JPH10100357A - 加飾成形用シート並びにその製造方法及び加飾成形品の製造方法 - Google Patents

加飾成形用シート並びにその製造方法及び加飾成形品の製造方法

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JPH10100357A
JPH10100357A JP8256759A JP25675996A JPH10100357A JP H10100357 A JPH10100357 A JP H10100357A JP 8256759 A JP8256759 A JP 8256759A JP 25675996 A JP25675996 A JP 25675996A JP H10100357 A JPH10100357 A JP H10100357A
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夏樹 森下
Toshimitsu Tsuji
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Abstract

(57)【要約】 【課題】自在な模様、色等の意匠を有し、成形前工程に
おいて加飾成形用シートとしての取り扱い性に優れ、成
形時に破れや皺等が発生することがなく、加飾成形品を
製造するのに好適に用いられる加飾成形用シート並びに
その製造方法、及びその加飾成形用シートを用いた加飾
成形品の製造方法を提供する。 【解決手段】熱硬化性成形材料に積層し加熱加圧成形し
て加飾成形品を得るための加飾成形用シートである。加
飾した紙100重量部に対して、メラミン樹脂1〜30
重量部と、反応性不飽和結合を有する熱硬化性樹脂50
〜200重量部とが含浸されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、加飾成形用シート
並びにその製造方法及びそれを用いた加飾成形品の製造
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、繊維強化樹脂(以下、FRPとい
う)の分野、特にFRP製バスタブ、バスユニット等の
生産においては、ハンドレアップ成形法やスプレーアッ
プ成形法といわれる成形法が広く用いられてきたが、こ
れらの成形法においては、一個の製品を生産するのに時
間と工数を多く必要とするため、生産性を格段に改良す
るものとして、シート・モールディング・コンパウンド
(以下、SMCという)又はバルク・モールディング・
コンパウンド(以下、BMCという)等の熱硬化性成形
材料が開発され、これを用いたプレス成形法が広く採用
されている。
【0003】しかし、この様なSMCやBMCを用いて
プレス成形法により得られた成形品は、成形品全体の色
が単一色のものに限定され、例えば、赤色なら成形品全
体が赤色のものしか生産することができず、デザインの
自由度が非常に狭いという欠点を有する。
【0004】勿論、印刷、塗装等の後加工を行うことに
より、適宜意匠を付加することは可能であるが、この場
合には、煩雑な後加工の工程を要し、生産性が劣るもの
となる。
【0005】そこで、FRP製品に加飾を施す方法とし
て、加飾成形用シートをインサートする成形方法が提案
されている。例えば、特開平5─285973号公報に
記載されているように、印刷したチタン紙に熱硬化性樹
脂を含浸させたものをSMCに積層して成形し、加飾成
形品を得る方法が開示されている。
【0006】ここで、その加飾材料である含浸紙として
は、従来の、建材において壁紙や化粧板等に用いられて
いた含浸紙の技術がそのまま導入された。即ち、ジアリ
ルフタレート又は不飽和ポリエステル等の樹脂をアセト
ン等の溶剤に溶かした後、印刷チタン紙等に含浸させ、
乾燥ゾーン等で乾燥させて含浸紙としたものが転用され
ていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
方法による場合は、印刷チタン紙は成形時に破れたり皺
が発生し易く、破れや皺等の発生したものは、成形不良
率が極めて高く、生産性に劣るという欠点があり、又、
破れや皺等の比較的軽微なものについては修正を施して
製品とすることも可能であるが、この修正作業は手作業
によりコンパウンドを埋めたり、あるいは塗装を施して
乾燥する等、人手と時間を要するものであり、トータル
として、コストが高くなるという問題点がある。
【0008】本発明は、上記の如き従来の問題点を解消
することを目的としてなされたものであって、自在な模
様、色等の意匠を有し、成形前工程において加飾成形用
シートとしての取り扱い性に優れ、成形時に破れや皺等
が発生することがなく、加飾成形品を製造するのに好適
に用いられる加飾成形用シート並びにその製造方法、及
びその加飾成形用シートを用いた加飾成形品の製造方法
を提供することを目的としてなされたものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の本発明
(以下、この発明のみを指す場合には本発明1という)
は、熱硬化性成形材料に積層し加熱加圧成形して加飾成
形品を得るための加飾成形用シートであって、加飾した
紙100重量部に対して、メラミン樹脂1〜30重量部
と、反応性不飽和結合を有する熱硬化性樹脂50〜20
0重量部とが含浸されている加飾成形用シートである。
【0010】請求項2に記載の本発明(以下、この発明
のみを指す場合には本発明2という)は、上記メラミン
樹脂が、抗菌剤を含有するものである本発明1に記載の
加飾成形用シートである。
【0011】請求項3に記載の本発明(以下、この発明
のみを指す場合には本発明3という)は、熱硬化性成形
材料に積層し加熱加圧成形して加飾成形品を得るための
加飾成形用シートの製造方法であって、加飾した紙10
0重量部に対して、メラミン樹脂1〜30重量部を含浸
させた後、更に、反応性不飽和結合を有する熱硬化性樹
脂50〜200重量部を含浸させる加飾成形用シートの
製造方法である。
【0012】請求項4に記載の本発明(以下、この発明
のみを指す場合には本発明4という)は、上記メラミン
樹脂が、抗菌剤を含有するものであることを特徴とする
本発明3に記載の加飾成形用シートの製造方法である。
【0013】請求項5に記載の本発明(以下、この発明
のみを指す場合には本発明5という)は、本発明1又は
本発明2に記載の加飾成形用シートを、金型と熱硬化性
形成材料との間に介在させた状態で、加熱加圧成形する
加飾成形品の製造方法である。
【0014】本発明において、紙としては、従来公知の
各種のものが用いられる。具体的には、オーバーレー
紙、チタン紙、パターン紙、コア紙、バランス紙、新聞
巻取紙、上質紙、中質紙、更紙、グラビア用紙、筆記用
紙、図画用紙等が挙げられる。中でもオーバーレー紙、
チタン紙等がコスト、印刷性、強度の点で好適に用いら
れる。
【0015】又、その印刷方法としては、従来公知の各
種方法が可能であり、具体的には、グラビア印刷方式、
グラビア・オフセット印刷方式、シルクスクリーン印刷
方式、凸版印刷方式、オフセット印刷方式等が挙げられ
る。又、着色方法としても従来公知の各種方法が可能で
あり、具体的には抄造時に顔料等を混ぜ込む方法、抄造
時にインク等を染み込ませる方法、絵の具や塗料塗布す
る方法等が挙げられる。
【0016】ここで、着色又は印刷の態様としては、単
一色に彩色しても構わないし、複数色を用いて模様等図
柄を形成させても構わない。即ち、目的に応じて自在な
意匠を適用することが可能である。
【0017】本発明において、紙に含浸させる樹脂の1
つとして、メラミン樹脂が用いられる。メラミン樹脂と
は、メラミンとホルムアルデヒドを縮合させることによ
って得られるもので、必要に応じて、メタノール又はブ
タノールで変性させて用いられる。中でも、メタノール
で変性されたものが、紙への含浸性が良好であるので好
適に用いられる。
【0018】又、メラミン樹脂は、原料であるメラミン
の水素原子が何個置換されているかで一般的に分類され
るが、3置換体又は4置換体が、特に、硬化性に優れる
ため好適に用いられる。その分子量としては、500〜
4,000が好ましく、より好ましくは1,000〜
3,000である。分子量が小さすぎるものは充分な性
能を有する硬化品が得にくく、逆に大きすぎるものは、
基材である紙への含浸性が悪くなり易いという欠点を有
する。
【0019】本発明において、紙に含浸させる樹脂とし
ては、メラミン樹脂の他に、反応性不飽和結合を有する
熱硬化性樹脂が用いられる。反応性不飽和結合を有する
熱硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂、エポ
キシアクリレート樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、ジ
アリルフタレート樹脂等の各種熱硬化性樹脂からなる組
成物が使用可能である。
【0020】不飽和ポリエステル樹脂としては、公知の
方法により、通常、有機ポリオールと脂肪族不飽和ポリ
カルボン酸と、必要に応じて脂肪族飽和ポリカルボン酸
及び/又は芳香族ポリカルボン酸等から製造されるもの
が用いられる。
【0021】エポキシアクリレート(ビニルエステル)
樹脂としては、公知の方法により、通常、エポキシ樹脂
及び(メタ)アクリル酸等の反応性二重結合をもつモノ
カルボン酸とから製造されるものが用いられる。
【0022】ウレタンアクリレート樹脂とは、通常、ア
ルキレンジオール、アルキレンジオールエステル、アル
キレンジオールエーテル、ポリエーテルポリオール又は
ポリエステルポリオール等の有機ポリオールイソシアネ
ートを反応させ、更にヒドロキシアルキル(メタ)アク
リレートを反応させて製造されるものである。
【0023】ジアリルフタレート樹脂とは、ジアリルフ
タレートモノマーを過酸化ベンゾイルの様な過酸化物触
媒存在下で加熱、重合させてプレポリマー化させること
によって得られるものである。
【0024】樹脂中には、必要に応じて、溶剤或いはモ
ノマー等が添加される。例えば、粘度の高い樹脂におい
ては、又、反応性の低い樹脂においては、モノマー等を
添加して反応性が改良される。尚、粘度を低下させるた
めに溶剤を添加する場合には、これが残存すると成形時
に気泡等の発生の原因となり易いので、樹脂含浸後に、
溶剤を揮発させる工程が必要になる。
【0025】又、樹脂中には、必要に応じて、炭酸カル
シウム等の充填材、有機過酸化物等の開始剤、パラベン
ゾキノン等の禁止剤、ステアリン酸亜鉛等の離型剤等を
適量添加できる。
【0026】本発明1において、基材である紙に対する
樹脂の含浸量としては、乾燥後の重量として、基材であ
る紙100重量部に対して、メラミン樹脂1〜30重量
部、反応性不飽和結合を有する熱硬化性樹脂50〜20
0重量部とする必要があり、メラミン樹脂2〜25重量
部、反応性不飽和結合を有する熱硬化性樹脂70〜15
0重量部とするのが好ましく、メラミン樹脂3〜20重
量部、反応性不飽和結合を有する熱硬化性樹脂80〜1
30重量部とするのがより好ましい。
【0027】メラミン樹脂の含浸量が少なすぎる場合に
は充分な強度が得られず加飾成形用シートが成形時に破
れ易いという欠点を有し、逆に多すぎる場合には固くな
りすぎて取扱い時に破れ易いという欠点を有する。又、
反応性不飽和結合を有する熱硬化性樹脂の含浸量が少な
すぎる場合は得られる加飾成形品の表面に紙が露出して
耐摩耗性が不良となり易く、逆に多すぎる場合には得ら
れる加飾成形品の耐温水性が低下するという欠点を有す
る。
【0028】本発明2,4において、メラミン樹脂に含
有される抗菌剤としては、従来公知のものが用いられ
る。具体的には、有機系抗菌剤と無機系抗菌剤に大別さ
れ、有機系抗菌剤としては、例えば、アルコール系、フ
ェノール系、アルデヒド系、カルボン酸系、エステル
系、エーテル系、ニトリル系、過酸化物・エポキシ系、
イミダゾール系、界面活性剤系等が挙げられ、無機系抗
菌剤としては、例えば、銀系、銅系、コバルト系合金等
が挙げられるが、中でも、銀系の抗菌剤が、抗菌性能及
び抗菌性の持続性に優れるため、好適に用いられる。
【0029】抗菌剤のメラミン樹脂に対する添加量とし
ては、メラミン樹脂100重量部に対して0.01〜4
0重量部が好ましく、より好ましくは0.05〜20重
量部である。添加量が少ないすぎる場合には、充分な抗
菌性能を有する加飾成形品を得にくいという欠点があ
り、逆に多すぎる場合には加飾成形品が黄色く変色し易
いという欠点がある。
【0030】本発明3,4の加飾成形用シートの製造方
法においては、まず、紙にメラミン樹脂又は抗菌剤を含
有するメラミン樹脂組成物を含浸させた後に、更に反応
性不飽和結合を有する熱硬化性樹脂(以下、メラミン樹
脂成分という)を含浸させる。紙にメラミン樹脂成分を
先に含浸させることにより、メラミン樹脂成分が紙のセ
ルロース繊維表面に良好に付着するので、強度の改良効
果が大きくなるので好ましい。
【0031】紙に樹脂を含浸させる方法としては、従来
公知の方法を採用することができる。例えば、樹脂の入
った槽に紙からなるシート基材を浸漬して含浸させた
後、ロール等でしごいて余分な樹脂を落とし、必要に応
じて乾燥炉にて乾燥する方法、或いは、移動ベルト上に
紙からなるシート基材を乗せて移動させつつ、その上に
樹脂を供給し、ロール又はブレード等でしごいていく方
法等が挙げられる。
【0032】本発明5において、熱硬化性成形材料とし
ては、SMCやBMC等の材料が使用可能である。即
ち、熱硬化性成形材料としては、ベース樹脂である不飽
和ポリエステル樹脂、エポキシアクリレート樹脂、ウレ
タンアクリレート樹脂中に、必要に応じて各種充填材、
補強材、添加剤等が添加されて、SMCやBMC等の形
態とされたものが使用可能である。
【0033】ここで、不飽和ポリエステル樹脂に用いら
れる有機ポリオールとしては、ジオール、トリオール、
テトロール又はこれらの混合物が挙げられるが、主とし
て脂肪族ポリオールと芳香族ポリオールとに分けられ
る。
【0034】脂肪族ポリオールの代表的なものとして
は、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコー
ル、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ト
リエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ジブ
ロムネオペンチルグリコール、ヘキサメチレングリコー
ル、トリメチレングリコール、トリメチロールプロパ
ン、水素化ビスフェノールA等が挙げられる。
【0035】芳香族ポリオールの代表的なものとして
は、ビスフェノールA又はビスフェノールS、或いはこ
れらにエチレンオキシド、プロピレンオキシドもしくは
ブチレンオキシドのような脂肪族オキシラン化合物を、
一分子中に平均1〜20個の範囲で付加させて得られる
ポリオキシアルキレンビスフェノールA又はポリオキシ
アルキレンビスフェノールS等が挙げられる。
【0036】不飽和ポリエステル樹脂に用いられる脂肪
族不飽和カルボン酸としては、(無水)マレイン酸、フ
マル酸、(無水)イタコン酸等が用いられる。不飽和ポ
リエステル樹脂に用いられる脂肪族飽和カルボン酸とし
ては、例えば、セバチン酸、アジピン酸、(無水)コハ
ク酸等が用いられる。
【0037】不飽和ポリエステル樹脂に用いられる芳香
族ポリカルボン酸としては、(無水)フタル酸、イソフ
タル酸、テレフタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル
酸、エンドメチレンテトラ無水フタル酸等が用いられ
る。
【0038】エポキシアクリレート(ビニルエステル)
樹脂に用いられるエポキシ樹脂としては、これもまた公
知慣用の方法により、エピクロルヒドリン及びビスフェ
ノールAから製造されるビスフェノールA型エポキシ樹
脂、エピクロルヒドリン及び臭素化ビスフェノールA型
エポキシ樹脂、フェノールノボラック又はオルトクレゾ
ールノボラックをグリシジルエーテル化して製造される
ノボラック型エポキシ樹脂、各種アミンとエピクロルヒ
ドリンを反応させて得られるグリシジルアミン型エポキ
シ樹脂(テトラグリシジルメタキシレンジアミン、テト
ラグリシジル─1,3─ビスアミノメチルシクロヘキサ
ン、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリ
グリシジル─p−アミノフェノール、トリグリシジル─
m─アミノフェノール、ジグリシジルアニリン、ジグリ
シジルオルトトルイジン等)が用いられる。
【0039】ウレタンアクリレート樹脂に用いられるポ
リオールとしては、アルキレンジオールとして、例え
ば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエ
チレングリコール、ジイソプロピルグリコール、ポリエ
チレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブタン
ジオール等、ポリエーテルポリオールとしては、ポリオ
キシメチレン、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレ
ンオキサイド等、ポリエステルポリオールとしてアルキ
レンジオール等の有機ポリオール及びポリカルボン酸の
縮合化合物等が汎用的に用いられる。
【0040】ウレタンアクリレート樹脂に用いられるポ
リイソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシ
アネート、イソホロンジイソシアネート、ポリメチレン
ポリフェニルジイソシアネート、ポリメチレンポリフェ
ニルジイソシアネート等が用いられる。
【0041】ウレタンアクリレート樹脂に用いられるヒ
ドロキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、通
常、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキ
シプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシジブチル
(メタ)アクリレート等が用いられ、ヒドロキシル基
は、通常、アルキル基のベータ位の炭素に結合してい
る。アルキル基は、通常、8個までの炭素原子を含むこ
とができる。
【0042】熱硬化性成形材料中には、低収縮剤とし
て、ポリ酢酸ビニル、ポリメチル(メタ)アクリレー
ト、ポリエチレン、エチレン─酢酸ビニル共重合体、酢
酸ビニル─スチレン共重合体、ポリブタジエン、飽和ポ
リエステル類、飽和ポリエーテル類のような熱可塑樹脂
を、必要に応じて、適当量添加することができる。
【0043】熱可塑性樹脂の添加量は、樹脂分のうち、
0.1〜30重量%であるのが好適であり、より好適に
は、0.3〜20重量%である。添加量が多すぎると、
熱硬化性成形材料の粘度が高くなるため、成形時に充分
な流動性が得られず、少なすぎると、充分な収縮効果が
得られない。
【0044】ここに、樹脂分とは、熱硬化性樹脂、熱可
塑性樹脂の他、共重合性単量体等のように化学反応して
樹脂となり得る成分の総量を意味する。
【0045】共重合性単量体の添加量は、樹脂分の1〜
70重量%が好ましく、より好ましくは、3〜50重量
%である。添加量が少なすぎると、熱硬化性成形材料の
粘度が高くなるため、成形時に充分な流動性が得られ
ず、少なすぎると、充分な収縮改良効果が得られにく
い。
【0046】又、熱硬化性成形材料中には、必要に応じ
て、ラジカル反応開始剤としての有機過酸化物を加える
ことができる。有機過酸化物としては、例えば、メチル
エチルケトンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド
類、イソブチルパーオキサイド等のジアシルパーオキサ
イド、類、クメンハイドロパーオキサイド等のハイドロ
パーオキサイド類、ジクミルパーオキサイド等のジアル
キルパーオキサイド類、ターシャリーブチルパーオキシ
─2─エチルヘキサノエート等のアルキルパーエステル
類、1,1─ジブチルパーオキシシクロヘキサン等のパ
ーオキシケタール類等があり、汎用的には、ターシャリ
ーブチルパーオキシベンゾエート、ターシャリーブチル
パーオキシイソプロピルカーボネート等が使用可能であ
る。
【0047】有機過酸化物の添加量としては、反応性不
飽和結合を持つ熱硬化性樹脂及び共重合性単量体の総量
100重量部に対して、0.3〜5重量部が好ましく、
より好ましくは0.5〜3重量部である。添加量が少な
すぎると、熱硬化性成形材料の硬化速度が遅くなり易
く、多すぎると、熱硬化性成形材料が硬化時に黄変し易
くなる。
【0048】熱硬化性成形材料中には、目的及び用途に
応じて、適当量の無機充填材を添加することができる。
使用可能な無機充填材としては、例えば、グラファイ
ト、ダイヤモンド等の元素鉱物、岩塩、カリ岩塩等のハ
ロゲン化鉱物、炭酸カルシウム等の炭酸塩鉱物、藍鉄鉱
等のリン酸塩鉱物、カルノー石等のバナジン酸塩鉱物、
重晶石(硫酸バリウム)、石膏(硫酸カルシウム)等の
硫酸塩鉱物、ほう砂等のほう酸塩鉱物、灰チタン石等の
チタン酸塩鉱物、雲母、タルク(滑石)、葉ろう石、カ
オリン、石英、長石等の珪酸塩鉱物、酸化チタン、鋼玉
(酸化アルミニウム)、水酸化アルミニウム等の金属
(水)酸化物、(中空)ガラス球等のガラス製品等を中
心とした天然又は人工の鉱物又はそれを処理、精製或い
は加工したもの、及びこれらの混合物が用いられる。
【0049】熱硬化性成形材料中には、必要に応じて、
着色顔料を適当量添加することができる。着色顔料とし
ては、従来公知のものが用いられ、例えば、酸化チタ
ン、ベンジンイエロー、アンスラキノンイエロー、チタ
ンイエロー、ハンザイエロー、モリブデンオレンジ、黄
鉛、ジスアゾイエロー、ベンジルオレンジ、キナクリド
ンレッド、キナクリドンマゼンタ、ナフトールバイオレ
ット、クロムグリーン、フタロシアニングリーン、アル
カリブルー、コバルトブルー、フタロシアニンブルー、
酸化鉄(ベンガラ)、銅アゾブラウン、アニリンブラッ
ク、カーボンブラック、鉄黒、アルミフレーク、ニッケ
ル粉、金粉、銀粉等各種のものが用いられる。
【0050】無機充填材の添加量としては、樹脂分10
0重量部に対して、0〜300重量部が好ましく、より
好ましくは0〜250重量部である。着色顔料の添加量
としては、樹脂分100重量部に対して、1〜100重
量部が好ましく、より好ましくは3〜50重量部であ
る。
【0051】又、無機充填材と着色顔料との総量として
は、樹脂分100重量部に対して、30〜320重量部
が好ましく、より好ましくは40〜200重量部であ
る。無機充填材、着色顔料の添加量が少なすぎると、充
分な隠蔽性が得られず、多すぎると、熱硬化性成形材料
の粘度が高くなるため、成形時に型内において充分な流
動性が得られない。
【0052】熱硬化性成形材料中には、補強材として、
ガラス繊維や炭素繊維等の各種補強繊維を適当量添加す
ることができる。補強材の添加量としては、樹脂分10
0重量部に対して、1〜250重量部が好ましく、より
好ましくは3〜200重量部である。添加量が少なすぎ
ると、充分な補強硬化が得られず、多すぎると、熱硬化
性成形材料の粘度が高くなるため、成形時の型内におけ
る充分な流動性が得られない。
【0053】熱硬化性成形材料中には、必要に応じて、
ジメチルアニリン、ナフテン酸コバルト等の公知の硬化
促進剤、パラベンゾキノン等の重合禁止剤、アゾ系染料
やアントラキノン系、インジゴイド系、スチルベン系等
の染料、カーボンブラック等の導電性付与剤、乳化剤、
ステアリン酸亜鉛等の金属石鹸類、脂肪族燐酸塩、レシ
チン等の離型剤等を、用途、目的に応じて適当量加える
ことができる。
【0054】熱硬化性成形材料としては、より具体的に
は、例えば、不飽和ポリエステル樹脂液(スチレン濃度
約30〜70%)60〜100重量部に、スチレン樹脂
等のスチレン溶液(スチレン濃度約30〜70%)0〜
40重量部を加えたもの100重量部に対して、炭酸カ
ルシウム、水酸化アルミニウム、ガラス粉末等の充填材
30〜300重量部、酸化チタン、酸化鉄、カーボンブ
ラック、チタンイエロー等の着色顔料5〜20重量部、
ターシャリブチルパーオキシベンゾエート等の有機過酸
化物0.5〜3重量部、酸化マグネシウム等の増粘剤
0.5〜3重量部、ステアリン酸亜鉛等の離型剤0.5
〜5重量部を混練したものを、ガラス繊維等の補強材5
〜180重量部に含浸して、SMCやBMC等の形態と
されたものが好適に用いられる。
【0055】本発明の加飾成形品の製造方法に用いる成
形機としては、従来公知のプレス成形機が使用可能であ
り、型としては、従来公知の、金型、鋳物型等が使用可
能である。型の形式としては、一般的には上下型が好ま
しい。この場合、通常は、上型を可動型、下型を固定型
として用いる。
【0056】本発明の加飾成形品の製造方法のプロセス
は、例えば、以下のようになる。まず、成形機に、型を
取り付け、80〜180℃に加熱した後、型内に、加飾
成形用シートをその目的の位置に載置する。次に、その
上に熱硬化性成形材料を積層し、型を締め、10〜12
0kg/cm2 の圧力で30秒〜15分間加熱加圧成形
し、硬化させた後、型を開き、製品を脱型して、加飾成
形品を得る。
【0057】ここで、加飾成形用シートを載置する向き
としては、金型側即ち製品面側を印刷あるいは着色した
面とするのが普通であるが、必要に応じて、熱成形性成
形材料側を印刷或いは着色した面としても構わない。加
飾成形用シートの大きさとしては、図1に示すように成
形材料層2の表面の全面に加飾シート層1が設けられた
加飾成形品を得るように、成形品表面の全面を加飾する
大きさのものであってもよいし、図2又は図3に示すよ
うに成形材料層2の表面の一部に加飾シート層1が設け
られた加飾成形品を得るように、成形品表面の一部のみ
を加飾する大きさであっても構わない。即ち、求める意
匠に応じて、任意の大きさ形のものを用いることができ
る。
【0058】
【作用】本発明1の加飾成形用シートは、加飾した紙1
00重量部に対して、メラミン樹脂が1重量部以上用い
られていることにより、紙の繊維相互間がメラミン樹脂
により接着されている。メラミン樹脂は、極性が強いた
め、紙の繊維との水素結合が増加して非常に強固な接着
力を発現する。これにより、成形材料を積層し加熱加圧
成形する際に、加飾成形用シートの上を成形材料が流動
しても加飾成形用シートが破れたり皺になったりしにく
い。又、メラミン樹脂の添加量が30重量部以下とされ
ているので、成形前の加飾成形用シートは硬すぎるもの
とはならず、成形作業時の取扱い性に優れており、又、
破れが発生しにくい。
【0059】本発明2の加飾成形用シートは、本発明1
において、上記メラミン樹脂が、抗菌剤を含有するもの
であることにより、紙の繊維のすぐ近傍に抗菌剤が存在
する形となるので、紙の繊維に近づいた菌はこの抗菌剤
により死滅することになり、抗菌性に優れた加飾成形品
を製造することができる。
【0060】本発明3,4の加飾成形シートの製造方法
は、加飾した紙に対してメラミン樹脂を先に含浸させる
ことにより、紙の繊維周辺がメラミン樹脂により充填さ
れるため、紙の繊維相互間の接着力が充分に発現され
る。
【0061】本発明5の加飾成形品の製造方法は、本発
明1又は本発明2に記載の加飾成形用シートを、金型
と、熱硬化性形成材料との間に介在させた状態で、加熱
加圧成形することにより、加飾成形用シートが成形時に
破れたり皺になったりしにくいので、成形不良率が著し
く改善され、意匠に優れた加飾成形品を生産性よく製造
することができる。
【0062】
【実施例】以下、本発明を実施例により説明する。 1.成形機及び金型の準備 成形機としては、川崎油工社製、800トンプレス成形
機を用いた。金型としては、100cm×100cmの
正方形板を成形する上下型であって、上型、下型共に電
気ヒーター及び冷却水配管が埋め込まれた金型を準備し
た。この金型をプレス成形機に取り付けた。上型を可動
型とし、下型を固定型とした。
【0063】2.加飾成形用シートの調製 加飾成形用シートとしては以下のものを用いた。 (1)基材シート 基材シートとしては、以下のものを用いた。 基材1:オーバーレー紙(厚さ0.12mm、坪量90
g/m2 、興人社製)に白御影石調の石目柄を印刷した
もの。 基材2:オーバーレー紙(厚さ0.06mm、坪量40
g/m2 、興人社製)に白御影石調の石目柄を印刷した
もの。
【0064】基材3:オーバーレー紙(厚さ0.17m
m、坪量120g/m2 、興人社製)に白御影石調の石
目柄を印刷したもの。 基材4:チタン紙(厚さ0.1mm、坪量80g/
2 、酸化チタン量25重量%、興人社製)に白御影石
調の石目柄を印刷したもの。
【0065】(2)含浸用樹脂液(熱硬化性樹脂組成
物) 含浸用樹脂液としては以下のものを用いた。尚、「メラ
ミン樹脂液A」とは、原料メラミンのメラミン基の水素
原子のうち平均4個が置換され、メタノール変性され
た、数平均分子量約1,200のメラミン樹脂を水・ア
セトンに溶解したもの(水濃度40重量%、アセトン濃
度40重量%)のことである。
【0066】「メラミン樹脂液B」とは、原料メラミン
のメラミン基の水素原子のうち平均3個が置換され、メ
タノール変性された、数平均分子量約900のメラミン
樹脂をアセトンに溶解したもの(アセトン濃度80重量
%)のことである。「不飽和ポリエステル樹脂液」と
は、数平均分子量2,000のイソフタル酸系の不飽和
ポリエステル樹脂をアセトンに溶解したもの(アセトン
濃度約80重量%)のことである。「ジアリルフタレー
ト樹脂液」とは、数平均分子量約700のジアリルフタ
レート樹脂をアセトンに溶解したもの(アセトン濃度5
0重量%)のことである。
【0067】樹脂液1:メラミン樹脂液A500重量部
(固形分100重量部)。 樹脂液2:メラミン樹脂液B500重量部(固形分10
0重量部)。 樹脂液3:不飽和ポリエステル樹脂液100重量部(固
形分50重量部)と、ジアリルフタレート樹脂液100
重量部(固形分50重量部)と、硬化剤(ターシャリー
ブチルパーオキシベンゾエート)1重量部とを混合、攪
拌したもの。
【0068】樹脂液4:ジアリルフタレート樹脂液20
0重量部(固形分100重量部)と、硬化剤(ターシャ
リーブチルパーオキシベンゾエート)1重量部とを混
合、攪拌したもの。 樹脂液5:不飽和ポリエステル樹脂液200重量部(固
形分100重量部)と、硬化剤(ターシャリーブチルパ
ーオキシベンゾエート)1重量部とを混合、攪拌したも
の。
【0069】樹脂液6:メラミン樹脂液A100重量部
(固形分20重量部)と、不飽和ポリエステル樹脂液1
00重量部(固形分50重量部)と、ジアリルフタレー
ト樹脂液100重量部(固形分50重量部)と、硬化剤
(ターシャリーブチルパーオキシベンゾエート)1重量
部とを混合、攪拌したもの。
【0070】樹脂液7:メラミン樹脂液A500重量部
(固形分100重量部)と、抗菌剤(銀─シリカゲル
系、平均粒径約3μm、日本電子材料社製)0.3重量
部を混合、攪拌したもの。 樹脂液8:メラミン樹脂液B500重量部(固形分10
0重量部)と、抗菌剤(銀─ゼオライト系、平均粒径約
4μm、日本電子材料社製)2重量部を混合、攪拌した
もの。
【0071】樹脂液9:不飽和ポリエステル樹脂液10
0重量部(固形分50重量部)と、ジアリルフタレート
樹脂液100重量部(固形分50重量部)と、硬化剤
(ターシャリーブチルパーオキシベンゾエート)1重量
部と、抗菌剤(銀─シリカゲル系、平均粒径約3μm、
日本電子材料社製)1重量部を混合、攪拌したもの。
【0072】(3)含浸 加飾成形用シート1:上記基材1を70cm×100c
mの大きさに切り、上記樹脂液1中に浸漬して樹脂液を
含浸させ、一対のロールで余分な樹脂液をしごいて除去
した後、80℃のオーブンにて10分間乾燥させた。そ
の後、更に、2次含浸として、上記樹脂液3中に浸漬し
て樹脂を含浸させた後、ロールで余分な樹脂液をしごい
て除去し、80℃のオーブンにて10分間乾燥してシー
トを得た。
【0073】尚、含浸量の調節は、ロールのクリアラン
スを調節することにより行った。得られた加飾成形用シ
ート1の内容を表1に示す。又、2次含浸量とは、不飽
和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂の和を示
す。又、重量は紙100重量部に対する重量部として示
す。
【0074】シート2〜6、12〜21、25〜26:
表1,2中に示す基材及び樹脂液を用いたこと以外は加
飾成形用シート1と同様にして得たもの。但し、シート
15,22においては、1次含浸後のシートが脆く、2
次含浸の際に破れが発生したため、以後の成形は行わな
かった。 シート7は:上記基材1を70cm×100cmの大き
さに切り、上記樹脂液6中に浸漬して樹脂液を含浸させ
た後、ロールで余分な樹脂液をしごいて除去した後、8
0℃のオーブンにて10分間乾燥して、含浸シートを得
たもの。含浸量の調節は、ロールのクリアランスの調節
することにより行った。
【0075】シート8:上記基材1を70cm×100
cmの大きさに切ったもの。 シート9〜11、22〜24:表2に示すように、基材
及び含浸用樹脂を用いたこと以外はシート7と同様にし
て作成したもの。
【0076】熱硬化性成形材料(SMC)の調製 熱硬化性成形材料としては、以下のものを用いた。 不飽和ポリエステル樹脂液〔イソフタル酸系の不飽
和ポリエステル樹脂(数平均分子量約2,000)をス
チレンに溶解したもの(スチレン濃度40重量%)〕7
0重量部 ポリスチレン樹脂液〔重量平均分子量約95,00
0のポリスチレン樹脂を、スチレンに溶解したもの(ス
チレン濃度65重量%)〕30重量部 硬化剤(ターシャリーブチルパーオキシベンゾエー
ト)1重量部 炭酸カルシウム粉末〔日東粉化社製、商品名「NS
−100」〕120重量部
【0077】 着色顔料〔酸化チタン粉末(堺化学工
業社製、商品名「SR−1」)6重量部 増粘剤〔酸化マグネシウム粉末(協和化学工業社
製、商品名「キョーワマグ150」)1重量部 内部離型剤(ステアリン酸亜鉛:堺化学工業社製)
3重量部 ガラス繊維〔旭ファイバーグラス社製のロービング
(商品名「ER4630LBD166W)を長さ25m
mに切断したもの、以下、GFと略す〕70重量部
【0078】上記配合材料のうち、〜の配合材料を
混合し、充分に混合を行ったものを、SMC製造装置に
て、のガラス繊維に含浸させ、40℃にて24時間熟
成して、厚み約2mmの白色着色SMCを得た。
【0079】4.成形方法 上記加飾成形用シート及び熱硬化性成形材料を用いて、
下記のようにして加飾成形品の製造を行った。実施例1 上型を140℃、下型を150℃に加熱した後、下型上
に70cm×100cmの大きさに切った加飾成形用シ
ート1を乗せ、更にその上に上記SMCを60cm×9
0cmの大きさに切って2枚チャージし、2mm/sの
締め切り速度にて型を締めて70kg/cm2 の圧力で
240秒間加圧成形した。その後型を開いて脱型し、加
飾成形品を得た。この工程を30ショット繰り返し、3
0個の加飾成形品を得た。
【0080】実施例2〜13、比較例1〜15 加飾成形用シートを表中に示すものに変更したこと以外
は実施例1と同様にして加飾成形品を得た。但し、比較
例8,15については、加飾成形用シート15,34に
おいて良好な含浸を行うことができなかったので、成形
を行わなかった。
【0081】5.評価方法 (1)皺不良、破れ不良の評価 このようにして得られた加飾成形品について、目視に
て、加飾部の皺や破れの有無、加飾部端部の歪みの幅を
調べた。皺、破れについては目視確認できるものは不良
とし、端部歪みについては歪み幅が2mmを超えるもの
を不良とした。加飾成形品10個のうち、皺、破れ、端
部歪みの不良数を表1〜6中に示す。
【0082】(2)耐摩耗性の評価 得られた加飾成形品から、10cm×10cmの大きさ
の試験片を切り出したものを、60℃の熱水に300時
間浸漬した後取り出し、浸漬前との色の変化を、JIS
Z 6902 2.9に準じて、テーバー型アブレー
ザー試験機にて耐摩耗性試験を行い、摩耗回数を測定し
た。これらの結果を表1〜6に示す。
【0083】(3)耐黴性の評価 実施例8〜13、比較例1,9〜15により得られた加
飾成形品から、5cm×5cmの試験片を切り出し、初
期状態試験片とした。又、別に5cm×5cmの試験片
を切り出し、これを60℃の熱水に300時間浸漬した
後取り出し、劣化状態試験片とした。
【0084】初期状態試験片と劣化状態試験片につい
て、それぞれ、黴に対する抵抗性試験をJIS Z 2
911を改良した方法にて行った。即ち、無機塩培地上
に各試験片を載せ、その上に、無機塩、ブドウ糖及び黒
こうじ黴胞子からなる懸濁液を塗り、28日間培養し
た。そして7日毎に黴の成育状況を観察した。得られた
結果を表3〜5に示す。
【0085】
【表1】
【0086】
【表2】
【0087】
【表3】
【0088】
【表4】
【0089】
【表5】
【0090】
【発明の効果】本発明1の加飾成形用シートは、上記の
ようにされているので、成形前工程において取り扱い性
に優れ、形成時に破れや皺等が発生しにくく、加飾成形
品の成形性に優れている。本発明2の加飾成形用シート
は、上記のようにされているので、抗菌性に優れた加飾
成形品を製造することができる。
【0091】本発明3,4の加飾成形用シートの製造方
法は、上記のようにされているので、殊に形成時に破れ
や皺等が発生しにくく、加飾成形品の成形性に優れた加
飾成形用シートを製造することができる。
【0092】本発明5の加飾成形品の製造方法は、上記
のようにされているので、形成時に破れや皺等が発生す
ることがなく、成形性に優れており、意匠に優れた加飾
成形品を生産性よく製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明により得られる加飾成形品の一例を示す
断面図である。
【図2】本発明により得られる加飾成形品の別の例を示
す断面図である。
【図3】本発明により得られる加飾成形品の更に別の例
を示す断面図である。
【符号の説明】
1 加飾シート層 2 成形材料層

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱硬化性成形材料に積層し加熱加圧成形
    して加飾成形品を得るための加飾成形用シートであっ
    て、加飾した紙100重量部に対して、メラミン樹脂1
    〜30重量部と、反応性不飽和結合を有する熱硬化性樹
    脂50〜200重量部とが含浸されていることを特徴と
    する加飾成形用シート。
  2. 【請求項2】 上記メラミン樹脂が、抗菌剤を含有する
    ものであることを特徴とする請求項1に記載の加飾成形
    用シート。
  3. 【請求項3】 熱硬化性成形材料に積層し加熱加圧成形
    して加飾成形品を得るための加飾成形用シートの製造方
    法であって、加飾した紙100重量部に対して、メラミ
    ン樹脂1〜30重量部を含浸させた後、更に、反応性不
    飽和結合を有する熱硬化性樹脂50〜200重量部を含
    浸させることを特徴とする加飾成形用シートの製造方
    法。
  4. 【請求項4】 上記メラミン樹脂が、抗菌剤を含有する
    ものであることを特徴とする請求項3に記載の加飾成形
    用シートの製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1又は請求項2に記載の加飾成形
    用シートを、金型と熱硬化性形成材料との間に介在させ
    た状態で、加熱加圧成形することを特徴とする加飾成形
    品の製造方法。
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