JPH10124574A

JPH10124574A - コンピュータによる仮想空間商取引方法

Info

Publication number: JPH10124574A
Application number: JP27339196A
Authority: JP
Inventors: Kan Nanba; 敢難波
Original assignee: OIMATSU SANGYO KK
Current assignee: OIMATSU SANGYO KK
Priority date: 1996-10-16
Filing date: 1996-10-16
Publication date: 1998-05-15

Abstract

(57)【要約】【課題】購買者の所有物品又は身体と販売店の商品と
の適合性又は整合性や調和性の判断を円滑かつ簡単に実
施するに適した商取引方法について提供する。【解決手段】購買者の所有物品又は身体の３次元デー
タを主とする個人データベースをコンピュータ１に格納
し、販売店の商品の３次元データを主とするカタログデ
ータベースをコンピュータ６に格納してなり、コンピュ
ータ１の個人データベースから選択した特定の所有物品
又は身体の３次元データと、コンピュータ６のカタログ
データベースから選択した購買対象の商品の３次元デー
タとをコンピュータ６内の仮想空間において比較して、
選択した特定の所有物品又は身体と購買対象の商品との
適合性又は整合性や調和性の良否を判断する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、購買者自
身が販売店の服を試着することなく、購買者の身体の３
次元データと販売店の服の３次元データとをコンピュー
タ内の仮想空間において重ね合わせるなどの比較をする
ことにより、身体と服との適合性又は整合性や調和性を
確認し、現実のやり取りに近い商取引を実現するコンピ
ュータによる仮想空間商取引方法に関する。

【０００２】なお、本発明にいう「適合性又は整合性や
調和性」とは、購買者と購買者が求める商品との関係に
おいて、例えば身体と服との関係におけるサイズ、外
形、規格の一致具合や購買者の好みといった購買者の購
入価値観を左右する要素を指す。

【０００３】

【従来の技術】従来の購買者と販売店との商取引方法に
ついて、服の購入を例に挙げて説明する。通信販売を除
いて、服を購入するには購買者自身が販売店に赴き、自
らの嗜好や店員の勧めによって目的とする服を選択し、
更に試着室において実際に試着して服のサイズ、試着時
の外観や肌触り、装飾品との兼ね合い等を確認してから
購入を決めるのが普通である。既製品の服は、予めサイ
ズが何通りか決められてはいるが、少しでも自分にあっ
た物を選ぼうとすると、前記手順を数回繰り返すことに
なる。

【０００４】また、本棚を購入する場合には、購買者が
所有する本を持参して本棚に当てはめてみるといったこ
とはなく、通常棚の間隔を調節できる本棚を購入し、自
宅に搬入した本棚に対して購買者が適当に棚の間隔を調
節する。購入したい本棚が自宅の特定の部屋に入るか否
か、又は前記部屋に搬入した際にはどのようにその部屋
の空間を占めるかなどについては、購買者自身が予め測
っておいた部屋の間取りを、本棚のカタログデータや販
売店において実測した本棚の外形寸法とを比較すること
で、少なくとも寸法的な適合性を推し量るのみであっ
た。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】まず、服の購入におい
て、試着の繰り返しを余儀なくされるのは購買者にとっ
て手間と労力を要し、大変面倒である。しかし、サイズ
が異なると不恰好になったり、着ることができなくなる
ことから、試着はどうしても必要となる。また、特に購
入したいとまで思わない場合でも、試着まではしてみた
いと考えた場合、店員に気兼ねなく試着だけをするわけ
にはいかず、結局は見るだけに終わってしまうことも少
なくない。

【０００６】本棚の場合においては、より問題が深刻で
ある。上述のとおり、本棚の購入に当たって自分の本を
持参する購買者はほとんどいないから、本の大きさ、册
数が購買対象として考える本棚にあっているかを確認す
ることはできない。通常棚の調節は段階的であり、自宅
へ搬入した後、改めて棚の高さが中途半端になる事態が
少なくないのである。更に、一番の問題は間取りとの関
係にある。本ならば購買者自身が運んででも本棚と突き
合わせることができるが、部屋を運んで本棚の搬入、設
置に問題がないかを確認することはできない。間取りを
測って寸法的な適合性は検討がつくが、部屋の入口等の
大きさまで気が廻らず、購入後に初めて部屋への搬入が
できないことも起こりうる。

【０００７】近年では、インターネットを利用した通信
販売がもてはやされ、広く海外から様々な商品を購入で
きるようになっているが、全ての商品がカタログ上の数
値や写真だけの判断で購入の有無を決定しなければなら
ないから、購入して初めて服の大きさが合わない、本棚
を部屋におくことができないなどの不具合に気付くこと
がある。これは、海外製品の規格やサイズが日本のもの
と必ずしも一致しておらず、見かけ通りのサイズや形状
をしていないことに起因する。

【０００８】更に、このような従来の購買者と販売店と
の関係における商取引方法では、所有物品又は身体と商
品とを実際に比較、対照し、適合性又は整合性や調和性
を判断することばかりに注意が払われ、購入した商品と
同一又は類似の所有物品を既に購入していたことに気付
かないこともあり、不要な出費を招くこともある。そこ
で、以上に見られた購買者の所有物品又は身体と販売店
の商品との適合性又は整合性や調和性の判断を円滑かつ
簡単に実施してよりよい商品の購入ができ、しかも同一
又は類似の商品の購入といった問題が起きず、そしてイ
ンターネット等を利用した売買にも適した商取引方法に
ついて検討することにした。

【０００９】

【課題を解決するための手段】検討の結果開発したもの
が、購買者の所有物品又は身体の３次元データを主とす
る個人データベースを個人記憶装置に格納し、販売店の
商品の３次元データを主とするカタログデータベースを
販売店記憶装置に格納してなり、個人記憶装置の個人デ
ータベースから選択した特定の所有物品又は身体の３次
元データと、販売店記憶装置のカタログデータベースか
ら選択した購買対象の商品の３次元データとをコンピュ
ータ内の仮想空間において比較して、選択した特定の所
有物品又は身体と購買対象の商品との適合性又は整合性
や調和性の良否を判断するコンピュータによる仮想空間
商取引方法である。つまり、現実の時間、空間に囚われ
ないコンピュータ内の仮想空間で、所有物品又は身体と
商品との適合性又は整合性や調和性を判断するのであ
る。

【００１０】所有物品や商品の３次元データとしては、
日常品、服飾品、食糧品、家具調度品のほか、自家用車
や自宅そのものまでを含む。身体の３次元データとして
は身長、座高、バスト、ウェスト、ヒップや頭や足のサ
イズを含む。更に、所有物品や商品の３次元データには
素材や原材料等、身体の３次元データには病歴、健康状
態を付加してもよく、様々な付加情報を加えた形態で個
人データベースやカタログデータベースを構築する。

【００１１】本発明の商取引方法の特徴は、販売店側が
商品の３次元データからなるカタログデータベースを作
成すると共に、購買者側も所有物品又は身体の３次元デ
ータを個人データベースとして作成している点にある。
これにより、購買者が販売店のカタログデータを見て判
断する(カタログ本やインターネット上のホームページ
等)だけの従来の通信販売とは異なり、購買者、販売店
又は不特定のコンピュータ内に創造される仮想空間にて
３次元データを突き合わせ、購買者が所有物品又は身体
と商品との適合性又は整合性や調和性の良否を判断でき
るのである。なお、３次元データからなる商品は、仮想
空間において回転させることにより、通常では見られな
い背面や下面も見ることができる利点がある。

【００１２】購買者の所有物品又は身体の３次元データ
と商品の３次元データはコンピュータで処理可能な３次
元ＣＡＤデータ又は３次元ドローデータとして生成で
き、追加又は削除が容易である。個人データベースは、
個人の所有物品又は身体の管理データとしても使うこと
ができ、不要な商品の購入をチェックしたり、期限付所
有物品(生鮮食料品等)の管理にも利用できる。カタログ
データベースは、文字どおり商品を紹介するカタログで
あると共に、商品の管理データとして販売店の運営効率
化に寄与する。３次元データに加えられる付加情報は、
特にこうした管理機能を充実させるのに役立つ。

【００１３】具体的には、(1)購買者がディスク又はカ
ード型の個人記憶装置を携行して販売店へ赴き、個人記
憶装置の個人データベースから選択した特定の所有物品
又は身体の３次元データと、販売店記憶装置のカタログ
データベースから選択した購買対象の商品の３次元デー
タとを販売店のコンピュータに入力してこのコンピュー
タ内の仮想空間において両３次元データを比較する、
(2)購買者のコンピュータと販売店のコンピュータとを
ネットワーク又はパソコン通信によって接続してなり、
個人記憶装置の個人データベースから選択した特定の所
有物品又は身体の３次元データを購買者のコンピュータ
に入力し、販売店記憶装置のカタログデータベースから
選択した購買対象の商品の３次元データを販売店のコン
ピュータに入力して、購買者のコンピュータ又は販売店
のコンピュータ内の仮想空間において両３次元データを
比較する、等がある。

【００１４】両３次元データの比較は、コンピュータ内
の仮想空間であれば、そのコンピュータが購買者、販売
店、そして不特定のコンピュータ、例えば公共の使用が
可能なコンピュータであっても構わない。こうした仮想
空間を有するコンピュータへは、上述のように、可搬性
のある記憶装置、例えばディスク又はカード型記憶装置
で携行して、又はネットワークを用いた通信により、各
３次元データを送り込むことができる。特に、インター
ネットによる通信は、従来の商取引では考えられない遠
隔地にまで３次元データを転送でき、所有物品又は身体
と商品との適合性又は整合性や調和性の比較をすること
を可能にする。

【００１５】上記商取引方法をよりよく実現するには、
所有物品、身体又は商品の３次元データが、線情報とし
ての形状、大きさと、面情報としての材質、触感、色を
含んでいることが望ましい。例えば、３次元ＣＡＤデー
タでは形状、大きさの線情報を有しており、面情報に付
加情報としての材質、触感、色を加えることになる。ま
た、こうした所有物品、身体又は商品の３次元データ
が、光学カメラ又はディジタルカメラの２次元画像を複
数枚組み合わせることによってコンピュータ内で生成し
て、簡単に個人データベース又はカタログデータベース
を作成することができる。コンピュータへの２次元画像
の取込は、フィルムスキャナーやフラットヘッドスキャ
ナーを用いる。３次元スキャナーを用いて直接３次元画
像をコンピュータに取り込んで、所有物品、身体又は商
品の３次元データを生成しても構わない。こうして生成
した３次元データは、数値入力により外形又は大きさを
変更して、データの補正や縮尺を変更する。

【００１６】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について
図を参照しながら説明する。図１は購買者のコンピュー
タ１に３次元データである購買者の身体２及び顔３と所
有する口紅４とからなる個人データベース５を構築して
いる状態を示した図であり、図２は販売店のコンピュー
タ６に３次元データである服Ａ,Ｂ,Ｃ及び口紅ａ,ｂ,ｃ
からなるカタログデータベース７を構築している状態を
示した同図である。以後、断りなき限り、「身体」、
「服」、「口紅」等の身体又は所有物品や商品の語は３次元
データを指すものとする。個人データベース５は自分の
コンピュータ１に内蔵したＨＤ(個人記憶装置、図示せ
ず)に、カタログデータベース７は販売店所有のコンピ
ュータ６に内蔵したＨＤ(販売店記憶装置、図示せず)に
記憶している。なお、本例では、購買者が自分に適った
服及び口紅を購入する場合についてのもので、説明を簡
略化するためにデータ数を少なくしているが、例えば、
購買者ならば所有物品すべての個人データベース(後述
する所蔵本や自宅の間取りデータ等)、販売店ならば保
管する商品のほか、取り寄せ可能な商品についてまでカ
タログデータとしてまとめておくことが可能である。

【００１７】ディスプレイ上における身体２の表示はソ
リッドモデルが最適であるが、体形が確認できる程度で
あれば、ポリゴンデータであっても、ワイヤーフレーム
であってもよい。顔３についても同様である。また、口
紅４については、主として色が識別できればよいので、
特に３次元データでなくてもよい。個人データベース５
を構築するには、これらの形状、大きさの３次元データ
に加えて、例えば身体であれば病傷歴等、顔であれば現
在の髪型やメガネの有無、口紅であれば購入年月日やメ
ーカ名等を加えて、管理に適した構成にするとよい。３
次元データからなる個人データベース(又は販売店デー
タベース)の構築手順の一例を図３のフローチャートに
示す。光学カメラ又はディジタルカメラ等による複数の
２次元画像から生成した３次元データは、２次元画像の
大きさがまちまちなのが通常であるから、数値入力によ
る外形又は大きさの修正により縮尺の統一を図るのが便
利である。こうした数値入力によるデータの修正は、例
えば体形の変化による身体の３次元データの修正にも利
用できる。

【００１８】販売店の商品の３次元データは、商品同士
を比較しやすいように基準表示方向を揃えておくとよ
い。購買者は、目的とする商品の３次元データを回転さ
せて見ることができ、購買者がその商品の３次元データ
を解放した後には基準表示方向に復帰させるのである。
例えば、口紅の場合、キャップの取り外しも可能にして
おき、購買者がキャップを外した状態でデータを戻して
も、他の購買者が次に見る際には、再びキャップをはめ
た状態に戻るのである。また、購買者が商品を閲覧する
際には、カタログデータから該当商品のデータのみを取
り出して見ることができるようにしてもよい。つまり、
カタログデータには商品の３次元データの雛型を蓄えて
おき、購買者が必要により新規データとして取り出すの
である。これにより、同一商品を複数の人間が同時に見
ることができるようになる。

【００１９】図４は、３次元データを比較する仮想空間
を創ったコンピュータへのデータの移送態様を示した図
である。本発明は、２個所以上に分散された個人の３次
元データと販売店の３次元データとをいずれか又は不特
定のコンピュータ内の仮想空間において比較するもので
あり、一方又は双方の３次元データを、仮想空間を形成
するコンピュータへ移す必要がある。最も簡単な方法
が、個人データベース又は抽出した身体又は所有物品の
３次元データをコンピュータ１の内蔵ＨＤからＦＤ８、
ＭＯディスク９、ＰＣカード又はＩＣカード10のような
携行可能な記憶媒体に記録し、カタログデータベースを
閲覧できる販売店のコンピュータ６にまで運ぶものであ
る。また、同じく簡単な方法としては、個人データベー
ス又は抽出した身体又は所有物品の３次元データをコン
ピュータ通信又はネットワーク11による転送である。

【００２０】逆に、カタログデータベースから購買対象
として取り出した商品の３次元データをＦＤ８、ＭＯデ
ィスク９、ＰＣカード又はＩＣカード10に記録して、又
はコンピュータ通信又はネットワーク11により転送して
購買者のコンピュータ１へ移し、購買者が自分のコンピ
ュータ１内に創りあげた仮想空間において身体又は所有
物品の３次元データと商品の３次元データとを比較して
もよい。更に、購買者及び販売店の３次元データを不特
定、例えば公開されたコンピュータ12へ運び、このコン
ピュータ12において比較するようにしてもよい。このよ
うに、本発明による商取引は、新たな取引形態を提供で
きるのである。以上のハード構成及びデータの移送態様
をまとめたシステム全体の一例を図５に示す。

【００２１】図６〜図12は、仮想空間を創りあげたコン
ピュータのディスプレイ13上で購買者の身体２と販売店
の服Ａとの比較方法の一例を示した図であり、図６は両
３次元データを並べて見た図、図７は身体２に服Ａを着
せて正面方向から見た図、図８は上方から見た図、図９
は上半身14の拡大図、図10はウェスト15の拡大図、図11
は身体２にサイズの大きい服Ｂを着せた状態の図６相当
図であり、図12は身体２に色の異なる服Ｃを着せた図６
相当図である。なお、本例では顔３の３次元データは別
に所有しているため、身体２では目鼻口等を省略してい
る。

【００２２】画面インターフェースの仕様には様々なも
のが考えられるが、比較の端緒として、カタログデータ
ベースに属する個々の商品における付加情報、例えば服
の種類(ワンピース、ツーピース、ブレザー等)、サイズ
(Ｌ,Ｍ,Ｓ等)、素材(綿、ポリエステル、ナイロン等)、
その他(色、模様又は図柄入、装飾品付等)による検索を
実施する。検索方法の例を図13のフローチャートに示
す。例えば、サイズについては、身体及び服が３次元デ
ータであることから、数値的な外形、大きさの比較によ
りサイズの検索をすることができる。図13に見られるよ
うに、検索条件に該当する３次元データは、まとめてグ
ループを形成するとよい。こうしてグループ単位にまと
められた該当商品の中から、図６に見られるように比較
する身体２と服Ａとをディスプレイ上で並べて表示する
ことで、購買者は更に視覚的な判断により商品を絞り込
むことができる。そして選定した服Ａについて、図７に
見られるように、服Ａの３次元データを身体２に重ね、
身体２と服Ａとの外形的な適合性や、購買者の嗜好の適
合性等を購買者自身が判断する。

【００２３】図14は、図13に示す検索によりまとめられ
た服のグループ(３次元データ)に含まれる個々の服と身
体とを逐次比較する手順を表したフローチャートであ
る。３次元データの比較には種々の方法があり、例え
ば、図14に見られるように、線データを比較する(身体
又は服の表面に並ぶ各交点の原点からの長さ及び角度の
配列を比較する)方法のほか、面データを比較する(身体
又は服の表面を形成する面データの原点からの長さ及び
法線角の配列を比較する)方法等がある。比較すべき同
分類の３次元データは、同一のデータ形式(３次元ＤＸ
Ｆ等)で３次元データを構築しておくのがよい。身体と
服との場合ハ、身体又は服の表面に並ぶ交点の数、交点
を配する身体又は服の表面上の位置、交点の並ぶ順番、
そして各原点を特定の標準形式によって統一的に定めて
おけば、身体と服との３次元データを構成する線データ
の比較において、両原点を一致させた状態で、同じ順番
の交点同士の(1)原点に対する角度、(2)原点からの距離
の順番で比較すればよいことになる。作成した３次元デ
ータは、身体と服とで予め縮尺を一致させておくことが
望ましいが、仮に身体と服との縮尺が異なる場合には、
各交点の原点からの距離の比で一方の３次元データをス
ケーリングした後、改めて前記(1),(2)の順で比較をす
ればよい。

【００２４】(1)身体と服との各交点における原点に対
する角度が等しい場合、その服の形状は身体に適合性が
あることがわかる。また、(2)身体と服との各交点にお
ける原点からの距離が等しい場合、その服の大きさは身
体に適合性があることがわかる。実際の服は、身体に対
して若干のゆとりが必要なため、(1)の比較においては
許容できる角度のずれの範囲を定め、(2)の比較におい
ては服の３次元データにおける交点の原点からの長さ
が、身体の３次元データにおける交点の原点からの長さ
より若干長いことが好ましい。

【００２５】こうして外形、大きさの適合性の確認を終
えた３次元データは、図８に見られるように回転させて
みたり、図９,図10に見られるように細部の拡大を図る
ことで、より詳細な適否が判断できる。通常の商取引で
は、服Ａを着た自分を上方から眺めたり、各部の詳細を
見ることは難しいが、本発明では、こうした通常見るこ
とのできない角度から服Ａを着た自分の姿を見ることが
できる利点がある。また、カタログデータベース７(図
２参照)からサイズの異なる服Ｂや色の異なる服Ｃを取
り出して、上述の比較手順を追ってほかの服Ｂ,Ｃにつ
いて見ることができるほか、現在身体２に着せた服Ａの
データについて、バスト、ウェスト又はヒップサイズや
丈の長さ等の数値入力により拡大(縮小も可)して大きい
サイズの服Ｂと身体２との適合性を見たり、色だけを変
えて服Ｃについての適合性を見ることも可能である。こ
うした複数の服の試着を自由自在に、しかも短時間で手
間なく実現できる点も、本発明の特徴である。

【００２６】次に、購買者の顔３を用い、商品として口
紅を購入する例について説明する。図15は口紅ａを塗っ
た顔３を表した正面図、図16は口紅ｂを塗った顔３を表
した正面図、図17は口紅ｃを塗り、メガネ16を掛けた顔
３を表した正面図で、図18は図17と同じく口紅ｃを塗り
ながら、髪型をショートヘアに替えた顔17を表した正面
図である。本例では正面方向から見た顔３,17しか示し
ていないが、この顔３,17についても、上述の身体２同
様、回転させたり、拡大又は縮小するなどして表示して
もよい。

【００２７】ここでは、顔３,17に対して髪及び口紅の
色を替えて表示させ、商品の中から選定した口紅の色が
購買者に似合うかどうかを判断している。図15では黒髪
に口紅ａの色を塗っているが、個人データベース５(図
１参照)とカタログデータベース７(図２参照)との突き
合わせから、購買者が既に所有している口紅４と販売店
の持つ口紅ａとの色が同じであることが「color is equa
l」と表示されている。もちろん、同色といえどもメーカ
ーが異なれば色調が異なるから、購買者はディスプレイ
上で改めて視覚的に判断して購買の有無を判断すること
ができる。

【００２８】図16では、購買者が所有する口紅４と異な
る淡い色調の口紅ｂを塗り、併せて髪の色も薄く染め合
わせている。図17では更に淡い階調の口紅ｃを塗り、併
せて髪の色もより薄くした上でメガネ16を掛けている
し、図18では図17の状態から髪型をショートヘアに替
え、髪の色も一部のみ染めてメガネを取り外した顔17に
して、口紅ｃに似合う髪型及び髪の色を検討している。
更に、イヤリングを付けるなど、装飾品等も顔３,17の
３次元データに重ねることで、多彩な使用状況を想定し
た口紅の選択が可能になる。このように、本発明の商取
引方法によれば、口紅を迅速かつ丁寧に塗り替えること
ができる上、口紅の色に合わせて髪の色や髪型まで替え
ることができるので、通常よりも数多くの口紅を試用し
て、購買者自身が適否を判断することができる。しか
も、販売店の店員の手間も係らず、なんといっても実際
に口紅を試用するわけではないため、試供品を用意する
必要がない利点がある。

【００２９】図19は購買者所有のコンピュータ１に購買
者の所有する蔵書大18及び蔵書小19の３次元データから
なる個人データベース５を構築している状態を示した図
であり、図20は販売店の本棚Ｘ,Ｙ,Ｗの３次元データか
らなるカタログデータベース７を構築している状態を示
した同図である。蔵書大18及び蔵書小19については、必
要なのは本の高さ、厚み及び奥行きであり、場合によっ
て重さも含まれるが、いずれも数値での表現が可能なデ
ータであるため、個人データベースは各蔵書の名前と数
値を羅列しただけであってもよい。また、蔵書大18及び
蔵書小19は、単なる直方体の外観を蔵書大18又は蔵書小
19に合わせて着色、装飾した程度のものでも構わない。
なお、本例の蔵書大18、蔵書小19又は本棚Ｘ,Ｙ,Ｗの３
次元データは、縮尺と基準方向を合わせたものとしてい
る。

【００３０】既述した身体と服との比較同様に、蔵書大
18又は蔵書小19と本棚Ｘ,Ｙ,Ｗとの比較をディスプレイ
上で実施する。図21は仮想空間において本棚Ｘに蔵書大
18及び蔵書小19を当てはめてみた状態を表した図であ
り、図22は仮想空間において本棚Ｙに蔵書大18及び蔵書
小19を当てはめてみた状態を表した図である。この蔵書
大18及び蔵書小19と本棚Ｘ,Ｙとの比較は、蔵書大18又
は蔵書小19の底面と各本棚Ｘ,Ｙの各棚の上面とを一致
させた状態で、棚に蔵書大18又は蔵書小19が収納できる
かで判断する。図21及び図22双方において、いずれも蔵
書大18及び蔵書小19が収納できることはわかるが、本棚
Ｘへの蔵書大18の収納には隙間がほとんどなく、実際の
使用上では不便であることがわかる。仮に蔵書大18と棚
の高さとを数値のみで比較した場合、各本棚Ｘ,Ｙの隙
間の差がどれくらいのものかが把握しにくいが、本発明
では両者が３次元データであり、しかも重ねて比較でき
ることから、視覚的に、寸法の適合性を判断することが
できるのである。この段階では、本棚Ｙが相応しいこと
が判明している。

【００３１】図23は購買者の自室20からなる個人データ
ベース５を構築している状態を示した図であり、図24は
前記自室20に本棚Ｙを重ねて比較している状態を表した
図である。購買者が、本棚を自室20の机21後方の壁際に
寄せて配置する(図23中斜線部分)と仮定した場合、上記
各本棚Ｘ,Ｙ,Ｗの３次元データを前記自室21に当ては
め、間取りに対して適当かどうかを判断するとよい。図
24に見られるように、本棚Ｙは低いため、壁上縁に突き
出た梁22に干渉することなく置くことができ、自室20に
設置した際にも問題がないことがわかる。

【００３２】図25は仮想空間において本棚Ｗに蔵書大18
及び蔵書小19を当てはめてみた状態を表した図であり、
図26は上記自室20に本棚Ｗを重ねて比較している状態を
表した図である。本棚Ｗは本棚Ｙの最上段の棚の上に、
更に収納ボックス23を加えた構造を有しており、図25に
見られるように、蔵書大18及び蔵書小19の収納に関して
は問題はない。しかし、前記収納ボックス23が邪魔とな
り、図26に見られるように、自室20の壁際に合わせて設
置することが不可能なことが目で見て判断することがで
きる。このように、本発明の商取引方法によれば、数値
の比較だけによる適合性だけではなく、視覚的に認識し
やすい画像による所有物品と商品との比較ができ、商品
選択が容易になる。また、従来であれば自室を販売店に
まで持参することはできないが、本発明によれば、移送
が容易なデータとして自由に移すことができ、しかも必
要により間取りの変更を伴って商品購入の判断をするこ
とができる利点がある。

【００３３】なお、図19における蔵書大18及び蔵書小19
からなる個人データベース５は、そのまま蔵書大18及び
蔵書小19の管理データとなる。例えば、付加情報として
各蔵書大18及び蔵書小19の内容と収納場所とを前記個人
データベース５に加えておくと、内容検索によって目的
の蔵書大18又は蔵書小19を捜すことができ、簡単に見つ
け出すことができる利便性がある。更に広く、例えば冷
蔵庫に収納する食品について個人データベースを構築し
ておけば、食品の賞味期限等を管理できるようになる。
このように、商取引のために構築した個人データベース
は個人財産の管理データとして、またカタログデータベ
ースは販売店による商品の在庫管理データとして使用で
きるのである。

【００３４】

【発明の効果】本発明の仮想空間商取引方法は、身体又
は所有物品と購入対象の商品との適合性又は整合性や調
和性を比較、検討する際に、加工(数値入力又はマウス
操作による拡大、縮小、反転又は回転)、移送(携行可能
な記憶媒体や通信)、検索が容易なコンピュータ上の３
次元データを用いることで、購買の諾否の判断を円滑、
的確かつ容易に実施することができ、購買者にはよりよ
い商品の購入を助け、販売店ではサービスの過不足をな
くし、購買者に適切な商品紹介ができるようになる。特
に、販売店では店舗をかまえず、従業員も居ない仮想店
舗(Virtual shop)とすることで、設備投資や人件費を抑
え、より安価な商品の提供が可能となるのである。

【００３５】また、選択した商品の購入の判断に際し、
通常では見ることのできない角度から商品の外観を確か
めることができたり、加えて数値的な適合性又は整合性
をも確認できる上、個人データベースとカタログデータ
ベースとを突き合わせることにより無駄な商品の購入が
少なくなる利点がある。従来から３次元データを用いた
商品の提示により、商品の外観の確認については様々な
パソコン通信販売でも提示されているが、本発明は更に
購買者側も対応する個人データベースを構築すること
で、双方向の商取引(interactive commercial transact
ion)が可能になるのである。これは、インターネットを
用いた、実際には足を運ぶことのできない外国との商取
引において特に重要となる。

【００３６】更に、本発明のために構築した個人データ
ベースやカタログデータベースは、それぞれ所有物品又
は商品の在庫管理等に用いることができ、使用期限や賞
味期限のある所有物品又は商品(例えば食品)について適
切な時期での商取引を促す目安になる。このように、本
発明の仮想空間商取引方法は、来るべきインターネット
で各家庭及び販売店が結ばれた環境下での新たな商取引
形態を提示しているのである。

【図面の簡単な説明】

【図１】購買者のコンピュータに身体,顔,口紅からなる
個人データベースを構築している状態を示した図であ
る。

【図２】販売店のコンピュータに服Ａ,Ｂ,Ｃ及び口紅
ａ,ｂ,ｃからなるカタログデータベースを構築している
状態を示した同図である。

【図３】３次元データからなる個人データベース(又は
販売店データベース)の構築手順のフローチャートであ
る。

【図４】３次元データを比較する仮想空間を創ったコン
ピュータへのデータの移送態様を示した図である。

【図５】本発明のハード構成及びデータの移送態様をま
とめたシステムの図である。

【図６】仮想空間を創りあげたコンピュータのディスプ
レイ上で身体と服との比較方法を示した図である。

【図７】服Ａを着せた身体を正面方向から見た図であ
る。

【図８】服Ａを着せた身体を上方から見た図である。

【図９】服Ａを着せた身体の上半身の拡大図である。

【図10】服Ａを着せた身体のウェストの拡大図である。

【図11】サイズの大きい服Ｂを着せた身体の図７相当図
である。

【図12】色の異なる服Ｃを着せた身体の図７相当図であ
る。

【図13】検索方法を示すフローチャートである。

【図14】身体又は服の表面に並ぶ各交点の原点からの長
さ及び角度の配列を比較する方法を示すフローチャート
である。

【図15】口紅ａを塗った顔を表した正面図である。

【図16】口紅ｂを塗った顔を表した正面図である。

【図17】口紅ｃを塗り、メガネを掛けた顔を表した正面
図である。

【図18】口紅ｃを塗り、髪型をショートヘアに替えた顔
を表した正面図である。

【図19】購買者所有のコンピュータに購買者の所有する
蔵書大及び蔵書小からなる個人データベースを構築して
いる状態を示した図である。

【図20】販売店の本棚Ｘ,Ｙ,Ｗからなるカタログデータ
ベースを構築している状態を示した同図である。

【図21】仮想空間において本棚Ｘに蔵書大及び蔵書小を
当てはめてみた状態を表した図である。

【図22】仮想空間において本棚Ｙに蔵書大及び蔵書小を
当てはめてみた状態を表した図である。

【図23】購買者の自室からなる個人データベースを構築
した状態を示した図である。

【図24】自室に本棚Ｙの３次元データを重ねて比較した
状態を表した図である。

【図25】仮想空間において本棚Ｗに蔵書大及び蔵書小を
当てはめてみた状態を表した図である。

【図26】自室に本棚Ｗの３次元データを重ねて比較した
状態を表した図である。

【符号の説明】

１購買者のコンピュータ２３次元データである購買者の身体３３次元データである購買者の顔４３次元データである購買者の口紅５個人データベース６販売店のコンピュータ７カタログデータベース８ＦＤ９ＭＯディスク 10 ＰＣカード又はＩＣカード 11 コンピュータ通信又はネットワーク 12 公共に利用できるコンピュータ 13 ディスプレイ 14 上半身 15 ウェスト 16 メガネ 17 髪型をショートヘアに替えた顔 18 蔵書大 19 蔵書小 20 購買者の自室 21 購買者の机 22 壁上縁に突き出た梁 23 収納ボックス

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】購買者の所有物品又は身体の３次元デー
タを主とする個人データベースを個人記憶装置に格納
し、販売店の商品の３次元データを主とするカタログデ
ータベースを販売店記憶装置に格納してなり、個人記憶
装置の個人データベースから選択した特定の所有物品又
は身体の３次元データと、販売店記憶装置のカタログデ
ータベースから選択した購買対象の商品の３次元データ
とをコンピュータ内の仮想空間において比較して、選択
した特定の所有物品又は身体と購買対象の商品との適合
性又は整合性や調和性の良否を判断することを特徴とす
るコンピュータによる仮想空間商取引方法。
【請求項２】購買者がディスク又はカード型の個人記
憶装置を携行して販売店へ赴き、個人記憶装置の個人デ
ータベースから選択した特定の所有物品又は身体の３次
元データと、販売店記憶装置のカタログデータベースか
ら選択した購買対象の商品の３次元データとを販売店の
コンピュータに入力して該コンピュータ内の仮想空間に
おいて両３次元データを比較して、選択した特定の所有
物品又は身体と購買対象の商品との適合性又は整合性や
調和性の良否を判断することを特徴とする請求項１記載
のコンピュータによる仮想空間商取引方法。
【請求項３】購買者のコンピュータと販売店のコンピ
ュータとをネットワーク又はパソコン通信によって接続
してなり、個人記憶装置の個人データベースから選択し
た特定の所有物品又は身体の３次元データを購買者のコ
ンピュータに入力し、販売店記憶装置のカタログデータ
ベースから選択した購買対象の商品の３次元データを販
売店のコンピュータに入力して、購買者のコンピュータ
又は販売店のコンピュータ内の仮想空間において両３次
元データを比較して、選択した特定の所有物品又は身体
と購買対象の商品との適合性又は整合性や調和性の良否
を判断することを特徴とする請求項１記載のコンピュー
タによる仮想空間商取引方法。
【請求項４】所有物品、身体又は商品の３次元データ
が、線情報としての形状、大きさと、面情報としての材
質、触感、色を含んでいることを特徴とする請求項１記
載のコンピュータによる仮想空間商取引方法。
【請求項５】所有物品、身体又は商品の３次元データ
は、光学カメラ又はディジタルカメラの２次元画像を複
数枚組み合わせることによってコンピュータ内で生成す
ることを特徴とする請求項１記載のコンピュータによる
仮想空間商取引方法。