JPH10109655A - 電動パワ−ステアリング装置の制御装置 - Google Patents

電動パワ−ステアリング装置の制御装置

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JPH10109655A
JPH10109655A JP8282874A JP28287496A JPH10109655A JP H10109655 A JPH10109655 A JP H10109655A JP 8282874 A JP8282874 A JP 8282874A JP 28287496 A JP28287496 A JP 28287496A JP H10109655 A JPH10109655 A JP H10109655A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 モ−タの角速度が小さい範囲でのモ−タ角速
度ωの推定ができる電動パワ−ステアリング装置の制御
装置を提供する。 【解決手段】 モデルモ−タと実際に装着されるモ−タ
との間の逆起電力の推定誤差eはモ−タ電流iに比例す
るから、モ−タ角速度の推定値に対してモ−タ電流に比
例した幅のモ−タの角速度の不感帯(図1における幅a
の不感帯)を設定する。モ−タ電流が小さいときは不感
帯の幅も小さくなるので、モ−タ角速度が小さい領域で
も角速度ωを推定することが可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、電動パワ−ステ
アリング装置の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】車両用の電動パワ−ステアリング装置
は、操向ハンドルの操作によりステアリングシヤフトに
発生する操舵トルクと車速を検出し、その検出信号に基
づいて操舵補助指令値を算出し、算出された操舵補助指
令値に応じてモ−タを駆動して操向ハンドルの操舵力を
補助するものであり、操舵補助指令値の算出や操舵補助
指令値に基づくモ−タの制御には、マイクロコンピユ−
タを含む電子制御回路が使用されている。
【0003】この種の電動パワ−ステアリング装置で
は、例えば操向ハンドルを一ぱいに切つてステアリング
機構がその限界位置に達した場合、或いはタイヤが道路
の縁石に当たり、操向ハンドルを回すことができない状
態になつた場合(以下、これ等の状態を「端当て」とい
う)には、操舵力を補助するモ−タは回転していないが
操向ハンドルの操作により操舵トルクが発生しているか
ら、モ−タには過大な電流が流れ続け、モ−タを焼損し
たり無駄に電力を消費することになる。このため、「端
当て」状態を判定し、「端当て」状態の場合は、モ−タ
へ供給する電流を序々に減少させるように制御する構成
が採用されている。
【0004】「端当て」状態の判定では、操舵角速度セ
ンサにより直接に操舵角速度を検出して行う方法のほ
か、モ−タの角速度から判定することができる。モ−タ
の角速度を知るには、モ−タの回転速度を検出し、モ−
タの回転速度からモ−タ角速度を推定する方法や、モ−
タへ供給する電圧とモ−タ電流からモ−タの回転速度を
推定し、推定したモ−タの回転速度からモ−タの角速度
を推定する方法などが知られている。
【0005】しかしながら、モ−タの角速度を得るため
にモ−タの回転速度を検出する方法では回転速度センサ
等の新たな部品を必要としてコストを増加させる結果と
なり、また、モ−タへの供給電圧とモ−タ電流からモ−
タの回転速度を推定するときは、環境温度の変化やバツ
テリ電圧の変動により回転速度の推定値が変動して誤差
が生じるという不都合がある。
【0006】この対策として、本出願人はモ−タに発生
する逆起電力、モ−タ端子間電圧及びモ−タ電流検出値
に基づいてモ−タ角速度を推定する方法を提案した(特
開平8−67262号公報参照)。
【0007】即ち、モ−タに発生する逆起電力kT ω
は、以下の式(1)により表わすことができる。
【0008】 kT ω=(VM−Ri) ・・・・・・・・・・・・・・・(1) ここで、kT :逆起電力定数 ω:モ−タの角速度 VM:モ−タ端子間電圧 R:モ−タ端子間抵抗 i:モ−タ電流(検出値) とする。
【0009】従つて、モ−タの角速度ωは、以下の式
(2)により表わすことができる。
【0010】 ω=(VM−Ri)/kT ・・・・・・・・・・・・・・(2) 即ち、逆起電力定数kT とモ−タ端子間抵抗Rはモ−タ
により定まる固有の値であり、また、モ−タ端子間電圧
VMはバツテリ電圧VBとモ−タを駆動パルスにより駆
動するときのON/OFFの時間比率であるデユ−テイ
比Dで決定(VM=VB×D)されるから、モ−タ電流
検出値iを知ればモ−タの角速度ωを推定することがで
きる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】上記したモ−タの角速
度ωの推定値の演算では逆起電力定数kT やモ−タ端子
間抵抗Rを固有値として扱うが、これ等の値は設計仕様
により定まるモデルモ−タの電気的特性により決まる値
である。一方、実際に車両に装着されるモ−タの電気的
特性である逆起電力定数kT やモ−タ端子間抵抗Rに
は、製造上の誤差などに基づくばらつきや、使用環境温
度の変化による変動が生ずるから、上記したモデルモ−
タの電気的特性との間に多少の誤差が生ずる。この結
果、逆起電力定数kT にも誤差が生じ、モ−タの角速度
ωの推定値には誤差が含まれる。この誤差をオフセツト
誤差という。
【0012】オフセツト誤差が含まれるモ−タの角速度
ωの推定値を使用してモ−タの回転状態を判定すると、
例えば操向ハンドルを保持した状態、即ちモ−タが回転
していない状態にあるのに、モ−タが回転中であるとす
る誤信号を出力する可能性がある。この対策として、図
1に示すように、モ−タの角速度ωに一定の不感帯a、
aを設け、逆起電力kT ωが小さい範囲では角速度ωを
零として扱うことが考えられるが、これでは、逆起電力
T ωが小さい範囲では角速度ωを推定できないという
不都合を生じる結果となる。
【0013】
【課題を解決するための手段】この発明は上記課題を解
決するもので、少なくともステアリングシヤフトに発生
する操舵トルクに基づいてモ−タ電流指令値を演算し、
前記演算されたモ−タ電流指令値に基づいてモ−タ電流
を制御して操舵トルクに応じた操舵補助力をステアリン
グ機構に与える電動パワ−ステアリング装置の制御装置
において、モ−タに発生する逆起電力の推定値に基づい
てモ−タ角速度を推定演算するモ−タ角速度演算手段
と、モ−タに流れる電流を検出するモ−タ電流検出手段
と、前記演算されたモ−タ電流指令値及びモ−タ角速度
演算値に基づいてモ−タ電流を制御する制御手段とを備
え、前記モ−タ角速度演算手段にはモ−タ角速度の推定
値に対してモ−タ電流検出値或いはモ−タ電流指令値に
基づいて決定される所定幅の不感帯が設置され、演算さ
れたモ−タ角速度推定値が前記不感帯の範囲内にあると
きは演算されたモ−タ角速度推定値に関係なくモ−タ角
速度推定値として零を出力することを特徴とする。
【0014】そして、前記モ−タ角速度推定手段に設定
される不感帯は、モ−タの温度変化によるモ−タ端子間
抵抗の変動により発生するモ−タ端子間電圧の変動及び
モ−タの製造時に生ずるモ−タ端子間抵抗のばらつきに
より発生するモ−タ端子間電圧の変動などに基づいて生
ずるモ−タ角速度推定値の変動幅よりも大きく設定する
とよい。
【0015】また、前記制御手段は、前記モ−タ角速度
推定手段から出力されるモ−タ角速度推定値に基づいて
モ−タの回転方向を識別する回転方向識別信号を出力す
るようにし、さらに、前記モ−タの回転方向識別信号に
基づいてモ−タのロストルク補正信号を出力するように
することができる。
【0016】また、前記制御手段は、前記モ−タ角速度
推定手段から出力されたモ−タ角速度推定値に基づいて
ステアリング機構の粘性を補正する粘性補正信号を出力
するようにすることができる。
【0017】さらに、前記制御手段は、ハンドル戻し状
態が検出されたときは前記モ−タ角速度推定手段に設定
されている不感帯を無効とする処理を行うとよい。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、この発明の特徴と発明の実
施の形態を説明する。まずこの発明によるモ−タの角速
度が小さい範囲でのモ−タ角速度ωの推定方法について
説明する。
【0019】モ−タの電気的特性であるモ−タ端子間抵
抗Rに着目して、モデルモ−タの電気的特性と実際のモ
−タの電気的特性との相違を検討すると、実際のモ−タ
の端子間抵抗Rは以下の式(3)で表すことができる。
【0020】 R=RM+ΔRt +ΔRp ・・・・・・・・・・・・・・(3) ここで、R:実際のモ−タの端子間抵抗 RM:モデルのモ−タの端子間抵抗 ΔRt :温度による実際のモ−タの端子間抵抗の変動 ΔRp :製造誤差による実際のモ−タの端子間抵抗の変
動 とする。
【0021】したがつて、実際のモ−タの端子間電圧V
Mは以下の式(4)で表すことができる。
【0022】 VM=kT ω+(RM+ΔRt +ΔRp )×i ・・・・・(4) ここで、VM:実際のモ−タの端子間電圧 i:モ−タ電流(検出値) kT ω:実際のモ−タの逆起電力 とする。
【0023】また、モデルモ−タの端子間電圧(VM)
M は以下の式(5)で表すことができる。
【0024】 (VM)M =(kT ω)M +RM×i ・・・・・・・・・(5) ここで、(kT ω)M :モデルモ−タの逆起電力 とする。
【0025】したがつて、逆起電力の推定誤差eは以下
の式(6)で表すことができる。
【0026】 e=(kT ω)M −kT ω =(ΔRt +ΔRp )×i ・・・・・・・・・・・・・(6) 即ち、逆起電力の推定誤差eはモ−タ電流iに比例す
る。したがつて、逆起電力の推定値に基づいてモ−タ角
速度ωを推定するとき、モ−タ電流に比例した幅のモ−
タの角速度の不感帯(図1における幅aの不感帯)を設
定するときは、モ−タ電流が小さいときは不感帯の幅も
小さくなるので、モ−タ角速度が小さい領域でも角速度
ωを推定することが可能となる。
【0027】そこで、この発明では、モ−タ角速度の推
定値に対する不感帯の幅aをモ−タ電流i(或いはモ−
タ電流指令値、実施例ではモ−タ電流検出値)に比例し
た幅に設定するものとし、その比例係数をモ−タの端子
間電圧の変動の最大値(ΔRt +ΔRp )よりも大きく
設定する。即ち、不感帯の幅aは、 a=b×i で表
わされるが、比例係数bを(ΔRt +ΔRp )よりも大
きく設定する。
【0028】これにより、逆起電力の推定誤差eに基づ
くモ−タ角速度推定値の誤差は常に不感帯の幅aの範囲
内にあり、オフセツト誤差を無くすことができる。
【0029】
【実施例】以下、この発明の実施例について説明する。
図2はこの発明を実施するに適した電動パワ−ステアリ
ング装置の構成の概略を説明する図で、操向ハンドル1
の軸2は減速ギア4、ユニバ−サルジョイント5a、5
b、ピニオンラツク機構7を経て操向車輪のタイロツド
8に結合されている。軸2には操向ハンドル1の操舵ト
ルクを検出するトルクセンサ3が設けられており、ま
た、操舵力を補助するモ−タ10がクラツチ9、減速ギ
ア4を介して軸2に結合している。
【0030】パワ−ステアリング装置を制御する電子制
御回路13は、バツテリ14からイグニツシヨンキ−1
1を経て電力が供給される。電子制御回路13は、トル
クセンサ3で検出された操舵トルクと車速センサ12で
検出された車速に基づいてモ−タ電流の制御目標値であ
るモ−タ電流指令値の演算を行い、演算されたモ−タ電
流指令値に基づいてモ−タ10に供給する電流を制御す
る。
【0031】クラツチ9は電子制御回路13により制御
される。クラツチ9は通常の動作状態では結合してお
り、電子制御回路13によりパワ−ステアリング装置の
故障と判断された時、及び電源がOFFとなつている時
に切離される。
【0032】図3は、電子制御回路13のブロツク図で
ある。この実施例では電子制御回路13は主としてCP
Uから構成されるが、ここではそのCPU内部において
プログラムで実行される機能を示してある。例えば、位
相補償器21は独立したハ−ドウエアとしての位相補償
器21を示すものではなく、CPUで実行される位相補
償機能を示す。
【0033】以下、電子制御回路13の機能と動作を説
明する。トルクセンサ3から入力された操舵トルク信号
は、位相補償器21で操舵系の安定を高めるために位相
補償され、電流指令値演算器22に入力される。また、
車速センサ12で検出された車速信号も電流指令値演算
器22に入力される。電流指令値演算器22は、入力さ
れたトルク信号と車速信号に基づいて、モ−タ10に供
給する電流の制御目標値であるモ−タ電流指令値Iを決
定するものである。
【0034】ハンドル戻し制御器23は、操舵トルク信
号と車速信号、及び後述する角速度推定器32により推
定演算されたモ−タ角速度に基づいてハンドル戻し状態
を検出し、ハンドル戻し状態でないときは不感帯を設定
するように制御する。また、ハンドル戻し状態であれば
前記したオフセツト誤差は発生しないので、不感帯を設
定しないように制御する。
【0035】なお、ハンドル戻し状態とは、操向ハンド
ルを切つた後、ステアリング機構に設定されているセル
フアライニングトルクにより操向ハンドルが自動的に直
進位置に戻る状態で、操舵トルクは発生していないが、
セルフアライニングトルクによりモ−タが回転力を受け
ている状態を言う。車速信号により走行中であること、
及びトルクセンサから操舵トルクが検出されていない状
態にも拘らずモ−タ角速度が検出(モ−タが回転してい
る)されたとき、ハンドル戻し状態であると判定するこ
とができる。
【0036】27は加算器で、電流指令値演算器22、
ハンドル戻し制御器23、及び後述する収れん性制御器
24、ロストルク補償器25、慣性補償器26からの出
力を加算し、モ−タ電流指令値Iref を演算する。
【0037】比較器28、比例演算器29、積分演算器
30及び加算器31から構成される回路は、実際のモ−
タ電流値iが電流指令値Iref に一致するようにフイ−
ドバツク制御を行う回路である。
【0038】比例演算器29では、モ−タ電流指令値I
ref と実際のモ−タ電流値iとの差に比例した比例値が
出力される。さらに比例演算器29の出力信号はフイ−
ドバツク系の特性を改善するため積分演算器30におい
て積分され、差の積分値の比例値が出力される。
【0039】比例演算器29から出力された電流指令値
と実際のモ−タ電流値との差に比例した比例値、及び積
分演算器30から出力された積分値は、加算器31にお
いて加算演算され、演算結果である電流制御値Eがモ−
タ駆動信号としてモ−タ駆動回路41に出力され、モ−
タ10を駆動する。モ−タ10に流れるモ−タ電流iは
モ−タ電流検出回路42により検出される。モ−タ駆動
回路41及びモ−タ電流検出回路42については後述す
る。
【0040】角速度推定器32は、電流制御値E、モ−
タ電流i、及びバツテリ電圧に基づいてモ−タ角速度を
推定演算する。即ち、電流制御値Eに含まれるモ−タを
駆動するときのON/OFFの時間比率であるデユ−テ
イ比Dとバツテリ電圧VBに基づいてモ−タ端子間電圧
VMを算出(VM=VB×D)し、前記式(2)に基づ
いて、モ−タの角速度ωを推定演算する。
【0041】演算されたモ−タの角速度ω(推定値)
は、ハンドル戻し制御器23に入力されるほか、収斂性
制御器24、ロストルク補償器25、及び慣性補償器2
6に入力される。収斂性制御器24はモ−タ角速度ωと
車速に基いて制御系の制御を収斂させ、安定性を高める
ための信号を加算器27に出力する。ロストルク補償器
25は、モ−タに発生するロストルクを補償するロスト
ルク補償値を加算器27に出力する。
【0042】なお、ロストルクとはモ−タの出力トルク
のうちモ−タの構造に基く摩擦損失、及び磁気的要因に
基く損失であり、このようなロストルクは、直進走行時
に僅かな操舵が行なわれたときに操舵方向に対して意図
しない力が付加されたり、反対方向の力が付加されたり
して操舵感覚を悪化させるものである。この対策とし
て、電流指令値をロストルクに相当する分だけ上乗せす
る方法も提案されているが、この方法では操舵トルクの
検出値に僅かなドリフトがあると、操舵方向に対して反
対方向の操舵補助力を与えたり、操向ハンドルが戻ろう
とする場合に有効に作用しない。そこで、この発明で
は、ロストルクがモ−タの回転方向の関数(定数)であ
ることに着目し、前記した本願方法により検出したモ−
タの回転方向に対してロストルク補償値を電流指令値に
加算するようにした。
【0043】また、慣性補償器26はモ−タを含むステ
アリング機構の慣性モ−メントの影響を補償する補償値
を電流指令値に加算するよう、加算器27に出力する。
即ち、直進走行時に僅かな操舵が行なわれると、ステア
リング機構の慣性モ−メントの影響により操舵方向に対
して反対方向の力が付加され、操舵感覚を悪化させる。
慣性モ−メントの大きさはモ−タ角速度ωの関数として
表されるから、検出された角速度ωに応じた所定の補償
値を電流指令値に加算し、慣性モ−メントの影響を補償
する。
【0044】図4にモ−タ駆動回路41の構成の一例を
示す。モ−タ駆動回路41は加算器31から入力された
電流制御値EをPWM信号と電流方向信号とに分離変換
する変換部44、FET1 〜FET4 、及びそれ等FE
T1 〜FET4 のゲ−トを開閉駆動するFETゲ−ト駆
動回路45等からなる。なお、昇圧電源46はFET1
、FET2 のハイサイド側を駆動する電源である。
【0045】PWM信号(パルス幅変調信号)は、Hブ
リツジ接続されたFET(電界効果トランジスタ)スイ
ツチング素子FET1 〜FET2 のゲ−トを駆動する信
号で、加算器27において演算された電流制御値Eの絶
対値によりPWM信号のデユ−テイ比(FETのゲ−ト
をON/OFFする時間比)が決定される。
【0046】電流方向信号は、モ−タに供給する電流の
方向を指示する信号で、加算器27で演算された電流制
御値Eの符号(正負)により決定される信号である。
【0047】FET1 とFET2 は前記したPWM信号
のデユ−テイ比に基づいてゲ−トがON/OFFされる
スイツチング素子で、モ−タに流れる電流の大きさを制
御するためのスイツチング素子である。また、FET3
とFET4 は前記した電流方向信号に基づいてゲ−トが
ON或いはOFFされる(一方がONの時、他方はOF
Fとなる)スイツチング素子で、モ−タに流れる電流の
方向、即ちモ−タの回転方向を切り換えるスイツチング
素子である。
【0048】FET4 が導通状態にあるときは、電流は
FET1 、モ−タ10、FET4 、抵抗R1 を経て電流
が流れ、モ−タ10に正方向の電流が流れる。FET3
が導通状態にあるときは、電流はFET2 、モ−タ1
0、FET3 、抵抗R2 を経て電流が流れ、モ−タ10
に負方向の電流が流れる。
【0049】モ−タ電流検出回路42は、抵抗R1 の両
端における電圧降下に基づいて、正方向電流の大きさを
検出し、また、抵抗R2 の両端における電圧降下に基づ
いて、負方向電流の大きさを検出する。検出された実際
のモ−タ電流値iは、比較器28にフイ−ドバツクして
入力される(図3参照)。
【0050】次に、電子制御回路13で実行される、モ
−タ角速度の推定演算、ハンドル戻し状態の判定、モ−
タの回転方向の決定、ロストルク補償値の決定につい
て、図5のフロ−チヤ−トにより説明する。
【0051】まず、モ−タ電流検出回路42によりモ−
タ電流iを検出し(ステツプP1)、また、バツテリ電
圧VBとデユ−テイ比Dからモ−タ端子間電圧VMを算
出する(ステツプP2)。次に、式(2)にモ−タ端子
間電圧VM、モ−タ端子間抵抗R、及び検出されたモ−
タ電流iを代入してモ−タ逆起電力KT ωを算出し、モ
−タ固有の値である逆起電力定数KT で割り、モ−タ角
速度ωを推定演算する(ステツプP3)。この処理は、
図3における角速度推定器32の処理に対応する。
【0052】モ−タ角速度ωが有限値を示すときは、車
速センサ12により検出された車速信号とトルクセンサ
3で検出された操舵トルクに基いてハンドル戻し状態を
判定する(ステツプP4)。即ち、走行状態にあり、モ
−タ角速度の方向と操舵トルクの方向とが一致しない場
合に、ハンドル戻し状態と判定する。ハンドル戻し状態
であると判定されたときは、演算されたモ−タ角速度ω
の推定値に対して不感帯補正を行なわないように、即
ち、逆起電力KT ωに対してモ−タ角速度ω(推定値)
が比例するように制御する(ステツプP5)。
【0053】また、ステツプP4の判定で、ハンドル戻
し状態でないと判定されたときは、逆起電力KT ωがあ
る範囲においては、モ−タ角速度ωが零になる電流値i
に比例した幅の不感帯の処理を行なう。この処理は、図
3におけるハンドル戻し制御器23の処理に対応する。
即ち、逆起電力KT ω(推定値)の絶対値が不感帯(検
出した電流値iに定数kを乗じた値(k・i))の絶対
値との差が零より大きいか否かを判定し(|KT ω|−
|k・i|≧0)(ステツプP6)、零より大きくない
場合、即ち、逆起電力KT ω(推定値)が不感帯の範囲
にあるときはモ−タ角速度ω(推定値)を強制的に零に
設定し(ステツプP7)、また零より大きい場合は逆起
電力KT ωの符号及び(|KT ω|−|k・i|)をモ
−タ角速度ω(推定値)として設定する(ステツプP
8)。
【0054】モ−タ角速度ω(推定値)が零か否かを判
定し(ステツプP9)、零の場合はモ−タが静止状態で
あるからロストルク補償値Ilsを零に設定する(ステツ
プP10)。また、ステツプP9の判定でモ−タ角速度
ω(推定値)が零でない場合は、角速度ω(推定値)の
符号が正か否か(ω>0)を判定し(ステツプP1
1)、正であればモ−タは例えば右方向に回転している
ものと決定してロストルク補償値Ilsを予め設定されて
いる値(a)に設定する(ステツプP12)。また、正
でない場合、即ち負であればモ−タは例えば左方向に回
転しているものと決定してロストルク補償値Ilsを予め
設定されている値(−a)に設定する(ステツプP1
3)。
【0055】
【発明の効果】以上説明したとおり、この発明の電動パ
ワ−ステアリング装置の制御装置では、モ−タの角速度
ωの推定値の演算において、設計仕様により定まるモデ
ルモ−タの電気的特性と実際に車両に装着されるモ−タ
の電気的特性との差に基づくモ−タの角速度ωの推定値
の誤差(オフセツト誤差)を補償するため、モ−タ角速
度の推定値に対してモ−タ電流検出値或いはモ−タ電流
指令値に基づいて決定される所定幅の不感帯を設置し、
モ−タ角速度推定値が前記不感帯の範囲内にあるときは
演算されたモ−タ角速度推定値に関係なくモ−タ角速度
推定値を零とするものであるから、モ−タ角速度が小さ
い領域においてもモ−タ角速度を推定することができ
る。
【0056】これにより、直進走行時など僅かな操舵が
行われた場合においてもモ−タ角速度の推定ができ、モ
−タの静止状態や回転方向を正確に検出することができ
るから、モ−タ角速度の符号により判定されたモ−タの
回転方向に応じてロストルク補償値を電流指令値に加算
(減算)するなど、直進走行時における僅かな操舵が行
なわれたときなどの操舵感覚を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】モ−タが回転するときにモ−タに発生する逆起
電力とモ−タ角速度との関係を説明する図。
【図2】電動パワ−ステアリング装置の構成の概略を説
明する図。
【図3】電子制御回路のブロツク図。
【図4】モ−タ駆動回路の構成示すブロツク図。
【図5】モ−タ角速度の推定演算、ロストルク補償どを
説明するフロ−チヤ−ト。
【符号の説明】
3 トルクセンサ 10 モ−タ 12 車速センサ 22 電流指令値演算器 23 ハンドル戻し制御器 24 収れん性制御器 25 ロストルク補償器 26 慣性補償器 27 加算器 28 比較器 29 比例演算器 30 積分演算器 31 加算器 32 角速度推定器 41 モ−タ駆動回路 42 モ−タ電流検出回路

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくともステアリングシヤフトに発生
    する操舵トルクに基づいてモ−タ電流指令値を演算し、
    前記演算されたモ−タ電流指令値に基づいてモ−タ電流
    を制御して操舵トルクに応じた操舵補助力をステアリン
    グ機構に与える電動パワ−ステアリング装置の制御装置
    において、 モ−タに発生する逆起電力の推定値に基づいてモ−タ角
    速度を推定演算するモ−タ角速度演算手段と、 モ−タに流れる電流を検出するモ−タ電流検出手段と、 前記演算されたモ−タ電流指令値及びモ−タ角速度演算
    値に基づいてモ−タ電流を制御する制御手段とを備え、 前記モ−タ角速度演算手段にはモ−タ角速度の推定値に
    対してモ−タ電流検出値或いはモ−タ電流指令値に基づ
    いて決定される所定幅の不感帯が設置され、演算された
    モ−タ角速度推定値が前記不感帯の範囲内にあるときは
    演算されたモ−タ角速度推定値に関係なくモ−タ角速度
    推定値として零を出力することを特徴とする電動パワ−
    ステアリング装置の制御装置。
  2. 【請求項2】 前記モ−タ角速度推定手段に設定される
    不感帯は、モ−タの温度変化によるモ−タ端子間抵抗の
    変動により発生するモ−タ端子間電圧の変動及びモ−タ
    の製造時に生ずるモ−タ端子間抵抗のばらつきにより発
    生するモ−タ端子間電圧の変動などに基づいて生ずるモ
    −タ角速度推定値の変動幅よりも大きく設定されること
    を特徴とする請求項1記載の電動パワ−ステアリング装
    置の制御装置。
  3. 【請求項3】 前記制御手段は、前記モ−タ角速度推定
    手段から出力されるモ−タ角速度推定値に基づいてモ−
    タの回転方向を識別する回転方向識別信号を出力するこ
    とを特徴とする請求項1記載の電動パワ−ステアリング
    装置の制御装置。
  4. 【請求項4】 前記制御手段は、前記モ−タの回転方向
    識別信号に基づいてモ−タのロストルク補正信号を出力
    することを特徴とする請求項3記載の電動パワ−ステア
    リング装置の制御装置。
  5. 【請求項5】 前記制御手段は、前記モ−タ角速度推定
    手段から出力されたモ−タ角速度推定値に基づいてステ
    アリング機構の粘性を補正する粘性補正信号を出力する
    ことを特徴とする請求項1記載の電動パワ−ステアリン
    グ装置の制御装置。
  6. 【請求項6】 前記制御手段は、ハンドル戻し状態が検
    出されたときは前記モ−タ角速度推定手段に設定されて
    いる不感帯を無効とする処理を行うことを特徴とする請
    求項1記載の電動パワ−ステアリング装置の制御装置。
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