JPH10121750A - 荷重解放用金具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 支保工の支柱頂部に装着するジャッキの下位
に介在させることに依って、当該ジャッキに加わってい
る荷重の解放を行うための荷重解放用金具において、そ
の操作の容易化及び円滑化を図ったものである。 【解決手段】 下位側に位置しかつリング状ベアリング
４上に設けた回転カム盤５を回転させることによって、
上位側に位置する固定カム盤６を降下させるように構成
した荷重解放用金具。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、支保工の支柱頂部
に装着するジャッキの下位に介在させることに依って、
当該ジャッキに加わっている荷重の解放を行うための荷
重解放用金具に関する。

【０００２】

【発明が解決しようとする課題】支保工の支柱で梁材等
を受ける場合、当該支柱の上端にジャッキを装着し、当
該ジャッキを上昇させることによって支柱を突っ張ら
せ、これに依り当該梁材等の支持を行うものである。
そして、支柱の突っ張り解消に際しては、当該ジャッキ
を降下させて行うものである。

【０００３】然し乍、上記したような支柱の突っ張り解
消に際して、ハンドルの回動操作に基づき、ジャッキを
降下させる場合、その操作は迅速性を欠き、これを極め
て多くの支柱に対して操作しなければならない関係上、
支柱の外し作業には多大の時間と労力を割かなければな
らないものである。

【０００４】更に、当該ジャッキには梁材等の重量が加
わっているため、当該重量は、その昇降用螺子の咬み合
い部におよぶこととなる。 すなわち、当該重量は、昇
降用螺子の咬み合い部に、螺子相互を強力に圧接させる
力として作用することとなる。

【０００５】従って、ジャッキの降下方向の回動には、
極めて強い力を必要とするため、当該ジャッキの降下操
作には著しい重労働性が伴うことを余儀なくされた。

【０００６】上記のような問題を解決するための手段と
して、荷重解放用金具と言うものがある（例えば意匠登
録第９５１１０８号公報に掲載された「支保工用ジャッ
キ降下金具」）。 これは、支柱頂部に装着するジャッ
キの下位に取付け、支柱を外す際に、当該金具を操作す
ることによって、ジャッキ全体を瞬時に降下させ、これ
によりジャッキに加わっている荷重を解放するようにし
たものである。

【０００６】然し乍、従来の荷重解放用金具は、円筒状
を呈する上部金具と下部金具とをその互いの口縁部でカ
ム的係合を図り、荷重解放に際しては、下部金具を固定
部材とし、これに係合する上部金具を回転させることに
依って、上部金具を下方に降下させて、荷重解放作用を
奏させるように構成したものであった。

【０００７】そのため、従来の荷重解放用金具の場合、
その上部金具には梁材等の荷重が掛かっているため、こ
れの回動操作には強力な力を必要とすることを余儀なく
された。

【０００８】本発明は、従来の荷重解放用金具とは逆
に、従来は固定金具であったところの下部側の金具を回
動側の金具とするように構成し、これに依り、荷重解放
用金具として解放操作のスムーズ化および容易化を図
り、もって、上記したような従来の問題を解決したもの
である。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明は、支保工の支柱
Ａ上端に被着させるための基筒１の上面に、リング状ベ
アリング４を取付けると共に、当該ベアリング４の上面
に、上面周縁寄りに複数個のカム用突起片５ａを突設し
た回転カム盤５を取付け、当該回転カム盤５のカム用突
起片５ａと対応するカム用垂下片６ａを下面周縁に設け
た固定カム盤６を、そのカム用垂下片６ａをカム用突起
片５ａと合致させた状態で載設し、また、当該固定カム
盤６は回転が阻止されかつ昇降自在とするように支持
し、更に、当該固定カム盤６の上面に、ジャッキＢの下
端を嵌合させるためのフランジ筒７を固設するように構
成し、これに依り、前記回転カム盤５の回転に伴い、カ
ム用突起片５ａとカム用垂下片６ａとに位置ずれを生さ
せて、両片５ａ，６ａを互いの間隙部に入り込ませ、こ
れに依り、固定カム盤６がカム用垂下片６ａに依る支持
を失って降下させられるように構成したことを特徴とす
る荷重解放用金具に係るものである。

【００１０】本発明はこのような構成の採用に基づき、
すなわち、下位側に位置しかつリング状ベアリング４上
に設けた回転カム盤５を回転させることによって、上位
側に位置する固定カム盤６を降下させるように構成した
ことにより、前記した従来の問題を解決したものであ
る。

【００１１】

【発明の実施の形態】図７は本発明の使用例を表したも
のである。 同図において、Ａは支保工の支柱、Ｂは当
該支柱の上端に取り付けたジャッキであって、ハンドル
Ｃの回動に基づき昇降作動が行われるようになってい
る。 そして、梁材等の支持対象物Ｄは、当該ジャッキ
Ｂの上端で支持されるようになっている。

【００１２】Ｅは本発明に係る荷重解放用金具であっ
て、支柱Ａの上端とジャッキＢの間に介在させ、当該金
具の操作に基づき、ジャッキを降下させることなく当該
ジャッキ全体を下方に移動させ、これに依り、ジャッキ
及び支柱に対する荷重を解放するように構成してある。

【００１３】以下、本発明に係る荷重解放金具の構成
を、図面に示す実施例について詳細に説明する。

【００１４】図１乃至図５は丈高状態にある本発明に係
る荷重解放金具をあらわしたものである。 すなわち、
本発明に係る荷重解放金具は、図５に示す丈高状態から
図６に示す丈低状態に転化可能とするように構成したも
のである。

【００１５】図１乃至図５において、１は下面を開口面
とする基筒であって、支保工の支柱Ａの上端に被着させ
るためのものである。 ２は当該基筒１の上縁に取り付
けた半円筒状を呈する固定側半部ケース、３は当該固定
ケース２に螺子止めした半円筒状を呈する着脱側半部ケ
ースである。 ３ａは後記回転カム盤５の操作用ハンド
ル５ｂを突出させるための案内用横長孔、３ｂは後記固
定カム盤６の回転防止用突起６ｂに対する案内用縦長孔
である。

【００１６】４は上記基筒１の上面に取り付けたリング
状ベアリングであって、その上面には回転カム盤５が固
設されている。 そして、当該回転カム盤５の上面周縁
寄りには、複数個のカム用突起片５ａが突設されてい
る。 また、当該カム用突起片５ａの上端面には、当該
回転カム盤５の荷重解放のための回転方向と反対の方向
に向かって下るような傾斜面が形成されている。 ５ｂ
は当該カム盤５の周面に突設した操作用ハンドルであっ
て、上記した半部ケース３の案内用横長孔３ａから外方
に突出させてある。

【００１７】なお、上記したカム用突起片５ａの数であ
るが、図示の実施例においては三つの突起片を等間隔で
突設してあるが、例えば二つ、或いは四つ以上とするよ
うに構成してもよい。 そして、当該カム用突起片５ａ
は下記する固定カム盤６のカム用垂下片６ａと夫々対応
しかつ同数とするように構成してある。

【００１８】６は固定カム盤であって、その下面周縁に
は、上記した回転カム盤５のカム用突起片５ａと対応す
るカム用垂下片６ａが設けられている。 すなわち、当
該固定カム盤６は上記回転カム盤５に対し、そのカム用
垂下片６ａをカム用突起片５ａ上に載置合致させた状態
（図５に示す状態）で使用に供し、当該回転カム盤５を
回転させて当該両片６ａ，５ａの載置を解消することに
依り、すなわち、当該両片６ａ，５ａの合致を解消し、
それぞれの片が互いの間隙部に入り込んだ状態（図６に
示す状態）に転化されるように構成してある。 この状
態においては、固定カム盤６はカム用垂下片６ａの高さ
分（通常２０mm程度)だけ降下することとなる。

【００１９】なお、上記したカム用垂下片６ａは前記し
たカム用突起片５ａと対応するものであり、従って、そ
の個数及び形成間隔は前記カム用突起片５ａと等しく
し、更に、カム用垂下片６ａの下端面は前記カム用突起
片５ａの傾斜面と合致する傾斜面が形成されている。

【００２０】６ｂは上記固定カム盤６の周縁部に複数本
突設した回転防止用突起であって、前述した案内用縦長
孔３ｂに係合させることによって、当該固定カム盤６の
回転を阻止し、上下方向の摺動のみにその動きを規制す
るためのものである。

【００２１】７は上記固定カム盤６の上面に固設したフ
ランジ筒であって、ジャッキＢの下端を嵌合させるため
のものである。 すなわち、本発明に係る荷重解放用金
具は、図７に示すように、支柱Ａの上端に基筒１を被着
させ、フランジ筒７の上面にジャッキＢを差し込むこと
に依って、支柱ＡとジャッキＢの間に介在装着されるよ
うに構成してある。

【００２２】本発明に係る荷重解放用金具は、あらかじ
め、図１及び図２、並びに、図４及び図５に示すような
立上り状態、すなわち、固定カム盤６のカム用垂下片６
ａが、回転カム盤５のカム用突起片５ａ上に載置合致さ
せられた状態に保つておく。そして、本発明に係る荷重
解放用金具は、このような立上り状態において、図７に
示すようにして使用に供するものである。 この場合、
支柱Ａに依る梁材等の支持対象物Ｄに対する突っ張り高
さの調節は、ジャッキＢの回動操作に基づき行われる。

【００２３】そして、支柱Ａの取外しに際しては、本発
明に係る荷重解放用金具を操作して行うものである。
これは、回転カム盤５の周面に突設した操作用ハンドル
５ｂを図５に矢印で示す方向に移動させれば、当該カム
盤５が同方向に回転することとなる。 そして、当該回
転は回転カム盤５の下面は、リング状ベアリング４が介
在されているため、極めて容易かつ円滑に行われる。

【００２４】上記回転カム盤５の回転に伴い、当該カム
盤５のカム用突起片５ａと、固定カム盤６のカム用垂下
片６ａとの位置にずれが生じてその対応が解消され、両
片５ａ，６ａは図６に示すように、それぞれの片が互い
の間隙部に入り込んだ状態となり、これに依り、固定カ
ム盤６はカム用垂下片６ａに依る支持を失い、同図に示
すように降下することとなる。

【００２５】上記した固定カム盤６の降下、すなわち、
本発明に係る荷重解放用金具全体の丈低化に基づき、ジ
ャッキＢに対する梁材等の支持対象物Ｄに依る荷重は解
放されることとなり、支柱Ａの取外しが瞬時に達成され
る。

【００２６】

【発明の効果】本発明は、支保工の支柱Ａ上端に被着さ
せるための基筒１の上面に、リング状ベアリング４を取
付けると共に、当該ベアリング４の上面に、上面周縁寄
りに複数個のカム用突起片５ａを突設した回転カム盤５
を取付け、当該回転カム盤５のカム用突起片５ａと対応
するカム用垂下片６ａを下面周縁に設けた固定カム盤６
を、そのカム用垂下片６ａをカム用突起片５ａと合致さ
せた状態で載設し、また、当該固定カム盤６は回転が阻
止されかつ昇降自在とするように支持し、更に、当該固
定カム盤６の上面に、ジャッキＢの下端を嵌合させるた
めのフランジ筒を固設するように構成し、これに依り、
前記回転カム盤５の回転に伴い、カム用突起片５ａとカ
ム用垂下片６ａとに位置ずれを生させて、両片５ａ，６
ａを互いの間隙部に入り込ませ、これに依り、固定カム
盤６はカム用垂下片６ａに依る支持を失って降下させら
れるように構成したから、支柱の取外しに際するジャッ
キに対する荷重解放が極めて容易かつスムーズに行われ
る。

【００２７】換言すると、本発明は、下位側に位置しか
つリング状ベアリング４上に設けた回転カム盤５を回転
させることによって、上位側に位置する固定カム盤６を
降下させるように構成したから、回転カム盤５の回転は
リング状ベアリング４に依り極めて円滑に行われる。

【００２８】何故ならば、従来のように、円筒状を呈す
る上部金具と下部金具とをその互いの口縁部でカム的係
合を図り、荷重解放に際しては、下部金具を固定部材と
し、これに係合する上部金具を回転させることに依っ
て、当該上部金具を下方に降下させて、荷重解放作用を
奏させるように構成した場合、上部金具の回転には極め
て強力な力を必要とするばかりでなく、回転後に降下す
ると言う動きを呈するため、その作動は円滑性を欠くも
のであった。

【００２９】これに対して本発明は、下位側の回転カム
盤５を回転させて上位側の固定カム盤６に対する支持の
解消を図ると言う、一種の「だるま落とし的」作動に基
づき荷重解放を図るものであるから、上記したリング状
ベアリング４の採用とも相俟って、作動の容易性、円滑
性が著しく高められることとなる。

【００３０】請求項２に記載のように、カム用突起片５
ａの上端面に、回転カム盤５の荷重解放のための回転方
向と反対の回転方向に向かって下るような傾斜面を形成
し、カム用垂下片６ａの下端面は、当該カム用突起片５
ａの傾斜面と合致する傾斜面を形成することに依り、カ
ム用突起片５ａとカム用垂下片６ａの横滑り的係合離脱
がより一層円滑化される。

【００３１】請求項３に記載のように、リング状ベアリ
ング４、回転カム盤５、固定カム盤６を覆うための筒状
を呈するケースを、基筒１の上面に設け、回転カム盤５
の周面に突設した操作用ハンドル５ｂの突出案内用横長
孔３ａと、固定カム盤６の周縁部に複数本突設した回転
防止用突起６ｂに対する案内用縦長孔３ｂを当該ケース
に穿設し、固定カム盤６の回転阻止及び上下方向の摺動
の案内を、当該回転防止用突起６ｂとケースに穿設の案
内用縦長孔３ｂとの係合に基づき規制するように構成す
ることに依り、リング状ベアリング４、回転カム盤５、
固定カム盤６の良好なる保護が図られると共に、当該保
護用ケースに依り固定カム盤６の回転阻止及び上下方向
の摺動の規制が図られることとなる。 従って、当該規
制を別途に設けた部材で行うように構成した場合に比し
て、金具自体の合理化構造に大きく貢献することとな
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】ケースの一部を取外して内部を表した状態にあ
る本発明に係る金具全体の斜視図である。

【図２】本発明に係る金具全体の斜視図である。

【図３】本発明に係る金具全体の分解図である。

【図４】ケースのみを裁断して示す縦断面図である。

【図５】ケースを省略して本発明金具の要部を表した斜
視図である。

【図６】ケースを省略して本発明金具の要部を表し、か
つ、荷重解放状態に転化させた場合の斜視図である。

【図７】本発明に係る金具の一使用形態を表した正面図
である。

【符号の説明】

Ａ 支柱 Ｂ ジャッキ Ｃ ハンドル Ｄ 梁材等の支持対象物 Ｅ 発明に係る荷重解放用金具 １ 基筒 ２ 固定側半部ケース ３ 着脱側半部ケース 3a 案内用横長孔 3b 案内用縦長孔 ４ リング状ベアリング ５ 回転カム盤 5a カム用突起片 5b 操作用ハンドル ６ 固定カム盤 6a カム用垂下片 6b 回転防止用突起 ７ フランジ筒

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 支保工の支柱(Ａ)上端に被着させるため
   の基筒(１)の上面に、リング状ベアリング(４)を取付け
   ると共に、当該ベアリング(４)の上面に、上面周縁寄り
   に複数個のカム用突起片(５ａ)を突設した回転カム盤
   (５)を取付け、当該回転カム盤(５)のカム用突起片(５
   ａ)と対応するカム用垂下片(６ａ)を下面周縁に設けた
   固定カム盤(６)を、そのカム用垂下片(６ａ)をカム用突
   起片(５ａ)と合致させた状態で載設し、また、当該固定
   カム盤(６)は回転が阻止されかつ昇降自在とするように
   支持し、更に、当該固定カム盤(６)の上面に、ジャッキ
   (Ｂ)の下端を嵌合させるためのフランジ筒(７)を固設す
   るように構成し、これに依り、前記回転カム盤(５)の回
   転に伴い、カム用突起片(５ａ)とカム用垂下片(６ａ)と
   に位置ずれを生させて、両片(５ａ，６ａ)を互いの間隙
   部に入り込ませ、これに依り、固定カム盤(６)はカム用
   垂下片(６ａ)に依る支持を失って降下させられるように
   構成してなる荷重解放用金具。
2. 【請求項２】 カム用突起片(５ａ)の上端面に、回転カ
   ム盤(５)の荷重解放のための回転方向と反対の方向に向
   かって下るような傾斜面を形成し、カム用垂下片(６ａ)
   の下端面は、当該カム用突起片(５ａ)の傾斜面と合致す
   る傾斜面を形成してなる請求項１に記載の荷重解放用金
   具。
3. 【請求項３】 リング状ベアリング(４)、回転カム盤
   (５)、固定カム盤(６)を覆うための筒状を呈するケース
   を、基筒(１)の上面に設け、回転カム盤(５)の周面に突
   設した操作用ハンドル(５ｂ)の突出案内用横長孔(３ａ)
   と、固定カム盤(６)の周縁部に複数本突設した回転防止
   用突起(６ｂ)に対する案内用縦長孔(３ｂ)を当該ケース
   に穿設し、固定カム盤(６)の回転阻止及び上下方向の摺
   動の案内を、当該回転防止用突起(６ｂ)とケースに穿設
   の案内用縦長孔(３ｂ)との係合に基づき規制するように
   構成した請求項１または請求項２に記載の荷重解放用金
   具。