JPH08150946A - 電動パワ−ステアリング装置の制御装置 - Google Patents

電動パワ−ステアリング装置の制御装置

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JPH08150946A
JPH08150946A JP31600294A JP31600294A JPH08150946A JP H08150946 A JPH08150946 A JP H08150946A JP 31600294 A JP31600294 A JP 31600294A JP 31600294 A JP31600294 A JP 31600294A JP H08150946 A JPH08150946 A JP H08150946A
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current
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steering
arm
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JP31600294A
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Shuji Endo
修司 遠藤
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NSK Ltd
Original Assignee
NSK Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 操舵反転時に操向ハンドルから違和感を受け
ることがない電動パワ−ステアリング装置の制御装置を
提供する。 【構成】 操舵トルク、車速は電流指令演算器に入力さ
れ、モ−タ10に供給する電流の制御目標値である電流
指令値を演算し、所定の補正をした上、電流フイ−ドバ
ツク回路を経てモ−タ駆動回路41に出力する。駆動回
路41は入力信号をPWM信号と電流方向信号とに分離
変換し、Hブリツジ回路のFET1 乃至FET4 が制御
されてモ−タ電流の大きさと電流方向が制御される。電
流検出回路42では抵抗R1 、R2 の電圧降下により電
流の大きさと方向が検出され、検出信号は電流フイ−ド
バツク回路に帰還して電流指令値が補正される。また、
電流指令値はモ−タの角加速度の比例値、操舵トルクの
微分値によつても補正される。操舵反転時の応答特性が
改善され、ハンドル操作に違和感を与えない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、電動パワ−ステアリ
ング装置の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】車両用の電動パワ−ステアリング装置に
は、操向ハンドルの操作によりステアリングシヤフトに
発生する操舵トルクその他を検出し、その検出信号に基
づいてモ−タの制御目標値である電流指令値を演算し、
電流フイ−ドバツク制御回路において、前記した制御目
標値である電流指令値と実際にモ−タに流れる電流との
差を電流制御値として求め、電流制御値によりモ−タを
駆動して操向ハンドルの操舵力を補助するものがある。
【0003】このような電動式パワ−ステアリング装置
では、操舵トルクを補助するモ−タの慣性力が操向ハン
ドルに伝わり、操舵感覚を悪くすることが従来から指摘
されていた。この対策として、従来は、操舵トルクと車
速に基づいて演算されたモ−タの制御目標値である電流
指令値に操舵トルクの微分値に比例する補正値を加算し
て補正し、補正した電流指令値に基づいてモ−タ電流を
制御するいわゆる微分補正手段(特開昭55−7676
0号公報参照)や、モ−タに生ずる逆起電力からモ−タ
の角加速度を推定し、その推定値に比例した補正値を制
御目標値である電流指令値に加算して補正し、補正した
電流指令値に基づいてモ−タ電流を制御するいわゆる慣
性補正手段(特開平2−290773号公報参照)等に
より、操舵感覚を改善する方策が提案されている。
【0004】また、電動パワ−ステアリング装置に採用
されている制御回路では、実際にモ−タに流れるモ−タ
電流を検出する必要がある。従来の装置では、モ−タ駆
動回路として、それぞれ2個のFETを直列に接続した
第1及び第2のア−ムの中間にモ−タを接続したHブリ
ツジと呼ばれる駆動回路を使用し、モ−タ電流の大きさ
を時間で決定するPWM信号(パルス幅変調信号)のデ
ユ−テイ比(FETのゲ−トをON/OFFする時間
比)に基づいてモ−タ電流の大きさを制御しているが、
この駆動回路と電源との間に直列に1つのシヤント抵抗
を接続し、シヤント抵抗両端の電位差からモ−タ電流を
検出する構成が提案されている(特開平4−25159
6号公報参照)。この場合、シヤント抵抗両端の電位差
からはモ−タ電流の方向が判別できないので、電流指令
値の符号、又はモ−タに印加する電圧(デユ−テイ)の
方向によりモ−タ電流の方向を定義している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記した制
御回路を備えた電動パワ−ステアリング装置において、
例えば、操向ハンドルを急に反対側に切つたような場合
(操舵反転時)には、短時間ではあるが電流指令値で定
義されているモ−タ電流の方向と実際にモ−タに流れる
電流の方向とが異なる。
【0006】このため、上記した駆動回路と電源との間
に直列に1つのシヤント抵抗を接続してモ−タ電流を検
出する従来の方法によつては、モ−タ電流の方向だけが
電流指令値の符号により定義されるため、短時間ではあ
るが実際にモ−タに流れる電流の方向とは逆方向の電流
として検出されてしまい、検出された電流の方向と実際
にモ−タに流れる電流の方向が一致せず、両者が一致す
るまでの時間だけ応答が遅くなる。
【0007】この結果、操舵トルクを補助するモ−タの
慣性力の影響を排除するため、操舵トルクの微分値に比
例する補正値を加算した電流指令値に基づいてモ−タ電
流を制御しようとしても、モ−タ電流の制御が追従でき
ない不都合が生ずる。
【0008】また、操舵制御系の安定性を確保するため
に、検出されたトルク信号に対して位相補償を行つてい
るが、前記した操向ハンドルを急に反対側に切つたよう
な場合(操舵反転時)には、電流指令値に対する検出電
流の応答遅れのため、操舵系開特性の位相余裕、ゲイン
余裕がなくなる。モ−タに印加する電圧(デユ−テイ)
によりモ−タ電流の方向を判別した場合も同様の問題を
生ずる。
【0009】その上、モ−タの慣性に対する補償、即ち
操舵トルクの微分値に比例する補正値を加算する微分補
償、又はモ−タ角加速度を用いた慣性補償が大きく作用
する操舵反転時には、操舵制御系全体のゲインが上がる
から、さらに位相余裕、ゲイン余裕がなくなる結果とな
る。このため、操舵反転時には操舵系が振動を起こし、
操舵感覚を悪くするという不都合が生ずるばかりでな
く、上記電流指令値に対して十分なモ−タ電流の応答速
度が得られないので、良好な制御効果を得ることができ
ない。
【0010】この対策としては、位相補償要素の次数を
高めるなどの対策が考えられるが、構成を複雑にし、コ
ストアツプになるなど好ましい方法ではないばかりでな
く、操舵反転時以外のときは、操舵トルクに対するモ−
タ出力の応答性が悪くなるという不都合がある。この発
明は上記課題を解決することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】この発明は上記課題を解
決するもので、少なくともステアリングシヤフトに発生
する操舵トルクに基づいて演算された電流指令値と検出
されたモ−タ電流値から演算した電流制御値に基づいて
ステアリング機構に操舵補助力を与えるモ−タの出力を
制御する電動パワ−ステアリング装置の制御装置におい
て、それぞれが2個のスイツチング素子を直列に接続し
て構成された第1のア−ムと第2のア−ムとをHブリツ
ジ型に接続して構成されたモ−タ駆動回路と、前記モ−
タ駆動回路の第1のア−ム及び第2のア−ムに流れる電
流を検出するためにそれぞれのア−ムに直列に接続され
た2個の電流検出要素と、前記電流指令値を補正する補
正手段を備えた制御手段を備え、前記制御手段は前記電
流検出要素により検出された第1のア−ム及び第2のア
−ムに流れる電流の方向と電流値に基づいて演算した補
正値により電流指令値を補正するよう制御することを特
徴とする。
【0012】そして、前記制御手段は、前記電流検出要
素により検出された第1のア−ム及び第2のア−ムに流
れる電流の方向と電流値に基づいてモ−タの回転加速度
を推定し、推定した回転加速度に比例した補正値により
電流指令値を補正するよう制御するとよい。
【0013】また、前記制御手段は、操舵トルクの微分
値を演算し、演算された微分値に比例した補正値により
電流指令値を補正するよう制御するとよい。
【0014】そして、前記電流検出要素には、抵抗素
子、電流検出可能なセンスFET、ホ−ル素子などが使
用できる。
【0015】
【作用】モ−タ駆動回路のHブリツジ接続された第1の
ア−ム及び第2のア−ムに流れる電流をそれぞれのア−
ムに直列に接続された2個の電流検出要素で検出し、検
出された電流の方向と電流値に基づいて補正値を演算し
て電流指令値を補正するから、操舵反転時における電流
指令値に対する検出電流の応答遅れを短くすることがで
きる。
【0016】
【実施例】以下、この発明の実施例について説明する。
図1は、この発明を実施するに適した電動パワ−ステア
リング装置の構成の概略を説明する図で、操向ハンドル
1の軸2は減速ギア4、ユニバ−サルジョイント5a、
5b、ピニオンラツク機構7を経て操向車輪のタイロツ
ド8に結合されている。軸2には操向ハンドル1の操舵
トルクを検出するトルクセンサ3が設けられており、ま
た、操舵力を補助するモ−タ10がクラツチ9、減速ギ
ア4を介して軸2に結合している。
【0017】パワ−ステアリング装置を制御する電子制
御回路13は、バツテリ14からイグニツシヨンキ−1
1を経て電力が供給される。電子制御回路13は、トル
クセンサ3で検出された操舵トルクと車速センサ12で
検出された車速に基づいて電流指令演算を行い、演算さ
れた電流指令値を後述するように補正した補正値でモ−
タ10に供給する電流を制御する。
【0018】クラツチ9は電子制御回路13により制御
される。クラツチ9は通常の動作状態では結合してお
り、電子制御回路13によりパワ−ステアリング装置の
故障と判断された時、及び電源がOFFとなつている時
に切離される。
【0019】図2は、電子制御回路13のブロツク図で
ある。この実施例では電子制御回路13は主としてCP
Uから構成されるが、ここではそのCPU内部において
プログラムで実行される機能を示してある。例えば、位
相補償器21は独立したハ−ドウエアとしての位相補償
器21を示すものではなく、CPUで実行される位相補
償機能を示す。なお、電子制御回路13をCPUで構成
せず、これらの機能要素をそれぞれ独立したハ−ドウエ
ア(電子回路)で構成できることは言うまでもない。
【0020】以下、電子制御回路13の機能と動作を説
明する。トルクセンサ3から入力された操舵トルク信号
は、位相補償器21で操舵系の安定を高めるために位相
補償され、電流指令演算器22に入力される。また、車
速センサ12で検出された車速も電流指令演算器22に
入力される。
【0021】また、位相補償器21の出力は微分補償器
23にも入力され、位相補償された操舵トルクの微分値
が出力される。
【0022】電流指令演算器22は、入力された位相補
償された操舵トルク信号及び車速信号に基づいて所定の
演算式によりモ−タ10に供給する電流の制御目標値で
ある電流指令値I0 (補正前のもの)を演算する。
【0023】加算器24は、モ−タ10に供給する電流
の制御目標値である電流指令値Iを演算するもので、電
流指令演算器22で演算された電流指令値I0 (補正前
のもの)と微分補償器23の出力、及び後述する比例演
算器32の出力を加算演算して補正し、補正された電流
指令値Iを比較器25に出力する。
【0024】比較器25、比例演算器26及び積分演算
器27、加算器28から構成される回路は、実際のモ−
タ電流値iが電流指令値Iに一致するようにフイ−ドバ
ツク制御を行う回路である。
【0025】比例演算器26では、電流指令値Iと実際
のモ−タ電流値iとの差に比例した比例値が出力され
る。さらに比例演算器26の出力信号はフイ−ドバツク
系の特性を改善するため積分演算器27において積分さ
れ、差の積分値の比例値が出力される。
【0026】比例演算器26から出力された電流指令値
Iと実際のモ−タ電流値iとの差に比例した比例値、及
び積分演算器27から出力された積分値は、加算器28
において加算演算され、演算結果である電流制御値Eが
モ−タ駆動信号としてモ−タ駆動回路41に出力され
る。
【0027】図3にモ−タ駆動回路41の構成の一例を
示す。モ−タ駆動回路41は加算器28から入力された
電流制御値EをPWM信号と電流方向信号とに分離変換
する変換部44、FET(電界効果トランジスタ)のゲ
−トを駆動するゲ−ト駆動回路45、FET1 〜FET
4 からなるHブリツジ回路等からなり、ここでFET1
とFET3 はHブリツジの第1のア−ムを、FET2 と
FET4 はHブリツジの第2のア−ムを構成する。な
お、昇圧電源46はFET1 、FET2 のハイサイド側
を駆動する電源である。
【0028】PWM信号(パルス幅変調信号)は、モ−
タに流れる電流の大きさを時間で決定する信号で、加算
器28において演算された電流制御値Eの絶対値により
PWM信号のデユ−テイ比(FETのゲ−トをON/O
FFする時間比)が決定される。FET1 とFET2 は
前記したPWM信号のデユ−テイ比に基づいてゲ−トが
ON/OFFされ、モ−タに流れる電流の大きさが制御
される。
【0029】電流方向信号は、モ−タに供給する電流の
方向を指示する信号で、加算器28において演算された
電流制御値Eの符号(正負)により決定される。また、
FET3 とFET4 は前記した電流方向信号に基づいて
ゲ−トがON或いはOFFされ(一方がONの時、他方
はOFFとなる)、モ−タに流れる電流の方向、即ちモ
−タの回転方向が切り換えられる。
【0030】FET4 が導通状態にあるときは、電流は
FET1 、モ−タ10、FET4 、抵抗R1 を経て流
れ、モ−タ10に正方向の電流が流れる。また、FET
3 が導通状態にあるときは、電流はFET2 、モ−タ1
0、FET3 、抵抗R2 を経てて流れ、モ−タ10に負
方向の電流が流れる。
【0031】モ−タ電流検出回路42は、抵抗R1 の両
端における電圧降下に基づいて正方向電流の大きさを検
出し、また、抵抗R2 の両端における電圧降下に基づい
て負方向電流の大きさを検出する。検出された実際のモ
−タ電流値iは比較器25にフイ−ドバツクして入力さ
れる(図2参照)。
【0032】次に、この発明による、操向ハンドルを急
に反対側に切つたような場合、即ち操舵反転時における
操舵感覚の改善のための構成と動作について説明する。
【0033】操舵反転時には、短時間ではあるが電流指
令値で定義されているモ−タ電流の方向と、実際にモ−
タに流れる電流の方向とが異なる。
【0034】この場合、図4に示すように、モ−タ駆動
回路のHブリツジを構成する第1ア−ムと第2ア−ムに
共通に1つのシヤント抵抗Rを接続してモ−タ電流を検
出する従来の方法によつては、モ−タ電流の方向だけが
電流指令値Iの符号により定義されるため、短時間では
あるが実際にモ−タに流れる電流の方向とは逆方向の電
流として検出されてしまい、検出された電流の方向と実
際にモ−タに流れる電流の方向が一致せず、両者が一致
するまでの時間だけ応答が遅くなる。
【0035】この発明では、図3に示すように、モ−タ
駆動回路のHブリツジを構成する第1ア−ムと第2ア−
ムにそれぞれ別々に抵抗R1 、R2 を接続し、モ−タ電
流検出器42により抵抗R1 、R2 の両端の電圧降下か
らモ−タ電流値と同時にモ−タ電流の方向を検出してい
る。そして、これらのモ−タ電流値及びモ−タ電流方向
信号は比較器25に入力されて通常のフイ−ドバツク制
御が行われる。
【0036】さらに、この発明では、舵角加速度推定器
31と比例演算器32が設けられており、前記モ−タ電
流値及びモ−タ電流方向信号、及び加算器28の出力で
ある電流制御値E、及びバツテリ電圧値VBAT が入力さ
れ、舵角加速度値が推定される。そして比例演算器32
において舵角加速度の推定値に比例した値を演算し、加
算器24に出力する。
【0037】そして、先に説明したように、加算器24
は電流指令演算器22で演算された電流指令値I0 (補
正前のもの)と微分補償器23の出力、及び比例演算器
32の出力を加算して補正し、電流指令値Iを得てい
る。
【0038】ここで、舵角加速度の推定値の演算につい
て説明する。モ−タの端子間電圧値Vと、実際のモ−タ
電流値i、及びモ−タの回転角速度即ち舵角速度ωとの
間には、以下の式(1)の関係がある。
【0039】
【数1】 ここで、Lはモ−タのインダクタンス、sはラプラス演
算子、Rはモ−タ端子間抵抗、KT はモ−タの逆起電力
定数である。
【0040】従つて、舵角速度ωを求める式は、前記式
(1)を書き直し、以下の式(2)で表すことができ
る。
【0041】
【数2】 舵角加速度は前記式(2)を時間で微分して得られるか
ら、以下の式(3)で表わすことができる。なお、式中
の記号の上の黒丸(・)は微分値を示す。
【0042】
【数3】 また、モ−タの端子間電圧Vは、バツテリ電圧VBAT
PWM信号のデユ−テイ比DDTY との間に以下の式
(4)で示す関係がある。
【0043】
【数4】 したがつて、舵角加速度は、前記した舵角速度を表わす
式(2)におけるモ−タの端子間電圧Vに前記式(4)
で演算した値を代入し、その値を微分することで求める
ことができる。
【0044】そこで、この発明では、バツテリ電圧V
BAT 、電流制御値E(PWM信号のデユ−テイ比)、及
びモ−タ電流検出回路42で検出されたモ−タ電流値i
を舵角加速度推定器31に入力し、舵角加速度推定器3
1では式(2)、式(3)、及び式(4)に基づいて舵
角加速度の推定値を演算する。
【0045】図5は、操舵反転時における操舵角度θ、
モ−タを制御する電流指令値I、及び実際にモ−タに流
れる電流値iの関係を示した図である。
【0046】図5において、曲線sは操舵角度θの変化
を示し、時間の経過と共に操舵角度θは基準位置から負
方向に大きくなつて時刻t0 において最大となる。この
後、操向ハンドルを戻すと(操舵反転)、操舵角度θは
時間の経過と共に正方向に変化し、基準位置に戻ること
を示している。
【0047】曲線aは操舵反転時におけるモ−タの制御
目標値である電流指令値Iの変化を示すものである。電
流指令値Iは前記したとおり、電流指令値Iトルク値の
微分補償、及び舵角加速度の比例値による慣性補正がさ
れており、操舵角度θの増加・減少に追従して増加・減
少するが、このとき所定時間の遅れをもつて追従するこ
とを示している。即ち、時刻t0 において操舵角度θは
最大となるが、電流指令値Iは時刻t0 よりもΔtだけ
遅れた時点時刻t1 において最大値に達し、ここで電流
指令値Iの電流方向を示す符号は反転(正から負に変
化)し、電流の大きさも減少に転じる。この遅れは制御
回路の応答特性で決定されるものである。
【0048】曲線bはこの発明の制御装置における操舵
反転時のモ−タ電流値iの変化を示すものである。電流
値iは電流指令値Iの増加・減少に追従して増加・減少
するが、このとき所定時間の遅れをもつて追従すること
を示している。即ち、電流指令値Iは時刻t1 において
最大値に達し、ここで電流方向を示す符号は反転(正か
ら負に変化)するが、実際にモ−タに流れる電流値i
は、時刻t1 よりも更に遅れた時点で最大値に達し、こ
こで電流方向を示す符号は反転(正から負に変化)す
る。このため、操舵角度が最大値を示す時刻t0 から時
間tb だけ遅れた時点において実際にモ−タに流れる電
流値iは零に達する。この遅れは電流フィ−ドバツク制
御の応答特性で決定されるものである。
【0049】曲線cは、従来の制御装置における操舵反
転時のモ−タ電流値ic の変化を参考として示したもの
である。前記bと同じく、電流値ic は電流指令値Iの
増加・減少に追従して増加・減少する。そして、従来の
制御回路においては実際にモ−タに流れる電流値ic
符号が電流指令値Iの符号により決定されるから、操舵
角度が最大値を示す時刻t0 よりもΔtだけ遅れた時点
時刻t1 において電流方向を示す符号が反転(正から負
に変化)する。このため、従来の制御回路における実際
にモ−タに流れる電流値ic は、時刻t1 よりも更に遅
れた時点で最大値に達し、ここで電流方向を示す符号は
反転(正から負に変化)するから、操舵角度が最大値を
示す時刻t0 から時間tc だけ遅れた時点において、実
際にモ−タに流れる電流値ic は零に達し、本願発明よ
りも時間(tc −tb )だけ遅れることになる。
【0050】このため、従来の制御回路によるときは、
運転者が操向ハンドルを一方に切つた後に反転したと
き、なおモ−タには操向ハンドルの操作方向と逆方向に
回転させる電流が流れ続けるから、操向ハンドルが引掛
かつたような違和感を与えることになる。
【0051】また、この引掛かり感を解消すべく、操舵
トルクに比例した補正値や、モ−タ角加速度に比例した
補正値を用いて電流指令値の補正をしても、十分な電流
の応答速度が得られないため、引掛かり感を解消するこ
とができない。
【0052】これに対し、この発明の制御回路によれ
ば、早期に電流方向を示す符号が反転(正から負に変
化)するから、従来の制御回路のように、操舵反転時に
操向ハンドルから違和感を受けることがない。
【0053】
【発明の効果】以上説明したとおり、この発明の電動パ
ワ−ステアリング装置の制御装置は、モ−タ駆動回路の
Hブリツジ接続された第1のア−ム及び第2のア−ムに
流れる電流をそれぞれのア−ムに直列に接続された2個
の電流検出要素で検出し、検出された電流の方向と電流
値に基づいて補正値を演算して電流指令値を補正するも
のであるから、操舵反転時における電流指令値に対する
検出電流の応答遅れ時間を短くすることができる。これ
により、いわゆる微分補償や慣性補償の効果が十分に得
られるから、運転者が操向ハンドルを一方に切つた後に
反転したとき、操向ハンドルが引掛かつたような違和感
を与えることがなくなり、操舵反転時における操舵感覚
を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】電動式パワ−ステアリング装置の構成の概略を
説明する図。
【図2】この発明の実施例の電子制御回路のブロツク
図。
【図3】モ−タ駆動回路の構成を示す回路ブロツク図。
【図4】従来のモ−タ駆動回路の構成を示す回路ブロツ
ク図。
【図5】操舵反転時における操舵角度、モ−タを制御す
る電流指令値及び実際にモ−タに流れる電流値の関係を
説明する図。
【符号の説明】
3 トルクセンサ 10 モ−タ 11 イグニツシヨンキ− 12 車速センサ 13 電子制御回路 14 バツテリ 21 位相補償器 22 電流指令演算器 23 微分補償器 24 加算器 25 比較器 26 比例演算器 27 積分演算器 28 加算器 31 舵角加速度推定器 32 比例演算器 41 モ−タ駆動回路 42 モ−タ電流検出回路

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくともステアリングシヤフトに発生
    する操舵トルクに基づいて演算された電流指令値と検出
    されたモ−タ電流値から演算した電流制御値に基づいて
    ステアリング機構に操舵補助力を与えるモ−タの出力を
    制御する電動パワ−ステアリング装置の制御装置におい
    て、 それぞれが2個のスイツチング素子を直列に接続して構
    成された第1のア−ムと第2のア−ムとをHブリツジ型
    に接続して構成されたモ−タ駆動回路と、 前記モ−タ駆動回路の第1のア−ム及び第2のア−ムに
    流れる電流を検出するためにそれぞれのア−ムに直列に
    接続された2個の電流検出要素と、 前記電流指令値を補正する補正手段を備えた制御手段を
    備え、 前記制御手段は前記電流検出要素により検出された第1
    のア−ム及び第2のア−ムに流れる電流の方向と電流値
    に基づいて演算した補正値により電流指令値を補正する
    よう制御することを特徴とする電動パワ−ステアリング
    装置の制御装置。
  2. 【請求項2】前記制御手段は、前記電流検出要素により
    検出された第1のア−ム及び第2のア−ムに流れる電流
    の方向と電流値に基づいてモ−タの回転加速度を推定
    し、推定した回転加速度に比例した補正値により電流指
    令値を補正するよう制御することを特徴とする請求項1
    記載の電動パワ−ステアリング装置の制御装置。
  3. 【請求項3】前記制御手段は、操舵トルクの微分値を演
    算し、演算された微分値に比例した補正値により電流指
    令値を補正するよう制御することを特徴とする請求項1
    記載の電動パワ−ステアリング装置の制御装置。
  4. 【請求項4】 前記電流検出要素は、抵抗素子であるこ
    とを特徴とする請求項1記載の電動パワ−ステアリング
    装置の制御装置。
  5. 【請求項5】 前記電流検出要素は、電流検出可能なセ
    ンスFETであることを特徴とする請求項1記載の電動
    パワ−ステアリング装置の制御装置。
  6. 【請求項6】 前記電流検出要素は、ホ−ル素子である
    ことを特徴とする請求項1記載の電動パワ−ステアリン
    グ装置の制御装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008042975A (ja) * 2006-08-02 2008-02-21 Rohm Co Ltd モータ駆動回路およびそれを用いた電子機器
JP2009119998A (ja) * 2007-11-14 2009-06-04 Daihatsu Motor Co Ltd 電動パワーステアリング装置
KR20150136885A (ko) * 2014-05-28 2015-12-08 현대모비스 주식회사 전동식 파워 스티어링 시스템의 컬럼토크 보상 장치 및 방법

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