう懸念がある。
【0006】このようにフロートの軸支点を船体後側に
位置させる必要がある点、及びベーパセパレータタンク
が比較的大きな配置スペースを必要とする点から、ベー
パセパレータタンクはエンジンの右舷側専用のものと左
舷側専用のものとの2種類が必要となり、部品種類が増
加しコストアップの原因となっている。
【0007】また上記ベーパセパレータタンクは比較的
大型で重いといった問題がある。この重量の問題に対応
するには樹脂等の軽量材料で構成することが有効であ
る。一方、ベーパセパレータタンクは高圧燃料ポンプを
内蔵する等の必要から上下2分割式としている場合が多
く、このような2分割方式の場合に上下タンクを単に樹
脂製とした場合は、該樹脂製タンクの合面のうねり等に
よりシール性が確保し難いという問題が懸念される。
【0008】本発明は、上記従来の問題に鑑みてなされ
たもので、ベーパセパレータタンク等の副燃料タンクを
エンジンに搭載する際の方向性の制約を無くすことがで
き、エンジンの右舷側,左舷側の何れにも搭載でき、ま
た樹脂製とした場合でもシール性を確保できる船舶用エ
ンジンの燃料供給装置を提供することを課題としてい
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、主燃
料タンク内の燃料をエンジン側に配置された副燃料タン
ク内にフロート式開閉弁により燃料供給口を開閉するこ
とによりエンジンによる消費量に応じた量だけ供給する
ようにした船舶用エンジンの燃料供給装置において、上
記フロート式開閉弁の軸支部を、上記副燃料タンクをエ
ンジンの右舷側,左舷側の何れに取り付けた場合でも船
体前後方向後側に位置させる取付け方向性回避手段を設
けたことを特徴としている。
【0010】請求項2の発明は、請求項1において、上
記取付け方向性回避手段は、上記副燃料タンクの上部の
船体前後方向に離間した第1,第2部位に第1,第2燃
料供給口を形成するとともに、該第1,第2燃料供給口
の近傍に上記フロート式開閉弁を軸支する第1,第2軸
支部を形成し、船体前後方向後側に位置する軸支部によ
り上記フロート式開閉弁を軸支して後側に位置する燃料
供給口を開閉可能とするとともに、前側に位置する燃料
供給口を閉塞することにより構成されていることを特徴
としている。
【0011】請求項3の発明は、請求項1において、上
記取付け方向性回避手段は、上記副燃料タンクのエンジ
ンに取付けるための取付けステーを、該副燃料タンクの
取付け方向投影面の外方に突出するよう形成し、該取付
けステーの船体幅方向両側に、エンジン側の支持ボス部
を位置させる空間を設けることにより構成されているこ
とを特徴としている。
【0012】請求項4の発明は、主燃料タンク内の燃料
をエンジン側に配置された副燃料タンク内にエンジンに
よる消費量に応じた量だけ供給するようにした船舶用エ
ンジンの燃料供給装置において、上記副燃料タンクを上
タンクと下タンクとの上下2分割構造とし、上,下タン
クの少なくとも何れか一方を樹脂製とし、樹脂製とした
タンクの合面部分に金属製の合面補強部材を固着し、両
合面間にシール部材を介在させたことを特徴としてい
る。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を添付
図面に基づいて説明する。図1〜図9は請求項1,2,
4の発明の第1実施形態による船外機の燃料供給装置を
説明するための図であり、図1は船外機の側面図、図
2,図3は該船外機用エンジンの側面図,平面図、図4
はベーパセパレータタンクの断面側面図、図5はベーパ
セパレータタンクのケース分割面の拡大図、図6はベー
パセパレータタンクの平面図、図7,8及び9はベーパ
セパレータタンクを逆向きに搭載した場合を示す側面
図,及び平面図である。なお、本実施形態における左,
右とは船体後方から前方を見た状態での左,右である。
【0014】図において、1は本実施形態による船外機
であり、該船外機1は、アッパケーシング2の下面に、
プロペラ7への回転力伝達機構を内蔵するロアケーシン
グ8を取付け、上面にエンジン6を搭載し、該エンジン
6の周囲をカウリング1aにより囲んだ構成のものであ
る。そしてこの船外機1は、船体4の船尾板4aに、ア
ッパケーシング2に設けられたクランプ機構3を介して
チルト軸5の回りにチルト自在にかつ操舵自在に取付け
られている。
【0015】上記エンジン6は、水冷式2サイクルV型
6気筒エンジンであり、航走時にクランク軸9が略鉛直
をなすように船体4に搭載され、該クランク軸9の下端
に連結されたドライブ軸(図示せず)を介して上記プロ
ペラ7を回転駆動する。なお、図3中、符号10,11
はVバンクをなすように形成された左,右気筒部、12
はクランクケースである。
【0016】上記エンジン6の吸気系は、上記クランク
ケース12に各気筒毎に形成されたクランク室の前端に
吸気口を形成し、該各吸気口にリード弁13を介在させ
て一体形の吸気ニホールド14を接続し、該吸気マニホ
ールド14の上流側に共通の吸気サイレンサ15を接続
した構成になっている。
【0017】また上記吸気マニホールド14には、各気
筒毎にスロットル弁(図示せず),及び燃料噴射弁16
が上下方向に一列をなすように装着されており、該各燃
料噴射弁16の頭部には、上下方向に延びる棒状の燃料
供給レール17が装着されている。
【0018】上記エンジン6の燃料供給装置は、船体4
側に配置された主燃料タンク21内の燃料をエンジン6
側に配置された低圧燃料ポンプ23により主燃料ホース
25,燃料フィルタ23aを介してエンジン6の左側壁
に配置固定されたベーパセパレータタンク(副燃料タン
ク)22内に供給し、該タンク22内の燃料を該タンク
22に内蔵された高圧燃料ポンプ24により燃料吐出管
24b,及び高圧燃料ホース26を介して上記燃料供給
レール17の下端部に圧送するように構成されている。
【0019】そして上記燃料供給レール17に供給され
た燃料の一部は燃料噴射弁16により噴射され、残りの
余剰燃料は、燃料供給レール17の上端に接続された戻
りホース27により圧力調整用レギュレータ28を介し
て上記ベーパセパレータタンク22に戻される。なお、
28aはレギュレータ28に吸気負圧を導入する負圧ホ
ースであり、該レギュレータ28は上記燃料供給レール
17内の燃料圧力を吸気負圧に応じた値に制御する。
【0020】また上記ベーパセパレータタンク22に
は、燃料供給装置中の鉄系部品の防錆を図るために燃料
中に潤滑油を混合する潤滑油供給系が接続されている。
この潤滑油供給系は、船体4側に配置された主潤滑油タ
ンク41内の潤滑油を船体側潤滑油ポンプ43によりエ
ンジン6側に配置された副潤滑油タンク42に供給し、
該タンク42内の潤滑油をエンジン側潤滑油ポンプ45
により潤滑油ホース44,上記レギュレータ28を介し
て上記ベーパセパレータタンク22内に供給するように
構成されている。
【0021】上記ベーパセパレータタンク22は、エン
ジン6の左舷側に配設されており、上面部の前,後2箇
所,及び下面部の前部1箇所に形成された取付けステー
46がブラケット14aを介して上記吸気マニホールド
14の左側面に取り付けられている。なお、上記取付け
ステー46は、ゴム等の弾性体を介在させることにより
エンジン振動がベーパセパレータタンク22に伝達され
るのを抑制するよう構成されており、ボルト46aを上
記ブラケット14aのねじ孔にねじ込むことによりベー
パセパレータタンク22を取り付ける。
【0022】また上記3つの取付けステー46は、該ベ
ーパセパレータタンク22全体を船体幅方向に投影した
場合の投影面の外側に突出するように位置しており、こ
れにより各取付けステー46の左,右両側には、障害物
は何も存在せず、エンジン側に固定されたブラケットを
取付ステー46の左,又は右側面に支障なく当接させる
ことのできる空間が形成されている。
【0023】上記ベーパセパレータタンク22は、樹脂
製で上方に向けて開口する箱状の本体(下タンク)29
と、この本体29の上部開口を閉塞する同じく樹脂製の
蓋体(上タンク)30とからなる上下2分割構造のもの
である。ここで上記本体29,蓋体30の分割合面には
図5に示すように、金属製で概略T型断面を有する環状
の合面補強部材47,48がインサート成形により固着
されている。この合面補強部材47,48は、本体2
9,蓋体30を樹脂製としたことに起因して分割合面に
うねりが生じシール性が低下するのを回避するためのも
のである。金属製の合面補強部材47,48を固着した
ことにより上記うねりが抑えられる。また本体29側の
合面補強部材47にはリング溝47aが環状に形成され
ており、該リング溝47aにはオーリング49が装着さ
れている。
【0024】上記ベーパセパレータタンク22内は、隔
壁29aにより2室に画成されており、後側の室は燃料
を溜める燃料室31に、前側の室は高圧燃料ポンプ24
を内蔵するホンプ室32となっている。また上記燃料室
31の底壁31aは船外機後側ほど上方に位置するよう
斜めに形成されている。
【0025】ここで、上記ポンプ室32は、後述するよ
うに略円柱状の高圧燃料ポンプ24を収容できるように
大略円筒状に形成されている。また上記隔壁29aは本
体29の図4向こう側の壁面から手前側中ほどまで延び
ており、該隔壁29aの手前側縁と本体29の手前側壁
面との間の空間a1により、上記燃料室31とポンプ室
32とが連通している。
【0026】上記ポンプ室32内には上記高圧燃料ポン
プ24が収容されている。この高圧燃料ポンプ24は、
軸線を上下方向に向けて配置され、上部に駆動モータ
(図示せず)を内蔵した電動式ウエスコ型ポンプであ
り、下端部に開口する燃料吸込口24aから吸入した燃
料を加圧して上端部の燃料吐出管24bに吐出するよう
構成されており、上記本体29と蓋体30とで挟持固定
されている。また上記吸込口24aの周囲にはこれを囲
むようにフィルタ33配置されている。なお、34は上
記駆動モータに給電するための電源端子である。
【0027】また上記ポンプ室32の底壁32aには水
貯留室32bが接続形成されている。この水貯留室32
bは、上記底壁32aの上記フィルタ33下方に形成さ
れた開口に有底筒体を嵌合接続してなり、該ベーパセパ
レータタンク22の底壁内面の一部を下方に大きく落ち
込ませた構造になっている。
【0028】燃料中の水分は、このベーパセパレータタ
ンク22の容積が大きく燃料の移動速度が低いことか
ら、その自重により燃料から確実に分離し、最底部に位
置する上記水貯留室32b内に溜まることとなる。即
ち、本実施形態では、ベーパセパレータ22の内部容積
が充分であり燃料流速が低い点、及び底壁の最下部に下
方に膨出する水貯留室32bを形成したことにより、燃
料中の水分を分離し貯留する水分離貯留機能が構成され
ている。なお、32cは上記水貯留室32b内に溜まっ
た水分を外部に排出するためのドレンボルトであり、5
2は大気圧センサである。
【0029】上記蓋体30の後端縁には、燃料供給口3
0aが上方に直線状に形成され、該供給口30aの上側
開口には接続管35を介して上記燃料供給ホース25が
接続されている。また上記燃料供給口30aの下側開口
にはノズル36が挿入固着されており、該ノズル36内
には弁体37が該ノズル36のノズル孔36aを開閉可
能に挿入配置されている。ここで、燃料供給口30aを
垂直方向に延びる直線状にしたので、例えば水平方向か
ら垂直方向にL字形状に屈曲させる場合に比べて流路抵
抗を軽減できる。
【0030】また、上記弁体37はフロート38のアー
ム38aにより支持されており、該フロート38は、上
記蓋体30に一体形成された左,右の支持ボス30b,
30b間に挿通された支持ピン39により上下揺動自在
に支持されており、該燃料室31内の液面に応じて揺動
する。上記フロート38は内部が空洞の直方体状のもの
で、上記弁体37は、フロート38が図4の実線で示す
位置にあるとき上記ノズル孔36aを全閉し、該フロー
ト38が二点鎖線で示すように下方に揺動するほど上記
ノズル孔36aを大きく開く。
【0031】ここで上記蓋体30の上記隔壁29aの上
方部分にも燃料供給口30a′,及び支持ボス30b′
が、上記後端縁のものと同一形状に形成されている。但
し、この燃料供給口30a′の上端開口は蓋部51によ
って閉塞されている。
【0032】本実施形態のベーパセパレータタンク22
は、図7〜9に示すように、高圧燃料ポンプ24側に形
成された燃料供給口30a′,支持ボス部30b′を利
用することによりフロート38を図4場合と逆向きに取
り付けることができる。なお、この場合、フロート38
のアーム38aは上記空間a1を通って支持ピン39に
より支持されており、該アーム38a及びフロー38が
隔壁29aに干渉することはない。
【0033】このようにフロート38を逆向きに取り付
けることができるので、該ベーパセパレータタンク22
をエンジン6の右舷側に図1,図4の場合と前後逆の向
きに取り付けた場合でも、フロート38の軸支点を船外
機後側に位置させることができる。ここで、ベーパセパ
レータタンク22をエンジン6の右舷側に取り付ける場
合は、エンジン側に形成された支持ボス部12a,14
bに上記取付ステー46を直接ボルト締め固定する。
【0034】次に、本実施形態燃料供給装置の作用効果
について説明する。船外機1は通常の航走時には、図1
に示すように水面に対して大略鉛直をなす正立状態に保
持される。この場合、エンジン6の運転により燃料が消
費され、ベーパセパレータタンク22内の燃料の液面が
低下するとフロート38が下方に揺動し、弁体37がノ
ズル孔36aを開き、主燃料タンク21側から送られた
燃料が補給される。燃料が図4に示す液面L1まで上昇
するとフロート38が実線の位置に回動し、弁体37が
ノズル孔36aを全閉し、燃料の補給は停止又は極少量
となる。この場合、高速航走時ほど多量に燃料が消費さ
れ、従って多量に補給され、上記流量センサ50による
流量検出値が大となる。
【0035】加速運転状態では、ベーパセパレータタン
ク22内の燃料は、図4に二点鎖線で示す液面L2のよ
うに、船体後側に偏り後側ほど高くなる傾斜状となる。
本実施形態では、フロート38の支持ピン39を船体後
側に配置しているので、フロート38は燃料が後高に傾
斜すると下方に回動し(図4の二点鎖線参照)、弁体3
7がノズル孔36aを開き、これにより加速運転により
多く消費される燃料に見合った量の燃料がベーパセパレ
ータタンク22内に補給される。その結果、加速運転時
にベーパセパレータタンク22内のポンプ室32側の液
面が異常に低下し、高圧燃料ポンプ24が空気を吸い込
んでしまうという問題を回避できる。
【0036】ちなみに、図4に破線で示すように、フロ
ート38の軸支点を船外機前側に位置させた場合、加速
により液面がL2のように後高いに傾斜すると、フロー
ト38の後端側部分(反軸支点側部分)が後側に偏った
燃料の浮力により上方に押されて該フロート38が上方
に回動し、弁体37がノズル孔36を閉じ、燃料消費量
が多いにもかかわらず燃料がほとんど補給されず、液面
が過剰に下がり、燃料ポンプ24が空気を吸引してしま
う懸念がある。
【0037】本実施形態のベーパセパレータタンク22
はエンジン6の左舷側のみでなく右舷側にも取り付ける
ことができる。この場合、図7〜図9に示すように、高
圧燃料ポンプ24側に形成された燃料供給口30a′の
上流側の閉塞部51に接続管35を装着しこれに燃料供
給ホース25を接続するとともに下流側にノズル36を
装着し、支持ボス部30b′を利用することによりフロ
ート38を図4の実線の場合と逆向きに取り付け、該フ
ロート38により弁体37を上下移動させてノズル孔3
6aを開閉する。なお、この場合、反対側の燃料供給口
30aの上流側開口は閉塞部51′で閉塞されている。
【0038】そして上記フロート38を逆向きに取り付
けるとともに該ベーパセパレータ22をエンジン6の右
舷側に図1,図4と前後逆向きに取り付けた場合には、
フロート38の軸支点は船体後側に位置する。従って、
本実施形態のベーパセパレータタンク22は、取り付け
ステー46の変更なしでエンジンの左舷側,右舷側の何
れの側にも取り付けることができ、部品の共用化が図ら
れている。
【0039】本実施形態のベーパセパレータタンク22
をエンジンの右舷側に配置した場合、加速時のように燃
料消費量が大となりかつ燃料がベーパセパレータタンク
22の後側に偏位する運転状態では、フロート38はそ
の前端側部分(反軸支側部分)に燃料の浮力がほとんど
作用しないことから下方に揺動し、弁体37がノズル孔
36aを開き、加速時の燃料消費量に見合った量の燃料
が補給される。
【0040】また本実施形態では、上記ベーパセパレー
タタンク22の内部容積がエンジン側での消費燃料量に
対して充分に大きいことから、該ベーパセパレータタン
ク22内にエンジン側から戻った燃料,及び主燃料タン
ク21側から補給された燃料の上記高圧燃料ポンプ24
側に移動する際の燃料流速は極めて遅い。そのため燃料
中の水分が沈降するのに必要な時間が充分に得られ、燃
料中の水分は燃料から確実に分離して前側に傾斜した底
壁31aの内面に沿って水貯留室32b内に溜まること
となる。その結果、鉄系部品である高圧燃料ポンプ2
4,燃料噴射弁16等の水分による内部腐食が防止され
る。
【0041】また本実施形態では、ベーパセパレータタ
ンク22自体に水分離及び貯留機能を併せ持たせたの
で、別個独立の水分離装置を備える必要がなく、気泡分
離及び水分離の機能の集約により部品点数を削減でき、
コストを低減できる。なお、燃料フィルタ23aについ
ては、水分離機能を持たせる必要がなく、本来の燃料濾
過機能のみを考慮すればよいから、濾過機能を向上でき
る。
【0042】さらにまた本実施形態の水分離排出機能
は、ベーパセパレータタンクが元々備えている比較的大
きな容積を利用し、その底部に水貯留室を付加するだけ
の簡単な構造で実現でき、また特別な組立工数といった
ものも不要である。
【0043】図10,11は請求項1,3の発明の一実
施形態(第2実施形態)による船外機の燃料供給装置を
説明するための図であり、図中、図4と同一符号は同一
又は相当部分を示す。
【0044】本第2実施形態は、上記ベーパセパレータ
タンク22を、取付け方向性を無くしてエンジンの右舷
側,左舷側の何れにもそのまま取り付け可能とするため
の手段として以下の構成を採用している。即ち、本実施
形態における取り付け方向性回避手段は、上記ベーパセ
パレータタンク22の上部2箇所の取付けステー46,
46、及び下部1箇所の取り付けステー46を、図4に
示すように、該ベーパセパレータタンク22全体の船体
幅方向への投影面の外側に位置するよう外方に突出する
よう形成し、該3つの取付けステー46の船体幅方向両
側に、該外取付けステー46を支持するエンジン側のブ
ラケットの配置空間(図9の一点鎖線で示す空間A)を
設けることにより構成されている。
【0045】本第2実施形態のベーパセパレータタンク
22をエンジン6の左舷側に取り付ける場合、ボルト4
6aを図10に示す方向に挿入した状態で取り付けステ
ー46の図10上側端面をエンジン側からのブラケット
(図示せず)に当接し、該ブラケットのねじ孔にボルト
46aをねじ込めばよい。
【0046】一方、本第2実施形態のベーパセパレータ
タンク22をエンジン6の右舷側に取り付ける場合、ボ
ルト46aを図10に示す方向と逆に挿入し直した後に
取り付けステー46の図10下側端面をエンジン側から
の支持ボス(図示せず)に当接し、該支持ボスのねじ孔
にボルト46aをねじ込めばよい。この右舷側取付状態
を図11に示す。
【0047】このように本実施形態では、取り付けステ
ー46の両側にエンジン側からのブラケットに干渉する
ものを無くして該ブラケットの配置空間を形成したの
で、エンジン6の左舷側,右舷側の何れの側にも同じ前
後方向の向きで取り付けることができる。
【0048】本実施形態では、上記第1実施形態の場合
と同様に加速運転時に液面が傾斜しても燃料を充分に補
給でき、さらにフロートの燃料供給口,軸支部が1箇所
で済むので、ベーパセパレータタンク22の内部構造を
簡素化できる。
【0049】
【発明の作用効果】以上のように、請求項1の発明によ
れば、ベーパセパレータタンク等の副燃料タンクをエン
ジンの右舷側,左舷側の何れに取り付けた場合でもフロ
ート式開閉弁の軸支部が船体前後方向後側に位置するよ
うに構成したので、副燃料タンクを何れの側に配置した
場合でも加速運転時に燃料が後高に傾斜したとき燃料供
給口を開いて燃料を補給でき、従って副燃料タンクの取
付け方向性を回避して同じ副燃料タンクを左舷側,右舷
側の何れにも取り付けることができ、部品の共用化によ
りコストを低減できる効果がある。
【0050】請求項2の発明によれば、上記副燃料タン
クの上部の船体前後方向に離間した第1,第2部位に第
1,第2燃料供給口、フロート式開閉弁を軸支する第
1,第2軸支部を形成したので、船体前後方向後側に位
置する軸支部により上記フロート式開閉弁を軸支するこ
とにより、副燃料タンクの取付け方向性を回避でき、上
述の副燃料タンクの左,右共通化を実現できる。
【0051】また請求項3の発明によれば、上記副燃料
タンクの取付けステーを該タンクの取付け方向投影面の
外側に突出するように形成したので、該取付けステーの
取付け方向両側に障害物がなくなり、該副燃料タンクの
取付け方向性を回避でき、上述の副燃料タンクの左,右
共通化を実現できる。
【0052】請求項4の発明は、副燃料タンクを上タン
クと下タンクとの上下2分割構造とし、上,下タンクの
少なくとも何れか一方を樹脂製とし、樹脂製としたタン
クの合面部分に金属製の合面補強部材を固着し、両合面
間にシール部材を介在させたので、樹脂製として軽量化
を図る場合に、樹脂製としたことにより合面にうねり等
が発生するのを金属製合面補強部材で防止でき、樹脂製
としたことによるシール性の低下を回避できる効果があ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1,2,4の発明に係る一実施形態(第
1実施形態)による燃料供給装置を備えた船外機の左側
面図である。
【図2】上記第1実施形態船外機のエンジン部分の側面
図である。
【図3】上記第1実施形態船外機の平面図である。
【図4】上記第1実施形態船外機のベーパセパレータタ
ンク部分の断面側面図である。
【図5】上記第1実施形態ベーパセパレータタンクの合
面部分の拡大図である。
【図6】上記第1実施形態ベーパセパレータタンクの平
面図である。
【図7】上記第1実施形態ベーパセパレータタンクのフ
ロート取付け方向を逆にした場合を示す断面側面図であ
る。
【図8】図7のベーパセパレータタンクを船外機に取り
付けた状態を示す右側面図である。
【図9】図7のベーパセパレータタンクをエンジン6の
右舷側に取り付けた状態の平面図である。
【図10】請求項1,3の発明の一実施形態(第2実施
形態)を説明するためのベーパセパレータタンクの平面
図である。
【図11】図10のベーパセパレータタンクをエンジン
6の右舷側に取り付けた状態の平面図である。
【符号の説明】
1 船外機 4 船体 6 エンジン 21 主燃料タンク 22 ベーパセパレータタンク(副燃料タンク) 29 本体(下タンク) 30 蓋体(上タンク) 30a,30a′ 燃料供給口(第1,第2燃料供給
口) 30b,30b′ 支持ボス(第1,第2軸支部) 37 弁体(開閉弁) 38 フロート 46 取付けステー 47,48 合面補強部材 49 シール部材 51 閉塞部材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI F02M 37/00 301 F02M 37/00 301Z

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主燃料タンク内の燃料をエンジン側に配
    置された副燃料タンク内にフロート式開閉弁により燃料
    供給口を開閉することによりエンジンによる消費量に応
    じた量だけ供給するようにした船舶用エンジンの燃料供
    給装置において、上記フロート式開閉弁の軸支部を、上
    記副燃料タンクをエンジンの右舷側,左舷側の何れに取
    り付けた場合でも船体前後方向後側に位置させる取付け
    方向性回避手段を設けたことを特徴とする船舶用エンジ
    ンの燃料供給装置。
  2. 【請求項2】 請求項1において、上記取付け方向性回
    避手段は、上記副燃料タンクの上部の船体前後方向に離
    間した第1,第2部位に第1,第2燃料供給口を形成す
    るとともに、該第1,第2燃料供給口の近傍に上記フロ
    ート式開閉弁を軸支する第1,第2軸支部を形成し、船
    体前後方向後側に位置する軸支部により上記フロート式
    開閉弁を軸支して後側に位置する燃料供給口を開閉可能
    とするとともに、前側に位置する燃料供給口を閉塞する
    ことにより構成されていることを特徴とする船舶用エン
    ジンの燃料供給装置。
  3. 【請求項3】 請求項1において、上記取付け方向性回
    避手段は、上記副燃料タンクのエンジンに取付けるため
    の取付けステーを、該副燃料タンクの取付け方向投影面
    の外方に突出するよう形成し、該取付けステーの船体幅
    方向両側に、エンジン側の支持ボス部を位置させる空間
    を設けることにより構成されていることを特徴とする船
    舶用エンジンの燃料供給装置。
  4. 【請求項4】 主燃料タンク内の燃料をエンジン側に配
    置された副燃料タンク内にエンジンによる消費量に応じ
    た量だけ供給するようにした船舶用エンジンの燃料供給
    装置において、上記副燃料タンクを上タンクと下タンク
    との上下2分割構造とし、上,下タンクの少なくとも何
    れか一方を樹脂製とし、樹脂製としたタンクの合面部分
    に金属製の合面補強部材を固着し、両合面間にシール部
    材を介在させたことを特徴とする船舶用エンジンの燃料
    供給装置。
JP28632196A 1996-10-29 1996-10-29 船舶用エンジンの燃料供給装置 Withdrawn JPH10131823A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6447351B1 (en) * 1999-06-17 2002-09-10 Yamaha Hatsudoki Kabushiki Kaisha Vapor system arrangement for marine engine

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