JP3833316B2 - 船舶用エンジンの燃料供給装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、船舶用エンジンの燃料供給装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば船外機の燃料供給装置は、従来、船体側に配置された主燃料タンク内の燃料を低圧燃料ポンプにより船外機側に配置されたベーパセパレータタンク(副燃料タンク)に供給し、該ベーパセパレータタンク内の燃料を高圧燃料ポンプによりエンジンの燃料噴射弁に供給するように構成したものが一般的である。また、燃料噴射弁側に供給された燃料のうち噴射されずに残った余剰分は上記ベーパセパレータタンク内に戻される。従って、上記主燃料タンクから上記ベーパセパレータタンクに供給されるのはエンジンでの消費量に対応した量の燃料となる。
【0003】
ところで船外機の燃料供給装置の場合、水上で使用するというその用途上燃料中に水が混入し易いという問題がある。この水を分離排出するため、従来、主燃料タンクからベーパセパレータタンクへの燃料補給経路の途中に水分離装置、例えば水分離機能を付加した燃料濾過用フィルタを介設するようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが上記従来の水分離機能付き燃料フィルタを特にエンジン側に配設する場合、燃料中の水分を完全に分離排出するのは困難であるという問題がある。これは、エンジン回りのスペースが十分にないことから上記燃料フィルタの内部容積を充分に確保することができず、燃料の流速が充分に低下せず、水分の沈降する時間がとれないことによるものと考えられる。
【0005】
また、燃料噴射式エンジンの場合、高圧燃料供給系に鉄系の部品、例えば高圧燃料ポンプ,燃料噴射弁等を使用しているので、燃料中の水分の分離が不完全な場合には、上記高圧燃料系部品の内部腐食が発生する懸念がある。
【0006】
本発明は、上記従来の問題に鑑みてなされたもので、スペースを充分に確保できないエンジン側に水分離機能を持たせながら燃料中の水分を確実に分離排出でき、燃料供給経路中の鉄系部品の内部腐食を防止できる船舶用エンジンの燃料供給装置を提供することを課題としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、主燃料タンク内の燃料をエンジン近傍に配置された副燃料タンク内にエンジンによる消費量に応じた量だけ供給するようにした船舶用エンジンの燃料供給装置において、上記副燃料タンクは、燃料中の気泡の分離機能を有するベーパセパレータタンクであり、該ベーパセパレータタンク内に、燃料中の水分を分離し貯留する水分離貯留手段を設け、該水分離貯留手段は、上記ベーパセパレータタンク内をエンジンからの戻り通路の接続口側部分と上記主燃料タンクからの供給通路の接続口側部分とに画成し、該ベーパセパレータタンクの底壁の上記供給通路接続口側部分に水貯留室を下方に膨出するよう設けることにより構成されていることを特徴としている。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1において、上記主燃料タンクは船体に、上記副燃料タンクは船体の船尾板に取付けられた船外機のエンジンに設けられていることを特徴としている。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1〜図6は本発明の一実施形態による船舶用エンジンの燃料供給装置を説明するための図であり、図1は船外機の側面図、図2,図3は該船外機用エンジンの側面図,平面図、図4はベーパセパレータタンクの断面側面図、図5はベーパセパレータタンクのケース分割面の拡大図、図6はベーパセパレータタンクの平面図である。なお、本実施形態における左,右とは船体後方から前方を見た状態での左,右である。
【0010】
図において、1は本実施形態による船外機であり、該船外機1は、アッパケーシング2の下面に、プロペラ7への回転力伝達機構を内蔵するロアケーシング8を取付け、上面にエンジン6を搭載し、該エンジン6の周囲をカウリング1aにより囲んだ構成のものである。そしてこの船外機1は、船体4の船尾板4aに、アッパケーシング2に設けられたクランプ機構3を介してチルト軸5の回りにチルト自在にかつ操舵自在に取付けられている。
【0011】
上記エンジン6は、水冷式2サイクルV型6気筒エンジンであり、航走時にクランク軸9が略鉛直をなすように船体4に搭載され、該クランク軸9の下端に連結されたドライブ軸(図示せず)を介して上記プロペラ7を回転駆動する。なお、図3中、符号10,11はVバンクをなすように形成された左,右気筒部、12はクランクケースである。
【0012】
上記エンジン6の吸気系は、上記クランクケース12に各気筒毎に形成されたクランク室の前端に吸気口を形成し、該各吸気口にリード弁13を介在させて一体形の吸気ニホールド14を接続し、該吸気マニホールド14の上流側に共通の吸気サイレンサ15を接続した構成になっている。
【0013】
また上記吸気マニホールド14には、各気筒毎にスロットル弁(図示せず),及び燃料噴射弁16が上下方向に一列をなすように装着されており、該各燃料噴射弁16の頭部には、上下方向に延びる棒状の燃料供給レール17が装着されている。
【0014】
上記エンジン6の燃料供給装置は、船体4側に配置された主燃料タンク21内の燃料をエンジン6側に配置された低圧燃料ポンプ23により主燃料ホース25,燃料フィルタ23aを介してエンジン6の左側壁に配置固定されたベーパセパレータタンク(副燃料タンク)22内に供給し、該タンク22内の燃料を該タンク22に内蔵された高圧燃料ポンプ24により燃料吐出管24b,及び高圧燃料ホース26を介して上記燃料供給レール17の下端部に圧送するように構成されている。
【0015】
そして上記燃料供給レール17に供給された燃料の一部は燃料噴射弁16により噴射され、残りの余剰燃料は、燃料供給レール17の上端に接続された戻りホース27により圧力調整用レギュレータ28を介して上記ベーパセパレータタンク22に戻される。なお、28aはレギュレータ28に吸気負圧を導入する負圧ホースであり、該レギュレータ28は上記燃料供給レール17内の燃料圧力を吸気負圧に応じた値に制御する。
【0016】
また上記ベーパセパレータタンク22には、燃料供給装置中の鉄系部品の防錆を図るために燃料中に潤滑油を混合する潤滑油供給系が接続されている。この潤滑油供給系は、船体4側に配置された主潤滑油タンク41内の潤滑油を船体側潤滑油ポンプ43によりエンジン6側に配置された副潤滑油タンク42に供給し、該タンク42内の潤滑油をエンジン側潤滑油ポンプ45により潤滑油ホース44,上記レギュレータ28を介して循環流量も多く、流速も大きい余剰燃料吐出流路より上記ベーパセパレータタンク22内に供給するように構成されている。
【0017】
上記ベーパセパレータタンク22は、上面部の前,後2箇所,及び下面部の前部1箇所に形成された取付けステー46を介してエンジン6の左側に位置するように上記吸気マニホールド14に取り付けられている。なお、上記取付けステー46は、ゴム等の弾性体を介在させることによりエンジン振動がベーパセパレータタンク22に伝達されるのを抑制するよう構成されている。
【0018】
上記ベーパセパレータタンク22は、樹脂製で上方に向けて開口する箱状の本体29と、この本体29の上部開口を閉塞する同じく樹脂製の蓋体30とからなる上下2分割構造のものである。ここで上記本体29,蓋体30の分割合面には図5に示すように、金属製で概略T型断面を有する環状のシール部材47,48がインサート成形により固着されている。このシール部材47,48は、本体29,蓋体30を樹脂製としたことに起因して分割合面にうねりが生じシール性が低下するのを回避するためのものである。金属製のシール部材47,48を固着したことにより上記うねりが抑えられる。また本体29側のシール部材47にはリング溝47aが環状に形成されており、該リング溝47aにはオーリング49が装着されている。
【0019】
上記ベーパセパレータタンク22内は、隔壁29aにより2室に画成されており、後側の室は燃料を溜める燃料室31に、前側の室は高圧燃料ポンプ24を内蔵するホンプ室32となっている。また上記燃料室31の底壁31aは高圧燃料ポンプ24の吸引口側ほど下方に位置するよう斜めに形成されている。
【0020】
ここで、上記ポンプ室32は、後述するように略円柱状の高圧燃料ポンプ24を収容できるように大略円筒状に形成されている。また上記隔壁29aは本体29の図4向こう側の壁面から手前側中ほどまで延びており、該隔壁29aの手前側縁と本体29の手前側壁面との間の空間a1により、上記燃料室31とポンプ室32とが連通している。
【0021】
上記ポンプ室32内には上記高圧燃料ポンプ24が収容されている。この高圧燃料ポンプ24は、軸線を上下方向に向けて配置され、上部に駆動モータ(図示せず)を内蔵した電動式ウエスコ型ポンプであり、下端部に開口する燃料吸込口24aから吸入した燃料を加圧して上端部の燃料吐出管24bに吐出するよう構成されており、上記本体29と蓋体30とで挟持固定されている。また上記吸込口24aの周囲にはこれを囲むようにフィルタ33配置されている。なお、34は上記駆動モータに給電するための電源端子である。
【0022】
上記燃料室31内は仕切り壁40によって、エンジンから燃料が戻される戻り室b1と、主燃料タンク21から燃料が供給される供給室b2とに画成され、底壁31aの供給室b2側部分に水貯留室32bが接続されている。
【0023】
上記水貯留室32bは、上記底壁31aに形成された開口に有底筒体を嵌合接続してなり、該ベーパセパレータタンク22の底壁内面の一部を下方に大きく落ち込ませた構造になっている。
【0024】
主燃料タンク21からの燃料は、燃料供給口30aを通って上記供給室b2内に供給され、ここで燃料中の水分は燃料から分離して沈下し水貯留室32b内に貯留する。そして定期点検時等において、ドレンプラグ32cから外部に排出される。
【0025】
燃料中の水分は、このベーパセパレータタンク22の容積が大きく燃料の移動速度が低いことから、その自重により燃料から確実に分離し、上記水貯留室32b内に溜まることとなる。即ち、本実施形態では、ベーパセパレータ22の内部容積が充分大きいことから燃料流速が低い点、及び底壁に下方に膨出する水貯留室32bを形成したことにより、燃料中の水分を分離し貯留する水分離貯留機能が構成されている。
【0026】
本実施形態では、水分が混入している可能性が比較的高い主燃料タンク21側からの燃料が流入する供給室b2の底部に水貯留室32bを形成したので、より一層効率よく水分を分離でき、上記第1実施形態と同様に、鉄系部品の腐食を防止でき、また機能集約による部品点数の削減、ユニット化による組立工数の低減によりコストを低減できる。
【0027】
上記蓋体30の後端縁には、燃料供給口30aが形成され、該供給口30aの上側開口には接続管35を介して上記燃料供給ホース25が接続されている。また上記燃料供給口30aの下側開口にはノズル36が挿入固着されており、該ノズル36内には弁体37が該ノズル36のノズル孔36aを開閉可能に挿入配置されている。
【0028】
また、上記弁体37はフロート38のアーム38aにより支持されており、該フロート38は、上記蓋体30に一体形成された左,右の支持ボス30b,30b間に挿通された支持ピン39により上下揺動自在に支持されており、該燃料室31内の液面に応じて揺動する。上記フロート38は内部が空洞の直方体状のもので、その底壁には逃げ部38bが上方に凹むように形成されている。上記弁体37は、フロート38が図4の実線で示す位置にあるとき上記ノズル孔36aを全閉し、該フロート38が一点鎖線,二点鎖線で示すように下方に揺動するほど上記ノズル孔36aを大きく開く。
【0029】
ここで上記蓋体30の上記隔壁29aの上方部分にも燃料供給口30a′,及び支持ボス30b′が、上記後端縁のものと同一形状に形成されている。但し、この燃料供給口30a′は蓋部材51によって閉塞されている。即ち、本実施形態では、燃料供給口30a′,支持ボス部30b′を利用することによりフロート38を図示と逆向きに取り付けることができる。
【0030】
このようにフロート38を逆向きに取り付けることにより、該ベーパセパレータ22をエンジン6の右側に本実施形態と前後逆の向きに取り付けた場合でも、フロート38の軸支点を船外機後側に位置させることができる。これにより、加速時のように燃料消費量が大となる運転状態では、燃料がベーパセパレータタンク22の後側に偏位し、そのためフロート38は確実に下方に揺動し、弁体37がノズル孔36aを開き、燃料が補給されるので、ポンプ室32側の液面が過剰に低下して燃料ポンプ24が空気を吸い込む問題を回避できる。
【0031】
ちなみにフロート38の軸支点を船外機前側に位置させた場合、加速により燃料がベーパセパレータタンク22の後側に偏位すると、フロート38の後端側部分が後側に偏った燃料の浮力により上方に押されて該フロート38が上方に回動し、弁体37がノズル孔36を閉じ、燃料消費量が多いにもかかわらず燃料が補給されず、液面が過剰に下がり、燃料ポンプ24が空気を吸引してしまう懸念がある。
【0032】
そして、上記燃料室31の底壁31aには該燃料室31を前後に区分けする仕切壁40が立設されている。この仕切り壁40は、上記全閉位置に位置する上記フロート38の底面付近まで上方に延びている。またこの仕切り壁40にはスリットa2が設けられており、上記燃料室31の前,後室同士はこのスリットa2により連通している。なお、上記スリットa2は、例えばベーパセパレータタンク22を図4右側(船外機後側)を上にして傾斜させたとき燃料室31右側の燃料が比較的ゆっくりと燃料室31の左側に移動する程度の狭い寸法に設定されている。
【0033】
また上記仕切り壁40は、上記フロート38が下方に揺動すると上記逃げ部38b内に挿入される位置に形成されており、上記フロート38が二点鎖線で示す所定角度に揺動すると逃げ部38aの上端部に当接し、該フロート38の揺動角度を規制する。なお、47は上記燃料室31の底壁31aに取り付けられた大気圧センサである。
【0034】
次に、本船外機における燃料供給装置の作用効果について説明する。船外機1は通常の航走時には、図1に示すように水面に対して大略鉛直をなす正立状態に保持される。この場合、エンジン6の運転により燃料が消費され、ベーパセパレータタンク22内の燃料の液面が低下するとフロート38が下方に揺動し、弁体37がノズル孔36aを開き、主燃料タンク21側から送られた燃料が補給される。燃料が図4に示す液面L1まで上昇するとフロート38が実線の位置に回動し、弁体37がノズル孔36aを全閉し、燃料の補給は停止又は極少量となる。この場合、高速航走時ほど多量に燃料が消費され、従って多量に補給され、上記流量センサ50による流量検出値が大となる。
【0035】
本実施形態エンジン6の場合、上記正立状態で例えば1000rpmでの定常運転を行うと、燃料消費量は概ね7.2リットル/hr程度となり、流量センサ50による検出値はエンジンでの消費量と一致する。
【0036】
一方、上記運転状態において、船外機1が上方にトリムアップされると、本実施形態の特徴なす仕切り壁40が無い場合には、ベーパセパレータタンク22内の燃料は直ちに例えば液面L2の状態になり、そのためフロート38が下方に揺動して弁体37がノズル孔36aを開き、比較的多量の燃料が補給され、その結果流量センサ50による検出流量は、実際の燃料消費量より大きな値を示すこととなる。
【0037】
本実施形態では、仕切り壁40を設けたので、ベーパセパレータタンク22内の液面は、図4に破線の液面L3で示すように、仕切り壁40の右側部分が高所に位置することとなり、そのためフロート38は仕切り壁40より右側部分の燃料による浮力を受け、仕切り壁40が存在しない場合よりも下降角度が小さくなる。その結果、燃料の補給量が抑制され、燃料センサ50による検出流量と実際の消費量との差が抑制される。
【0038】
船外機1をトリムアップして運転すると、上記仕切り壁40が存在しない場合には、フロート38が大きく下降した状態となるので、ベーパセパレータタンク22内に多量の燃料が補給されることとなり、船外機1を上記トリムアップ位置から正立位置にトリムダウンさせると、液面は上記満杯時液面L1より高い液面L1′となる。そのためフロート38は上記満杯のときよりも強く上方に押し上げられ、弁体37がノズル孔36aをより確実に全閉し、流量センサ50の検出値は、実際の消費量は7リットル/hr程度であるにもかかわらず、図9に示すように略零となる。
【0039】
本実施形態では、仕切り壁40を設けたので、上記トリムアップ状態での燃料補給量が少なく、ベーパセパレータタンク22内に貯留される燃料量は仕切り壁を設けていない場合に比較して少なくなり、船外機1を正立位置にトリムダウンした場合、フロート38による弁体37の押し上げ力が弱く、流量センサ50の検出値と実際の消費量との差が抑制される。
【0040】
そして本実施形態では、上記ベーパセパレータタンク22の内部容積がエンジン側での消費燃料量に対して充分に大きいことから、該ベーパセパレータタンク22内にエンジン側から戻った燃料,及び主燃料タンク21側から補給された燃料の上記高圧燃料ポンプ24側に移動する際の燃料流速は極めて遅い。そのため燃料中の水分が沈降するのに必要な時間が充分に得られ、燃料中の水分は燃料から確実に分離して前側に傾斜した底壁31aの内面に沿って水貯留室32b内に溜まることとなる。その結果、鉄系部品である高圧燃料ポンプ24,燃料噴射弁16等の水分による内部腐食が防止される。
【0041】
また本実施形態では、ベーパセパレータタンク22自体に水分離及び貯留機能を併せ持たせたので、別個独立の水分離装置を備える必要がなく、気泡分離及び水分離の機能の集約により部品点数を削減でき、コストを低減できる。なお、燃料フィルタ23aについては、水分離機能を持たせる必要がなく、本来の燃料濾過機能のみを考慮すればよいから、濾過機能を向上できる。
【0042】
さらにまた本実施形態の水分離排出機能は、ベーパセパレータタンクが元々備えている比較的大きな容積を利用し、その底部に水貯留室を付加するだけの簡単な構造で実現でき、また特別な組立工数といったものも不要である。
【0043】
ここで、上記実施形態では、ベーパセパレータタンク22への燃料補給量を流量センサ50により検出し、この検出値を燃料消費量として表示するようにしたが、この流量センサ50に加えて、あるいは流量センサ50の代わりに、燃料噴射弁16の開時間を積算することにより燃料消費量を求めるように構成しても良い。
【0044】
燃料センサ50に加えて噴射時間の積算値から燃料消費量を求めるように構成した場合には、流量センサ検出消費量と噴射時間積算消費量とを比較し、両者の差が所定値以上である場合には何らかの異常が発生しているとして処理することができる。
【0045】
例えば、流量センサ検出消費量が大きい場合には、上述のようなベーパセパレータタンク内の液面変動による液面管理不良が発生している可能性があることを、また逆に噴射時間積算消費量が大きい場合には、燃料噴射弁16側に詰まり等の異常が発生している可能性があることを操船者に知らせることができる。
【0046】
【発明の作用効果】
以上のように、請求項1の発明に係る船舶用エンジンの燃料供給装置によれば、エンジン側に配置された副燃料タンクの容積がエンジン側で消費される燃料量に対して充分に大きく、従って該副燃料タンク内の燃料流速が充分に低いことを利用したので、該副燃料タンク内に水分離貯留手段を構成することができ、別個独立に水分離装置を設けることなく燃料中の水分を分離でき、鉄系部品の腐食を防止できるとともに、部品点数,組立工数の削減によりコストを低減できる効果がある。
【0047】
また、ベーパセパレータタンクの底壁に水貯留室を下方に膨出するよう設けたので、より具体的には、ベーパセパレータタンクの底壁の主燃料タンクからの供給通路の接続口側部分に水貯留室を下方に膨出するよう設けたので、ベーパセパレータタンクの容積が大きく燃料流速が低いことを利用して水分を燃料から分離し水貯留室に貯留する水分離貯留機能を構成することができ、別個独立の水分離装置を設けることなく燃料中の水分を分離でき、鉄系部品の腐食を防止できるとともに、部品点数,組立工数の削減によりコストを低減できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る一実施形態による燃料供給装置を備えた船外機の側面図である。
【図2】 上記実施形態船外機のエンジン部分の側面図である。
【図3】 上記実施形態船外機の平面図である。
【図4】 上記実施形態船外機のベーパセパレータタンク部分の断面側面図である。
【図5】 上記実施形態ベーパセパレータタンクの合面部分の拡大図である。
【図6】 上記実施形態ベーパセパレータタンクの平面図である。
【符号の説明】
1 船外機
4 船体
6 エンジン
21 主燃料タンク
22 ベーパセパレータタンク(副燃料タンク)
31 燃料室
31a 底壁
32b 水貯留室
b1 戻り室(戻り通路の接続口側部分)
b2 供給室(供給通路の接続口側部分)
Claims (2)
- 主燃料タンク内の燃料をエンジン近傍に配置された副燃料タンク内にエンジンによる消費量に応じた量だけ供給するようにした船舶用エンジンの燃料供給装置において、上記副燃料タンクは、燃料中の気泡の分離機能を有するベーパセパレータタンクであり、該ベーパセパレータタンク内に、燃料中の水分を分離し貯留する水分離貯留手段を設け、該水分離貯留手段は、上記ベーパセパレータタンク内をエンジンからの戻り通路の接続口側部分と上記主燃料タンクからの供給通路の接続口側部分とに画成し、該ベーパセパレータタンクの底壁の上記供給通路接続口側部分に水貯留室を下方に膨出するよう設けることにより構成されていることを特徴とする船舶用エンジンの燃料供給装置。
- 請求項1において、上記主燃料タンクは船体に、上記副燃料タンクは船体の船尾板に取付けられた船外機のエンジンに設けられていることを特徴とする船舶用エンジンの燃料供給装置。
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Publications (2)
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