JPH0972330A - ボールジョイント - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】 球状の球頭部と球頭部から突出する少なくと
も一本の柄部を有するボールスタッドと、ボールスタッ
ドの球頭部を包持するベアリングと、ベアリングを保持
する環状のハウジングとを備えたボールジョイントにお
いて、ベアリングは上下二分割に形成されるアッパーベ
アリングとロアベアリングからなり、アッパーベアリン
グ及びロアベアリングには対向する端部に環状の外周フ
ランジ又は内周フランジが形成され、外周フランジ及び
内周フランジが互いに係合する。 【効果】 ベアリングの開口内径をボールスタッドの球
頭部外径より十分に小径にできるので、ボールスタッド
の抜け荷重を高くできる。また、ベアリングの軸線方向
耐荷重を高めることができるので、ベアリングがハウジ
ングから外れることはない。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、例えば自動車の懸架装
置等に使用されるボールジョイントに関する。

【０００２】

【従来の技術】自動車の懸架装置の連結部には、以前よ
りボールジョイントが頻繁に使用されていた。このよう
なボールジョイントは、図６に示す如く、一般に球状の
球頭部１０４とその球頭部１０４から突出する柄部１０
３を有するボールスタッド１０２と、ボールスタッド１
０２の球頭部１０４を包持するベアリング１０６と、ベ
アリング１０６を保持するハウジング１１１とを備えて
いる。この場合のハウジング１１１は、一体に突出する
アーム１１２を有し、例えば鍛造成形により形成する
か、若しくは板金成形により形成されていた。

【０００３】このようにアーム１１２を有するハウジン
グ１１１を鍛造成形により形成したボールジョイントと
しては、実開平２−７２８１１号公報、特公平５−１３
７４１号公報等多数ある。またアーム１１２を有するハ
ウジング１１１を板金成形により形成したボールジョイ
ントとしては、特開昭６２−１８４２１７号公報等多数
ある。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】上記ボールジョイント
において、アーム１１２を有するハウジング１１１を鍛
造成形または板金成形で形成すると、その形成に多大な
時間がかかってしまうということがある。つまり、例え
ばハウジング１１１を鍛造成形により形成する場合、円
柱状の素材から複数回の鍛造工程を経てハウジング１１
１が形成され、更に必要に応じ切削加工が施される。こ
のためハウジング１１１形成に多大な時間がかかってし
まう。これは、ハウジング１１１を板金成形により形成
する場合にも同様である。つまり板状の素材から複数回
の板金工程を経てハウジングが形成され、更に必要に応
じて切削加工が施される。また、上記ハウジング１１１
の製造には、鍛造装置やプレス装置といった高価な設備
が必要である。

【０００５】そこで上記課題を解決するためハウジング
の形状を単純なリング状とし、ベアリングでハウジング
を支持したボールジョイントがある。このようなボール
ジョイントは、実公平５−２３８５２号公報等多数あ
る。

【０００６】このボールジョイントはハウジングを単純
なリング状としたため、ハウジングの製造を容易に行な
うことができる。またハウジングへのベアリングの組付
けも簡単に行なうことができるという利点がある。しか
しこのようなボールジョイントにおいて、ボールスタッ
ドをベアリングの端部開口から嵌挿するため、ベアリン
グからのボールスタッドの抜け荷重が低いということが
ある。また、このボールジョイントでベアリングの材質
を上下で変える目的で上下二分割のベアリングを使用す
る場合、二分割のベアリングがハウジングから外れてし
まうということがある。

【０００７】従って、本発明は上述の如き課題を解決
し、ボールスタッドの抜け荷重を高め、二分割ベアリン
グが外れることのないボールジョイントを提供すること
を目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明の構成は以下の通
りである。

【０００９】球状の球頭部と球頭部から突出する少なく
とも一本の柄部を有するボールスタッドと、ボールスタ
ッドの球頭部を包持するベアリングと、ベアリングを保
持する環状のハウジングとを備えたボールジョイントに
おいて、ベアリングは上下二分割に形成されるアッパー
ベアリングとロアベアリングからなり、アッパーベアリ
ング及びロアベアリングには対向する端部に環状の外周
フランジ又は内周フランジが形成され、外周フランジ及
び内周フランジが互いに係合する。

【００１０】

【実施例】以下本発明の実施例を図１乃至図５に基づい
て説明する。

【００１１】図１は本発明の実施例によるボールジョイ
ント１を表す。図において１１は断面半球形状でリング
状のハウジングで、ハウジング１１から連続して直線状
にアーム１２が突出している。このアーム１２付きハウ
ジング１１の製造は、予めリング状に形成したハウジン
グ１１にアーム１２を溶接する、あるいはアーム１２の
一部に曲げ加工を施してハウジング１１を形成する等の
方法による。また２はボールスタッドで、球状の球頭部
４と、この球頭部４から突出する柄部３とを有する。こ
の柄部３は、後記するダストカバー１３の軸線方向の移
動を規制する周状の大径部５を有し、大径部５より反球
頭部側に雄螺子が形成される。続いて１３はゴム弾性体
よりなるダストカバーで、外周が釣鐘形状をなし、軸線
方向両端に小開口部１３ａ及び大開口部１３ｂを有して
いる。この大開口部１３ｂの外周には、大開口部１３ｂ
を固着する締付け用のサークリップ１４が装着される。

【００１２】次に６は合成樹脂製のベアリングで、アッ
パーベアリング７とロアベアリング８から構成される上
下二分割型である。アッパーベアリング７の内周は、ボ
ールスタッド２の球頭部４上面と嵌合する上内球面７ｃ
を有し、ロアベアリング８の内周は、球頭部４下面と嵌
合する下内球面８ｃを有する。また図２に示す如く、ア
ッパーベアリング７及びロアベアリング８の対向する端
部には、アッパーベアリング７に環状の外周フランジ７
ａ、ロアベアリング８に環状の内周フランジ８ａが形成
され、外周フランジ７ａと内周フランジ８ａは互いに係
合している。更に図１に示す如く、アッパーベアリング
７の外周に形成される上鍔部７ｂと、ロアベアリング８
の外周に形成される下鍔部８ｂとの間にハウジング１１
が嵌合されて、ベアリング６にハウジング１１が装着さ
れるとともに、ハウジングの軸線方向の移動を抑制す
る。アッパーベアリング７の外周には、上鍔部７ｂに連
続してダストカバー１３の大開口部１３ｂを装着する嵌
合溝１５が形成され、内周にはボールスタッド２の柄部
３を突出させる開口９が形成される。またロアベアリン
グ８の内周底部には、潤滑油を溜める油穴１０が形成さ
れる。

【００１３】続いて、上記ボールジョイント１の製造方
法を図３に基づいて説明する。

【００１４】このボールジョイント１を組立てる場合、
予めアッパーベアリング７の外周フランジ７ａ側からボ
ールスタッド２の柄部３を挿入し、アッパーベアリング
７の上内球面７ｃにボールスタッド２の球頭部４を嵌合
させる。次に矢印Ｍで示すように、ボールスタッド２の
球頭部４を嵌合したアッパーベアリング７をハウジング
１１の内周に挿入し、続いて矢印Ｍで示すように、ロア
ベアリング８をハウジング１１の内周に挿入して、アッ
パーベアリング７の外周フランジ７ａとロアベアリング
８の内周フランジ８ａをハウジング１１内周で係合させ
る。その後、ダストカバー１３の大開口部１３ｂをアッ
パーベアリング７の嵌合溝１５に装着しサークリップ１
４で固着するとともに、小開口部１３ａをボールスタッ
ド２の柄部３に装着してボールジョイント１の組立てが
完了する。

【００１５】このように製造されるボールジョイント１
は、ボールスタッド２がアッパーベアリング７の外周フ
ランジ側から挿入されるため、ベアリング６の開口９内
径をボールスタッド２の球頭部４外径より十分に小径に
できる。また、アッパーベアリング７とロアベアリング
８が外周フランジ７ａと内周フランジ８ａとで係合され
るため、ベアリング６の軸線方向耐荷重を高めることが
できる。

【００１６】尚、上記実施例ではアッパーベアリング７
に外周フランジ７ａ、ロアベアリング８に内周フランジ
８ａを形成したが、図４に示す如く、アッパーベアリン
グ７に内周フランジ８ａ、ロアベアリング８に外周フラ
ンジ７ａを形成しても良い。

【００１７】また上記ボールジョイント１は、図５に示
す如くアーム１２の両端に形成しても良い。このような
ボールジョイント１は、例えばスタビライザバーとサス
ペンションを連結するリンク部材として使用される。

【００１８】

【発明の効果】以上のように本発明によれば、球状の球
頭部と球頭部から突出する少なくとも一本の柄部を有す
るボールスタッドと、ボールスタッドの球頭部を包持す
るベアリングと、ベアリングを保持する環状のハウジン
グとを備えたボールジョイントにおいて、ベアリングは
上下二分割に形成されるアッパーベアリングとロアベア
リングからなり、アッパーベアリング及びロアベアリン
グには対向する端部に環状の外周フランジ又は内周フラ
ンジが形成され、外周フランジ及び内周フランジが互い
に係合するため、ベアリングの開口内径をボールスタッ
ドの球頭部外径より十分に小径にできるので、ボールス
タッドの抜け荷重を高くできる。また、アッパーベアリ
ングとロアベアリングが外周フランジと内周フランジと
で係合されるため、ベアリングの軸線方向耐荷重を高め
ることができるので、ベアリングがハウジングから外れ
ることはない。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例によるボールジョイントを表す
部分断面正面図である。

【図２】図１のＡ部拡大図である。

【図３】本発明の実施例によるボールジョイントを製造
する工程を表す部分断面正面図である。

【図４】本発明の他の実施例を表すボールジョイントの
部分拡大図である。

【図５】本発明の更に他の実施例によるボールジョイン
トを表す部分断面正面図である。

【図６】従来のボールジョイントを表す部分断面正面図
である。

【符号の説明】

１ ボールジョイント ２ ボールスタッド ３ 柄 部 ４ 球頭部 ６ ベアリング ７ アッパーベアリング ７ａ 外周フランジ ７ｂ 上鍔部 ８ ロアベアリング ８ａ 内周フランジ ８ｂ 下鍔部 １１ ハウジング

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 球状の球頭部（４）と該球頭部（４）か
   ら突出する少なくとも一本の柄部（３）を有するボール
   スタッド（２）と、該ボールスタッド（２）の球頭部
   （４）を包持するベアリング（６）と、該ベアリング
   （６）を保持する環状のハウジング（１１）とを備えた
   ボールジョイントにおいて、前記ベアリング（６）は上
   下二分割に形成されるアッパーベアリング（７）とロア
   ベアリング（８）からなり、該アッパーベアリング
   （７）及びロアベアリング（８）には対向する端部に環
   状の外周フランジ（７ａ）又は内周フランジ（８ａ）が
   形成され、該外周フランジ（７ａ）及び内周フランジ
   （８ａ）が互いに係合することを特徴とするボールジョ
   イント。
2. 【請求項２】 上記ボールジョイント（１）のベアリン
   グ（６）には、ハウジング（１１）の軸線方向の移動を
   規制する上鍔部（７ｂ）がアッパーベアリング（７）に
   形成され、下鍔部（８ｂ）がロアベアリング（８）に形
   成されることを特徴とする請求項１記載のボールジョイ
   ント。